説明

テントフレーム

【課題】 大型倉庫や建築現場の仮囲い等として使用されるテントハウスを構成するテントフレームに於て、強風等の大きな外力が作用しても、転倒する危険性がない様にする。
【解決手段】 前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地される座体と、隣接する前後の主骨体間に位置する接地面に接地されて所定の重量を備えた錘体と、錘体と主骨体の上部とを連結する索条とで構成する。座体を接地面に固定するアンカと、アンカと主骨体の上部とを連結する第二索条と、座体に設けられてアンカから主骨体の上部に向かう第二索条を略水平方向を経て略垂直方向へ方向転換する案内体とを備えていても良い。第二索条は、座体の一部と主骨体の上部とを連結するものでも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型倉庫や建築現場の仮囲い等として用いられるテントハウスを構成するテントフレームの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテントフレームとしては、例えば特許文献1に記載されたものや特許文献2に記載されたものが知られている。
前者のものは、基本的には、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地される座体と、から構成されている。
後者のものは、基本的には、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられた座体と、座体の下部に設けられて接地面に接地される基台と、基台に対して主骨体を起立固定する為の緊張手段と、から構成されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3455936号公報
【特許文献1】特開2006−177014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前者のものは、その自重に依り接地面に鎮座され、必要に応じて座体がアンカに依り接地面に固定されるだけであったので、強風等の大きな外力が作用した場合には、転倒する危険性があった。
他方、後者のものは、基台を備えているので、これがウエイト(錘)としてある程度機能するものの、元々ウエイトとして機能させるべく設計されていなかったので、前者のものと同様に、強風等の大きな外力が作用した場合には、転倒する危険性があった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、強風等の大きな外力が作用しても、転倒する危険性がない様にしたテントフレームを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテントフレームは、基本的には、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地される座体と、隣接する前後の主骨体間に位置する接地面に接地されて所定の重量を備えた錘体と、錘体と主骨体の上部とを連結する索条と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
座体が接地面に接地されると共に、座体の上に主骨体が樹立される。錘体が隣接する前後の主骨体間に位置する接地面に接地されると共に、錘体と主骨体の上部が索条に依り連結される。
所定の重量を備えた錘体を設けると共に、これと主骨体の上部とを索条に依り連結したので、テントフレームに強風等の大きな外力が作用しても、これが転倒したり、横滑りしたりする事がない。
主骨体に対して座体を調整移動させると、接地面に対して主骨体の高さを調整する事ができる。
錘体が隣接する前後の主骨体間に設けられていると共に、索条が錘体と主骨体の上部との間に設けられているので、これらが邪魔になる事がない。その結果、テントフレーム内を有効に活用する事ができる。
【0008】
座体を接地面に固定するアンカと、アンカと主骨体の上部とを連結する第二索条と、座体に設けられてアンカから主骨体の上部に向かう第二索条を略水平方向を経て略垂直方向へ方向転換する案内体とを備えているのが好ましい。この様にすれば、第二索条に依り主骨体の樹立が確保されると共に、座体には案内体を備えているので、アンカが第二索条に依り常に水平に引っ張られて抜ける心配がない。
【0009】
第二索条は、座体の一部と主骨体の上部とを連結するものであっても良い。この様にすれば、第二索条の一端がアンカに止結されていないので、これが抜ける惧れがない。
【0010】
索条及び第二索条は、張力を調整する張力調整手段を備えているのが好ましい。この様にすれば、索条及び第二索条の張力を容易に変更できるので、主骨体を迅速且つ適正に樹立させる事ができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 主骨体、座体、錘体、索条とで構成し、とりわけ隣接する前後の主骨体間に位置する接地面に接地されて所定の重量を備えた錘体と、錘体と主骨体の上部とを連結する索条とを設けたので、強風等の大きな外力が作用しても、転倒する危険性がない。
(2) 錘体は、隣接する前後の主骨体間に設けられていると共に、索条は、錘体と主骨体の上部との間に設けられているので、これらが邪魔になる事がない。その結果、テントフレーム内を有効に活用する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のテントフレームを示す一部を省略した正面図。図2は、図1の側面図。図3は、図1の横断平面図。図4は、第二索条の取付状態を示す要部正面図。図5は、第二索条の他の取付状態を示す図4と同様図である。尚、以下の説明に於て、前後方向とは、テントフレームの奥行方向(図3に於て上下方向)を言い、左右方向とは、テントフレームの幅方向(図3に於て左右方向)を言う事にする。
【0013】
テントフレーム1は、主骨体2、座体3、錘体4、索条5とからその主要部が構成されて居り、テントハウスに適用される。
テントハウスは、接地面Aに設置されるテントフレーム1と、図略しているが、これの外側に張られるテントシート(膜体)とから構成されている。
接地面Aは、コンクリートやアスファルト等で舗装されて比較的強硬で平滑にされている。
【0014】
主骨体2は、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数のもので、この例では、直立した支柱6と、これの上部に着脱可能に連結されてこれから斜め上方に延出する屋根骨7とを備えている。
支柱6は、左右の縦管8と、これらを連結する適数の横材9及び適数の筋違材10とを備えている。
屋根骨7は、上下の斜管11と、これらを連結する適数の縦管12及び適数の筋違管13とを備えている。
而して、主骨体2は、前後方向に所定の間隔を置いて適数だけ配列されて居り、前後方向に隣接する主骨体2間には、図略しているが、適数の連結体(筋違体や桁体)が着脱可能に設けられている。従って、テントフレーム1は、この連結体を包含している。
【0015】
座体3は、主骨体2の下部に高さ調整可能に設けられたもので、この例では、スクリュベース(ジャッキベース)にしてあり、主骨体2の支柱6の下部に設けられた左右のものにしてあり、夫々平面略正方形で板状を呈する座板14と、これに植設されて上部が支柱6の縦管8に着脱可能に挿入される螺子棒15と、これに螺合されて支柱6の縦管8の下面に当合されるハンドルナット16と、支柱6の縦管8に螺設されて螺子棒15を抜止めする抜止めボルト17と、座板14の四隅に穿設された取付孔18とを備えている。
而して、座板14は、取付孔18に杭やアンカボルト等のアンカ19が挿通されて接地面A内に打設される事に依り接地面Aに固定される。
【0016】
錘体4は、隣接する前後の主骨体2間に位置する接地面Aに接地されて所定の重量を備えたもので、この例では、直方体状を呈して各主骨体2の設置領域に収まる大きさを備えて居り、金属製で箱形を為す外殻20と、これの内部に充填されたコンクリート21と、外殻20の上面に付設された適数(三つ)のアイボルト等の吊具22とを備えている。
【0017】
索条5は、錘体4と主骨体2の上部とを連結するもので、この例では、ワイヤロープにしてあり、一端が錘体4の吊具22に止結されていると共に、他端が主骨体2の屋根骨7の基端部に設けたアイボルト等の止結具23に止結されている。
【0018】
而して、テントフレーム1に於て、主骨体2の近傍に錘体4が設置されていない場合や設置できない場合は、図4に示す如く、座体3を接地面Aに固定するアンカ19と、アンカ19と主骨体2の上部とを連結する第二索条24と、座体3に設けられてアンカ19から主骨体2の上部に向かう第二索条24を略水平方向を経て略垂直方向へ方向転換する案内体25とが設けられる。或は、図5に示す如く、座体を接地面に固定するアンカ19と、座体3の一部と主骨体2の上部とを連結する第二索条24と、座体3に設けられて座体3の一部から主骨体2の上部に向かう第二索条24を略水平方向を経て略垂直方向へ方向転換する案内体25とが設けられる。
【0019】
アンカ19は、座体3に呼応して左右に設けられて居り、図4では、環状頭部を備えた杭にしてあり、夫々両座体3の左右外側に位置する取付孔18に挿通されると共に、左右のものが下方に行くに連れて左右内側に向う様に、つまり略V型を為す様に所定角度(略12度)だけ傾斜されて接地面A内に打設されている。図5では、アンカボルトにしてある。
【0020】
第二索条24は、索条5と同様にワイヤロープにしてあり、図4では、一端がアンカ19の環状頭部に挿通されて止結されていると共に、他端が主骨体2の屋根骨7の基端部に設けたアイボルト等の止結具(図示せず)に止結されている。図5では、一端が座体3の螺子棒15に掛渡されて止結されていると共に、他端が主骨体2の屋根骨7の基端部に設けたアイボルト等の止結具(図示せず)に止結されている。
【0021】
案内体25は、ベラカン又はビラカンと通称される金具が用いられて居り、平面略D型を呈するリングと、平板を二つ折りにされてリングを回動可能に支持する取付板とを備えている。そして、案内体25は、アンカ19とは反対側に位置する座体3の座板14の隅部に溶接等に依り固定されて居り、取付板に対してリングが水平軸廻りに俯仰回動できる様になっている。
【0022】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
座体3が接地面Aに接地されると共に、座体3の上に主骨体2が樹立される。錘体4が隣接する前後の主骨体2間に位置する接地面Aに接地されると共に、錘体3と主骨体2の上部が索条5に依り連結される。
所定の重量を備えた錘体4を設けると共に、これと主骨体2の上部とを索条5に依り連結したので、テントフレーム1に強風等の大きな外力が作用しても、これが転倒したり、横滑りしたりする事がない。
【0023】
座体3の抜止めボルト17を緩めると共に、ハンドルナット16を回動させた後に再び抜止めボルト17を締め付けると、接地面Aに対して主骨体2の高さを調整する事ができる。この為に、テントフレーム1の奥行方向(前後方向)に複数配置された主骨体2の高さを容易に揃える事ができる。
錘体4が隣接する前後の主骨体2間に設けられていると共に、索条5が錘体4と主骨体2の上部との間に設けられて居り、錘体4と索条5が主骨体2の設置領域から大きくはみ出る事がないので、これらが邪魔になる事がない。その結果、テントフレーム1内を有効に活用する事ができる。
【0024】
主骨体2の近傍に錘体4が設置されていない場合や設置できない場合は、一端がアンカ19又は座体3の螺子棒15に止結されていると共に、他端が主骨体2の屋根骨7の基端部に止結された第二索条24を設けたので、主骨体2の樹立が確保される。
座体3には、案内体25が設けられているので、アンカ19や座体3の螺子棒15が第二索条24に依り常に水平に引っ張られて抜ける心配がない。
【0025】
尚、主骨体2は、先の例では、支柱6と屋根骨7が着脱可能に連結されるものであったが、これに限らず、例えばこれらが一体的なものでも良い。
座体3は、先の例では、ジャッキベースを用いたが、これに限らず、例えば他の構造のものを用いても良い。
索条5及び第二索条24は、先の例では、ワイヤロープであったが、これに限らず、例えばチェーン等でも良い。
索条5及び第二索条24は、先の例では、錘体4と主骨体2の屋根骨7の基端部との間に介設したが、これに限らず、例えば錘体4と主骨体2の支柱6の上部との間に介設しても良い。
索条5及び第二索条24は、先の例では、張力を調整する手段を備えていなかったが、これに限らず、例えばターンバックル等の張力調整手段を備えていても良い。張力調整手段は、例えば索条の途中に介設したり、索条と錘体との間に介設する事ができる。
案内体25は、先の例では、ベラカン又はビラカンと通称される金具を用いたが、これに限らず、例えばプーリ等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のテントフレームを示す一部を省略した正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の横断平面図。
【図4】第二索条の取付状態を示す要部正面図。
【図5】第二索条の他の取付状態を示す図4と同様図。
【符号の説明】
【0027】
1…テントフレーム、2…主骨体、3…座体、4…錘体、5…索条、6…支柱、7…屋根骨、8…縦管、9…横材、10…筋違材、11…斜管、12…縦管、13…筋違管、14…座板、15…螺子棒、16…ハンドルナット、17…抜止めボルト、18…取付孔、19…アンカ、20…外殻、21…コンクリート、22…吊具、23…止結具、24…第二索条、25…案内体、A…接地面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地される座体と、隣接する前後の主骨体間に位置する接地面に接地されて所定の重量を備えた錘体と、錘体と主骨体の上部とを連結する索条と、から構成した事を特徴とするテントフレーム。
【請求項2】
座体を接地面に固定するアンカと、アンカと主骨体の上部とを連結する第二索条と、座体に設けられてアンカから主骨体の上部に向かう第二索条を略水平方向を経て略垂直方向へ方向転換する案内体とを備えている請求項1に記載のテントフレーム。
【請求項3】
第二索条は、座体の一部と主骨体の上部とを連結するものである請求項2に記載のテントフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−150083(P2009−150083A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327421(P2007−327421)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(500094381)株式会社サンエープロテント (24)
【Fターム(参考)】