説明

テントフレーム

【課題】 大型倉庫や建築現場の仮囲い等として使用されるテントハウスを構成するテントフレームに於て、長期間に亘って留置しても車輪が損傷する惧れがないと共に、支柱の変形等を防止する。
【解決手段】 屋根体2、支柱3、車輪4、補強体5、座体6とで構成し、とりわけ支柱3に並設されてこれを補強する補強体5と、補強体5の下部に高さ調整可能に設けられて接地面Aに接地し得る座体6とを設ける。車輪4は、支柱3に対して高さ調整可能に設けても良い。補強体5は、支柱3に水平方向に所定間隔を置いて設けられた縦管15と、支柱3と縦管15との間に垂直方向に所定間隔を置いて設けられた適数の連結板16とを備えても良い。補強体5と座体6は、支柱3を中心として周囲に複数設けても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型倉庫や建築現場の仮囲い等として用いられる移動可能なテントテントハウスを構成するテントフレームの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテントフレームとしては、屋根体と、屋根体を支持する適数の支柱と、各支柱の下部に設けられて接地面を転動し得る車輪と、から構成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2533235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この様なものは、車輪を備えているので、任意の場所に移動できるものの、所定位置に長期間に亘って留めて置くと、車輪がテントフレームの自重で損傷し易く、次回に移動する際には、使用できない惧れがあった。又、強風等の大きな外力が作用すると、支柱が歪んだり曲がったりして変形し易かった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、長期間に亘って留置しても車輪が損傷する惧れがないと共に、支柱の変形等を防止する様にしたテントフレームを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテントフレームは、基本的には、屋根体と、屋根体を支持する適数の支柱と、支柱の下部に設けられて接地面を転動し得る車輪と、支柱に並設されてこれを補強する補強体と、補強体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地されて車輪を接地面から離地させる座体と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
座体の高さを調整してこれが接地面から離間(離地)されると、車輪が接地面に接地される。そうすると、車輪に依りテントフレームを接地面の任意の場所へ移動する事ができる。
テントフレームを任意の位置へ移動した後には、座体の高さを調整してこれを接地面に接地させると共に、車輪を接地面から離間させる。そうすると、車輪より接地面積が大きい座体に依りテントフレームが支持される。この為、安定した設置が行われると共に、車輪が離地される事に依りテントフレームの自重が作用せず、車輪が損傷する惧れがなくなる。
支柱に並設して補強体が設けられているので、支柱が補強体に依り増強されてこれが強風等に依り歪んだり曲がったりして変形する惧れがなくなる。
補強体を利用して座体を設ける様にしたので、専用の取付部材を省略できると共に、車輪と干渉しない充分な設置スペースを確保する事ができる。
【0008】
車輪は、支柱に対して高さ調整可能に設けられているのが好ましい。この様にすれば、接地面が傾斜していても、支柱に対して車輪を高さ調整する事ができ、テントフレームを適正な姿勢に保つ事ができる。
【0009】
補強体は、支柱に水平方向に所定間隔を置いて設けられた縦管と、支柱と縦管との間に垂直方向に所定間隔を置いて設けられた適数の連結板とを備えていると共に、縦管の下部に座体が設けられているのが好ましい。この様にすれば、補強体に依り支柱を補強できるだけでなく、縦管を座体の受部として利用できる。加えて、補強体の縦管と連結板を梯子として利用する事ができる。
【0010】
補強体と座体は、支柱を中心として周囲に複数設けられているのが好ましい。この様にすれば、座体が複数ある事に依り接地面積が増大して安定性が向上すると共に、支柱を中心として補強体と座体が周囲にあるので、複数の補強体と座体に依り支柱と車輪を物理的に防護する事ができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 屋根体、支柱、車輪、補強体、座体とで構成し、とりわけ支柱に並設されてこれを補強する補強体と、補強体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地し得る座体とを設けたので、長期間に亘って留置しても車輪が損傷する惧れがないと共に、支柱の変形等を防止する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のテントフレームの移動可能状態を示す正面図。図2は、図1の側面図。図3は、図1の要部拡大横断平面図。図4は、テントフレームの定置状態を示す図1の要部拡大正面図である。尚、以下の説明に於て、左右方向とは、テントフレーム1の幅方向(図1に於て左右方向)を言い、前後方向とは、テントフレーム1の奥行方向(図2に於て左右方向)を言う事にする。
【0013】
テントフレーム1は、屋根体2、支柱3、車輪4、補強体5、座体6とからその主要部が構成されて居り、開閉屋根式のテントハウス50に適用される。
開閉屋根式のテントハウス50は、接地面Aに設置されるテントフレーム1と、これの屋根体2に設けられるテントシート(膜体)51とから構成されている。
テントシート51は、四枠状の固定シート52と、これの中央開口部分を開閉する折畳みシート53とを備えている。
接地面Aは、コンクリートやアスファルト等で舗装されて比較的強硬で平滑にされている。
【0014】
屋根体2は、テントフレーム1の基本部分を為すもので、この例では、四枠状を呈する前後左右の梁骨7と、これの上側に設けられて四枠状を呈する屋根骨8とを備えて居り、前側から後側へ行くに従い漸次下方に下がるべく傾斜した片流れ型にしてある。
各梁骨7は、上下の梁材と、上下の梁材同士を連結する適数の縦材及び斜材とを備えて居り、四隅に位置する支柱3に対して着脱可能に取付けられる。
而して、四枠状を呈する梁骨7の内部空間には、テントシート51の折畳みシート53が左右方向に開閉可能に設けられている。
屋根骨8は、同心状の内外の四枠材と、これらを連結する適数の連結材とを備えて居り、テントシート51の固定シート52が張設されている。
【0015】
支柱3は、屋根体2を支持する適数のもので、この例では、屋根体2の四隅に位置する四つのものから成って居り、角管に依り作製されている。各支柱3は、上側寄りの箇所で上下に二分割されて着脱可能に連結されている。
【0016】
車輪4は、各支柱3の下部に設けられて接地面Aを転動し得るもので、この例では、接地面A上を転動して縦軸廻りに旋回可能なブレーキ付きのキャスタにしてあり、高さ調整手段9に依り支柱3に対して高さ調整可能に設けられている。
高さ調整手段9は、支柱3と車輪4との間に設けたスクリュベース(ジャッキベース)にしてあり、支柱3の下部に連設された丸管製の筒体10と、平面略正方形で板状を呈する座板11と、これに植設されて上部が筒体10及び支柱3の内部に着脱可能に挿入される螺子棒12と、これに螺合されて筒体10の下面に当合されるハンドルナット13と、筒体10に螺設されて螺子棒12を抜止めする抜止めボルト14とを備えている。
【0017】
補強体5は、各支柱3に並設されてこれを補強するもので、この例では、各支柱3の左右方向の内側に隣接したものと、各支柱3の前後方向の内側に隣接したものと、四つの支柱3の対角方向の外側に隣接したものとを備えて居り、夫々三つづつ設けられている。
各補強体5は、支柱3に水平方向に所定間隔を置いて設けられた丸管製の縦管15と、支柱3と縦管15との間に垂直方向に所定間隔を置いて設けられた板状の適数の連結板16とを備えている。各支柱3の左右方向の内側に隣接した縦管15と、各支柱3の前後方向の内側に隣接した縦管15とは、その上部が内側に略45度に折曲されて屋根体2の梁骨7に着脱可能に取付けられている。補強体5の各連結板16は、梯子として利用可能な間隔に配設されている。
【0018】
座体6は、補強体5の下部に高さ調整可能に設けられて接地面Aに接地し得るもので、この例では、スクリュベース(ジャッキベース)にしてあり、各補強体5の縦管15の下部に設けられて居り、平面略正方形で板状を呈する座板17と、これに植設されて上部が補強体5の縦管15に着脱可能に挿入される螺子棒18と、これに螺合されて補強体5の縦管15の下面に当合されるハンドルナット19と、補強体5の縦管15に螺設されて螺子棒18を抜止めする抜止めボルト20とを備えている。
【0019】
補強体5と座体6は、支柱3を中心として周囲に複数設けられて居り、この例では、各支柱3に対して三つづつ設けられている。
【0020】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
図1及び図2に示す如く、座体6の高さを調整してこれが接地面Aから離間(離地)されると、車輪4が接地面Aに接地される。そうすると、車輪4に依りテントフレーム1を接地面Aの任意の場所へ移動する事ができる。
テントフレーム1を任意の位置へ移動した後には、図4に示す如く、座体6の高さを調整してこれを接地面Aに接地させると共に、車輪4を接地面Aから離間させる。そうすると、車輪4が離地されるので、テントフレーム1の自重が作用する事がなくなり、これが損傷したりする事がなくなる。
【0021】
支柱3に並設して補強体5が設けられているので、支柱3が補強体5に依り増強されてこれが強風等に依り歪んだり曲がったりする惧れがなくなる。
補強体5を利用して座体6を設けたので、座体6を取付ける為の専用の部材を省略できると共に、充分な設置スペースを確保する事ができる。
車輪4は、高さ調整手段9に依り支柱3に対して高さ調整可能に設けられているので、接地面Aが傾斜していても、支柱3に対して車輪4を高さ調整する事ができ、テントフレーム1を適正な姿勢に保つ事ができる。
【0022】
補強体5は、支柱3に水平方向に所定間隔を置いて設けられた縦管15と、支柱3と縦管15との間に垂直方向に所定間隔を置いて設けられた適数の連結板16とを備えているので、補強体5に依り支柱3を補強できるだけでなく、補強体5の縦管15と連結板16を梯子として利用する事ができる。従って、別途梯子や脚立を用意する事なく、テントフレーム1の上部を点検等する事ができる。
又、補強体5の縦管15の下部に座体6が設けられているので、縦管15を座体6の受部として利用できる。
補強体5と座体6は、支柱3を中心として周囲に複数設けられているので、座体6が複数ある事に依り接地面積が増大して安定性が向上すると共に、支柱3を中心として補強体5と座体6が周囲にあるので、複数の補強体5と座体6に依り支柱3と車輪4を物理的に防護する事ができる。
【0023】
尚、屋根体2は、先の例では、片流れ型であったが、これに限らず、両流れ型やフラット型等でも良い。
支柱3は、先の例では、四つであったが、これに限らず、例えば六つや八つ等でも良い。
車輪4は、先の例では、旋回可能なブレーキ付きのキャスタであったが、これに限らず、例えば旋回不能なものやブレーキが無いもの等でも良い。
補強体5と座体6は、先の例では、夫々三つであったが、これに限らず、例えばこれ以外の数でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のテントフレームの移動可能状態を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の要部拡大横断平面図。
【図4】テントフレームの定置状態を示す図1の要部拡大正面図。
【符号の説明】
【0025】
1…テントフレーム、2…屋根体、3…支柱、4…車輪、5…補強体、6…座体、7…梁骨、8…屋根骨、9…高さ調整手段、10…筒体、11…座板、12…螺子棒、13…ハンドルナット、14…抜止めボルト、15…縦管、16…連結板、17…座板、18…螺子棒、19…ハンドルナット、20…抜止めボルト、50…テントハウス、51…テントシート、52…固定シート、53…折畳みシート、A…接地面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根体と、屋根体を支持する適数の支柱と、支柱の下部に設けられて接地面を転動し得る車輪と、支柱に並設されてこれを補強する補強体と、補強体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地し得る座体と、から構成した事を特徴とするテントフレーム。
【請求項2】
車輪は、支柱に対して高さ調整可能に設けられている請求項1に記載のテントフレーム。
【請求項3】
補強体は、支柱に水平方向に所定間隔を置いて設けられた縦管と、支柱と縦管との間に垂直方向に所定間隔を置いて設けられた適数の連結板とを備えていると共に、縦管の下部に座体が設けられている請求項1に記載のテントフレーム。
【請求項4】
補強体と座体は、支柱を中心として周囲に複数設けられている請求項1に記載のテントフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−7294(P2010−7294A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165704(P2008−165704)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(500094381)株式会社サンエープロテント (24)
【Fターム(参考)】