説明

テント及び付加テントセット

【課題】天膜に吹き付ける風の方向に関わらず、常に開口状態を維持できる通風口を有しており、強風や突風時には、この通風口を通してテントの内外間で適度な通風ができるようにし、テントが倒壊したり、浮き上がったり飛ばされる危険を緩和できると共に、雨漏りも防止できるようにしたテントを提供する。
【解決手段】テント(A1)は、フレーム(1)と、フレーム(1)の上部に取り付けられる天膜(2)を有し、天膜(2)は、同じ方向へ傾斜した外膜体(22)と内膜体(21)で構成され、外膜体(22)と内膜体(21)の間には通風ができるように空隙が設けられており、内膜体(21)の最上部には内部通風口(271)が形成されており、外膜体(22)には所要数の開口部(26)が形成され、開口部縁部と内膜体(21)の間には通風が自在な素材を張設して斜め下向きの外部通風部(29)が形成されており、外部通風部(29)と内部通風口(271)を通して天膜(2)の内外で常時通風ができるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テント及び付加テントセットに関するものである。更に詳しくは、天膜に吹き付ける風の方向に関わらず、常に開口状態を維持できる通風口を有しており、強風や突風時には、この通風口を通してテントの内外間で適度な通風ができるようにし、テントが倒壊したり、あるいは浮き上がったり飛ばされる危険を緩和することができると共に、雨漏りも防止できるようにしたテント及び付加テントセットに関する。
【背景技術】
【0002】
組立式の簡易型のテントの一つの形態として、支脚を有するフレームの上部のみに天膜を取り付ける構造のテントがある。このテントは、設置後に強風や突風が吹いた場合、杭やロープで固定はしていても、天膜に外側から強い風圧がかかって飛ばされたり、あるいは、側部が開いているため、側部から入り込んだ風が天膜下面側に当たり、この風圧によってテントが浮き上がったり飛ばされてしまうおそれがあった。
【0003】
このような課題を解決するものとして、例えば特許文献1に記載されたテントがある。このテントは、天幕の一部に通風用の開口部を設け、開口部を天幕外部から覆い、通風により上端から下端へ向けて天幕との間隔が大きくなるようにした下端が開くフードを設け、強風や突風時に開口部からフード内に吹き込んだ風がフードを通ってテント外部へ抜け出るようにしてあり、強風や突風が吹き込んでも吹き飛ばされることがなく且つ雨漏りも防止できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−37534
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたテントには、次のような課題があった。
例えば風が周囲の建物に当たる等して乱れて、天膜に対し斜め上方から吹き降ろすような場合、フードが開口部縁に風圧で押し付けられて開口部を塞いでしまい、瞬間的に開口部やフードのないテントと同じような状況がつくられて、天膜の内側または外側にかかる風圧でテントが倒壊したり飛ばされてしまう事態が起こり得る。
【0006】
また、フードは、風の方向によっては、天膜の傾斜面に沿って吹き上がる風によって下端部が開くことがある。この場合、強風や突風が雨混じりであれば、フードの下端部と開口部がごく近いために、実際上はメッシュを通り抜ける風と共に雨水も開口部を通り抜けて雨漏りがするおそれがあった。
【0007】
ところで、簡易型のテントには、前記天膜のみを有するテントの他に、フレームの上部及び側部のほぼ全体を膜で覆ったテントもある。このような構造のテントは、例えば屋外で様々なイベントが開催される際の簡易トイレ、シャワー室あるいは更衣室等を設けるためのテントとして利用されている。しかし、このような上部及び側部のほぼ全体を膜で覆ったテントで、内部の空気が外部に抜けやすいようにして、強風や突風で倒壊したり、あるいは浮き上がったり吹き飛ばされる危険を緩和できる構造のものはなかった。
【0008】
(本発明の目的)
本発明は、天膜に吹き付ける風の方向に関わらず、常に開口状態を維持できる通風口を有しており、強風や突風時には、この通風口を通してテントの内外間で適度な通風ができるようにし、テントが倒壊したり、あるいは浮き上がったり飛ばされる危険を緩和することができると共に、雨漏りも防止できるようにしたテント及び付加テントセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、
フレームと、フレームの上部に取り付けられる天膜を有するテントであって、
天膜は、同じ方向へ傾斜した外膜体と内膜体で構成され、外膜体と内膜体の間には通風ができるように空隙が設けられており、
内膜体の最上部には内部通風口が形成されており、
外膜体には所要数の開口部が形成され、開口部縁部と内膜体の間には外部通風部が形成されており、
外部通風部と内部通風口を通して天膜の内外で常時通風ができるようにしてある、
テントである。
【0010】
本発明は、
フレームの側部全部に取り付けられる側膜を有し、天膜と側膜でフレーム全体が覆われており、側膜または側膜以外の側部に、側膜内部に通じる側部通風部が形成されている、
前記テントである。
【0011】
本発明は、
フレームが、外膜体を取り付ける外膜体用フレームと、内膜体を取り付ける内膜体用フレームを有しており、外膜体用フレームと内膜体用フレームは、内膜体と外膜体との間の空隙を維持できるように配されている、
前記テントである。
【0012】
本発明は、
内膜体に、内部通風口に雨水が入らないようにする雨水止めが設けられている、
前記テントである。
【0013】
本発明は、
既存テントのフレーム上部に着脱することができる付加フレームと、天膜で構成されており、
天膜は、同じ方向へ傾斜した外膜体と内膜体で構成され、外膜体と内膜体の間には通風ができるように空隙が設けられており、
内膜体には、最上部に設けられた内部通風口と、内膜体を前記付加フレームに対し張設する手段が形成されており、
外膜体には所要数の開口部が形成され、開口部縁部と内膜体の間には外部通風部が形成されている、
付加テントセットである。
【0014】
本発明は、
フレームの側部全部に取り付けられる側膜を有し、側膜には側膜内部に通じる側部通風部が形成されている、
前記付加テントセットである。
【0015】
特許請求の範囲にいう「テント」の用語は、支脚を有するフレームの上部のみに天膜を取り付けた構造のテント及びフレームの上部及び側部のほぼ全体を膜で覆ったテントを含む意味で使用している。
また、「テント」の用語は、組立式で移動が可能な簡易型のテントの他、常設される大型のテント等を含む意味で使用している。
【0016】
(作用)
本発明に係るテントの作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0017】
テントの天膜(2)に形成されている外部通風部(29)は、外膜体(22)と内膜体(21)の間の空隙に設けられているので、内外どちらの方向からも常時通風が可能である。すなわち、外部通風部(29)は、傾斜した外膜体(22)と内膜体(21)の間に設けられているので、天膜(2)に吹き付ける風は、風の方向に関わらず、そのほとんどの場合で天膜(22)の傾斜面に誘導され、外部通風部(29)から内膜体(21)の内部通風口(271)を通ってテント内部へ吹き抜けることができる。また、逆に、テント内部に吹き付ける風は、内部通風口(271)から外部通風部(29)を通り、テント外部へ吹き抜けることができる。
【0018】
したがって、強風や突風時においても、適度な風の通りが確保されるので、テントが倒壊したり、あるいは浮き上がったり飛ばされる危険を緩和することができる。さらに、雨混じりの風が外部通風部(29)を通り吹き込む場合でも、内膜体(21)が内部通風口(271)へ向け上り傾斜しているため、雨は簡単には内部通風口(271)まで吹き上がることができないので、雨漏りも防止できる。
【0019】
フレーム(1)の側部全部に取り付けられる側膜(3)を有し、天膜(2)と側膜(3)でフレーム(1)全体が覆われており、側膜(3)または側膜(3)以外の側部に、側膜(3)内部に通じる側部通風部(35)が形成されているテントは、内部通風口(271)と外部通風部(29)に加えて側部通風部(35)によってテントの内外間で風の吹き抜けができるので、テントが倒壊したり、あるいは浮き上がったり飛ばされる危険を緩和することができる。また、このテントは、屋外に簡易トイレ、シャワー室あるいは更衣室等を設けるためのテントとして利用できる。
【0020】
フレーム(1)が、外膜体(22)を取り付ける外膜体用フレーム(13)と、内膜体(21)を取り付ける内膜体用フレーム(16)を有しており、外膜体用フレーム(13)と内膜体用フレーム(16)は、内膜体(21)と外膜体(22)との間の空隙を維持できるように配されているテントは、吹き抜ける風で内膜体(21)や外膜体(22)が大きく変形して間の空隙が狭くなり風が通りにくくなるような不都合が生じることを防止できる。
【0021】
内膜体(21)に、内部通風口(271)に雨水が入らないようにする雨水止め(272)が設けられているテントは、内膜体(21)の傾斜面を吹き上がろうとする雨をより確実に止めることができるので、雨漏りの防止効果が向上する。
【0022】
付加テントセットの使用にあたっては、まず、付加フレーム(17)を既存のテントのフレーム上部に取り付け、内膜体(21)を付加フレーム(17)に対し張設するようにしてフレーム上部に天膜(2)を取り付ける。
これにより、既存のテントのフレームを無駄なく利用して、前記テントと同様の機能性を有するテントをつくることができる。
【0023】
また、フレームの側部全部に取り付けられる側膜(3)を有し、側膜(3)には側膜内部に通じる側部通風部(35)が形成されている付加テントセットは、既存のテントのフレームを無駄なく利用して、前記側幕を有するテントと同様の機能性を有するテントをつくることができる。
【発明の効果】
【0024】
(a)本発明のテントは、外部通風部が、天膜に吹き付ける風の方向に関わらず、常に開口状態を維持できるようになっているので、強風や突風時には、この外部通風部を通してテントの内外間で適度な通風を行うことができる。したがって、風でテントが倒壊したり、あるいは浮き上がったり飛ばされる危険を緩和することができる。また、雨混じりの風が外部通風部を通り吹き込む場合でも、内膜体が内部通風口へ向け上り傾斜しているため、雨は簡単には内部通風口まで吹き上がることができないので、雨漏りも防止できる。
【0025】
(b)本発明の付加テントセットは、既存のテントのフレームを無駄なく利用して、前記テントと同様の機能性を有するテントをつくることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るテントの一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1に示したテントの分解斜視説明図。
【図3】図1に示したテントの天膜を構成する内膜体の取付構造を示す説明図。
【図4】本発明に係るテントの他の実施の形態を示し、天膜を構成する内膜体の取付構造を示す説明図。
【図5】本発明に係る付加テントセットの一実施の形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0028】
図1ないし図3を参照する。
テントA1は、金属製のフレーム1と、天膜2及び側膜3を備えている。なお、図3では、図示の便宜上、天膜2の外膜22及び側膜3の図示を省略している。
【0029】
フレーム1は、四本の支脚部材10と、各支脚部材10の上端をつなぐように水平に設けられた二本の短手梁部材11と二本の長手梁部材12を有している。相対向する各長手梁部材12の両端部には、短手梁部材11方向に互いに二等辺状になるように上方へ傾斜して形成された合掌部材13を有している。各長手梁部材12の両端部に設けられている各合掌部材13の頂点間には、棟部材14が水平に形成されている。棟部材14と各合掌部材13は、外膜体用フレームを構成する。
【0030】
棟部材14の下方には、下棟部材15が二本の吊り部材150を介して棟部材14と所要の間隔をおいて平行に形成されている。各吊り部材150の下端部と両合掌部材13の下端寄りの間には、それぞれ合掌部材13より傾斜が緩い下合掌部材16が形成されている。下棟部材15と各下合掌部材16は、内膜体用フレームを構成する。符号151は、後述する吊りワイヤ273を掛けるワイヤ掛け具である。
【0031】
天膜2は、内膜体21と外膜体22で構成されている。
外膜体22は、切妻型の二枚の天布23と、各天布23の長さ方向両端部の二箇所に接続されている端布24と、各天布23及び各端布24の下辺部に接続されている幕布25で構成されている。各天布23には、それぞれ二箇所に、ほぼ半円形状の開口部26が並設されている。各開口部26は、各天布23の下辺部にかかるよう形成されている。各布23、24、25は防水布で形成されている。
【0032】
内膜体21は、それぞれが逆方向に傾斜して設けられた二枚の内天布27を備えている。各内天布27の長さ方向両端部には、前記外膜体22の各端布24に接する位置に三角形状の雨返し片270が形成されている。各雨返し片270の上辺端部には、吊りワイヤ273が取り付けられている。また、各内天布27の頂部間には、上辺部が平行になるように離して内部通風口271が設けられている。各内天布27の上辺部間には、内部通風口271に渡すようにして、多数の連結帯28が等間隔で取り付けられている。各連結帯28は、片側端部が内天布27に着脱できるようにしてある。
【0033】
内膜体21と外膜体22は、各内天布27の下辺部(幕布25側)と各天布23の下辺部を縫着することにより一体化されている。一体化した内膜体21と外膜体22を、図1に示すようにフレーム1に取り付けたときには、内膜体21の各内天布27が外膜体22の各天布23より緩い傾斜となっており、各内天布27と各天布23の間には通風ができる空隙(符号省略)が形成されている。
【0034】
外膜体22の各天布23に形成されている各開口部26の縁部と内膜体21の各内天布27の間には、通風が自在な網体等のメッシュ素材を縫着により張設して外部通風部29が形成されている。したがって、半円形状に湾曲した外部通風部29で囲まれた部分には、内天布27があらわれている。
【0035】
そして、天膜2は、次のようにしてフレーム1に取り付けられる。まず内膜体21の各連結帯28の片側を一旦外して各内天布27を離しておき、外膜体22をフレーム1の各合掌部材13、棟部材14、各短手梁部材11及び各長手梁部材12に外側から被せる。次に、各内天布27を持ち上げ、各連結帯28が下棟部材15の上に掛かるようにして、外していた側を各内天布27に取り付け、内部通風口271を形成する。そして、各内天布27の長さ方向両端(雨返し片270側の端部)を各下合掌部材16に下から回して掛けるようにし、両側の吊りワイヤ273を結束して吊り部材150のワイヤ掛け具151に掛け、各雨返し片270を吊るようにする。
【0036】
また、フレーム1の側部には、各短手梁部材11と各長手梁部材12から下側の側部全体を覆うように側膜3が取り付けられている。側膜3は、長手梁部材12の長さと同じ幅の二枚の構成布31、33と、短手梁部材11の長さと同じ幅の二枚の構成布30、32を備えている。各構成布30、31、32、33は防水布で形成され、それぞれが両端側で接続され、各支脚部材10間に適度な張りをもって張設されている。各構成布において、短手側の一方の構成布30には、ファスナーでL字形状に閉じられ、開閉が可能な出入口34が設けられている。
【0037】
各構成布30、31、32、33は、各支脚部材10よりやや短く形成されており、その下辺部には通風が可能で且つ目隠しともなる網体等のメッシュ素材で形成された側部通風部35が接続されている。側部通風部35は、側膜3内部に通じている。各構成布30、31、32、33と、それぞれに接続されている側部通風部35は、それらを合わせた高さが各支脚部材10とほぼ同じ高さになるように形成されており、各構成布30、31、32、33と側部通風部35によって、フレーム1の側部の全体を覆うことができる。
【0038】
この構造によれば、外部通風部29と内部通風口271及び側部通風部35を通して天膜2及び側膜3の内外で常時通風ができる。
【0039】
(作用)
図1ないし図3を参照してテントA1の作用を説明する。
テントA1は、天膜2と側膜3でフレーム1全体が覆われている構造であるので、例えば屋外で行われる各種イベントの際に設置する簡易トイレ、シャワー室あるいは更衣室等を設けるためのテントとして利用することができる。テントA1の内部には、このような用途で使用するために、トイレユニットやシャワーユニット等(何れも図示省略)が設置される。テントA1は、内部を外部から見えないように隠すことができると共に、臭気や湿気等の排出を良好に行うことができる。
【0040】
テントA1の天膜2に形成されている外部通風部29は、外膜体22と内膜体21の間の空隙に設けられており、しかも内膜体21と外膜体22はそれぞれフレーム1の下合掌部材16と合掌部材13に取り付けてあるので、吹き抜ける風で内膜体21や外膜体22が大きく変形することなく間の空隙が維持される。これにより、テントA1の内外どちらの方向からも常時通風が可能である。
【0041】
つまり、外部通風部29は、外膜体22の傾斜した天布23と、内膜体21の傾斜した内天布27の間に斜め下向きに設けられており、天膜に吹き付ける風は、風の方向に関わらず、そのほとんどの場合で天膜2の天布23または内天布27の傾斜面に誘導され、外部通風部29から内膜体21の内部通風口271を通ってテント内部へ入り、側部通風部35を通って吹き抜けることができる。また、逆に、側部通風部35を通ってテント内部に入った風は、内部通風口271から外部通風部29を通り、テント外部へ吹き抜けることができる。
【0042】
したがって、強風や突風時においても、適度な風の通りが確保されるので、テントA1が倒壊したり、あるいは浮き上がったり飛ばされる危険を緩和することができる。さらに、雨混じりの風が外部通風部を通り吹き込む場合でも、内膜体21の内天布27が内部通風口271へ向け上り傾斜しているため、吹き込んだ雨は簡単には内部通風口271まで吹き上がることができない。これにより、雨漏りも防止できる。
【0043】
図4を参照する。なお、図4では、図示の便宜上、天膜2aの外膜22及び側膜3の図示を省略している。また、図4において、図1ないし図3に示すテントA1と同一または同等箇所には同一の符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0044】
本実施の形態のテントA2は、フレーム1aに前記フレーム1とは相違して、二本の下合掌部材16が設けられておらず、より簡単な構造となっている。なお、天膜2aの構造は、前記テントA1の天膜2とほぼ同様であるが、各雨返し片270の折り目端部にも吊りワイヤ274が取り付けられている点が相違している。両側の吊りワイヤ274は、結束されて下棟部材15の上側に掛けられ、各内天布27の両端部を吊るものである。
【0045】
また、内膜21の各内天布27の内通風口271側の上辺部寄りには、上辺部と平行に雨水の吹き上がりを止める雨水止め272が全長にわたり設けられている。雨水止め272は、縦板状で内天布27の上面に接着されている。
雨水止め272を有していることにより、前記テントA1と比較して、各内天布27の傾斜面を吹き上がろうとする雨をより確実に止めることができるので、雨漏りの防止効果が向上する。
【0046】
図5を参照し、付加テントセットBの構造を説明する。なお、図5では、図示の便宜上、天膜2aの外膜22及び側膜3の図示を省略している。また、図5において、図1ないし図3に示すテントA1及び図4に示すテントA2と同一または同等箇所には同一の符号を付して示し、構造について重複する説明は省略する。
【0047】
付加テントセットBは、フレーム1aと天膜を有する既存のテントのうち、天膜は使用せずフレーム1aのみを使用して、このフレーム1aと組み合わせることにより前記テントA2と同等の機能性を有するテントA3をつくることができるものである。
【0048】
付加テントセットBは、既存テントのフレーム1a上部の棟部材14に着脱できる付加フレーム17と、天膜2で構成されている。付加フレーム17は、棟部材14とほぼ同じ長さの下棟部材170と、その両端寄りに直角方向に固定されている取付具171を備えている。各取付具171は、互いに平行に設けられ、先端部には棟部材14に掛けるためのフック172が形成されている。なお、取付具171は下棟部材170に着脱自在としてもよい。
【0049】
符号173は、フック172が棟部材14から外れるのを防止する外れ止めである。外れ止め173は、下方に設けられているハンドルで開閉操作されるようになっている。また、各取付具171の中間部にはワイヤ掛け具174が設けられ、その下方の下棟部材170の両端部には、ワイヤ掛け具175が設けられている。
【0050】
付加テントセットBの使用にあたっては、まず、付加フレーム17を既存のテントのフレーム1a上部の棟部材14に各取付具171のフック172を掛けて取り付ける。既存のテントの天膜(図示省略)は使用せず、天膜2aを内膜体21を付加フレーム17に対し張設するようにしてフレーム1a上部に取り付ける。
【0051】
詳しくは、内膜体21の各連結帯28の片側を一旦外して各内天布27を離しておき、外膜体22をフレーム1aの各合掌部材13、棟部材14、各短手梁部材11及び各長手梁部材12に外側から被せる。次に、各内天布27を持ち上げ、各連結帯28が下棟部材170の上に掛かるようにして、外していた側を各内天布27に取り付け、内部通風口271を形成する。そして、両側の吊りワイヤ273、274を結束して取付具171のワイヤ掛け具174、175に掛け、各雨返し片270を吊るようにする。また、側膜3もフレーム1aに取り付ける。
【0052】
これにより、既存のテントのフレーム1aを無駄なく利用して、前記テントA2と同様の機能性を有するテントA3をつくることができる。
また、付加フレーム17に、さらに二本の下合掌部材16を設けて、天膜2aと共にフレーム1aに取り付けて、前記テントA1とほぼ同等の機能性を有するテントをつくることもできる。
【0053】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
A1 テント
1 フレーム
10 支脚部材
11 短手梁部材
12 長手梁部材
13 合掌部材
14 棟部材
15 下棟部材
150 吊り部材
151 ワイヤ掛け具
16 下合掌部材
2 天膜
21 内膜体
22 外膜体
23 天布
24 端布
25 幕布
26 開口部
27 内天布
270 雨返し片
271 内部通風口
273 吊りワイヤ
28 連結帯
29 外部通風部
3 側膜
30、31、32、33 構成布
34 出入口
35 側部通風部
A2 テント
2a 天膜
272 雨水止め
274 吊りワイヤ
A3 テント
B 付加テントセット
1a フレーム
17 付加フレーム
170 下棟部材
171 取付具
172 フック
173 外れ止め
174、175 ワイヤ掛け具
2a 天膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(1)と、フレーム(1)の上部に取り付けられる天膜(2)を有するテントであって、
天膜(2)は、同じ方向へ傾斜した外膜体(22)と内膜体(21)で構成され、外膜体(22)と内膜体(21)の間には通風ができるように空隙が設けられており、
内膜体(21)の最上部には内部通風口(271)が形成されており、
外膜体(22)には所要数の開口部(26)が形成され、開口部縁部と内膜体(21)の間には外部通風部(29)が形成されており、
外部通風部(29)と内部通風口(271)を通して天膜(2)の内外で常時通風ができるようにしてある、
テント。
【請求項2】
フレーム(1)の側部全部に取り付けられる側膜(3)を有し、天膜(2)と側膜(3)でフレーム(1)全体が覆われており、側膜(3)または側膜(3)以外の側部に、側膜(3)内部に通じる側部通風部(35)が形成されている、
請求項1記載のテント。
【請求項3】
フレーム(1)が、外膜体(22)を取り付ける外膜体用フレーム(13)と、内膜体(21)を取り付ける内膜体用フレーム(16)を有しており、外膜体用フレーム(13)と内膜体用フレーム(16)は、内膜体(21)と外膜体(22)との間の空隙を維持できるように配されている、
請求項1または2の何れか一項に記載のテント。
【請求項4】
内膜体(21)に、内部通風口(271)に雨水が入らないようにする雨水止め(272)が設けられている、
請求項1ないし3の何れか一項に記載のテント。
【請求項5】
既存テントのフレーム上部に着脱することができる付加フレーム(17)と、天膜(2a)で構成されており、
天膜(2a)は、同じ方向へ傾斜した外膜体(22)と内膜体(21)で構成され、外膜体(22)と内膜体(21)の間には通風ができるように空隙が設けられており、
内膜体(21)には、最上部に設けられた内部通風口(271)と、内膜体(21)を前記付加フレーム(17)に対し張設する手段(28)が形成されており、
外膜体(22)には所要数の開口部(26)が形成され、開口部縁部と内膜体(21)の間には外部通風部(29)が形成されている、
付加テントセット。
【請求項6】
フレームの側部全部に取り付けられる側膜(3)を有し、側膜(3)には側膜内部に通じる側部通風部(35)が形成されている、
請求項5記載の付加テントセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−117227(P2011−117227A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276813(P2009−276813)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(509334778)
【Fターム(参考)】