説明

テント構造及びそのテント

【課題】 シンプルな構造で、より簡易に取り扱える折り畳み式のテントの提供を可能とした。
【解決手段】 本願発明は、屋根となる天幕2と、天幕2が張られる複数の桟3…3と、桟3…3を支持する複数の支柱4…4とを備えたテント構造であって、平面視において、桟3…3は、多角形を呈するように配置され、桟3…3の夫々は、隣り合う桟3と回動自在に軸止される。多角形の辺をなす桟3…3の1つは、当該桟3を二つ折りに折り畳むことができる。上記桟3は、上記多角形の内側に向けて凸となるように折れるものであり、当該桟3は、折り畳まれることによって、両端3,3の桟の夫々を引き寄せて、両端の桟の夫々と沿うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、テント構造及びそのテントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実用新案登録第3115797号公報
【0003】
日除け或いは雨除けとして、屋外に設置して使用し、使用後折り畳んで撤去することができる折り畳みテントが、種々提案されている。
例えば、特許文献1へ示すテントは、長辺と短辺からなる平面長方形の枠状に形成した辺部フレームを備える屋根の支持構造において、前記辺部フレームのそれぞれの四隅上部から屋根の中央部に向かって伸延する屋根支持フレームを形成し、該隣接する2辺の屋根支持フレームの先端同士を互いに連結すると共に、該連結された2辺の屋根支持フレームと互いに対向する2辺の屋根支持フレームとを非連結としたものであり、辺部フレームが、2つの一字形フレームを互いに重ねて交差させ、その交差点をピン留めして回動自在にしてはさみ形体とした少なくとも1つのX字形フレームからなり、パンタグラフ状に折り畳み自在に構成されたものである。
【0004】
しかし、折り畳めるといっても、辺部フレームについて、2つの一字形フレームを互いに重ねて交差させ、その交差点をピン留めして回動自在にしてはさみ形体としたX字形フレームとして形成し、パンタグラフ状に折り畳むものであり、構造も複雑で、部品点数も、比較的多くなりがちである。
プールサイドの日除けなど、状況によっては、設置も撤収ももっと簡便に行える、より簡易なテントが望まれる。
また、上記特許文献1のテントでは、使用中風通しや日当たりを求めて、設置したまま、屋根幕を開放することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上記のニーズに答えるため、上記の特許文献1と異なる、シンプルな構造で、より簡易に取り扱える折り畳み式のテントの提供を第1の目的とし、また、そのようなテントにおいて、設置したままで、天幕の開閉を行えるものを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明は、屋根の少なくとも一部を構成する天幕と、天幕が張られる複数の桟と、桟を支持する複数の支柱とを備えたテント構造について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、平面視において、桟は、多角形を呈するように配置されている。桟の夫々は、隣り合う桟へ回動自在に接続されている。多角形の辺をなす桟の1つは、2本の桟部材にて構成され、当該桟部材同士を回動自在に接続したものであり、桟部材を回動することにより、当該桟は、二つ折りに折り畳むことができる。上記桟は、上記多角形の内側に向けて凸となるように折れるものである。当該桟は、折り畳まれることによって、両端の桟の夫々を引き寄せて、両端の桟の夫々と沿う。
尚、ここで言う多角形とは、数学上の多角形と異なり、厳密に直線的な辺によって囲まれたものに限定するものではなく、実用上差し障りない範囲において、桟や支柱の湾曲や屈曲は許容し、これを包含するものである。
【0007】
本願第2の発明は、上記本願第1の発明に係るテント構造を備えたテントであって、次の構成を採るものを提供する。
即ち、このテントは、3本の桟を備え、当該桟は、平面視において、三角形を呈する。各支柱は、上記三角形の頂点の位置に配置され、更に、各支柱は、回動自在に桟へ接続され、当該回動にて桟に沿うよう折り畳むことができる。
【0008】
本願第3の発明は、上記本願第1又は第2の発明にあって、次の構成を採るテントを提供する。
即ち、このテントは、第1及び第2の少なくとも2本の棒材を備える。第1棒材の一端は、第2棒材の一端に対し、第1棒材の他の一端側を回動できるように接続されている。第1及び第2の両棒材夫々の接続されていない自由端側は、上記の桟部材にて構成された桟の上に載せられたものである。各棒材を、接続端を中心として回動させることにより、当該棒材の夫々を、桟部材にて構成された桟上をスライドさせることができる。天幕は、少なくとも2枚のシートからなり、第1の棒材と、第1の棒材が載せられていない桟とに、上記シートの一方が張り渡され、第2の棒材と、第2の当該棒材が載せられていない桟であって第2の棒材を挟んで第1の棒材と反対側にある桟とに、上記シートの他の一方が張り渡され、第1及び第2の両棒材の上記回動により、天幕の開閉が行える。
尚、棒材は、中実のものと中空のものの、双方を含む。
【発明の効果】
【0009】
本願第1〜3の発明は、テントについて、2本の桟部材にて構成された桟を折り込むと共に、隣接する桟に軸止されている各桟を回動させることにより、関節部にて二つ折りにされた桟とその両隣の桟とを沿わせるという、シンプルな構造にて、簡易に折り畳めるものとした。また、上記の関節部を伸ばすことによって、簡単に設置することができる。即ち、本願の各発明は、上述の第1の目的を達成したものである。
また、本願第2の発明では、平面視において、シンプルな三角形状のテントを提供するものであり、複数の当該テントを集合し、組み合わせることによって、広範囲な日除けや雨除けを提供したり、柔軟に複雑な形状のテントを構成したりすることができる。
また、複数の当該テントを集合した状態にして使用することのみならず、雨除けや日除けを提供する対象に応じて、レイアウトすることができる。例えば、このテントを4つ用意し、夫々の直角部分をつき合わせることにより、全体として、平面視円形の、雨除け又は日除けを形成するものとしても実施できる。
更に、この本願第2の発明では、テントの使用後、上記の通り桟同士を並べた上、副関節部にて支柱を桟へ畳み込むことにより、極めてコンパクトにすることができる。
また、上記本願第3の発明では、棒材の回転によって、テントを設置したまま、天幕の開閉を行うことができる。即ち、本願第3の発明は、上述の第2の目的を達成したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図9へ、本願発明の一実施の形態を示す。図1は、本願発明に係るテントの天幕を閉じた斜視図である。図2は、図1のテントをM方向から眺めた状態を示す一部切欠斜視図である。図3は、図1のテントの天幕を開いた状態を示す斜視図である。図4(A)は、上記テントの関節部を示す要部斜視図であり、図4(B)は図4(A)の平面図であり、図4(C)は当該関節部を折り曲げる状態を示す要部平面図である。図5(A)は、図4(A)及び図4(B)に示す関節部の要部背面図であり、図5(B)は上記テントの副関節部を示す斜視図であり、図5(C)は上記テントの上部先端を示す斜視図である。図6は、図1に示すテントから天幕と棒材を取り除いた状態を示す斜視図である。図7は、図6に示すテントの折り畳みの途中の状態を示す斜視図である。図8は、図6に示すテントの折り畳みが完了した状態を示す斜視図である。図9(A)は上記テントの使用例を示す平面図であり、図9(B)は上記テントの他の使用例を示す平面図であり、図9(C)は上記テントの他の実施の形態を示す略底面図である。
各図において、説明の便宜上、設置したテントを基準として、Uは上方を示し、Sは下方を示し、Lは左方を示し、Rは右方を示し、Fは前方を示し、Bは後方を示す。
【0011】
このテント1は、図1〜図3及び図6へ示す通り、テント1の屋根を構成する天幕2と、当該天幕2が張り渡される複数の桟3…3と、桟3…3を支持する複数の支柱4…4と、桟3と共に天幕2が張られる棒材5,5と、桟3,3同士を接続する接続部材6…6と、支柱の補強部材7…7とを備える。
以下各部の構成について順に説明する。
【0012】
上記の桟3…3は、平面視において、多角形を呈する。即ち、各桟3…3は、多角形の辺をなす。各桟3…3には、金属製のパイプ、特に、軽量なアルミニュウム製のパイプを採用するのが好ましい。
この実施の形態では、テント1は、夫々軸方向を水平とする、第1桟3aと第2桟3bと第3桟3cの3本の桟3…3を備える。従って、平面視において、各桟3…3は、三角形を呈する。
特に、この実施の形態において、第2桟3bと、第3桟3cとの間は、直角をなすものであり、桟3…3が呈する三角形は、直角三角形である。
【0013】
第1桟3aは、上記直角三角形において、直角となる頂点と対向する辺となるものであり、第2桟3bと第3桟3cの双方と隣り合う。
ここでは、テント設置後の第1桟3aの伸びる方向、即ち第1桟3aの軸方向を左右方向R,Lとして説明する。
上記第2桟3bは、第1桟3aの右端と接続され、上記第3桟3cは、第1桟3aの左端と接続される。
この第1桟3aは、第1棒部31と、第2棒部32と、第1棒部31及び第2棒部32を接続する関節部9とを備える。この第1棒部31と第2棒部32とが、特許請求の範囲の桟部材に対応する。
【0014】
第1及び第2の両棒部31,32は、金属製のパイプである。図2及び図6へ示す通り、第1棒部31は、第2棒部32の左側(左方L)に配置される。
第1棒部31の左端は、上記の関節部9を介して、第2棒部32の右端と接続されているのである。
図4(A)へ示す通り、関節部9は、金属製の板状体であり、第2棒部32へ一体に固定されている。関節部9の第2棒部32への固定は、この実施の形態において、溶接にて行われている。但し、ネジやボルトといった周知の固定具によって、関節部9を第2棒部32へ一体に固定するものとしても実施できる。
関節部9に対して、第1棒部31は、ネジ或いはボルトといった止め具91にて、取り付けられている。第1棒部31の関節部9と対応する端部には、止め具91を受ける受け部31aが設けられている。受け部31aは、図4(A)へ示す通り、第1棒部31の上記端部に、第1棒部31の軸方向と直交する上下方向を軸方向とする筒状部であり、筒状の内部に、上記止め具91の軸を回動自在に収容する。このため、第1棒部31は、止め具91の軸を中心として、関節部9に対して回動自在である。
詳しくは、図4(A)へ示す通り、関節部9は、平らな上板部9aと、上板部9aの下方に上板部9aと間隔を開けて位置する平らな下板部9bと、上板部9aの前端と下板部9bの前端とを接続する湾曲部9cとにて構成され、側面視Uの字型を呈するものであり、当該Uの字の内側に、両棒部31,32の端部を受容する(このように受容した状態にして上記の通り第2棒部32に関節部9は固定されている)。
従って、関節部9が呈するUの字の内径即ち、上板部9aと下板部9bとの間の間隔は、上記棒部31,32夫々の直径と同様か、それよりも若干大きい。図4(A)へ示す通り、関節部9が呈する上記Uの字は、寝かされた状態に配置されて、Uの字の両端部をテント後方Bに向けるものであり、関節部9は、左右と後方とが開放されている。
【0015】
上記の両棒部31,32の端部を収容した状態において、湾曲部9cを前方にする上記関節部9には、上板部9aから下板部9bにかけて、上記の止め具91が通される。
即ち、上記の関節部9には、受け部31aの両端部から露出する上記留め具91を通す、穴93,93が、桟3a(第1及び第2の棒部31,32)の後方Bに設けられている。この実施の形態では、上記の穴93,93は、関節部9の上板部9aと下板部9bとに、設けられており、各穴は、夫々上板部9a及び下板部9bを夫々貫通するものである。
止め具91は、関節部9の上記穴93,93及び受け部31aに通され、ネジ締めやナット留めによって固定される。
【0016】
第1棒部31は、上記の止め具91に固定されることによって、関節部9へ取り付けられるものであるが、第1棒部31を、関節部9に対して、回動せず、湾曲部9cの内周面に沿うように配置するため、図4(A)へ示す通り、副止め具92が関節部9に取り付けられる。
具体的には、この副止め具92は、図4(A)へ示す通り、関節部9内について、棒部31,32よりも、後方において上下に突き通された状態に取り付けられたものである。図5(A)へ示す通り、関節部9の上板部9aと下板部9bの夫々において、上記副止め具92を通す副穴94,94が設けられている。
副止め具92は、この実施の形態において、ボルトとナットにて構成されている。副止め具92を関節部9へ留めることにより、上記の第1棒部31をより確実に関節部9へ固定することができる。
【0017】
図4(C)へ示す通り、関節部9から、副止め具92を外すことにより、止め具91を中心として、関節部9に対し、第1棒部31を回転させることができる。
この実施の形態では、関節部9の上記上板部9aと下板部9bとは、水平に配置されており、両板部にガイドされて、上記において、第1棒部31は、水平面(仮想面)に沿って回転する。
この回転を第2棒部32側から見れば、第2棒部32も相対的に第1棒部31に対して回転することになるが、このとき、関節部9は、第2棒部32と一体に回転する(第2棒部32は関節部9に対しては回転しない)。このようにして関節部9にて、第1棒部31を第2棒部32に対して折り曲げ、第1桟3aを桟3…3が呈する上記三角形の内側へ向けて凸となるように、二つ折りにすることができる。
上記において、関節部9に対して第1棒部31を回動するものとしたが、逆に、関節部9に対して第2棒部32を回転するものとしても実施できる。
【0018】
図3及び図6へ示す通り、このテント1は、上記の支柱4…4として、第1支柱4aと第2支柱4bと第3支柱4cの、3本の支柱4…4を備える。各支柱4…4は、桟3…3が呈する三角形の頂点に配置される。各支柱4…4は、上下に伸びる、金属製のパイプである。支柱4…4は、特にアルミニューム製のパイプを採用するのが好ましい。また、支柱4の夫々は、下端に地面と当接する接地部40を備える。
第1支柱4aの上端部は、上記直角をなす第2及び第3桟3b,3cの接続部6(後述する第1接続部6a)に取り付けられ、第2支柱4bは、上記第3桟3cと第1桟3aの接続部6(後述する第2接続部6b)に取り付けられ、第2支柱4bは、上記第1桟3aと第2桟3bの接続部6(後述する第3接続部6c)に取り付けられる。
第1支柱4aと第2桟3bとの間、第1支柱4aと第3桟3cとの間には、夫々、上記の補強部材7,7が設けられている。この補強部材7,7は、図1〜図3へ示す通り、鉛直に伸びる第1支柱4aと水平面に沿って伸びる第2桟3bに対して斜めに掛け渡された板状体であり、支柱と桟の固定をより強固なものとする。
上記と同様に、第2支柱4bと第1桟3aとの間、及び、第2支柱4bと第3桟3cとの間にも、上記の補強部材7,7が設けられており、更に、第3支柱4cと第1桟3aとの間、及び、第3支柱4cと第2桟3bとの間にも、上記の補強部材7,7が設けられている。
補強部材7の夫々は、係脱自在に、上記各支柱と桟間に渡されている。この実施の形態では、補強部材7の夫々は、一端が支柱に軸止され、他の一端が桟に係止されており、桟から外すことによって、支柱にぶら下がった状態となる(図7)。
【0019】
このテント1は、上記の棒材5,5として、第1棒材5aと第2棒材5bの2本の棒材5,5を備える。図2ヘ示す通り、各棒材5a,5bの一端は、夫々、関節部9を備えた上記桟3(第1桟3a)と対向する支柱4(第1支柱4a)に対し、当該支柱4(第1支柱4a)の軸方向と交差する面に沿って回転できるように軸止されている。正確には、後述の第1接続部6aに、両棒材5,5の上記一端が軸止されている。
この実施の形態において、図2へ示す通り、第1棒材5aは、第2棒材5bの左側に配置される。
【0020】
各棒材5a,5bは、直角をなす第2及び第3桟3b,3cよりも長く、各棒材5a,5bの他の一端側は、上記関節部9を備えた桟(第1桟3a)の上に載せられ、各棒材5,5を、軸止された支柱4(第1支柱4a)を中心として回転させることができる。この実施の形態では、上下に伸びる支柱4(第1支柱4a)に対して、水平な面(仮想面)に沿って、両棒材5,5を回転させることができ、これにて、関節部9を備えた桟上をスライドさせることができる。
両棒材5a,5bの上記関節部9を備えた桟3より後方に突出する部分は把手となり、当該把手を持って、上記のスライドを行うことができる。
図5(A)へ示す通り、前述の関節部9の止め具91と副止め具92は、関節部9の上面より上方に突出し、両止め具91,92間へ、上記棒材5a,5bを収めることにより、両棒材5a,5bを互いに沿うように並べて配置することができる。
【0021】
上述の各桟3…3は、前記の接続部材6…6によって接続されている。
詳しくは、テント1は、第2桟3bと第3桟3cとを接続する第1接続部6aと、第3桟3cと第1桟3aとを接続する第2接続部材6bと、第1桟3aと第2桟3bとを接続する第3接続部材6cの、3つの接続部材6…6を備える。
各接続部材6…6は、金属製の治具であり、具体的には、図5(B)へ示す通り、接続部材6…6は、夫々、溶接により隣り合う桟3,3の一方(図5(B)において第3桟3c)の端部に固定されたものであり、支柱4の上端部を受容する支柱受容部61と、隣り合う桟3,3の他の一方(図5(B)において第1桟3a)の端部を受容する桟受容部62とを備える。
この図5(B)は、第3桟3cと第1桟3aとを接続する第2接続部6bを、他の接続部6a,6cを代表して示しており、他の接続部材6a,6cも基本的に同様の構成を採るものである。
図5(B)へ示す通り、上記の支柱受容部61は、平面視U字状に形成された板状部である。支柱受容部61に上記一方の桟3(第3桟3c)が溶接にて固定されている。支柱受容部61には、ネジ或いはボルトといった横留め具66を通す、横穴67,67が設けられている。この支柱受容部61に受容される支柱4(第2支柱4b)の端部に、当該横留め具66を回動自在に受容する筒状の横受け部40bが設けられている。横留め具67を上記横穴67,67及び横受け部40に装着して締め或いはナットを取り付けることにより、当該支柱4(第2支柱4b)を、支柱受容部61へ固定することができる。
【0022】
当該支柱受容部61の上端に、上記の桟受容部62が設けられている。
図5(B)へ示す通り、桟受容部62は、上記の支柱受容部61平面視U字状の支柱受容部61の側部から横に延設された下板63と、当該下板63の上方に間隔を開けて位置する上板64と、下板63と上板64とを接続する側板65とにて構成されている。この下板63と上板64の間が、上記の桟受容部62として、第1桟3aの端部を受容する。この実施の形態では、第2桟2bと第3桟3cとは、同じ長さであり、桟3…3が呈する前述の直角三角形は、直角二等辺三角形である。即ち、第3桟3cと第1桟3aとのなす角度、及び、第1桟3aと第2桟3bとのなす角度は、夫々約45度となる。従って、平面視において、桟受容部61の軸方向(湾曲する側板65の中心線)と、第3桟3cの軸方向とがなす角度を約45度としておけば、両桟3c,3a同士を45度の角度をなすように配置することができる。
【0023】
上記の桟受容部62には、ネジ或いはボルトといった縦留め具68を通す縦穴69,69が設けられている。また、図示はしないが、桟受容部62に受容される桟3(第1桟3a)の端部にも、上記縦留め具68を通す縦孔が設けられている。縦留め具68を上記縦穴69,69及び縦孔に装着して締め或いはナットを取り付けることにより、当該桟3(第1桟3a)を、桟受容部62へ軸止することができる。
図5(C)へ示す通り、両棒材5a,5bの先端は、第1接続部材6aへ、ボルト或いはネジなどの固定手段60,60によって、軸止されている。
尚、テントの平面視において、桟3…3が呈する三角形は、上記の直角二等辺三角形に限定するものではなく、二等辺三角形以外の直角三角形であっても実施できる。また、直角三角形以外の三角形であっても実施でき、更には、三角形以外の多角形としても実施できる。
【0024】
上記の天幕2は、図1〜図3へ示す通り、左右2枚のシート21,22(左シート21と右シート22)からなる。
平面視において、何れのシート21,22も、三角形を呈する。
また、両シート21,22の素材には、雨除けとして防水性を備えるものを採用するのが好ましい。
この実施の形態では、図1へ示す通り、天幕2は、シートの広さを最大限生かせる、平屋根をなすものである。
左シート21は、上記第3桟3cと第1棒材5aとに張り渡され、右シート22は、上記第2桟3bと第2棒材5bとに張り渡される。図示の通り、平面視において、左シート21が呈する三角形の、左側の一辺が第3桟3cに沿うように取り付けられ、右側の一辺が第1棒材5aに沿うよう取り付けられる。また、右シート22が呈する三角形の、右側の一辺が第2桟2bに沿うように取り付けられ、左側の一辺が第2棒材5bに沿うよう取り付けられる。
具体的には、各シート21,22には、三角形の一方の一辺に沿って、桟固定部23が設けられている。桟固定部23は、左右のシート21,22を桟3,3(第2及び第3桟7b,7c)へ着脱自在に取り付けるものであり、この実施の形態において、桟固定部23は、図2へ示す通り、三角形を呈するシートの左右に隣り合う辺の一方に沿って袋状に形成された部分であり、面ファスナやホックなどの係止具にてに袋状に固定されている。平面視において、左シート21が呈する三角形の左側の一辺に沿って上記桟固定部が設けられ、右シート22が呈する三角形の右側の一辺に沿って上記桟固定部が設けられている。桟固定部は、上記の面ファスナやホックに限定するものではなく、スライドファスナや他のスナップにて構成することもできる。
【0025】
また、各シート21,22の上記桟固定部23,23が設けられたのと反対側の辺に沿って、棒材固定部24,24が設けられている。即ち、平面視において、左シート21が呈する三角形の右側の辺に沿って棒材固定部が設けられ、右シート22が呈する三角形の左側の辺に沿って棒材固定部24,24が設けられている。
棒材固定部24は、上記の棒材5a,5bにシートを固定するものであり、この実施の形態において、棒材固定部24,24は、シートの上記辺をなす縁をシートの裏面側に折り込んで端部をシートへ縫い付けることによって形成した袋部分であり、当該袋部分の内部に上記棒材5を収容するものである。
但し、棒材固定部24,24を、上記のようにシートの縁を折り込んで形成するのではなく、別のシート状体を上記シート21,22へ縫い付けることにより、袋部分を形成して実施することができる。
棒材5a,5bは、シート21,22が呈する扇の径よりも長く、各シート21,22は、棒材5,5の後端側を、シート21,22の後方へ突出させる。
【0026】
この実施の形態においては設けられていないが、必要に応じて、第3桟3cと第1棒材5aとの間に、また、第2桟3bと第2棒材5bとの間に、シートの支持を補助する前記の補強骨を設けて実施することができる。
【0027】
両棒材5a,5bについて、図5(A)へ示す、揃えられた状態から、把手となる棒材5a,5bの端部を持って、関節部9の両止め具91,92を乗り越えさせ、両副止め具92,92の外側へ移動させて、棒材5a,5b同士を遠ざけるようにスライドさせることにより、図3へ示す通り、シート21,22を左右に畳んで、天幕2を開くことができる。天幕2を閉じるときは、上記と逆の動作によって、再び、関節部9の両止め具91,92間に、棒材5a,5bを収めればよい。このように、関節部9の両副止め具92,92は、天幕2を開いた状態に固定する固定具として機能する。
【0028】
図6〜図8を用いて、設営したテントを撤収する手順について説明する。
図6へ示す通り、固定手段60…60を外し、棒材5a,5bを第2及び第3桟3b,3cから取り外す。
そして、関節部9から、図4(C)へ示す通り、副止め具92を外して、図7へ示すように、桟3…3が呈する三角形の内側に向けて、第1桟3aを2つ折りにする。第1桟3aを完全に折り畳むことにより、その左右の第2及び第3桟3b,3cを、折り畳まれた第1桟3aと沿わせる。
一方において、補強部材7…7の夫々を、係止している桟3…3から外す。
この状態にて、図5(B)へ示す横留め具66を中心として、支柱4を回転させることにより、上記にて折り畳まれて沿い合う桟3…3に向け、支柱4…4の夫々を畳むことができる。即ち、支柱受容部61と横留め具66とを、副関節部として、桟に向けて支柱を折り畳むことができる。
そして、最終的に、図8へ示す通り、桟3…3及び支柱4…4を重ねた状態に畳むことができる。
上記において、支柱4…4を折り畳むことが不要であれば、上記の副関節部を設ける必要はない。また、支柱4…4を、折り畳むのではなく、接続部6…6に着脱自在に取り付けておき、テント撤収の際に、接続部6…6から取り外して、桟3…3と分離した状態にするものとしてもよい。また、支柱4…4を径の異なる複数のパイプにて構成し、撤収時、各パイプを重ねることによって、支柱を縮めた状態にすることができるものとしても実施できる。
【0029】
次に、テント1の設営例を示す。
テント1は、単独で用いることも可能であるが、図9(A)へ示す通り、平面視において、直角の扇型のテント1,1を2つ用意して、扇の先を揃えて並べ、半円形にして使用することができる。また、このテント1…1を4つ用意して、図9(A)の破線で示す通り、円形にして使用することができる。
更に図9(B)へ示す通り、平面視矩形のプールPにおいて、その四隅のプールサイドの夫々に、上記テント1を設営して、プールPの四隅に日除けを設けることができる。
【0030】
上述してきた各実施の形態において、1つのテント1に1つの折り畳みテント構造を設けた。即ち、一つのテント1は関節部9を有する桟3を一つ備えたものとした。一方、図9(C)へ示す通り、テント1が、支柱4を、辺となる桟が呈する多角形の内側(多角形の中心)にも備えるものとし、桟を多角形の辺のみでなく、当該内側に配置された支柱4と他の支柱4との間にも渡すものとすることができ、この場合、当該一つのテント1において、辺をなす複数の桟3…3が関節部9を備えるものとしても実施できる。このように、一つのテントが、複数の折り畳みのテント構造を備えるものとしても実施できるのである。
また、テントは、平面視において、三角形のほか、桟が上記の四角形や或いは五角形、更にはその他の多角形を呈するものとして実施でき、何れの場合も、一つのテントが一つのテント構造を備えるものとしても、或いは、一つのテントが複数のテント構造を備えるものとしても何れの実施も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明に係るテントの使用状態を示す天幕を閉じた斜視図である。
【図2】図1のテントをM方向から眺めた状態を示す一部切欠斜視図である。
【図3】図1のテントの天幕を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】(A)は、上記テントの関節部を示す要部斜視図であり、(B)は(A)の平面図であり、(C)は当該関節部を折り曲げる状態を示す要部平面図である。
【図5】(A)は図4(A)及び図4(B)に示す関節部の要部背面図であり、(B)は上記テントの副関節部を示す斜視図であり、(C)は上記テントの上部先端を示す斜視図である。
【図6】図1に示すテントから天幕と棒材を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図7】図6に示すテントの折り畳みの途中の状態を示す斜視図である。
【図8】図6に示すテントの折り畳みが完了した状態を示す斜視図である。
【図9】(A)は上記テントの使用例を示す平面図であり、(B)は上記テントの他の使用例を示す平面図であり、(C)は上記テントの他の実施の形態を示す略底面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 テント
2 天幕
3 桟
4 支柱
5 棒材
9 関節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の少なくとも一部を構成する天幕と、天幕が張られる複数の桟と、桟を支持する複数の支柱とを備えたテント構造について、
平面視において、桟は、多角形を呈するように配置され、
桟の夫々は、隣り合う桟へ回動自在に接続され、
多角形の辺をなす桟の1つは、2本の桟部材にて構成され、当該桟部材同士を回動自在に接続したものであり、桟部材を回動することにより、当該桟は、二つ折りに折り畳むことができ、
上記桟は、上記多角形の内側に向けて凸となるように折れるものであり、
当該桟は、折り畳まれることによって、両端の桟の夫々を引き寄せて、両端の桟の夫々と沿うものであることを特徴とする折り畳み可能なテント構造。
【請求項2】
3本の桟を備え、当該桟は、平面視において、三角形を呈するものであり、
各支柱は、上記三角形の頂点の位置に配置され、
各支柱は、回動自在に桟へ接続され、当該回動にて桟に沿うよう折り畳むことができるものであることを特徴とする請求項1記載のテント構造を備えたテント。
【請求項3】
第1及び第2の少なくとも2本の棒材を備え、
第1棒材の一端は、第2棒材の一端に対し、第1棒材の他の一端側を回動できるように接続され、
第1及び第2の両棒材夫々の接続されていない自由端側は、上記の桟部材にて構成された桟の上に載せられたものであり、
各棒材を接続端を中心として回動させることにより、当該棒材の夫々を、桟部材にて構成された桟上をスライドさせることができ、
天幕は、少なくとも2枚のシートからなり、
第1の棒材と、第1の棒材が載せられていない桟とに、上記シートの一方が張り渡され、
第2の棒材と、第2の当該棒材が載せられていない桟であって第2の棒材を挟んで第1の棒材と反対側にある桟とに、上記シートの他の一方が張り渡され、
第1及び第2の両棒材の上記回動により、天幕の開閉が行えるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のテント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−24672(P2010−24672A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185536(P2008−185536)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(391010149)株式会社越智工業所 (10)
【Fターム(参考)】