説明

テント

【課題】テント本体の側面に収納部を有する膨出部を形成したテントにおいて、収納部内に収納される収納物を保護すると共に人が足を差し込んでも不快にならない構造のテントを提供する。
【解決手段】本発明のテントは、テント本体2の側面に収納部5を有する膨出部2Bを形成しており、その膨出部2Bの収納部5に差し込む筒状部7Bを設けたマット7を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を備えたテントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、テント本体の側面に、小物などを収納できるように膨出した膨出部を形成したテントが知られている。このような構造のテントは、主に釣竿などの長尺物を収納する釣り用として用いられることがあり、釣人及び釣具が濡れないように、人が入る高さを有するスペースと、釣具を収納するのに必要なだけの膨出部からなるスペースを備えている。
【特許文献1】実開昭63−48849号
【特許文献2】登録実用新案第3021773号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した公知のテントは、膨出部が狭いため、膨出部内の周壁(天井や側面)が収納した釣具に触れ易く、テント内壁の結露に触れると釣具など収納物が濡れてしまうことがあった。
【0004】
また、膨出部に足を差し込んで人が寝ることも可能であるが、膨出部に差し込んだ足に周壁が触れると足が冷え易くなり、テント内壁の結露に触れると不快であった。
【0005】
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、テント本体の側面に収納部を有する膨出部を形成したテントにおいて、収納部内に収納される収納物を保護すると共に人が足を差し込んでも不快にならない構造のテントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明に係るテントは、テント本体の側面に収納部を有する膨出部を形成しており、前記膨出部の収納部に差し込む筒状部を設けたマットを有していることを特徴とする。
【0007】
上記した構造のテントは、テント本体に形成される膨出部の内側によって規定される収納部に、筒状部を設けたマットを装着することで、収納部の内壁が筒状部によって覆われるようになる。これにより、収納部の内壁が結露等しても、収納物が保護されると共に、人が足を差し込んだとしても、濡れたり冷えることも無く、更には、収納部の内壁が接触してまとわることが無くなって、不快になることがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、テント本体の側面に収納部を有する膨出部を形成したテントにおいて、収納部内に収納される収納物を保護すると共に、人が足を差し込んでも不快になることのない構造が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るテントの実施形態について説明する。
【0010】
図1から図3は、本発明に係るテントの第1の実施形態を示す図であり、図1は全体構成を示す図、図2は内部に敷設されるマットの構成を示す図、そして、図3は、使用状態を示す断面図である。
【0011】
テント1を構成する本体2は、主部2Aと、主部2Aよりも低い高さで、側方に膨出するように形成される膨出部(副部)2Bとを備えている。
【0012】
前記主部2Aは、人が入れる程度の空間が形成されるように、全体として略四角錐形状を成しており、合成樹脂のシートや織布によって構成されている。また、主部2Aの一側面には、人が出入りできるように、ファスナー等によって開閉される出入口3が形成されている。なお、主部2Aについては、特定の形状に限定されるものではなく、その材質や大きさ、更には、収納形態や組み立て方法については適宜変形可能である。
【0013】
前記膨出部2Bは、前記主部2Aと同じ材質で一体形成されており、その内側には、前記主部2Aの内部空間と連通する収納部5が形成されている。この収納部5には、図1に示すように、釣竿ケース50のような長尺物や、主部2A内で人51が寝るときに、足を差し込むことが可能となっている。なお、収納部5を有する膨出部2Bについても、特定の形状や大きさに限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0014】
上記した本体2の主部2Aの設置面、及び膨出部2B(収納部5)の設置面には、マット7が敷設されるようになっている。本実施形態のマット7は、主部2A内に敷設する平面状の第1マット7Aと、膨出部2B内に敷設すると共に、予め巻回状態に形成された第2マット(筒状部)7Bとを備えて構成される。
【0015】
前記第1マット7Aは、例えば、発泡合成樹脂等の板材、シート材で形成され、柔軟性を有している。また、前記第2マット7Bは、持ち運ぶときは上下に潰して折り畳むことができるようになっている。なお、第2マットについては、平面状に形成され、巻回して筒状にし、かつ後述するような止着部によってその形状を維持するようなものであっても良い。
【0016】
第2マット7Bは、膨出部2B内に設置できるように、膨出部の内面に対向する周壁8によって囲まれていると共に、一方側から足や収納物が差し込めるように開口9が形成された挿通部2Cを有する筒状部となっている。なお、本実施形態では、開口9は、両側に形成されているが、収納物や足等を差し込む側と反対側は、その周壁を上下に重ねて閉じた状態(つぶれた状態)になっていても良いし、図4に示すように、壁(覆い)7Cによって閉塞されていても良い。
【0017】
上記したように構成されるテント1は、図3に示すように、第1マット7Aを主部2Aの設置面に敷設し、第2マット7Bを膨出部2B内に差し込むようにして設置する。これにより、人51は、足を第2マット7Bの開口9(主部2Aと膨出部2Bを連結する挿通部2C)から収納部内に差し込んで横になることができる。
【0018】
前記膨出部2Bは、第2マット7Bの弾性により、その挿通部2Cが広がった状態となって、押し広げられる。これにより、収納部5の内壁が結露等しても、収納物が保護されると共に、図3に示すように足を差し込んだとしても、足が濡れたり冷えることも無く、更には、収納部5の内壁が足に接触してまとわり付くことが無くなって、不快になることもない。
【0019】
なお、図4に示すように、覆い7Cによって、図3に示す後方側の開口9を閉塞しておくことで、より足元が暖かくなって、テント内側の結露が後方開口から足に付着することを防止できるため、少なくとも前方側(主部2A側)の開口9を有していれば良い。
【0020】
図5から図7は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、図5は、テントの本体内に敷設されるマットの構成を示す図、図6は、マットに筒状部を形成した状態を示す図、そして、図7は、使用状態を示す断面図である。
【0021】
この実施形態におけるマット17は、上述した素材で一体形成されており、テントの本体2の主部2Aに敷設されるように全体として長方形状を成した本体部17aと、本体部17aの下方領域において直交する一方向に延出するように形成され、屈曲して筒状にできる突片17bを有している。すなわち、マットの素材としての柔軟性を利用して突片17bを図5の矢印で示すように巻回することが可能となっており、突片17bを巻回することで、図6に示すように、本体部17aの下方側において筒状部17Bが形成される。
【0022】
そして、前記突片17bの先端部、及び本体部17aの対応した一側部には、筒状部17Bの形状を維持するための着脱自在な止着部18を有している。この止着部18は、例えば、面ファスナ(雄型18a、及び雌型18b)によって構成することが可能であり、両者を係合することで、図6に示すように、容易に筒状部17Bを形成することが可能となる。
【0023】
このような構成のマット17は、上記した実施形態と同様、本体部17aを主部2A内に敷設すると共に、筒状部17Bを膨出部2B内に差し込むようにして設置すれば良い。
【0024】
このような構成であっても、図7に示すように、筒状部17Bの開口19から挿通部12Cに足を差し込んで、テント内で横になることが可能となり、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0025】
図8から図10は、本発明の第3の実施形態を示す図であり、図8は、テントの本体内に敷設されるマットの構成を示す図、図9は、マットに筒状部を形成した状態を示す図、そして、図10は、使用状態を示す断面図である。
【0026】
この実施形態におけるマット27は、上述した素材で一体形成されており、テントの本体2の主部2Aに敷設されるように全体として長方形状を成した本体部27aと、本体部27aの下方領域において直交する両方向に延出するように形成され、屈曲して筒状にできる一対の突片27bを有している。さらに、本実施形態では、両側に突出する突片27bの中央領域において、後方側に延出する突片27b´が形成されている。この突片27b´は、後方側の開口を閉塞する覆いとして機能する。
【0027】
また、前記本体部27aには、各突片27bが容易に巻回できるように、突片に沿う方向に所定長さの溝28が形成されており、かつ両突片27bには、図9に示すように形成される筒状部27Bの形状を維持するために、着脱自在な止着部29を有している。この止着部29は、前記同様、面ファスナ(雄型29a、及び雌型29b)によって構成することが可能であり、両者を係合することで、図9に示すように、容易に筒状部27Bを形成することが可能となる。
【0028】
また、前記突片27b´は、形成された筒状部27Bの開口を覆うように屈曲させて、開口内に差し込むことで、その開口を不完全状態に閉塞する。もちろん、この場合、前記突片27b及び突片27b´に止着部を設けておき、突片27b´を屈曲して、開口をより確実に閉塞するようにしても良い。
【0029】
このような構成のマット27は、上記した実施形態と同様、本体部27aを主部2A内に敷設すると共に、筒状部27Bを膨出部2B内に差し込むようにして設置すれば良い。
【0030】
このような構成であっても、図10に示すように、筒状部27Bの開口30から挿通部22Cに足を差し込んで、テント内で横になることが可能となり、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となり、かつより足元が暖かくなって、テント内側の結露が後方開口から足に付着することを防止できるようになる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。上述したマットについては、テントの主部及び膨出部の形状に応じて適宜変形することが可能であり、その筒状部を形成するための展開状態については、上述した実施形態の形状に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図であり、全体構成を示す図。
【図2】内部に敷設されるマットの構成を示す図。
【図3】使用状態を示す断面図。
【図4】マットの変形例を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す図であり、テントの本体内に敷設されるマットの構成を示す図。
【図6】マットに筒状部を形成した状態を示す図。
【図7】使用状態を示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施形態を示す図であり、テントの本体内に敷設されるマットの構成を示す図。
【図9】マットに筒状部を形成した状態を示す図。
【図10】使用状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0033】
1 テント
2 本体
2A 主部
2B 膨出部
5 収納部
7,17,27 マット
17b,27b,27b´ 突片
7B,17B,27B 筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テント本体の側面に収納部を有する膨出部を形成したテントにおいて、
前記膨出部の収納部に差し込む筒状部を設けたマットを有していることを特徴とするテント。
【請求項2】
前記マットは、屈曲して筒状にできる突片を有していることを特徴とする請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記マットは、筒状部を維持するための着脱自在な止着部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のテント。
【請求項4】
前記マットは、筒状部の一方側の開口を覆う覆いを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のテント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−202342(P2008−202342A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41019(P2007−41019)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】