説明

テント

【課題】風を伴う雨の場合においても、常に通気路を確保することができるテントを提供する。
【解決手段】上部布地部(22)と下部布地部(23)の間を連続し、かつ、外方側が下向きのメッシュ部(21)と、2本の支柱(4)の間に伸長し、少なくとも一部が上部布地部(22)の下端に連結され、かつ、上部布地部(22)を下かつで外方へ緊張させるようにポール(24)とにより、シートフライ(20)のベンチレーション構造が形成される。さらに、下部布地部(23)を内方に緊張させるように、インナーテント(10)に連結する一方と下部布地部(23)に連結する他方とが、着脱自在の着脱具(3)で相互に連結する連結部材(1、2)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントのベンチレーション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテントのベンチレーションは、インナーテントおよびシートフライの両方にメッシュ部を設けることにより構成され、シートフライのメッシュ部を覆うように、三角形状シートを用いて、下辺を除いてシートフライに逢着し、かつ、自由状態の下辺を剛性の支持部材に逢着することにより、三角形状シートに外方に向くテンションをかける。このようにして、三角形状シートとシートフライとの間に、通気路を形成するテントは、例えば、実公昭34−9961号公報や、実公昭34−7464号公報に記載されている。
【0003】
しかし、剛性の支持部材を用いた通気路の確保は、シートフライのテンションにより支えられるため、風荷重などによりシートフライが変形したり、テンションが下がると、十分に通気路を確保できなくなるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、シートフライのメッシュ部を覆う三角形状シートの下辺に弾性部材を逢着することにより通気路を確保するテントが、例えば、特開2004−332312号公報に記載されている。
【0005】
従来のテントにおいては、前述の三角形状シートにより上方からの雨粒を避けることができ、かつ、シートフライとインナーテントの二重のメッシュ部により、虫などの侵入を阻止することが可能である。
【0006】
しかし、メッシュ部が、シートフライの傾斜に連続するように張られるため、風を伴う雨の場合、膨らんだ三角形状シートの中に入り込む風の風圧により、メッシュ部を濡らした水滴が弾き飛ばされて、インナーテントに設けられたメッシュ部にかかり、さらにインナーテントの内部に雨水が侵入するという問題があった。前述の特開2004−332312号公報には、このような場合に、テントの内部から紐を引いて、弾性部材の変形により開口部を閉じることが記載されているが、開口部を閉じれば、通気路が確保できなくなるという問題があった。
【0007】
さらに、従来の構造では、シートフライの上に他部材である三角形状シートを設ける必要があり、シートフライの構造が複雑になるとともに、ベンチレーションの面積が制限されるという問題があった。
【特許文献1】実公昭34−9961号公報
【特許文献2】実公昭34−7464号公報
【特許文献3】特開2004−332312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、風を伴う雨の場合においても、常に通気路を確保することができるテントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のテントは、少なくとも2本の支柱と、該支柱の内側に張られるインナーテントと、該支柱の外側に張られるシートフライとからなるテントであり、前記インナーテントは、第1のベンチレーション構造を備え、前記シートフライは、上部布地部と下部布地部とからなり、かつ、上部布地部と下部布地部の間に設けられる第2のベンチレーション構造を備え、第2のベンチレーション構造は、上部布地部と下部布地部の間を連続するメッシュ部と、前記2本の支柱の間に伸長し、少なくとも一部が前記上部布地部の下端に連結され、かつ、前記上部布地部を下方かつ外方へ緊張させるポールと、下部布地部を内方に緊張させるように、インナーテントに連結する一方と下部布地部に連結する他方とが着脱自在の着脱具で相互に連結する連結部材とを有し、前記メッシュ部は、外方側が下向きに張られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のテントは、シートフライのベンチレーション構造が安定して下向きに構成され、風により膨らむ部分を設けないため、インナーテントのベンチレーション構造に向かって、雨粒がかかることがなく、風を伴う雨の場合においても、常に通気路を確保することができるという顕著な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のテントを、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例のテントの一部を、拡大して示した縦断面図である。図2は、本発明の一実施例のテントの側面図である。
【0012】
本発明のテントは、少なくとも2本の支柱(4)と、支柱(4)の内側に張られるインナーテント(10)と、支柱(4)の外側に張られるシートフライ(20)とからなる。インナーテント(10)は、メッシュ部(11)からなる第1のベンチレーション構造を備え、シートフライ(20)は、上部布地部(22)と下部布地部(23)とからなり、かつ、上部布地部(22)と下部布地部(23)の間に設けられる第2のベンチレーション構造を備える。第2のベンチレーション構造は、上部布地部(22)と下部布地部(23)の間を連続するメッシュ部(21)と、2本の支柱(4)の間に伸長し、少なくとも一部が上部布地部(22)の下端に連結され、かつ、上部布地部(22)を下方かつ外方へ緊張させるポール(24)と、下部布地部(23)を内方に緊張させるように、インナーテント(10)に連結する一方と下部布地部(23)に連結する他方とが、着脱自在の着脱具(3)で相互に連結する連結部材(1、2)とを有する。
【0013】
ポール(24)の固定は、既存の連結具を用いて、その両端を2本の支柱(4)の中間部に連結するか、インナーテント(10)の外側の所定位置、ないしは、シートフライ(20)の内側の所定位置にグロメットを設け、ポール(24)の先端の突起をこのグロメットに嵌合させて、ポール(24)が2本の支柱(4)の間に伸長するようにしてもよい。
【0014】
従って、ポール(24)により、上部布地部(22)が持ち上げられ、かつ、連結部材(1、2)の張力により、下部布地部(23)が押さえられて、メッシュ部(21)の外方側が下向きに維持される。このような構造には、風によりポケット状に膨らむ構造がない。そのため、メッシュ部(21)を濡らした雨水が風圧による圧力差でシートフライ(20)の内側に弾き飛ばされることがなく、僅かに侵入した雨水は、シートフライ(20)の内側で、インナーテント(10)の外側を垂れて排出される。
【0015】
従来のベンチレーションにおいては、例えば、ベンチレーションの上部と下部にある布地部の中央部を板状の形状保持部材で支持するか、または、ベンチレーションの上部にある布地部の下端で、ベンチレーションに沿って配設されるプラスチック製の形状保持部材で支持することにより、形状を保持していた。しかしながら、かかる構造、ベンチレーション部を下向きに配置しようとすると、ベンチレーションの上部にある布地部にテンションがかからず、求められる強度を提供できない。一方、シートフライの形状を保持するために、シートフライ全体に下方へのテンションをかけると、ベンチレーションの下向き構造を維持することができない。これに対して、本発明に係るベンチレーションシステムでは、ポール(24)により、ベンチレーションの上部にある布地部(22)には、適切なテンションがかかっている。さらに、シートフライ全体に下方へのテンションがかかっても、該ポール(24)および連結具(3)によるテンションにより、本発明により提供されるベンチレーション構造が維持される。
【0016】
なお、本発明は、インナーテントとシートフライからなる構造を有する種々のテントに適用される。すなわち、ドーム型、ワイド型、スクウェア型などテントのタイプに拘わらず、適用される。さらに、同様の構造を有すれば、テントの他、シェルタ、シェード等にも適用できる。その他、部材の材料については、公知のものを適用できる。よって、本発明は、シートフライの上部にテンションをかけるポールと、シートフライの上部と下部の間のベンチレーション、およびシートフライの下部をインナーテントを連結する連結具からなるベンチレーションシステムを備えるテントに係り、その思想の範囲内で、変形ないしは設計変更は可能である。従って、ポールの素材、ベンチレーション部の素材、シートフライやインナーテントの素材や構造の制限を受けることはない。例えば、シートフライの下部布地部がメッシュによる窓構造を有してもよく、全体がメッシュにより構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例のテントの一部を、拡大して示した縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例のテントの側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1、2 連結部材
3 着脱具
4 支柱
10 インナーテント
11 メッシュ部
20 シートフライ
21 メッシュ部
22 上部布地部
23 下部布地部
24 ポール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の支柱と、該支柱の内側に張られるインナーテントと、該支柱の外側に張られるシートフライとからなるテントであり、前記インナーテントは、第1のベンチレーション構造を備え、前記シートフライは、上部布地部と下部布地部とからなり、かつ、上部布地部と下部布地部の間に設けられる第2のベンチレーション構造を備え、第2のベンチレーション構造は、上部布地部と下部布地部の間を連続するメッシュ部と、前記2本の支柱の間に伸長し、少なくとも一部が前記上部布地部の下端に連結され、かつ、前記上部布地部を下方かつ外方へ緊張させるポールと、下部布地部を内方に緊張させるように、インナーテントに連結する一方と下部布地部に連結する他方とが着脱自在の着脱具で相互に連結する連結部材とを有し、前記メッシュ部は、外方側が下向きに張られるテント。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−95351(P2008−95351A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277306(P2006−277306)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】