説明

テンプレートおよび転写リソグラフィシステム

【課題】 液体上に光束をあてて、その液体を偏光すること。
【解決手段】 前記光束を生成する光源と前記液体と前記光源の間に配置された、前記光束に対して不透明なオーバーレイ・マークを有するテンプレートとを具備するシステムにを適用して、前記光束が前記液体にあたるように、また前記オーバーレイ・マークと重なって前記液体を重合するように、前記オーバーレイ・マークのピッチによって前記光束の偏光が確立することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写リソグラフィ・プロセス(imprint lithography process)のための高分解能オーバレイ・アライメント(重ね整列)を達成するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
転写リソグラフィは、サイズが50nm未満のフィーチャを基板に印刷することができる技法である。転写リソグラフィは、100nm未満のレジームにおける半導体製造のための選択肢として、フォトリソグラフィに取って代わる潜在力を有している。いくつかの転写リソグラフィ・プロセスが1990年代の間に導入されたが、それらのほとんどは、フォトリソグラフィに取って代わる実際的な代用として使用できない複数の限界を有している。これら従来技術の限界として、例えば温度による変化が大きいこと、高圧を必要とすること、およびフレキシブル・テンプレートを使用しなければならないことが挙げられる。
【0003】
最近では、高分解能パターンを室温で低圧を使用して水晶テンプレートから基板表面へ転写するために転写リソグラフィ・プロセスを使用することがある。ステップ・アンド・フラッシュ転写リソグラフィ(SFIL:Step and Flash Imprint Lithography)プロセスでは、硬い水晶テンプレートが、光硬化液体材料の中で基板表面と間接的に接触している。光を当てることによって液剤が硬化し、テンプレートのパターンが硬化した液に転写される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬くて透明なテンプレートを使用することにより、高分解能オーバレイをSFILプロセスの一部として組み込むことができ、また、光硬化によって低圧かつ室温で処理することができる低粘性液剤を使用することにより、望ましくない層ひずみは最低限となる。層ひずみは、オーバレイ・アライメントの実施を極めて困難にしている。
【0005】
通常、オーバレイ・アライメント・スキームには、正確なアライメントを達成するために、テンプレートと基板の間のアライメント誤差を測定すること、およびアライメント誤差の測定に引き続いて測定した誤差を補償することが含まれている。プロキシミティ・リソグラフィ、x線リソグラフィ、およびフォトリソグラフィ(レーザ・干渉法、キャパシタンス・センシング、マスクおよび基板上のオーバレイ・マークの自動画像処理等)に使用されている測定技法は、適切に修正することによって転写リソグラフィ・プロセスに適合させることができる。補償技法については、転写リソグラフィ・プロセスの特定の態様を念頭に置きながら開発しなければならない。
【0006】
通常補償を必要とするオーバレイ誤差には、配置誤差、シータ誤差および倍率誤差が含まれる。フォトリソグラフィ・プロセスでは、最小線幅が絶えず縮小しているのに伴ってオーバレイ測定技法はここ数年の間に著しく向上しているが、転写リソグラフィ・プロセスにこれらの技法を直接適用することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で説明する実施態様には、転写リソグラフィ・プロセスにおけるオーバレイ・アライメント・スキーム用として適用することができる方法およびシステムが含まれている。
【0008】
基板上にパターンを形成する方法は、一般的に、光硬化液を基板に塗布することによって達成されている。光硬化液には、光を当てることによって硬化するすべての液体が含まれている。典型的には、光硬化組成物は、光の中で化学変化する組成物である。化学変化をもたらす光には、紫外光(例えば、約300nmと約400nmの間の波長を有する光)、化学光、可視光、赤外光、および電子ビーム源およびx線源などの放射源が含まれている。化学変化は、様々な形で現われる。化学変化には、これには限らないが、重合をもたらすあらゆる化学反応が含まれている。実施態様の中には、化学変化が、レンズを形成する組成物内に、化学重合反応を開始させることができる開始剤を形成させる実施態様もある。
【0009】
一実施態様では、光硬化組成物はフォトレジスト組成物である。フォトレジスト組成物には、紫外光へ曝されることによって硬化するあらゆる組成物が含まれている。フォトレジスト組成物の特徴は、光(例えば紫外光)に露出される組成物部分のみが化学反応を引き起こすことである。半導体産業において広く使用されている任意の様々なフォトレジスト剤を使用することができる。一実施態様では、光硬化組成物にはアシル化モノマーが含まれている。
【0010】
ほとんどのフォトリソグラフィック・プロセスでは、通常、フォトレジスト剤は、高い粘性(約20センチポアズ(cps)以上)を有している。転写リソグラフィの場合、粘性の高い液体を使用することにより、100nm未満の構造を製造することがますます困難になる。低粘性の液体により、100nm未満の構造のはるかに正確な再生産物が製造されることが分かっている。一実施態様では、光硬化液は、約20cps未満の粘性を有しており、この粘性は約10cps未満であることが好ましく、約5cps未満であることがより好ましい。
【0011】
光硬化液が基板に塗布されると、光硬化液が塗布された基板の特定の位置の上に、パターン化されたテンプレートが置かれる。半導体を処理する場合、単一基板上に複数の半導体デバイスが形成される。複数の層から個々の半導体デバイスが形成される。これらの層は、それぞれその前に形成された層の上に逐次形成される。半導体デバイスの個々のコンポーネントのフィーチャ・サイズが小さいため、半導体デバイスが正しく機能するためには、他の層に対する各層のアライメントが極めて重要である。本明細書においては、パターン化されたテンプレートを基板上の所定の位置に整列させるための方法およびシステムについて説明されている。
【0012】
一実施態様では、パターン化されたテンプレートには、テンプレート・アライメント・マークが含まれており、基板には、基板アライメント・マークが含まれている。パターン化されたテンプレートが基板上に位置決めされると、基板アライメント・マークに対するテンプレート・アライメント・マークのアライメントが正確に測定される。テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークが整列していない場合、マークが実質的に整列するまで、基板に対するパターン化されたテンプレートの配向が変更される。基板をテンプレートに対して移動させることにより、テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークがX−Y方向にオフセットしている誤差が補償される。これは、X−Y方向への基板の制御された移動を可能にするように構成された基板支持ステージによって達成される。シータ誤差は、基板に対するテンプレートの角度を変更することによって補正される。倍率誤差は、テンプレートの物理寸法を変更することによって補正される。
【0013】
テンプレートおよび/または基板のいずれかに、様々なアライメント・マークを形成することができる。実施態様の中には、アライメント・マークが、テンプレートの一部を所定のパターンでエッチングすることによって形成されているものもある。別法としては、第2の材料の薄膜をテンプレート上に形成することもできる。この第2の材料は、基板アライメント・マークの相補パターンでデポジットされる。第2の材料は、光に対して不透明であるが、テンプレート・アライメント・マークのパターンを基板上の硬化液中に再生することができる。別法としては、第2の材料を、光硬化液を硬化させるために使用される光の波長に対して実質的に透明にすることもできるが、その場合、第2の材料は、光の非硬化波長において、異なる光学特性を持つことになる。アナライザを使用して、光の非硬化波長で解析することにより、アライメント・マークを容易に検出することができる。しかしながら、硬化中は、アライメント・マークは、硬化光に対して実質的に透明であり、アライメント・マークの下の硬化液は実質的に硬化する。一実施態様では、デポジットされる第2の材料はSi23である。他の実施態様では、テンプレートのエッチングによって、テンプレート・アライメント・マークが生成されている。テンプレート・アライメント・マークは、回折格子として全体で作用する一連の平行線で形成されている。回折格子テンプレート・アライメント・マークは、基板アライメント・マークに対するテンプレート・アライメント・マークのアライメントを正確に測定する場合に、容易に観測することができる。しかしながら、エッチングされる線の間隔が、硬化に使用される光の波長に対して比較的広いため、硬化中は、回折格子テンプレート・アライメント・マークは、硬化光に対して実質的に透明である。
【0014】
様々なセンシング方法を使用して、テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークのアライメントを正確に測定することができる。一実施態様では、テンプレート上および基板上のアライメント・マークの画像が同一画像平面上に集束している。この集束は、2つの異なる波長を有する照明源および焦点の合った画像と焦点を外れた画像を分離する画像処理技法を使用して達成されている。別法としては、基板表面上に偏光アレイを備えた2つの異なる照明源を使用して、テンプレート上および基板上のアライメント・マークの画像を同一画像平面上に集束させることもできる。さらに別法として、モアレ・パターンをベースとしたアライメント誤差測定技法を使用することもできる。モアレ・パターンをベースとしたアライメント中は、モアレ・パターンの2つの層の集束の問題を最小化するために、テンプレートと基板を接触させることなく、測定しているギャップを可能な限り狭くすることができる。高分解能(100nm未満)測定やテンプレートと基板の境界全体に渡るギャップの能動制御を使用することができる。これらの任意のセンシング方法を、上で説明した任意のアライメント・マークと共に使用することができる。
【0015】
実施態様の中には、テンプレートおよび基板のアライメント・マークのアライメントを正確に測定する前に、パターン化されたテンプレートと基板の間のギャップが実質的に充填される実施態様もある。他の実施態様では、パターン化されたテンプレートと基板の間のギャップが実質的に液体で充填されると、基板および/またはパターン化されたテンプレートのアライメント・マークの映像化が困難である。さらに他の実施態様では、液体が所定のパターンで基板に配置されている。テンプレートを液体に接触させる場合、テンプレートの一部分のみが液体と接触するようにしてもよい。基板に塗布する液体のパターンおよび基板上のアライメント・マークの位置を制御することにより、アライメント・マークを含んだテンプレートの一部が液体と接触しないように、テンプレートを液体と接触させて位置決めすることができる。この方法によれば、液体に妨害されることなく、テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークを整列させることができる。テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークが整列すると、パターン化されたテンプレートと基板の間のギャップが実質的に充填されるように、パターン化されたテンプレートが基板に対して位置決めされる。
【0016】
別法としては、テンプレートを液体に接触させる場合に、テンプレートの一部分のみをテンプレートと接触させることもできる。基板に塗布する液体のパターンおよび基板上のアライメント・マークの位置を制御することにより、アライメント・マークを含んだテンプレートの一部が液体と接触しないように、テンプレートを液体と接触させて位置決めすることができる。この方法によれば、液体に妨害されることなく、テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークを整列させることができる。テンプレートと液体の初期接触の後、液体が実質的にテンプレートと基板の間のギャップを充填するまで、テンプレートの下を液体のパターンが広がることになる。ギャップが液体で完全に充填されると、テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークのアライメントが達成される。
【0017】
実施態様の中には、その前の層を処理することによって基板に誘導される倍率誤差を補正しなければならないテンプレートもある。倍率誤差は、その前の層を処理するために使用されるテンプレートすなわちフォトリソグラフィック・マスクが正しく調整されていない場合に生じる誤差である。このようなマスクすなわちテンプレートは、プロセスの間、大き過ぎるかあるいは小さ過ぎることがあり、そのために期待される層より大きいかあるいは小さい層が生成されることになる。通常、このような誤差の範囲は、サイズで約1nmないし5nmである。倍率誤差を補償するために、使用中のテンプレートを保持するように構成されたサポートにテンプレート調整デバイスが結合されている。テンプレート調整デバイスは、使用中のテンプレートのサイズを変更することができるように構成されている。力を加えるかあるいはテンプレートの温度を変化させることにより、テンプレートを拡大させるかあるいは縮小させることができる。テンプレートを拡大させるかあるいは縮小させることにより、倍率誤差が補正される。
【0018】
テンプレート・アライメント・マークと基板アライメント・マークのアライメントが完了すると処理が完了する。硬化光が光硬化液に照射される。硬化光により少なくとも光硬化液の一部が硬化する。光硬化液が少なくとも部分的に硬化すると、テンプレートが除去され、硬化した光硬化液に、テンプレート上にエッチングされたパターンの相補をなす構造が残される。
【0019】
上で説明したアライメント方法は、局部アライメント処理または全体アライメント処理に使用することができる。局部アライメント処理を使用して、基板上の複数の半導体デバイスを処理することができる。パターン化された層が第1の半導体デバイス上に形成されると、パターン化されたテンプレートを使用して、第2の半導体デバイスに同じパターンの層が形成される。第2の半導体デバイスを処理するために、基板を新しい位置へ移動させることができる。局部アライメント処理の場合、新しい位置へ基板が移動すると、テンプレート上および基板上のアライメント・マークを使用して、テンプレートと基板が再整列される。この方法によれば、製造する半導体デバイス毎のアライメントが保証される。
【0020】
基板上に製造する半導体デバイス毎に個々にアライメントを使用することは、時間集約的なプロセスである。処理遅延を最小にするためには、全体アライメント処理を使用することができる。全体アライメント処理は、初期アライメント評価を使用しており、初期アライメント以外のアライメントを必要とすることなく、追加デバイスを処理することができる。一実施態様では、テンプレートと基板のアライメントは基板の第1の部分で実施されている。テンプレートと基板が整列すると、上で説明した転写リソグラフィ・プロセスを使用して、パターン化された層が形成される。本明細書においては、正しいアライメントを達成するための基板に対するテンプレートの位置決めは、「較正配向(caliblation orientation)」といわれる。較正配向は、基板の単一部分または基板の複数部分を参照することによって決定されている。較正配向は正確に測定され、かつ、記録される。処理が完了すると、基板の処理すべき次の部分へテンプレートが移動される(一般に「ステップされる」と呼ばれる)。テンプレートに対する基板の移動は、テンプレートに対する基板の位置の変化を正確に測定できるよう、非常に正確に制御されている。基板が移動すると、基板に対するテンプレートの配向が正確に測定され、較正配向と比較される。アライメント・マークとのテンプレートのアライメントをチェックすることなく、較正配向と整合させるべくテンプレートの位置が変更される。これにより処理速度が速くなり、転写リソグラフィ・プロセスを使用する場合の総合処理能力を向上させることができる。
【0021】
キャパシタンス・センサまたはレーザ・干渉法を使用して、基板の複数部分を処理している間に誘導されるX−Y配置誤差が測定され、補償される。これらのセンサの分解能は、ナノメートル未満である。テンプレートの両面は、それぞれ容量センシングおよび干渉センシングを実施するための導電材または反射材の薄層のいずれかで被覆されている。
【0022】
半導体デバイスの処理中は、デバイスを生成するための複数の層が形成される。層の各々は、その前の処理中に形成された層を覆っている。実施態様の中には、基板上に形成される層の各々にアライメント・マークが含まれている実施態様もある。基板上のアライメント・マークは、形成された層にアライメント・マークを転写するパターン化されたテンプレートに配置された構造から形成される。一実施態様では、テンプレート・アライメント・マークおよび転写マークがテンプレートに含まれている。このアライメント・マークを使用して基板アライメント・マークの配向とテンプレート・アライメント・マークを比較することにより、テンプレートと基板を整列させることができる。転写マークは、形成された層に新しい基板アライメント・マークを生成するために使用される。この新しい基板アライメント・マークを使用して、追加層を製造している間、テンプレートと基板を整列させることができる。
【0023】
上で説明した実施態様の利点は、テンプレートおよび基板を最適ギャップに維持しつつ、オーバレイ誤差を測定し、かつ、補正することにより、スティクションおよび高粘性摩擦を回避することによって誤差補正を達成することができることである。この最適ギャップは、スティクションおよび高粘性摩擦を回避するだけの十分な高さのギャップであり、かつ、テンプレートと基板の間のギャップを閉じる運動中に誘導されるオーバレイ誤差を最小化することができるだけの十分な低さのギャップである。
【0024】
本発明のその他の目的および利点については、以下の詳細説明を読み、かつ、添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【0025】
本発明は、様々な改変および代替形態が可能であるが、添付の図面には、本発明の特定の実施形態が例として示されており、また、本明細書ではそれらについて詳細に説明する。しかしながら図面および図面に対する詳細説明が、本発明をそれらによって開示される特定の形態に制限することを意図したものではなく、逆に、本発明が、特許請求の範囲の各請求項に定義されている本発明の精神および範囲の範疇であるすべての改変、等価物および代替形態を包含していることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】テンプレートと基板の間のギャップを示す横断面図である。
【図2A】転写リソグラフィ・プロセスを示す横断面図である。
【図2B】転写リソグラフィ・プロセスを示す横断面図である。
【図2C】転写リソグラフィ・プロセスを示す横断面図である。
【図2D】転写リソグラフィ・プロセスを示す横断面図である。
【図2E】転写リソグラフィ・プロセスを示す横断面図である。
【図3】転写リソグラフィ・プロセスのシーケンス・ステップを示すプロセス流れ図である。
【図4】パターン化されたテンプレートの底面図である。
【図5】基板上に位置決めされたテンプレートを示す横断面図である。
【図6】第1の実施形態による転写リソグラフィ・テンプレートを形成するためのプロセスを示す横断面図である。
【図7】第2の実施形態による転写リソグラフィ・テンプレートを形成するためのプロセスを示す横断面図である。
【図8】パターン化されたテンプレートの横断面図である。
【図9】パターン化された代替テンプレート設計を示す横断面図である。
【図10】硬化液を基板に塗布するためのプロセスを示す上面図である。
【図11】転写リソグラフィック・プロセス中に液体をディスペンスするための装置を示す略図である。
【図12】転写リソグラフィック・プロセスに使用される液体ディスペンス・パターンを示す図である。
【図13】基板上に複数の滴を含んだ液体パターンを示す図である。
【図14】転写リソグラフィック・プロセス中に液体をディスペンスするための代替装置を示す略図である。
【図15】複数の実質的に平行な線を含んだ液体パターンを示す図である。
【図16】基板サポート・システムの投影図である。
【図17】代替基板サポート・システムの投影図である。
【図18】たわみジョイントの運動を示す4バー・リンケージの略図である。
【図19】たわみジョイントの代替運動を示す4バー・リンケージの略図である。
【図20】磁気線形サーボ・モータの投影図である。
【図21】多重転写の全体処理を示すプロセス流れ図である。
【図22】多重転写の局部処理を示すプロセス流れ図である。
【図23】基板に対するテンプレートの回転軸を示す投影図である。
【図24】パターン化されたテンプレート上に位置決めされた測定デバイスを示す図である。
【図25】光学アライメント測定デバイスを示す略図である。
【図26】アライメント・マークを使用して、基板に対するテンプレートのアライメントを正確に測定するためのスキームを示す図である。
【図27】偏光フィルタを使用したアライメント・マークを使用して、基板に対するテンプレートのアライメントを正確に測定するためのスキームを示す図である。
【図28】容量テンプレート・アライメント測定デバイスを示す略図である。
【図29】レーザ干渉計アライメント測定デバイスを示す略図である。
【図30】テンプレートと基板の間のギャップを使用して、ギャップが部分的に液体で充填されている場合のアライメントを正確に測定するためのスキームを示す図である。
【図31】複数のエッチングされた線を含んだアライメント・マークを示す図である。
【図32】配向ステージの投影図である。
【図33】配向ステージの分解図である。
【図34】ギャップ測定技法のプロセス・フローを示す図である。
【図35】2つの材料の間のギャップを正確に測定するための技法を示す横断面図である。
【図36】ギャップの局部最小および局部最大の正確な測定を示すグラフである。
【図37】ギャップ測定凹所を備えたテンプレートを示す図である。
【図38】テンプレートと干渉計の間のギャップを測定するための干渉計の使用を示す略図である。
【図39】プローブ−プリズムの組合せを使用した、テンプレートと基板の間のギャップの探測を示す略図である。
【図40】転写リソグラフィック・プロセスを示す横断面図である。
【図41】テンプレートを照明するためのプロセスを示す略図である。
【図42】たわみ部材を示す投影図である。
【図43】使用するために組み立てられた第1および第2のたわみ部材を示す図である。
【図44】配向ステージの底面の投影図である。
【図45】たわみアームを示す略図である。
【図46】1対のたわみアーム示す横断面図である。
【図47】基板を平面化させるためのスキームを示す図である。
【図48】基板を保持するための真空チャックを示す様々な図である。
【図49】硬化後における基板からのテンプレートの除去スキームを示す図である。
【図50】硬化後における基板からのテンプレートの除去方法を示す横断面図である。
【図51】テンプレート・サポート・システムを示す略図である。
【図52】テンプレートと基板の間のギャップを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に示す実施形態は、一般にシステム、デバイス、および小型デバイスの製造に関連する製造プロセスに関している。より詳細には、本明細書に示す実施形態は、システム、デバイス、および転写リソグラフィに関連するプロセスに関している。例えば、これらの実施形態は、半導体ウェハなどの基板上に極めて小さいフィーチャを転写することの応用を有している。これらの実施形態が、上記の応用の他に、例えば費用有効性の高い超小型電気機械システム(すなわちMEMS:Micro-Electro-Mechanical System)の製造など、他のタスクへの応用を有していることを理解すべきである。また、実施形態は、これには限らないが、データ記憶用パターン化磁気媒体、マイクロ光学デバイス、生物および化学デバイス、X線光学デバイス等を始めとする他の種類のデバイスの製造に対する応用を有している。
【0028】
図、特に図1Aおよび1Bを参照すると、転写リソグラフィを使用して所望のフィーチャを転写する基板20に対して予備配置されたテンプレート12の配列が示されている。詳細には、テンプレート12は、基板20に転写させることになる所望のフィーチャ形状を持たせて製造された表面14を備えている。実施形態の中には、基板20とテンプレート12の間に転写層18を配置した実施形態もある。転写層18は、被転写層16を介してテンプレート12から所望のフィーチャを受け取っている。当分野で良く知られているように、転写層18により、低アスペクト比被転写フィーチャから高アスペクト比構造(すなわちフィーチャ)を得ることができる。
【0029】
転写リソグラフィのためには、テンプレート12と基板20を可能な限り互いに接近させ、かつ、平行な状態に維持することが重要である。例えば幅および奥行きが約100nmのフィーチャの場合、転写リソグラフィ・プロセスを成功させるためには、平均ギャップが約200nm以下、基板20の転写領域全体に対するギャップの変動が約50nm未満であることが必要である。本明細書に示す実施形態により、このように厳しく、かつ、正確なギャップ要求事項が与えられた転写リソグラフィを成功させるための、テンプレート12と基板20の間の間隔を制御する方法が提供される。
【0030】
図1Aおよび1Bは、転写リソグラフィに生じる2種類の問題を示している。図1Aでは、被転写層16の一方の端部において、テンプレート12が基板20に接近しすぎているため、被転写層16がくさび形になっている。図1Aは、パターンを転写している間、テンプレート12および基板20を実質的に平行に維持することの重要性を示している。図1Bは、被転写層16が厚くなり過ぎていることを示している。このような状態は、いずれも極めて望ましくない状態である。本明細書に示す実施形態により、図1Aおよび1Bに示す状態を除去し、かつ、従来技術によるリソグラフィ技法に関連するその他の配向問題を除去することができるシステム、プロセスおよび関連するデバイスが提供される。
【0031】
図2Aないし2Eは、転写リソグラフィ・プロセスの一実施形態を一括して30で示したものである。図2Aでは、テンプレート12と基板20を分離している隙間にギャップ31が形成されるように、テンプレート12は、基板20と間隔を隔てて配向されている。テンプレート12の表面14は、テンプレートの界面エネルギーを小さくし、かつ、基板20からのテンプレート12の分離を促進する薄層13で処理されている。以下、配向方法およびテンプレート12と基板20の間のギャップ31を制御するためのデバイスについて考察する。次にギャップ31に、処理済みの表面14の形状通りになる物質40が充填される。別法としては、一実施形態では、テンプレート12を基板20に対して所望の位置へ移動させる前に、基板20に物質40が設けられている。
【0032】
物質40は、図1Aおよび1Bに示す被転写層16のような被転写層を形成している。物質40は、高温を使用することなくギャップ31の隙間を比較的容易に充填することができ、かつ、高圧を必要とすることなくギャップを密閉することができる液体であることが好ましい。物質40の適切な選択については、以下でさらに詳細に考察する。
【0033】
物質40を硬化させ、ギャップ31によって決まる隙間の形状にするために、テンプレート12に硬化剤32が塗布される。この方法によれば、所望のフィーチャ44(図2D)を、テンプレート12から基板20の上部表面に転写することができる。転写層18は、基板20の上部表面に直接設けられている。転写層18は、テンプレート12から転写されるフィーチャの、高アスペクト比のフィーチャを生成するための増幅を容易にしている。
【0034】
図2Dに示すように、基板20からテンプレート12が除去され、所望のフィーチャ44が基板20に残される。テンプレート12と基板20の分離は、所望のフィーチャ44がそのままの状態を維持するよう、基板20の表面から外れたりまたはちぎれたりすることなく実施しなければならない。本明細書に示す実施形態により、所望のフィーチャ44を維持することができる、転写後における基板20からのテンプレート12のピール・プルのための方法および関連システム(「ピール・プル」法と言及する)が提供される。
【0035】
最後に、図2Eでは、二分子層レジスト・プロセスを使用する場合に知られているように、転写層18の作用によって、テンプレート12から物質40へ転写されたフィーチャ44のサイズが垂直方向に増幅されている。それによって得られた構造が、良く知られている技法を使用してさらに処理され、製造プロセスが完了する。図3は、一括して50で示す転写リソグラフィ・プロセスの一実施形態を流れ図の形で要約したものである。最初にステップ52でテンプレートと基板の大まかな配向が実施され、テンプレートと基板の大まかなアライメントが達成される。ステップ52における大まかな配向の利点は、高い効率で、かつ、優れた製造歩留まりで多数のデバイスが製造される製造環境で予備較正を実施することができることである。例えば、基板が多くのダイのうちの1つを半導体ウェハ上に備えている場合、第1のダイに対して大まかなアライメント(ステップ52)を1回実施し、単一生産運転の間、他のすべてのダイに適用することができる。この方法によれば、生産サイクル時間を短縮することができ、かつ、歩留まりを向上させることができる。
【0036】
ステップ54で基板に物質が配置される。物質は硬化性有機ケイ素溶液であり、あるいは活性化光に露出されると固体になる他の有機液である。液体が使用されているため、従来技術によるリソグラフィ技法に関連する高温および高圧を使用する必要がない。次にステップ56でテンプレートと基板の間の間隔が制御され、2つの層の間に、転写を成功させるために必要な正確な配向を可能にする比較的一様なギャップが生成される。本明細書に示す実施形態により、ステップ56で必要な配向(粗配向および精細配向の両方)を達成するためのデバイスおよびシステムが提供される。
【0037】
ステップ58で、テンプレートを基板および物質に精細配向することによってギャップが閉じられる。物質が硬化され(ステップ59)、硬化した物質が、テンプレートのフィーチャを有する形になる。次にステップ60でテンプレートと基板が分離され、テンプレートのフィーチャが基板に転写される。最後にステップ62で、残留材料を除去するための予備エッチングおよび転写層をエッチングするための良く知られている酸素エッチング技法を使用して構造がエッチングされる。
【0038】
様々な実施形態では、テンプレートには、i)テンプレート表面を有する平面に、ii)テンプレート中に凹まされた、iii)テンプレートから突出した、またはiv)上記を組合せた非パターン化領域が組み込まれている。テンプレートは、硬い突出部を使用して製造されている。このような突出部により、粒子裕度(particle tolerance)と、格子、ホログラム等の光学デバイスとに有用な一様なスペーサ層が提供される。別法としては、テンプレートは、圧縮可能な突出部を使用して製造されている。
【0039】
テンプレートは、一般的に、i)側面、ii)背面、iii)前面、またはiv)上記の組合せとの面接触を介してテンプレートを支える剛体を有している。テンプレート・サポートは、加えられる圧力下でのテンプレートの変形すなわちひずみを制限する利点を有している。実施形態の中には、テンプレートの一部の領域が反射被覆材で被覆されている実施形態もある。いくつかのこのような実施形態では、光がテンプレート中に入り、あるいは通過するよう、テンプレートの反射被覆に孔が組み込まれている。このような被覆は、干渉法を使用してオーバレイ補正する場合のテンプレートの位置付けに有用である。また、このような被覆は、テンプレートの上面ではなく側面を通して照射する硬化剤源を使用した硬化を可能にしている。このことは、とりわけギャップ・センシング技法およびオーバレイ・マーク検出システムにおけるテンプレート・ホルダの設計を柔軟にしている。テンプレートの露光は、i)テンプレートへの垂直入射によって、ii)テンプレートの斜めから、またはiii)テンプレートの側面を通して実施される。実施形態の中には、硬いテンプレートを柔軟な表面と組み合せて使用している実施形態もある。
【0040】
テンプレートは、光リソグラフィ、電子ビーム・リソグラフィ、イオン・ビーム・リソグラフィ、x線リソグラフィ、極紫外リソグラフィ、走査プローブ・リソグラフィ、集束イオン・ビーム・ミリング、干渉リソグラフィ、エピタキシャル成長、薄膜蒸着、化学エッチング、プラズマ・エッチング、イオン・ミリング、リアクティブ・イオン・エッチング、または上記の組合せを使用して製造できる。テンプレートは、平面、放物面、球面、または他の表面トポグラフィを有する基板上に形成されている。テンプレートは、平面、放物面、球面、または他の表面トポグラフィを有する基板と共に使用することができる。基板には、予めパターン化されたトポグラフィおよび/または複数の材料の薄膜スタックが含まれている。
【0041】
図4に示す一実施形態では、テンプレートは、パターン化領域401、エントレインメント・チャネル402およびエッジ403を備えている。テンプレート・エッジ403は、テンプレートをテンプレート・ホルダ内に保持するために利用されている。エントレインメント・チャネル402は、以下でより詳細に考察するように、過剰液体を吸収することによって隣接するパターン化領域への過剰液体の広がりを防止する。いくつかの実施形態では、テンプレートのパターン化された領域は平面である。このような実施形態は、基板を平面化するために有用である。
【0042】
実施形態の中には、テンプレートが多種深さ設計(multi-depth design)で製造されている実施形態もある。つまり、テンプレートの様々なフィーチャが、テンプレートの表面に関連して異なる深さになっている。例えば、エントレインメント・チャネル402の深さは、パターン化領域401の深さより深くなっている。このような実施形態の利点は、テンプレートと基板の間のギャップをセンシングする精度が改善されることである。極めて狭いギャップ(例えば、約100nm未満)をセンスすることは困難であり、したがってテンプレートに既知の深さの段を追加することにより、より正確なギャップのセンシングを可能にしている。2種深さ設計(dual-depth design)の利点は、このような設計により、標準化されたテンプレート・ホルダを使用して、様々なサイズのダイを含んだ所与のサイズの転写テンプレートを保持することができることである。2種深さ設計の第3の利点は、周辺領域を使用してテンプレートを保持することができることである。このようなシステムでは、機能構造を有している、テンプレートと基板の境界のあらゆる部分を硬化剤に露出させることができる。図5に示すように、周辺領域501の深さが適切に設計されたテンプレート500が隣接転写体502、503に接触しているが、転写テンプレート500の周辺領域501は、転写体503から離れた安全な垂直距離を維持している。
【0043】
上で説明したように、2種深さ転写テンプレートは、様々な方法を使用して製造されている。図6に示す一実施形態では、分解能が高く、かつ、深さの浅いダイ・パターン602、および分解能が小さく、かつ、深さの深い周辺パターン603を有する単一の分厚い基板601が形成されている。図7に示すように、一実施形態では、分解能が高く、かつ、深さの浅いダイ・パターン701を有する薄い基板702(例えば水晶ウェハ)が形成され、このダイ・パターン701が基板702から切り取られ、より分厚い基板703に接着される。基板703は、転写マシン上の転写テンプレート・ホルダに適合するサイズになっている。この接着は、テンプレート材の屈折率と類似した硬化剤(例えば紫外光)屈折率を有する接着剤704を使用して達成されることが好ましい。
【0044】
図8A、8Bおよび8Cは、その他の転写テンプレート設計を示したもので、それぞれ一括して数表示801、802および803で参照されている。テンプレート設計801、802および803の各々は、ギャップ測定および/または過剰液体の吸収に有用な凹所領域を備えている。
【0045】
一実施形態では、テンプレートは、液体の広がりを制御するため、材料の物理特性およびテンプレートの幾何学に基づいたメカニズムを備えている。基板領域のロスを生じさせることなく許容することができる過剰液体の量は、様々な材料の界面エネルギー、液体密度およびテンプレート幾何学によって制限されている。したがってリリーフ構造を使用して、所望の成形領域すなわちパターン化領域を取り囲んでいる領域を包囲している過剰液体が吸収されている。この領域は、一般に「切溝」と呼ばれている。切溝中のリリーフ構造は、パターンまたは成形リリーフ構造を構築するために使用される標準の処理技法を使用して、上で考察したように、テンプレート表面を凹まされている。
【0046】
従来のフォトリソグラフィでは、フォトマスク設計における光学近接補正の使用が、設計寸法通りの正確なパターンを生成するための標準になりつつある。マイクロおよびナノ成形すなわち転写リソグラフィにも同様の概念を適用することができる。転写リソグラフィ・プロセスにおける実質的な相異は、誤差が、回折すなわち光学的な干渉によるものではなく、処理中に生じる物理特性の変化によるものであることである。このような物理特性の変化が、テンプレートの幾何学における工夫を凝らしたリリーフ補正の性質または必要性を決定している。パターン・リリーフ構造が、転写中における材料変化(収縮または膨張など)に適応するように設計された、光リソグラフィで使用されている光学近接補正と同様の概念のテンプレートの場合、このような物理特性の変化による誤差が排除される。ボリュームの膨張または収縮などの物理特性の変化を考慮することにより、リリーフ構造を調整し、所望する正確な複製フィーチャを生成することができる。例えば図9は、材料特性の変化を考慮することなく形成された転写例901、および材料特性の変化を考慮して形成された転写例902を示したものである。ある実施形態では、硬化中における材料の収縮により、実質的に長方形の輪郭904を有するフィーチャを備えたテンプレートが変形している。このような材料収縮を補償するために、テンプレートのフィーチャには、角度の付いた輪郭905が設けられている。
【0047】
転写リソグラフィ・プロセスに関しては、テンプレートの耐久力およびテンプレートのリリース特性が重要である。耐久力のあるテンプレートは、ケイ素基板または二酸化ケイ素基板で形成されている。他の適切な材料としては、それには限らないが、炭化シリコンゲルマニウム、チッ化ガリウム、シリコンゲルマニウム、サファイヤ、ヒ化ガリウム、エピタキシャルシリコン、ポリシリコン、ゲート酸化物、水晶、またはそれらの組合せがある。また、テンプレートには、アライメント・マークなどの検出可能フィーチャを形成するために使用される材料が含まれている。例えば検出可能フィーチャは、xが2未満であるSiOxで形成されている。実施形態の中には、xが約1.5の実施形態もある。この材料は可視光に対して不透明であるが、いくつかの活性化光の波長に対しては透明であるとされている。
【0048】
実験の結果から、テンプレートを処理してテンプレートの表面に薄層を形成することにより、テンプレートの耐久力を改善することができることが分かっている。例えば、アルキルシラン層、フルオロアルキルシラン層またはフルオロアルキルトリクロロシラン層を表面に形成することができ、特に、トリデカフルオロ−1、1、2、2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン(C51324SiCl3)が使用されている。このような処理により、テンプレートの表面にセルフ・アセンブル単分子膜(SAM)が形成される。
【0049】
低界面エネルギー被覆とするために表面処理プロセスを最適化させる。このような被覆は、転写リソグラフィのための転写テンプレートの製作に使用することができる。処理されたテンプレートは、未処理テンプレートに勝る望ましいリリース特性を有している。例えば、新しく処理されたテンプレートは、約14ダイン/cmの界面自由エネルギーαtreatedを有している。未処理テンプレートの表面の界面自由エネルギーαuntreatedは、約65ダイン/cmである。本明細書において開示する処理手順により、高水準の耐久力を有する薄膜がもたらされる。耐久力があれば、製造において多くの転写に耐えることができるテンプレートとすることができるため、耐久力に優れていることが極めて望ましい。
【0050】
テンプレート表面への被覆は、液相プロセスまたは気相プロセスのいずれかを使用して形成される。液相プロセスの場合、前駆体の溶液および溶媒に基板が浸され、また、気相プロセスの場合は、不活性キャリア・ガスを介して前駆体が引き渡される。液相処理に使用するための純粋に無水の溶媒を得ることは困難である。処理中におけるバルク相の水分は、被覆の最終品質すなわちカバレージに悪影響を及ぼすクランプ・デポジットの原因になることがある。気相プロセスの一実施形態では、真空容器内にテンプレートが置かれ、その後、真空容器がサイクル・パージされ、過剰水分が除去されている。若干の吸着水分がテンプレートの表面に残ることがある。被覆を形成する表面反応を完了させるためには、少量の水分が必要である。反応は、次の式
R-SiCl3+3H2O=>R-Si(OH)3+3HCl
によって記述することができる。反応を容易にするために、テンプレートの温度を、温度制御チャックを介して所望の反応温度にすることができる。次に、所定時間の間、反応容器に前駆体が供給される。テンプレート温度、前駆体濃度、流れ幾何学等の反応パラメータは、特定の前駆体とテンプレート基板の組合せに合せることができる。
【0051】
前述のように、物質40は液体であり、したがってギャップ31の隙間に充填することができる。例えば物質40は、低粘性液体モノマー溶液である。適切な溶液の粘性の範囲は、約0.01cpsから約100cpsまでである(25℃で測定して)。高分解能(例えば100nm未満)構造の場合、低粘性であることが特に望ましい。詳細には、50nm未満の場合、溶液の粘性は約25cps以下でなければならず、約5cps未満であることがより好ましい(25℃で測定して)。一実施形態では、適切な溶液には、50重量%のアクリル酸n−ブチルと50重量%のSIA0210.0(3−アクリオロキプロピルトリストリメチルシロキサン)シランの混合物が含まれている。この溶液には微量の重合開始剤(例えばフォトイニシエータ)を添加することができる。例えば、Irg819とIrg184が1:1の3重量%の溶液および5%のSIB1402.0が適している。この混合物の粘性は約1cpsである。
【0052】
一実施形態では、転写リソグラフィ・システムには、基板(例えば半導体ウェハ)の表面に液体をディスペンスするための自動液体ディスペンス方法およびシステムが含まれている。自動液体ディスペンス方法には、1つまたは複数の延びたディスペンサ・チップを備えたモジュール方式自動化液体ディスペンサが使用されている。自動液体ディスペンス方法には、ディスペンサ・チップと基板の間の相対な横方向運動を生成するためのX−Yステージが使用されている。この方法により、低粘性液体を使用した転写リソグラフィのいくつかの問題が解決される。例えば、この方法により、気泡トラッピングおよび転写領域の局部変形が除去される。また、実施形態により、過剰液体を不必要に廃棄することなく、液体を転写テンプレートと基板の間のギャップ全体に広げる一方で低転写圧力を達成する方法が提供される。
【0053】
一実施形態では、ディスペンスされる量は、通常、1インチ2の転写領域に対して約130nl(ナノリットル)未満である。ディスペンスが終了すると、次のプロセスには、テンプレートおよび基板のアセンブリを硬化剤に露出させるステップが含まれている。テンプレートと基板を分離させることにより、被転写表面の頂部に転写イメージが残される。転写されたイメージは、残留している露出材料の薄層上に残される。残留層は、「ベース層」と呼ばれている。ベース層は製造可能転写のためには、薄く、かつ、一様でなければならない。
【0054】
転写プロセスには、テンプレートと基板の境界に高圧および/または高温を加える必要があるが、高分解能オーバレイ・アライメントが含まれている製造可能転写リソグラフィ・プロセスのためには、高圧および高温は回避しなければならない。本明細書において開示する実施形態は、低粘性フォト硬化液を使用することにより、高温の必要性を回避している。また、液体を転写領域全体に広げるために必要な力を小さくすることにより、転写圧力も最小化されている。したがって、液体ベースの転写リソグラフィのためには、液体ディスペンス・プロセスは、以下の特性を満足しなければならない。
1.気泡をテンプレートと基板の間にトラップさせてはならない。
2.粒子の発生を最小にするために、ディスペンサ・チップと基板の間の直接接触を回避しなければならない。
3.テンプレートと基板の間のギャップを充填するために必要な圧力を最小にしなければならない。
4.テンプレート−基板界面の非一様な局部変形を小さくするために、非一様な液体ビルドアップおよび/または圧力勾配を最小にしなければならない。
5.ディスペンス液体の浪費を最小にしなければならない。
【0055】
実施形態の中には、吐出ベース液体ディスペンサ・チップと基板の間の相対運動を使用して、実質的に連続する線を有するパターンを転写領域上に形成している実施形態もある。線の断面の大きさおよび線の形状は、ディスペンス速度と相対運動をバランスさせることによって制御することができる。ディスペンス・プロセスの間、ディスペンサ・チップは、基板の近傍(例えば、数十ミクロン程度)に固定される。図10Aおよび10Bは、線パターンを形成するための2つの方法を示したものである。図10Aおよび10Bに示すパターンは、正弦波パターンであるが、他のパターンも可能である。図10Aおよび10Bに示すように、単一のディスペンサ・チップ1001あるいは複数のディスペンサ・チップ1002のいずれかを使用して、連続する線パターンを引くことができる。
【0056】
ディスペンス速度Vd、および基板の相対運動速度Vsは、次のように関連付けることができる。
d=Vd/td(ディスペンスボリューム/ディスペンス周期) (1)
s=L/td(線の長さ/ディスペンス周期) (2)
d=aL(「a」は、線パターンの断面積) (3)
したがって
d=aVs (4)
初期の線パターンの幅は、通常、ディスペンサのチップ・サイズによって決まる。チップ・ディスペンサは固定されている。一実施形態では、液体ディスペンス・コントローラ1111(図11に示す)を使用して、ディスペンスされる液体のボリューム(Vd)および液体をディスペンスするために要する時間(td)が制御されている。Vdおよびtdが一定であると仮定すると、線の長さを長くすることにより、パターン化される線の断面の高さが低くなる。パターン長さの延長は、周期パターンの空間周波数を増加させることによって達成される。パターンの高さを低くすることにより、転写プロセス中に変位する液体の量が少なくなる。同じディスペンス線に接続された複数のチップを使用することにより、単一ディスペンサ・チップの場合と比較して、長さの長い線パターンをより速く形成することができる。一実施形態では、吐出ベース液体デリバリ・システムは、液体容器1101、入口チューブ1102、入口弁1103、出口弁1104、シリンジ1105、シリンジ・アクチュエータ1106、ディスペンサ・チップ1107、Xステージ・アクチュエータ1109、Yステージ・アクチュエータ1110、ディスペンサ・コントローラ1111、XYステージコントローラ1112および主制御コンピュータ1113を備えている。適切な吐出ベース・ディスペンサは、Hamilton社から購入することができる。
【0057】
図12は、低粘性液体に対するいくつかの望ましくない液体パターンすなわちディスペンス方法を示したものである。これらのディスペンス・パターンにより、気泡のトラッピング、局部変形および液体の浪費を始めとする1つまたは複数の問題が生じる。例えば転写領域の中央に一滴ディスペンスする場合1201、あるいは不規則な線をディスペンスする場合1205、テンプレートおよび/または基板に局部変形が生じる。複数の滴をディスペンスする場合1202、または円周パターンの線をディスペンスする場合1206、気泡のトラッピングが生じる。閉じた円周に近いパターンを有する他のパターンをディスペンスする場合1204も、同じく気泡のトラッピングが生じる。同様に、噴霧すなわち無作為変位の飛沫の場合1203も気泡のトラッピングが生じる。基板を低粘性液体でスピン被覆する場合、薄膜の不安定性による「ディウェッティング(dewetting)」問題が生じる。ディウェッティングにより、薄く、かつ、一様な液体層ではなく、多数の微小液体滴が基板に形成される。
【0058】
一実施形態の液体ディスペンス方法によれば、後で広がることで連続体となる複数の微小液体滴がディスペンスされる。図13は、5滴の液体滴を使用した場合について示したものである。この場合の5滴は、単に説明用として使用したものに過ぎない。正弦波線、「W」または「X」など、その他の「開放」パターンについても、この方法を使用して実施することができる。テンプレートと基板の間のギャップが狭くなると、円形滴1301がより薄く、かつ、より幅広くなり、隣接する滴が1つになる1302。したがって、初期ディスペンスに連続した形が含まれていない場合であっても、液体が広がることにより、テンプレートと基板の間のギャップから空気が追い出されることになる。この方法での使用に有効なパターンは、飛沫が広がる際に、それらがテンプレートと基板の間のいかなる空気もトラップしないような方法でディスペンスしなければならない。
【0059】
ボリュームが正確に規定されている微小液体滴は、圧力サポート・ユニットを備えたマイクロ電磁弁を使用してディスペンスされる。他のタイプの液体ディスペンス・アクチュエータには、圧電作動ディスペンサが含まれている。吐出ベース液体ディスペンサと比較した場合のマイクロ電磁弁ディスペンサを備えたシステムの利点は、ディスペンス時間がより速いこと、およびボリュームをより正確に制御することができることである。これらの利点は、転写のサイズがより大きい(例えば、さしわたし数インチ)場合、特に望ましい。図14は、マイクロ電磁弁を備えたシステムの一実施形態を示したものである。このシステムは、液体容器1401、入口チューブ1402、入口弁1403、ポンプ1404、出口弁1405、ポンプ・コントローラ1406、マイクロ電磁弁1407、マイクロ電磁弁コントローラ1408、X−Yステージ1409、X−Yステージ・コントローラ1410およびメイン・コンピュータ1412を備えている。X−Yステージ1409上に基板1411が置かれている。適切なマイクロ弁ディスペンサ・システムは、Lee社から購入することができる。
【0060】
図15Aは、転写領域が広い(例えば、数インチ2を超える)場合に有用なパターンの設計を示したものである。この実施形態では、液体平行線1503がディスペンスされている。液体平行線1503は、テンプレート1501が基板1502に近づくと、ギャップから空気が追い出されるような方法で広がることになる。所望の方法での線1503の広がりを容易にするために、テンプレート1501は、故意にくさび状になされた構成(図15Bに示すように)でギャップに近づけることができる。つまり、テンプレート/基板のギャップは、線1503に沿って閉じられる(例えば、くさびの角度を線1503に平行にすることができる)。
【0061】
良好に分散された初期液体層を提供する利点は、テンプレートと基板の間の配向誤差が補償されることである。これは、液体の薄層の流体力学と配向ステージの従順さによるものである。テンプレートの下側の部分がテンプレートの他の部分より早くディスペンスされた液体と接触する。テンプレートと基板の間のギャップが狭くなるにつれて、テンプレートの下側部分と上側部分の間の反力の不平衡が大きくなる。力のこの不平衡により、テンプレートおよび基板の運動が修正され、テンプレートおよび基板が実質的に平行になる。
【0062】
転写リソグラフィを成功させるためには、テンプレートと基板の間のギャップを制御するための、基板に対するテンプレートの正確なアライメントおよび配向が必要である。本明細書に示す実施形態により、製造プロセスにおける正確なアライメントおよびギャップ制御を達成することができるシステムが提供される。一実施形態では、システムは高分解能X−Y並進ステージを備えている。一実施形態では、システムは、テンプレートと基板表面の間の大まかな予備アライメント操作を実施するための予備較正ステージを設け、相対アライメントを微少運動配向ステージの運動範囲内でできるようにしている。この予備較正ステージは、新しいテンプレートが装置に設置された場合にのみ必要である(しばしばステッパとしても知られている)。予備較正ステージは、ベース・プレート、たわみコンポーネント、およびベース・プレートとたわみコンポーネントを結合している複数のマイクロメータすなわち高分解能アクチュエータからなっている。
【0063】
テンプレートと基板の間の配向アライメントがX−Y運動と無関係である場合、基板ウェハ全体に対して、配置誤差を一度補償するだけで良い(例えば「全体オーバレイ」)。テンプレートと基板の間の配向アライメントがX−Y運動と結合し、かつ/または基板上の極端な局部配向変化が存在する場合は、基板に対するテンプレートのX−Y部分変化を補償しなければならない(すなわち、フィールド対フィールド・オーバレイ)。オーバレイ・アライメント問題については、オーバレイ・アライメントのセクションに関連してさらに考察する。図21および22は、それぞれ全体オーバレイ誤差補償アルゴリズムおよびフィールド対フィールド・オーバレイ誤差補償アルゴリズムを示したものである。
【0064】
一実施形態では、予備較正ステージ(アクチュエータを使用して自動的に、あるいはマイクロメータを使用して手動で)および精密配向ステージによって、テンプレートおよび基板の配向を達成している。精密配向ステージは、能動であってもあるいは受動であっても良い。これらのステージのいずれか一方、あるいは両方のステージに他のメカニズムを設けることができるが、粒子を避けるためには、たわみベースのメカニズムであることが好ましい。較正ステージはフレームに取り付けられ、精密配向ステージは予備較正ステージに取り付けられている。したがってこのような実施形態は、シリアル機械配置を形成している。
【0065】
精密配向ステージは、1つまたは複数の受動従順性部材(passive compliant menber)を備えている。「受動従順性部材」とは、一般的にその運動を従順さから得ている部材を指している。つまり、液体との直接的または間接的な接触によって運動が起動される。精密配向ステージが受動である場合、精密配向ステージは、2つの配向軸の周りに最も優勢な従順さを持たせるように設計される。2つの配向軸は直交しており、テンプレートの下部表面上に位置している(図43を参照して説明する)。テンプレートが正方形である場合、通常、2つの直交ねじり従順性の値は同じである。精密配向ステージは、テンプレートが液体と接触する場合のように、基板に対してテンプレートが非平行である場合に、非平行であることによる非一様な液体圧が速やかに配向誤差を補正するように設計されている。一実施形態では、この補正は、最小のオーバシュートで、あるいはオーバシュートすることなく実施されている。また、精密配向ステージは、上で説明したように、液体を硬化させるために十分に長い期間の間、テンプレートと基板の間を実質的に平行な配向に保持している。
【0066】
一実施形態では、精密配向ステージは、1つまたは複数のアクチュエータを備えている。例えば圧電アクチュエータ(図46を参照して説明する)が適している。このような実施形態では、予備較正ステージと結合した精密配向ステージの有効受動従順性は、やはり実質的に2つの配向軸の周りのねじり従順性でなければならない。すべての構造エレメントおよび能動エレメントの幾何学パラメータおよび材料パラメータは、共にこの有効受動剛性に寄与している。例えば圧電アクチュエータも、引張りおよび圧縮においては従順である。幾何学パラメータおよび材料パラメータを合成し、2つの直交配向軸の周りに所望のねじり従順性を得ることができる。幾何学パラメータおよび材料パラメータを合成するための簡単な手法は、精密配向ステージにおけるアクチュエータの動作方向に沿ったアクチュエータの従順性を、残りのステージ・システムの構造従順性より大きくすることである。これにより、非平行テンプレートが基板上の液体と接触する際の受動自己補正機能が提供される。また、この従順性は、最小のオーバシュートで、あるいはオーバシュートすることなく、速やかに配向誤差が補正されるように選択しなければならない。精密配向ステージは、液体を硬化させるために十分に長い期間の間、テンプレートと基板の間を実質的に平行な配向に保持している。
【0067】
オーバレイ・アライメント・スキームには、転写テンプレートの正確なアライメントおよび基板上の所望の転写位置を達成するためのアライメント誤差の測定、およびアライメント誤差の測定に続く誤差の補償が含まれている。プロキシミティ・リソグラフィ、x線リソグラフィおよびフォトリソグラフィ(例えばレーザ・干渉法、キャパシタンス・センシング、マスクおよび基板上のオーバレイ・マークの自動画像処理等)に使用されている測定技法は、適切に修正することによって転写リソグラフィ・プロセスに適合させることができる。
【0068】
リソグラフィ・プロセスにおけるオーバレイ誤差のタイプには、配置誤差、シータ誤差、倍率誤差およびマスクひずみ誤差が含まれている。本明細書において開示する実施形態の利点は、開示するプロセスが比較的低い温度(例えば室温)および小さい圧力で動作するため、マスクひずみ誤差が存在しないことである。したがってこれらの実施形態では、重大なひずみが誘導されることはない。また、これらの実施形態には、比較的分厚い基板でできたテンプレートが使用されているため、マスクが比較的薄い基板でできている他のリソグラフィ・プロセスと比較すると、マスク(すなわちテンプレート)ひずみ誤差がはるかに小さくなっている。さらに、転写リソグラフィ・プロセスのためのテンプレート領域全体が、硬化剤(例えば紫外光)に対して透明になっているため、硬化剤からのエネルギーによる加熱が最小化されている。加熱が小さいため、金属被覆が存在するためにマスクの底部表面のかなりの部分が不透明になっているフォトリソグラフィ・プロセスと比較すると、加熱によって誘導されるひずみの発生が最少化されている。
【0069】
配置誤差は一般に、テンプレートと基板の間のX−Y位置誤差(つまり、X軸および/またはY軸に沿った並進)による。シータ誤差は一般に、Z軸の周りの相対配向誤差(つまり、Z軸の周りの回転)による。倍率誤差は一般に、テンプレート上の原始パターン化領域と比較した、転写領域における熱誘導または材料誘導による収縮または膨張による。
【0070】
転写リソグラフィ・プロセスでは、基板上に過度のフィールド対フィールド表面変化が存在する場合、ギャップの制御を目的とした、図23に示す角度αおよびβに対応するテンプレートと基板の間の配向アライメントを頻繁に実施しなければならない。一般的には、転写領域全体の変化は、被転写フィーチャの高さの約半分より小さいことが望ましい。配向アライメントがテンプレートおよび基板のX−Y位置と結合している場合は、フィールド対フィールド配置誤差を補償しなければならない。しかし、本明細書に示す配向ステージの実施形態の場合、配置誤差を誘導することなく配向アライメントを実施することができる。
【0071】
集束レンズ系を使用しているフォトリソグラフィ・プロセスでは、2つのアライメント・マーク(一方はマスク上、もう一方は基板上)の画像を同一集束平面上に配置することができるように、マスクおよび基板が位置付けされている。アライメント誤差は、これらのアライメント・マークの相対位置を参照することによって誘導されている。転写リソグラフィ・プロセスでは、オーバレイ誤差を測定している間、テンプレートおよび基板が比較的狭いギャップ(マイクロメートル程度未満)を維持するため、オーバレイ誤差測定ツールは、異なる平面からの2つのオーバレイ・マークの焦点を同一集束平面上に合せなければならない。このような要求事項は、フィーチャが比較的大きい(例えば約0.5μm)場合、デバイスにとってはそれほど重大ではないが、100nm領域未満のクリティカルなフィーチャの場合、高分解能オーバレイ誤差測定を達成するためには、同一集束平面上で2つのオーバレイ・マークの画像を捕えなければならない。
【0072】
したがって、転写リソグラフィ・プロセスのためのオーバレイ誤差の測定方法および誤差の補償方法は、以下の要求事項を満足しなければならない。
1. オーバレイ誤差測定ツールは、同一平面上ではない2つのオーバレイ・マークに焦点を合せることができなければならない。
2. オーバレイ誤差補正ツールは、テンプレートと基板の間に液体の薄層が存在している状態で、テンプレートおよび基板をXおよびYに相対的に移動させることができなければならない。
3. オーバレイ誤差補正ツールは、テンプレートと基板の間に液体の薄層が存在している状態で、シータ誤差を補償することができなければならない。
4. オーバレイ誤差補正ツールは、倍率誤差を補償することができなければならない。
【0073】
上に示した第1の要求事項は、i)光学画像化ツールを上下に移動させることによって(米国特許5,204,739の場合のように)、あるいはii)2つの異なる波長を有する照明源を使用することによって満足することができる。これらの手法にはいずれも、テンプレートと基板の間のギャップ測定の知識が有用であり、特に第2の方法の場合に有用である。テンプレートと基板の間のギャップは、広帯域干渉法、レーザ・干渉法およびキャパシタンス・センサを始めとする既存の複数の非接触膜厚測定ツールの1つを使用して測定されている。
【0074】
図24は、テンプレート2400、基板2401、液体2403、ギャップ2405およびオーバレイ誤差測定ツール2402の位置を示したものである。測定ツールの高さは、同一結像平面上に2つのオーバレイ・マークを得るために、ギャップ情報に基づいて調整される2406。この手法を満足するためには、画像記憶デバイス2403が必要である。また、テンプレートおよびウェハを位置決めするためのデバイスは、測定デバイス2402の上下運動の振動から絶縁しなければならない。さらに、高分解能オーバレイ・アライメントのために、テンプレートと基板の間のX−Y方向の走査運動を必要とする場合、この手法では、オーバレイ・マークの連続画像を生成することはできない。したがってこの手法は、転写リソグラフィ・プロセスに対しては、比較的分解能の小さいオーバレイ・アライメント・スキームに適合している。
【0075】
図25は、異なる平面からの2つのアライメント・マークの焦点を、単一の集束平面上に合せるための装置を示したものである。装置2500は、照明源として使用されている異なる波長を有する光による焦点距離の変化を利用している。装置2500は、画像記憶デバイス2503、照明源(図示せず)および集光デバイス2505を備えている。個別の複数の光源を使用するか、あるいは単一の広帯域光源を使用して、結像平面とアライメント・マークの間に光学的なバンドパス・フィルタを挿入することによって、区別できる異なる波長を有する光を発生することができる。テンプレート2501と基板2502の間のギャップに応じて、異なる2つの波長が焦点距離を調整するために選択される。図26に示すように、各照明の下で、オーバレイ・マークの各々が結像平面上に2つの画像を生成する。第1の画像2601は、明確に焦点合わせされた画像である。第2の画像2602は、焦点外れの画像になっている。個々の焦点外れ画像を除去するために、いくつかの方法が使用されている。
【0076】
第1の方法では、第1の波長の光を有する照明源の下で、結像アレイ(例えばCCDアレイ)によって2つの画像が受け取られる。図26は、受け取られた画像を示したもので、一括して数表示2604で参照されている。画像2602は、基板上のオーバレイ・アライメント・マークに対応している。画像2601は、テンプレート上のオーバレイ・アライメント・マークに対応している。画像2602に焦点が合わされると、画像2601は焦点外れになり、その逆の場合についても同様である。一実施形態では、画像2602に関連する画素に対応する幾何学データが消去するために、ある画像処理技法を使用する。その技法で焦点を外れた基板マークの画像が除去され、画像2601が残される。第2の波長の光と同じ手順を使用して、画像2605および2606が結像アレイ上に形成される。この手順により、焦点外れの画像2606が除去され、したがって画像2605が残される。次に、残された2つの焦点の合った画像2601と2605が、単一結像平面上で結合され2603、オーバレイ誤差が測定される。
【0077】
第2の方法は、図27に示すように2つの共面偏光アレイと偏光照明源を利用している。図27は、オーバレイ・マーク2701および直交偏光したアレイ2702を示したものである。偏光アレイ2702は、テンプレート表面に構築され、あるいはテンプレート表面の上方に置かれている。2つの偏光照明源の下で、画像2703のみが結像平面上に結像される(それぞれ異なる波長および偏光に対応している)。したがって焦点を外れた画像は、偏光アレイ2702によってフィルタ除去される。この方法の利点は、焦点を外れた画像を除去するための画像処理技法を必要としないことである。
【0078】
オーバレイ誤差測定中におけるテンプレートと基板の間のギャップが狭すぎる場合、スティクションすなわち液体の薄層のせん断力が増加するため、誤差補正が困難になることに留意すべきである。また、ギャップが広すぎる場合、テンプレートと基板の間の望ましくない垂直運動によるオーバレイ誤差が生じるため、オーバレイ誤差の測定および補正を実施する、テンプレートと基板の間の最適ギャップを決定しなければならない。
【0079】
光リソグラフィ・プロセスには、モアレ・パターンをベースとしたオーバレイ測定が使用されている。モアレ・パターンの2つの層が同一平面上にはなく、かつ、結像アレイ内でオーバラップしている転写リソグラフィ・プロセスの場合、焦点が合った2つの個別画像を得ることは困難であるが、テンプレートと基板の間を直接接触させることなく、テンプレートと基板の間のギャップを、光学測定ツールの焦点深度の範囲内に慎重に制御することにより、集束の問題をほとんど生じることなく、モアレ・パターンの2つの層を同時に得ることができる。転写リソグラフィ・プロセスに、モアレ・パターンに基づく他の標準オーバレイ・スキームを直接組み込むことができる。
【0080】
配置誤差は、キャパシタンス・センサまたはレーザ干渉計および高分解能X−Yステージを使用して補償される。テンプレートと基板の間の配向アライメントがX−Y運動と無関係である実施形態では、基板(例えば半導体ウェハ)全体に対して、配置誤差を一度補償するだけで良い。このような方法は、「全体オーバレイ」と呼ばれている。テンプレートと基板の間の配向アライメントがX−Y運動と結合し、かつ、基板上に極端な局部配向変化が存在する場合は、キャパシタンス・センサおよび/またはレーザ干渉計を使用して、テンプレートのX−Y部分変化が補償される。このような方法は、「フィールド対フィールド・オーバレイ」と呼ばれている。図28および29は、適切なセンサの実施形態を示したものである。図28は、キャパシタンス・センシング・システムの一実施形態を示したものである。キャパシタンス・センシング・システムは、キャパシタンス・センサ2801、導電被覆2802、テンプレート2803を備えている。したがってキャパシタンスの差をセンスすることにより、テンプレート2803の位置を正確に測定することができる。同様に、図29は、反射被覆2901、レーザ信号2902およびレシーバ2903を備えたレーザ干渉計システムの一実施形態を示したものである。レシーバ2903が受信するレーザ信号を使用して、テンプレート2904の位置が決定される。
【0081】
倍率誤差が存在している場合は、基板およびテンプレートの温度を慎重に制御することによって補償される。基板およびテンプレートの熱膨張特性の違いを利用して、基板上の既存のパターン済み領域のサイズが、新しいテンプレートのサイズに調整される。しかし、転写リソグラフィ・プロセスが室温および低圧で実施される場合、倍率誤差の大きさは、配置誤差またはシータ誤差の大きさよりはるかに小さいとされている。
【0082】
シータ誤差は、フォトリソグラフィ・プロセスで広く使用されているシータ・ステージを使用して補償される。シータ誤差は、高分解能シータ誤差予測を与えるために、十分に距離を隔てて分離された2つの個別アライメント・マークを使用して補償される。シータ誤差は、テンプレートが基板から数ミクロン離れて位置付けされる場合に補償される。したがって、既存パターンのせん断が生じることはない。
【0083】
UV硬化液体材料を使用している転写リソグラフィ・プロセスのオーバレイ・アライメントに関わる他の問題は、アライメント・マークの可視性の問題である。オーバレイ誤差を測定する場合、1つがテンプレート上、もう1つが基板上にある2つのアライメント・マークが使用されるが、テンプレートを硬化剤に対して透明にすることが望ましいため、通常、テンプレートのオーバレイ・マークには不透明の線が含まれていない。そうではなく、テンプレートのオーバレイ・マークは、テンプレート表面のトポグラフィカル・フィーチャになっている。実施形態の中には、マークがテンプレートの材料と同じ材料でできている実施形態もある。また、UV硬化液には、テンプレート材(例えば水晶)の屈折率と同様の屈折率を持つ傾向があるため、テンプレートと基板の間のギャップがUV硬化液で充填されると、テンプレートのオーバレイ・マークを認識することが極めて困難になる。テンプレートのオーバレイ・マークが不透明材料(例えばクロム)でできている場合、オーバレイ・マークの下側のUV硬化液がUV光に適切に露出されなくなり、これは極めて望ましくない状態である。
【0084】
液体が存在している中でのテンプレート・オーバレイ・マークの認識の問題を解決するための2つの方法を開示する。第1の方法は、高分解能ギャップ制御ステージと共に正確な液体ディスペンス・システムを使用したものである。本明細書において、適切な液体ディスペンス・システムおよびギャップ制御ステージを開示する。説明用として、図30に3つのオーバレイ・アライメント・ステップを示す。図30に示すオーバレイ・マークの位置および液体パターンは、単に説明を目的としたものに過ぎず、本発明を制限する意味で解釈してはならない。他の様々なオーバレイ・マーク、オーバレイ・マークの位置および/または液体ディスペンス・パターンも可能である。先ず、ステップ3001で基板3002に液体3003がディスペンスされる。次にステップ3004で、高分解能配向ステージを使用して、テンプレート3005と基板3002の間のギャップがディスペンスされた液体3003で完全には充填されないよう、テンプレートと基板の間のギャップが慎重に制御される。ステップ3004で、ギャップは、最終転写ギャップよりわずかに大きい程度である。ギャップの大部分が液体で充填されるため、オーバレイ補正は、ギャップがあたかも液体で完全に充填されたものとして実施される。オーバレイ補正が終了すると、ギャップが最終転写ギャップに近づけられる(ステップ3006)。これは、残りの転写領域への液体の広がりを可能にしている。ステップ3004とステップ3006の間のギャップの変化は極めて小さい(例えば約10nm)ため、ギャップ接近運動による重大なオーバレイ誤差は、何ら生じない。
【0085】
第2の方法の場合、オーバレイ測定ツールに見える特殊なオーバレイ・マークをテンプレート上に形成しなければならないが、硬化剤(例えばUV光)に対して不透明であってはならない。図31は、この手法の一実施形態を示したものである。図31では、テンプレート上のオーバレイ・マーク3102は、完全な不透明線ではなく、微細な偏光線3101で形成されている。例えば、適切な微細偏光線は、硬化剤として使用される活性化光の波長の約1/2ないし1/4の幅を有している。偏光線3101の線幅は、2本の線の間を通過する活性化光が十分に回折して線の下側のすべての液体を硬化させるよう、十分な細さでなければならない。このような実施形態では、オーバレイ・マーク3102の偏光に従って活性化光が偏光される。活性化光を偏光させることにより、オーバレイ・マーク3102を有する領域を含んだすべてのテンプレート領域が、比較的一様に露出される。テンプレート上のオーバレイ・マーク3102を捜し出すために使用される光は、広帯域光または液体材料を硬化させない特殊な波長である。この光を偏光させる必要はない。偏光線3101は、測定光に対して実質的に不透明であり、したがって設置されたオーバレイ誤差測定ツールを使用してオーバレイ・マークを視覚可能にしている。微細偏光オーバレイ・マークは、電子ビーム・リソグラフィなどの既存の技法を使用して、テンプレート上に形成される。
【0086】
第3の実施形態では、オーバレイ・マークは、テンプレートの材料とは異なる材料で形成されている。例えば、テンプレートのオーバレイ・マークを形成するために選択される材料は、可視光に対して実質的に不透明であるが、硬化剤として使用される活性化光(例えばUV光)に対しては透明である。例えばXが2未満であるSiOxがこのような材料を形成している。詳細には、Xが約1.5であるSiOxで形成された構造は、可視光に対して実質的に不透明であるが、UV光に対しては透明である。
【0087】
図32は、テンプレート12などのテンプレートを、基板20などの転写すべき基板に対して較正し、かつ、配向するためのシステムのアセンブリを一括して100で示したものである。システム100は、ステッパなどの機械に、本明細書で説明する転写リソグラフィ・プロセスを使用した製造環境におけるデバイスの量産用として利用されている。図に示すように、システム100は、ハウジング120を支持している頂部フレーム110に取り付けられている。ハウジング120は、テンプレート150を基板(図32には図示せず)に対して大まかにアライメントするための予備較正ステージを備えている。
【0088】
ハウジング120は中間フレーム114に結合されており、中間フレーム114には、ハウジング120の反対側に、ガイド・シャフト112aおよび112bが取り付けられている。一実施形態では、ハウジング120を支持するために3つのガイド・シャフト(図32では、後側のガイド・シャフトは見えない)が使用され、テンプレート150が垂直に並進している間、上下にスライドしている。中間フレーム114の周囲の対応するガイド・シャフト112aおよび112bに取り付けられたスライダ116aおよび116bが、ハウジング120のこの上下運動を容易にしている。
【0089】
システム100は、ハウジング120の底部部分に取り付けられた円板形ベース・プレート122を備えている。ベース・プレート122は、円板形たわみリング124に結合されている。たわみリング124は、下方配置配向ステージに備えられた第1のたわみ部材126と第2のたわみ部材128を支えている。以下、たわみ部材126、128の配向および構成について詳細に考察する。図33に示すように、第2のたわみ部材128は、転写プロセスの間、テンプレート150を所定の位置に保持するテンプレート・サポート130を備えている。テンプレート150は、通常、所望のフィーチャが形成された水晶片を備えている。また、テンプレート150は、良く知られている方法に従って、他の物質を備えている。
【0090】
図33に示すように、アクチュエータ134a、134bおよび134cは、ハウジング120の内部に固定され、ベース・プレート122およびたわみリング124に動作可能に結合されている。動作時に、アクチュエータ134a、134bおよび134cは、たわみリング124の運動が達成されるように制御される。アクチュエータの運動が大まかな予備較正を可能にしている。実施形態の中には、アクチュエータ134a、134bおよび134cが、高分解能アクチュエータを備えている実施形態もある。このような実施形態では、アクチュエータがハウジング120の周りに等間隔で配置されている。このような実施形態により、リング124を垂直方向に極めて正確に並進させ、それによりギャップを正確に制御することができる。したがってシステム100は、転写すべき基板に対するテンプレート150の大まかな配向アライメントおよび正確なギャップ制御を達成することができる。
【0091】
システム100は、テンプレート150を正確に制御することができるメカニズムを備えているため、正確な配向アライメントを達成することができ、また、テンプレートによって基板表面に対する一様なギャップが維持される。また、システム100は、転写に続いて、基板表面からフィーチャをせん断することなく、基板の表面からテンプレート150を分離させる方法を提供している。それぞれ第1のたわみ部材126および第2のたわみ部材128の構成によって、正確なアライメントおよびギャップの制御が容易になっている。
【0092】
一実施形態では、図51に示すように、硬化剤に対して透明な個別の固定支持プレート5101を使用して、テンプレート5102を所定の位置に保持している。テンプレート5102の裏側の支持プレート5101が転写力を保持しているが、固定支持プレート5101とテンプレート5102の間に真空を加えることにより、分離力が生じる。横方向の力に対してテンプレート5102を支持するために、圧電アクチュエータ5103が使用されている。この横方向支持力は、圧電アクチュエータ5103を使用して慎重に制御されている。また、この設計は、転写リソグラフィ・プロセスにおける層対層アライメントのための倍率およびひずみ補正機能を提供している。ひずみ補正は、電子ビーム・リソグラフィによって構築されたテンプレート構造に存在するスティッチング誤差および配置誤差を克服するため、また、基板上に既に存在している構造のひずみを補償するために極めて重要である。倍率補正は、テンプレートの各々の面の1つの圧電アクチュエータに対して(つまり、4面テンプレートの場合、合計4つの圧電アクチュエータに対して)のみ必要である。圧電アクチュエータは、一様な力が表面全体に印加されるような方法で、テンプレートの表面に接続されている。一方、ひずみ補正は、個別に制御された力をテンプレートの各々の面に印加する複数の個別圧電アクチュエータに対して実施しなければならない。必要なひずみ制御のレベルに応じて、個別圧電アクチュエータの数が規定されている。圧電アクチュエータが多いほど、より良好なひずみ制御が提供される。倍率補正およびひずみ補正は、テンプレートの頂部表面および底部表面がいずれも拘束されていない状態においてのみ正しく制御されるため、倍率誤差補正およびひずみ誤差補正は、真空を使用してテンプレートの頂部表面を拘束する前に完了していなければならない。実施形態の中には、図51に示すテンプレート・ホルダ・システムが、テンプレート5102の下側の領域の一部に対して硬化剤を妨害することになる機械設計を有している実施形態もあるが、これは、テンプレート5102の下側の液体の一部が硬化しないため、望ましいことではない。この液体はテンプレートにへばり付き、それ以降のテンプレートの使用に弊害をもたらすことになる。テンプレート・ホルダに関わるこの問題は、テンプレート・ホルダに1組のミラーを組み込み、テンプレート5102の一方のエッジの下側の領域に導かれた硬化剤が彎曲して、テンプレート5102のもう一方のエッジの下側の被妨害部分を硬化させるような方法で、被妨害硬化剤を分流させることによって回避することができる。
【0093】
一実施形態では、基板とテンプレートの間の最小ギャップが、センシング技法を使用することができる範囲内になるようにテンプレートを設計することによって、高分解能ギャップ・センシングが達成されている。測定中のギャップは、実際のパターン化表面のギャップとは無関係に維持されるため、ギャップの制御を、センシング技法の有効レンジ内で実施することができる。例えば、ギャップを解析するために、スペクトル反射率解析技法を約150nmないし20ミクロンの有効センシング・レンジで使用する場合、テンプレートは、テンプレート中に約150nm以上の深さでパターン化されたフィーチャを有していなければならない。これにより、センスすべき最小ギャップを確実に150nmより大きくすることができる。
【0094】
テンプレートを基板に向けて下げていく間に、基板とテンプレートの間のギャップから液体が追い出される。基板とテンプレートの間のギャップは、粘性力が印加圧縮力との平衡条件に近づく実用下限に接近する。これは、テンプレートの表面と基板が極めて接近した場合に生じる。例えば、このレジームは、半径1cmのテンプレートに、14kPaの圧力を1秒間加えた場合、1cPの液体に対して約100nmのギャップ高さになる。その結果、一様かつ平行なギャップが維持されれば、ギャップはセルフリミッチングである。また、追い出される(または吸収される)液体の量を明確に予測することができる。吸収される液体の量は、流体力学および表面現象の慎重な計算に基づいて予測することができる。
【0095】
プロダクション・スケールの転写をパターン化する場合、基板に対するテンプレートの傾斜およびギャップを制御することが望ましい。配向およびギャップの制御を達成するためには、レチクル製造技法を使用して製造されたテンプレートは、i)単一波長干渉法、ii)多重波長干渉法、iii)楕円偏光法、iv)キャパシタンス・センサ、またはv)圧力センサなどのギャップ・センシング技法と組み合せて使用される。
【0096】
一実施形態では、テンプレートと基板の間のギャップを正確に測定する方法は、基板の薄膜の厚さを計算するために使用されている。本明細書においては、広帯域分光計から得られる反射データの高速フーリエ変換(FFT)に基づく技法の説明を開示する。この技法を使用して、テンプレートと基板の間のギャップおよび薄膜の厚さを測定することができる。多層薄膜の場合、この技法により、各薄膜の平均厚さおよび厚さの変化が提供される。また、一方の表面を介した少なくとも3ヶ所の異なるポイントにおける測定により、例えば転写リソグラフィ・プロセスの場合のテンプレートと基板など、近接した2つの表面の間の平均ギャップ情報および配向情報を得ることができる。
【0097】
一実施形態では、ギャップ測定プロセスは、広帯域干渉法と高速フーリエ変換(FFT)の組合せをベースにしている。この業界におけるいくつかの応用では、広帯域干渉法のための様々な曲線適合技法を利用して、単層の膜厚が測定されているが、このような技法では、特に転写リソグラフィ・プロセスのための多層薄膜の場合、実時間のギャップ測定を提供することができないとされている。このような問題を解決するために、先ず、反射率が1/λhighと1/λlowの間の波数領域でディジタル化される。次に、ディジタル化されたデータがFFTアルゴリズムを使用して処理される。この新規な手法により、FFT信号のピークが明確に生成される。このピークは、測定されたギャップに正確に対応している。2層の場合は、FFT信号によって、各層の厚さに直線比例する2つの明確なピークが生成される。
【0098】
光学薄膜の場合、反射率における振動は、次の式で与えられる、単一光学薄膜の反射率で示されるように、波長(λ)ではなく波数(w)において周期的である。
【0099】
【数1】

【0100】
上の式で、ρi、i+1は、i−1界面とi界面の境界面における反射率係数、nは屈折率、dは測定する薄膜(図52の材料2)の厚さ、αは薄膜(図52の材料2)の吸収係数である。ここではw=1/λである。
【0101】
この特性により、フーリエ解析は、wによって表される関数Rの周期を決定するための有用な技法である。単一薄層の場合、明確に画定される単一ピーク(p1)が、R(w)のフーリエ変換が得られた場合の結果であることに留意されたい。膜厚(d)は、このピークの位置の関数であり、次の式で与えられる。
d=p1/(Δw×2n) (8)
上式で、Δw=wf−ws、wf=1/λminおよびws=1/λmaxである。
【0102】
FFTは、離散信号である周波数が計算的に有効な方法で計算される、確立された技法である。したがってこの技法は、現場解析および実時間応用に有用である。図34は、反射率信号のFFTプロセスを介した膜厚またはギャップ測定のプロセス・フローの一実施形態を示したものである。異なる反射率を有する多層薄膜の場合、FFTプロセスにおけるピークの位置は、各膜厚の一次結合に対応している。例えば2層薄膜の場合、FFT解析において2つの異なるピーク位置がもたらされる。図35は、2つのピーク位置に基づいて2つの薄膜の厚さを正確に測定する方法を示したものである。
【0103】
本明細書に示す実施形態により、反射率データの振動が測定波数範囲内の完全な1周期未満を含んでいる場合であっても、ギャップまたは薄膜の厚さを測定することができる。このような場合、FFTは不正確なピーク位置をもたらすことになる。このような問題を解決し、かつ、測定可能膜厚の下限を広げるための新規な方法を本明細書において開示する。振動周期を計算するためのFFTアルゴリズムを使用する代わりに、wsとwfの反射率の局部最ドット(w1)または局部最大点(w2)を見出すアルゴリズムを使用して、w1およびw2における周期情報dR/dw=0が計算される。式7の反射率R(w)は、w=0においてその最大を有している。また、典型的な分光計の波数範囲(Δw)は、wsより大きくなっている。波数範囲が200nm〜800nmの分光計の場合、Δw=3/800であり、ws=1/800である。したがって0とwsの間の反射率データの振動長は、Δwより短くなっている。図36に示すように、w=0がR(w)の最大点であると仮定すると、Δwの範囲内に最小位置があるケースと最大位置があるケースの2つのケースが存在する。したがって膜厚は次のように計算される。
・ケース1 WW0:局部最小がw1に存在する場合。したがってw1=周期振動の半分、故にd=0.5/(w1×2n)
・ケース2 WW1:局部最大がw2に存在する場合。したがってw2=周期振動の1周期、故にd=1/(w2×2n)
【0104】
測定ツールの実用的な構成には、広帯域光源、光ファイバを備えた分光計、データ収集基板および処理コンピュータが含まれている。いくつかの既存の信号処理技法により、FFTデータの感度が改善されている。例えば、これに限らないが、フィルタリング、拡大、データ・ポイント数の増加、異なる波長レンジ等を始めとする技法を、本明細書において開示するギャップまたは膜厚測定方法と共に利用することができる。
【0105】
本明細書において開示する実施形態には、2つの平面(例えばテンプレートと基板)の間の高精度ギャップ測定および配向測定方法が含まれている。ここで示すギャップ測定および配向測定方法には、広帯域干渉法および縞ベース干渉法が使用されている。一実施形態では、本明細書において開示する、広帯域干渉法を使用した方法により、広帯域干渉計の欠点、すなわち広帯域信号の平均波長の約1/4より狭いギャップを正確に測定することができない、という欠点を解決している。干渉縞ベース干渉法は、設置直後のテンプレートの配向誤差をセンスするために使用されている。
【0106】
転写リソグラフィ・プロセスを実行して、単層および多層デバイスを製造することができる。ミクロン・サイズの光学ミラー、高分解能光フィルタ、ライト・ガイドなどの単層デバイスは、基板上に特定の幾何学形状の材料薄層を形成することによって製造される。このようなデバイスの中には、転写される層の厚さが広帯域信号の平均波長の約1/4より薄く、かつ、能動領域全体に渡って一様なデバイスもある。広帯域干渉計の欠点は、広帯域信号の平均波長の約1/4より狭いギャップ(例えば約180nm)を正確に測定することができないことである。一実施形態では、テンプレートの表面に、正確に測定することができるマイクロメートル・サイズの段がエッチングされている。段は、図37に示すように、測定を実施する部分に、連続した線3701の形態で、あるいは隔離された複数のドット3702の形態でエッチングされる。テンプレート上の有効能動面積を最大化する観点からすれば、隔離ドット3702が好ましい。パターン化されるテンプレート表面が、基板からわずか数ナノメートル程度であっても、広帯域干渉計を使用して、最小ギャップ測定問題に煩わされることなく、ギャップを正確に測定することができる。
【0107】
図38は、ここで説明するギャップ測定の略図を示したものである。プローブ3801は、図39に示すような傾斜構成の場合にも使用することができる。4つ以上のプローブを使用する場合、冗長情報を使用することによってギャップ測定精度を改善することができる。分かり易くするために、3つのプローブを使用するものとして説明を確実にする。段のサイズhsAC2は、説明を分かり易くするために拡大されている。パターン化された領域の平均ギャップhpは、
p=[(h1+h2+h3)/3]−hs (9)
で与えられる。プローブの位置が分かれば((xi、yi)、ただしx軸およびy軸は基板表面上)、基板に対するテンプレートの相対配向を、x−y軸が基板の頂部表面上に位置しているフレームに対するテンプレート表面に垂直をなす単位ベクトル(n)で表すことができる。
n=r/‖r‖ (10)
上式で、r=[(x3、y3、h3)−(x1、y1、h1)]×[(x2、y2、h2)−(x1、y1、h1)]である。n=(001)Tまたはh1=h2=h3のとき、2つの平面の間の完全な配向アライメントが達成される。
【0108】
測定されたギャップおよび配向は、転写アクチュエータへのフィードバック情報として使用される。測定広帯域干渉ビームのサイズは、約75μm程度の大きさである。実用的な転写リソグラフィ・プロセスの場合、クリア領域にはいかなるパターンもエッチングすることができないため、ギャップを測定するためにのみ使用されるクリア領域を最小化することが望ましい。また、測定ツールが存在することによる硬化剤に対する妨害を最小にしなければならない。
【0109】
図40は、基板上の多層材料の略図を示したもので、例えば基板4001は、層4002、4003、および基板4001とテンプレート4004の間に液体4005を有している。これらの材料層を使用して、基板表面上に一層毎に垂直に多重パターンが転写される。光ビーム4006を使用してギャップ測定が実行されるクリア領域における各層の厚さは一様になっている。多層薄膜が存在している中での、広帯域干渉法を使用した頂部層の厚さの正確な測定が示されている。下部薄膜層の光学特性および厚さが正確に分かると、頂部層の厚さを測定することによって、テンプレートと基板表面(あるいは多層デバイスの場合、金属デポジット表面)の間のギャップ情報および配向情報を得ることができる。各層の厚さは、同じセンシング測定プローブを使用して測定される。
【0110】
新しいテンプレートを設置した場合、あるいは機械コンポーネントを再構成した場合は、配向測定および対応する較正を実施しなければならない。テンプレート4102と基板4103の間の配向誤差は、図41に示すような、テンプレートと基板の境界における干渉縞パターンを介して測定される。オプティカル・フラットが2つの場合、干渉縞パターンは、平行な暗い帯と明るい帯4101として現われる。配向較正は、本明細書において開示する予備較正ステージを使用して実施される。差動マイクロメータを使用して、基板表面に対するテンプレートの相対配向が調整される。干渉縞帯が出現しない場合は、この手法を使用して、配向誤差が、使用されている光源の波長の1/4未満になるように補正される。
【0111】
図42Aおよび42Bを参照すると、それぞれ第1のたわみ部材126および第2のたわみ部材128の実施形態がより詳細に示されている。詳細には、第1のたわみ部材126は、対応する剛体164、166に結合された複数のたわみ継手160を備えている。たわみ継手160および剛体164、166は、フレーム170から延びたアーム172および174の一部を形成している。たわみフレーム170は開口182を有している。開口182は、サポート130に保持された場合に、硬化剤(例えばUV光)を透過させ、テンプレート150に到達させる。いくつかの実施形態は、4つのたわみ継手160が、たわみ部材126の第1の配向軸180の周りの運動を提供している。第1のたわみ部材126のフレーム170は、図43に示すように、第2のたわみ部材128との結合のための結合メカニズムを設けている。
【0112】
同様に、第2のたわみ部材128も、フレーム206から延びた一対のアーム202および204を備えている。アーム202および204は、たわみ継手162および対応する剛体208、210を備えている。剛体208および210は、たわみ部材128の第2の配向軸200の周りの運動をもたらす。テンプレート・サポート130は、第2のたわみ部材128のフレーム206に統合される。フレーム182と同様、フレーム206も、硬化剤を透過させ、サポート130に保持されるテンプレート150に到達させる開口212を有している。
【0113】
動作に関しては、図43に示すように、第1のたわみ部材126および第2のたわみ部材128が結合され、配向ステージ250を形成している。第1のたわみ部材126と第2のたわみ部材128の結合を容易にするためのブレース220および222が、第1の配向軸180および第2の配向軸200が互いに実質的に直交するように設けられている。このような構造により、第1の配向軸180と第2の配向軸200が、ほぼテンプレート基板境界254のピボット・ポイント252で交差することになる。第1の配向軸180と第2の配向軸200が直交し、かつ、境界254上に位置していることにより、微細アライメントおよびギャップ制御を行うことができる。詳細には、この構造により、層対層オーバレイ・アライメントからの配向アライメントのデカップリング(decoupling)が達成される。さらに、以下で説明するように、第1の配向軸180と第2の配向軸200の相対位置が、テンプレート150と基板を、所望のフィーチャのせん断を生じることなく分離させるために使用される配向ステージ250を提供している。したがってテンプレート150から転写されるフィーチャは、完全な状態で基板上に維持される。
【0114】
図42A、42Bおよび43を参照すると、たわみ継手160および162はノッチ形状になっており、剛体164、166、208および210のノッチの最も薄い断面に沿って位置付けされたピボット軸の周りの運動を提供している。この構成は、デカップリング従順性運動軸180および200を有する精細デカップリングされた配向ステージ250に、2つのたわみベース・サブシステムとなっている。たわみ部材126および128は、テンプレート150の運動がピボット・ポイント252の周りに生じ、それにより転写されたフィーチャを基板からせん断する「揺れ」およびその他の運動が実質的に除去されるよう、適合する表面を介して組み合わされている。したがって配向ステージ250は、テンプレート150をピボット・ポイント252の周りに正確に移動させ、それにより基板からの所望のフィーチャのせん断を、後続する転写リソグラフィから除去している。
【0115】
図44を参照すると、システム100が動作している間、Z並進ステージ(図示せず)が、配向アライメントを提供することなく、テンプレート150と基板の間の間隔を制御している。予備較正ステージ260は、テンプレート150と基板表面の間の予備アライメント操作を実行し、相対アライメントを配向ステージ250の運動範囲限界内にもたらしている。特定の実施形態では、予備較正は、新しいテンプレートが機械に設置されたときに一度だけ必要である。
【0116】
図45を参照すると、配向ステージ250などの精細デカップリング配向ステージの動作原理を理解するために役に立つたわみモデルが、一括して300で示されている。たわみモデル300は、4バー・リンケージ・システムを公称構成および回転構成を提供する継手1、2、3および4の4つの平行継手を備えている。線310は、継手1および2を通過している。線312は、継手3および4を通過している。角度α1およびα2は、従順性アライメント軸(すなわち配向軸)が、実質的にテンプレート−ウェハ境界254上に位置するように選択されている。精細配向が変化すると、継手2と3の間の剛体314が、ポイントCで表されている軸の周りに回転する。剛体314は、たわみ部材126および128の剛体170および206を代表している。
【0117】
第2のたわみコンポーネントを第1のたわみコンポーネントに直角に取り付けることにより(図43に示すように)、互いに直交し、かつ、テンプレートと基板の境界254上に位置する2つのデカップリング配向軸を有するデバイスが提供される。たわみコンポーネントは、硬化剤(例えばUV光)にテンプレート150を通過させるための開口を有する。
【0118】
配向ステージ250は、テンプレート150を基板に対して精密にアライメントさせ、かつ、正確に運動させることができる。配向を調整することにより、境界における横方向運動を完全に無視することができ、かつ、境界表面に対して垂直の周りの、選択的に拘束される高構造剛性によるねじり運動を完全に無視することができる。たわみ継手160、162を備えたたわみ部材126、128のもう1つの利点は、それらが、摩擦継手が生成するような粒子を生成しないことである。転写リソグラフィ・プロセスの場合、粒子は特に有害であるため、転写リソグラフィ・プロセスを成功させるためには、このことは重要な要素である。
【0119】
精密なギャップ制御を必要とするため、本明細書に示す実施形態には、テンプレートと基板の間の500nm程度以下の微小ギャップを測定することができるギャップ・センシング方法を利用する必要がある。このようなギャップ・センシング方法には、約50ナノメートル以下の分解能が必要である。このようなギャップ・センシングが完全に実時間で提供される。ギャップ・センシングが実時間で提供されるため、ギャップ・センシングを使用して、アクチュエータを能動制御するためのフィードバック信号を生成することができる。
【0120】
一実施形態では、能動的な従順性を有するたわみ部材が設けられている。例えば図46は、圧電アクチュエータを備えたたわみ部材を一括して400で示したものである。たわみ部材400は、第2のたわみ部材と組み合わされ、能動配向ステージを形成している。たわみ部材400は、テンプレートと基板の境界における横方向運動のない純傾斜運動を生成している。このようなたわみ部材を使用することにより、単一オーバレイ・アライメント・ステップで、半導体ウェハ全体に層を転写することができる。これは、配向運動と横方向運動の間の結合運動を有するオーバレイ・アライメントとは対照的である。このようなオーバレイ・アライメント・ステップは、X−Yアライメントが乱され、そのために、適切なアライメントを保証するための複雑なフィールド対フィールド・オーバレイ制御ループを必要としている。
【0121】
一実施形態では、たわみ部材250は、側への運動すなわち回転が望ましくない方向では大きい剛性を有し、また、必要な配向運動が望ましい方向では剛性が小さくなっている。このような実施形態は選択従順性デバイスを提供している。つまり、たわみ部材250は、テンプレートと基板の間の適切な配向運動を達成する一方で、比較的大きい負荷を支えている。
【0122】
上で考察したように、テンプレート150と転写された層の分離は、転写リソグラフィ・プロセスにおける非常に重要な最終ステップである。テンプレート150と基板は、ほぼ完全に平行であるため、テンプレート、転写された層および基板のアセンブリは、近オプティカル・フラット間に実質的に一様な接触をもたらしている。このようなシステムの場合、一般的に大きな分離力が必要である。たわみテンプレートまたはたわみ基板の場合、分離は単なる「ピーリング・プロセス」に過ぎないが、高分解能オーバレイ・アライメントの観点からすれば、たわみテンプレートまたはたわみ基板は望ましくない。水晶テンプレートおよびシリコン基板の場合、このピーリング・プロセスの実行は容易ではないが、テンプレートと転写された層の分離は、「ピール・プル」プロセスによって首尾良く実行することができる。図49A、49Bおよび49Cは、第1のピール・プル・プロセスを示したものである。図50A、50Bおよび50Cは、第2のピール・プル・プロセスを示したものである。テンプレートと転写された層を分離するプロセスには、第1および第2のピール・プル・プロセスの組合せも含まれている。
【0123】
分かり易くするために、図1Aおよび1Bに従って参照数表示12、18、20および40を使用して、それぞれテンプレート、転写層、基板および硬化性物質が参照されている。物質40が硬化したあと、テンプレート12または基板20のいずれかが傾斜させられ、テンプレート12と基板20の間に角度500が故意に誘導される。配向ステージ250はこの目的のために使用される。基板20は、真空チャック478によって所定の位置に保持されている。テンプレート12と基板20の間の相対横方向運動は、傾斜軸がテンプレートと基板の境界に近接して位置付けされている場合、傾斜運動の間は重要ではない。テンプレート12と基板20の間の角度500が十分に大きくなると、Z軸運動(すなわち垂直運動)のみを使用して、テンプレート12と基板20が分離される。このピール・プル方法により、望ましくないせん断を生じることなく、所望のフィーチャ44が転写層18および基板20上に完全な状態で残される。
【0124】
図50A、50Bおよび50Cは、第2のピール・プル方法を示したものである。第2のピール・プル方法では、テンプレートに隣接して1つまたは複数の圧電アクチュエータ502が設置されている。1つまたは複数の圧電アクチュエータ502を使用して、テンプレート12と基板20の間に相対傾斜が誘導される(図50A)。圧電アクチュエータ502の一端は基板20と接触している。したがってアクチュエータ502が大きくなると(図50B)、テンプレート12が基板20から押し出され、テンプレート12と基板20の間に角度が誘導される。次にテンプレート12と基板20の間のZ軸運動(図50C)を使用して、テンプレート12と基板20が分離される。アクチュエータ502の一端は、転写された層のアクチュエータ表面への粘着を防止するために、テンプレート12の下部表面の処理と同様に表面処理されている。
【0125】
要約すると、本明細書に示した実施形態は、転写リソグラフィを高温または高圧の使用を必要とすることなく成功させるためのシステム、プロセスおよび関連デバイスを開示している。特定の実施形態では、テンプレートとそのテンプレートから所望のフィーチャを転写する基板との間のギャップの正確な制御が達成されている。また、所望のフィーチャを破壊することなく、あるいはせん断を生じることなく、テンプレートと基板(および転写された層)を分離することができる。また、本明細書における実施形態は、転写リソグラフィの間、基板を所定の位置に保持する方法を、適切な真空チャックの形で開示している。さらに、実施形態は、転写リソグラフィ・システムでの使用に適した高精度X−Y並進ステージを備えている。また、適切な転写リソグラフィ・テンプレートを形成し、処理する方法を備えている。
【0126】
以上、様々な実例実施形態を参照して本発明を説明したが、以上の説明は、本発明を限定する意味で解釈してはならない。説明を参照すれば、当分野の技術者には、実例実施形態に対する様々な改変、組合せ、および本発明の他の実施形態が明らかであろう。したがって特許請求の範囲の各請求項は、このような改変または実施形態のすべてを包含しているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光束に対し実質的に透明なテンプレート・アラインメント・マークを有する転写リソグラフィテンプレートであって、前記テンプレート・アラインメント・マークは第2光束とは異なる前記第1光束を用いて、前記第2光束に応答して解析可能なマークを生成することを特徴とするテンプレート。
【請求項2】
前記第1光束はUV光を含むことを特徴とする請求項1記載の転写リソグラフィテンプレート。
【請求項3】
前記第2光束は可視光を含むことを特徴とする請求項1記載の転写リソグラフィテンプレート。
【請求項4】
前記テンプレート・アラインメント・マークは、Xが2未満であるSiOxから成ることを特徴とする請求項1記載の転写リソグラフィテンプレート。
【請求項5】
前記テンプレート・アラインメント・マークは、Xが約1.5であるSiOxから成ることを特徴とする請求項1記載の転写リソグラフィテンプレート。
【請求項6】
前記テンプレートは、前記第1光束に対して透明であることを特徴とする請求項1記載の転写リソグラフィテンプレート。
【請求項7】
前記テンプレートは、前記第2光束に対して透明であることを特徴とする請求項1記載の転写リソグラフィテンプレート。 。
【請求項8】
液体上に光束を当てて、前記液体を偏光するための転写リソグラフィシステムであって、
前記光束を生成する光源と、
前記液体と前記光源の間に配置された、前記光束に対して不透明なオーバーレイ・マークを有するテンプレートと、
を備え、
前記光束が前記液体にあたるように、かつ前記オーバーレイ・マークと重なって前記液体を重合するように、前記オーバーレイ・マークのピッチによって前記光束の偏光が確立することを特徴とする転写リソグラフィシステム。
【請求項9】
前記テンプレートの前記オーバーレイ・マークは、関連付けられた線幅を持つ複数の線を備え、その線幅は前記光の波長の約1/4乃至1/2であることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記テンプレートの前記オーバーレイ・マークは、関連付けられた線幅を持つ複数の線を備え、その線幅はUV光を含んだ前記光の波長の約1/4乃至1/2であることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項11】
前記光源は、前記光束とは異なる、追加の光束をさらに生成し、前記オーバーレイ・マークは前記追加の光束に対し不透明であり、前記追加の光束に応答して解析可能なマークを生成することを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記光源は、UVおよび可視光を含む前記追加の光束をさらに生成することを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項13】
前記テンプレートから間隔をおいて配置された基板をさらに備え、前記液体は実質的に前記テンプレートと前記基板の間に配置されることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項14】
前記光の前記偏光は、線形、円形、楕円形から成るグループから選択可能であることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項15】
前記テンプレートは、シリコン、ヒ化ガリウム、水晶、溶融シリカ、サファイヤ、有機重合体、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボン重合体、およびこれらの混合体を含有する材料から成るグループから形成されることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項16】
液体上に光束をあて、前記液体を偏光する転写リソグラフィシステムであって、
前記光束を生成する光源と、前記液体と前記光源の間に配置され、前記光束に対し不透明な複数の線を有するテンプレートとを備え、前記光束が前記液体にあたるように、かつ前記複数の線と重ね合った前記液体が重合するように、前記オーバーレイ・マークのピッチによって前記光束の偏光が確立されることを特徴とする転写リソグラフィシステム。
【請求項17】
前記複数の線は、関連付けられた線幅を有し、前記光の波長の約1/4乃至1/2のであることを特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の線は、関連付けられた線幅を備え、UV光を含む前記光の波長の約1/4乃至1/2のであることを特徴とする請求項16記載のシステム。。
【請求項19】
前記光源は前記光束とは異なる、追加の光束をさらに生成し、前記複数の線は前記追加の光束に対し不透明であり、前記追加の光束に応答して解析可能なマークを生成することを特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項20】
前記光源は、UVおよび可視光を含む前記追加の光束をさらに生成することを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項21】
前記テンプレートから間隔をおいて置かれた基板をさらに備え、前記液体は、実質的に前記テンプレートと前記基板の間に配置されることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項22】
基板と基板から離れた位置にあるテンプレートの相対的位置を決定する方法であって、前記基板は基板アラインメント・マークをその基板上に備え、前記テンプレートはテンプレート・アラインメント・マークをそのテンプレート上に備え、その方法は、
前記基板とテンプレート上に第1光束と第2光束をあてるステップであって、前記基板と前記テンプレートアラインメント・マークは、第1反応を決定する前記第1光束に対し反応するとともに、前記第1反応とは異なる前記第2反応を決定する前記第2光束に反応する、ステップと、
前記基板の焦点の合った画像と前記テンプレートアラインメント・マークを共通面に形成するように、前記第1反応と前記第2反応を処理するステップであって、前記焦点の合った画像は前記基板と前記テンプレートの前記相対的位置を指示する、ステップと、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記処理するステップは、前記第1反応を光学的にフィルタリングして、前記基板アラインメント・マークの第1画像を形成するステップと、前記第2反応を光学的にフィルタリングして前記テンプレート・アラインメント・マークの第2画像を形成するステップをさらに有し、前記第1および第2画像はアナライザに対し焦点が合っていることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記処理するステップは、光学的に前記第1反応をフィルタリングして前記基板アラインメント・マークの第1画像を形成するステップと、前記第2反応を光学的にフィルタリングして前記テンプレート・アラインメント・マークの第2画像を形成するステップをさらに有し、前記第1及び第2画像は前記共通面において焦点が合っていることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記基板とテンプレート上に前記第1と第2光束を当てるステップは、前記基板と前記テンプレート・アラインメント・マーク上に第1と第2の偏光された光束をあてるステップをさらに有し、前記第1反応は前記第1の偏光された光束に対し前記基板アラインメント・マークの焦点を合わせる工程を有し、前記第2反応は前記第2の偏光された光束に対し前記テンプレート・アラインメント・マークの焦点を合わせる工程を有することを特徴とする方法。
【請求項26】
前記テンプレートの近くに偏光アレイを配置するステップをさらに有し、前記第1光束と第2光束は前記アレイを介して照射されることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記第1反応を決定する工程は、前記基板アラインメント・マークの焦点の合った第1画像と前記テンプレートアラインメント・マークの焦点の外れた第2画像を形成する工程を含み、前記第2反応を決定する工程は前記基板アラインメント・マークの焦点の外れた第3画像と前記テンプレート・アラインメント・マークの焦点の合った第4画像を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記処理するステップは、前記第2と第3の焦点のはずれた画像に対応する幾何学データを消去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項29】
前記処理するステップは、前記第1と第4の画像を前記共通面上で結像するステップをさらに含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項30】
前記基板と前記テンプレートの間に液体を配置するステップをさらに有し、前記方法は前記液体に第3光束をあてて、硬化させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2010−87529(P2010−87529A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297647(P2009−297647)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2002−514472(P2002−514472)の分割
【原出願日】平成13年7月16日(2001.7.16)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】