説明

テーパー状点接合を有する弾性フィルム積層体

【課題】ロフトが改善し、柔らかさおよび手触りが改善し、そして巻きつけロール能が高まる弾性積層体の提供。
【解決手段】弾性フィルムの各面に不織ウェブを超音波接合した弾性フィルムを含み、その際、接合点は平面接合領域を含み、その平面接合領域が該接合点の全接合領域の約30%以下を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性フィルム積層体、そのような積層体の製造法、およびそれを組み込んだ物品に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性フィルム積層体は、多くの商品の製造に使用されている。特に、弾性フィルム積層体は、吸収材物品、例えば、おむつ、トレーニングパンツ、大人用失禁物品、および類似物品の製造に使用されている。弾性フィルム積層体は、例えば、ウエストバンド、ズボンのカフス、サイドタブ、サイドイヤー、サイドパネルとして、またはその物品の表地として使用してよい。弾性フィルム積層体は、衣類、帽子、ガウン、カバーオールなど、他の物品にも使用され、通常、その物品に望ましい装着特性を与えるために使用される。
【0003】
フィルムまたは積層体をロール形にする場合、材料が形成される箇所または巻かれていない箇所から開始して、完成したウェブをロールに巻きつける箇所まで、材料を縦方向(MD:machine direction)として知られる経路に沿って移動させる。通常、縦方向はウェブの最長寸法に相当する。一般的に、横方向(CD:cross direction)は、縦方向に対して直角方向であり、通常ウェブ幅に相当する。いくつかの弾性フィルムおよび積層体が提案されてきたが、そのようなフィルムおよび積層体の大多数は、横方向(CD)に伸びるように設計し構築されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
強度または接合品質を犠牲にせず、柔らかさおよび手触りが改善した積層体が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本弾性積層体は、2枚の不織ウェブに超音波接合した弾性フィルムを含み、1枚のその不織ウェブは該弾性フィルムの各面に位置し、その際、該積層体は約2%以下の平面接合領域(flat land bond area)を含む。
【0006】
別の実施形態では、本弾性積層体は、2枚の不織ウェブに点接合した弾性フィルムを含み、1枚のその不織ウェブは該弾性フィルムの各面に位置し、その際、該積層体は全点接合領域(total point bond area)の30%以下の平面接合領域を有する。
【0007】
別の実施形態では、本弾性積層体は、第一不織ウェブ、第二不織ウェブ、第一不織ウェブと第二不織ウェブの間に介在する弾性フィルム、および第一不織ウェブと第二不織ウェブを該弾性フィルムに固定する複数の超音波接合点を含み、該超音波接合点には、その接合領域中にいかなる突出部も見られない。
【0008】
本開示のこれらや他の態様は、図面および添付の特許請求の範囲に関して本明細書をさらに読み取ることによって明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】特に超音波接合点を図示する従来技術の積層体の横断面図である。
【図2】特に超音波接合点を図示する従来技術の積層体の平面図である。
【図3】特に超音波接合点を図示する本開示に従う弾性積層体の横断面図である。
【図4】縦方向に延伸した場合の新規な積層体と従来技術の積層体とのピーク引張の比較を示すグラフである。
【図5】図4のグラフと類似して、横もしくは横軸方向に延伸した場合の新規な積層体と従来技術の積層体とのピーク引張の比較を示すグラフである。
【図6】本開示の実施例の項に記載した、横方向に100%伸張したときの新規な積層体と従来技術の積層体の一連の応力ひずみ曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来の積層体は、加熱積層化法、接着剤式積層化法、減圧積層化法、押出しコーティング、超音波接合、およびそれらの組合せを含むいくつかの異なる積層化法、ならびに当技術分野で公知の他の方法のいずれかによって調製されている。超音波接合は、「点接合法」として知られ、その際、積層体の層は別個の離れた位置で、すなわち「点」で接着される。
【0011】
超音波接合は、超音波ホーンとパターン付きアンビル間に未接合の積層体層を通す非接触接合法である。アンビルは、平坦な板状部材または円筒状ロールであってよく、その上には浮出し成分の連続またはパターンが配置されている。その突起部の横断面形は平坦または円形であってよい。超音波ホーンは、高周波で振動し音波を発生する。未接合ウェブがホーンの下を通過すると、音波が熱および圧力を発生しウェブを融合する。そのようにして、ホーンとアンビルロールの浮出し部分との間に形成された間隙に接合点が形成される。
【0012】
まず図1に関して、そこに図示されているものは、従来技術により超音波接合された弾性積層体の横断面である。積層体10は、第一不織ウェブ12、第二不織ウェブ14、および第一不織ウェブ12と第二不織ウェブ14の間に挟まれた弾性フィルム16を有する。積層体の個々の層は、複数の超音波接合点18によって接合されている。
【0013】
従来技術の積層体の接合点18は、図1に見られるように、実質的に平坦な天頂区域22を備えた複数のニブ20を有するアンビルロールを使用して作製される。図2に見られるように、積層体の上部(または下部)から見た場合、接合点18は一般的に円形である。図1に見られるように、アンビルロール(図示せず)の平坦天頂ニップ20によって接合点18が生じ、この接合点は比較的大きい平面領域24を有し、その平面領域は実質的に個々の接合点18の接合領域25の全てを占める。より詳細には、従来技術の積層体の累積接合領域は、積層体全領域の約7.0〜7.3%であり、その接合領域の90%超は平面領域である。言い変えれば、全接合領域の約6.3〜6.6%が平面領域を含む。
【0014】
平坦な天頂ニブ20を使用すると、フィルム16および/または不織層12、14から溶融した高分子材料も生じ、その高分子材料は接合領域の端部に押しやられている。その高分子材料が冷めるにつれ、接合点に突出部が形成される。多くの場合、その突出部は接合点周囲で外周隆起部またはフランジ26の形をしている。しかし、高分子は接合の外側端部に押しつけられるので、突出部が無数の形を取りうることは理解されよう。一般的に、突出部は、フィルムの名目上の厚みよりも厚く、どのようにも不完全である。
【0015】
平坦な天頂ニブ20によってまた、不織層12、14と接合点18の間にやや急な移行部28も生じる。移行部28によって不織ウェブ12、14の表面と接合点18の間に急勾配な側部が作成される。これら3点の特質:広い平面領域24、外周隆起部26、および急な移行部領域28が全て協同して、消費者または使用者が撫でると、顕著な堅さまたは粗さを有する積層体が生産される。特に、積層体を撫でた際の触感は、接合点を横切るとき消費者が明らかなこぶの感触として気づくものであり、消費者は、それを粗さまたは硬さとして感じるであろう。本積層体は、履かせるスタイルのおむつのサイドパネルなど、肌接触型用途に使用されることが多いので、粗さまたは強さまたは堅さを感じることは不利益である。
【0016】
出願人らは、接合点中の平面領域を小さくすることによって、より高い平面接合領域を有する積層体と比較して、得られる積層体の柔らかさが大きく改善し、触感が良くなることを発見した。
【0017】
特に図3に関して、新規な積層体110は、複数の超音波接合点118によって、弾性フィルム116の各面に不織層112、114を接合した弾性フィルム116を含む。積層体110の接合点118は、複数の丸形ニブ120を有するアンビルロール(図示せず)を使用して作製する。丸形ニブ120は平坦領域122を含み、この平坦領域122は、円錐台形ニブ20を使用して作製された従来技術の積層体と比較して、全接合領域125の極めて少ない割合を占める。より詳細には、図3の積層体も、全接合領域を約7.0〜7.3%含むが、その平面領域は、従来技術の6.3〜6.5%と比較して、全接合領域の約1.9〜2.2%しか占めない。
【0018】
図3に見られるように、小さな平面接合領域に加えて、接合点124と不織層112、114の間の移行部領域128が、新規な積層体では非常になだらかである。さらに、接合点124には、従来技術の積層体で見られた隆起部または外周フランジ26がない。従って、図1および2の従来技術の積層体と比較して、新規な積層体は柔らかさおよび触感を著しく改善する。
【0019】
新規な積層体で使用される弾性フィルム116は、単層フィルムであっても、または多層フィルムであってもよい。「弾性」という用語は、少なくとも一方向にその原寸法の約150%延伸することができ、張力を解くと、その原寸法の125%以下の寸法に戻る材料を意味するために使用する。例えば、1インチ長の材料が、長さ1.5インチに延伸することができ、張力を解き材料を緩めると1.25インチ以下に戻る場合、弾性である。
【0020】
多層フィルムを使用する場合、弾性フィルム116は共押出法で作製するのが好ましく、その方法では、弾性コアと1もしくは複数のスキン層はダイから同時に押し出される。あるいは、押出しコーティングなどの方法を使用して、多層弾性フィルム12を生産することもできよう。好ましくは、フィルム116は共押出多層フィルムを含み、このフィルムは、弾性コア層と、そのコア層の各面に少なくとも1層のスキン層とを含む。弾性コアの各面に1層を超えるスキン層を有する実施形態も企図され、好都合に使用しうることは理解されよう。
【0021】
弾性コアには、天然もしくは合成ゴム、例えば、イソプレン、ブタジエン−スチレン材、スチレンブロックコポリマー[例えば、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、またはスチレン/エチレン−ブタジエン/スチレン(SEBS)ブロックコポリマー]オレフィンエラストマー、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、およびそれらの混合物が含まれる。スキン層を使用する場合、スキン層は、弾性コアよりも弾性率が低い任意の好適な材料を含んでよい。好ましい材料は、ポリオレフィンポリマー、特に、ポリエチレンポリマーおよびコポリマーであり、メタロセン触媒ポリエチレン、およびポリエチレンポリマーもしくはコポリマーのブレンドが含まれる。所望の場合には、酢酸ビニルコポリマーなど、他の材料も好都合に使用しうる。
【0022】
「ポリマー」という用語には、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマー、ターポリマーなど、ならびにそのブレンドおよび改変体が含まれる。さらに、特に限定しない限り「ポリマー」という用語は、アイソタクティック構成物、シンジオタクチック構成物、およびランダム構成物など、材料の可能な全立体化学構成物を含むものとする。
【0023】
多層弾性フィルムのコア層に対するスキン層の相対的厚みは、特定の用途および所望の特性に応じて変わりうる。多層弾性フィルムの好ましい実施形態は、重量比でスキン/コア/スキン=5/90/5〜15/70/15の範囲である。弾性フィルム116は、当技術分野で公知なようにテクスチャーローラーを使用しエンボス加工してもよいし、または例えば真空ボックスを使用し滑らかな表面に仕上げてもよい。真空ボックスによって、製造工程中、弾性フィルム116に部分的減圧をかけ、キャストロールからフィルムを引くことにより、真空ボックスなしで生産されるフィルムよりも滑らかで一般的に薄いゲージのフィルムが生産される。
【0024】
当技術分野で公知なように、不織ウェブは、ランダムまたは非反復パターンで配列されたポリマー繊維から構成される繊維ウェブである。不織ウェブの大部分については、様々な方法のいずれか一つもしくは複数、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、接合カーディングウェブ(bonded carded web)法、水流絡合法などによって、および/または一繊維が別の繊維に接触し、もしくはそれ自体の上を横切る点で繊維同士を接合することによって、繊維は密着したウェブに形成される。ウェブを作製するために使用する繊維は、当技術分野で公知なように単成分繊維もしくは複合繊維であってよく、さらに連続繊維または短繊維であってもよい。繊維性不織布ウェブ用に異なる繊維の混合物を使用してもよい。
【0025】
不織布は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ならびにそのコポリマーおよびブレンドを含む任意の繊維形成熱可塑性ポリマー、ならびに熱可塑性エラストマーから生産することができる。具体的なポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ならびにそのコポリマーおよびブレンドの例は、フィルム層に好適なポリマーと併せて上記している。繊維層に好適な熱可塑性エラストマーには、トリ−およびテトラ−ブロックスチレンブロックコポリマー、ポリアミドおよびポリエステルベースのエラストマーなどが含まれる。
【0026】
熱可塑性繊維は、様々な熱可塑性ポリマーから作製することができ、それらのポリマーには、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、コポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、コポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ならびに塩化ビニル/酢酸ビニルなどの前記のもののいずれかのコポリマーが含まれる。好適な熱可塑性繊維は、単一ポリマー(単成分繊維)から作製することも、または一種を超えるポリマー(例えば複合繊維)から作製することもできる。例えば、「複合繊維」とは、一ポリマーから作製したコア繊維を含み、そのポリマーが異なるポリマーから作製した熱可塑性鞘の中に包み込まれている熱可塑性繊維をさしうる。その鞘を含むポリマーは、異なる温度で、通常コアを含むポリマーよりも低い温度で溶融することが多い。その結果、コアポリマーの望ましい強度特性を保持しつつ、鞘ポリマーが溶融するため、これらの複合繊維によって熱接合が行われる。
【0027】
複合繊維には、以下のポリマーの組合せを有する鞘/コア繊維を含めることができる:ポリエチレン/ポリプロピレン、酢酸ポリエチルビニル/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなど。複合繊維は、複合繊維の断面積を通して鞘の厚みが一様であること、または一様でないことをさして、同心性または偏心性であってよい。偏心性複合繊維は、繊維厚が薄くなるほど圧縮強度が増すのが望ましいであろう。
【0028】
カーディング不織布用の熱可塑性繊維の場合には、その長さは、これらの繊維に欲する特定の融点および他の特性に応じて変化しうる。典型的には、これらの熱可塑性繊維の長さは約0.3〜約7.5cm長であり、好ましくは約0.4〜約3.0cm長である。融点を含むこれらの熱可塑性繊維の特性は、繊維径(厚さ:caliper)を変えることによっても調整することができる。通常、これらの熱可塑性繊維の直径は、デニール(g/9000m)またはデシテックス(g/10,000m)という用語で定義される。その構造内の特定の配列に応じて、好適な熱可塑性繊維は、0.4デシテックスなど、1デシテックスより十分に小さいデシテックスから約20デシテックスまでの範囲のデシテックスである。
【0029】
「メルトブローン繊維」という用語は、溶融糸もしくはフィラメントとして、複数の微細な通常環状のダイキャピラリーを通じ、溶融熱可塑性材料を高速気体(例えば空気)流中に押出すことによって形成された繊維をさし、その気体流によって溶融熱可塑性材料のフィラメントは細くなり、マイクロファイバーの直径となりうる。「マイクロファイバー」という用語は、平均直径が約100ミクロン未満の小さい直径の繊維をさす。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流よって運ばれ、採取表面に沈着し、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブが形成される。
【0030】
「スパンボンド繊維」という用語は、スピナレットの複数の微細な通常環状のキャピラリーから、溶融熱可塑性材料をフィラメントとして押出し、次いで例えば、引出しドローイング(eductive drawing)または他の公知のスパンボンド機序により、押出されたフィラメントの直径を急速に減少させることによって形成した小直径繊維をさす。
【0031】
特に好ましい不織ウェブは、米国再発行特許第35,206号に記載された方法に従って作製された加熱圧密ウェブであり、その開示を参照により本明細書に組み込む。そのような方法では、不織ウェブに熱および張力をかけてウェブ繊維を延伸方向に再編成し方向づける。
【0032】
所望の場合には、当技術分野で公知の任意の方法によって新規な積層体に通気性をもたせる。通気性をもたせる方法には、穿孔、切込み加工、および他の技術、例えばホットニードル穿孔、ダイカッティング、引っかき傷(scoring)、剪断、真空穴加工(vacuum aperturing)が含まれ、または高圧ウォータージェットの使用を通じて行う。
【0033】
そのような方法の組合せも利用しうる。不織ウェブは通常通気性があるので、単に、フィルムに穴を開けた後に積層化するのが望ましいであろう。穴を開けたフィルムは、当技術分野で公知であり、機械穿孔もしくは真空穴加工、または通気性もしくは空気透過性フィルムを作製する他の任意の公知の方法によって作製することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィルムは、ポリマーマトリックスに分散された粒子フィラーを含んでよい。フィルムを形成した後、フィルムを延伸すると、ポリマーマトリックスが粒子から引き離され、フィルムに微小空洞が生じる。その微小空洞が、フィルムの液体不透性を維持しながら水蒸気の透過を可能にする。そのような方法によって作製された微細孔通気性フィルムは、当技術分野でよく知られている。
【0035】
弾性フィルム116、不織ウェブ112、114、または完成した積層体は、積層体の弾性特性を改善するために、延伸し、または活性化してよい。例えば、フィルムおよび/または不織布は、エラストマー樹脂製であってよいが、フィルムスキン層(存在する場合)および/またはフィルムに付着させた不織ウェブは延伸に抵抗する傾向がある。従って、積層体を延伸するのに必要な力は、活性化させない限り特定の用途には過剰すぎると考えられよう。従って、当技術分野では慣例であるが、フィルム116もしくは不織布112、114、または両方を延伸し、または活性化させた後、これらのウェブを超音波接合して積層体110を形成するのが望ましいであろう。あるいは、または加えて、ウェブを超音波接合した後、積層体を延伸し、または活性化するのが望ましいであろう。
【0036】
延伸または活性化は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、ただしそれらだけには限らないが、(1)隙間を空けた2本のローラー対であって、下側ローラーが上側対よりも速い回転速度で作動するローラー対を用いて、ウェブを縦方向に引くこと、(2)張り枠を用いてウェブを横方向に引くこと、(3)または噛み合いギア(IMG)による活性化によって実施することができる。これらの方法の組合せも使用しうる。
【0037】
IMGは、ローラー外周に複数の歯を有するローラーのニップ間にウェブを通す方法である。ローラーが一緒に回り歯が噛み合う。ウェブは歯につかまり、1対の隣接する歯の間の領域で延伸される。延伸後、ウェブを伸張する所望の向きに応じて、歯を縦方向、横方向に沿って、またはその間の任意の角度に配向することができる。IMGによる活性化は、弾性積層体の当技術分野で公知の方法である。
【0038】
新規な積層体の作製に使用されるウェブ(本明細書で使用されるようなウェブにはフィルム層が含まれる)のどれも、加工し、処理し、仕上げ、または通常当技術分野で慣例の添加物を含めて作製することができる。例えば、ウェブには、所望に応じて着色料、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤、または他の処理添加物を含めてよい。
【0039】
積層体110を生成して、いわゆるネックボンド(neck bonded)積層体、ストレッチボンド(stretch bonded)積層体、ネックストレッチボンド(neck-stretched bonded)積層体、またはゼロ歪延伸(zero strain stretch)積層体を作成しうる。ネックボンド積層体は、不織層の片方もしくは両方に張力をかけ、不織布が首状の状態にある間に不織布とフィルムを接合することによって調製される。ストレッチボンド積層体は、フィルムに張力をかけ、フィルムが張力下にある間に、1もしくは複数の不織層をフィルムに接合することによって調製される。ネックストレッチボンド積層体は、フィルムと不織布の両方が張力下にある間に、フィルムと不織布とを接合することによって調製される。ゼロ歪延伸積層体は、ウェブのどちらにも張力がかかっていない間に、これらを接合することによって調製される。当技術分野で公知なように、一般的に、活性化は、ゼロ歪延伸積層体以外では必要はないが、利用することができる。
【実施例】
【0040】
実施例1は、スチレンブロックコポリマーコアとポリエチレンスキン層を含み、坪量が54g/mである共押出し弾性フィルムを使用して作製した積層体から構成した。フィルム構造体は、重量でスキン/コア/スキン(9/82/9)から構成した。フィルムの各面に1枚ずつ、2枚の複合スパンボンド不織布(Dayuan NDYTB-BM020)にフィルムを超音波接合した。各不織布の坪量は、20g/mであった。超音波接合は、Standex Corporation社製「ダブルドット」型彫スチールアンビルロールを使用し実施した。積層体は、全接合領域を約7%、平面接合領域を約2%含む。
【0041】
実施例2は、スチレンブロックコポリマーコアとポリエチレンスキン層を含み、坪量が40g/mである共押出し弾性フィルムを使用して作製した積層体から構成した。フィルム構造体は、重量でスキン/コア/スキン(9/82/9)から構成した。フィルムの各面に1枚ずつ、2枚のスパンボンド不織布(Fiberweb Sofspan 120 NFPN 732D)にフィルムを超音接合した。各不織布の坪量は、20g/mであった。超音波接合は、Standex Corporation社製「ダブルドット」型彫スチールアンビルロールを使用し実施した。積層体は、全接合領域を約7%、平面接合領域を約2%含む。
【0042】
これらの積層体を2枚の市販の積層体FabriFlex(商標)309およびFabriFlex(商標)35102(Tredegar Film Products Corporation,バージニア州リッチモンド)と比較した。比較する積層体のそれぞれは、全接合領域を約7%、平面領域を約7%含む。
【0043】
図4および図5に関して、新規な積層体は、引張強度および弾性特性(すなわち延伸性および復元性)に関して、従来技術の積層体と比べてひけを取らなかったことがデータから見てとれる。図4および図5のグラフのデータは、これらの積層体をASTM 882に明記した試験手順にかけることによって得られた。
【0044】
一定の張力をかけて、完成したロールに積層体を巻きつけることにより、積層体の巻きつけロール圧縮率を比較した。ASTM D6571の手順と類似する手順を使用し、積層体のロフト(Loft)も評価した。ロフトの評価では、低負荷をかけて手作業により約80%伸張まで積層体を延伸した。最後に、積層体の剪断強度を公知の試験手順を使用し比較した。
【0045】
表1に試験手順の結果を報告する。表1から分かるように、新規な積層体は、従来技術の積層体と比較して、巻きつけロール圧縮率が改善し、柔らかさも増した。具体的には、新規な積層体によって、圧縮率が改善し、それによって完成したロールの直径を増大させることなく、かつ積層体の特性もしくは性能に負の影響を与えることもなく、ロールに巻く材料の面積(m)をより大きくすることができた。本積層体によって、本積層体を使用する最終製品の製造で転換数が減少し、さらに出荷費用が削減され、廃棄物が減少するという点でこれは有益である。さらに、新規な積層体は、延伸後にロフトが増大した。(撫でた感覚とは対照的に圧縮感から感知されるように)ロフトと柔らかさの相互関係は、従来技術に十分に記載されている(例えば、米国特許第4,725,473号、同第5,470,640号、および同第5,288,348号参照)。従って、ロフトの増大は、積層体の柔らかさの改善として消費者に感知される。最後に、表1は、ロール圧縮率および柔らかさ/ロフトでのこれらの改善が、接合強度を犠牲にすることなく得られることを示している。
【表1】

【符号の説明】
【0046】
10:積層体
12:不織ウェブ
14:不織ウェブ
16:弾性フィルム
18:接合点
20:ニブ
22:平坦天頂区域
24:平面領域
25:接合領域
26:外周隆起部
28:移行部領域
100:積層体
112:不織ウェブ
114:不織ウェブ
116:弾性フィルム
118:接合点
120:ニブ
122:平坦領域
124:接合点
125:全接合領域
128:移行部領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性フィルムと、該フィルムの各面に超音波接合した不織布とを有する積層体であって、約2%以下の平面接合領域を有する前記積層体。
【請求項2】
約7.0〜7.3%の全接合領域を有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
各不織布が、スパンボンド不織ウェブ、カーディング不織ウェブおよびスパンレース不織ウェブから独立して選択される、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
少なくとも1枚の不織布が複合不織布である、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記弾性フィルムが共押出し多層フィルムである、請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記弾性フィルムがスチレンブロックコポリマーを含む、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
ゼロ歪延伸(zero strain stretch)積層体を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
通気性である、請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
弾性フィルムと、該フィルムの各面に超音波接合した少なくとも1枚の不織布とを有する積層体であって、該積層体が複数の点接合を有し、各点接合が平面接合領域と全接合領域とを有し、該平面接合領域が全接合領域の約30%未満を含む、前記積層体。
【請求項10】
約7.0〜7.3%の全接合領域を有する、請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
各不織布が、スパンボンド不織ウェブ、カーディング不織ウェブおよびスパンレース不織ウェブから独立して選択される、請求項9に記載の積層体。
【請求項12】
少なくとも1枚の不織布が複合不織布である、請求項9に記載の積層体。
【請求項13】
前記弾性フィルムが共押出し多層フィルムである、請求項9に記載の積層体。
【請求項14】
前記弾性フィルムがオレフィンブロックコポリマーを含む、請求項13に記載の積層体。
【請求項15】
前記弾性フィルムが活性化されている、請求項9に記載の積層体。
【請求項16】
通気性である、請求項9に記載の積層体。
【請求項17】
a.不織布に弾性フィルムを、該フィルムの各面で超音波接合することを含む方法であって、
b.前記超音波接合によって、約2%以下の平面接合領域が生じる前記方法。
【請求項18】
前記フィルムが接合前に活性化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記積層体が接合後に活性化される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルムおよび前記不織布の両方が実質的にゼロ張力下にある間に、前記接合工程を行う、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−195044(P2010−195044A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34431(P2010−34431)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(504242043)トレドガー フィルム プロダクツ コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】