テーパ付きフルートを有する、プリーツ加工されたろ材
ろ材表面に三次元テーパ付きフルートを含み、フルートがろ過性能を高めるように構成されている、プリーツ加工されたろ材、ろ材パック、フィルタエレメント、および流体をろ過するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、フルートは、隣接するプリーツ間のマスキングを減らす、輪郭がはっきりした頂点を有し、フルートは、それらの長さに沿って稜部を有して、フルートの断面の幾何学的形状を修正する、および/またはフルートは、ろ材にわたって体積を非対称性にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年1月25日にPCT国際特許出願として、米国企業のDonaldson Company,Inc.(米国以外の全指定国の出願人)およびGary J.Rocklitz(米国市民、米国のみの出願人)の名義で出願されており、かつ米国特許商標局に2010年1月25日に出願された米国仮特許出願第61/298,109号の優先権を主張する。米国仮特許出願第61/298,109号の全開示は、本書にその全体が援用される。
【0002】
本発明は、プリーツ加工されたろ材、ろ材パック、フィルタエレメント、ならびにろ材、ろ材パック、およびフィルタエレメントの作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
気体および液体などの流体流は、汚染物質を含んでいることが多い。多くの場合、流体流から汚染物質の一部または全てをろ過することが望ましい。例えば、粒子状汚染物は、モーター付き車両および発電装置のエンジンへの空気流に、ガスタービンシステムへの空気流およびガス流に、様々な燃焼炉への空気流およびガス流に、および熱交換機(例えば、暖房および冷房)への空気流およびガス流に存在することが多い。エンジン潤滑システム、液圧システム、冷却系および燃料系統における液体流も、ろ過されるべき汚染物を含んでいることがある。そのようなシステムにとって、選択した汚染物質を流体から取り除く(または流体でのそのレベルを低下させる)ことが好ましい。様々な流体フィルタ(ガスフィルタまたは液体フィルタ)が、汚染物の削減のために開発されている。しかしながら、概して、継続的に改良が模索されている。
【0004】
プリーツ加工されたろ材は長年使用されており、ガスろ過および液体ろ過を含む流体ろ過用途に広く採用されている。プリーツ加工されたろ材は、ろ材を前後に折り畳むことによって所与の体積に対して比較的大きなろ材表面積を提供し、比較的小さな体積中に大量のろ材を配置できるようにしている。プリーツ加工されたろ材は、一般に、ろ材の連続ウェブまたは巻取ウェブから形成され、プリーツがろ材の縦方向に垂直に形成されている。ろ材の縦方向は、全体的に、供給ロ−ルなどの供給源から出るときのろ材の連続方向を指す。連続方向はまた、ろ材の縦方向とも称することがある。それゆえ、プリーツの折り目が、全体的にろ材の連続方向に直角となる。概して、第1の組のプリーツの折り目がろ材パックの第1の面を形成し、第2の組のプリーツの折り目がろ材パックの第2の面を形成し、第1および第2のプリーツの折り目が互いに交互になっている。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する「面」は、実質的に一様でないすなわち不規則とし、平面的または非平面的とし得ることを理解されたい。
【0005】
プリーツ加工されたろ材を含むフィルタエレメントの設計の1つの課題は、所与の体積内でのプリーツ数が増加するにつれて、望ましくないレベルでの流体流量制限が発生し得ることである。この制限は、プリーツが互いに密接に押し込まれすぎてろ過性能に著しい干渉を生じると、重要になる。例えば、プリーツが互いに密接にされると、プリーツ間の領域に流体が入ることが困難になり得る。この制限ゆえに、従来のいくつかのプリーツ加工されたフィルタのろ材は改良されて、ろ材表面に沿って、浅い繰り返しの弧の隆起領域を備える、一様でない表面を形成している。この一様でない表面を有するプリーツが互いに押しつけられると、ろ流体が流れるのを支援するチャネルが形成されることによって、材上の隆起領域が、プリーツ表面間に流体が流れ続けるように支援する。一様でない表面を備えるプリーツは利点を提供するが、特に、より深いプリーツ構成の場合、改善は限定的である。
【0006】
それゆえ、プリーツ加工されたろ材の改善に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、プリーツ加工されたろ材、およびプリーツ加工されたろ材を含むろ材プリーツパックに関する。これらのプリーツパックは、同様に、フィルタエレメントに形成することができ、これも本発明の主題である。ろ材およびろ材プリーツパックは、プリーツの折り目間に延在するフルートを含む。フルートは、ろ材に形成された三次元構造であり、プリーツの表面に沿って好都合な流路を提供し、これにより、流体はろ材を通って好都合に流れることができ、プリーツ間隔の制御を支援し、プリーツ面に剛性および構造をもたらすことを支援し、および効率的な汚染物除去をもたらす。
【0008】
ろ材パックのフルートの少なくともいくつかは、テーパ付きの幾何学的形状を有する。テーパ付きの幾何学的形状は、一般に、フルートの長さに沿って、フルートの幅、および/または高さ、および/または断面積が変化する。プリーツ加工されたろ材にテーパ付きフルートを使用することは、ろ過性能に関して著しい利点を有する。例えば、テーパ付きフルートによって、プリーツパックを通る流体の流れに利益をもたらしながらも、より深いプリーツパックを形成することを可能にし得る。そのような利益は、(流体がろ材パックに流入する)ろ材パックの前面付近のろ材パックの上流側に比較的大きな断面積を有するフルートと共に、(流体がろ材パックから流出する)ろ材パックの背面付近のろ材パックの下流側に比較的大きな断面積を有する、対向したフルートを有することによって実現できる。上流フルートの断面積と下流フルート断面積がこのように異なることによって、プリーツパックに出入りする流れに関連する収縮・拡大圧力損失を小さくすることができ、かつテーパ付きフルートによって形成されたチャネルに沿って流れが移動する際の圧力損失を減少させることができる。それゆえ、テーパ付きフルートは、プリーツパック初期の圧力低下を小さくできる。初期の圧力低下を小さくすること、およびフルートに沿ってろ材を通る流量分布に影響を及ぼすことによって、テーパ付きフルートは、ろ過容量を増やし、かつフィルタ寿命を長くすることができる。
【0009】
幅、高さおよび/または断面積は、フルートの長さに沿って漸進的に変化することが多いが、一部の実装例では、変化は段階的または非漸次的である。ほとんどの実装例では、テーパ付きフルートは、フルート長の全てまたはほとんどに沿って実質的に一様のテーパが付けられている。しかしながら、一部の実装例では、フルート長に沿って変化するテーパを有し、それゆえ、テーパが一様ではないまたは連続的ではないことが可能である。例えば、フルートは、テーパ付き領域から非テーパ付き領域まで、別のテーパ付き領域まで移り変わり得る。
【0010】
特定のフルートの断面積は、フルートの一方の端部から他方の端部まで変化し得るが、フルートの幅またはフルートの高さにもテーパを付けることは必須ではない。実際に、一部の実装例では、幅、高さ、またはそれら双方は、フルートの長さに沿って一定または実質的に一定である。詳細な説明で説明されるように、幅または高さを変化させることなく、フルートの断面積を変化させることが可能である。これは、例えばフルートの壁に沿って稜部を形成し、フルートに沿ってそれら稜部の位置を変更することにより、フルートの側壁の形状を変化させることによって、なすことができる。本明細書で使用されるように、稜部は、全体的に、フルートの長さの一部または全てに沿ってろ材に規定された曲り、しわ、または変形である。稜部は、一般に、ろ材の曲線の不連続部であり、一般的には曲線状のろ材中には見出されない。それゆえ、稜部は、概して、単に漸次的な曲線間の変曲点ではなく、曲率のより著しい不連続性である(例えば、本発明の図9Aおよび9Bに示すように)。詳細な説明で詳述するように、本発明の教示に従って構成された稜部によって、特殊テーパ付きフルートが可能となる。特に、フルートの長さに沿って稜部の位置を変化させ、フルートのテーパの制御を促すことが可能である。それゆえ、フルートの長さに沿って形成された稜部を追加し、それら稜部の形状および位置を変えることは、フルート断面積の著しいテーパリングをもたらし得る;およびそのようなテーパリングは、任意選択で、フルートの高さまたは幅を著しく変えることなく、実施できる。
【0011】
本発明のプリーツ加工されたろ材は、テーパ付きフルートによってろ材の利用レベルを高くでき、さらに好都合である。高い利用レベルとは、ろ材のマスキングが比較的わずかしかないことを意味する。本明細書で使用されるように、マスキングは、隣接しかつ接触するろ材面間の近接領域に関系する。上流または下流の隣接するろ材面が接触する個所では、ろ材を横切る前後間の実質的な圧力差がなくなるか、またはろ材を横切る流れに対しかなりの抵抗がある。この抵抗は、シートが密接に接近していなかった場合に観察されたであろうものよりも、大きい。概して、マスキングは、別のろ材シートに密接に接近または接触しているろ材の箇所、または流れの境界面で生じる。この密接な接近は、その位置において、ろ材を通る流れを推し進める圧力の低下をもたらし得る。その結果、マスキングのあるろ材は、ろ材のろ過性能には有益ではない。ろ材のマスキングを著しく削減することは、流体のろ過に利用可能なろ材の量を増やすので、ろ過性能および設計の大幅な改善を図り得る。
【0012】
従って、ろ過に利用可能なろ材の量を増やすために、マスキングを減らすことが望ましい。マスキングの削減によって、ろ材プリーツパックのダスト貯蔵容量が増え、所与の圧力低下でのろ材を通る流体の処理量が増え、および/または所与の全流体流量でのろ材プリーツパックの圧力低下を小さくする。本発明の教示に従って作製されたプリーツ加工されたろ材のフルートは、ろ材のマスキングの削減を可能にする。この削減は、フルートの形状を制御することによって、特に、隣接するプリーツのフルートと接触する表面積が小さいフルートの先端部を有することによって、達成される。シャープな丸み(sharp radius)または輪郭がはっきりした先端部を有することによって鋭いフルートの先端部を形成でき、これにより、プリーツ間のマスキングを小さくする。詳細な説明で記述されるように、本発明の様々な実施形態では、鋭いフルートの先端部は、フルートに沿った稜部と同時に形成され、ろ材表面積を大きくし、テーパ付きフルートを形成し、かつろ材の性能を制御するようにする。
【0013】
所与のフルートに沿ってマスキングされる特定のろ材領域は比較的小さくし得るが、フィルタエレメント全体にわたってマスキングのあるろ材の総量は、かなりのものとなり得る。それゆえ、マスキングの削減をささやかに改善することでも、大きな価値を有し得る。フィルタエレメントにおいてマスキングのあるろ材の量を削減する一方で、同時に、フィルタに存在する実効ろ材の量をさらに増やすために、フルートの幾何学的形状を修正することが可能である。マスキングを削減することによって、フィルタエレメントの性能を高めるまたは寿命を延ばすことができる、または同じ性能またはフィルタ寿命を維持しながらフィルタエレメントのサイズを小さくできる。概して、フィルタエレメントの寿命を延ばすこと、または所与のフィルタエレメントサイズに対してフィルタの初期の圧力低下を小さくすること、または所与のフィルタエレメントの性能に対してフィルタエレメントのサイズを小さくすることは、フィルタの性能を高めると称することができる。本発明のテーパ付きフルートは、フルートの幅、高さ、または断面をそれらの長さに沿って変動させながらも、ろ材のマスキングを削減して構成できる;およびこのマスキングを限定する能力によって、有用なろ材を最大にする結果、ろ過性能を高めることができる。
【0014】
本発明に従って作製されたプリーツ加工されたろ材は、製造中、ろ材にほとんど歪みがないようにテーパ付きフルートを構成でき、比較的非伸張性のろ材を、プリーツ加工されたろ材パックの一方のプリーツ面から他方のプリーツ面まで一方向に延びるテーパ付きフルートに形成できるようにする点で、さらに好都合である。高セルロース含有量を有するろ材は、低コストであるゆえに望ましいことが多く、および本発明は、ろ材に許容できない損傷をもたらすことなく、高セルロースろ材を取り入れ、かつ好適なテーパ付きフルートを形成することを可能にする。同様に、ろ材に許容できない劣化をもたらすことなく、高ガラス繊維含有量を有するろ材を使用でき、かつテーパ付きフルートに形成できる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明に従って作製されたろ材プリーツパックにはフルートが構成され、それらフルートは、異なるフルート形状を有し、プリーツパックの上流側および下流側の開放体積を異ならせるようにし、この特性は、本明細書では、プリーツパックの体積の非対称性と称する。このプリーツパックの体積の非対称性は、一部の実施形態では、汚染物質の貯蔵を促進し、流量を高め、およびろ過を良好にし得る。プリーツパックの体積の非対称性は、浅いプリーツパックを有するフィルタ構成の性能を高めるのに特に役立ち得る。プリーツパックの体積の非対称性は、フルートのテーパ付けとは異なるが、体積の非対称性とテーパ付けとの組み合わせは、プリーツパックの性能および有用寿命を著しく改善し得る。確かに、フルートのテーパリングを使用して、体積の非対称性を生み出すまたは増大することができる。
【0016】
本発明はまた、プリーツ加工されたろ材パックにも関する。語句「プリーツ加工されたろ材パック」は、折り畳み、プリーツ付け、または三次元ネットワーク状にろ材を形成することによって構成または形成されたろ材パックを指す。プリーツ加工されたろ材パックは、より簡単に、ろ材パックと呼ぶことができる。プリーツ加工されたろ材パックは、任意選択で、フィルタエレメントに見られる他の特徴(シール、シール支持材、およびプリーツパック端部封入を含む)と組み合わせることができる。概して、プリーツ加工されたろ材パックは、第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有するろ材を含み、このろ材は、前後配置されている第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間に延在する。
【0017】
折り目は、一般に、ろ材の縦方向を横断して形成されるが、これは必須ではない。折り目は、縦方向を横断する角度とは異なる、ある角度を形成できる。第1の面は、概して、プリーツ加工されたろ材の入口または出口であり、第2の面は、ろ材の入口または出口の他方である。例えば、ろ過されていない流体は、第1の面を経由してプリーツ加工されたろ材パックに入ることができ、ろ過された流体は、第2の面を経由してプリーツ加工されたろ材パックを出ることができる、またはその反対である。
【0018】
本発明に従って作製されたプリーツ加工されたろ材は、パネル型フィルタ、シリンダー状フィルタ、および円錐形フィルタを含め、多数の形状および構成に組み立てることができる。パネル型フィルタでは、プリーツ加工されたろ材は、一般に、平面的またはパネル構成に延在し、第1の組のプリーツの折り目から形成されたプリーツ加工されたろ材の第1の面(プリーツ先端部とも呼ぶ)と、第2の組のプリーツの折り目から形成されたプリーツ加工されたろ材の第2の面(プリーツ先端部とも呼ぶ)を有する。プリーツの折り目によって形成された第1の面および第2の面は、ほぼ平行にある。流体は、一方の面を通ってパネル型フィルタへ流れ込み、他方の面を通ってパネル型フィルタから流出する。
【0019】
シリンダー状または円錐形フィルタでは、プリーツ加工されたろ材は、全体的に、チューブまたは錐体(または、チューブまたは錐体の部分的なセクション)に形成され、プリーツ加工されたろ材の第1の面(第1の組のプリーツの折り目によって形成される)は内部面を形成し、プリーツ加工されたろ材の第2の面(第2の組のプリーツの折り目によって形成される)は外側面を形成する。空気ろ過のためのシリンダー状および円錐形フィルタの場合、空気は、一般に、外側面から内部面へ、フィルタエレメントに流れ込む(または、逆流フィルタと呼ばれることもあるフィルタでは、その逆である)。
【0020】
本発明の上述の概要は、本発明に開示する各実施形態を説明するものではない。これは、以下の詳細な説明および特許請求の範囲の目的である。
【0021】
本発明を、添付の図面と併せて、以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することから、より完璧に理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の原理によるフィルタエレメントの斜視図である。
【図2】図2Aは図1のフィルタエレメントの前面図である。図2Bは図1のフィルタエレメントの拡大前面図である。
【図3】図3Aは図1のフィルタエレメントの背面図である。図3Bは図1のフィルタエレメントの拡大背面図である。
【図4】フィルタエレメントを、図5A−5Cに示す断面に分割した一連の平面を示す、図1のフィルタエレメントの側面図である。
【図5】図5Aは図4の平面A−A’に沿って取った、図1のフィルタエレメントからのろ材の拡大断面である。図5Bは図4の平面B−B’に沿って取った、図1のフィルタエレメントからのろ材の拡大断面である。図5Cは図4の平面C−C’に沿って取った、図1のフィルタエレメントからのろ材の拡大断面である。
【図6】図1のフィルタエレメントから取ったろ材のシートの一部分の拡大斜視図である。
【図7】図1のフィルタエレメントから取った個別のフルートの拡大斜視図である。
【図8】図8Aは図7の線A−A’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。図8Bは図7の線B−B’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。図8Cは図7の線C−C’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。図8Dは図7の線D−D’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。
【図9A】図9A−9Cは本発明の原理によるろ材の概略的な拡大断面図である。
【図9B】図9A−9Cは本発明の原理によるろ材の概略的な拡大断面図である。
【図9C】図9A−9Cは本発明の原理によるろ材の概略的な拡大断面図である。
【図10】本発明の実装例に従って構成されたフルート付きろ材の拡大断面図である。
【図11A】図11Aは本発明の原理によるろ材パックの一部分の概略的な拡大断面図である。
【図11B】図11Bは本発明の原理によるろ材パックの一部分の概略的な拡大断面図である。
【図12】本発明の原理によるプリーツ加工されたろ材パックの一部分の端面の斜視図である。
【図13】本発明の実装例に従って作製されたろ材パックの一部分の部分的な拡大斜視図である。
【図14】本発明の実装例に従って作製されたフルート付きろ材のシートの部分的な拡大斜視図である。
【図15】エンボス加工されたフルートを備えたろ材の連続シートの部分的な上面図である。
【図16】エンボス加工されたフルートを備えて形成されたろ材の連続シートの部分的な上面図である。
【図17】フルートの有効内径を測定する方法を示す、本発明の原理によるフルートの拡大された走査断面画像である。
【図18】本発明の実装例に従ってフルート付きろ材を形成するための装置の概略図である。
【図19】図19Aは平坦な連続シートからフルート付きのおよびプリーツ加工されたろ材へ変換されるろ材のシートの概略的な上面図である。図19Bは平坦な連続シートからフルート付きのおよびプリーツ加工されたろ材へ変換される図19Aからのろ材のシートの概略的な側面図である。
【図20】本発明の実装例に従って作製されたバンチング(bunching)機構の側面の斜視図であり、バンチング機構は、後でフルートを形成するためにろ材をウェブ横断方向に集めるように構成されている。
【図21】本発明の実装例に従って作製されたバンチング機構および造形ローラの側面の斜視図であり、バンチング機構は、後でフルートを形成するためにろ材をウェブ横断方向に集めるように構成されている。
【図22】本発明の実装例に従って作製された造形ローラの側面の斜視図であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図23】本発明の実装例に従って作製された代替的な造形ローラの側面の斜視図であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図24】本発明の実装例に従って作製された造形ローラの分解斜視図であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図25】本発明の実装例に従って作製された造形ローラの断面であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図26】図25に示す造形ローラのセグメントの斜視図である。
【図27】図27A−27Cはセグメント化ニップローラ上のスコーリング棒の様々な間隔を示す概略的な断面図であり、スコーリング棒は、連続的なろ材に適切なプリーツの折り目を形成するように構成されている。
【図28】本発明の実装例によるフルート付きろ材を形成する装置の概略図である。
【図29】本発明の実装例によるフルート付きろ材を形成する装置の概略図である。
【図30】本発明の原理によるシリンダー状ろ材パックの一部分の斜視図である。
【図31】図30のシリンダー状ろ材パックの一部分の斜視図であり、およびろ材パックを通って外側から内側への流体の流れを示す。
【図32】一部分を切り欠いた、シリンダー状フィルタエレメントの側面の立面図である。
【図33】図32のシリンダー状フィルタエレメントの斜視図である。
【図34】円錐形フィルタエレメントの1つのタイプの概略的な側面の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図面は、本発明の全体像であると考えられ、本発明の全ての実施形態を包含するように描かれているわけでも、常に縮尺通りに描かれているわけでもないことを理解されたい。本発明に従って作製されたろ材は、概して変形を示すことも理解されたい。
【0024】
本発明は、様々な修正形態および代替形態の影響を受けるが、それらの詳細は、一例としておよび図に示しており、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、説明の特定の実施形態に限定されるわけではないことを理解されたい。反対に、本発明の趣旨および範囲内にある修正物、等価物、および代替物を網羅するものである。
【0025】
本発明は、プリーツの折り目間に一方向に延在するフルートを含むプリーツ加工されたろ材、およびろ材プリーツパック、ならびに、プリーツ加工されたろ材およびろ材プリーツパックを作製するための方法および機器に関する。フルートは、ろ材に形成された三次元構造であり、プリーツ表面に沿って好都合な流路を提供し、ろ材に流体を好都合に流すことを可能にし、および効率的な汚染物除去をもたらす。
【0026】
ろ材およびプリーツパックのフルートの少なくともいくつかは、テーパが付けられた幾何学的形状を有する。テーパ付けは、一般に、フルート長の少なくとも一部分に沿って、フルートの幅、高さ、および/または断面積を変更することによってなされる。特定のフルートの断面積は、フルートの一方の端部から他方の端部まで変化し得るが、フルートの幅またはフルートの高さにもテーパが付けられる必要はない。実際、一部の実装例では、幅、高さ、またはそれら双方が、フルート長に沿って一定または実質的に一定である一方、フルートの断面積は変化する。他の実装例では、フルートの高さおよび幅は、それらの長さに沿って変化する。
【0027】
幅、高さおよび/または断面積の変化は、フルート長に沿って漸次的であることが多いが、一部の実装例では、段階的、あるいは非漸次的とし得る。多くの実装例では、テーパ付きフルートは、フルート長の全てまたはほとんどに沿って実質的に均一のテーパであることを示している。しかしながら、一部の実装例では、フルート長に沿って変化するテーパを有することが可能であり、そのため、テーパは均一ではない。一部の実装例では、1つ以上のフルートの一部分のみがテーパを備える一方、1つ以上のフルートの他の部分は実質的に直線状であることを可能とし得る。概して、テーパ付きフルートは、それらの長さに沿って広がってから狭くなったりしない。換言すると、一般に、断面積が小さくなるようにテーパが付けられるフルートは、断面積が大きくなるようなテーパには切り替わらない;および断面積が大きくなるようにテーパが付けられるフルートは、断面積が小さくなるようなテーパにはならない。しかしながら、一部の実装例では、長さの一部分に断面積が小さくなるようにテーパが付けられた後で、断面積が大きくなるようなテーパが付けられ、次いで、再び断面積が小さくなるようにテーパが付けられるフルートなど、非連続的なテーパ付けも起こり得る。そのような一部の実装例では、フルートの断面積の始まりと終わりは変化しないが、フルートの部分に沿って断面積のテーパ付けが発生する。
【0028】
プリーツ加工されたろ材にテーパ付きフルートを使用することは、ろ過性能に関して大きな利益を有し得る。例えば、テーパ付きフルートは、ろ材を流れる流体に利益をもたらしつつ、より深いプリーツパックが使用できるようにする。そのような利益は、(流体がろ材パックに流入する)前面付近のろ材パックの上流側の断面積が比較的大きなフルートを、同様に比較的大きな断面積を有する、(流体がろ材パックから流出する)背面付近のろ材パックの下流側の対向するフルートと共に有することによって、実現できる。上流および下流のフルート断面積のこの変化は、プリーツパックに流入する流れに関連したプリーツパックの面積収縮による入口圧力損失、およびプリーツパックから流出する流れに関連したプリーツパックの面積拡大による出口圧力損失を減らす。流れの均一性は、流れがフルートに沿って、およびテーパ付きフルートによって形成されたろ材を通って移動するにつれ、ろ材および/またはチャネルの圧力損失を有益に減らすために使用され得る。フルート中の、ろ材を流れるより均一な流れは、フルート内により均一なダスト負荷をもたらすことができる。次いで、テーパ付きフルートを使用して、プリーツパックの初期の圧力低下を小さくし得る。初期の圧力低下を小さくし、かつフルートに沿ったろ材の流量分布に影響を及ぼすことによって、フィルタのダスト容量(フィルタ寿命)を増加させるためにテーパ付きフルートを使用し得る。圧力損失を減らし、かつ流れの均一性を高めることによって、テーパ付きフルートはまた、フィルタエレメントを流れる流体の逆流によってパルス式に洗浄されるろ材に特に好適となる。テーパ付きフルートを備えるプリーツ加工されたろ材はまた、様々な他のろ過用途にも有用とし得る。
【0029】
プリーツ加工されたろ材パックを使用して、ガス状または液状物質とし得る流体をろ過できる。ろ材を使用してろ過できる例示的なガス状物質は空気であり、ろ材を使用してろ過できる例示的な液状物質は水、油、燃料、および液圧流体を含む。ろ材パックを使用して、ろ過されるべき流体から構成成分の少なくとも一部分を分離または除去できる。構成成分は、汚染物、または除去または分離の対象となる別の物質とし得る。例示的な汚染物および除去の対象となる物質は、固体、液体、ガスまたはこれらの組み合わせと特徴付けられるものを含む。汚染物または除去の対象となる物質は、粒子状物質、非粒子状物質、またはこれらの混合物を含み得る。除去の対象となる物質は、ろ材によって捕捉できる化学種を含み得る。構成成分および汚染物の除去への言及は、完全な除去もしくは分離または部分的な除去もしくは分離を指すことを理解されたい。
【0030】
ここで図面を参照して、本発明の様々な例示的な実施形態を説明する。図1〜6は、本発明に従って構成された例示的なフィルタエレメントを示す。この例示的なフィルタエレメントの対向プリーツ面上の例示的なフルートを、フルートの全長にわたって実質的に接触させて示しているが、本発明のフルートは、それらの長さにわたって接触させなくてもよいし、またはごくまれにのみそれらの長さにわたって接触させてもよいことが理解される。図1は、正面斜視図からのフィルタエレメント100を示す。フィルタエレメント100は、プリーツ加工されたろ材110を取り囲むフレーム102を含む。ろ材110の前面108を図1に示し、ろ材110の対応する背面109を図3に示す。さらに、フレームは、右側面104、左側面105、上部106、および底部107を有する。
【0031】
図2Aは、図1に示すフィルタエレメント100の概略的な正面図を示し、図2Bは、プリーツ加工されたろ材110の前面の単純化した拡大図を示す。プリーツ加工されたろ材110の拡大図は、多数のプリーツの先端部122を含むプリーツ120の端面を、各プリーツ間の空間124と共に示す。プリーツ加工されたろ材の拡大図は、実質的に概略的な図に留まるため、実際のろ材の詳細な図を意図したものではないことを理解されたい。
【0032】
ろ材110の前面108は、一般にフィルタエレメント100の「上流」側であり、背面109(図3Aおよび3Bに図示)は、フィルタエレメント100の「下流」側である。それゆえ、典型的な実施形態では、フィルタエレメント100を通る流体の流れは、前面108から入ってフィルタエレメントの内部を通過した後、背面109から(ろ材110を通過して)出る。図3Bに示す背面109は、プリーツ先端部123を備える複数のプリーツ121と、プリーツ121間の空間125とを含むプリーツパック表面の単純化した概略図を示す。
【0033】
ここで図4、5A、5B、および5Cを参照すると、これら図は、本発明の教示に従って作製されたテーパ付きフルートを有する、プリーツ加工されたろ材の例の別の詳細を示す。
【0034】
図4は、図1に示すフィルタエレメント100の右側パネル104を示す。平面的断面図A−A’、B−B’、およびC−C’を図5A〜5Cに示す。平面的断面図A−A’は、エレメント100の前面108付近で取られたエレメント100の断面に対応する;平面B−B’は、前面108と背面109との間のほぼ中間の、エレメント100の中心付近で取られたエレメント100の断面に対応する;平面C−C’は、エレメント100の背面109付近で取られたエレメント100の断面に対応する。断面図A−A’およびB−B’は、前面108および背面109に非常に接近させて取ることができるが、一般に、プリーツの折り目が付けられる箇所のフルートには少なくとも適度な変形がある。それゆえ、図5A〜5Cは、プリーツの折り目に近い部分の断面を示すが、プリーツの折り目のすぐ隣である必要はない。
【0035】
図5Aは、平面A−A’に沿って取ったろ材110の拡大図を示す。ろ材パックの上流と考えられるフルートは、「in」と表示して特定する(流体が、これらフルートにおいてプリーツパックに流入するため)一方、ろ材パックの下流に指定されるフルートは、「out」と表示して特定する(流体が、これらフルートにおいてプリーツパックから流出するため)。図5Aは、隣接する下流フルート220で囲まれた上流フルート210を示す。上流フルート210によってプリーツパックに入る流体は、フルートに沿って流れることができるが、最終的にはろ材110を通過し、その後、下流フルート220によってプリーツから出る(実際のプリーツの折り目を通過する少量の流体を除いて)。
【0036】
図5Aでは、上流フルート210は、(図4の位置A−A’において)下流フルート220よりも遙かに大きい断面積を有することが観察される。図5Aでは、ろ材110の隣接する層間に比較的小さいマスキングしかないことも観察される。フルートがフィルタエレメントにより深く延在すると、上流フルート210の断面積が減少、または小さくなり始める一方、下流フルート220の断面積が増大、または大きくなり始める。フィルタエレメントの中心の近くでは(図5Bに図示)、下流フルート220の断面積は実質的に上流フルート210と等しい。テーパリングは、上流フルート210の断面積が下流フルート220よりも著しく小さい、図5Cに示す断面まで続く。注目すべきは、このかなりの量のテーパリングが、フルートの高さおよび幅を維持したままフルート長に沿ってマスキングを全く増やすことなく図示の実施形態で達成されたこと、および上流および下流フルートが各々、実質的に同じ周囲の長さのろ材を有して各フルートを形成することである。この例では、各フルートの断面積のみがフルート長に沿って変化する。下記で詳細に説明するように、代替的な実施形態ではフルート高さおよび幅を変更できる。それゆえ、図5A〜5Cは、プリーツ加工されたろ材に構成されたテーパ付きフルートの有用な実施形態を示すが、本発明の範囲に留まる限り代替形態が可能である。
【0037】
図5A〜5Cから、テーパ付きフルート構成は、隣接するフルート間の比較的少量のろ材マスキングによって達成され、かつろ過に利用可能な表面積には変化が全くないことも観察される。換言すると、フルートのテーパ付けは、上流または下流フルートのいずれかに露出するろ材の量を変化させずに行う。図5A〜5Cのテーパ付きフルートの構成は、前面付近のろ材の上流側に大きな開放フルートを有し、および背面付近のろ材の下流側も大きな開放フルートを有する実装例を示す。この結果、2インチ超の深さ、6インチ超の深さ、および特に10インチ超の深さのものを含め、比較的深いプリーツ加工されたフィルタエレメントなど、多くの状況においてろ過性能を高めることが可能となる構成をもたらされる。
【0038】
図6は、図5A〜5Cに示すフルートと一致するフルートの幾何学的形状をもたらすろ材250のシートの断面を示す。ろ材250のシートの断面は、テーパ付きフルートが比較的大きな上流フルート252から比較的大きな下流フルート254までどのように変形するかを明らかにする。縮尺通りではない斜視図で示されるこの図では、符号X0およびX1を使用して、プリーツ加工されたろ材の幅(または、4つのフルートの幅である少なくとも図示の断面)を示す。全体的に、プリーツ加工されたろ材は、X0およびX1が等しくなるように形成され、これにより、垂直な側面を有するろ材を容易に形成できるようになる。しかしながら、一部の実装例では、X0をX1よりも大きくも小さくもできることを理解されたい。そのような構成では、X0とX1の差は、プリーツパックの前面の寸法がプリーツパック背面の寸法とは異なるプリーツパックを有することによって、示すことができる。そのような変形形態は、全ての応用に好適ではないが、プリーツパックの幾何学的形状を変更する能力は、一部の実装例では好都合である。
【0039】
追加的な意義を有するのは、図6で明白な、大きなフルート断面積から小さなフルート断面積への(および小さなフルート断面積から大きなフルート断面積への)テーパ付き移行部が、ろ材シート250を大きく歪ませることなく、形成できることである。特に、フルートは、ろ材を過度に伸張させることなく形成できる。なぜなら、フルートを形成するろ材の長さが、側面256から258へ測定するときに、全体的に、プリーツパックの前面からプリーツパックの背面へプリーツ表面に沿って等しいためである(例えば、長さは、図4に示すように断面A−A’、B−B’、およびC−C’で測定すると実質的に同じである)。それゆえ、いくつかの実施形態では、ろ材の前縁部257に沿って辿った距離は、後縁部259に沿って辿った距離と等しいまたはほぼ等しくし得る。それゆえ、ろ材の過度の伸張は、一般にフルートの幾何学的形状の形成には発生しない−高セルロースろ材およびガラス繊維ろ材、ならびに劣化しない限りは容易に伸張しない他のろ材を使用する、フルート付きろ材の作製に非常に重要とし得る特性である。例示的な実装例では、ウェブ横断方向のろ材の伸張量は10%未満であり、7.5%未満であることが多く、および望ましくは5%未満である。
【0040】
本発明の実装例に従って作製されたフルート付きろ材の別の態様は、図7を、図8A、8B、8C、および8Dに示す断面と共に参照することによって明らかにされる。フルート252は、大きな上流開口部を備える前面から、小さな上流開口部を備える背面までテーパが付けられていることが示されている。このテーパの形成状態は、平面A−A’;平面B−B’;平面C−C’;および平面D−D’に沿って取った断面を検討することによって明らかとなる;それぞれ図8A、8B、8C、および8Dに対応する。図8Aでは、ろ材255の下側の体積は、フルート252の内部からろ材を外方に延出させるようにする稜部270を有することによって、大きくされる。加えて、フルート252は、隣接するろ材からわずかに上向きに突出する頂点260を含む(マスキングを減らすために)。頂点260のこの上向きの突出は、比較的かすかであり、目視観察することは困難であるが、それでも、これにより、ろ材のマスキングを減らす助けとなる。
【0041】
フルート252の下流に進んで、図8Bに示す断面B−B’において、頂点260は、よりはっきりと規定されている。加えて、図8Aの頂点260の各側の単一の稜部270は、頂点260の各側で2つの稜部270に分散している。2つの稜部は、フルートの形状を修正するのを助け、フルート252の断面積は、図8Aに示すものから減少し始めている。この変化は、図8Cの断面C−C’でも続いており、頂点260はそのままであるが、頂点260の各側の2つの稜部270は、頂点260からさらに離れるように動いており、それにより、フルート252の断面積はさらに削減されている。最後に、断面D−D’に沿って取ったフルート252の突き当たりでは、フルートの断面積はさらに小さく、頂点260が非常に輪郭が明確に規定されるが、稜部270は1つのみが明白である。これは、第2の稜部がフルート252の縁部257と1つになるためである(これは同様に、隣接するフルートの頂点に対応する)。図7および図8A〜8Dに示すフルートの幾何学的形状は、テーパ付きフルートの形成方法を示す例示的な実施形態を説明するが、そのようなフルートが形成できる排他的な方法を示すことを意味するものではない。
フルートの特徴およびフルート付きろ材の特性
以下、フルート稜部の存在、フルートの幅および高さ、フルートのコード長、ろ材コード百分率、ろ材体積の非対称性、フルートの密度、フルート頂点の半径、およびフルートの向きを含め、本発明に従って作製されたテーパ付きフルートの特徴について説明する。
フルート稜部
ここで図9A〜9Cを参照すると、テーパ付きフルートの構成に好適な様々なフルート付きろ材シートの断面図が示されている。図9A〜9Cは、全ての許容可能なフルートの幾何学的形状の縮尺通りの図ではなく、単に例示的な実装例を意図したものであることに留意されたい。
【0042】
図9Aでは、フルート付きろ材シート300のセグメントをフルート310と共に示す。加えて、ろ材シート300はまた、フルート310間にフルート312を形成する。図9Aには示されていないが、ろ材310は、一般に多数の追加的なフルートと共に延在し、および図5A〜5Cに示すように、ろ材パックには追加的なろ材シートが存在する。フルート付きろ材シート300は、優れたろ過性能をもたらすいくつもの特徴を明らかにする。ろ材シート300のフルート310の1つの特徴は、頂点301および303における最も高い範囲が、単純な曲面ではなく、鋭い先端または点を有することである。鋭い先端または点は、比較的小さい半径からなるフルート先端部のモデルによって近似され得る。半径が大きいと、対向するプリーツ面からの隣接するフルートが接触する際にろ材のマスキングを大きくするため、鋭い先端は有用とし得る。フルート310は、頂点302および304をさらに有する。ろ材シート310の頂点302、304は、頂点301および303よりも大きく湾曲している。しかしながら、他の実装例では、頂点302および304を、同じように比較的鋭くなるように構成できる。フルート頂点301および303を、隣接する第1の側面の頂点と称し、頂点302および304を、隣接する第2の側面の頂点と称することができる。第1の側面の頂点としてのいくつかの頂点および第2の側面の頂点としての他の頂点の特性は、任意であり、所望であれば、逆にできる。
【0043】
フルート310は、フルート310の内部体積および形状を規定するのを助ける一連の稜部308を有する。稜部は、ろ材をその箇所で変形させた結果として、ろ材に形成できる。ろ材に圧力を加えた結果として、ろ材は稜部で変形できる。稜部308の位置の変更は、フルート310のテーパに著しい影響を及ぼす一方、同時に、対向するフルート312のテーパも変更する。それゆえ、例えば、稜部308が低いプリーツ頂点304の方へ移動すると、フルート312の断面積を大きくする一方、フルート310の断面積を小さくし得る。そのような一部の実装例では、フルートの相対的な幅対高さの比が変化することがある一方、他の実装例では、この比は実質的に一定のままとなる。
【0044】
フルート付きろ材300は、各フルート310に2つの稜部308を有するものとして示す。稜部308は、フルートの長さの少なくとも一部分に沿って延在する。一部の実施形態では、各稜部308は、フルート付きろ材の比較的平らな部分308aが、フルート付きろ材の比較的急な部分308bに接合する領域全体として特徴付けられ得る。用語「稜部」の使用は、頂点とはみなされないろ材の一部分を特徴付けるものである。すなわち、稜部は頂点間に設けることができ、稜部は非頂点とみなすことができる。稜部は、ろ材の異なる傾斜部分間の交線とみなすことができる。
【0045】
一部の実装例では、稜部の出現は、ろ材自体が不規則であるために、幾分曖昧である。稜部の特性は、フルート頂点と混同されるものではない。全体的に平らな部分308aおよび全体的に急な部分308bの特性は、稜部308の存在を特徴付ける1つの方法を意図している。概して、平らな部分308aおよび急な部分308bは、ある程度の曲線を示してもよい。すなわち、平らな部分308aおよび急な部分308bは、特に空気または液体などの流体がろ過中にろ材を通って流れる際に、完全には平面的ではないことが予測される。より具体的には、稜部は、フルート付きろ材の断面のプロファイル内のろ材の実質的に異なる傾斜部分間の移行領域とし得る。稜部は、しわまたは曲りなどの(例えば、図9Aの308参照)ろ材の曲率の不連続性を特定する。移行部は、比較的急激とし得る。通常の使用下では、稜部は、他の隣接するプリーツからの稜部とは接触しない。稜部は、フルートの断面積のカスタマイズおよび最適化を可能にし、比体積内のろ材の量を増やし、および対向するろ材表面のフルート間のマスキングを減らすのを助けることによって、ろ材パックを通る流体流れおよびろ過の効率を高める。
【0046】
適切な稜部は、フルートの高さまたは幅を変更することなく、およびろ材を著しく伸張させる必要なく、フルートの断面積のテーパ付けに特に有用である。また、稜部は、フルートの全表面積を変更することなく、断面積をテーパ付けによって変化させることを可能にし得る。
【0047】
例示的なフルート付きシート300の場合、フルート付きろ材の比較的平らな部分308aが、図9Aでは、頂点301と稜部308との間に延在するフルート付きろ材の部分として分かる。フルート付きろ材の比較的急な部分308bは、頂点302から稜部308へ延在するろ材の部分として特徴付けることができる。図9Aに示すろ材の稜部の存在によって、隣接する頂点301および302におけるマスキングを減らすのを助ける。稜部308が存在することによって、隣接する頂点間(例えば、頂点301と302との間;または301と304との間)に存在するろ材の量を増やすのを助け、かつ頂点を鋭くするのを助ける。
【0048】
稜部を使用して作製されたテーパ付きフルートはまた、一般にテーパ付きの稜部、例えば、互いに向かって集まる、互いから別れる、またはフルート頂点で合流する稜部を有することも観察される。そのように集まることは、上述の、例えば、図7および図8A〜8Dにおいて明らかである。
【0049】
稜部は、しわ付け、曲げ、折り畳み、圧印、または、フルート付きろ材を形成する最中にフルート付きシートのある長さに沿ってろ材を操作する結果、形成できる。フルート付きろ材の形成ステップの最中に、稜部を固定するステップを行うことが望ましいかもしれないが、必須ではない。稜部の固定は、稜部のろ材内の残留応力を除去し、ろ材が、形成された形状に留まる傾向を有するようにすることを意味する。例えば、稜部は、熱処理または水分処理またはそれらの組み合わせによって固定できる。加えて、稜部を固定する追加的なステップがなくても、稜部は、しわ付け、曲げ、または折り畳みの結果、存在できる。
【0050】
稜部の存在は目視観察によって検出できる。稜部の存在は、フルートのプリーツの折り目が不明瞭であるゆえ、フルートの端部を見ても特にはっきりしないかもしれないが、フィルタエレメントを切り込んで、稜部がフルートの長さに沿って延在していることを見てもよい。さらに、稜部の存在は、(一部の実装例では)フィルタエレメントにダストが詰まっており、フルート付きシートを剥がして、フルート付きろ材の稜部に対応する稜部を有するダストの固まりを見せるという技術によって、確実に示すことができる。ダスト表面の固まりの2つの部分が交差していることは、稜部であることのインプレッションを与え、ろ材の曲率が不連続であることを明らかにする。例示的な実装例では、フルート内にダストの固まりを作るために、ろ材に詰めてフルートを満たすのに使用できるダストは、ISOファインテストダスト(ISO Fine test dust)として特徴付けることができる。清浄なフィルタエレメントに硬化可能な樹脂(エポキシなど)を含浸させてから、セグメントに切り分けることは、本発明に従って作製されたテーパ付きフルート内部の幾何学的形状を確認するために、さらに効果的な技術である。稜部は、非常に微妙なものでも、この技術を使用して特定できる。
【0051】
稜部は非常に有用であるが、稜部の数がかなり少ない、稜部があまり広範囲にわたっていない、または稜部が全くない、好適なテーパ付きフルートを有することも可能である。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックのフルートの25%未満が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を有する。あるいは、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックのフルートの50%未満が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含む。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックのフルートの少なくとも75%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含むことを理解されたい。
【0052】
稜部の存在の特性は、稜部はフルートのある長さに沿って存在するが、必ずしもフルートの全長に沿っては存在しないことを意味することを理解されたい。概して、稜部を、得られるろ材に所望の性能、特にテーパ付き形態をもたらすのに十分な長さだけ、フルートに沿って設ける。稜部は、フルートの全長に延在してもよいが、稜部が、例えば、プリーツまたは折り畳みなどのフルートの端部における影響の結果、フルートの全長(フルート長の100%)に延在しないことも可能である。
【0053】
好ましくは、稜部は、フルート長の少なくとも10%、より一般には、フルート長の25%に延在する。一例として、稜部は、フルート長の少なくとも30%、フルート長の少なくとも40%、フルート長の少なくとも50%、フルート長の少なくとも60%、またはフルート長の少なくとも80%に延在できる。そのような稜部は、フルートの長さに沿って連続してまたは不連続に延在できる。また、稜部は、フルートに沿って一様に分布できるか、またはフルートの長さに沿って一様でなく位置決めできる。例えば、いくつかの実施形態では、ろ材パックの上流面または下流面のいずれかの付近でより多数のまたはより少数の稜部を有するように分布したフルートを有することが望ましいかもしれない。加えて、フルート上の稜部の位置は、テーパを修正するために変更できる。
【0054】
例えば、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を有し、その稜部は、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも25%に延在する。あるいは、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含み、その稜部は、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも50%に延在する。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも50%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含み、その稜部は、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも50%に延在することを理解されたい。
【0055】
代替的な設計も考慮され、かつ本発明の範囲内にある。例えば、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも25%は、隣接するフルート頂点間に、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも10%に沿って延在する稜部を有する。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも50%は、隣接するフルート頂点間に配置されかつ第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも10%に沿って延在する少なくとも1つの稜部を有する。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも10%は、隣接するフルート頂点間に、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも10%に沿って延在する少なくとも1つの稜部を有する。
【0056】
本発明の1つの利点は、一般にフルート高さ、フルート幅、鋭いフルート頂点、および任意選択でフルートに沿った1つ以上の稜部を含むフルートの幾何学的形状によって、ろ材プリーツパックにより多くの量のろ材全表面積を含ませることができ、最小限のマスキング、およびろ材を過度に伸張させないろ材のテーパリングで、そのろ材の活用を改善することである。これは、フィルタエレメントのサイズを大きくすることなく、ろ過性能を高める能力をもたらす。
【0057】
しかしながら、1つの稜部または2つの稜部が、隣接する頂点間毎に存在すること、または繰り返しパターンがあることを要しない。一部の実装例では、少なくとも25%のフルートは、隣接する頂点間に少なくとも1つの稜部を有して、稜部が存在することの利益を達成することを示している。さらに一層好ましくは、少なくとも50%のフルート、および一層好ましくは100%のフルートが、フルートの隣接する各頂点間に少なくとも1つの稜部を有していることを示す。
フルート幅、高さおよびろ材長
フルート頂点301、303および稜部308が存在することによるフルート310の特性に加え、幅、高さ、およびろ材長に関してフルートを特徴付けることが可能である。図9Aのフルート310では、フルート幅D1は、頂点302の中心点から頂点304の中心点までの測定量である。あるいは、フルート幅D1は、頂点301の中心点から頂点303の中心点までの測定量とし得る。繰り返しの規則的なフルートの幾何学的形状では、D1のこれら2つの測定値は同じである。
【0058】
D1の絶対的な寸法は、用途に依存して変化する。他方で、概して、D1は、様々な用途のために拡大または縮小できる。例えば、大型のディーゼルエンジンでは、D1は、0.5インチ以上までの典型的な測定値を有し、一般的な範囲は0.1〜0.3インチとし得る。小型のガソリンエンジン用の燃料フィルタでは、D1は、0.010インチ〜0.030インチの典型的な測定値を有し得る。大型のガスタービン用のフィルタでは、D1は、一般に0.1インチ〜1.5インチとし得る。これらのフルート幅は、単に例にすぎず、およびD1は、用途に依存して可変とし得ることが理解される。また、D1は、本発明の一部の実装例ではフルートの長さに沿って変化し得ることを理解されたい。
【0059】
本発明のテーパ付きフルートのさらに別の重要な寸法は、フルート頂点303から、対向する頂点302、304によって形成された平面まで垂直に測定されたフルート高さの距離Jである。距離Jはまた、用途に依存して変化し得る。他方で、概して、Jは、様々な用途のために拡大または縮小できる。例えば、大型のディーゼルエンジンでは、Jは、0.03インチ〜0.08インチの典型的な測定値を有し得る。小型のガソリンエンジン用の燃料フィルタでは、Jは、0.03インチ〜0.08インチの典型的な寸法を有し得る。大型のガスタービン用のフィルタでは、Jは、一般に0.010インチ〜0.300インチを有し得る。例示的なガスタービンの実装例では、Jは、例えば0.5インチ未満である。これらのフルート高さは単に例にすぎず、およびJは、用途に依存して可変とし得ることが理解される。また、Jは、本発明の一部の実装例ではフルートの長さに沿って変化し得ることを理解されたい。
【0060】
フルートの幅対高さの比はまた、本発明の一部の実装例では、調整される。フルートの幅対高さの比は、フルート幅D1対フルート高さJの比である。フルートの幅対高さの比は、以下の式:
フルートの幅対高さの比=D1/J
で表すことができる。
【0061】
フルート幅D1およびフルート高さJなどの測定距離を、ろ材の平均値と特徴付けることができる。そのような測定は、各端部におけるフルート長の一定量(20%など)を除いて(プリーツの折り目を形成することによるフルートの歪みがあるため)、フルート長に沿って行うことができる。それゆえ、距離D1およびJは、フルートの端部は一般にプリーツ付けを行った結果変形しているため、フルートの端部から離して測定できる。フルートの幅対高さの比は、フルートの長さにわたって変化することも、変わらないままであることもできる。フルート高さまたはフルート幅がフルートの長さにわたって変化するテーパ付きフルートを設けることの利点は、隣接するろ材表面間が接触する可能性を低減し、それゆえマスキングを減らすことができる能力にある。
【0062】
全体的に、好適なD1/J比は、10未満であり、より一般には8未満であり、多くの場合6未満である。D1/Jが高くなりすぎる場合、フルートを通る流れは、フルートがかなり幅広であるにもかかわらず短すぎるために、制限されすぎることがある。また、圧負荷下でのフルートの著しい構造的変形が、より起こるようになり、これは、下流フルートがつぶれることとなり得る。好適なD1/J比は、1超、より多くの場合1.5超、および通常2超を含む。ほとんどの実装例では、幅対高さの比は、少なくとも約2.0であり、全体的には少なくとも2.1であり、より一般には少なくとも2.2であり、多くの場合少なくとも2.3であり、任意に少なくとも2.5であり、および任意選択で少なくとも3.0である。
【0063】
他の好適なD1/J比は、例示的な実装例では、4超、6超、または8超を含む。それゆえ、好適な範囲は、これらに限定されるものではないが、D1/J比が2〜10、4〜8、および5〜7である。しかしながら、一部の実装例では、D1/J比が極端に小さいフルートを使用できる(そのようなフルートは概して製造がより困難であるが)。例えば、1.0未満、0.75未満、および0.50未満のD1/J比が可能である。一部の実装例では、非常に高いまたは低いD1/Jの値を含むフルートは、0.5〜2.0に近い値のD1/Jを含むフルートよりも性能がよい。そのようなD1/J比の好適な範囲は、2〜8および0.075〜0.500を含む。
【0064】
フルートの幾何学的形状を特徴付ける別の寸法は、フルートの任意の所与のスポットにおけるフルートの周囲に沿ったろ材長に対応する寸法D2である。D2は、フルート付きろ材ではD1よりも長い。長さD2は、フルート付きシート300の一周期のフルート付きシート300の長さと定義される。フルート付きシート300の場合、距離D2は、頂点302から頂点304までのフルート付きシートの長さである。この距離は2つの稜部308を含む。フルート付きろ材の隣接する頂点間に1つ以上の稜部を設けることによって、距離D2は、従来技術のろ材よりも長くなり、所与の体積におけるろ材を多くし得る。1つの稜部または複数の稜部が存在する結果、例えば、稜部のないプリーツ加工されたろ材と比較して、ろ過に利用可能なろ材を多くすることが可能となる。これは特に、鋭いフルート頂点と組み合わされて、マスキングを減らすときに有益である。このろ材の増大は、マスキングをほとんどもしくは全く増やさずに、またはマスキングを減らしても達成できる。D2は、テーパ付きフルートの設計および製造における特に有用なパラメータである。プリーツの長さに沿った異なるセクションにおけるD2の値が、ろ材の歪み限度よりも大きな量で変化する場合、ろ材の破壊が発生し得る。それゆえ、プリーツ面に沿ったD2の変化を制御して、変化をろ材の歪み限度内に保つ必要がある。
【0065】
重要なフルートの幾何学的形状の追加的な態様は、フルート幅(D1)とフルートに沿ったろ材長(D2)の相対値である。D2/D1の値はまた、プリーツ加工されたろ材の説明に有用である。一部の実施形態では、第1の組のプリーツの折り目から第2の組のプリーツの折り目まで延在するフルートの少なくとも一部分は、1.0超、多くの場合少なくとも1.05、および多くの場合少なくとも1.1のD2/D1の値を含む。一部の実装例では、D2/D1は少なくとも1.15であり、他の実装例では少なくとも1.20である。D2/D1の値が高いことは、所与のフルート幅に沿って設けられたろ材の量の増加を示し、かつまた、フルートの高さJの増大ももたらし得る。一部の実装例では、D2/D1は、1.30超、1.40、または1.50である。D2/D1の典型的な範囲は、例えば、1.05〜2.0;1.10〜1.75;および1.20〜1.50を含む。
【0066】
フルートを理解するために有意義な方法を提供し得る、フルートの幅対高さの比に類似する別の性質は、「開放チャネルの幅・高さ比」である。概して、開放チャネルの幅・高さ比は、式:
開放チャネルの幅・高さ比=D1/C
に従って決定できる。
【0067】
この式では、Cは、フルート高さ(J)からろ材厚さ(T)を引いた開放チャネルのフルート高さである(図9A参照)。ろ材の性能を高めるために、概して、約2.25超、約2.5超、約2.75超、または約3超の開放チャネルの幅対高さ比をもたらすことが望ましい。開放チャネルの幅対高さ比は、好ましくは約10未満、約9.5未満、約9未満、約8.5未満、約8未満、約7.5未満、または6未満である。例示的な実装例では、開放チャネルの幅対高さ比は2〜7、3〜6、または4〜5である。
コード長、ろ材コード百分率、およびろ材の密度
ろ材の性能を高めるためにマスキングを減らすことが望ましいが、ろ材の性能を高める別の技術は、所与の体積においてろ過に利用可能なろ材の面積の量を増加させることである。図9A〜9Cに示すろ材構成は、所与の体積に存在するろ材表面積の量を増やす技術を示す。ろ材−コード百分率は、テーパ付きフルートを含むフルート構成が、ろ材パックに、いかにして所与の体積におけるろ材表面積を増やすことができるかの手法の支援となり得る。
【0068】
本発明の一部の実装例の別の態様は、ろ材のコード長(CL)が、ろ材−コード百分率を決定することを含む。コード長は、1つの頂点の中心点から、隣接する頂点の中心点までの直線距離を指す(例えば、図9Aの隣接する頂点301、302参照)。ろ材の厚さの影響を最小限にするため、コード長の測定値は、ろ材内の中心点から決定される。
【0069】
ろ材−コード百分率は、コード長(CL)の測定値を必要とする。コード長CLとろ材長D2との関係は、ろ材−コード百分率として特徴付けられる。ろ材−コード百分率は、以下の式:
ろ材−コード百分率=((1/2・D2)−CL)×100/CL
に従って決定できる。
【0070】
フルート付きろ材の隣接する頂点間に単一の稜部または複数の稜部を設けることによって、距離D2は、従来技術のろ材より長くできる。1つの稜部または複数の稜部が存在する結果、例えば、稜部のないプリーツ加工されたろ材と比較して、ろ過に利用可能なろ材をより多くすることが可能となる。ろ材−コード百分率の測定値を使用して、隣接する頂点間に提供されるろ材の量を特徴付けることができる。
【0071】
ろ材−コード百分率の測定値を使用して、隣接する頂点間に提供されるろ材の量を特徴付けることができる。例示的な実施形態では、ろ材−コード百分率は、1%超、あるいは2%超、3%、4%、または5%である。一部の実装例では、ろ材コード百分率は、7.5%超、または10%超である。ろ材コード百分率の好適な範囲は、例えば、0.1%〜15%、0.5%〜10%、および1%〜5%を含む。ろ材コード百分率は、フルートの全長に沿って常に同じではないため、本発明の一部の実装例では、フルートの少なくとも25%は、フルート長の50%に沿って、少なくとも1%のろ材−コード百分率を示す。代替的な実装例では、フルートの少なくとも25%は、フルート長の50%に沿って、少なくとも2%、3%、4%または5%のろ材−コード百分率を示す。
【0072】
隣接する頂点間に1つ以上の稜部を設ける結果、隣接する頂点間に存在するろ材が増えることは、ろ材−コード百分率によって特徴付けることができる。本発明に従って作製されたフルートの場合、ろ材−コード百分率は約1%超、約1.5%超、および約2%超である。一部の実装例では、ろ材−コード百分率は3%超であり、任意選択で4%超である。一部の実装例では、ろ材コード百分率は5%を上回り得る。ろ材−コード百分率は、概して約25%未満、より一般には約20%未満である。
【0073】
ろ材に過剰のマスキングがない、およびろ材を通る流体流れを低下させないという条件で、フィルタエレメントに比較的大量のろ材を有することも望ましい。この点で、フルート幅に対するろ材長(D2/D1)を大きくする一方、高さJは不変のままとすることは、所与の体積内でのろ材の増加に反映される。それゆえ、プリーツ加工されたフィルタ内のろ材の密度の1つの測定値は、体積に対するろ材の量の測定値である。これは、式:
D2/(D1×J)
を使用して計算できる。概して、ろ過性能を示すものとしてのろ材の密度は、他のパラメータに加えてろ材の密度に関して、プリーツ加工されたろ材を特徴付けることによって、最適にされる。
【0074】
図9Aに示すフルート断面は、本発明に従って構成されたフルートの例である。図9Bに、代替的なフルート構成を示し、隣接する頂点324と326との間に4つの稜部328および329を備えるフルート330を含むフルート付きろ材320を示している。それゆえ、ろ材の単一の周期長は、実施形態に示す4つの稜部を含む。稜部328および329は頂点324、325、および326とは異なることを理解されたい。ろ材320は、隣接する頂点間(例えば、頂点325と326との間)に2つの稜部328および329があるように、提供され得る。代替例では、3つ以上の稜部がある。
【0075】
フルート330は、図5A、5B、および5Cに示すフルートと同様である。フルート330のテーパ付けは、フルート330の長さに沿って稜部328、329の位置を変えることによって、達成できる。それゆえ、稜部328および329が緩慢に下向きに(頂点325から離れて、頂点324および326によって形成された平面に向かって)移動する場合、フルート330の断面積は徐々に減少する一方、隣接するフルート332の断面積(頂点325と327との間のろ材によって規定される)は増大する。それゆえ、フルート330を、ろ材パックの背面付近の最小面積に達するまで断面積がテーパ付けされて徐々に小さくなる好ましい「上流」フルートとし得る一方、フルート332を、ろ材パックの背面付近の最大面積に達するまで断面積が徐々に増大する好ましい「下流」フルートとし得る。
【0076】
フルート330、332の断面積を変えるために稜部328、329の位置を変えさせることによって、フルートのろ材320の全長を変化することなく、フルートに著しいテーパを形成することが可能となる。これは、少なくとも2つの理由から好都合である。第1に、ろ材の一部の領域をろ材の他の領域に折り重ねる必要があることによるなど、テーパを形成するためにろ材を浪費する必要がない。第2に、稜部328、329の位置を変えることによる、図9Bに示すテーパ付きフルートの形成が、ろ材を著しく伸張させる必要性を回避し、それにより、高セルロースろ材および他の比較的低伸張性のろ材、例えば、ガラス繊維およびセラミック繊維を含有するろ材などを使用できるようになる。
【0077】
それゆえ、頂点324、325および326に対して稜部328および329の位置を変えることによって、フルート330および332にテーパ付けする一方、同時に、頂点間の距離を比較的一定に保つ(ろ材の不規則性の限界内に)ことが可能となる。フルート330および332の高さJおよび幅D1は、(図示の実施形態では)フルートの長さに沿って変化しない。代替例では、これらの相対寸法に変化を示すテーパを形成することも可能である。例えば、フルート330の高さJは、フルートの長さに沿って低くできる一方、同時に稜部328と329との間の距離も削減できる。
【0078】
稜部328、329は、フルート付きろ材の比較的平らな部分と、フルート付きろ材の比較的急な部分とを交差させる結果、設けることができる。フルート付きろ材の比較的急な部分は、稜部329と頂点325との間に延在するフルート付きろ材の部分と特徴付けることができ、かつ、(例えば)稜部328と稜部329との間の角度を有すると特徴付けることができる。頂点325は、フルート付きろ材の平らな部分よりも上側に延在する。それゆえ、頂点325は、隣接するフルート付きろ材からの、輪郭がはっきりとした隆起であることを示し、このことは、ろ材の隣接するプリーツのフルート間のマスキングの減少に役立つ。
【0079】
ここで図9Cを参照すると、フルート350および352を含むフルート付きろ材340が示されている。各フルート350は、隣接する頂点344と345との間に少なくとも2つの稜部348および349を含む(図示の断面図でフルート当たり合計4つの稜部)。それゆえ、フルート350の長さD2に沿って、ろ材340は4つの稜部348および349を含む。フルート350および352のテーパ付けは、稜部348および349の位置を動かすことによって達成できる。フルート350の下側の面積を増やすために、図9Cに示すように、稜部348および349を、頂点345から離れて、頂点344および346に向かって移動させる。これは、フルート352の断面積を同時に削減するが、ほとんどまたは全くろ材シート340を伸張させる必要なく達成できる。テーパ付けはまた、例えば、頂点345で集まる稜部349を有することによって;頂点344および346で集まる稜部348を有することによって、または互いに集まる2つの稜部を有することによって、発生し得る。
【0080】
隣接する各頂点間に2つの稜部が有ることは必須ではない。稜部が3つ以上または1つ以下の場合もある。交互に稜部が存在するまたは隣接する頂点間の間隔に稜部が設けられることが望ましい場合、頂点間に稜部が存在しない場合もある。しかしながら、稜部が存在しない場合でも、図9Cに示す頂点345など、わずかに先の尖った頂点でも有することが望ましい。なぜなら、そのような頂点は、マスキングを有意義に減らすことができるためである。
【0081】
概して、フルートのパターンが繰り返されて、隣接する頂点間に稜部が存在する個所に、フルートのパターンを設けることができる。フルート付きシート300、320、および340を、頂点から頂点まで比較的対称的に示す。すなわち、フルートは、隣接する頂点間に同じ数の稜部を有して繰り返される。隣接する頂点は、フルート付きろ材の長さに沿って隣同士の頂点を指す。しかしながら、ろ材の一周期は、隣接する頂点間に同じ数の稜部を有する必要はなく、かつ、ろ材は、こうして非対称的と特徴付けることができる。すなわち、ろ材は、一周期の一方の半分に稜部を有し、かつ一周期の他方の半分には稜部が無いように準備できる。
【0082】
図9Aは、フルート幅である寸法D1、およびフルートに沿ったろ材長である寸法D2を採用している。本発明の典型的な実装例では、D1およびD2は、フルートの長さに沿って一定のままである。しかしながら、一部の実装例では、フルートの長さに沿ってD1またはD2のいずれかを変更することが可能であるが、そのような変更は、一般に、隣接するフルートの長さに沿ったD1および/またはD2の逆の変化によってオフセットされる。それゆえ、1つのフルートが、プリーツパックの一方の端部から他方の端部まで寸法D1が50%の総増加を示す場合、一般に、対向する隣接するフルートは、プリーツパックの一方の端部から他方の端部まで、寸法D1に50%の総減少を示す必要がある。
【0083】
隣接するフルートが、対応してD1の逆の変化を受けない場合、プリーツパックの一方の面が対向面よりも大きなまたは小さな幅を有するテーパ付きプリーツパックをもたらす。同様に、1つのフルートが、プリーツパックの一方の端部から他方の端部へ、D2に50%の総増加を示す場合、一般に、隣接するフルートは、プリーツパックの一方の端部から他方の端部へ、D2に50%の総減少を示す必要がある。ろ材の幅にわたるD2の測定値の和を一定に保つことが望ましく、そうでなければ、ろ材を著しく伸張させる必要があり、これは概して、高セルロースろ材では実現できない。ろ材全長がプリーツに沿って一方の面から他方の面に変化しないこの原理はまた、概して、プリーツの折り目にも当てはまる。プリーツの折り目が、フルート付きろ材を形成するのに使用されるろ材の幅よりも長いウェブ横断ろ材長を必要としないことが、必要である。これは、フルートの形成に必要なろ材の幅のいずれの増加もろ材の歪みを大きくするため、当てはまる。多くの合成ろ材材料は、ろ材を著しく劣化させることなく、よりそのような歪みを受けることがあるが、高セルロースろ材は、数%を超える伸張を容易には受けない。それゆえ、特に高セルロースろ材を使用する場合、プリーツの折り目が、プリーツ加工されたろ材に著しい伸張力を加えないことが望ましく、多くの場合必要である。
ろ材体積の非対称性&断面の非対称性
本発明のテーパ付きろ材の別の特性は、一部の実装例では、ろ材体積の非対称性が存在することである。ろ材体積の非対称性は、ろ材プリーツパックの一方の側(上流側または下流側のいずれか)が、ろ材プリーツパックの他方の側とは異なる体積を有するときに、発生する。そのような非対称性は、フルートが構成され、それらにテーパを付ける方法によって、生じ得る。本明細書で使用されるように、ろ材体積の非対称性は、概して、フルート頂点で囲まれた大きなろ材体積と、対向するフルート頂点によって囲まれた小さなろ材体積とのろ材体積比の測定値である(例えば、図10および11A参照)。全てではないが、いくつかの実装例では、大きなろ材体積は、上流の開放ろ材体積に対応し、小さなろ材体積は下流の開放ろ材体積に対応する(使用中、上流の体積の占有部には、ダストのような汚染物が蓄積し得る)。
【0084】
ろ材体積の非対称性は、流体流れの改善および負荷性能の向上を含め、様々な理由で有益である。一部の実装例では、ろ材は、1%超、3%超、5%超、または10%超のろ材体積の非対称性を示す。例示的なろ材構成は、15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超のろ材体積の非対称性を示す。好適なろ材体積の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%を含む。テーパ付きフルートは、ろ材体積の非対称性を組み込んで、ろ過性能をさらに高め得る。
【0085】
テーパ付きフルートを含むろ材パックはまた、任意の所与の点でのろ材の断面に基づいて計算されるろ材断面の非対称性を示し得る。テーパ付きフルートでは、断面の非対称性は、フルート付きろ材パックの深さに沿った測定個所によって変動する。断面の非対称性はろ材体積の非対称性をもたらし得るが、これは、テーパ付きろ材断面積がフルートの長さに沿って変動し、ろ材の各側の全体積が等しくなる累積効果を有するようにし得るため、いつでも当てはまるわけではないことを理解されたい。また、ろ材パックの所与の断面は、ろ材の上流側に大きな断面積を示し得るが、それに続くろ材のテーパリングによって、全体的なろ材体積の非対称性がろ材の全体積に関して下流側に有利に働くようにする。
【0086】
一部の実施形態では、ろ材パックは、ろ材の一方の側の断面積が、同じろ材の対向する側よりも少なくとも1%大きくなるように、断面の非対称性を有する。ろ材にわたる断面積の差は3%超、5%超、または10%超であることが多い。例示的なろ材構成は、15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超のろ材断面の非対称性を示す。好適なろ材断面の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%を含む。
【0087】
断面積の差は、フルート設計の幾何学的形状によって制御される。フルートに沿った稜部の存在、数、および形状が著しい影響を与えることが多く、断面の非対称性の程度を決定することが多い。フルートのテーパリングは、概して、フルート長に沿って断面の非対称性を変化させる。しかしながら、これはいつでも当てはまるわけではなく、例えば、フルートの高さJは変化するが幅D1は一定を保つ。そのような実施形態では、フルートに沿って稜部の相対位置を変えること(あるいは、フルートに沿ってろ材の分布を変えること)によって全断面積を一定に保つことが可能になることがある。
【0088】
断面積に差をもたらすフルートの幾何学的形状は、フルートを通る流れ特性に著しい影響を与え得る。フルートの相対断面積の変化は、一般に、その領域のろ材パックの上流および下流部分の断面積の変化をもたらす:ろ材パックの上流部分の断面積が増大する場合、ろ材パックの下流部分も、一般に断面積が減少する。本発明は、ろ材体積の非対称性および断面の非対称性をカスタマイズしてろ過性能を高めることができる。
【0089】
語句「ろ材体積の非対称性」によって意味することをさらに理解するために、図10〜12を参照する。図10の場合、ろ材400が、第1の理論的平面402と第2の理論的平面404との間で上下して示されている。ろ材体積の非対称性は、ろ材パックの理論的平面402と404との間の、ろ材400の一方の側をろ材400の他方の側と比較した体積差を指す。理論的平面402および404を特徴付ける1つの方法は、頂点406および408が、図11aに示すように、対向するろ材表面に接触するように、ろ材400にプリーツ付けを行って十分に詰め込むことであると考えられる。
【0090】
ろ材体積の非対称性は、ろ材パック内でのパッキング構成ではなく、ろ材のフルート構成の尺度である。ろ材の一方の側の開放断面積(図10、領域407)は、ろ材の一方の面から、ろ材の同じ側のフルートの各頂点によって規定されたラインまで延在するものとして認め得る。この領域は、ろ材の対向面と、対向するフルートの各頂点によって規定されたラインとによって囲まれたろ材の他方の側の開放断面積(図10、領域409)よりも大きい。これらの断面積は、ろ材の所与の断面にろ材断面の非対称性を規定する。
【0091】
そこで、プリーツパックの上流面から下流面まで延在する断面の非対称性は、上流体積および下流体積を、および同様に、ろ材体積の非対称性を特徴付ける。プリーツパックに対して、フルート頂点がプリーツの折り目からプリーツの折り目まで延在するまたは延在しない場合、プリーツの折り目間のろ材がほとんど曲率を示さず、実質的に平坦である(プリーツの折り目間のろ材のフルートのセクションの質量重心が実質的に平面に位置する)場合、上流ろ材体積は、上流ろ材表面、プリーツの折り目での接触面、およびプリーツの折り目の中心線までフルート頂点の上に形成された凸閉包によって取り囲まれている体積であることが分かる。下流ろ材体積は、下流ろ材表面、プリーツの折り目における接触面、およびプリーツの折り目の中心線までフルート頂点の上に形成された凸閉包によって取り囲まれている体積であることが分かる。
【0092】
ここで図11Aを参照すると、図示のプリーツパッキング構成は、最大プリーツ総数(PCMax)と特徴付けることができる。なぜなら、この構成は、フルートが歪まずに所与の体積中に最大数のプリーツが入ることを示しているからである。図11Aでは、ろ材400の断面を示しており、ろ材400自体に前後してプリーツが付けられていることを示す。ろ材体積の非対称性の計算に基づいて、図11Aに示すろ材の配置に対するろ材体積の非対称性の値は、図11Bでは頂点406同士および408同士が接触していないが、図11Bに示すろ材の配置に対するろ材体積の非対称性と同じである。従って、ろ材体積の非対称性の定義は、ろ材にプリーツ付けを行って、プリーツ加工されたろ材パックを形成する際に存在し得る、ろ材表面間の潜在的な分離を考慮している。
【0093】
実際の測定値に関して、図10の理論的平面402および404は、頂点の統計的最大値に基づいて決定される。例外的な状況は計算から除外できる。例えば、高すぎるかまたは低すぎるかのいずれかの、およびろ材のパッキング密度にあまり影響を及ぼさない偶発的な頂点があり得る。それらの頂点は、理論的平面402および404を計算するためのものとはみなされない。さらに、体積の非対称性を大きくするために、頂点が省略されたり、または平均フルート高さよりも著しく低い高さに形成されたりする場合もあり得ることを理解されたい。そのような場合、頂点高さが低いことは、パッキング密度の計算に影響を及ぼさない。概して、パッキング密度は、図11Aに示すように、ろ材表面の頂点がちょうど接触するような所与の体積に利用可能なプリーツ数を指す。
【0094】
「ろ材体積の非対称性」を計算する利点は、ろ材に基づいてろ材の体積(上流体積および下流体積)を計算でき、および結果が、フィルタエレメントの実際の上流体積および下流体積とは異なり得ることである。例えば、ろ材を、頂点が実質的にちょうど互いに接触するようなパネルとして配置できる。その場合、フィルタエレメントの上流体積および下流体積は、「ろ材体積の非対称性」の計算と一致する必要がある。
【0095】
しかしながら、代わりに、ろ材を、頂点が互いに接触しないような構成に配置できる。例えば、ろ材表面を、パネル型フィルタエレメントにおいて互いに十分に分離するか、またはシリンダー状フィルタエレメントの典型的な場合のように、互いに分離することができる。そのような場合、フィルタエレメントにおける体積の非対称性は、「ろ材体積の非対称性」の計算とは異なると予測される。従って、「ろ材体積の非対称性」の計算を使用することは、ろ材自体に基づきかつフィルタエレメントへのろ材の配置またはパッキング方法に関わらず、ろ材パックに対する体積の非対称性(または体積の対称性)の計算を正規化する技術である。値を得ることができる別の計算は、フィルタエレメントにおける実際の体積の非対称性である。フィルタエレメントに対する実際の体積の非対称性は、エレメントの上流側とエレメントの下流側との間の体積の差から生じる体積の非対称性を指す。ろ材の構成(例えば、パネルまたはシリンダー)は、この値に影響を及ぼす。
【0096】
ろ材断面の非対称性はまた、フィルタエレメントを検査することによって計算できるが、断面積は、プリーツの折り目から離れて測定されることが望ましい。それゆえ、例えば、ろ材断面積は、プリーツの折り目から、フルート高さの3倍を除外した距離にわたってフルート長に沿って取られ得る。ろ材断面の非対称性がプリーツの折り目から離れて計算される理由は、ろ材断面の非対称性の計算へのプリーツの折り目の影響を回避するためである。さらに、ろ材断面の非対称性は、フルート長に沿って変化し得ることを理解されたい。この変化は、フルートのテーパの結果とし得る。
【0097】
ろ材断面の非対称性に関しては、ろ材の断面積は、一般に、ろ材の各側に非対称性を示す。図11Aに示すように、断面は、断面積403と断面積405との非対称性を示す。
【0098】
フルートの三次元構造は、流体の流れのための開放体積と、汚染物(ダストなど)が蓄積するための空間とを規定する。一部の実施形態では、ろ材は、ろ材体積の非対称性を示し、ろ材の一方の側の体積が、ろ材の他方の側の体積よりも大きくなるようにする。概して、ろ材体積の非対称性は、フルートを含むプリーツ加工されたろ材の上流側と下流側との間の体積の非対称性を指す。ろ材体積の非対称性は、ろ材パック内のパッキング構成によってではなく、ろ材のフルート構成によって生じる。
フルートの密度
ろ過に利用可能なろ材の量を増やすための別の技術は、ろ材パックのフルートの密度を高めることを含む。フルートの密度は、ろ材パックのろ材の断面積当たりのフルートの数を指す。フルートの密度は、フルート高さJ、フルート周期D1、およびろ材厚さTを含め、いくつもの要因に依存する。フルートの密度は、ろ材パックのフルートの密度と称することができ、および最大プリーツ総数(PCMax)で決定できる。PCMaxは、フルートを変形させずにプリーツパックを製造できる最大限に密集したプリーツ総数である。概して、PCMaxは、フルートの変形を受けて性能が低下する前の、所与の体積に配置できる最大数のプリーツを指す。パネル型フィルタに対して、PCMaxプリーツ密集部は、1/(2J)に等しい。フィルタエレメントのためにろ材パックのフルートの密度(ρ)を計算する式は以下の通りである:
ρ=フルートの数/(2×ろ材パック断面積)
フィルタエレメントのフルートの密度は、フィルタエレメントの断面積の上流にあるフルートおよび下流にあるフルートを含めてフルートの数をカウントし、その数を、フルートの数が決定された個所におけるフィルタエレメントの断面積を2倍したもので割ることによって、計算できる。概して、規則的なろ材には、フルートの密度は、入口面から出口面まで、またはその逆の方向にフィルタエレメントの長さにわたって比較的一定を保つことが予測される。
【0099】
ろ材断面積は、ろ材の断面積を指し、必ずしもフィルタエレメントの断面積を指すわけではないことを理解されたい。フィルタエレメントは、ハウジングを係合するためのシースまたはシールを有し、それにより、フィルタエレメントに、ろ材の断面積よりも大きな断面積をもたらし得る。さらに、ろ材の断面積は、ろ材パックの実効面積を指し、ろ過に有用でないろ材パックの部分は含まない(シールによって覆われる面積など)。
【0100】
概して、フルートの密度が高められているろ材パックを提供することは、ろ材のある体積内でろ材の表面積を増大させる傾向を有し、それゆえ、ろ材の負荷容量を増大させる傾向を有する。従って、ろ材のフルートの密度の増加は、ろ材の負荷容量を高める効果を有し得る。しかしながら、ろ材のフルートの密度の増加は、他の要因は一定のままと仮定して、ろ材によって圧力低下を増大させる効果を有し得る。
【0101】
ろ材のフルートの密度の増加は、フルート高さ(J)またはフルート周期長(D1)、またはそれら双方を小さくすることによることが多い。その結果、フルートのサイズ(フルートのサイズはフルートの断面積を指す)は、フルートの密度が増加するにつれ、縮小する。小型のフルートは、ろ材パックにわたって圧力低下を増大させる効果を有し得る。ろ材パックにわたる圧力低下への言及は、ろ材パックの第2の面で測定される圧力に対するろ材パックの第1の面で決定される圧力差を指し、第1の面および第2の面は、ろ材パックのほぼ対向する側に設けられる。ろ材パックにわたる圧力低下は、一部には、フルートの密度およびフルート長に依存する。
【0102】
ここで図12〜14を参照すると、プリーツ加工されたろ材パックを参照符号450で示す。プリーツ加工されたろ材パック450は、縦方向454および横断方向456を有するろ材452を含む。ろ材は、第1の一連のプリーツの折り目458および第2の一連のプリーツの折り目459を提供するように折り畳まれ(折り目458および459は図12を参照)、ろ材452は、前後配置されて、第1の組のプリーツの折り目458と第2の組のプリーツの折り目459との間に延在する。ろ材452はフルート470を含む。フルート470は、比較的鋭い頂点472および474を含む。加えて、フルート470は、隣接する頂点間(例えば、頂点472と474との間)に稜部476が設けられている。
【0103】
プリーツ加工されたろ材パック450は、開口部486を間に形成するろ材表面482および484と、開口部492を間に形成するろ材表面488および490とを含む。プリーツ加工されたろ材パック450は、第1の組のプリーツの折り目458と開口部486とを含む第1の面485を有するものとして特徴付けることができる。加えて、プリーツ加工されたろ材パック450は、第2の組のプリーツの折り目460と開口部492とを含む第2の面487を有するものとして特徴付けることができる。従って、第1の面492の開口部486を経由して、プリーツ加工されたろ材パック450に空気が流入し、ろ材452を通過してろ過を行ってから、第2の面494の開口部492を経由して、プリーツ加工されたろ材パック450から流出することができる。特定の状況では、第2の面494を経由して、プリーツ加工されたろ材パックに流入し、第1の面485を経由して、プリーツ加工されたろ材パック450から流出する流体の流れを有することを好都合とし得る。ろ材は、一緒に集まる稜部493を有する。このテーパは短縮遠近法で描かれ、稜部の誇張された動きを示す。
【0104】
ここで図15および16を参照すると、本発明に従って作製された2つのろ材の構成の部分の上面図が示されている。図15に、フルートの形成およびプリーツ形成前の、各フルートの各部分の位置を表示して、ろ材500のウェブの単純化した図を示す(それゆえ、図15は、フルート頂点および稜部がフルート形成の最中に配置されるべき個所を示す、平坦な状態のろ材520を示す)。フルート502のそれぞれの輪郭は、中心頂点504と、隣接する対向側頂点506とを示す。それに続くプリーツの位置を線510で示す。図15に示す実施形態は、6つのフルート502を有して示す。フルート502の各々は、破線の4つの稜部508aおよび508bを含む。稜部は、一対の稜部508aおよび508bが各フルート502の頂点504の各側にあるように、位置決めする。稜部508aおよび508bは、互いに向かって集まって、上記で図7に示したものと同様のフルートを形成する。それゆえ、各頂点504の各側には、一対の稜部508aおよび508bがあり、これら稜部は、1つのプリーツに沿って互いに集まってから、次のプリーツに沿って互いに末広状になり、再び、それに続く頂点において互いに集まる。このように、ろ材500を用いて、プリーツ加工されたろ材の断面積を変化させることが可能である。図15では、中心頂点504および隣接する対向側頂点506は互いに平行しており、それにより、フルート付きろ材を形成することが可能となり、フルートは一定の幅および高さを有する一方、それらの長さに沿って断面積が依然として変化することが観察される。
【0105】
図16に関しては、ろ材520は、中心頂点524と、隣接する対向側頂点526とによって規定される複数のフルートを備えて示される。プリーツ個所530も示されている。図16に示すろ材は平らにされており、頂点524および隣接する対向側頂点526の位置を示している。この実施形態では、フルートは、平行な頂点524、526を有しない。それゆえ、フルートの幅または高さを変動させながらも、ろ材を使用してテーパ付きフルートを形成することができる。図16に示す実施形態では、テーパ付きフルート付きろ材を形成するために稜部は必要ない。
フルート頂点の半径
上述の通り、フルート頂点は、一般に、シャープな丸み、またはプリーツ間のマスキングを減らす、輪郭がはっきりした先端部によって特徴付けられる。この輪郭がはっきりした先端部は、フルートの全体的なプロファイルから延出して、フルート頂点に、隣接するろ材のマスキングを実質的に減らす隆起を形成できる。所与のフルート頂点は、形状にある程度ばらつきがあり、必ずしもその先端部に完全な円弧を形成しないことが理解されるが、一部の実装例では、フルート頂点の半径に実質的に対応する距離を特定および測定することが依然として可能である。この距離は、フルートの内部で測定でき、かつ有効内径として計算される。この有効内径は、4ミリメートル未満であることが多く、大抵は2ミリメートル未満であり、1ミリメートル未満であることが多く、および任意選択で0.5mm未満である。一部の実装例では、特に、大きなフルートには、より大きな半径も使用することができる。明らかなまたは測定可能な半径を有していないフルートも、それらが、稜部の存在、ろ材の非対称的な体積などの、本明細書で説明された他の特性を含む場合、本開示の範囲にあることがさらに理解される。
【0106】
図17は、実際のろ材で決定された半径の例を示す。半径は、例えば、局所有効内径と呼ばれる測定値を使用する方法論によって測定できる。局所有効内径は、所与のフルート先端部、頂点、または稜部での最小曲率外径(minimum outer radius of curvature)から、フルートの平均ろ材厚さを差し引いたものと定義される。最小曲率外径は、所与のフルート先端部、頂点、または稜部の断面の最外面を辿ることによって形成された曲線に適合する接触円の最小曲率半径である。参考までに、曲線の所与の点における十分な平滑面曲線の接触円は、内側法線に中心があり、かつ曲率が、その点での所与の曲線の曲率と同じである円である。
【0107】
代替例では、許容可能な半径を説明するのに使用できる式(いくつかの実施形態のための)は、フルート幅(D1)およびろ材厚さ(T)に基づく。比較的シャープな丸みと特徴付けることができる頂点における半径を説明するのに使用される例示的な式は、(D1−2T)/8である。好ましくは、比較的シャープな丸みは、約(D1−2T)/16未満の半径を有する。
【0108】
頂点は鋭いが、多くの実装例では、きつい湾曲の外表面を依然として含み、ある半径の孤または曲りに近似することがある。比較的鋭い頂点を設けることによって、ろ材表面間の接触および/または近接面積を縮小してもよく、それにより、マスキングを減らす。ろ過の最中、ろ材は、一般に圧力下で撓み、比較的鋭い頂点は、ろ材表面間の接触を減らし続け、それゆえ、マスキングを減らすことに関して継続して利点をもたらすことができる。
【0109】
本発明によれば、流体のろ過方法も提供される。この方法は、ろ過されていない流体が、プリーツ加工されたろ材パックの第1の面または第2の面に流入し、かつプリーツ加工されたろ材パックの第1の面または第2の面の他方から流出する結果、フィルタエレメントの一部として設けられたプリーツ加工されたろ材パックを通って流体を通過させるステップを含む。プリーツ加工されたろ材パックを通ってろ過されるべき流体の流れは、直線状の貫流と特徴付けることができる。
フルートの向き
流体が非垂直な角度で第1の面または第2の面に向かって流れるかどうかに依存して、第1の流れ面または第2の流れ面に対して非垂直な角度で延在するフルートを有することを有利とし得る。プリーツ加工されたろ材パックの第1の面または第2の面に対して非垂直な角度でフルートを設けることは、プリーツ加工されたろ材パックに入る前に流体が曲がる必要なく、流体の流れをより受けられるようにフルートの角度を調整することにより、プリーツ加工されたろ材パックに流体がより流入するようにすることを可能にする。ろ材パックの第1の面および第2の面は平行または非平行とし得る。フルートが延在する角度は、第1の面、第2の面、または第1の面および第2の面の双方に対して測定できる。
【0110】
それゆえ、フルートが第1の面または第2の面に垂直に延在するようにフルートを形成でき、または第1の面または第2の面に対して、0度超であるが180度未満の角度で延在するようにフルートを設けることができる。フルートが面に対して0度または180度の角度で延在する場合、流体が、フルートを経由してプリーツ加工されたろ材パックに入ることは困難である。概して、流体が、フルートを通って入ることによって、プリーツ加工されたろ材パックに入ることが望ましい。
【0111】
一部の実装例では、フルートは、面に対して約85度〜95度、他の実装例では、面に対して約60〜120度、およびさらに他の実装例では、面に対して約70〜110度の角度で延在する。好ましくは、フルートは、第1の面または第2の面に対して垂直の約60度以内の角度で延在するように設けられる。概して、この範囲は、第1の面または第2の面に対して約30度〜約150度に対応する。さらに、フルートは、第1の面または第2の面に対して垂直の約5度以内に延在するように設けることができる(第1の面または第2の面に対して約85度〜約95度に対応する)。フルートは、第1の面または第2の面に対して垂直(90度)に延在するように設けられることが望ましいとし得る。
フルートのあるプリーツ加工されたろ材の作製方法
フルートを含むプリーツ加工されたろ材は、様々な方法および機器を使用して作製できる。それゆえ、ろ材、ろ材プリーツパック、およびフィルタエレメントは、それらの製造方法に限定されない。フルート付きろ材は、所望のフルート形状をもたらす任意の技術によって準備できる。それゆえ、本発明は、特定のフルート形成方法に限定されない。しかしながら、フルートの幾何学的形状、およびろ材がフルート付きおよびプリーツ付きであるかに依存して、いくつかの方法が事実上上手く行く。高セルロース含有量の乾式ろ材は、比較的非伸張性であり、および数%を超えて伸張される場合には、処理を施される。対照的に、高合成物質含有量のろ材は、はるかに伸張性があることが多い。両タイプのろ材とも本発明の使用に好適である。
【0112】
ろ材形成の最中、ろ材の限定された寸法は、一般にろ材の幅である。なぜなら、ろ材が製造される機械の幅方向が限定されているためである。ろ材の長さは、ろ材が切断されるまでまたは終端するまで、連続し得る。連続方向は、ろ材の長さに沿ったろ材の方向を指す。横断方向は、概して、ろ材の幅にわたるろ材の方向を指す。プリーツ加工されたろ材は、概して、縦方向を横断して形成されたプリーツまたは折り目を含み、プリーツの数および各プリーツの高さを所望の通り制御できるようにする。プリーツまたは折り目は、一般に、横断方向に形成され、ろ材が交互に折り畳まれるようにして(例えば、前後配置)、第1の面、第2の面、および第1の面と第2の面との間のろ材延出部を有するフィルタエレメントを形成する。概して、ろ過されるべき流体が、ろ材パックの第1の面および第2の面の一方に入り、第1の面および第2の面の他方から出る。
【0113】
比較的鋭い頂点を示すフルート付きろ材を提供するための例示的な技術は、比較的鋭い縁部を提供するのに十分な、フルート付きろ材の曲り、折り畳み、またはしわを含む。比較的鋭い頂点を提供する能力は、曲り、折り畳み、またはしわをもたらすのに使用された処理装置、およびろ材自体の組成を含め、いくつもの要因に依存する。概して、比較的鋭い頂点を提供する能力は、破壊強度、およびろ材の厚み、およびろ材が、伸張するまたは引裂きもしくは切断に抵抗する繊維を含有するかどうかに依存する。フルート形成の最中、引裂き、切断、またはその他のろ材の損傷を回避することが望ましい。
【0114】
本方法は、比較的少量の歪みに対処するのみのろ材を使用できる。なぜなら、プリーツの折り目は、ろ材の全長を比較的一定に保ちかつ歪みを減少させるように形成されるからである。概して、比較的少量の歪みのみを許容できるろ材は、ろ材が高セルロース含有量を有し、かつ冷たく乾いている場合によくあるように、歪みが3%よりは大きい場合、破壊する傾向を有するろ材を含む。濡れている場合でも、温かいろ材は、一部のろ材では歪みが約8%より大きい、および他のろ材では約10%である、または時には約12%より大きい場合に、破壊する傾向を有することが多い。それゆえ、本発明のフルート設計および製造方法を、一部の実装例では、高セルロース含有量を有するろ材と共に使用できる。一部の実施形態では、セルロース含有量は、100%または100%に近い。他の実装例では、セルロース含有量は90%超、80%、70%、60%または50%である。
【0115】
上記で示したように、ろ材の全幅は、プリーツの横断方向にわたって一定とし得る。これにより、ろ材に比較的小さな全体的な歪みを生じるプリーツの折り目構成を可能にする。従って、ろ材パックに使用できるろ材は、一部の実装例では約8%より大きい、他の実装例では10%、またはさらに別の実装例では約12%より大きい歪みに耐えることができないろ材と特徴付けることができる。しかしながら、高レベルの歪みに耐えることができるろ材も、本発明の様々な実装例に使用できることを理解されたい。
【0116】
図18は、本明細書で開示した技術に一致するプリーツ加工されたろ材を形成するための1つのシステム600を示す。ロール巻きのろ材620が、ろ材602を寄せ集めてひだを形成するバンチング(bunching)機構640とつながる状態で巻き戻し台622上にある。ろ材602は、バンチング機構640を通過し、付形ロール660およびスコーリングロール670まで至り、それぞれ付形、および折り目付けが行われる。付形ロール660およびスコーリングロール670を出ると、ろ材602は、任意選択で塗布ステーション675を通過して、畳み込みセクション680に入り、そこで、折り目に沿って折り畳まれて、パック済セグメント612に保管される。
【0117】
ろ材のロール620を使用して、処理するまでろ材602を保管し、概して、処理する場所にその構成で届けられる。ろ材のロール620は、ロール620に巻きつけられた様々なタイプのろ材602を含み得る。概して、ろ材602は平坦な、比較的可撓性のあるシートであり、巻きつけたり巻き戻したりできるようにされている。様々な実施形態では、ろ材602はセルロースろ材であるが、他のタイプのろ材も考慮される。例えば、ろ材602はまた、ポリマーろ材の平坦なシートなどの合成ろ材とし得る。
【0118】
図19Aおよび19Bは、ろ材が、図18に示すシステムと同様のシステムを通過する際の、それぞれろ材の上面図および側面図を示す。第1のセクション692は、ろ材のロール620から離れた後に、システムに入れられるろ材を示す。第2のセクション694は、概して、第1の垂直の切断線によって表されるバンチングロール640による処理を出た後のろ材を示す。第3のセクション696は、付形およびスコーリングロール660を出た後のろ材602を表し、第4のセクション698は、システムの畳み込みセクション680に入ったろ材602を表す。
【0119】
「バンチング」は、ろ材602に施される処理、およびまた、図19Aおよび19Bの第2のセクション694に示すようなろ材602の物理的状態を指すのに使用される。ろ材602は、ろ材602の長さに沿って実質的に平行の凹凸604を示し、このろ材602の長さは、全体的に縦方向、換言すると、様々なシステムの構成要素を通過するろ材602の方向と平行な方向にある。バンチング640は、フルート付けされる際にろ材602に歪みが生じないようにし、それにより、フルート形成および他のろ材の付形に対するろ材602の許容範囲を大きくする。ろ材602にひだ付け(bunching)した結果、凹凸が形成される際に、ろ材602の幅はわずかに減少し、かつろ材602の高さはわずかに増大する。バンチング機構は、様々な構成を有することができ、以下、図20の説明で、一例としてより詳細に説明される。
【0120】
ろ材のバンチング640に続いて、ろ材は、図19Aおよび図19Bのセクション696に示すように付形660およびスコーリングされ得る。「付形」は、ろ材602の長さに沿って縦方向にフルート606を形成し、および「スコーリング」は、フルート606に垂直に−全体的に縦横断方向に、ろ材602に折り目608を形成する。折り目608は、概して、フルート606の形状に対応する特有の形状を有する。一実施形態では、ろ材602は、2つのニップローラの間を通過してから、2つのスコーリングロールの間を通過する。別の実施形態では、ろ材は、スコーリング棒を規定する2つのニップローラの間を通過する。ろ材の付形およびスコーリングを、下記で詳細に説明する。
【0121】
様々な実施形態において、ろ材が付形およびスコーリングされた後、接着剤を塗布できる。これは、図19Aまたは19Bには図示していないが、図18の塗布ローラ675に対応する。接着剤の塗布では、フルートの先端部に沿った点に少量の接着材料を置いて、ろ材が折り畳まれた後に接触する別のフルートに接合できるようにする。グルーまたは接着材料(熱溶融性接着剤、加熱硬化接着剤などを含め、様々な接着剤を使用できる)が優先的に塗布され、グルーまたは結合剤の塗布によってろ材を過度に封止しないようにする。例えば、隣接するプリーツのフルートと接触するフルートの先端部406および408を示す、上記の図11Aを参照できる。接着剤は、これらの個所(フルートが先端部406または408で一体となる)に塗布できる。概して、接着剤の量は、製造中ならびに使用中に、プリーツを一緒に保持するのに十分である必要がある。それゆえ、接着剤を使用する際には、隣接するプリーツ間の強力な接合が通常必要とされる。一部の実施形態では、フルートの先端部の全体に沿って接着剤がのばされるが、他の実装例では、接着剤は、各フルートの先端部の一部分に沿ってのみのばされる。例えば、接着剤を、フルートの先端部に沿って断続的に塗布することができ、プリーツの折り目付近に主として塗布することができ、プリーツ先端部のごくわずかにのみ塗布することができるなどである。テーパ付きフルートを結合するための接着材料の使用に加えて、非テーパ付き(すなわち、規則的な)フルートもまた、接着材料を使用して結合できることを理解されたい。
【0122】
ろ材は塗布ロール675と接触して、接着剤または他の塗布剤を塗布してもよい。塗布に続いて、または、代替例では、付形およびスコーリングに続いて、ろ材は、畳み込みセクション680に入る。畳み込みセクション680は、折り目608に沿ってアコーディオンのようにろ材602が折り畳まれ、かつ、別の処理までそのような状態で保管される場所である。システム600で処理されかつ畳み込みセクション680に入るろ材602が多いほど、ろ材602はよりパッキングされて、折り目608の周りで圧縮される。
【0123】
ここで、図18のシステム600の構成要素を詳細に説明する。図20は、本明細書で開示する技術と一致するバンチング機構を示す。少なくとも一実施形態では、バンチング機構640は、主ロール642と、主ロール642の円周の周りに、主ロール642と機械的に結合する複数のバンチングアクスル650とを有する。複数のバンチングアクスル650の各々は、それらの各軸の周りを回転するように構成されている。複数のバンチングアクスル650の各軸651は、主ロール642の円周の周りに回転可能に配置できる。図示の実施形態では、複数のバンチングアクスル650は、主ロール642の各側の第1のアクスルホルダ644および第2のアクスルホルダ646に回転可能に配置される。第1のアクスルホルダ644および第2のアクスルホルダ646は、複数のバンチングアクスルの各々のアクスルの各端部を収容するように構成されている開口部を規定する。代替例では、バンチング機構は、(図20の円形配置とは反対に)実質的に平面的な構成で一連のローラを含むことができ、それにより、ろ材は、最初のローラから最後のローラまで通過するにつれ、漸次ひだ付けされる。
【0124】
図21は、バンチング機構640に入り、ひだが付けられてバンチング機構640から出て、一対の付形ローラ660に入るろ材602を示す。以下のバンチング機構の説明は、図20および図21を考慮して理解できる。動作中、ろ材は、主ロール642の円周に供給され、主ロール642および複数のバンチングアクスル650の各々を別々に進み、ここで、複数のバンチングアクスル650の各々が2つの凹凸を生じさせる:1つの凹凸は、ろ材の各側面に隣接しており、徐々におよび漸次ろ材にひだを付ける。例外は、第1のバンチングアクスル652であり、これは、ろ材の中心部分に沿って、単一の、第1の凹凸を生じさせる。
【0125】
今述べたように、ろ材は、まず、主ロール642および第1のバンチングアクスル652を通過し、ここで、第1のバンチングアクスル652は第1のバンチング形状653を規定する。第1のバンチングアクスル652はシリンダー状であり、中心軸651の周りを回転する。第1のバンチングアクスル652で規定された第1のバンチング形状653は、ろ材が第1のバンチング形状653と主ロール642との間を通過する際にろ材に力を加え、ろ材の中心部分に沿って第1の凹凸を形成する。このように、第1のバンチングアクスル652の残りの部分の表面は、おそらくろ材と接触しない。現在の実施形態では、第1のバンチング形状653は、第1のバンチングアクスルから半径方向に延出する、単一の丸みのある、円形ディスクである。第1のバンチング形状653は、第1のバンチング幅を有し、かつろ材の幅の実質的に中心に位置決めされている。
【0126】
ろ材は、主ロール642および第1のバンチングアクスルを通過後、第2のバンチングアクスル654および主ロール642を通過する。第2のバンチングアクスル654は、第2のバンチング幅を有する第2のバンチング形状655を規定し、第2のバンチング幅は第1のバンチング幅よりも大きい。第2のバンチング形状655は第1のバンチング形状653を含み、およびまた、第1のバンチング形状の付加物も含んで、ろ材のひだ付けが、段階的に進行するようにする。このように、第2のバンチング形状655は、ろ材に沿って第1の凹凸に係合しかつそれを強める第1のバンチング形状653の円形ディスクと、第1のバンチング形状653の両側にそれぞれ隣接する一対の円形ディスクとを有する。第2のバンチング形状655、それゆえ、第2のバンチング幅は、ろ材の幅の実質的に中心に位置決めされる。また、第2のバンチングアクスル654の中心ディスクは、第1のバンチングアクスル652の中心ディスクと実質的にコラジアル(co−radial)であり、第2のバンチングアクスル654の中心ディスクおよび第1のバンチングアクスル652のディスクは双方ともろ材の第1の凹凸に係合する。
【0127】
第2のバンチングアクスル654と主ロール642との間のろ材の通過後、ろ材は、第3のバンチングアクスル656と主ロール642との間を通過する。第3のバンチングアクスル656は、第2のバンチング幅よりも大きい第3のバンチング幅を有する第3のバンチング形状657を規定する。第3のバンチング形状657、それゆえ第3のバンチング幅は、ろ材の幅の実質的に中心に位置決めされる。第3のバンチング形状657は、第2のバンチング形状655の3つのディスクと、2つの追加的なディスクを含む:第2のバンチング形状655の各側にそれぞれ1つが隣接している。第3のバンチング形状657の3つの中心ディスクは、第2のバンチング形状655のディスクとほぼコラジアルである。
【0128】
次いで、ろ材は、第4のバンチングアクスル658と主ロール642との間を通過し、第4のバンチングアクスル658は、第3のバンチング幅よりも大きい第4のバンチング幅を有する第4のバンチング形状659を規定し、かつろ材の幅の実質的に中心に位置決めされる。第4のバンチング形状659は、第3のバンチング形状657の5つのディスク、および2つの追加的なディスクである:第3のバンチング形状の各側にそれぞれ1つが隣接している。
【0129】
次いで、ろ材は、主ロール642と、任意の追加的な数のバンチングアクスル650との間を通過できる。この追加数は、第1のバンチングアクスル後の各バンチングアクスルが、特定の増分だけ、すなわち、2つの追加的なバンチングディスクの幅だけろ材のひだ部分の幅が増大するので、ロールがひだ付けする幅に依存する。第4のバンチング形状659の5つの中心ディスクは、第3のバンチング形状657のディスクとほぼコラジアルである。
【0130】
複数のバンチングアクスル650の各増分バンチングアクスルは、それに先行するバンチングアクスルの形状を含み、ろ材の既存の形状に係合しかつそれを強める。複数のバンチングアクスル650の各々は、その前のバンチングアクスルの形状に増分的な付加を与え、ろ材のひだ付けを段階的に進行させる。バンチングディスクは、概して特定の半径を有し、ろ材上の各凹凸の深さおよび幅が、ろ材の長さに沿って実質的に一貫するようにする。各ディスクは、ほぼ同一であり、かつ等間隔にされ、ひだがろ材の幅にわたって実質的に一貫するようにする。
【0131】
バンチングアクスルの数が増加すると、直径の大きな主ロール642を使用して、主ロールの円周の周りに複数のバンチングアクスルを収容することを望ましいとし得る。このように、システムは、ひだ付けされるろ材の幅に依存して切り替えて変更できる複数の主ロールを有することができる。
【0132】
上述の通り、ろ材602のひだ付けは、さらなる付形および処理に耐えるように、ろ材の歪みに対する許容範囲を増やすことができる。このように、ろ材のひだ付け後、図21に示すようなニップローラ660などのシステムの他の構成要素によって、さらに付形できる。図22はまた、ろ材を付形するための一対のニップローラ660を示す。様々な実装例では、ろ材の付形は、ろ材の長さに沿ってフルートを形成することを含む。
【0133】
ろ材は、ろ材602のひだ付け後、全体的に、2つのニップローラ660間に通過させられることによってフルート付けされる。ニップローラ660は、ろ材がローラ660間を通過する際に、ろ材の長さに沿ってフルートの形状を付与する。このように、ニップローラ660は、フルートの所望の形状を規定する。一対のニップローラ660の第1のニップローラ666は、特定のフルート形状664を規定し、および一対のニップローラ660の第2のニップローラ668は、はめ合いフルート形状662を規定することができ、ローラ660の各側が、ろ材に同じフルート形状を押し付けるようにする。別の実施形態では、はめ合いフルート形状662は、特定のフルート形状664を受けるための柔軟な面とし得る。
【0134】
フルートは、全体的に、ろ材の縦方向に確立される。一部の実施形態では、ニップローラ660を通過する前またはその最中にろ材を加熱し(例えば蒸気、赤外線ヒータ、加熱ローラなどによって)、かつ付形プロセス後に冷却する。このように、少なくとも一実施形態ではニップローラ660を加熱できる。フルートは、様々な構成を有し得る。一構成では、フルートにはテーパが付けられる。別の構成では、フルートは実質的に直線状である。さらに別の構成では、フルートは部分的にテーパが付けられる。
【0135】
別の実施形態では、ろ材は、ニップローラによって付形およびスコーリングされる。図23はニップローラ760を示し、第1のニップローラ766は複数のスコーリング棒772を有し、かつ第2のニップローラ768は、各スコーリング棒772を収容するようにそれぞれ構成された複数のスコーリング面770を有する。一実施形態では、スコーリング面770は、圧縮性材料を含み得る。別の実施形態では、スコーリング面770は、各スコーリング棒772のそれぞれの形状に適合する、第2のニップローラ768によって規定された開口部である。さらに別の実施形態では、スコーリング面770は、各スコーリング棒772のそれぞれの形状に適合する雌型はめ合い面である。
【0136】
ろ材のスコーリングは、全体的に、縦横断方向に間隔を置いてろ材に曲げを生じ、そこでろ材が折り畳まれる。このように、スコーリング棒772を使用して、間隔を置いてろ材の幅にわたって「型押し」し、そこでろ材が折り畳まれ得る。スコーリング棒772のプロファイルは、全体的に、局所的なフルートのプロファイルに従う。そのため、例えば、テーパ付きフルートを有するろ材の場合、局所的なフルートの高さが高い場合にはスコーリング棒772の高さを高く、および局所的なフルートの高さが小さくなるとスコーリング棒772の高さは小さくなる。
【0137】
ろ材がまず特定の幅で折り畳まれてから、再びろ材の上に折り重ねられるように、ろ材は全体的にアコーディオン式に折り畳まれるため、ろ材は、一方の側および他方の側から交互に連続的にスコーリングされる。このように、スコーリング棒772およびスコーリング面770は、全体的に、ニップローラ760の面上で互い違いに連続して現れ、第1のニップローラ766および第2のニップローラ768の双方とも、複数のスコーリング棒772および複数のスコーリング面770を有する。図23に示すように、第2のニップローラ768上のスコーリング棒772は、第1のニップローラ766のスコーリング面770と対になっている。
【0138】
本明細書で説明する技術の少なくとも一部の実施形態では、様々な形状のろ材を形成するために、ニップローラを変更できる。そのような実施形態では、ろ材に得られる所望の形状に従って交換および変更できる複数の構成要素を含むニップローラを有することが望ましいとし得る。図24は、置き換え可能および切り替え可能な構成要素を有する1つの例示的なセグメント化ニップローラ866を示す(ローラ866を分解図で示す)。ニップローラ866は、ローラの形状を全体的に規定しかつ他の構成要素と結合できる面を提供するローラベース867を有する。複数のセグメント865が、共同で、ろ材に型押しされるフルート形状864を規定する。スコーリング棒872およびスコーリング面870が交互に、ローラの幅にわたって円周に間隔を置いて延在する。
【0139】
図25は、図24のセグメント化ニップローラ866の断面図を示し、これは、特定のセグメント865のフルート形状864の一部分のプロファイル図を提供する。図26は、図25に示すセグメント865の斜視図を示す。セグメント865は、セグメント865をニップローラ867に結合させる結合面869を規定する。様々な実装例では、セグメント865およびスコーリング棒872は、得られるろ材形状を変更するために、交換する、置き換える、取り外す、および取り替えることができる。少なくとも一実施形態では、セグメント865および/またはスコーリング棒872は、ローラベース867の適所にボルト締め、ねじ込み、または締結される。別の実施形態では、セグメントおよび/またはスコーリング棒は、ローラベース867、セグメント865および/またはスコーリング棒872、またはそれら双方によって、スナップ嵌めによる摩擦によって適所に保持される。少なくとも一実施形態では、各セグメント865およびニップローラ867によって位置合わせピンが収容されて、確実に適切な配置にする。
【0140】
図27a、27b、および27cは、図24のセグメント化ニップローラ866のスコーリング棒の様々な間隔を示す概略的な断面図である。これらの概略図は、概して一様のセグメント865を示す一方、様々な幅のセグメント865を有することを可能とし得る。
【0141】
図28は、ろ材の付形およびスコーリングの双方を行うニップロール860を組み込む、本明細書で説明する技術に一致する別のシステムを示す。ロール巻きのろ材820が、ろ材802を寄せ集めてひだを付けるためのバンチング機構840と結合した巻き戻し台822上にある。ろ材802は、ロールを付形およびスコーリングするために、付形およびスコーリングロール860を通過する。ろ材は、付形およびスコーリングロール860を通過後、塗布ロールに接触して接着剤または他の塗布剤を塗布され得る。ろ材は、付形およびスコーリングロールから出た後、畳み込みセクション880に入り、そこで、折り目に沿って折り畳まれ、かつろ材プリーツパックに切り分けられる。
【0142】
図29の代替的なバンチングおよび付形機構を説明する。上述の通り、ろ材は、主ロール946の円周を通過するように供給され、かつろ材が主ロール946の周りを進むにつれて次第にひだ付けされる。主ロール946は、全体的に、ろ材を受け取るように構成されている。第1のバンチングおよび造形ロール941は、主ロール946の円周および主ロール946の幅の中心に位置決めされる。複数の実施形態において、第1のバンチングおよび造形ロール941はまた、主ロールを通過するろ材の幅の中心となるように位置決めされる。ろ材は、主ロールと第1のバンチングおよび造形ロール941との間に通過して、第1のバンチングおよび造形ロール941からろ材に加えられる力によって、ろ材の長さに沿ってフルートを生じさせるようにする。
【0143】
ろ材が第1のバンチングおよび造形ロール941および主ロール946を通過後、同様に主ロール946の円周に位置決めされた一対の第2のバンチングロール942を通過する。第2のバンチングおよび造形ロール942間の距離は、第1のバンチングおよび造形ロール941の幅よりも大きく、第2のバンチングおよび造形ロール942は、ろ材に力を加えて、第1のバンチングおよび造形ロール941下の通過によって生じたフルートの各側に、ろ材の長さに沿ってフルートを生じさせるように構成されている。一対の第3のバンチングおよび造形ロール943および一対の第4のバンチングおよび造形ロール944もまた、主ロール946の円周に位置決めされ、かつろ材に力を加えて、既存のフルートの各側に、ろ材の長さに沿ってフルートを生じさせるように構成されている。このように、第3のバンチングおよび造形ロール943間の距離は、第2のバンチングおよび造形ロール942間の距離よりも大きく、第4のバンチングロール944間の距離は、第3のバンチングおよび造形ロール943間の距離よりも大きい。第1のバンチングおよび造形ロール941は、全体的に、第2のバンチングおよびフルート付けロール942間、第3のバンチングロール943間、および第4のバンチングおよびフルート付けロール944間の距離の実質的に中心にある。
【0144】
様々な実施形態では、一対の第5のバンチングおよびフルート付けロール、一対の第6のバンチングおよびフルート付けロール、および一対の第7のバンチングロールがある。概して、ろ材に特定の幅のひだを付けるのに必要なだけ多くの対のバンチングロールが主ロールの円周に沿って実装される。少なくとも一実施形態では、50対のバンチングロールがある。
ろ材
ろ材は、比較的可撓性のろ材として提供することができ、この比較的可撓性のろ材は、セルロース繊維、合成繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、またはこれらの組み合わせを含有する不織繊維性材料を含み、多くの場合内部に樹脂を含み、および時には追加的な材料で処理されている。例示的なろ材は、約12パーセント(12%)までの歪みを許容できるセルロースろ材と特徴付けることができ、これは、濡れていて暖かいときに引裂かれることはないが、乾燥していて冷たいときにはより低いパーセントの歪み(一部のろ材では3%という低さ)でも破壊する。ろ材は、許容できないろ材の損傷なく、様々なフルート形状またはパターンにフルートを付けることができ、およびプリーツを付けて、プリーツ加工されたろ材を形成することができる。加えて、ろ材は、使用中に、フルート付き構成を維持するような性質であることが望ましい。約12パーセント(12%)超の歪みを許容できる一部のろ材が利用可能であり、かつそのようなろ材を本発明に従って使用できる一方、そのタイプのろ材は、比較的大量の合成繊維を組み込む必要があるため、一般により高価である。
【0145】
フルート付けプロセスでは、ろ材に非弾性変形が生じる。これは、ろ材がその元の形状に戻らないようにする。しかしながら、造形変位(forming displacement)が解放されると、フルートは部分的に跳ね返る傾向を有することがあり、発生した伸張および曲りの部分のみを維持する。また、ろ材は樹脂を含有できる。フルート付けプロセスの最中、ろ材を加熱して樹脂を軟化できる。樹脂が冷えると、フルートの形状を維持する役に立つ。
【0146】
ろ材は、例えば、米国特許第6,955,775号明細書、同第6,673,136号明細書、および同第7,270,693号明細書(参照により本願明細書にそれら全体を援用する)を踏まえて、その一方の側面または両側面に細繊維材料を備えることができる。概して、細繊維は、ポリマー細繊維(マイクロファイバーおよびナノファイバー)と称することができ、ろ材に提供されてろ過性能を高めることができる。細繊維は、製造プロセスの様々な段階に追加できる。例えば、一部の実装例では、ろ材は、フルートが形成される前に細繊維を含有する一方、他の実装例では、細繊維は、フルート付きろ材に1つの層または複数の層として追加される。ろ材に細繊維が存在することによって、重量が軽いまたは厚みが薄い一方で所望のろ過特性を得るろ材を提供することを可能にし得る。従って、ろ材に細繊維が存在することによって、ろ過特性を高めることができる、薄いろ材を使用することができる、またはそれら双方とし得る。細繊維の形成に使用できる例示的な材料は、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールポリマー、ポリウレタン、および、例えばナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10およびそれらのコポリマーなどの様々なナイロン、ポリ塩化ビニル、PVDC、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA、PVDF、ポリアミド、およびそれらの混合物を含むコポリマーを含む。
【0147】
いくつかの技術が、プリーツ加工されたろ材の性能を高めるために頼りにされ得る。この技術は、パネル型フィルタ構成に使用されるプリーツ加工されたろ材、およびシリンダー状または円錐形フィルタ構成に使用されるプリーツ加工されたろ材に適用できる。プリーツ加工されたろ材を、パネル型フィルタ構成またはシリンダー状または円錐形フィルタ構成に使用されるようにするかどうかに依存して、代替的な好ましい選択がなされ得る。本開示を考慮して、ある選択がパネル型フィルタ構成に望ましい場合、およびある選択がシリンダー状フィルタ構成に望ましい場合があることが理解される。
【0148】
従って、選択の特定は、パネル型フィルタ構成およびシリンダー状フィルタ構成の双方の選択に反映されるものではないことを理解されたい。さらに、選択は、シリンダー状フィルタ構成が前方流配置(外部のシリンダー状面から汚れた空気がろ材パックに流入する)として、または逆流ろ材パック(ろ材パックの内表面からろ材パックに汚れた流れが入る)として特徴付けることができる配置にされるようにするかどうかによって、変更し得ることを理解されたい。
プリーツパック構成およびフィルタエレメント構成
フィルタエレメントはまた、本発明に従って設けられ、フィルタエレメントは、フルートを有するろ材を組み込んでいる。フィルタエレメントは、プリーツ加工されたろ材パックと、ろ材パックに対して配置されたシールとを含むことができるように提供されるので、ろ過されるべき流体は、ろ材パックの一方の面を通って入り、ろ材パックの他方の面から出る結果、ろ材パックを通過する。シールは、プリーツ加工されたろ材パックに直接、またはシール支持材を介して間接的に取り付けることができ、かつハウジングとフィルタエレメントとの間にシールをもたらすようにハウジングに係合するように設けることができる。シールは、アキシアルシール、ラジアルシール、またはアキシアルシールとラジアルシールの複合型として設けることができる。クリンプシール、ピンチシール、および多くの他のシール形態も可能である。
【0149】
フィルタエレメントまたはフィルタカートリッジは、保守可能なフィルタエレメントとして提供することができる。この文脈において、用語「保守可能」は、対応する空気清浄器から周期的に取り外されて取り替えることができる、ろ材を含むフィルタエレメントを指すことを意味する。保守可能なフィルタエレメントまたはフィルタカートリッジを含む空気清浄器は、フィルタエレメントまたはフィルタカートリッジの取り外し、洗浄、および取り替えを行えるように構成されている。概して、空気清浄器は、ハウジングと、アクセスカバーとを含むことができ、アクセスカバーは、使用済みフィルタエレメントの取り外し、および新しいまたは洗浄した(再生した)フィルタエレメントの挿入のために設けられている。
【0150】
パネルに成形されたプリーツ加工されたろ材パックは、プリーツ加工されたろ材の面が平行であるとき、「直線状の貫流構成」またはその変形と称することができる。例えば、パネル形態で設けられたフィルタエレメントは、全体的に、流入面および流出面を有することができ、流れは、全体的に同じ直線状の方向にフィルタエレメントに入り、そこから出る。場合によっては、面の各々は、全体的に平坦または平面的であり、2つの面が互いに平行している。しかしながら、この変形例として、一部の適用では、例えば非平面的な面が可能である。
【0151】
あるいは、流入面および流出面を、それら面が平行にならないように、互いにある角度をなして設けることができる。加えて、フィルタエレメントは、非平面的な面を有するろ材パックを含むことができ、および非平面的な面は、別の面に対して非平行であるとみなすことができる。ろ材パックの例示的な非平面的な面は、シリンダー状配置または円錐形構成に形成されたろ材パックの内部表面または外部表面を形成する面を含む。ろ材パックの別の例示的な非平面的な面は、ろ材表面が一貫性のないまたは不規則なプリーツ深さを有する(例えば、1つのプリーツのプリーツ深さが別のプリーツのプリーツ深さとは異なる)ろ材パックを含む。流入面(「端部」と称することもある)は、第1の面または第2の面のいずれかを指し、および流出面(「端部」と称することもある)は、第1の面または第2の面の残りの一方を指すことができる。
【0152】
パネルに形成された、プリーツ加工されたろ材を含むフィルタエレメントに見られる直線状の貫流構成は、例えば、米国特許第6,039,778号明細書に示すタイプの、流れが全体的にフィルタエレメントを通過する際に実質的に向きを変えるシリンダー状構成に配置された、プリーツ加工されたろ材を含むシリンダー状フィルタエレメントとは対照的である。すなわち、米国特許第6,039,778号明細書によるフィルタエレメントでは、前方流システムにおいて、流れは、シリンダー状側面を通ってシリンダー状フィルタカートリッジに入り、その後向きを変えて、シリンダー状フィルタ端部を通って出る。逆流システムでは、流れは、端部を通ってシリンダー状フィルタカートリッジに入り、その後向きを変えて、シリンダー状フィルタカートリッジの側面を通って出る。そのような逆流システムの例は米国特許第5,613,992号明細書に示されている。プリーツ加工されたろ材を含む別のタイプのフィルタエレメントは、ろ材パックが円錐形に配置されているため、円錐形フィルタエレメントと呼ぶことができる。
【0153】
ここで図30および31を参照すると、ろ材パックの一部分を、部分的なシリンダー状配置で、参照符号1000で示す。ろ材パックは、第1の面1004および第2の面1006を含む。シリンダー状配置1000の場合、第1の面1004は、シリンダー状配置の内表面とみなすことができ、第2の面1006は、シリンダー状配置の外表面とみなすことができる。第1の面1004は、比較的大きな開口部1005を有して設けることができ、第2の面1006は、比較的小さな開口部を有して設けることができる。ろ材パック1000が扇形に広げられる場合、第2の面1006においてプリーツ間の間隔が広げられる。その結果、図30および31に示す配置は、第2の流れ面1006を通って汚れた空気がろ材パックに流れ込み、第1の流れ面1004を通ってろ材パックから出る場合に好都合とし得る。
【0154】
ろ材パックを扇形に広げることによって、汚れた空気を受け入れるために、ろ材表面間の分離を大きくすることおよびろ材領域を大きくすること(マスキングがないことを受けて)が提供され、かつ比較的大きな体積を下流または浄化側体積として提供できるため、流体は、制限が軽減された状態でろ材パックから流出できる。シリンダー状配置1000の結果として、比較的大きな体積(ろ材パックの体積として計算される)を、内表面に開口する側に提供することができ、および比較的小さなろ材パック体積を、外表面に開口する側に提供することができる。
【0155】
他の構成では、プリーツ加工されたろ材は、開放型の中心領域の周りに構成または配置される。そのようなフィルタ構成の例を図32および33に示す。図32を参照すると、フィルタ構成1030が示されている。フィルタ構成1030は、第1および第2のエンドキャップ1032および1034を含み、それらの間にはプリーツ加工されたろ材1036が延在している。プリーツ加工されたろ材1036のプリーツは、全体的に、エンドキャップ1032と1034との間の方向に延在している。図32の特定のフィルタ構成1030は、プリーツを示すために一個所切り欠いて示される外側ライナ1040を有する(プリーツは一般にライナ1040を通して見ることができるが、図32に示す構成1030は、構成の他の特徴を不明瞭にしないため、ライナを通してプリーツを描いていない)。図示の外側ライナ1040はエキスパンドメタルを含むが、プラスチックおよび紙のものを含め、様々な代替的な外側ライナを使用することができる。場合によっては、外側ライナは単に使用されない。図33にも注意を向けると、エンドキャップ1032および1034を示して構成1030の側面斜視図が示されている。外側ライナ1040はそのままで、プリーツの折り目1036が示されている。図33の特定構成1030では、プリーツの方向に垂直な方向は、両矢印1042で示すように全体的にフィルタ構成1030の円周である。
【0156】
図示の特定のフィルタ構成1030は、ほぼシリンダー状であるが、代替形態も可能である。一般に、要素1030のような要素は、この例ではエンドキャップ1032に対応する開放型のエンドキャップと、この例ではエンドキャップ1034に対応する閉鎖型のエンドキャップとを有するが、代替形態も可能である。用語「開放型」は、エンドキャップへの言及の際に使用される場合、開口した中心アパーチャ1044を有して、ろ材1036を通過することなく、フィルタ構成1030の内部空間1046と外部との間を空気が流れることができるようにしているエンドキャップを指すことを意味している。比較して、閉鎖型のエンドキャップは、アパーチャがないエンドキャップである。図示していないが、フルートは、一般に、プリーツ加工されたろ材1036の外側のプリーツの折り目から垂直に(またはほぼ垂直に)要素の内部まで、内部体積1046に向かう方向に配置されている。しかしながら、フルートは、外側のプリーツの折り目に対して垂直に延びる必要はないことを理解されたい。
【0157】
エンドキャップ1032および1034のために様々な構成が開発されている。エンドキャップは、ろ材に成形されたポリマー材料を含んでもよい。あるいは、エンドキャップは、金属製エンドキャップ、または適切な接着剤またはポッティング剤によってろ材に固定された、他の予め形成されたエンドキャップを含んでもよい。図示の特定のエンドキャップ1032および1034は成形エンドキャップであり、各々、圧縮可能な発泡ポリウレタンを含む。エンドキャップ1032は、使用中、要素1030をハウジングに密閉するための、ハウジングシール1050と共に示されている。図示のシール1050は、内側ラジアルシールであるが、外側ラジアルシールおよびアキシアルシールも可能である。
【0158】
要素は、図33に示すように、エンドキャップ1032と1034との間に、ろ材1030の内側に沿って延在する内側ライナ1052を含んでもよいが、一部の構成では、そのようなライナは任意選択であることを留意されたい。内側ライナは、使用される場合、金属、例えばエキスパンドメタルまたは予め形成された金属とすることができ、またはプラスチックまたは紙とすることができる(例えば)。
【0159】
本明細書では、図32および33に示すような構成は、「シリンダー状に構成された」ろ材を使用する、または類似の特徴によって「シリンダー状配置」と呼ばれることがある。チューブ状のろ材を使用するフィルタ構成全てが、シリンダー状に構成されるわけではない。この例を図34に示す。図34を参照すると、フィルタ構成1100は、プリーツが付けられたろ材1102の延在部を含み、プリーツの方向は、矢印1004の方向に延在している。フィルタ構成1100は、幅広端部1106および幅狭端部1108を有し、幾分円錐状である。幅広端部1106にはエンドキャップ1107が位置決めされ、幅狭端部1108にはエンドキャップ1109が位置決めされている。シリンダー状配置のように、様々な開放型および閉鎖型のエンドキャップを使用できる。図示の具体例では、エンドキャップ1107は開放型であり、エンドキャップ1108は閉鎖型である。
【0160】
フィルタ構成1100は、エンドキャップ1107と1009との間に延在する外側支持スクリーン1010を含む。特定の構成1100は、内側支持スクリーンを、使用することはできるものの、含まない。フィルタエレメント1100は、封止装置1112、この例ではアキシアルシールを含むが、内側または外側のラジアルシールも可能である。要素1100は、ハウジングを取り付けるための、非連続的なネジ付き取付装置1114を含む。この装置1100は、概して、2003年10月23日出願のPCT/US2003/33952号明細書に詳細に説明されている(参照により本願明細書に援用する)。
【0161】
ろ材プリーツパックおよびフィルタエレメントの代替的な構成、例えば、Donaldson Company Inc.に譲り受けられた米国特許出願公開第20070209343号明細書(「Filter Assembly with Pleated Media Pockets and Methods」)(出願番号11/683,287号)において教示されているものなども可能である(参照により本願明細書にその全体を援用する)。
【0162】
フィルタエレメントを、様々なハウジングの構成に使用でき、フィルタエレメントは、所望により、周期的に取り替えるまたは洗浄するまたは改修することができる。洗浄は、例えば、機械的洗浄、パルス洗浄、または流体の逆流洗浄を含み得る。空気ろ過の場合、ハウジングは、エンジンの吸気、タービン吸気、集塵、および暖房および冷房を含め、様々な空気清浄化または処理応用のための空気清浄器の一部として設けることができる。液体ろ過の場合、ハウジングは、例えば、水、オイル、燃料、および液圧流体の清浄化または処理のための液体クリーナの一部とし得る。
【0163】
上述の明細書は、本発明を完全に説明している。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの実施形態をなすことができるため、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲に存在する。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年1月25日にPCT国際特許出願として、米国企業のDonaldson Company,Inc.(米国以外の全指定国の出願人)およびGary J.Rocklitz(米国市民、米国のみの出願人)の名義で出願されており、かつ米国特許商標局に2010年1月25日に出願された米国仮特許出願第61/298,109号の優先権を主張する。米国仮特許出願第61/298,109号の全開示は、本書にその全体が援用される。
【0002】
本発明は、プリーツ加工されたろ材、ろ材パック、フィルタエレメント、ならびにろ材、ろ材パック、およびフィルタエレメントの作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
気体および液体などの流体流は、汚染物質を含んでいることが多い。多くの場合、流体流から汚染物質の一部または全てをろ過することが望ましい。例えば、粒子状汚染物は、モーター付き車両および発電装置のエンジンへの空気流に、ガスタービンシステムへの空気流およびガス流に、様々な燃焼炉への空気流およびガス流に、および熱交換機(例えば、暖房および冷房)への空気流およびガス流に存在することが多い。エンジン潤滑システム、液圧システム、冷却系および燃料系統における液体流も、ろ過されるべき汚染物を含んでいることがある。そのようなシステムにとって、選択した汚染物質を流体から取り除く(または流体でのそのレベルを低下させる)ことが好ましい。様々な流体フィルタ(ガスフィルタまたは液体フィルタ)が、汚染物の削減のために開発されている。しかしながら、概して、継続的に改良が模索されている。
【0004】
プリーツ加工されたろ材は長年使用されており、ガスろ過および液体ろ過を含む流体ろ過用途に広く採用されている。プリーツ加工されたろ材は、ろ材を前後に折り畳むことによって所与の体積に対して比較的大きなろ材表面積を提供し、比較的小さな体積中に大量のろ材を配置できるようにしている。プリーツ加工されたろ材は、一般に、ろ材の連続ウェブまたは巻取ウェブから形成され、プリーツがろ材の縦方向に垂直に形成されている。ろ材の縦方向は、全体的に、供給ロ−ルなどの供給源から出るときのろ材の連続方向を指す。連続方向はまた、ろ材の縦方向とも称することがある。それゆえ、プリーツの折り目が、全体的にろ材の連続方向に直角となる。概して、第1の組のプリーツの折り目がろ材パックの第1の面を形成し、第2の組のプリーツの折り目がろ材パックの第2の面を形成し、第1および第2のプリーツの折り目が互いに交互になっている。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する「面」は、実質的に一様でないすなわち不規則とし、平面的または非平面的とし得ることを理解されたい。
【0005】
プリーツ加工されたろ材を含むフィルタエレメントの設計の1つの課題は、所与の体積内でのプリーツ数が増加するにつれて、望ましくないレベルでの流体流量制限が発生し得ることである。この制限は、プリーツが互いに密接に押し込まれすぎてろ過性能に著しい干渉を生じると、重要になる。例えば、プリーツが互いに密接にされると、プリーツ間の領域に流体が入ることが困難になり得る。この制限ゆえに、従来のいくつかのプリーツ加工されたフィルタのろ材は改良されて、ろ材表面に沿って、浅い繰り返しの弧の隆起領域を備える、一様でない表面を形成している。この一様でない表面を有するプリーツが互いに押しつけられると、ろ流体が流れるのを支援するチャネルが形成されることによって、材上の隆起領域が、プリーツ表面間に流体が流れ続けるように支援する。一様でない表面を備えるプリーツは利点を提供するが、特に、より深いプリーツ構成の場合、改善は限定的である。
【0006】
それゆえ、プリーツ加工されたろ材の改善に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、プリーツ加工されたろ材、およびプリーツ加工されたろ材を含むろ材プリーツパックに関する。これらのプリーツパックは、同様に、フィルタエレメントに形成することができ、これも本発明の主題である。ろ材およびろ材プリーツパックは、プリーツの折り目間に延在するフルートを含む。フルートは、ろ材に形成された三次元構造であり、プリーツの表面に沿って好都合な流路を提供し、これにより、流体はろ材を通って好都合に流れることができ、プリーツ間隔の制御を支援し、プリーツ面に剛性および構造をもたらすことを支援し、および効率的な汚染物除去をもたらす。
【0008】
ろ材パックのフルートの少なくともいくつかは、テーパ付きの幾何学的形状を有する。テーパ付きの幾何学的形状は、一般に、フルートの長さに沿って、フルートの幅、および/または高さ、および/または断面積が変化する。プリーツ加工されたろ材にテーパ付きフルートを使用することは、ろ過性能に関して著しい利点を有する。例えば、テーパ付きフルートによって、プリーツパックを通る流体の流れに利益をもたらしながらも、より深いプリーツパックを形成することを可能にし得る。そのような利益は、(流体がろ材パックに流入する)ろ材パックの前面付近のろ材パックの上流側に比較的大きな断面積を有するフルートと共に、(流体がろ材パックから流出する)ろ材パックの背面付近のろ材パックの下流側に比較的大きな断面積を有する、対向したフルートを有することによって実現できる。上流フルートの断面積と下流フルート断面積がこのように異なることによって、プリーツパックに出入りする流れに関連する収縮・拡大圧力損失を小さくすることができ、かつテーパ付きフルートによって形成されたチャネルに沿って流れが移動する際の圧力損失を減少させることができる。それゆえ、テーパ付きフルートは、プリーツパック初期の圧力低下を小さくできる。初期の圧力低下を小さくすること、およびフルートに沿ってろ材を通る流量分布に影響を及ぼすことによって、テーパ付きフルートは、ろ過容量を増やし、かつフィルタ寿命を長くすることができる。
【0009】
幅、高さおよび/または断面積は、フルートの長さに沿って漸進的に変化することが多いが、一部の実装例では、変化は段階的または非漸次的である。ほとんどの実装例では、テーパ付きフルートは、フルート長の全てまたはほとんどに沿って実質的に一様のテーパが付けられている。しかしながら、一部の実装例では、フルート長に沿って変化するテーパを有し、それゆえ、テーパが一様ではないまたは連続的ではないことが可能である。例えば、フルートは、テーパ付き領域から非テーパ付き領域まで、別のテーパ付き領域まで移り変わり得る。
【0010】
特定のフルートの断面積は、フルートの一方の端部から他方の端部まで変化し得るが、フルートの幅またはフルートの高さにもテーパを付けることは必須ではない。実際に、一部の実装例では、幅、高さ、またはそれら双方は、フルートの長さに沿って一定または実質的に一定である。詳細な説明で説明されるように、幅または高さを変化させることなく、フルートの断面積を変化させることが可能である。これは、例えばフルートの壁に沿って稜部を形成し、フルートに沿ってそれら稜部の位置を変更することにより、フルートの側壁の形状を変化させることによって、なすことができる。本明細書で使用されるように、稜部は、全体的に、フルートの長さの一部または全てに沿ってろ材に規定された曲り、しわ、または変形である。稜部は、一般に、ろ材の曲線の不連続部であり、一般的には曲線状のろ材中には見出されない。それゆえ、稜部は、概して、単に漸次的な曲線間の変曲点ではなく、曲率のより著しい不連続性である(例えば、本発明の図9Aおよび9Bに示すように)。詳細な説明で詳述するように、本発明の教示に従って構成された稜部によって、特殊テーパ付きフルートが可能となる。特に、フルートの長さに沿って稜部の位置を変化させ、フルートのテーパの制御を促すことが可能である。それゆえ、フルートの長さに沿って形成された稜部を追加し、それら稜部の形状および位置を変えることは、フルート断面積の著しいテーパリングをもたらし得る;およびそのようなテーパリングは、任意選択で、フルートの高さまたは幅を著しく変えることなく、実施できる。
【0011】
本発明のプリーツ加工されたろ材は、テーパ付きフルートによってろ材の利用レベルを高くでき、さらに好都合である。高い利用レベルとは、ろ材のマスキングが比較的わずかしかないことを意味する。本明細書で使用されるように、マスキングは、隣接しかつ接触するろ材面間の近接領域に関系する。上流または下流の隣接するろ材面が接触する個所では、ろ材を横切る前後間の実質的な圧力差がなくなるか、またはろ材を横切る流れに対しかなりの抵抗がある。この抵抗は、シートが密接に接近していなかった場合に観察されたであろうものよりも、大きい。概して、マスキングは、別のろ材シートに密接に接近または接触しているろ材の箇所、または流れの境界面で生じる。この密接な接近は、その位置において、ろ材を通る流れを推し進める圧力の低下をもたらし得る。その結果、マスキングのあるろ材は、ろ材のろ過性能には有益ではない。ろ材のマスキングを著しく削減することは、流体のろ過に利用可能なろ材の量を増やすので、ろ過性能および設計の大幅な改善を図り得る。
【0012】
従って、ろ過に利用可能なろ材の量を増やすために、マスキングを減らすことが望ましい。マスキングの削減によって、ろ材プリーツパックのダスト貯蔵容量が増え、所与の圧力低下でのろ材を通る流体の処理量が増え、および/または所与の全流体流量でのろ材プリーツパックの圧力低下を小さくする。本発明の教示に従って作製されたプリーツ加工されたろ材のフルートは、ろ材のマスキングの削減を可能にする。この削減は、フルートの形状を制御することによって、特に、隣接するプリーツのフルートと接触する表面積が小さいフルートの先端部を有することによって、達成される。シャープな丸み(sharp radius)または輪郭がはっきりした先端部を有することによって鋭いフルートの先端部を形成でき、これにより、プリーツ間のマスキングを小さくする。詳細な説明で記述されるように、本発明の様々な実施形態では、鋭いフルートの先端部は、フルートに沿った稜部と同時に形成され、ろ材表面積を大きくし、テーパ付きフルートを形成し、かつろ材の性能を制御するようにする。
【0013】
所与のフルートに沿ってマスキングされる特定のろ材領域は比較的小さくし得るが、フィルタエレメント全体にわたってマスキングのあるろ材の総量は、かなりのものとなり得る。それゆえ、マスキングの削減をささやかに改善することでも、大きな価値を有し得る。フィルタエレメントにおいてマスキングのあるろ材の量を削減する一方で、同時に、フィルタに存在する実効ろ材の量をさらに増やすために、フルートの幾何学的形状を修正することが可能である。マスキングを削減することによって、フィルタエレメントの性能を高めるまたは寿命を延ばすことができる、または同じ性能またはフィルタ寿命を維持しながらフィルタエレメントのサイズを小さくできる。概して、フィルタエレメントの寿命を延ばすこと、または所与のフィルタエレメントサイズに対してフィルタの初期の圧力低下を小さくすること、または所与のフィルタエレメントの性能に対してフィルタエレメントのサイズを小さくすることは、フィルタの性能を高めると称することができる。本発明のテーパ付きフルートは、フルートの幅、高さ、または断面をそれらの長さに沿って変動させながらも、ろ材のマスキングを削減して構成できる;およびこのマスキングを限定する能力によって、有用なろ材を最大にする結果、ろ過性能を高めることができる。
【0014】
本発明に従って作製されたプリーツ加工されたろ材は、製造中、ろ材にほとんど歪みがないようにテーパ付きフルートを構成でき、比較的非伸張性のろ材を、プリーツ加工されたろ材パックの一方のプリーツ面から他方のプリーツ面まで一方向に延びるテーパ付きフルートに形成できるようにする点で、さらに好都合である。高セルロース含有量を有するろ材は、低コストであるゆえに望ましいことが多く、および本発明は、ろ材に許容できない損傷をもたらすことなく、高セルロースろ材を取り入れ、かつ好適なテーパ付きフルートを形成することを可能にする。同様に、ろ材に許容できない劣化をもたらすことなく、高ガラス繊維含有量を有するろ材を使用でき、かつテーパ付きフルートに形成できる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明に従って作製されたろ材プリーツパックにはフルートが構成され、それらフルートは、異なるフルート形状を有し、プリーツパックの上流側および下流側の開放体積を異ならせるようにし、この特性は、本明細書では、プリーツパックの体積の非対称性と称する。このプリーツパックの体積の非対称性は、一部の実施形態では、汚染物質の貯蔵を促進し、流量を高め、およびろ過を良好にし得る。プリーツパックの体積の非対称性は、浅いプリーツパックを有するフィルタ構成の性能を高めるのに特に役立ち得る。プリーツパックの体積の非対称性は、フルートのテーパ付けとは異なるが、体積の非対称性とテーパ付けとの組み合わせは、プリーツパックの性能および有用寿命を著しく改善し得る。確かに、フルートのテーパリングを使用して、体積の非対称性を生み出すまたは増大することができる。
【0016】
本発明はまた、プリーツ加工されたろ材パックにも関する。語句「プリーツ加工されたろ材パック」は、折り畳み、プリーツ付け、または三次元ネットワーク状にろ材を形成することによって構成または形成されたろ材パックを指す。プリーツ加工されたろ材パックは、より簡単に、ろ材パックと呼ぶことができる。プリーツ加工されたろ材パックは、任意選択で、フィルタエレメントに見られる他の特徴(シール、シール支持材、およびプリーツパック端部封入を含む)と組み合わせることができる。概して、プリーツ加工されたろ材パックは、第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有するろ材を含み、このろ材は、前後配置されている第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間に延在する。
【0017】
折り目は、一般に、ろ材の縦方向を横断して形成されるが、これは必須ではない。折り目は、縦方向を横断する角度とは異なる、ある角度を形成できる。第1の面は、概して、プリーツ加工されたろ材の入口または出口であり、第2の面は、ろ材の入口または出口の他方である。例えば、ろ過されていない流体は、第1の面を経由してプリーツ加工されたろ材パックに入ることができ、ろ過された流体は、第2の面を経由してプリーツ加工されたろ材パックを出ることができる、またはその反対である。
【0018】
本発明に従って作製されたプリーツ加工されたろ材は、パネル型フィルタ、シリンダー状フィルタ、および円錐形フィルタを含め、多数の形状および構成に組み立てることができる。パネル型フィルタでは、プリーツ加工されたろ材は、一般に、平面的またはパネル構成に延在し、第1の組のプリーツの折り目から形成されたプリーツ加工されたろ材の第1の面(プリーツ先端部とも呼ぶ)と、第2の組のプリーツの折り目から形成されたプリーツ加工されたろ材の第2の面(プリーツ先端部とも呼ぶ)を有する。プリーツの折り目によって形成された第1の面および第2の面は、ほぼ平行にある。流体は、一方の面を通ってパネル型フィルタへ流れ込み、他方の面を通ってパネル型フィルタから流出する。
【0019】
シリンダー状または円錐形フィルタでは、プリーツ加工されたろ材は、全体的に、チューブまたは錐体(または、チューブまたは錐体の部分的なセクション)に形成され、プリーツ加工されたろ材の第1の面(第1の組のプリーツの折り目によって形成される)は内部面を形成し、プリーツ加工されたろ材の第2の面(第2の組のプリーツの折り目によって形成される)は外側面を形成する。空気ろ過のためのシリンダー状および円錐形フィルタの場合、空気は、一般に、外側面から内部面へ、フィルタエレメントに流れ込む(または、逆流フィルタと呼ばれることもあるフィルタでは、その逆である)。
【0020】
本発明の上述の概要は、本発明に開示する各実施形態を説明するものではない。これは、以下の詳細な説明および特許請求の範囲の目的である。
【0021】
本発明を、添付の図面と併せて、以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することから、より完璧に理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の原理によるフィルタエレメントの斜視図である。
【図2】図2Aは図1のフィルタエレメントの前面図である。図2Bは図1のフィルタエレメントの拡大前面図である。
【図3】図3Aは図1のフィルタエレメントの背面図である。図3Bは図1のフィルタエレメントの拡大背面図である。
【図4】フィルタエレメントを、図5A−5Cに示す断面に分割した一連の平面を示す、図1のフィルタエレメントの側面図である。
【図5】図5Aは図4の平面A−A’に沿って取った、図1のフィルタエレメントからのろ材の拡大断面である。図5Bは図4の平面B−B’に沿って取った、図1のフィルタエレメントからのろ材の拡大断面である。図5Cは図4の平面C−C’に沿って取った、図1のフィルタエレメントからのろ材の拡大断面である。
【図6】図1のフィルタエレメントから取ったろ材のシートの一部分の拡大斜視図である。
【図7】図1のフィルタエレメントから取った個別のフルートの拡大斜視図である。
【図8】図8Aは図7の線A−A’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。図8Bは図7の線B−B’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。図8Cは図7の線C−C’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。図8Dは図7の線D−D’に沿って取った、図7に示すろ材のシートの一部分の断面図である。
【図9A】図9A−9Cは本発明の原理によるろ材の概略的な拡大断面図である。
【図9B】図9A−9Cは本発明の原理によるろ材の概略的な拡大断面図である。
【図9C】図9A−9Cは本発明の原理によるろ材の概略的な拡大断面図である。
【図10】本発明の実装例に従って構成されたフルート付きろ材の拡大断面図である。
【図11A】図11Aは本発明の原理によるろ材パックの一部分の概略的な拡大断面図である。
【図11B】図11Bは本発明の原理によるろ材パックの一部分の概略的な拡大断面図である。
【図12】本発明の原理によるプリーツ加工されたろ材パックの一部分の端面の斜視図である。
【図13】本発明の実装例に従って作製されたろ材パックの一部分の部分的な拡大斜視図である。
【図14】本発明の実装例に従って作製されたフルート付きろ材のシートの部分的な拡大斜視図である。
【図15】エンボス加工されたフルートを備えたろ材の連続シートの部分的な上面図である。
【図16】エンボス加工されたフルートを備えて形成されたろ材の連続シートの部分的な上面図である。
【図17】フルートの有効内径を測定する方法を示す、本発明の原理によるフルートの拡大された走査断面画像である。
【図18】本発明の実装例に従ってフルート付きろ材を形成するための装置の概略図である。
【図19】図19Aは平坦な連続シートからフルート付きのおよびプリーツ加工されたろ材へ変換されるろ材のシートの概略的な上面図である。図19Bは平坦な連続シートからフルート付きのおよびプリーツ加工されたろ材へ変換される図19Aからのろ材のシートの概略的な側面図である。
【図20】本発明の実装例に従って作製されたバンチング(bunching)機構の側面の斜視図であり、バンチング機構は、後でフルートを形成するためにろ材をウェブ横断方向に集めるように構成されている。
【図21】本発明の実装例に従って作製されたバンチング機構および造形ローラの側面の斜視図であり、バンチング機構は、後でフルートを形成するためにろ材をウェブ横断方向に集めるように構成されている。
【図22】本発明の実装例に従って作製された造形ローラの側面の斜視図であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図23】本発明の実装例に従って作製された代替的な造形ローラの側面の斜視図であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図24】本発明の実装例に従って作製された造形ローラの分解斜視図であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図25】本発明の実装例に従って作製された造形ローラの断面であり、造形ローラは、ろ材にフルートを形成するように構成されている。
【図26】図25に示す造形ローラのセグメントの斜視図である。
【図27】図27A−27Cはセグメント化ニップローラ上のスコーリング棒の様々な間隔を示す概略的な断面図であり、スコーリング棒は、連続的なろ材に適切なプリーツの折り目を形成するように構成されている。
【図28】本発明の実装例によるフルート付きろ材を形成する装置の概略図である。
【図29】本発明の実装例によるフルート付きろ材を形成する装置の概略図である。
【図30】本発明の原理によるシリンダー状ろ材パックの一部分の斜視図である。
【図31】図30のシリンダー状ろ材パックの一部分の斜視図であり、およびろ材パックを通って外側から内側への流体の流れを示す。
【図32】一部分を切り欠いた、シリンダー状フィルタエレメントの側面の立面図である。
【図33】図32のシリンダー状フィルタエレメントの斜視図である。
【図34】円錐形フィルタエレメントの1つのタイプの概略的な側面の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図面は、本発明の全体像であると考えられ、本発明の全ての実施形態を包含するように描かれているわけでも、常に縮尺通りに描かれているわけでもないことを理解されたい。本発明に従って作製されたろ材は、概して変形を示すことも理解されたい。
【0024】
本発明は、様々な修正形態および代替形態の影響を受けるが、それらの詳細は、一例としておよび図に示しており、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、説明の特定の実施形態に限定されるわけではないことを理解されたい。反対に、本発明の趣旨および範囲内にある修正物、等価物、および代替物を網羅するものである。
【0025】
本発明は、プリーツの折り目間に一方向に延在するフルートを含むプリーツ加工されたろ材、およびろ材プリーツパック、ならびに、プリーツ加工されたろ材およびろ材プリーツパックを作製するための方法および機器に関する。フルートは、ろ材に形成された三次元構造であり、プリーツ表面に沿って好都合な流路を提供し、ろ材に流体を好都合に流すことを可能にし、および効率的な汚染物除去をもたらす。
【0026】
ろ材およびプリーツパックのフルートの少なくともいくつかは、テーパが付けられた幾何学的形状を有する。テーパ付けは、一般に、フルート長の少なくとも一部分に沿って、フルートの幅、高さ、および/または断面積を変更することによってなされる。特定のフルートの断面積は、フルートの一方の端部から他方の端部まで変化し得るが、フルートの幅またはフルートの高さにもテーパが付けられる必要はない。実際、一部の実装例では、幅、高さ、またはそれら双方が、フルート長に沿って一定または実質的に一定である一方、フルートの断面積は変化する。他の実装例では、フルートの高さおよび幅は、それらの長さに沿って変化する。
【0027】
幅、高さおよび/または断面積の変化は、フルート長に沿って漸次的であることが多いが、一部の実装例では、段階的、あるいは非漸次的とし得る。多くの実装例では、テーパ付きフルートは、フルート長の全てまたはほとんどに沿って実質的に均一のテーパであることを示している。しかしながら、一部の実装例では、フルート長に沿って変化するテーパを有することが可能であり、そのため、テーパは均一ではない。一部の実装例では、1つ以上のフルートの一部分のみがテーパを備える一方、1つ以上のフルートの他の部分は実質的に直線状であることを可能とし得る。概して、テーパ付きフルートは、それらの長さに沿って広がってから狭くなったりしない。換言すると、一般に、断面積が小さくなるようにテーパが付けられるフルートは、断面積が大きくなるようなテーパには切り替わらない;および断面積が大きくなるようにテーパが付けられるフルートは、断面積が小さくなるようなテーパにはならない。しかしながら、一部の実装例では、長さの一部分に断面積が小さくなるようにテーパが付けられた後で、断面積が大きくなるようなテーパが付けられ、次いで、再び断面積が小さくなるようにテーパが付けられるフルートなど、非連続的なテーパ付けも起こり得る。そのような一部の実装例では、フルートの断面積の始まりと終わりは変化しないが、フルートの部分に沿って断面積のテーパ付けが発生する。
【0028】
プリーツ加工されたろ材にテーパ付きフルートを使用することは、ろ過性能に関して大きな利益を有し得る。例えば、テーパ付きフルートは、ろ材を流れる流体に利益をもたらしつつ、より深いプリーツパックが使用できるようにする。そのような利益は、(流体がろ材パックに流入する)前面付近のろ材パックの上流側の断面積が比較的大きなフルートを、同様に比較的大きな断面積を有する、(流体がろ材パックから流出する)背面付近のろ材パックの下流側の対向するフルートと共に有することによって、実現できる。上流および下流のフルート断面積のこの変化は、プリーツパックに流入する流れに関連したプリーツパックの面積収縮による入口圧力損失、およびプリーツパックから流出する流れに関連したプリーツパックの面積拡大による出口圧力損失を減らす。流れの均一性は、流れがフルートに沿って、およびテーパ付きフルートによって形成されたろ材を通って移動するにつれ、ろ材および/またはチャネルの圧力損失を有益に減らすために使用され得る。フルート中の、ろ材を流れるより均一な流れは、フルート内により均一なダスト負荷をもたらすことができる。次いで、テーパ付きフルートを使用して、プリーツパックの初期の圧力低下を小さくし得る。初期の圧力低下を小さくし、かつフルートに沿ったろ材の流量分布に影響を及ぼすことによって、フィルタのダスト容量(フィルタ寿命)を増加させるためにテーパ付きフルートを使用し得る。圧力損失を減らし、かつ流れの均一性を高めることによって、テーパ付きフルートはまた、フィルタエレメントを流れる流体の逆流によってパルス式に洗浄されるろ材に特に好適となる。テーパ付きフルートを備えるプリーツ加工されたろ材はまた、様々な他のろ過用途にも有用とし得る。
【0029】
プリーツ加工されたろ材パックを使用して、ガス状または液状物質とし得る流体をろ過できる。ろ材を使用してろ過できる例示的なガス状物質は空気であり、ろ材を使用してろ過できる例示的な液状物質は水、油、燃料、および液圧流体を含む。ろ材パックを使用して、ろ過されるべき流体から構成成分の少なくとも一部分を分離または除去できる。構成成分は、汚染物、または除去または分離の対象となる別の物質とし得る。例示的な汚染物および除去の対象となる物質は、固体、液体、ガスまたはこれらの組み合わせと特徴付けられるものを含む。汚染物または除去の対象となる物質は、粒子状物質、非粒子状物質、またはこれらの混合物を含み得る。除去の対象となる物質は、ろ材によって捕捉できる化学種を含み得る。構成成分および汚染物の除去への言及は、完全な除去もしくは分離または部分的な除去もしくは分離を指すことを理解されたい。
【0030】
ここで図面を参照して、本発明の様々な例示的な実施形態を説明する。図1〜6は、本発明に従って構成された例示的なフィルタエレメントを示す。この例示的なフィルタエレメントの対向プリーツ面上の例示的なフルートを、フルートの全長にわたって実質的に接触させて示しているが、本発明のフルートは、それらの長さにわたって接触させなくてもよいし、またはごくまれにのみそれらの長さにわたって接触させてもよいことが理解される。図1は、正面斜視図からのフィルタエレメント100を示す。フィルタエレメント100は、プリーツ加工されたろ材110を取り囲むフレーム102を含む。ろ材110の前面108を図1に示し、ろ材110の対応する背面109を図3に示す。さらに、フレームは、右側面104、左側面105、上部106、および底部107を有する。
【0031】
図2Aは、図1に示すフィルタエレメント100の概略的な正面図を示し、図2Bは、プリーツ加工されたろ材110の前面の単純化した拡大図を示す。プリーツ加工されたろ材110の拡大図は、多数のプリーツの先端部122を含むプリーツ120の端面を、各プリーツ間の空間124と共に示す。プリーツ加工されたろ材の拡大図は、実質的に概略的な図に留まるため、実際のろ材の詳細な図を意図したものではないことを理解されたい。
【0032】
ろ材110の前面108は、一般にフィルタエレメント100の「上流」側であり、背面109(図3Aおよび3Bに図示)は、フィルタエレメント100の「下流」側である。それゆえ、典型的な実施形態では、フィルタエレメント100を通る流体の流れは、前面108から入ってフィルタエレメントの内部を通過した後、背面109から(ろ材110を通過して)出る。図3Bに示す背面109は、プリーツ先端部123を備える複数のプリーツ121と、プリーツ121間の空間125とを含むプリーツパック表面の単純化した概略図を示す。
【0033】
ここで図4、5A、5B、および5Cを参照すると、これら図は、本発明の教示に従って作製されたテーパ付きフルートを有する、プリーツ加工されたろ材の例の別の詳細を示す。
【0034】
図4は、図1に示すフィルタエレメント100の右側パネル104を示す。平面的断面図A−A’、B−B’、およびC−C’を図5A〜5Cに示す。平面的断面図A−A’は、エレメント100の前面108付近で取られたエレメント100の断面に対応する;平面B−B’は、前面108と背面109との間のほぼ中間の、エレメント100の中心付近で取られたエレメント100の断面に対応する;平面C−C’は、エレメント100の背面109付近で取られたエレメント100の断面に対応する。断面図A−A’およびB−B’は、前面108および背面109に非常に接近させて取ることができるが、一般に、プリーツの折り目が付けられる箇所のフルートには少なくとも適度な変形がある。それゆえ、図5A〜5Cは、プリーツの折り目に近い部分の断面を示すが、プリーツの折り目のすぐ隣である必要はない。
【0035】
図5Aは、平面A−A’に沿って取ったろ材110の拡大図を示す。ろ材パックの上流と考えられるフルートは、「in」と表示して特定する(流体が、これらフルートにおいてプリーツパックに流入するため)一方、ろ材パックの下流に指定されるフルートは、「out」と表示して特定する(流体が、これらフルートにおいてプリーツパックから流出するため)。図5Aは、隣接する下流フルート220で囲まれた上流フルート210を示す。上流フルート210によってプリーツパックに入る流体は、フルートに沿って流れることができるが、最終的にはろ材110を通過し、その後、下流フルート220によってプリーツから出る(実際のプリーツの折り目を通過する少量の流体を除いて)。
【0036】
図5Aでは、上流フルート210は、(図4の位置A−A’において)下流フルート220よりも遙かに大きい断面積を有することが観察される。図5Aでは、ろ材110の隣接する層間に比較的小さいマスキングしかないことも観察される。フルートがフィルタエレメントにより深く延在すると、上流フルート210の断面積が減少、または小さくなり始める一方、下流フルート220の断面積が増大、または大きくなり始める。フィルタエレメントの中心の近くでは(図5Bに図示)、下流フルート220の断面積は実質的に上流フルート210と等しい。テーパリングは、上流フルート210の断面積が下流フルート220よりも著しく小さい、図5Cに示す断面まで続く。注目すべきは、このかなりの量のテーパリングが、フルートの高さおよび幅を維持したままフルート長に沿ってマスキングを全く増やすことなく図示の実施形態で達成されたこと、および上流および下流フルートが各々、実質的に同じ周囲の長さのろ材を有して各フルートを形成することである。この例では、各フルートの断面積のみがフルート長に沿って変化する。下記で詳細に説明するように、代替的な実施形態ではフルート高さおよび幅を変更できる。それゆえ、図5A〜5Cは、プリーツ加工されたろ材に構成されたテーパ付きフルートの有用な実施形態を示すが、本発明の範囲に留まる限り代替形態が可能である。
【0037】
図5A〜5Cから、テーパ付きフルート構成は、隣接するフルート間の比較的少量のろ材マスキングによって達成され、かつろ過に利用可能な表面積には変化が全くないことも観察される。換言すると、フルートのテーパ付けは、上流または下流フルートのいずれかに露出するろ材の量を変化させずに行う。図5A〜5Cのテーパ付きフルートの構成は、前面付近のろ材の上流側に大きな開放フルートを有し、および背面付近のろ材の下流側も大きな開放フルートを有する実装例を示す。この結果、2インチ超の深さ、6インチ超の深さ、および特に10インチ超の深さのものを含め、比較的深いプリーツ加工されたフィルタエレメントなど、多くの状況においてろ過性能を高めることが可能となる構成をもたらされる。
【0038】
図6は、図5A〜5Cに示すフルートと一致するフルートの幾何学的形状をもたらすろ材250のシートの断面を示す。ろ材250のシートの断面は、テーパ付きフルートが比較的大きな上流フルート252から比較的大きな下流フルート254までどのように変形するかを明らかにする。縮尺通りではない斜視図で示されるこの図では、符号X0およびX1を使用して、プリーツ加工されたろ材の幅(または、4つのフルートの幅である少なくとも図示の断面)を示す。全体的に、プリーツ加工されたろ材は、X0およびX1が等しくなるように形成され、これにより、垂直な側面を有するろ材を容易に形成できるようになる。しかしながら、一部の実装例では、X0をX1よりも大きくも小さくもできることを理解されたい。そのような構成では、X0とX1の差は、プリーツパックの前面の寸法がプリーツパック背面の寸法とは異なるプリーツパックを有することによって、示すことができる。そのような変形形態は、全ての応用に好適ではないが、プリーツパックの幾何学的形状を変更する能力は、一部の実装例では好都合である。
【0039】
追加的な意義を有するのは、図6で明白な、大きなフルート断面積から小さなフルート断面積への(および小さなフルート断面積から大きなフルート断面積への)テーパ付き移行部が、ろ材シート250を大きく歪ませることなく、形成できることである。特に、フルートは、ろ材を過度に伸張させることなく形成できる。なぜなら、フルートを形成するろ材の長さが、側面256から258へ測定するときに、全体的に、プリーツパックの前面からプリーツパックの背面へプリーツ表面に沿って等しいためである(例えば、長さは、図4に示すように断面A−A’、B−B’、およびC−C’で測定すると実質的に同じである)。それゆえ、いくつかの実施形態では、ろ材の前縁部257に沿って辿った距離は、後縁部259に沿って辿った距離と等しいまたはほぼ等しくし得る。それゆえ、ろ材の過度の伸張は、一般にフルートの幾何学的形状の形成には発生しない−高セルロースろ材およびガラス繊維ろ材、ならびに劣化しない限りは容易に伸張しない他のろ材を使用する、フルート付きろ材の作製に非常に重要とし得る特性である。例示的な実装例では、ウェブ横断方向のろ材の伸張量は10%未満であり、7.5%未満であることが多く、および望ましくは5%未満である。
【0040】
本発明の実装例に従って作製されたフルート付きろ材の別の態様は、図7を、図8A、8B、8C、および8Dに示す断面と共に参照することによって明らかにされる。フルート252は、大きな上流開口部を備える前面から、小さな上流開口部を備える背面までテーパが付けられていることが示されている。このテーパの形成状態は、平面A−A’;平面B−B’;平面C−C’;および平面D−D’に沿って取った断面を検討することによって明らかとなる;それぞれ図8A、8B、8C、および8Dに対応する。図8Aでは、ろ材255の下側の体積は、フルート252の内部からろ材を外方に延出させるようにする稜部270を有することによって、大きくされる。加えて、フルート252は、隣接するろ材からわずかに上向きに突出する頂点260を含む(マスキングを減らすために)。頂点260のこの上向きの突出は、比較的かすかであり、目視観察することは困難であるが、それでも、これにより、ろ材のマスキングを減らす助けとなる。
【0041】
フルート252の下流に進んで、図8Bに示す断面B−B’において、頂点260は、よりはっきりと規定されている。加えて、図8Aの頂点260の各側の単一の稜部270は、頂点260の各側で2つの稜部270に分散している。2つの稜部は、フルートの形状を修正するのを助け、フルート252の断面積は、図8Aに示すものから減少し始めている。この変化は、図8Cの断面C−C’でも続いており、頂点260はそのままであるが、頂点260の各側の2つの稜部270は、頂点260からさらに離れるように動いており、それにより、フルート252の断面積はさらに削減されている。最後に、断面D−D’に沿って取ったフルート252の突き当たりでは、フルートの断面積はさらに小さく、頂点260が非常に輪郭が明確に規定されるが、稜部270は1つのみが明白である。これは、第2の稜部がフルート252の縁部257と1つになるためである(これは同様に、隣接するフルートの頂点に対応する)。図7および図8A〜8Dに示すフルートの幾何学的形状は、テーパ付きフルートの形成方法を示す例示的な実施形態を説明するが、そのようなフルートが形成できる排他的な方法を示すことを意味するものではない。
フルートの特徴およびフルート付きろ材の特性
以下、フルート稜部の存在、フルートの幅および高さ、フルートのコード長、ろ材コード百分率、ろ材体積の非対称性、フルートの密度、フルート頂点の半径、およびフルートの向きを含め、本発明に従って作製されたテーパ付きフルートの特徴について説明する。
フルート稜部
ここで図9A〜9Cを参照すると、テーパ付きフルートの構成に好適な様々なフルート付きろ材シートの断面図が示されている。図9A〜9Cは、全ての許容可能なフルートの幾何学的形状の縮尺通りの図ではなく、単に例示的な実装例を意図したものであることに留意されたい。
【0042】
図9Aでは、フルート付きろ材シート300のセグメントをフルート310と共に示す。加えて、ろ材シート300はまた、フルート310間にフルート312を形成する。図9Aには示されていないが、ろ材310は、一般に多数の追加的なフルートと共に延在し、および図5A〜5Cに示すように、ろ材パックには追加的なろ材シートが存在する。フルート付きろ材シート300は、優れたろ過性能をもたらすいくつもの特徴を明らかにする。ろ材シート300のフルート310の1つの特徴は、頂点301および303における最も高い範囲が、単純な曲面ではなく、鋭い先端または点を有することである。鋭い先端または点は、比較的小さい半径からなるフルート先端部のモデルによって近似され得る。半径が大きいと、対向するプリーツ面からの隣接するフルートが接触する際にろ材のマスキングを大きくするため、鋭い先端は有用とし得る。フルート310は、頂点302および304をさらに有する。ろ材シート310の頂点302、304は、頂点301および303よりも大きく湾曲している。しかしながら、他の実装例では、頂点302および304を、同じように比較的鋭くなるように構成できる。フルート頂点301および303を、隣接する第1の側面の頂点と称し、頂点302および304を、隣接する第2の側面の頂点と称することができる。第1の側面の頂点としてのいくつかの頂点および第2の側面の頂点としての他の頂点の特性は、任意であり、所望であれば、逆にできる。
【0043】
フルート310は、フルート310の内部体積および形状を規定するのを助ける一連の稜部308を有する。稜部は、ろ材をその箇所で変形させた結果として、ろ材に形成できる。ろ材に圧力を加えた結果として、ろ材は稜部で変形できる。稜部308の位置の変更は、フルート310のテーパに著しい影響を及ぼす一方、同時に、対向するフルート312のテーパも変更する。それゆえ、例えば、稜部308が低いプリーツ頂点304の方へ移動すると、フルート312の断面積を大きくする一方、フルート310の断面積を小さくし得る。そのような一部の実装例では、フルートの相対的な幅対高さの比が変化することがある一方、他の実装例では、この比は実質的に一定のままとなる。
【0044】
フルート付きろ材300は、各フルート310に2つの稜部308を有するものとして示す。稜部308は、フルートの長さの少なくとも一部分に沿って延在する。一部の実施形態では、各稜部308は、フルート付きろ材の比較的平らな部分308aが、フルート付きろ材の比較的急な部分308bに接合する領域全体として特徴付けられ得る。用語「稜部」の使用は、頂点とはみなされないろ材の一部分を特徴付けるものである。すなわち、稜部は頂点間に設けることができ、稜部は非頂点とみなすことができる。稜部は、ろ材の異なる傾斜部分間の交線とみなすことができる。
【0045】
一部の実装例では、稜部の出現は、ろ材自体が不規則であるために、幾分曖昧である。稜部の特性は、フルート頂点と混同されるものではない。全体的に平らな部分308aおよび全体的に急な部分308bの特性は、稜部308の存在を特徴付ける1つの方法を意図している。概して、平らな部分308aおよび急な部分308bは、ある程度の曲線を示してもよい。すなわち、平らな部分308aおよび急な部分308bは、特に空気または液体などの流体がろ過中にろ材を通って流れる際に、完全には平面的ではないことが予測される。より具体的には、稜部は、フルート付きろ材の断面のプロファイル内のろ材の実質的に異なる傾斜部分間の移行領域とし得る。稜部は、しわまたは曲りなどの(例えば、図9Aの308参照)ろ材の曲率の不連続性を特定する。移行部は、比較的急激とし得る。通常の使用下では、稜部は、他の隣接するプリーツからの稜部とは接触しない。稜部は、フルートの断面積のカスタマイズおよび最適化を可能にし、比体積内のろ材の量を増やし、および対向するろ材表面のフルート間のマスキングを減らすのを助けることによって、ろ材パックを通る流体流れおよびろ過の効率を高める。
【0046】
適切な稜部は、フルートの高さまたは幅を変更することなく、およびろ材を著しく伸張させる必要なく、フルートの断面積のテーパ付けに特に有用である。また、稜部は、フルートの全表面積を変更することなく、断面積をテーパ付けによって変化させることを可能にし得る。
【0047】
例示的なフルート付きシート300の場合、フルート付きろ材の比較的平らな部分308aが、図9Aでは、頂点301と稜部308との間に延在するフルート付きろ材の部分として分かる。フルート付きろ材の比較的急な部分308bは、頂点302から稜部308へ延在するろ材の部分として特徴付けることができる。図9Aに示すろ材の稜部の存在によって、隣接する頂点301および302におけるマスキングを減らすのを助ける。稜部308が存在することによって、隣接する頂点間(例えば、頂点301と302との間;または301と304との間)に存在するろ材の量を増やすのを助け、かつ頂点を鋭くするのを助ける。
【0048】
稜部を使用して作製されたテーパ付きフルートはまた、一般にテーパ付きの稜部、例えば、互いに向かって集まる、互いから別れる、またはフルート頂点で合流する稜部を有することも観察される。そのように集まることは、上述の、例えば、図7および図8A〜8Dにおいて明らかである。
【0049】
稜部は、しわ付け、曲げ、折り畳み、圧印、または、フルート付きろ材を形成する最中にフルート付きシートのある長さに沿ってろ材を操作する結果、形成できる。フルート付きろ材の形成ステップの最中に、稜部を固定するステップを行うことが望ましいかもしれないが、必須ではない。稜部の固定は、稜部のろ材内の残留応力を除去し、ろ材が、形成された形状に留まる傾向を有するようにすることを意味する。例えば、稜部は、熱処理または水分処理またはそれらの組み合わせによって固定できる。加えて、稜部を固定する追加的なステップがなくても、稜部は、しわ付け、曲げ、または折り畳みの結果、存在できる。
【0050】
稜部の存在は目視観察によって検出できる。稜部の存在は、フルートのプリーツの折り目が不明瞭であるゆえ、フルートの端部を見ても特にはっきりしないかもしれないが、フィルタエレメントを切り込んで、稜部がフルートの長さに沿って延在していることを見てもよい。さらに、稜部の存在は、(一部の実装例では)フィルタエレメントにダストが詰まっており、フルート付きシートを剥がして、フルート付きろ材の稜部に対応する稜部を有するダストの固まりを見せるという技術によって、確実に示すことができる。ダスト表面の固まりの2つの部分が交差していることは、稜部であることのインプレッションを与え、ろ材の曲率が不連続であることを明らかにする。例示的な実装例では、フルート内にダストの固まりを作るために、ろ材に詰めてフルートを満たすのに使用できるダストは、ISOファインテストダスト(ISO Fine test dust)として特徴付けることができる。清浄なフィルタエレメントに硬化可能な樹脂(エポキシなど)を含浸させてから、セグメントに切り分けることは、本発明に従って作製されたテーパ付きフルート内部の幾何学的形状を確認するために、さらに効果的な技術である。稜部は、非常に微妙なものでも、この技術を使用して特定できる。
【0051】
稜部は非常に有用であるが、稜部の数がかなり少ない、稜部があまり広範囲にわたっていない、または稜部が全くない、好適なテーパ付きフルートを有することも可能である。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックのフルートの25%未満が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を有する。あるいは、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックのフルートの50%未満が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含む。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックのフルートの少なくとも75%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含むことを理解されたい。
【0052】
稜部の存在の特性は、稜部はフルートのある長さに沿って存在するが、必ずしもフルートの全長に沿っては存在しないことを意味することを理解されたい。概して、稜部を、得られるろ材に所望の性能、特にテーパ付き形態をもたらすのに十分な長さだけ、フルートに沿って設ける。稜部は、フルートの全長に延在してもよいが、稜部が、例えば、プリーツまたは折り畳みなどのフルートの端部における影響の結果、フルートの全長(フルート長の100%)に延在しないことも可能である。
【0053】
好ましくは、稜部は、フルート長の少なくとも10%、より一般には、フルート長の25%に延在する。一例として、稜部は、フルート長の少なくとも30%、フルート長の少なくとも40%、フルート長の少なくとも50%、フルート長の少なくとも60%、またはフルート長の少なくとも80%に延在できる。そのような稜部は、フルートの長さに沿って連続してまたは不連続に延在できる。また、稜部は、フルートに沿って一様に分布できるか、またはフルートの長さに沿って一様でなく位置決めできる。例えば、いくつかの実施形態では、ろ材パックの上流面または下流面のいずれかの付近でより多数のまたはより少数の稜部を有するように分布したフルートを有することが望ましいかもしれない。加えて、フルート上の稜部の位置は、テーパを修正するために変更できる。
【0054】
例えば、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を有し、その稜部は、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも25%に延在する。あるいは、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含み、その稜部は、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも50%に延在する。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも50%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含み、その稜部は、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも50%に延在することを理解されたい。
【0055】
代替的な設計も考慮され、かつ本発明の範囲内にある。例えば、一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも25%は、隣接するフルート頂点間に、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも10%に沿って延在する稜部を有する。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも50%は、隣接するフルート頂点間に配置されかつ第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも10%に沿って延在する少なくとも1つの稜部を有する。一部の実装例では、プリーツ加工されたろ材パックにあるフルートの少なくとも10%は、隣接するフルート頂点間に、第1の組のプリーツの折り目と第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも10%に沿って延在する少なくとも1つの稜部を有する。
【0056】
本発明の1つの利点は、一般にフルート高さ、フルート幅、鋭いフルート頂点、および任意選択でフルートに沿った1つ以上の稜部を含むフルートの幾何学的形状によって、ろ材プリーツパックにより多くの量のろ材全表面積を含ませることができ、最小限のマスキング、およびろ材を過度に伸張させないろ材のテーパリングで、そのろ材の活用を改善することである。これは、フィルタエレメントのサイズを大きくすることなく、ろ過性能を高める能力をもたらす。
【0057】
しかしながら、1つの稜部または2つの稜部が、隣接する頂点間毎に存在すること、または繰り返しパターンがあることを要しない。一部の実装例では、少なくとも25%のフルートは、隣接する頂点間に少なくとも1つの稜部を有して、稜部が存在することの利益を達成することを示している。さらに一層好ましくは、少なくとも50%のフルート、および一層好ましくは100%のフルートが、フルートの隣接する各頂点間に少なくとも1つの稜部を有していることを示す。
フルート幅、高さおよびろ材長
フルート頂点301、303および稜部308が存在することによるフルート310の特性に加え、幅、高さ、およびろ材長に関してフルートを特徴付けることが可能である。図9Aのフルート310では、フルート幅D1は、頂点302の中心点から頂点304の中心点までの測定量である。あるいは、フルート幅D1は、頂点301の中心点から頂点303の中心点までの測定量とし得る。繰り返しの規則的なフルートの幾何学的形状では、D1のこれら2つの測定値は同じである。
【0058】
D1の絶対的な寸法は、用途に依存して変化する。他方で、概して、D1は、様々な用途のために拡大または縮小できる。例えば、大型のディーゼルエンジンでは、D1は、0.5インチ以上までの典型的な測定値を有し、一般的な範囲は0.1〜0.3インチとし得る。小型のガソリンエンジン用の燃料フィルタでは、D1は、0.010インチ〜0.030インチの典型的な測定値を有し得る。大型のガスタービン用のフィルタでは、D1は、一般に0.1インチ〜1.5インチとし得る。これらのフルート幅は、単に例にすぎず、およびD1は、用途に依存して可変とし得ることが理解される。また、D1は、本発明の一部の実装例ではフルートの長さに沿って変化し得ることを理解されたい。
【0059】
本発明のテーパ付きフルートのさらに別の重要な寸法は、フルート頂点303から、対向する頂点302、304によって形成された平面まで垂直に測定されたフルート高さの距離Jである。距離Jはまた、用途に依存して変化し得る。他方で、概して、Jは、様々な用途のために拡大または縮小できる。例えば、大型のディーゼルエンジンでは、Jは、0.03インチ〜0.08インチの典型的な測定値を有し得る。小型のガソリンエンジン用の燃料フィルタでは、Jは、0.03インチ〜0.08インチの典型的な寸法を有し得る。大型のガスタービン用のフィルタでは、Jは、一般に0.010インチ〜0.300インチを有し得る。例示的なガスタービンの実装例では、Jは、例えば0.5インチ未満である。これらのフルート高さは単に例にすぎず、およびJは、用途に依存して可変とし得ることが理解される。また、Jは、本発明の一部の実装例ではフルートの長さに沿って変化し得ることを理解されたい。
【0060】
フルートの幅対高さの比はまた、本発明の一部の実装例では、調整される。フルートの幅対高さの比は、フルート幅D1対フルート高さJの比である。フルートの幅対高さの比は、以下の式:
フルートの幅対高さの比=D1/J
で表すことができる。
【0061】
フルート幅D1およびフルート高さJなどの測定距離を、ろ材の平均値と特徴付けることができる。そのような測定は、各端部におけるフルート長の一定量(20%など)を除いて(プリーツの折り目を形成することによるフルートの歪みがあるため)、フルート長に沿って行うことができる。それゆえ、距離D1およびJは、フルートの端部は一般にプリーツ付けを行った結果変形しているため、フルートの端部から離して測定できる。フルートの幅対高さの比は、フルートの長さにわたって変化することも、変わらないままであることもできる。フルート高さまたはフルート幅がフルートの長さにわたって変化するテーパ付きフルートを設けることの利点は、隣接するろ材表面間が接触する可能性を低減し、それゆえマスキングを減らすことができる能力にある。
【0062】
全体的に、好適なD1/J比は、10未満であり、より一般には8未満であり、多くの場合6未満である。D1/Jが高くなりすぎる場合、フルートを通る流れは、フルートがかなり幅広であるにもかかわらず短すぎるために、制限されすぎることがある。また、圧負荷下でのフルートの著しい構造的変形が、より起こるようになり、これは、下流フルートがつぶれることとなり得る。好適なD1/J比は、1超、より多くの場合1.5超、および通常2超を含む。ほとんどの実装例では、幅対高さの比は、少なくとも約2.0であり、全体的には少なくとも2.1であり、より一般には少なくとも2.2であり、多くの場合少なくとも2.3であり、任意に少なくとも2.5であり、および任意選択で少なくとも3.0である。
【0063】
他の好適なD1/J比は、例示的な実装例では、4超、6超、または8超を含む。それゆえ、好適な範囲は、これらに限定されるものではないが、D1/J比が2〜10、4〜8、および5〜7である。しかしながら、一部の実装例では、D1/J比が極端に小さいフルートを使用できる(そのようなフルートは概して製造がより困難であるが)。例えば、1.0未満、0.75未満、および0.50未満のD1/J比が可能である。一部の実装例では、非常に高いまたは低いD1/Jの値を含むフルートは、0.5〜2.0に近い値のD1/Jを含むフルートよりも性能がよい。そのようなD1/J比の好適な範囲は、2〜8および0.075〜0.500を含む。
【0064】
フルートの幾何学的形状を特徴付ける別の寸法は、フルートの任意の所与のスポットにおけるフルートの周囲に沿ったろ材長に対応する寸法D2である。D2は、フルート付きろ材ではD1よりも長い。長さD2は、フルート付きシート300の一周期のフルート付きシート300の長さと定義される。フルート付きシート300の場合、距離D2は、頂点302から頂点304までのフルート付きシートの長さである。この距離は2つの稜部308を含む。フルート付きろ材の隣接する頂点間に1つ以上の稜部を設けることによって、距離D2は、従来技術のろ材よりも長くなり、所与の体積におけるろ材を多くし得る。1つの稜部または複数の稜部が存在する結果、例えば、稜部のないプリーツ加工されたろ材と比較して、ろ過に利用可能なろ材を多くすることが可能となる。これは特に、鋭いフルート頂点と組み合わされて、マスキングを減らすときに有益である。このろ材の増大は、マスキングをほとんどもしくは全く増やさずに、またはマスキングを減らしても達成できる。D2は、テーパ付きフルートの設計および製造における特に有用なパラメータである。プリーツの長さに沿った異なるセクションにおけるD2の値が、ろ材の歪み限度よりも大きな量で変化する場合、ろ材の破壊が発生し得る。それゆえ、プリーツ面に沿ったD2の変化を制御して、変化をろ材の歪み限度内に保つ必要がある。
【0065】
重要なフルートの幾何学的形状の追加的な態様は、フルート幅(D1)とフルートに沿ったろ材長(D2)の相対値である。D2/D1の値はまた、プリーツ加工されたろ材の説明に有用である。一部の実施形態では、第1の組のプリーツの折り目から第2の組のプリーツの折り目まで延在するフルートの少なくとも一部分は、1.0超、多くの場合少なくとも1.05、および多くの場合少なくとも1.1のD2/D1の値を含む。一部の実装例では、D2/D1は少なくとも1.15であり、他の実装例では少なくとも1.20である。D2/D1の値が高いことは、所与のフルート幅に沿って設けられたろ材の量の増加を示し、かつまた、フルートの高さJの増大ももたらし得る。一部の実装例では、D2/D1は、1.30超、1.40、または1.50である。D2/D1の典型的な範囲は、例えば、1.05〜2.0;1.10〜1.75;および1.20〜1.50を含む。
【0066】
フルートを理解するために有意義な方法を提供し得る、フルートの幅対高さの比に類似する別の性質は、「開放チャネルの幅・高さ比」である。概して、開放チャネルの幅・高さ比は、式:
開放チャネルの幅・高さ比=D1/C
に従って決定できる。
【0067】
この式では、Cは、フルート高さ(J)からろ材厚さ(T)を引いた開放チャネルのフルート高さである(図9A参照)。ろ材の性能を高めるために、概して、約2.25超、約2.5超、約2.75超、または約3超の開放チャネルの幅対高さ比をもたらすことが望ましい。開放チャネルの幅対高さ比は、好ましくは約10未満、約9.5未満、約9未満、約8.5未満、約8未満、約7.5未満、または6未満である。例示的な実装例では、開放チャネルの幅対高さ比は2〜7、3〜6、または4〜5である。
コード長、ろ材コード百分率、およびろ材の密度
ろ材の性能を高めるためにマスキングを減らすことが望ましいが、ろ材の性能を高める別の技術は、所与の体積においてろ過に利用可能なろ材の面積の量を増加させることである。図9A〜9Cに示すろ材構成は、所与の体積に存在するろ材表面積の量を増やす技術を示す。ろ材−コード百分率は、テーパ付きフルートを含むフルート構成が、ろ材パックに、いかにして所与の体積におけるろ材表面積を増やすことができるかの手法の支援となり得る。
【0068】
本発明の一部の実装例の別の態様は、ろ材のコード長(CL)が、ろ材−コード百分率を決定することを含む。コード長は、1つの頂点の中心点から、隣接する頂点の中心点までの直線距離を指す(例えば、図9Aの隣接する頂点301、302参照)。ろ材の厚さの影響を最小限にするため、コード長の測定値は、ろ材内の中心点から決定される。
【0069】
ろ材−コード百分率は、コード長(CL)の測定値を必要とする。コード長CLとろ材長D2との関係は、ろ材−コード百分率として特徴付けられる。ろ材−コード百分率は、以下の式:
ろ材−コード百分率=((1/2・D2)−CL)×100/CL
に従って決定できる。
【0070】
フルート付きろ材の隣接する頂点間に単一の稜部または複数の稜部を設けることによって、距離D2は、従来技術のろ材より長くできる。1つの稜部または複数の稜部が存在する結果、例えば、稜部のないプリーツ加工されたろ材と比較して、ろ過に利用可能なろ材をより多くすることが可能となる。ろ材−コード百分率の測定値を使用して、隣接する頂点間に提供されるろ材の量を特徴付けることができる。
【0071】
ろ材−コード百分率の測定値を使用して、隣接する頂点間に提供されるろ材の量を特徴付けることができる。例示的な実施形態では、ろ材−コード百分率は、1%超、あるいは2%超、3%、4%、または5%である。一部の実装例では、ろ材コード百分率は、7.5%超、または10%超である。ろ材コード百分率の好適な範囲は、例えば、0.1%〜15%、0.5%〜10%、および1%〜5%を含む。ろ材コード百分率は、フルートの全長に沿って常に同じではないため、本発明の一部の実装例では、フルートの少なくとも25%は、フルート長の50%に沿って、少なくとも1%のろ材−コード百分率を示す。代替的な実装例では、フルートの少なくとも25%は、フルート長の50%に沿って、少なくとも2%、3%、4%または5%のろ材−コード百分率を示す。
【0072】
隣接する頂点間に1つ以上の稜部を設ける結果、隣接する頂点間に存在するろ材が増えることは、ろ材−コード百分率によって特徴付けることができる。本発明に従って作製されたフルートの場合、ろ材−コード百分率は約1%超、約1.5%超、および約2%超である。一部の実装例では、ろ材−コード百分率は3%超であり、任意選択で4%超である。一部の実装例では、ろ材コード百分率は5%を上回り得る。ろ材−コード百分率は、概して約25%未満、より一般には約20%未満である。
【0073】
ろ材に過剰のマスキングがない、およびろ材を通る流体流れを低下させないという条件で、フィルタエレメントに比較的大量のろ材を有することも望ましい。この点で、フルート幅に対するろ材長(D2/D1)を大きくする一方、高さJは不変のままとすることは、所与の体積内でのろ材の増加に反映される。それゆえ、プリーツ加工されたフィルタ内のろ材の密度の1つの測定値は、体積に対するろ材の量の測定値である。これは、式:
D2/(D1×J)
を使用して計算できる。概して、ろ過性能を示すものとしてのろ材の密度は、他のパラメータに加えてろ材の密度に関して、プリーツ加工されたろ材を特徴付けることによって、最適にされる。
【0074】
図9Aに示すフルート断面は、本発明に従って構成されたフルートの例である。図9Bに、代替的なフルート構成を示し、隣接する頂点324と326との間に4つの稜部328および329を備えるフルート330を含むフルート付きろ材320を示している。それゆえ、ろ材の単一の周期長は、実施形態に示す4つの稜部を含む。稜部328および329は頂点324、325、および326とは異なることを理解されたい。ろ材320は、隣接する頂点間(例えば、頂点325と326との間)に2つの稜部328および329があるように、提供され得る。代替例では、3つ以上の稜部がある。
【0075】
フルート330は、図5A、5B、および5Cに示すフルートと同様である。フルート330のテーパ付けは、フルート330の長さに沿って稜部328、329の位置を変えることによって、達成できる。それゆえ、稜部328および329が緩慢に下向きに(頂点325から離れて、頂点324および326によって形成された平面に向かって)移動する場合、フルート330の断面積は徐々に減少する一方、隣接するフルート332の断面積(頂点325と327との間のろ材によって規定される)は増大する。それゆえ、フルート330を、ろ材パックの背面付近の最小面積に達するまで断面積がテーパ付けされて徐々に小さくなる好ましい「上流」フルートとし得る一方、フルート332を、ろ材パックの背面付近の最大面積に達するまで断面積が徐々に増大する好ましい「下流」フルートとし得る。
【0076】
フルート330、332の断面積を変えるために稜部328、329の位置を変えさせることによって、フルートのろ材320の全長を変化することなく、フルートに著しいテーパを形成することが可能となる。これは、少なくとも2つの理由から好都合である。第1に、ろ材の一部の領域をろ材の他の領域に折り重ねる必要があることによるなど、テーパを形成するためにろ材を浪費する必要がない。第2に、稜部328、329の位置を変えることによる、図9Bに示すテーパ付きフルートの形成が、ろ材を著しく伸張させる必要性を回避し、それにより、高セルロースろ材および他の比較的低伸張性のろ材、例えば、ガラス繊維およびセラミック繊維を含有するろ材などを使用できるようになる。
【0077】
それゆえ、頂点324、325および326に対して稜部328および329の位置を変えることによって、フルート330および332にテーパ付けする一方、同時に、頂点間の距離を比較的一定に保つ(ろ材の不規則性の限界内に)ことが可能となる。フルート330および332の高さJおよび幅D1は、(図示の実施形態では)フルートの長さに沿って変化しない。代替例では、これらの相対寸法に変化を示すテーパを形成することも可能である。例えば、フルート330の高さJは、フルートの長さに沿って低くできる一方、同時に稜部328と329との間の距離も削減できる。
【0078】
稜部328、329は、フルート付きろ材の比較的平らな部分と、フルート付きろ材の比較的急な部分とを交差させる結果、設けることができる。フルート付きろ材の比較的急な部分は、稜部329と頂点325との間に延在するフルート付きろ材の部分と特徴付けることができ、かつ、(例えば)稜部328と稜部329との間の角度を有すると特徴付けることができる。頂点325は、フルート付きろ材の平らな部分よりも上側に延在する。それゆえ、頂点325は、隣接するフルート付きろ材からの、輪郭がはっきりとした隆起であることを示し、このことは、ろ材の隣接するプリーツのフルート間のマスキングの減少に役立つ。
【0079】
ここで図9Cを参照すると、フルート350および352を含むフルート付きろ材340が示されている。各フルート350は、隣接する頂点344と345との間に少なくとも2つの稜部348および349を含む(図示の断面図でフルート当たり合計4つの稜部)。それゆえ、フルート350の長さD2に沿って、ろ材340は4つの稜部348および349を含む。フルート350および352のテーパ付けは、稜部348および349の位置を動かすことによって達成できる。フルート350の下側の面積を増やすために、図9Cに示すように、稜部348および349を、頂点345から離れて、頂点344および346に向かって移動させる。これは、フルート352の断面積を同時に削減するが、ほとんどまたは全くろ材シート340を伸張させる必要なく達成できる。テーパ付けはまた、例えば、頂点345で集まる稜部349を有することによって;頂点344および346で集まる稜部348を有することによって、または互いに集まる2つの稜部を有することによって、発生し得る。
【0080】
隣接する各頂点間に2つの稜部が有ることは必須ではない。稜部が3つ以上または1つ以下の場合もある。交互に稜部が存在するまたは隣接する頂点間の間隔に稜部が設けられることが望ましい場合、頂点間に稜部が存在しない場合もある。しかしながら、稜部が存在しない場合でも、図9Cに示す頂点345など、わずかに先の尖った頂点でも有することが望ましい。なぜなら、そのような頂点は、マスキングを有意義に減らすことができるためである。
【0081】
概して、フルートのパターンが繰り返されて、隣接する頂点間に稜部が存在する個所に、フルートのパターンを設けることができる。フルート付きシート300、320、および340を、頂点から頂点まで比較的対称的に示す。すなわち、フルートは、隣接する頂点間に同じ数の稜部を有して繰り返される。隣接する頂点は、フルート付きろ材の長さに沿って隣同士の頂点を指す。しかしながら、ろ材の一周期は、隣接する頂点間に同じ数の稜部を有する必要はなく、かつ、ろ材は、こうして非対称的と特徴付けることができる。すなわち、ろ材は、一周期の一方の半分に稜部を有し、かつ一周期の他方の半分には稜部が無いように準備できる。
【0082】
図9Aは、フルート幅である寸法D1、およびフルートに沿ったろ材長である寸法D2を採用している。本発明の典型的な実装例では、D1およびD2は、フルートの長さに沿って一定のままである。しかしながら、一部の実装例では、フルートの長さに沿ってD1またはD2のいずれかを変更することが可能であるが、そのような変更は、一般に、隣接するフルートの長さに沿ったD1および/またはD2の逆の変化によってオフセットされる。それゆえ、1つのフルートが、プリーツパックの一方の端部から他方の端部まで寸法D1が50%の総増加を示す場合、一般に、対向する隣接するフルートは、プリーツパックの一方の端部から他方の端部まで、寸法D1に50%の総減少を示す必要がある。
【0083】
隣接するフルートが、対応してD1の逆の変化を受けない場合、プリーツパックの一方の面が対向面よりも大きなまたは小さな幅を有するテーパ付きプリーツパックをもたらす。同様に、1つのフルートが、プリーツパックの一方の端部から他方の端部へ、D2に50%の総増加を示す場合、一般に、隣接するフルートは、プリーツパックの一方の端部から他方の端部へ、D2に50%の総減少を示す必要がある。ろ材の幅にわたるD2の測定値の和を一定に保つことが望ましく、そうでなければ、ろ材を著しく伸張させる必要があり、これは概して、高セルロースろ材では実現できない。ろ材全長がプリーツに沿って一方の面から他方の面に変化しないこの原理はまた、概して、プリーツの折り目にも当てはまる。プリーツの折り目が、フルート付きろ材を形成するのに使用されるろ材の幅よりも長いウェブ横断ろ材長を必要としないことが、必要である。これは、フルートの形成に必要なろ材の幅のいずれの増加もろ材の歪みを大きくするため、当てはまる。多くの合成ろ材材料は、ろ材を著しく劣化させることなく、よりそのような歪みを受けることがあるが、高セルロースろ材は、数%を超える伸張を容易には受けない。それゆえ、特に高セルロースろ材を使用する場合、プリーツの折り目が、プリーツ加工されたろ材に著しい伸張力を加えないことが望ましく、多くの場合必要である。
ろ材体積の非対称性&断面の非対称性
本発明のテーパ付きろ材の別の特性は、一部の実装例では、ろ材体積の非対称性が存在することである。ろ材体積の非対称性は、ろ材プリーツパックの一方の側(上流側または下流側のいずれか)が、ろ材プリーツパックの他方の側とは異なる体積を有するときに、発生する。そのような非対称性は、フルートが構成され、それらにテーパを付ける方法によって、生じ得る。本明細書で使用されるように、ろ材体積の非対称性は、概して、フルート頂点で囲まれた大きなろ材体積と、対向するフルート頂点によって囲まれた小さなろ材体積とのろ材体積比の測定値である(例えば、図10および11A参照)。全てではないが、いくつかの実装例では、大きなろ材体積は、上流の開放ろ材体積に対応し、小さなろ材体積は下流の開放ろ材体積に対応する(使用中、上流の体積の占有部には、ダストのような汚染物が蓄積し得る)。
【0084】
ろ材体積の非対称性は、流体流れの改善および負荷性能の向上を含め、様々な理由で有益である。一部の実装例では、ろ材は、1%超、3%超、5%超、または10%超のろ材体積の非対称性を示す。例示的なろ材構成は、15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超のろ材体積の非対称性を示す。好適なろ材体積の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%を含む。テーパ付きフルートは、ろ材体積の非対称性を組み込んで、ろ過性能をさらに高め得る。
【0085】
テーパ付きフルートを含むろ材パックはまた、任意の所与の点でのろ材の断面に基づいて計算されるろ材断面の非対称性を示し得る。テーパ付きフルートでは、断面の非対称性は、フルート付きろ材パックの深さに沿った測定個所によって変動する。断面の非対称性はろ材体積の非対称性をもたらし得るが、これは、テーパ付きろ材断面積がフルートの長さに沿って変動し、ろ材の各側の全体積が等しくなる累積効果を有するようにし得るため、いつでも当てはまるわけではないことを理解されたい。また、ろ材パックの所与の断面は、ろ材の上流側に大きな断面積を示し得るが、それに続くろ材のテーパリングによって、全体的なろ材体積の非対称性がろ材の全体積に関して下流側に有利に働くようにする。
【0086】
一部の実施形態では、ろ材パックは、ろ材の一方の側の断面積が、同じろ材の対向する側よりも少なくとも1%大きくなるように、断面の非対称性を有する。ろ材にわたる断面積の差は3%超、5%超、または10%超であることが多い。例示的なろ材構成は、15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超のろ材断面の非対称性を示す。好適なろ材断面の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%を含む。
【0087】
断面積の差は、フルート設計の幾何学的形状によって制御される。フルートに沿った稜部の存在、数、および形状が著しい影響を与えることが多く、断面の非対称性の程度を決定することが多い。フルートのテーパリングは、概して、フルート長に沿って断面の非対称性を変化させる。しかしながら、これはいつでも当てはまるわけではなく、例えば、フルートの高さJは変化するが幅D1は一定を保つ。そのような実施形態では、フルートに沿って稜部の相対位置を変えること(あるいは、フルートに沿ってろ材の分布を変えること)によって全断面積を一定に保つことが可能になることがある。
【0088】
断面積に差をもたらすフルートの幾何学的形状は、フルートを通る流れ特性に著しい影響を与え得る。フルートの相対断面積の変化は、一般に、その領域のろ材パックの上流および下流部分の断面積の変化をもたらす:ろ材パックの上流部分の断面積が増大する場合、ろ材パックの下流部分も、一般に断面積が減少する。本発明は、ろ材体積の非対称性および断面の非対称性をカスタマイズしてろ過性能を高めることができる。
【0089】
語句「ろ材体積の非対称性」によって意味することをさらに理解するために、図10〜12を参照する。図10の場合、ろ材400が、第1の理論的平面402と第2の理論的平面404との間で上下して示されている。ろ材体積の非対称性は、ろ材パックの理論的平面402と404との間の、ろ材400の一方の側をろ材400の他方の側と比較した体積差を指す。理論的平面402および404を特徴付ける1つの方法は、頂点406および408が、図11aに示すように、対向するろ材表面に接触するように、ろ材400にプリーツ付けを行って十分に詰め込むことであると考えられる。
【0090】
ろ材体積の非対称性は、ろ材パック内でのパッキング構成ではなく、ろ材のフルート構成の尺度である。ろ材の一方の側の開放断面積(図10、領域407)は、ろ材の一方の面から、ろ材の同じ側のフルートの各頂点によって規定されたラインまで延在するものとして認め得る。この領域は、ろ材の対向面と、対向するフルートの各頂点によって規定されたラインとによって囲まれたろ材の他方の側の開放断面積(図10、領域409)よりも大きい。これらの断面積は、ろ材の所与の断面にろ材断面の非対称性を規定する。
【0091】
そこで、プリーツパックの上流面から下流面まで延在する断面の非対称性は、上流体積および下流体積を、および同様に、ろ材体積の非対称性を特徴付ける。プリーツパックに対して、フルート頂点がプリーツの折り目からプリーツの折り目まで延在するまたは延在しない場合、プリーツの折り目間のろ材がほとんど曲率を示さず、実質的に平坦である(プリーツの折り目間のろ材のフルートのセクションの質量重心が実質的に平面に位置する)場合、上流ろ材体積は、上流ろ材表面、プリーツの折り目での接触面、およびプリーツの折り目の中心線までフルート頂点の上に形成された凸閉包によって取り囲まれている体積であることが分かる。下流ろ材体積は、下流ろ材表面、プリーツの折り目における接触面、およびプリーツの折り目の中心線までフルート頂点の上に形成された凸閉包によって取り囲まれている体積であることが分かる。
【0092】
ここで図11Aを参照すると、図示のプリーツパッキング構成は、最大プリーツ総数(PCMax)と特徴付けることができる。なぜなら、この構成は、フルートが歪まずに所与の体積中に最大数のプリーツが入ることを示しているからである。図11Aでは、ろ材400の断面を示しており、ろ材400自体に前後してプリーツが付けられていることを示す。ろ材体積の非対称性の計算に基づいて、図11Aに示すろ材の配置に対するろ材体積の非対称性の値は、図11Bでは頂点406同士および408同士が接触していないが、図11Bに示すろ材の配置に対するろ材体積の非対称性と同じである。従って、ろ材体積の非対称性の定義は、ろ材にプリーツ付けを行って、プリーツ加工されたろ材パックを形成する際に存在し得る、ろ材表面間の潜在的な分離を考慮している。
【0093】
実際の測定値に関して、図10の理論的平面402および404は、頂点の統計的最大値に基づいて決定される。例外的な状況は計算から除外できる。例えば、高すぎるかまたは低すぎるかのいずれかの、およびろ材のパッキング密度にあまり影響を及ぼさない偶発的な頂点があり得る。それらの頂点は、理論的平面402および404を計算するためのものとはみなされない。さらに、体積の非対称性を大きくするために、頂点が省略されたり、または平均フルート高さよりも著しく低い高さに形成されたりする場合もあり得ることを理解されたい。そのような場合、頂点高さが低いことは、パッキング密度の計算に影響を及ぼさない。概して、パッキング密度は、図11Aに示すように、ろ材表面の頂点がちょうど接触するような所与の体積に利用可能なプリーツ数を指す。
【0094】
「ろ材体積の非対称性」を計算する利点は、ろ材に基づいてろ材の体積(上流体積および下流体積)を計算でき、および結果が、フィルタエレメントの実際の上流体積および下流体積とは異なり得ることである。例えば、ろ材を、頂点が実質的にちょうど互いに接触するようなパネルとして配置できる。その場合、フィルタエレメントの上流体積および下流体積は、「ろ材体積の非対称性」の計算と一致する必要がある。
【0095】
しかしながら、代わりに、ろ材を、頂点が互いに接触しないような構成に配置できる。例えば、ろ材表面を、パネル型フィルタエレメントにおいて互いに十分に分離するか、またはシリンダー状フィルタエレメントの典型的な場合のように、互いに分離することができる。そのような場合、フィルタエレメントにおける体積の非対称性は、「ろ材体積の非対称性」の計算とは異なると予測される。従って、「ろ材体積の非対称性」の計算を使用することは、ろ材自体に基づきかつフィルタエレメントへのろ材の配置またはパッキング方法に関わらず、ろ材パックに対する体積の非対称性(または体積の対称性)の計算を正規化する技術である。値を得ることができる別の計算は、フィルタエレメントにおける実際の体積の非対称性である。フィルタエレメントに対する実際の体積の非対称性は、エレメントの上流側とエレメントの下流側との間の体積の差から生じる体積の非対称性を指す。ろ材の構成(例えば、パネルまたはシリンダー)は、この値に影響を及ぼす。
【0096】
ろ材断面の非対称性はまた、フィルタエレメントを検査することによって計算できるが、断面積は、プリーツの折り目から離れて測定されることが望ましい。それゆえ、例えば、ろ材断面積は、プリーツの折り目から、フルート高さの3倍を除外した距離にわたってフルート長に沿って取られ得る。ろ材断面の非対称性がプリーツの折り目から離れて計算される理由は、ろ材断面の非対称性の計算へのプリーツの折り目の影響を回避するためである。さらに、ろ材断面の非対称性は、フルート長に沿って変化し得ることを理解されたい。この変化は、フルートのテーパの結果とし得る。
【0097】
ろ材断面の非対称性に関しては、ろ材の断面積は、一般に、ろ材の各側に非対称性を示す。図11Aに示すように、断面は、断面積403と断面積405との非対称性を示す。
【0098】
フルートの三次元構造は、流体の流れのための開放体積と、汚染物(ダストなど)が蓄積するための空間とを規定する。一部の実施形態では、ろ材は、ろ材体積の非対称性を示し、ろ材の一方の側の体積が、ろ材の他方の側の体積よりも大きくなるようにする。概して、ろ材体積の非対称性は、フルートを含むプリーツ加工されたろ材の上流側と下流側との間の体積の非対称性を指す。ろ材体積の非対称性は、ろ材パック内のパッキング構成によってではなく、ろ材のフルート構成によって生じる。
フルートの密度
ろ過に利用可能なろ材の量を増やすための別の技術は、ろ材パックのフルートの密度を高めることを含む。フルートの密度は、ろ材パックのろ材の断面積当たりのフルートの数を指す。フルートの密度は、フルート高さJ、フルート周期D1、およびろ材厚さTを含め、いくつもの要因に依存する。フルートの密度は、ろ材パックのフルートの密度と称することができ、および最大プリーツ総数(PCMax)で決定できる。PCMaxは、フルートを変形させずにプリーツパックを製造できる最大限に密集したプリーツ総数である。概して、PCMaxは、フルートの変形を受けて性能が低下する前の、所与の体積に配置できる最大数のプリーツを指す。パネル型フィルタに対して、PCMaxプリーツ密集部は、1/(2J)に等しい。フィルタエレメントのためにろ材パックのフルートの密度(ρ)を計算する式は以下の通りである:
ρ=フルートの数/(2×ろ材パック断面積)
フィルタエレメントのフルートの密度は、フィルタエレメントの断面積の上流にあるフルートおよび下流にあるフルートを含めてフルートの数をカウントし、その数を、フルートの数が決定された個所におけるフィルタエレメントの断面積を2倍したもので割ることによって、計算できる。概して、規則的なろ材には、フルートの密度は、入口面から出口面まで、またはその逆の方向にフィルタエレメントの長さにわたって比較的一定を保つことが予測される。
【0099】
ろ材断面積は、ろ材の断面積を指し、必ずしもフィルタエレメントの断面積を指すわけではないことを理解されたい。フィルタエレメントは、ハウジングを係合するためのシースまたはシールを有し、それにより、フィルタエレメントに、ろ材の断面積よりも大きな断面積をもたらし得る。さらに、ろ材の断面積は、ろ材パックの実効面積を指し、ろ過に有用でないろ材パックの部分は含まない(シールによって覆われる面積など)。
【0100】
概して、フルートの密度が高められているろ材パックを提供することは、ろ材のある体積内でろ材の表面積を増大させる傾向を有し、それゆえ、ろ材の負荷容量を増大させる傾向を有する。従って、ろ材のフルートの密度の増加は、ろ材の負荷容量を高める効果を有し得る。しかしながら、ろ材のフルートの密度の増加は、他の要因は一定のままと仮定して、ろ材によって圧力低下を増大させる効果を有し得る。
【0101】
ろ材のフルートの密度の増加は、フルート高さ(J)またはフルート周期長(D1)、またはそれら双方を小さくすることによることが多い。その結果、フルートのサイズ(フルートのサイズはフルートの断面積を指す)は、フルートの密度が増加するにつれ、縮小する。小型のフルートは、ろ材パックにわたって圧力低下を増大させる効果を有し得る。ろ材パックにわたる圧力低下への言及は、ろ材パックの第2の面で測定される圧力に対するろ材パックの第1の面で決定される圧力差を指し、第1の面および第2の面は、ろ材パックのほぼ対向する側に設けられる。ろ材パックにわたる圧力低下は、一部には、フルートの密度およびフルート長に依存する。
【0102】
ここで図12〜14を参照すると、プリーツ加工されたろ材パックを参照符号450で示す。プリーツ加工されたろ材パック450は、縦方向454および横断方向456を有するろ材452を含む。ろ材は、第1の一連のプリーツの折り目458および第2の一連のプリーツの折り目459を提供するように折り畳まれ(折り目458および459は図12を参照)、ろ材452は、前後配置されて、第1の組のプリーツの折り目458と第2の組のプリーツの折り目459との間に延在する。ろ材452はフルート470を含む。フルート470は、比較的鋭い頂点472および474を含む。加えて、フルート470は、隣接する頂点間(例えば、頂点472と474との間)に稜部476が設けられている。
【0103】
プリーツ加工されたろ材パック450は、開口部486を間に形成するろ材表面482および484と、開口部492を間に形成するろ材表面488および490とを含む。プリーツ加工されたろ材パック450は、第1の組のプリーツの折り目458と開口部486とを含む第1の面485を有するものとして特徴付けることができる。加えて、プリーツ加工されたろ材パック450は、第2の組のプリーツの折り目460と開口部492とを含む第2の面487を有するものとして特徴付けることができる。従って、第1の面492の開口部486を経由して、プリーツ加工されたろ材パック450に空気が流入し、ろ材452を通過してろ過を行ってから、第2の面494の開口部492を経由して、プリーツ加工されたろ材パック450から流出することができる。特定の状況では、第2の面494を経由して、プリーツ加工されたろ材パックに流入し、第1の面485を経由して、プリーツ加工されたろ材パック450から流出する流体の流れを有することを好都合とし得る。ろ材は、一緒に集まる稜部493を有する。このテーパは短縮遠近法で描かれ、稜部の誇張された動きを示す。
【0104】
ここで図15および16を参照すると、本発明に従って作製された2つのろ材の構成の部分の上面図が示されている。図15に、フルートの形成およびプリーツ形成前の、各フルートの各部分の位置を表示して、ろ材500のウェブの単純化した図を示す(それゆえ、図15は、フルート頂点および稜部がフルート形成の最中に配置されるべき個所を示す、平坦な状態のろ材520を示す)。フルート502のそれぞれの輪郭は、中心頂点504と、隣接する対向側頂点506とを示す。それに続くプリーツの位置を線510で示す。図15に示す実施形態は、6つのフルート502を有して示す。フルート502の各々は、破線の4つの稜部508aおよび508bを含む。稜部は、一対の稜部508aおよび508bが各フルート502の頂点504の各側にあるように、位置決めする。稜部508aおよび508bは、互いに向かって集まって、上記で図7に示したものと同様のフルートを形成する。それゆえ、各頂点504の各側には、一対の稜部508aおよび508bがあり、これら稜部は、1つのプリーツに沿って互いに集まってから、次のプリーツに沿って互いに末広状になり、再び、それに続く頂点において互いに集まる。このように、ろ材500を用いて、プリーツ加工されたろ材の断面積を変化させることが可能である。図15では、中心頂点504および隣接する対向側頂点506は互いに平行しており、それにより、フルート付きろ材を形成することが可能となり、フルートは一定の幅および高さを有する一方、それらの長さに沿って断面積が依然として変化することが観察される。
【0105】
図16に関しては、ろ材520は、中心頂点524と、隣接する対向側頂点526とによって規定される複数のフルートを備えて示される。プリーツ個所530も示されている。図16に示すろ材は平らにされており、頂点524および隣接する対向側頂点526の位置を示している。この実施形態では、フルートは、平行な頂点524、526を有しない。それゆえ、フルートの幅または高さを変動させながらも、ろ材を使用してテーパ付きフルートを形成することができる。図16に示す実施形態では、テーパ付きフルート付きろ材を形成するために稜部は必要ない。
フルート頂点の半径
上述の通り、フルート頂点は、一般に、シャープな丸み、またはプリーツ間のマスキングを減らす、輪郭がはっきりした先端部によって特徴付けられる。この輪郭がはっきりした先端部は、フルートの全体的なプロファイルから延出して、フルート頂点に、隣接するろ材のマスキングを実質的に減らす隆起を形成できる。所与のフルート頂点は、形状にある程度ばらつきがあり、必ずしもその先端部に完全な円弧を形成しないことが理解されるが、一部の実装例では、フルート頂点の半径に実質的に対応する距離を特定および測定することが依然として可能である。この距離は、フルートの内部で測定でき、かつ有効内径として計算される。この有効内径は、4ミリメートル未満であることが多く、大抵は2ミリメートル未満であり、1ミリメートル未満であることが多く、および任意選択で0.5mm未満である。一部の実装例では、特に、大きなフルートには、より大きな半径も使用することができる。明らかなまたは測定可能な半径を有していないフルートも、それらが、稜部の存在、ろ材の非対称的な体積などの、本明細書で説明された他の特性を含む場合、本開示の範囲にあることがさらに理解される。
【0106】
図17は、実際のろ材で決定された半径の例を示す。半径は、例えば、局所有効内径と呼ばれる測定値を使用する方法論によって測定できる。局所有効内径は、所与のフルート先端部、頂点、または稜部での最小曲率外径(minimum outer radius of curvature)から、フルートの平均ろ材厚さを差し引いたものと定義される。最小曲率外径は、所与のフルート先端部、頂点、または稜部の断面の最外面を辿ることによって形成された曲線に適合する接触円の最小曲率半径である。参考までに、曲線の所与の点における十分な平滑面曲線の接触円は、内側法線に中心があり、かつ曲率が、その点での所与の曲線の曲率と同じである円である。
【0107】
代替例では、許容可能な半径を説明するのに使用できる式(いくつかの実施形態のための)は、フルート幅(D1)およびろ材厚さ(T)に基づく。比較的シャープな丸みと特徴付けることができる頂点における半径を説明するのに使用される例示的な式は、(D1−2T)/8である。好ましくは、比較的シャープな丸みは、約(D1−2T)/16未満の半径を有する。
【0108】
頂点は鋭いが、多くの実装例では、きつい湾曲の外表面を依然として含み、ある半径の孤または曲りに近似することがある。比較的鋭い頂点を設けることによって、ろ材表面間の接触および/または近接面積を縮小してもよく、それにより、マスキングを減らす。ろ過の最中、ろ材は、一般に圧力下で撓み、比較的鋭い頂点は、ろ材表面間の接触を減らし続け、それゆえ、マスキングを減らすことに関して継続して利点をもたらすことができる。
【0109】
本発明によれば、流体のろ過方法も提供される。この方法は、ろ過されていない流体が、プリーツ加工されたろ材パックの第1の面または第2の面に流入し、かつプリーツ加工されたろ材パックの第1の面または第2の面の他方から流出する結果、フィルタエレメントの一部として設けられたプリーツ加工されたろ材パックを通って流体を通過させるステップを含む。プリーツ加工されたろ材パックを通ってろ過されるべき流体の流れは、直線状の貫流と特徴付けることができる。
フルートの向き
流体が非垂直な角度で第1の面または第2の面に向かって流れるかどうかに依存して、第1の流れ面または第2の流れ面に対して非垂直な角度で延在するフルートを有することを有利とし得る。プリーツ加工されたろ材パックの第1の面または第2の面に対して非垂直な角度でフルートを設けることは、プリーツ加工されたろ材パックに入る前に流体が曲がる必要なく、流体の流れをより受けられるようにフルートの角度を調整することにより、プリーツ加工されたろ材パックに流体がより流入するようにすることを可能にする。ろ材パックの第1の面および第2の面は平行または非平行とし得る。フルートが延在する角度は、第1の面、第2の面、または第1の面および第2の面の双方に対して測定できる。
【0110】
それゆえ、フルートが第1の面または第2の面に垂直に延在するようにフルートを形成でき、または第1の面または第2の面に対して、0度超であるが180度未満の角度で延在するようにフルートを設けることができる。フルートが面に対して0度または180度の角度で延在する場合、流体が、フルートを経由してプリーツ加工されたろ材パックに入ることは困難である。概して、流体が、フルートを通って入ることによって、プリーツ加工されたろ材パックに入ることが望ましい。
【0111】
一部の実装例では、フルートは、面に対して約85度〜95度、他の実装例では、面に対して約60〜120度、およびさらに他の実装例では、面に対して約70〜110度の角度で延在する。好ましくは、フルートは、第1の面または第2の面に対して垂直の約60度以内の角度で延在するように設けられる。概して、この範囲は、第1の面または第2の面に対して約30度〜約150度に対応する。さらに、フルートは、第1の面または第2の面に対して垂直の約5度以内に延在するように設けることができる(第1の面または第2の面に対して約85度〜約95度に対応する)。フルートは、第1の面または第2の面に対して垂直(90度)に延在するように設けられることが望ましいとし得る。
フルートのあるプリーツ加工されたろ材の作製方法
フルートを含むプリーツ加工されたろ材は、様々な方法および機器を使用して作製できる。それゆえ、ろ材、ろ材プリーツパック、およびフィルタエレメントは、それらの製造方法に限定されない。フルート付きろ材は、所望のフルート形状をもたらす任意の技術によって準備できる。それゆえ、本発明は、特定のフルート形成方法に限定されない。しかしながら、フルートの幾何学的形状、およびろ材がフルート付きおよびプリーツ付きであるかに依存して、いくつかの方法が事実上上手く行く。高セルロース含有量の乾式ろ材は、比較的非伸張性であり、および数%を超えて伸張される場合には、処理を施される。対照的に、高合成物質含有量のろ材は、はるかに伸張性があることが多い。両タイプのろ材とも本発明の使用に好適である。
【0112】
ろ材形成の最中、ろ材の限定された寸法は、一般にろ材の幅である。なぜなら、ろ材が製造される機械の幅方向が限定されているためである。ろ材の長さは、ろ材が切断されるまでまたは終端するまで、連続し得る。連続方向は、ろ材の長さに沿ったろ材の方向を指す。横断方向は、概して、ろ材の幅にわたるろ材の方向を指す。プリーツ加工されたろ材は、概して、縦方向を横断して形成されたプリーツまたは折り目を含み、プリーツの数および各プリーツの高さを所望の通り制御できるようにする。プリーツまたは折り目は、一般に、横断方向に形成され、ろ材が交互に折り畳まれるようにして(例えば、前後配置)、第1の面、第2の面、および第1の面と第2の面との間のろ材延出部を有するフィルタエレメントを形成する。概して、ろ過されるべき流体が、ろ材パックの第1の面および第2の面の一方に入り、第1の面および第2の面の他方から出る。
【0113】
比較的鋭い頂点を示すフルート付きろ材を提供するための例示的な技術は、比較的鋭い縁部を提供するのに十分な、フルート付きろ材の曲り、折り畳み、またはしわを含む。比較的鋭い頂点を提供する能力は、曲り、折り畳み、またはしわをもたらすのに使用された処理装置、およびろ材自体の組成を含め、いくつもの要因に依存する。概して、比較的鋭い頂点を提供する能力は、破壊強度、およびろ材の厚み、およびろ材が、伸張するまたは引裂きもしくは切断に抵抗する繊維を含有するかどうかに依存する。フルート形成の最中、引裂き、切断、またはその他のろ材の損傷を回避することが望ましい。
【0114】
本方法は、比較的少量の歪みに対処するのみのろ材を使用できる。なぜなら、プリーツの折り目は、ろ材の全長を比較的一定に保ちかつ歪みを減少させるように形成されるからである。概して、比較的少量の歪みのみを許容できるろ材は、ろ材が高セルロース含有量を有し、かつ冷たく乾いている場合によくあるように、歪みが3%よりは大きい場合、破壊する傾向を有するろ材を含む。濡れている場合でも、温かいろ材は、一部のろ材では歪みが約8%より大きい、および他のろ材では約10%である、または時には約12%より大きい場合に、破壊する傾向を有することが多い。それゆえ、本発明のフルート設計および製造方法を、一部の実装例では、高セルロース含有量を有するろ材と共に使用できる。一部の実施形態では、セルロース含有量は、100%または100%に近い。他の実装例では、セルロース含有量は90%超、80%、70%、60%または50%である。
【0115】
上記で示したように、ろ材の全幅は、プリーツの横断方向にわたって一定とし得る。これにより、ろ材に比較的小さな全体的な歪みを生じるプリーツの折り目構成を可能にする。従って、ろ材パックに使用できるろ材は、一部の実装例では約8%より大きい、他の実装例では10%、またはさらに別の実装例では約12%より大きい歪みに耐えることができないろ材と特徴付けることができる。しかしながら、高レベルの歪みに耐えることができるろ材も、本発明の様々な実装例に使用できることを理解されたい。
【0116】
図18は、本明細書で開示した技術に一致するプリーツ加工されたろ材を形成するための1つのシステム600を示す。ロール巻きのろ材620が、ろ材602を寄せ集めてひだを形成するバンチング(bunching)機構640とつながる状態で巻き戻し台622上にある。ろ材602は、バンチング機構640を通過し、付形ロール660およびスコーリングロール670まで至り、それぞれ付形、および折り目付けが行われる。付形ロール660およびスコーリングロール670を出ると、ろ材602は、任意選択で塗布ステーション675を通過して、畳み込みセクション680に入り、そこで、折り目に沿って折り畳まれて、パック済セグメント612に保管される。
【0117】
ろ材のロール620を使用して、処理するまでろ材602を保管し、概して、処理する場所にその構成で届けられる。ろ材のロール620は、ロール620に巻きつけられた様々なタイプのろ材602を含み得る。概して、ろ材602は平坦な、比較的可撓性のあるシートであり、巻きつけたり巻き戻したりできるようにされている。様々な実施形態では、ろ材602はセルロースろ材であるが、他のタイプのろ材も考慮される。例えば、ろ材602はまた、ポリマーろ材の平坦なシートなどの合成ろ材とし得る。
【0118】
図19Aおよび19Bは、ろ材が、図18に示すシステムと同様のシステムを通過する際の、それぞれろ材の上面図および側面図を示す。第1のセクション692は、ろ材のロール620から離れた後に、システムに入れられるろ材を示す。第2のセクション694は、概して、第1の垂直の切断線によって表されるバンチングロール640による処理を出た後のろ材を示す。第3のセクション696は、付形およびスコーリングロール660を出た後のろ材602を表し、第4のセクション698は、システムの畳み込みセクション680に入ったろ材602を表す。
【0119】
「バンチング」は、ろ材602に施される処理、およびまた、図19Aおよび19Bの第2のセクション694に示すようなろ材602の物理的状態を指すのに使用される。ろ材602は、ろ材602の長さに沿って実質的に平行の凹凸604を示し、このろ材602の長さは、全体的に縦方向、換言すると、様々なシステムの構成要素を通過するろ材602の方向と平行な方向にある。バンチング640は、フルート付けされる際にろ材602に歪みが生じないようにし、それにより、フルート形成および他のろ材の付形に対するろ材602の許容範囲を大きくする。ろ材602にひだ付け(bunching)した結果、凹凸が形成される際に、ろ材602の幅はわずかに減少し、かつろ材602の高さはわずかに増大する。バンチング機構は、様々な構成を有することができ、以下、図20の説明で、一例としてより詳細に説明される。
【0120】
ろ材のバンチング640に続いて、ろ材は、図19Aおよび図19Bのセクション696に示すように付形660およびスコーリングされ得る。「付形」は、ろ材602の長さに沿って縦方向にフルート606を形成し、および「スコーリング」は、フルート606に垂直に−全体的に縦横断方向に、ろ材602に折り目608を形成する。折り目608は、概して、フルート606の形状に対応する特有の形状を有する。一実施形態では、ろ材602は、2つのニップローラの間を通過してから、2つのスコーリングロールの間を通過する。別の実施形態では、ろ材は、スコーリング棒を規定する2つのニップローラの間を通過する。ろ材の付形およびスコーリングを、下記で詳細に説明する。
【0121】
様々な実施形態において、ろ材が付形およびスコーリングされた後、接着剤を塗布できる。これは、図19Aまたは19Bには図示していないが、図18の塗布ローラ675に対応する。接着剤の塗布では、フルートの先端部に沿った点に少量の接着材料を置いて、ろ材が折り畳まれた後に接触する別のフルートに接合できるようにする。グルーまたは接着材料(熱溶融性接着剤、加熱硬化接着剤などを含め、様々な接着剤を使用できる)が優先的に塗布され、グルーまたは結合剤の塗布によってろ材を過度に封止しないようにする。例えば、隣接するプリーツのフルートと接触するフルートの先端部406および408を示す、上記の図11Aを参照できる。接着剤は、これらの個所(フルートが先端部406または408で一体となる)に塗布できる。概して、接着剤の量は、製造中ならびに使用中に、プリーツを一緒に保持するのに十分である必要がある。それゆえ、接着剤を使用する際には、隣接するプリーツ間の強力な接合が通常必要とされる。一部の実施形態では、フルートの先端部の全体に沿って接着剤がのばされるが、他の実装例では、接着剤は、各フルートの先端部の一部分に沿ってのみのばされる。例えば、接着剤を、フルートの先端部に沿って断続的に塗布することができ、プリーツの折り目付近に主として塗布することができ、プリーツ先端部のごくわずかにのみ塗布することができるなどである。テーパ付きフルートを結合するための接着材料の使用に加えて、非テーパ付き(すなわち、規則的な)フルートもまた、接着材料を使用して結合できることを理解されたい。
【0122】
ろ材は塗布ロール675と接触して、接着剤または他の塗布剤を塗布してもよい。塗布に続いて、または、代替例では、付形およびスコーリングに続いて、ろ材は、畳み込みセクション680に入る。畳み込みセクション680は、折り目608に沿ってアコーディオンのようにろ材602が折り畳まれ、かつ、別の処理までそのような状態で保管される場所である。システム600で処理されかつ畳み込みセクション680に入るろ材602が多いほど、ろ材602はよりパッキングされて、折り目608の周りで圧縮される。
【0123】
ここで、図18のシステム600の構成要素を詳細に説明する。図20は、本明細書で開示する技術と一致するバンチング機構を示す。少なくとも一実施形態では、バンチング機構640は、主ロール642と、主ロール642の円周の周りに、主ロール642と機械的に結合する複数のバンチングアクスル650とを有する。複数のバンチングアクスル650の各々は、それらの各軸の周りを回転するように構成されている。複数のバンチングアクスル650の各軸651は、主ロール642の円周の周りに回転可能に配置できる。図示の実施形態では、複数のバンチングアクスル650は、主ロール642の各側の第1のアクスルホルダ644および第2のアクスルホルダ646に回転可能に配置される。第1のアクスルホルダ644および第2のアクスルホルダ646は、複数のバンチングアクスルの各々のアクスルの各端部を収容するように構成されている開口部を規定する。代替例では、バンチング機構は、(図20の円形配置とは反対に)実質的に平面的な構成で一連のローラを含むことができ、それにより、ろ材は、最初のローラから最後のローラまで通過するにつれ、漸次ひだ付けされる。
【0124】
図21は、バンチング機構640に入り、ひだが付けられてバンチング機構640から出て、一対の付形ローラ660に入るろ材602を示す。以下のバンチング機構の説明は、図20および図21を考慮して理解できる。動作中、ろ材は、主ロール642の円周に供給され、主ロール642および複数のバンチングアクスル650の各々を別々に進み、ここで、複数のバンチングアクスル650の各々が2つの凹凸を生じさせる:1つの凹凸は、ろ材の各側面に隣接しており、徐々におよび漸次ろ材にひだを付ける。例外は、第1のバンチングアクスル652であり、これは、ろ材の中心部分に沿って、単一の、第1の凹凸を生じさせる。
【0125】
今述べたように、ろ材は、まず、主ロール642および第1のバンチングアクスル652を通過し、ここで、第1のバンチングアクスル652は第1のバンチング形状653を規定する。第1のバンチングアクスル652はシリンダー状であり、中心軸651の周りを回転する。第1のバンチングアクスル652で規定された第1のバンチング形状653は、ろ材が第1のバンチング形状653と主ロール642との間を通過する際にろ材に力を加え、ろ材の中心部分に沿って第1の凹凸を形成する。このように、第1のバンチングアクスル652の残りの部分の表面は、おそらくろ材と接触しない。現在の実施形態では、第1のバンチング形状653は、第1のバンチングアクスルから半径方向に延出する、単一の丸みのある、円形ディスクである。第1のバンチング形状653は、第1のバンチング幅を有し、かつろ材の幅の実質的に中心に位置決めされている。
【0126】
ろ材は、主ロール642および第1のバンチングアクスルを通過後、第2のバンチングアクスル654および主ロール642を通過する。第2のバンチングアクスル654は、第2のバンチング幅を有する第2のバンチング形状655を規定し、第2のバンチング幅は第1のバンチング幅よりも大きい。第2のバンチング形状655は第1のバンチング形状653を含み、およびまた、第1のバンチング形状の付加物も含んで、ろ材のひだ付けが、段階的に進行するようにする。このように、第2のバンチング形状655は、ろ材に沿って第1の凹凸に係合しかつそれを強める第1のバンチング形状653の円形ディスクと、第1のバンチング形状653の両側にそれぞれ隣接する一対の円形ディスクとを有する。第2のバンチング形状655、それゆえ、第2のバンチング幅は、ろ材の幅の実質的に中心に位置決めされる。また、第2のバンチングアクスル654の中心ディスクは、第1のバンチングアクスル652の中心ディスクと実質的にコラジアル(co−radial)であり、第2のバンチングアクスル654の中心ディスクおよび第1のバンチングアクスル652のディスクは双方ともろ材の第1の凹凸に係合する。
【0127】
第2のバンチングアクスル654と主ロール642との間のろ材の通過後、ろ材は、第3のバンチングアクスル656と主ロール642との間を通過する。第3のバンチングアクスル656は、第2のバンチング幅よりも大きい第3のバンチング幅を有する第3のバンチング形状657を規定する。第3のバンチング形状657、それゆえ第3のバンチング幅は、ろ材の幅の実質的に中心に位置決めされる。第3のバンチング形状657は、第2のバンチング形状655の3つのディスクと、2つの追加的なディスクを含む:第2のバンチング形状655の各側にそれぞれ1つが隣接している。第3のバンチング形状657の3つの中心ディスクは、第2のバンチング形状655のディスクとほぼコラジアルである。
【0128】
次いで、ろ材は、第4のバンチングアクスル658と主ロール642との間を通過し、第4のバンチングアクスル658は、第3のバンチング幅よりも大きい第4のバンチング幅を有する第4のバンチング形状659を規定し、かつろ材の幅の実質的に中心に位置決めされる。第4のバンチング形状659は、第3のバンチング形状657の5つのディスク、および2つの追加的なディスクである:第3のバンチング形状の各側にそれぞれ1つが隣接している。
【0129】
次いで、ろ材は、主ロール642と、任意の追加的な数のバンチングアクスル650との間を通過できる。この追加数は、第1のバンチングアクスル後の各バンチングアクスルが、特定の増分だけ、すなわち、2つの追加的なバンチングディスクの幅だけろ材のひだ部分の幅が増大するので、ロールがひだ付けする幅に依存する。第4のバンチング形状659の5つの中心ディスクは、第3のバンチング形状657のディスクとほぼコラジアルである。
【0130】
複数のバンチングアクスル650の各増分バンチングアクスルは、それに先行するバンチングアクスルの形状を含み、ろ材の既存の形状に係合しかつそれを強める。複数のバンチングアクスル650の各々は、その前のバンチングアクスルの形状に増分的な付加を与え、ろ材のひだ付けを段階的に進行させる。バンチングディスクは、概して特定の半径を有し、ろ材上の各凹凸の深さおよび幅が、ろ材の長さに沿って実質的に一貫するようにする。各ディスクは、ほぼ同一であり、かつ等間隔にされ、ひだがろ材の幅にわたって実質的に一貫するようにする。
【0131】
バンチングアクスルの数が増加すると、直径の大きな主ロール642を使用して、主ロールの円周の周りに複数のバンチングアクスルを収容することを望ましいとし得る。このように、システムは、ひだ付けされるろ材の幅に依存して切り替えて変更できる複数の主ロールを有することができる。
【0132】
上述の通り、ろ材602のひだ付けは、さらなる付形および処理に耐えるように、ろ材の歪みに対する許容範囲を増やすことができる。このように、ろ材のひだ付け後、図21に示すようなニップローラ660などのシステムの他の構成要素によって、さらに付形できる。図22はまた、ろ材を付形するための一対のニップローラ660を示す。様々な実装例では、ろ材の付形は、ろ材の長さに沿ってフルートを形成することを含む。
【0133】
ろ材は、ろ材602のひだ付け後、全体的に、2つのニップローラ660間に通過させられることによってフルート付けされる。ニップローラ660は、ろ材がローラ660間を通過する際に、ろ材の長さに沿ってフルートの形状を付与する。このように、ニップローラ660は、フルートの所望の形状を規定する。一対のニップローラ660の第1のニップローラ666は、特定のフルート形状664を規定し、および一対のニップローラ660の第2のニップローラ668は、はめ合いフルート形状662を規定することができ、ローラ660の各側が、ろ材に同じフルート形状を押し付けるようにする。別の実施形態では、はめ合いフルート形状662は、特定のフルート形状664を受けるための柔軟な面とし得る。
【0134】
フルートは、全体的に、ろ材の縦方向に確立される。一部の実施形態では、ニップローラ660を通過する前またはその最中にろ材を加熱し(例えば蒸気、赤外線ヒータ、加熱ローラなどによって)、かつ付形プロセス後に冷却する。このように、少なくとも一実施形態ではニップローラ660を加熱できる。フルートは、様々な構成を有し得る。一構成では、フルートにはテーパが付けられる。別の構成では、フルートは実質的に直線状である。さらに別の構成では、フルートは部分的にテーパが付けられる。
【0135】
別の実施形態では、ろ材は、ニップローラによって付形およびスコーリングされる。図23はニップローラ760を示し、第1のニップローラ766は複数のスコーリング棒772を有し、かつ第2のニップローラ768は、各スコーリング棒772を収容するようにそれぞれ構成された複数のスコーリング面770を有する。一実施形態では、スコーリング面770は、圧縮性材料を含み得る。別の実施形態では、スコーリング面770は、各スコーリング棒772のそれぞれの形状に適合する、第2のニップローラ768によって規定された開口部である。さらに別の実施形態では、スコーリング面770は、各スコーリング棒772のそれぞれの形状に適合する雌型はめ合い面である。
【0136】
ろ材のスコーリングは、全体的に、縦横断方向に間隔を置いてろ材に曲げを生じ、そこでろ材が折り畳まれる。このように、スコーリング棒772を使用して、間隔を置いてろ材の幅にわたって「型押し」し、そこでろ材が折り畳まれ得る。スコーリング棒772のプロファイルは、全体的に、局所的なフルートのプロファイルに従う。そのため、例えば、テーパ付きフルートを有するろ材の場合、局所的なフルートの高さが高い場合にはスコーリング棒772の高さを高く、および局所的なフルートの高さが小さくなるとスコーリング棒772の高さは小さくなる。
【0137】
ろ材がまず特定の幅で折り畳まれてから、再びろ材の上に折り重ねられるように、ろ材は全体的にアコーディオン式に折り畳まれるため、ろ材は、一方の側および他方の側から交互に連続的にスコーリングされる。このように、スコーリング棒772およびスコーリング面770は、全体的に、ニップローラ760の面上で互い違いに連続して現れ、第1のニップローラ766および第2のニップローラ768の双方とも、複数のスコーリング棒772および複数のスコーリング面770を有する。図23に示すように、第2のニップローラ768上のスコーリング棒772は、第1のニップローラ766のスコーリング面770と対になっている。
【0138】
本明細書で説明する技術の少なくとも一部の実施形態では、様々な形状のろ材を形成するために、ニップローラを変更できる。そのような実施形態では、ろ材に得られる所望の形状に従って交換および変更できる複数の構成要素を含むニップローラを有することが望ましいとし得る。図24は、置き換え可能および切り替え可能な構成要素を有する1つの例示的なセグメント化ニップローラ866を示す(ローラ866を分解図で示す)。ニップローラ866は、ローラの形状を全体的に規定しかつ他の構成要素と結合できる面を提供するローラベース867を有する。複数のセグメント865が、共同で、ろ材に型押しされるフルート形状864を規定する。スコーリング棒872およびスコーリング面870が交互に、ローラの幅にわたって円周に間隔を置いて延在する。
【0139】
図25は、図24のセグメント化ニップローラ866の断面図を示し、これは、特定のセグメント865のフルート形状864の一部分のプロファイル図を提供する。図26は、図25に示すセグメント865の斜視図を示す。セグメント865は、セグメント865をニップローラ867に結合させる結合面869を規定する。様々な実装例では、セグメント865およびスコーリング棒872は、得られるろ材形状を変更するために、交換する、置き換える、取り外す、および取り替えることができる。少なくとも一実施形態では、セグメント865および/またはスコーリング棒872は、ローラベース867の適所にボルト締め、ねじ込み、または締結される。別の実施形態では、セグメントおよび/またはスコーリング棒は、ローラベース867、セグメント865および/またはスコーリング棒872、またはそれら双方によって、スナップ嵌めによる摩擦によって適所に保持される。少なくとも一実施形態では、各セグメント865およびニップローラ867によって位置合わせピンが収容されて、確実に適切な配置にする。
【0140】
図27a、27b、および27cは、図24のセグメント化ニップローラ866のスコーリング棒の様々な間隔を示す概略的な断面図である。これらの概略図は、概して一様のセグメント865を示す一方、様々な幅のセグメント865を有することを可能とし得る。
【0141】
図28は、ろ材の付形およびスコーリングの双方を行うニップロール860を組み込む、本明細書で説明する技術に一致する別のシステムを示す。ロール巻きのろ材820が、ろ材802を寄せ集めてひだを付けるためのバンチング機構840と結合した巻き戻し台822上にある。ろ材802は、ロールを付形およびスコーリングするために、付形およびスコーリングロール860を通過する。ろ材は、付形およびスコーリングロール860を通過後、塗布ロールに接触して接着剤または他の塗布剤を塗布され得る。ろ材は、付形およびスコーリングロールから出た後、畳み込みセクション880に入り、そこで、折り目に沿って折り畳まれ、かつろ材プリーツパックに切り分けられる。
【0142】
図29の代替的なバンチングおよび付形機構を説明する。上述の通り、ろ材は、主ロール946の円周を通過するように供給され、かつろ材が主ロール946の周りを進むにつれて次第にひだ付けされる。主ロール946は、全体的に、ろ材を受け取るように構成されている。第1のバンチングおよび造形ロール941は、主ロール946の円周および主ロール946の幅の中心に位置決めされる。複数の実施形態において、第1のバンチングおよび造形ロール941はまた、主ロールを通過するろ材の幅の中心となるように位置決めされる。ろ材は、主ロールと第1のバンチングおよび造形ロール941との間に通過して、第1のバンチングおよび造形ロール941からろ材に加えられる力によって、ろ材の長さに沿ってフルートを生じさせるようにする。
【0143】
ろ材が第1のバンチングおよび造形ロール941および主ロール946を通過後、同様に主ロール946の円周に位置決めされた一対の第2のバンチングロール942を通過する。第2のバンチングおよび造形ロール942間の距離は、第1のバンチングおよび造形ロール941の幅よりも大きく、第2のバンチングおよび造形ロール942は、ろ材に力を加えて、第1のバンチングおよび造形ロール941下の通過によって生じたフルートの各側に、ろ材の長さに沿ってフルートを生じさせるように構成されている。一対の第3のバンチングおよび造形ロール943および一対の第4のバンチングおよび造形ロール944もまた、主ロール946の円周に位置決めされ、かつろ材に力を加えて、既存のフルートの各側に、ろ材の長さに沿ってフルートを生じさせるように構成されている。このように、第3のバンチングおよび造形ロール943間の距離は、第2のバンチングおよび造形ロール942間の距離よりも大きく、第4のバンチングロール944間の距離は、第3のバンチングおよび造形ロール943間の距離よりも大きい。第1のバンチングおよび造形ロール941は、全体的に、第2のバンチングおよびフルート付けロール942間、第3のバンチングロール943間、および第4のバンチングおよびフルート付けロール944間の距離の実質的に中心にある。
【0144】
様々な実施形態では、一対の第5のバンチングおよびフルート付けロール、一対の第6のバンチングおよびフルート付けロール、および一対の第7のバンチングロールがある。概して、ろ材に特定の幅のひだを付けるのに必要なだけ多くの対のバンチングロールが主ロールの円周に沿って実装される。少なくとも一実施形態では、50対のバンチングロールがある。
ろ材
ろ材は、比較的可撓性のろ材として提供することができ、この比較的可撓性のろ材は、セルロース繊維、合成繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、またはこれらの組み合わせを含有する不織繊維性材料を含み、多くの場合内部に樹脂を含み、および時には追加的な材料で処理されている。例示的なろ材は、約12パーセント(12%)までの歪みを許容できるセルロースろ材と特徴付けることができ、これは、濡れていて暖かいときに引裂かれることはないが、乾燥していて冷たいときにはより低いパーセントの歪み(一部のろ材では3%という低さ)でも破壊する。ろ材は、許容できないろ材の損傷なく、様々なフルート形状またはパターンにフルートを付けることができ、およびプリーツを付けて、プリーツ加工されたろ材を形成することができる。加えて、ろ材は、使用中に、フルート付き構成を維持するような性質であることが望ましい。約12パーセント(12%)超の歪みを許容できる一部のろ材が利用可能であり、かつそのようなろ材を本発明に従って使用できる一方、そのタイプのろ材は、比較的大量の合成繊維を組み込む必要があるため、一般により高価である。
【0145】
フルート付けプロセスでは、ろ材に非弾性変形が生じる。これは、ろ材がその元の形状に戻らないようにする。しかしながら、造形変位(forming displacement)が解放されると、フルートは部分的に跳ね返る傾向を有することがあり、発生した伸張および曲りの部分のみを維持する。また、ろ材は樹脂を含有できる。フルート付けプロセスの最中、ろ材を加熱して樹脂を軟化できる。樹脂が冷えると、フルートの形状を維持する役に立つ。
【0146】
ろ材は、例えば、米国特許第6,955,775号明細書、同第6,673,136号明細書、および同第7,270,693号明細書(参照により本願明細書にそれら全体を援用する)を踏まえて、その一方の側面または両側面に細繊維材料を備えることができる。概して、細繊維は、ポリマー細繊維(マイクロファイバーおよびナノファイバー)と称することができ、ろ材に提供されてろ過性能を高めることができる。細繊維は、製造プロセスの様々な段階に追加できる。例えば、一部の実装例では、ろ材は、フルートが形成される前に細繊維を含有する一方、他の実装例では、細繊維は、フルート付きろ材に1つの層または複数の層として追加される。ろ材に細繊維が存在することによって、重量が軽いまたは厚みが薄い一方で所望のろ過特性を得るろ材を提供することを可能にし得る。従って、ろ材に細繊維が存在することによって、ろ過特性を高めることができる、薄いろ材を使用することができる、またはそれら双方とし得る。細繊維の形成に使用できる例示的な材料は、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールポリマー、ポリウレタン、および、例えばナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10およびそれらのコポリマーなどの様々なナイロン、ポリ塩化ビニル、PVDC、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA、PVDF、ポリアミド、およびそれらの混合物を含むコポリマーを含む。
【0147】
いくつかの技術が、プリーツ加工されたろ材の性能を高めるために頼りにされ得る。この技術は、パネル型フィルタ構成に使用されるプリーツ加工されたろ材、およびシリンダー状または円錐形フィルタ構成に使用されるプリーツ加工されたろ材に適用できる。プリーツ加工されたろ材を、パネル型フィルタ構成またはシリンダー状または円錐形フィルタ構成に使用されるようにするかどうかに依存して、代替的な好ましい選択がなされ得る。本開示を考慮して、ある選択がパネル型フィルタ構成に望ましい場合、およびある選択がシリンダー状フィルタ構成に望ましい場合があることが理解される。
【0148】
従って、選択の特定は、パネル型フィルタ構成およびシリンダー状フィルタ構成の双方の選択に反映されるものではないことを理解されたい。さらに、選択は、シリンダー状フィルタ構成が前方流配置(外部のシリンダー状面から汚れた空気がろ材パックに流入する)として、または逆流ろ材パック(ろ材パックの内表面からろ材パックに汚れた流れが入る)として特徴付けることができる配置にされるようにするかどうかによって、変更し得ることを理解されたい。
プリーツパック構成およびフィルタエレメント構成
フィルタエレメントはまた、本発明に従って設けられ、フィルタエレメントは、フルートを有するろ材を組み込んでいる。フィルタエレメントは、プリーツ加工されたろ材パックと、ろ材パックに対して配置されたシールとを含むことができるように提供されるので、ろ過されるべき流体は、ろ材パックの一方の面を通って入り、ろ材パックの他方の面から出る結果、ろ材パックを通過する。シールは、プリーツ加工されたろ材パックに直接、またはシール支持材を介して間接的に取り付けることができ、かつハウジングとフィルタエレメントとの間にシールをもたらすようにハウジングに係合するように設けることができる。シールは、アキシアルシール、ラジアルシール、またはアキシアルシールとラジアルシールの複合型として設けることができる。クリンプシール、ピンチシール、および多くの他のシール形態も可能である。
【0149】
フィルタエレメントまたはフィルタカートリッジは、保守可能なフィルタエレメントとして提供することができる。この文脈において、用語「保守可能」は、対応する空気清浄器から周期的に取り外されて取り替えることができる、ろ材を含むフィルタエレメントを指すことを意味する。保守可能なフィルタエレメントまたはフィルタカートリッジを含む空気清浄器は、フィルタエレメントまたはフィルタカートリッジの取り外し、洗浄、および取り替えを行えるように構成されている。概して、空気清浄器は、ハウジングと、アクセスカバーとを含むことができ、アクセスカバーは、使用済みフィルタエレメントの取り外し、および新しいまたは洗浄した(再生した)フィルタエレメントの挿入のために設けられている。
【0150】
パネルに成形されたプリーツ加工されたろ材パックは、プリーツ加工されたろ材の面が平行であるとき、「直線状の貫流構成」またはその変形と称することができる。例えば、パネル形態で設けられたフィルタエレメントは、全体的に、流入面および流出面を有することができ、流れは、全体的に同じ直線状の方向にフィルタエレメントに入り、そこから出る。場合によっては、面の各々は、全体的に平坦または平面的であり、2つの面が互いに平行している。しかしながら、この変形例として、一部の適用では、例えば非平面的な面が可能である。
【0151】
あるいは、流入面および流出面を、それら面が平行にならないように、互いにある角度をなして設けることができる。加えて、フィルタエレメントは、非平面的な面を有するろ材パックを含むことができ、および非平面的な面は、別の面に対して非平行であるとみなすことができる。ろ材パックの例示的な非平面的な面は、シリンダー状配置または円錐形構成に形成されたろ材パックの内部表面または外部表面を形成する面を含む。ろ材パックの別の例示的な非平面的な面は、ろ材表面が一貫性のないまたは不規則なプリーツ深さを有する(例えば、1つのプリーツのプリーツ深さが別のプリーツのプリーツ深さとは異なる)ろ材パックを含む。流入面(「端部」と称することもある)は、第1の面または第2の面のいずれかを指し、および流出面(「端部」と称することもある)は、第1の面または第2の面の残りの一方を指すことができる。
【0152】
パネルに形成された、プリーツ加工されたろ材を含むフィルタエレメントに見られる直線状の貫流構成は、例えば、米国特許第6,039,778号明細書に示すタイプの、流れが全体的にフィルタエレメントを通過する際に実質的に向きを変えるシリンダー状構成に配置された、プリーツ加工されたろ材を含むシリンダー状フィルタエレメントとは対照的である。すなわち、米国特許第6,039,778号明細書によるフィルタエレメントでは、前方流システムにおいて、流れは、シリンダー状側面を通ってシリンダー状フィルタカートリッジに入り、その後向きを変えて、シリンダー状フィルタ端部を通って出る。逆流システムでは、流れは、端部を通ってシリンダー状フィルタカートリッジに入り、その後向きを変えて、シリンダー状フィルタカートリッジの側面を通って出る。そのような逆流システムの例は米国特許第5,613,992号明細書に示されている。プリーツ加工されたろ材を含む別のタイプのフィルタエレメントは、ろ材パックが円錐形に配置されているため、円錐形フィルタエレメントと呼ぶことができる。
【0153】
ここで図30および31を参照すると、ろ材パックの一部分を、部分的なシリンダー状配置で、参照符号1000で示す。ろ材パックは、第1の面1004および第2の面1006を含む。シリンダー状配置1000の場合、第1の面1004は、シリンダー状配置の内表面とみなすことができ、第2の面1006は、シリンダー状配置の外表面とみなすことができる。第1の面1004は、比較的大きな開口部1005を有して設けることができ、第2の面1006は、比較的小さな開口部を有して設けることができる。ろ材パック1000が扇形に広げられる場合、第2の面1006においてプリーツ間の間隔が広げられる。その結果、図30および31に示す配置は、第2の流れ面1006を通って汚れた空気がろ材パックに流れ込み、第1の流れ面1004を通ってろ材パックから出る場合に好都合とし得る。
【0154】
ろ材パックを扇形に広げることによって、汚れた空気を受け入れるために、ろ材表面間の分離を大きくすることおよびろ材領域を大きくすること(マスキングがないことを受けて)が提供され、かつ比較的大きな体積を下流または浄化側体積として提供できるため、流体は、制限が軽減された状態でろ材パックから流出できる。シリンダー状配置1000の結果として、比較的大きな体積(ろ材パックの体積として計算される)を、内表面に開口する側に提供することができ、および比較的小さなろ材パック体積を、外表面に開口する側に提供することができる。
【0155】
他の構成では、プリーツ加工されたろ材は、開放型の中心領域の周りに構成または配置される。そのようなフィルタ構成の例を図32および33に示す。図32を参照すると、フィルタ構成1030が示されている。フィルタ構成1030は、第1および第2のエンドキャップ1032および1034を含み、それらの間にはプリーツ加工されたろ材1036が延在している。プリーツ加工されたろ材1036のプリーツは、全体的に、エンドキャップ1032と1034との間の方向に延在している。図32の特定のフィルタ構成1030は、プリーツを示すために一個所切り欠いて示される外側ライナ1040を有する(プリーツは一般にライナ1040を通して見ることができるが、図32に示す構成1030は、構成の他の特徴を不明瞭にしないため、ライナを通してプリーツを描いていない)。図示の外側ライナ1040はエキスパンドメタルを含むが、プラスチックおよび紙のものを含め、様々な代替的な外側ライナを使用することができる。場合によっては、外側ライナは単に使用されない。図33にも注意を向けると、エンドキャップ1032および1034を示して構成1030の側面斜視図が示されている。外側ライナ1040はそのままで、プリーツの折り目1036が示されている。図33の特定構成1030では、プリーツの方向に垂直な方向は、両矢印1042で示すように全体的にフィルタ構成1030の円周である。
【0156】
図示の特定のフィルタ構成1030は、ほぼシリンダー状であるが、代替形態も可能である。一般に、要素1030のような要素は、この例ではエンドキャップ1032に対応する開放型のエンドキャップと、この例ではエンドキャップ1034に対応する閉鎖型のエンドキャップとを有するが、代替形態も可能である。用語「開放型」は、エンドキャップへの言及の際に使用される場合、開口した中心アパーチャ1044を有して、ろ材1036を通過することなく、フィルタ構成1030の内部空間1046と外部との間を空気が流れることができるようにしているエンドキャップを指すことを意味している。比較して、閉鎖型のエンドキャップは、アパーチャがないエンドキャップである。図示していないが、フルートは、一般に、プリーツ加工されたろ材1036の外側のプリーツの折り目から垂直に(またはほぼ垂直に)要素の内部まで、内部体積1046に向かう方向に配置されている。しかしながら、フルートは、外側のプリーツの折り目に対して垂直に延びる必要はないことを理解されたい。
【0157】
エンドキャップ1032および1034のために様々な構成が開発されている。エンドキャップは、ろ材に成形されたポリマー材料を含んでもよい。あるいは、エンドキャップは、金属製エンドキャップ、または適切な接着剤またはポッティング剤によってろ材に固定された、他の予め形成されたエンドキャップを含んでもよい。図示の特定のエンドキャップ1032および1034は成形エンドキャップであり、各々、圧縮可能な発泡ポリウレタンを含む。エンドキャップ1032は、使用中、要素1030をハウジングに密閉するための、ハウジングシール1050と共に示されている。図示のシール1050は、内側ラジアルシールであるが、外側ラジアルシールおよびアキシアルシールも可能である。
【0158】
要素は、図33に示すように、エンドキャップ1032と1034との間に、ろ材1030の内側に沿って延在する内側ライナ1052を含んでもよいが、一部の構成では、そのようなライナは任意選択であることを留意されたい。内側ライナは、使用される場合、金属、例えばエキスパンドメタルまたは予め形成された金属とすることができ、またはプラスチックまたは紙とすることができる(例えば)。
【0159】
本明細書では、図32および33に示すような構成は、「シリンダー状に構成された」ろ材を使用する、または類似の特徴によって「シリンダー状配置」と呼ばれることがある。チューブ状のろ材を使用するフィルタ構成全てが、シリンダー状に構成されるわけではない。この例を図34に示す。図34を参照すると、フィルタ構成1100は、プリーツが付けられたろ材1102の延在部を含み、プリーツの方向は、矢印1004の方向に延在している。フィルタ構成1100は、幅広端部1106および幅狭端部1108を有し、幾分円錐状である。幅広端部1106にはエンドキャップ1107が位置決めされ、幅狭端部1108にはエンドキャップ1109が位置決めされている。シリンダー状配置のように、様々な開放型および閉鎖型のエンドキャップを使用できる。図示の具体例では、エンドキャップ1107は開放型であり、エンドキャップ1108は閉鎖型である。
【0160】
フィルタ構成1100は、エンドキャップ1107と1009との間に延在する外側支持スクリーン1010を含む。特定の構成1100は、内側支持スクリーンを、使用することはできるものの、含まない。フィルタエレメント1100は、封止装置1112、この例ではアキシアルシールを含むが、内側または外側のラジアルシールも可能である。要素1100は、ハウジングを取り付けるための、非連続的なネジ付き取付装置1114を含む。この装置1100は、概して、2003年10月23日出願のPCT/US2003/33952号明細書に詳細に説明されている(参照により本願明細書に援用する)。
【0161】
ろ材プリーツパックおよびフィルタエレメントの代替的な構成、例えば、Donaldson Company Inc.に譲り受けられた米国特許出願公開第20070209343号明細書(「Filter Assembly with Pleated Media Pockets and Methods」)(出願番号11/683,287号)において教示されているものなども可能である(参照により本願明細書にその全体を援用する)。
【0162】
フィルタエレメントを、様々なハウジングの構成に使用でき、フィルタエレメントは、所望により、周期的に取り替えるまたは洗浄するまたは改修することができる。洗浄は、例えば、機械的洗浄、パルス洗浄、または流体の逆流洗浄を含み得る。空気ろ過の場合、ハウジングは、エンジンの吸気、タービン吸気、集塵、および暖房および冷房を含め、様々な空気清浄化または処理応用のための空気清浄器の一部として設けることができる。液体ろ過の場合、ハウジングは、例えば、水、オイル、燃料、および液圧流体の清浄化または処理のための液体クリーナの一部とし得る。
【0163】
上述の明細書は、本発明を完全に説明している。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの実施形態をなすことができるため、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲に存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられている、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項2】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一様のテーパが付けられている、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項3】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、断面積にテーパが付けられており、かつ実質的に一様の高さを有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項4】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、断面積にテーパが付けられており、かつ実質的に一様の幅を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項5】
テーパ領域を示す前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで実質的に一様の高さを有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項6】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材の前記第2の面まで実質的に一様の幅を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項7】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、その長さに沿って実質的に一様のろ材表面積を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項8】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、その長さに沿ってテーパ付きろ材表面積を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項9】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも25重量%のセルロース繊維を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項10】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも50重量%のセルロース繊維を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項11】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも75重量%のセルロース繊維を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項12】
前記ろ材の乾燥伸張破壊歪み閾値(dry stretch rupture strain threshold)が5%未満である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項13】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が7.5%未満である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項14】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が10%未満である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項15】
隣接するフルートに沿ったコード長が実質的に等しい、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項16】
前記テーパが、前記フルートの下流の途中から始まっている、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項17】
前記ろ材が、少なくとも10%のろ材体積の非対称性を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項18】
前記ろ材が、少なくとも50%のろ材体積の非対称性を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項19】
第1のフルートまたは第2のフルートの少なくとも一方に先端部が形成されており、前記先端部が、前記フルートの全体的なプロファイルを越えて延出している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項20】
前記フルートが、少なくとも2.0の幅対高さのアスペクト比を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項21】
前記フルートが、少なくとも3.0の幅対高さのアスペクト比を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項22】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも1%である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項23】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも5%である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項24】
前記フルートが、少なくとも1.1のD2/D1の値を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項25】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、2ミリメートル未満の半径を有する頂点を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項26】
前記第1のフルートの頂点または前記第2のフルートの頂点の少なくとも一方が、1ミリメートル未満の半径を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項27】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含み、その稜部は、前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも25%に沿って延在している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項28】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも2つの稜部を含む、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項29】
前記稜部が互いに非平行である、請求項28に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項30】
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられており、および前記複数のフルートに沿ったウェブ横断ろ材長は、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一定である、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項31】
前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで断面積にテーパが付けられている、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項32】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一様のテーパが付けられている、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項33】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで実質的に一様の高さを有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項34】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで実質的に一様の幅を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項35】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿って実質的に一様の表面積を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項36】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿ってテーパ付き表面積を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項37】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも10重量%のセルロース繊維を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項38】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも50重量%のセルロース繊維を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項39】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも75重量%のセルロース繊維を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項40】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が10%未満である、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項41】
前記ろ材が、少なくとも10%のろ材体積の非対称性を示している、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項42】
前記ろ材が、少なくとも50%のろ材体積の非対称性を示している、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項43】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、前記フルートの全体的なプロファイルを越えて延出するように先端部が形成されている頂点を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項44】
前記フルートが、少なくとも2.0の幅対高さのアスペクト比を示す、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項45】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも1%である、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項46】
前記フルートが少なくとも1.1のD2/D1の値を示す、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項47】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、2ミリメートル未満の半径を有する先端部を備える頂点を含む、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項48】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも2つの稜部を含む、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項49】
前記稜部が互いに非平行である、請求項48に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項50】
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分には、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパを付けられており、および前記ろ材パックの前記ろ材の10%未満が、前記ろ材パックにおいて他のろ材によってマスキングされている、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項51】
前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、断面積にテーパが付けられている、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項52】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一様のテーパが付けられている、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項53】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、実質的に一様の高さを有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項54】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、実質的に一様の幅を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項55】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿って実質的に一様の表面積を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項56】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿ってテーパが付けられた表面積を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項57】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも25重量%のセルロース繊維を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項58】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも50重量%のセルロース繊維を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項59】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも75重量%のセルロース繊維を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項60】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が10%未満である、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項61】
前記ろ材が、少なくとも10%のろ材体積の非対称性を示している、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項62】
前記ろ材が、少なくとも50%のろ材体積の非対称性を示している、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項63】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、前記フルートの全体的なプロファイルを越えて延在するように先端部が形成された頂点を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項64】
前記フルートが、少なくとも2.0の幅対高さのアスペクト比を示す、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項65】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも1%である、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項66】
前記フルートが、少なくとも1.1のD2/D1の値を示す、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項67】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、2ミリメートル未満の半径を有する先端部を備える頂点を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項68】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも2つの稜部を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項69】
前記稜部が互いに非平行である、請求項68に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項70】
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間を延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分には、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられており、および前記ろ材が少なくとも50重量%のセルロースを含む、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項71】
プリーツ加工されたろ材パックを収容するように構成されたフィルタアセンブリであって:
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むフィルタアセンブリにおいて、前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられている、フィルタアセンブリ。
【請求項72】
本明細書で教示される、プリーツ加工されたろ材パックの形成方法。
【請求項1】
(a)ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられている、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項2】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一様のテーパが付けられている、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項3】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、断面積にテーパが付けられており、かつ実質的に一様の高さを有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項4】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、断面積にテーパが付けられており、かつ実質的に一様の幅を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項5】
テーパ領域を示す前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで実質的に一様の高さを有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項6】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材の前記第2の面まで実質的に一様の幅を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項7】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、その長さに沿って実質的に一様のろ材表面積を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項8】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、その長さに沿ってテーパ付きろ材表面積を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項9】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも25重量%のセルロース繊維を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項10】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも50重量%のセルロース繊維を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項11】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも75重量%のセルロース繊維を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項12】
前記ろ材の乾燥伸張破壊歪み閾値(dry stretch rupture strain threshold)が5%未満である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項13】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が7.5%未満である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項14】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が10%未満である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項15】
隣接するフルートに沿ったコード長が実質的に等しい、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項16】
前記テーパが、前記フルートの下流の途中から始まっている、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項17】
前記ろ材が、少なくとも10%のろ材体積の非対称性を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項18】
前記ろ材が、少なくとも50%のろ材体積の非対称性を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項19】
第1のフルートまたは第2のフルートの少なくとも一方に先端部が形成されており、前記先端部が、前記フルートの全体的なプロファイルを越えて延出している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項20】
前記フルートが、少なくとも2.0の幅対高さのアスペクト比を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項21】
前記フルートが、少なくとも3.0の幅対高さのアスペクト比を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項22】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも1%である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項23】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも5%である、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項24】
前記フルートが、少なくとも1.1のD2/D1の値を示している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項25】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、2ミリメートル未満の半径を有する頂点を含んでいる、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項26】
前記第1のフルートの頂点または前記第2のフルートの頂点の少なくとも一方が、1ミリメートル未満の半径を有している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項27】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも1つの稜部を含み、その稜部は、前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間のフルート長の少なくとも25%に沿って延在している、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項28】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも2つの稜部を含む、請求項1に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項29】
前記稜部が互いに非平行である、請求項28に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項30】
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられており、および前記複数のフルートに沿ったウェブ横断ろ材長は、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一定である、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項31】
前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで断面積にテーパが付けられている、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項32】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一様のテーパが付けられている、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項33】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで実質的に一様の高さを有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項34】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで実質的に一様の幅を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項35】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿って実質的に一様の表面積を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項36】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿ってテーパ付き表面積を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項37】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも10重量%のセルロース繊維を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項38】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも50重量%のセルロース繊維を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項39】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも75重量%のセルロース繊維を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項40】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が10%未満である、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項41】
前記ろ材が、少なくとも10%のろ材体積の非対称性を示している、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項42】
前記ろ材が、少なくとも50%のろ材体積の非対称性を示している、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項43】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、前記フルートの全体的なプロファイルを越えて延出するように先端部が形成されている頂点を有する、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項44】
前記フルートが、少なくとも2.0の幅対高さのアスペクト比を示す、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項45】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも1%である、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項46】
前記フルートが少なくとも1.1のD2/D1の値を示す、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項47】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、2ミリメートル未満の半径を有する先端部を備える頂点を含む、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項48】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも2つの稜部を含む、請求項30に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項49】
前記稜部が互いに非平行である、請求項48に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項50】
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分には、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパを付けられており、および前記ろ材パックの前記ろ材の10%未満が、前記ろ材パックにおいて他のろ材によってマスキングされている、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項51】
前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、断面積にテーパが付けられている、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項52】
テーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記第2の面まで実質的に一様のテーパが付けられている、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項53】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、実質的に一様の高さを有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項54】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの前記部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面まで、実質的に一様の幅を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項55】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿って実質的に一様の表面積を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項56】
断面積にテーパが付けられている前記複数のフルートの部分が、その長さに沿ってテーパが付けられた表面積を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項57】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも25重量%のセルロース繊維を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項58】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも50重量%のセルロース繊維を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項59】
前記ろ材が、前記ろ材の繊維に少なくとも75重量%のセルロース繊維を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項60】
前記ろ材の乾燥伸張破壊閾値が10%未満である、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項61】
前記ろ材が、少なくとも10%のろ材体積の非対称性を示している、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項62】
前記ろ材が、少なくとも50%のろ材体積の非対称性を示している、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項63】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、前記フルートの全体的なプロファイルを越えて延在するように先端部が形成された頂点を有する、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項64】
前記フルートが、少なくとも2.0の幅対高さのアスペクト比を示す、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項65】
前記フルートのろ材コード百分率が少なくとも1%である、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項66】
前記フルートが、少なくとも1.1のD2/D1の値を示す、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項67】
前記第1のフルートまたは前記第2のフルートの少なくとも一方が、2ミリメートル未満の半径を有する先端部を備える頂点を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項68】
前記プリーツ加工されたろ材パックにある前記フルートの少なくとも25%が、隣接するフルート頂点間に少なくとも2つの稜部を含む、請求項50に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項69】
前記稜部が互いに非平行である、請求項68に記載のプリーツ加工されたろ材パック。
【請求項70】
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間を延在する複数のフルート;
を含むプリーツ加工されたろ材パックであって、前記複数のフルートの少なくとも一部分には、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられており、および前記ろ材が少なくとも50重量%のセルロースを含む、プリーツ加工されたろ材パック。
【請求項71】
プリーツ加工されたろ材パックを収容するように構成されたフィルタアセンブリであって:
(a)前記ろ材パックの第1の面を形成する第1の組のプリーツの折り目と、前記ろ材パックの第2の面を形成する第2の組のプリーツの折り目とを有し、前後配置されている前記第1の組のプリーツの折り目と前記第2の組のプリーツの折り目との間に延在するようにされているろ材;および
(b)前記ろ材に形成され、前記ろ材パックの前記第1の面と前記第2の面との間に延在する複数のフルート;
を含むフィルタアセンブリにおいて、前記複数のフルートの少なくとも一部分が、前記ろ材パックの前記第1の面から前記ろ材パックの前記第2の面までテーパが付けられている、フィルタアセンブリ。
【請求項72】
本明細書で教示される、プリーツ加工されたろ材パックの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2013−517930(P2013−517930A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550211(P2012−550211)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/022446
【国際公開番号】WO2011/091432
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/022446
【国際公開番号】WO2011/091432
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
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