説明

テーピング包装体

【課題】本発明は、小型の部品についても、キャリアテープへの収納とキャリアテープからの取り出しを正確に行なうことができるキャリアテープを得ることを目的とするものである。
【解決手段】本発明のテーピング包装体11は、部品収納部12cを備え、前記部品収納部12cは、幅広開口部12aと前記幅広開口部12aと連続的に繋がる主収納部12bとを備え、前記主収納部12bの幅は略同一であり、前記幅広開口部12aにおける前記主収納部12bとの境界部は前記主収納部12bと同一の幅であり、パンチキャリアテープ12の上面に近づくとともに幅が広くなり、前記主収納部の深さをa、前記幅広開口部の深さをb、部品の幅をW、高さをhとしたときに、
a<W・(1−b2/h21/2
かつ、h>b
であるテーピング包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品などの部品を複数個まとめて収納することができるテーピング包装体で、特に、非常に小型の部品を収納するテーピング包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
部品を収納したテーピング包装体には幾つかの種類があり、パンチキャリアテープを用いたもの、プレスキャリアテープを用いたもの、エンボスキャリアテープを用いたものの3つの種類が知られている(特許文献1の背景技術の欄参照。)。
【0003】
この内、パンチキャリアテープを用いたものは、紙材に部品を収納する空間となる貫通孔を設けたキャリアテープと、このキャリアテープの上面に接着される上面カバーテープと、キャリアテープの裏面に接着される底面カバーテープとからなるものである(特許文献1の背景技術の欄および特許文献2参照。)。
【0004】
図11は、従来技術のパンチキャリアテープを用いたテーピング包装体の斜視図である。図11において、テーピング包装体1は、パンチキャリアテープ2、底面カバーテープ3、部品4、上面カバーテープ5、および送り孔6からなり、パンチキャリアテープ2に形成した貫通孔を底面カバーテープ3と上面カバーテープ5により塞ぐことで部品を収納する空間を設けており、部品4はその空間に収納されている。また、上面カバーテープ5はパンチキャリアテープ2から剥離可能である。なお、ここで、パンチキャリアテープ2の上面とは、上面カバーテープ5を貼り付ける側の面であり、パンチキャリアテープ2の裏面とは、上面に対する反対側の面を言う。
【0005】
また、プレスキャリアテープを用いたテーピング包装体は、圧縮力を加えて部品を収納する凹状の空間が形成されたプレスキャリアテープの、この凹状の空間に部品を入れた後に、この空間を閉じる上面カバーテープをプレスキャリアテープの上面に貼り付けた構成である(特許文献1の背景技術の欄参照。)。
【0006】
また、エンボスキャリアテープを用いたテーピング包装体は、エンボス加工により部品を収納する空間が形成されたエンボスキャリアテープに、部品をこの空間に入れた後にこの空間を閉じるための上面カバーテープを貼り付けたものである(特許文献1の背景技術の欄および特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−306418号公報
【特許文献2】特開平4−219955号公報
【特許文献3】特開昭61−22700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
部品の小型化により、テーピング包装体における部品収納部も小型になる。もし、部品収納部が、部品に対し大きすぎると、部品が部品収納部内で動いてしまい上下が逆さまになるおそれがある。また、部品が部品収納部内での位置が定まらず、部品をテーピング包装体から取り出そうとする際に、正確に部品を取り出すことが出来なかったり、また部品の取り出し位置がずれてしまう可能性がある。
【0009】
この部品を部品収納部から取り出す際の課題について、補足的に説明する。一般に、部品収納部から部品を取り出す際には、空気を吸入する吸着ノズルを部品の上面に当て、この吸着力により重力に対抗して部品をテーピング包装体から取り出すことが行なわれている。このとき、吸着ノズルはテーピング包装体の送り孔の位置情報をもとに部品を吸着させるための位置へ移動するが、部品収納部内で部品の位置がずれると吸着ノズルの吸着部が部品からはみ出すことが生じるなどして、吸着できなくなる可能性がある。また、吸着ノズルの吸着部が部品からはみ出さなくても、本来の吸着ノズルが吸着すべき部品の位置からずれた位置で吸着すると、プリント基板上に部品を実装させた際に、その位置が本来あるべき位置からずれる可能性もある。
【0010】
以上のように部品収納部から部品を取り出し、実装する際には、部品収納部の内部で部品が移動できる範囲を小さくすることが望まれる。言い換えると、部品収納部と部品との隙間、即ち、クリアランスを小さくすることが望まれる。
【0011】
一方、部品を部品収納部に収納する際には、部品と部品収納部との間に適度な隙間を有していないと、部品を部品収納部へ入れることが出来ない場合も生じうる。その点で、キャリアテープに部品を収納する際には、部品収納部と部品とのクリアランスは大きい方が好ましい。
【0012】
以上のように、部品収納部と部品の好ましい大きさの関係は、部品の収納時と取り出しおよび実装時では相異なっている。それでも、部品が比較的大きい場合には、一般的に部品の取り出しおよび実装時を考慮した部品と部品収納部との適切なクリアランスは比較的大きくなり、部品を収納する際にも支障なく収納することができるものであった。このように、部品が大きい場合には、その両立は簡単であった。しかし、部品が非常に小さくなると、部品の取り出し時を考慮した際の適切なクリアランスが小さくなり、この隙間では、部品の収納が困難になってしまう。即ち、従来のテーピング包装体においては、部品の小型化が進むと、部品の収納時と、取り出しおよび実装時とを共に満足させることは困難であった。
【0013】
本発明は上記従来技術の課題を解決するもので、小型の部品についても、テーピング包装体への収納とテーピング包装体からの取り出しを正確に行なうことができるキャリアテープを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための、本発明は以下の手段を有している。
【0015】
請求項1に記載の発明は、キャリアテープと、前記キャリアテープの上面に剥離可能に接着された上面カバーテープと、前記キャリアテープに形成された凹部および前記上面カバーテープに囲まれた空間、または前記キャリアテープに形成された貫通孔、前記キャリアテープの裏面に形成された底面カバーテープおよび前記上面カバーテープに囲まれた空間である部品収納部と、前記部品収納部に収納された部品とを備え、前記部品収納部は、前記キャリアテープの上面から裏面に向かって位置する幅広開口部と前記幅広開口部と連続的に繋がり前記キャリアテープの裏面に向かって位置する主収納部とを備え、前記主収納部の幅は略同一であり、前記幅広開口部における前記主収納部との境界部は前記主収納部と同一の幅であり、前記キャリアテープの上面に近づくとともに幅が広くなり、前記主収納部の深さをa、前記幅広開口部の深さをb、前記部品の幅をW、前記部品の高さをhとしたときに、a<W・(1−b2/h21/2かつ、h>bである。
【0016】
請求項1に記載の発明は、幅広開口部により部品の収納をし易くし、主収納部により部品は部品収納部でその移動量を制限し、さらに、a<W・(1−b2/h21/2かつ、h>bであるとすることで、部品収納部の深さ方向に部品が移動しても、キャリアテープの幅方向や長さ方向における部品の移動を主収納部で制限することができるようにして、部品の取り出しも正確に行なうことができ、また部品の部品収納部への収納も円滑に行うことができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のテーピング包装体は、非常に小型の部品を収納するためのテーピング包装体として、テーピング包装体への部品の収納およびテーピング包装体からの部品の取り出しおよび実装を正確に行なうことができるという優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態における部品を除いたテーピング包装体の断面図
【図2】同実施の形態におけるテーピング包装体の断面図
【図3】同テーピング包装体から部品を除いた断面図
【図4】同テーピング包装体に収納される部品の模式図
【図5】テーピング包装体において部品が上面カバーテープ側へ移動したときの断面図
【図6】テーピング包装体において部品が斜めに傾いたときの断面図
【図7】同テーピング包装体内で部品が傾いたときの模式図
【図8】同テーピング包装体の第1のバリエーションの断面図
【図9】同テーピング包装体の第2のバリエーションの断面図
【図10】比較例のテーピング包装体の断面図
【図11】従来技術のテーピング包装体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、一実施の形態を用いて、本発明について説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態におけるテーピング包装体の断面図、図2は同テーピング包装体に部品を収納した断面図である。
【0021】
テーピング包装体11の構成要素について、以下に説明をする。
【0022】
パンチキャリアテープ12は、その内部に部品収納部12cとなる貫通孔が形成されている。この部品収納部12cは、パンチキャリアテープ12の裏面から上面に向かって略四角柱の空間である主収納部12bと、この主収納部12bと連続的に接続している幅広開口部12aとから構成される。幅広開口部12aはパンチキャリアテープ12の上面から主収納部12bへ向かって伸びている。また、幅広開口部12aの下端は、主収納部12bの上端でもある。
【0023】
底面カバーテープ13は、パンチキャリアテープ12の裏面に接着され、部品収納部12cの下端を塞いでいる。
【0024】
部品14は部品収納部12cに収納されており、上面カバーテープ15はパンチキャリアテープ12の上面に剥離可能に接着され、部品収納部12cの上端を塞いでいる。
【0025】
ここで、主収納部12bは、部品14の部品収納部12c内での移動を規制するため、適切なクリアランスを確保した寸法としている。この主収納部12bは、幅広開口部12aとの接続部からパンチキャリアテープ12の裏面に向かってその幅が略同一である。ここで略同一とは、製造上不可避的に存在し得る精度上の幅の大小や、加工上不可避的に存在してしまう金型の抜き勾配による幅の大小など実質的に同一なものも同一として扱う、という意味である。
【0026】
一方、幅広開口部12aは、主収納部12bとの接続部からパンチキャリアテープ12の上面に向かって、その幅が広くなっている。このような図1、図2においては、その断面形状を直線にして、主収納部12bに大きな面取りを施したような構成にしている。
【0027】
また、幅広開口部12aにより、部品14を部品収納部12cに収納する際には、パンチキャリアテープ12の上面に近づくほど幅広開口部12aの幅が広くなるので、部品14を部品収納部12cに収納しやすくなると共に、主収納部12bによって、適切な位置に収納されることになる。
【0028】
上記のようなテーピング包装体11の製造は、公知の製造方法に幅広開口部12aの形成方法を付加することで行なうことができる。幅広開口部12aの形成方法としては、パンチキャリアテープ12に貫通孔を形成した後にパンチキャリアテープ12の上面側から下に狭く上に広い金型を押し付けて変形させる方法を採ることができる。
【0029】
ところで、テーピング包装体11内で部品14は固定されてはおらず、またテーピング包装体11自体はリール状に巻かれて持ち運びされるので、部品14は部品収納部12c内で移動してしまう。このような場合において、部品14と部品収納部12cとの形状や寸法関係によっては、実装時に部品14をテーピング包装体11から取り出す際に支障が生じるような状態で部品14が収納されてしまう場合がある。
【0030】
以下、これについて述べる。
【0031】
図3は本発明の一実施の形態における部品を除いた断面図、図4は同テーピング包装体に収納される部品の模式図である。図3は図1にA〜Cの符号を付したものであり、図4は部品14の各頂点にK〜Nの符号を付したものである。
【0032】
図3の点Aは、部品14の幅広開口部12aとパンチキャリアテープ12との上面の稜線上の点である。上面カバーテープ15はパンチキャリアテープ12との上面に接着されているので、上面カバーテープ15と幅広開口部12aの側面の交点でもある。点Bは幅広開口部12aと主収納部12bとの境界の稜線上の点である。点Cは主収納部12bの側面における最下端の点であり、底面カバーテープ13と主収納部12bの側面との交点でもある。
【0033】
図4の点K、点L、点M、および点Nは、それぞれ、図4における部品14の左上頂点、左下頂点、右下頂点および右上頂点である。
【0034】
テーピング包装体11は図2の状態から上下が反対になることもあるが、再び上下を元に戻せば、基本的には図2のように部品14の底面が底面カバーテープ13上に接するように位置する。
【0035】
しかし、部品14の下面端部、図4における点Lが、幅広開口部12aの側面、図3における線ABに位置する場合には、部品14が幅広開口部12aと上面カバーテープ15との間に挟まれてしまい、図2のように元には戻らず、挟まったままになってしまう場合がある。従って、部品14が、幅広開口部12aと上面カバーテープ15との間に挟まれないようにすることが求められる。
【0036】
図5は本発明のテーピング包装体において部品が上面カバーテープ側へ移動したときの断面図、図6はテーピング包装体において部品が斜めに傾いたときの断面図であり、それぞれ、部品14が、幅広開口部12aと上面カバーテープ15との間に挟まれている状態のものである。尚、図5、図6における部品14は、説明のため図2および図4の部品14とは異なる寸法にしている。
【0037】
図5は部品14の上面の全面が上面カバーテープ15に接触している状態である。このような状態になるのは、幅広開口部12aの深さが部品14の厚み以上に長い場合である。従って、幅広開口部12aの深さを部品14の厚みより短くすれば図5のような状態になることを防止することができる。
【0038】
図6は部品14が傾くことで幅広開口部12aと上面カバーテープ15との間に挟まれている状態のものである。この様にならない条件について、以下、図7を用いて説明する。
【0039】
図7は同テーピング包装体内で部品が傾いたときの模式図であり、図3、図4の符号と共通する符号は同一の構成要素を示しており、再度の説明を省略する。
【0040】
点Dは主収納部12bの側面の延長線、即ち図7における直線BCの延長線と上面カバーテープ15の下面との交点である。
【0041】
ここで、部品14の左上端である点Kは上面カバーテープ15の下面に接し、部品14の右下端である点Mは底面カバーテープ13の上面に接している。また、部品14の左下端である点Lは主収納部12bと部品収納部12cとの境界部である点Bに接しており、図7においては、点Lが点Bに一致した状態を示している。
【0042】
ここで、図7のように点Lと点Bが一致する場合が、部品14が幅広開口部12aと上面カバーテープ15に挟まる場合と挟まらない場合の境界の状態である。
【0043】
以下、図7を用いて、この境界となる場合の条件について求める。この条件は、幾何学的に求めることができる。
【0044】
以下の計算を見やすくするために、BC間の長さをa、BD間の長さをb、DK間の長さをc、CM間の長さをd、BM間の長さをW、BK間の長さをhとする。
【0045】
三角形BDKと三角形MCBとは共に直角三角形であり、また互いに相似関係にあるので、以下の関係が成立する。
【0046】
2+d2=W2 ・・・・・・・(1)
d/W=b/h ・・・・・・・(2)
以上の(1)および(2)の関係式から以下の式を導くことができる。
【0047】
a=W・(1−b2/h21/2 ・・・・・・・(3)
ここで、上記a、即ちBC間の距離は長い方が部品14が幅広開口部12aと上面カバーテープ15に挟まらない。また、挟まる場合と挟まらない場合の境界の状態のときは、挟まる可能性があると考えられるから、挟まらないための条件は、以下の関係式になる。
【0048】
a<W・(1−b2/h21/2 ・・・・・・・(4)
ここで、aは主収納部12bの側面の長さ、言い換えると主収納部12bの深さであり、bは幅広開口部12aの深さ、Wは部品14の幅の長さ、hは部品14の厚みである。
【0049】
なお、上記の式は、図6のように部品14が傾いていることが前提であるので、以下の式が成立することが前提である。
【0050】
h>b ・・・・・・・(5)
h≦bの場合には、図5のようになってしまうので部品14が幅広開口部12aと上面カバーテープ15に挟まってしまうので、この点からも、(5)の関係式が成立することが求められる。
【0051】
以上のように、前記(4)と(5)の関係式が共に成立することが必要である。
【0052】
図8は、本発明の一実施の形態におけるテーピング包装体のバリエーションの断面図である。
【0053】
図8におけるテーピング包装体21は、図1、2おけるテーピング包装体11をプレスキャリアテープを用いたテーピング包装体に適用したもので、プレスキャリアテープ22、部品23および上面カバーテープ24からなり、プレスキャリアテープ22には、幅広開口部22aおよび主収納部22bが形成されており、幅広開口部22aおよび主収納部22bとにより部品収納部22cが形成される。
【0054】
さらに、主収納部22bの深さ、言い換えると、幅広開口部22aと主収納部22bとの接続部からプレスキャリアテープ22の凹部の底面までの距離と、幅広開口部22aの深さ、および部品23の幅、高さとの関係は、図1、2に示したテーピング包装体11と同様にしている。
【0055】
これにより、図1、2に示したテーピング包装体11と同様の作用効果を有する。
【0056】
また、エンボスキャリアテープを用いた場合においても図1、2のパンチキャリアテープを用いた場合と同様の構成にすることで、同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
図9は本発明の一実施の形態におけるテーピング包装体の他のバリエーションの断面図である。図9におけるテーピング包装体31は、エンボスキャリアテープ32、部品33および上面カバーテープ34を備え、エンボスキャリアテープ32には、幅広開口部32aおよび主収納部32bが形成され、この幅広開口部32aおよび主収納部32bにより凹部状の部品収納部32cを形成している。
【0058】
そして、主収納部32bの深さ、幅広開口部32aの深さおよび部品33の幅、高さとの関係は、図1、2に示したテーピング包装体11と同様にしている。
【0059】
これにより、図1、2に示したテーピング包装体11と同様の作用効果を有する。
【0060】
また、図8のテーピング包装体21および図9のテーピング包装体31の製造方法は、公知のプレスキャリアテープやエンボスキャリアテープの製造方法に、図1、2のテーピング包装体11の幅広開口部12aの製造方法を適用すればよい。
【0061】
次に、本発明と従来技術の比較実験結果について説明する。
【0062】
図10は、比較例のテーピング包装体の断面図であり、従来技術のものである。
【0063】
図10のテーピング包装体41はパンチキャリアテープ42、底面カバーテープ43、部品44および上面カバーテープ45とを備え、パンチキャリアテープ42には部品収納部42aが形成されている。
【0064】
図1、2に記載した本発明のテーピング包装体11と比較例である図10のテーピング包装体41による部品をそれぞれのキャリアテープへ収納するときのエラー、および部品を取り出し実装する際のエラーについて実験を行った。
【0065】
実験に用いた部品は、縦0.4mm、横0.2mm、厚み0.13mmの、所謂0402サイズのチップ抵抗器である。
【0066】
また、本実施の形態のテーピング包装体11においては、収納される部品14の短辺方向における主収納部12bの幅を0.23mmにしており、部品14とのクリアランスは0.03mmである。
【0067】
また、部品収納部12cの深さは0.17mmで、主収納部12bの深さを0.05mm、また、幅広開口部12aのパンチキャリアテープ12の上面における短辺方向の開口幅は0.31mmとしている。
【0068】
これに対し、比較例のテーピング包装体41は、幅広開口部が存在せず、部品収納部42aの幅を0.23mmとしている。
【0069】
以上の2種類のテーピング包装体について、以下の試験を行なった。
【0070】
部品挿入のエラーについての実験は、それぞれのパンチキャリアテープへ部品の挿入をそれぞれ100000回行なった。また、パンチキャリアテープから取り出し、実装する実験はそれぞれ5000回行い、ともにエラーが生じた割合を算出した。
【0071】
その結果を(表1)に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
本発明のテーピング包装体11は、部品の挿入時、取出しおよび実装時には共にエラーは生じなかった。これに対し、比較例のテーピング包装体41は、部品挿入が10万回中5回のエラー、即ちエラー率0.005%、部品の取り出しおよび実装時に5000回中1回のエラー、即ちエラー率0.02%である。勿論、比較例のテーピング包装体41は、クリアランスの設定によってエラー率は変動すると考えられるが、クリアランスを大きく取れば取出し時のエラーが発生し易くなり、逆に小さくすると収納時のエラーが発生し易くなると思われるのでクリアランスを調整しても、部品44が小さくなると、両方のエラーを無くす事は困難である。
【0074】
なお、テーピング包装体11における、収納される部品14の短辺方向における主収納部12bの幅は、0.23mmに限られるものではない。部品14の横の長さが0.2mmであるので、クリアランスは最大0.03mmとなり、これは部品14の横の長さの15%に相当する。このクリアランスは小さい方が部品14の取り出しや実装には有利であるが、収納性を考えると、小さくしても10%までにするのが好ましい。
【0075】
また、幅広開口部12aのパンチキャリアテープ12の上面における短辺方向の開口幅は0.31mmに限られるものではない。開口幅は大きい方がチップ抵抗器を収納する場合には、要求される位置精度を緩和することができるので有利である。本実施の形態における0.31mmは、チップ抵抗器の横の長さの1.55倍であるが、1.4倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上とすることである。また、本実施の形態においては、幅広開口部12aの側面のパンチキャリアテープ12の上面に対する角度は71.6°であり、この角度が大きい方がチップ抵抗器は円滑に、主収納部12bに導かれて、この角度が小さいと摩擦力により途中で止まってしまう可能性もある。この角度は、65%以上であれば、円滑に収納され、より好ましくは70%以上とするとよい。
【0076】
しかし、角度を大きくすると他の条件が同じならば開口幅は狭くなり、角度を小さくすると開口幅を大きくすることができるので、この点から、バランスをとって設定する必要があり、本実地の形態の数値は、そのバランスを考慮して定めたものである。
【0077】
なお、部品14の長辺方向は0.4mmの幅であり、この寸法としては従来技術のテーピーング包装体の構造であっても支障はない。これは0603タイプの部品14の短辺の長さが0.3mmであることを考えれば、その部品14の長辺方向は従来技術の構造であっても支障がないことが容易に理解できる。
【0078】
なお、部品14の短辺方向において、幅広開口部12aおよび主収納部12bを形成するので、同時に長辺方向においても幅広開口部12aおよび主収納部12bを形成してもよい。この場合にも、前述の(4)と(5)式を満たす必要があるが、幅広開口部12aのパンチキャリアテープ12の上面における長辺方向の開口幅については、適宜設定すればよい。
【0079】
以上のような構成にすることで、本発明は、0402サイズのチップ部品のように非常に小型の部品を収納するためのテーピング包装体として、テーピング包装体への部品の収納およびテーピング包装体からの部品の取り出しおよび実装を正確に行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係るテーピング包装体は、電子部品等の部品を収納する包装材に使用され有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 テーピング包装体
2 パンチキャリアテープ
3 底面カバーテープ
4 部品
5 上面カバーテープ
6 送り孔
11 テーピング包装体
12 パンチキャリアテープ
12a 幅広開口部
12b 主収納部
12c 部品収納部
13 底面カバーテープ
14 部品
15 上面カバーテープ
21 テーピング包装体
22 プレスキャリアテープ
22a 幅広開口部
22b 主収納部
22c 部品収納部
23 部品
24 上面カバーテープ
31 テーピング包装体
32 エンボスキャリアテープ
32a 幅広開口部
32b 主収納部
32c 部品収納部
33 部品
34 上面カバーテープ
41 テーピング包装体
42 パンチキャリアテープ
42a 部品収納部
43 底面カバーテープ
44 部品
45 上面カバーテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープと、
前記キャリアテープの上面に剥離可能に接着された上面カバーテープと、
前記キャリアテープに形成された凹部および前記上面カバーテープに囲まれた空間、または前記キャリアテープに形成された貫通孔、前記キャリアテープの裏面に形成された底面カバーテープおよび前記上面カバーテープに囲まれた空間である部品収納部と、
前記部品収納部に収納された部品とを備え、
前記部品収納部は、前記キャリアテープの上面から裏面に向かって位置する幅広開口部と前記幅広開口部と連続的に繋がり前記キャリアテープの裏面に向かって位置する主収納部とを備え、
前記主収納部の幅は略同一であり、前記幅広開口部における前記主収納部との境界部は前記主収納部と同一の幅であり、前記キャリアテープの上面に近づくとともに幅が広くなり、
前記主収納部の深さをa、前記幅広開口部の深さをb、前記部品の幅をW、前記部品の高さをhとしたときに、
a<W・(1−b2/h21/2
かつ、h>b
であるテーピング包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−218793(P2012−218793A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88743(P2011−88743)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】