説明

テーピング練習用人体モデル

【課題】
本発明は、テーピング練習用の人体モデルを提供する。
【解決手段】
人体モデルは、人体の関節部分を中心とした部位で構成され、人体モデルの表面層又は表面層の下層部分に骨、靭帯、筋肉、腱、神経、血管の中から適宜選択される人体組織が表示してある。また、人体モデル内部には人工骨が内臓され、正しいテーピング位置を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩、肘、手首、膝、足首等にしっかりとしたテーピングを習得するための練習用の人体モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スポーツ医学の発展にともなってテーピングによる措置は、医師や医学療法士だけでなく、大学や高等学校、その他各種のスポーツクラブ等における選手自身、マネージャー等の一般人によっても広く行われるようになっている。しかしながら、しっかりとした正確なテーピングを習得するには、多くの練習を必要とするが、従来の練習方法は、他人の体を借りて行うことが一般的であった。
【0003】
そのため、練習をしようにもなかなか練習相手がいなかったり、また繰り返しの練習は、他人の生身の体に何度もテーピングを行うことになるため、皮膚に炎症を起こしてしまうなどの限界があった。
【0004】
また従来、テーピング練習専用の人体モデルは存在しないが、マッサージ練習用に開発された膝から下の人体モデルを、テーピング練習用として併用されてきたケースもある。
【0005】
しかしながら上記人体モデルは、あくまでマッサージ練習用に開発されたものであるため、色・形・感触をまさに人体そっくりに作りあげたものである。そのため、単純なテーピング練習(テープを巻く練習)は可能であっても、患部に正確に「施術」する練習を行うための付加情報は何も存在していなかった。また、しっかりとしたテーピング練習を行うには、人体モデルを強固に固定する必要があるが、上記従来技術には、そのための手段も存在していなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記した問題を解決し、誰でも、いつでもどこでも手軽に、充分かつ正確なテーピング練習ができる人体モデルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテーピング練習用人体モデルは、
人体の関節部分を中心とした部位で構成され、前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分には、骨、靭帯、筋肉、腱、神経、血管の中から適宜選択される人体組織が表示してある、ことを特徴とする。
また本発明のテーピング練習用人体モデルは、
人体の関節部分を中心とした部位で構成され、前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分に正しいテーピング位置が表示されている、ことを特徴とする。
また本発明のテーピング練習用人体モデルは、
人体の関節部分を中心とした部位で構成され、前記人体モデルの内部に人工骨が埋め込まれている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医師や医学療法士だけでなく、大学や高等学校、その他各種のスポーツクラブ等における選手自身、マネージャー等の一般人であっても、誰でも手軽に、いつでもどこでも、思う存分に、正確なテーピンの練習を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を足首に適用した人体モデルの第一実施例を示す図である。
【図2】本発明を足首に適用した人体モデルの第二実施例を示す図である。
【図3】本発明を足首に適用した人体モデルを使って練習する様子を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施例を示し、足首にテーピング練習を行うための人体モデル1である。この人体モデル1は、肌触りや弾力性等において人体にそっくりとなるような樹脂を用いて構成される。具体的には、表層部分は塩化ビニール等により成形され、内層部分は硬度の高い硬質発泡ウレタンなどで成形する。また足関節より遠位部分は柔軟性のある軟質発泡ウレタンを充填していることで、関節の動きを再現するような撓みが起こり、より実際の足に近い感覚でテーピング作業が出来るようにしている。
【0011】
人体モデル1の表面層には、骨と靭帯が表示してある。練習者は、骨と靱帯の位置に沿って、正確な位置にテーピングを繰り返すことで、自然と正しいテーピングを習得することができる。なお、表示する人体組織としては、骨や靱帯の他に、筋肉、腱、神経、血管などを詳細に表示しても良い。
【0012】
図1に示すように、足首周辺には、脛骨、腓骨、距骨、踵骨など多くの骨が、距腓靱帯、踵腓靱帯、三角靱帯などによって結合されているが、過激な運動等によってそれぞれの骨と骨との接合部である関節や靱帯に損傷が発生する。こうした各損傷部位の負担軽減のためには、当該損傷部位に対して正確にテーピングすることが必要となる。テーピングに用いるテープは、その幅や素材等が異なっており、損傷部位ごとに最適なものを用い、そして最適な巻き方(角度や回数など)や、直線に貼る場合の方向等を正しく行うことが必要である。
【0013】
本発明の場合、人体モデル1の表面層に骨と靭帯が表示してあることで、練習者は、正確な位置に最適なテーピングを繰り返し練習することが可能となる。
【0014】
なお、本実施例における骨、靭帯の位置は、表面層に絵として印刷で表示しているが、これを予め絵を描いたラベルを貼り付けたり、凹溝線で表示しても良い。また、印刷で表示する場合、繰り返しのテーピング練習で剥がれ落ちる可能性があるため、印刷層の表面に、透明な樹脂層をコーティングして保護するようにしても良い。この場合、表面層はコーティング層となり、その下部層に、印刷された骨、靱帯が表示されることになる。
【0015】
また、骨、靱帯の表示方法としては、人体モデル1の表面層のその下部層に、通常は見えないが光を当てることによって発光する樹脂で表示し、人体モデル1の内部に設置した光源からの光によって、その位置を浮かび上がらせることができるようにしてもよい。
【0016】
これによれば、未熟な段階での練習では光源からの光によって浮かび上がる位置を目安にテーピング練習を行い、熟練してきた段階では、光源をOFFにしてテーピングし、その結果が正しかったかどうかを光源をONにすることで確認することができる。
【0017】
なお、上記の実施例における表示は、光を当てることによって発光する樹脂としたが、見える状態と見えない状態に切換えることができる手段であれば、液晶等の別の表示手段であってもよい。また電源は、電池式であっても、家庭用電源からコードを用いて電気を取り入れる方式であっても良い。更には、光源等の明度を調整して、正確なテーピング位置の表示に明暗を付けられるようにしても良い。
【0018】
当該人体モデル1を使用してテーピングを練習するためには、この人体モデル1を机等の固定物にしっかりと固定することが必要である。そのため、本発明の人体モデル1には、固定手段としてのコ字状の装着部2にC型クランプ3が設けられている。図3に示すように、練習者は練習開始前に、机の適当な部分に装着部2を挿入し、C型クランプ3を締め込むことで人体モデル1を固定して、テーピング練習を行うことができる。
【0019】
図2は、本発明の第二実施例を示し、第一実施例との違いは、人体組織である骨及び靭帯が三次元で表示してある点である。三次元で表現することで、練習者はより正確なテーピング位置を習得することができる。
【0020】
また、上記第一、第二の実施例では、骨、靱帯位置を目で見えるように表示しているが、他の実施例としては(詳細に図示はしないが)、人体モデル1内部に人工骨を埋め込み、モデル表面を指で押すことでその位置が分かるようにしてもよい。またこの場合、実際の人体において骨が皮膚から隆起しているような部分は同じように隆起させ、テーピング位置の指標となる骨突起部を作っても良く、更には、第二実施例の三次元の表示と併用することで、練習者はよりリアリティな感覚を持って正確なテーピング位置を習得することができる。
【0021】
一般的に、人体の内部組織の位置はほぼ共通しているが、多少の個人差は存在する。そのため、本実施例によれば人体内部の組織とテーピングとの適切な位置関係を習得することができるため、実際の施術において、個々の患者を触診して骨や靱帯などの位置を探り当て、個人差に応じた正しい位置にテーピングすることができる。
【0022】
上記した各実施例は、いずれも足首をモデルとしているが、本発明は、テーピングを必要とする肩、肘、手首、膝等の関節を中心としたあらゆる人体モデルにも適用される。
【符号の説明】
【0023】
1 人体モデル
2 装着部
3 C型クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーピング練習用の人体モデルであって、
人体の関節部分を中心とした部位で構成され、
前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分には、骨、靭帯、筋肉、腱、神経、血管の中から適宜選択される人体組織が表示してある、
ことを特徴とするテーピング練習用人体モデル。
【請求項2】
前記関節部分が、肩、肘、手首、膝、足首である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項3】
前記人体モデルには、机などに固定するための固定手段が更に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項4】
前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分に表示する前記人体組織の表示手段はラベル又は印刷である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項5】
前記人体モデルの表面層に表示する前記人体組織の表示手段は凹溝線である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項6】
前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分に表示する前記人体組織の表示は発光素材から構成され、通常は外部から見えておらず、前記人体モデル内部にある光源に通電することで浮かび上がって表示される、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項7】
前記人体モデルの前記表面層の下層部分に表示する前記人体組織の表示は液晶で構成され、通常は外部から見えておらず、液晶に通電することで浮かび上がって表示される、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項8】
テーピング練習用の人体モデルであって、
人体の関節部分を中心とした部位で構成され、
前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分に正しいテーピング位置が表示されている、
ことを特徴とするテーピング練習用人体モデル。
【請求項9】
前記関節部分が、肩、肘、手首、膝、足首である、
ことを特徴とする請求項8に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項10】
前記人体モデルには、机などに固定するための固定手段が更に設けられている、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項11】
前記正しいテーピング位置の表示は、前記表面層に形成される凹溝線である、
ことを特徴とする請求項8に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項12】
前記正しいテーピング位置の表示は、前記表面層又は前記表面層の下層部分に貼り付けられたラベル又は印刷であり、常時外部から見えている、
ことを特徴とする請求項8に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項13】
前記表面層の下層部分にある前記正しいテーピング位置の表示は発光素材から構成され、通常は外部から見えておらず、前記人体モデル内部にある光源に通電することで浮かび上がって表示される、
ことを特徴とする請求項8に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項14】
前記表面層の下層部分にある前記正しいテーピング位置の表示は液晶で構成され、通常は外部から見えておらず、液晶に通電することで浮かび上がって表示される、
ことを特徴とする請求項8に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項15】
テーピング練習用の人体モデルであって、
人体の関節部分を中心とした部位で構成され、
前記人体モデルの内部に人工骨が埋め込まれている、
ことを特徴とするテーピング練習用人体モデル。
【請求項16】
前記関節部分が、肩、肘、手首、膝、足首である、
ことを特徴とする請求項15に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項17】
前記人体モデルには、机などに固定するための固定手段が更に設けられている、
ことを特徴とする請求項15又は16に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項18】
前記人体モデルの表面層又は前記表面層の下層部分には、骨、靭帯、筋肉、腱、神経、血管の中から適宜選択される人体組織が表示してある、
ことを特徴とする請求項15に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項19】
前記人体モデルの表面には、正しいテーピング位置が表示されている、
ことを特徴とする請求項15に記載のテーピング練習用人体モデル。
【請求項20】
前記正しいテーピング位置は、前記人体モデルの表面に形成される凹溝線である、
ことを特徴とする請求項15に記載のテーピング練習用人体モデル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−88461(P2012−88461A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234145(P2010−234145)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【特許番号】特許第4863412号(P4863412)
【特許公報発行日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(509241155)株式会社国際スポーツ医科学研究所 (1)
【出願人】(310018478)有限会社 会沢製作所 (1)
【Fターム(参考)】