テーピング装置
【課題】キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを防止できるテーピング装置を提供する。
【解決手段】テーピング装置は、(1)底板部14aと、該底板部14aを囲む側板部14bと、底板部14aに形成されたテープ走行溝14cとを有し、テープ走行溝14cに収容されたキャリアテープ21をその上面が底板部14aの上面から突出しない状態のままテープ走行溝14cに沿って走行し得る挿入トレイ14と、(2)挿入トレイ14に2次元的或いは3次元的な振動を付与する振動機15と、を備えた電子部品挿入手段を具備する。
【解決手段】テーピング装置は、(1)底板部14aと、該底板部14aを囲む側板部14bと、底板部14aに形成されたテープ走行溝14cとを有し、テープ走行溝14cに収容されたキャリアテープ21をその上面が底板部14aの上面から突出しない状態のままテープ走行溝14cに沿って走行し得る挿入トレイ14と、(2)挿入トレイ14に2次元的或いは3次元的な振動を付与する振動機15と、を備えた電子部品挿入手段を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープに形成された電子部品収納用の凹部内に電子部品を収納し、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞するテーピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテーピング装置は、電子部品収納用の凹部が間隔をおいて形成されたキャリアテープを所定方向に移動させる手段と、該キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する手段と、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞する手段とを備えている。
【0003】
前記の電子部品挿入手段としては、バラ状態の電子部品を所定向きで一列に整列して供給するバーツフィーダと、パーツフィーダによって供給された電子部品を自らの回転によってその外周切欠きに順次取り込むターンテーブルと、ターンテーブルの回転に伴って所定位置に移動した電子部品を吸着してキャリアテープの凹部内に挿入する1自由度の吸着ノズルとを備えたものが使用されている。
【0004】
また、前記の電子部品挿入手段としては、バラ状態の電子部品を所定向きで一列に整列して供給するバーツフィーダと、パーツフィーダによって供給された電子部品を順次吸着し取り出してキャリアテープの凹部内に挿入する2自由度の吸着ノズルとを備えたものも使用されている。
【特許文献1】特開平9−298398
【特許文献2】特開2000−103408
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸着ノズルを利用した従前の電子部品挿入手段にあっては、電子部品を吸着した吸着ノズルを下降させることによって該電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入するものであるため、吸着ノズルに吸着された電子部品に吸着から挿入までの過程で位置ズレを生じた場合や、電子部品が挿入される凹部(キャリアテープ)に位置ズレを生じた場合に、吸着ノズルと一緒に下降する電子部品が凹部の開口縁やキャリアテープの上面に衝突して該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えてしまうことがある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを防止できるテーピング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、電子部品収納用の凹部が間隔をおいて形成されたキャリアテープを所定方向に移動させる手段と、該キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する手段と、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞する手段とを備えたテーピング装置であって、前記の電子部品挿入手段は、(1)底板部と、該底板部を囲む側板部と、底板部に形成されたテープ走行溝とを有し、テープ走行溝に収容されたキャリアテープをその上面が底板部の上面から突出しない状態のままテープ走行溝に沿って走行し得る挿入トレイと、(2)挿入トレイに2次元的或いは3次元的な振動を付与する振動機とを備え、挿入トレイの底板部上にバラ状態で電子部品を投入し、該挿入トレイに振動機から振動を付与すると共にキャリアテープをテープ走行溝に沿って走行させることによって、振動により自ら移動及び姿勢変更する電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入する、ことをその特徴とする。
【0008】
このテーピング装置によれば、振動機から挿入トレイに付与される振動によって該挿入トレイの底板部上の電子部品をランダムに振動させ、該振動により移動及び姿勢変更する電子部品をテープ走行溝に沿って走行するキャリアテープの凹部内に挿入することができる。要するに、振動に伴う電子部品自らの移動及び姿勢変更を利用して該電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入することができるので、吸着ノズルを利用した従前の装置で生じ得るようなダメージが電子部品に与えられることを回避して、キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを防止できるテーピング装置を提供することができる。
【0010】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係るもので、図1はテーピング装置の全体図、図2(A)と図2(B)は図1に示したキャリアテープの具体構成を例示する部分斜視図、図3は図1に示した挿入トレイの拡大上面図、図4は図3のa−a線拡大縦断面図とb−b線拡大縦断面図とc−c線拡大縦断面図である。以下の説明では、図1の左を前、右を後、手前を左、奥を右と表記する。
【0012】
テーピング装置は、図1に示すように、リール軸11に巻き付けられたキャリアテープ21を供給する第1リール11と、リール軸12aに巻き付けられたカバーテープ22を供給する第2リール12と、カバーテープ22が貼り付けられた後のキャリアテープ21(以下、部品テープ23と言う)を巻き取る第3リール13と、挿入トレイ14と、振動機15と、基台16と、アイロン17と、カバーテープ22用の方向規制ローラ18と、第3リール13を図中反時計回り方向に間欠回転させる駆動機構(図示省略)とを備えている。
【0013】
キャリアテープ21は、図2(A)と図2(B)にも示すように、所定の幅及び高さを有すると共に電子部品ECを収納するための凹部21aを長さ方向で等間隔に有している。図2(A)には凹部21aに相当する孔が形成されたパンチテープPTと該パンチテープPTの下面に貼り付けられたボトムテープBTとから成るキャリアテープ21を例示し、また、図2(B)には凹部21aに相当する凹部が成形等によって形成されたエンボステープETから成るキャリアテープ21を例示してあるが、これら以外の構成を有するキャリアテープを用いることも可能である。
【0014】
カバーテープ22は、図2(A)と図2(B)にも示すように、キャリアテープ21よりも僅かに小さな幅を有しており、ヒートシールによってキャリアテープ21の上面に貼り付けられ該貼り付けによって電子部品収納後の凹部21aの開口を閉塞する。
【0015】
挿入トレイ14は、図3と図4(A)〜図4(C)にも示すように、矩形状の底板部14aと、該底板部14aの四辺を囲む矩形枠状の側板部14bと、底板部14aの左右方向中心部分に形成されその前後方向両端をトレイ14の前後方向両端面で開口したテープ走行溝14cとを有する。
【0016】
テープ走行溝14cの深さはキャリアテープ21の高さと同じか僅かに大きく設定されており、図4(A)〜図4(C)から分かるように、キャリアテープ21(ここでは図2(A)のキャリアテープ21を示してある)はテープ走行溝14cの両端開口を通じて該テープ走行溝14c内に収容され、その上面が底板部14aの上面から突出しない状態のままテープ走行溝14cに沿って後から前に向かって走行することができる。
【0017】
尚、後述する動作中にテープ走行溝14aに収容されたキャリアテープ21が浮き上がって該テープ走行溝14aの上面から突出するような場合には、テープ走行溝14aの底面にエア吸引孔(図示省略)を適当数設けて該エア吸引孔にキャリアテープ21の走行を妨げない程度の負圧を作用させ、該負圧によってキャリアテープ21の浮き上がり防止と姿勢保持を行うようにしてもよい。
【0018】
振動機15は、トレイ14をほぼ水平に支持する役目を果たす他、トレイ14に2次元(平面)的或いは3次元的な振動を付与する。
【0019】
アイロン17は、カバーテープ22をヒートシールするのに適した温度に加熱された上下移動可能なシール部17aと、カバーテープ22をヒートシールする際にキャリアテープ21の下面を支持する台盤17bとを有している。
【0020】
以下に、前述のテーピング装置の動作について説明する。
【0021】
部品挿入に際しては挿入トレイ14の底板部14a上に電子部品ECをバラ状態で投入し、そして、振動機15を作動させて挿入トレイ14を2次元的或いは3次元的に振動させ、第3リール13を図1で反時計回り方向に間欠回転させ、該間欠回転の停止時間でアイロン17のシール部17aを下降させる。
【0022】
第3リール13の間欠回転によって挿入トレイ14のテープ走行溝14cに収容されているキャリアテープ21はその上面が底板部14aの上面から突出しない状態のままテープ走行溝14cに沿って後から前に向かって間欠的に走行する。一方、振動機15の作動によって挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECがランダムに振動し、該振動により自ら移動及び姿勢変更する電子部品ECが間欠走行するキャリアテープ21の凹部21a内に徐々に挿入される(図4(B)及び図4(C)参照)。
【0023】
キャリアテープ21の凹部21a内への電子部品ECの挿入は、実際上は、振動により移動及び姿勢変更した電子部品ECの位置及び姿勢が凹部21a内に挿入可能となったときに随時行われ、キャリアテープ21がテープ走行溝14cに沿って間欠走行する過程で電子部品ECが挿入されていない凹部21a内に電子部品ECが順次挿入されるような挿入作用が実行される。
【0024】
このようにして凹部21a内に電子部品ECが挿入されたキャリアテープ21はやがて挿入トレイ14のテープ走行溝14cから抜け出し、アイロン17の台盤17b上に移動する。そして、第3リール13の間欠回転の停止時間でアイロン17のシール部17aが下降し、キャリアテープ21と同期して間欠的に繰り出されるカバーテープ22がキャリアテープ21の上面にヒートシールによって貼り付けられ、該貼り付けによって電子部品収納後の凹部21aの開口が閉塞される。
【0025】
カバーテープ22が貼り付けられた後のキャリアテープ21、即ち、部品テープ23は間欠回転する第3リール13のリール軸13aに巻き取られる。
【0026】
前述のテーピング装置によれば、振動機15から挿入トレイ14に付与される振動によって該挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECをランダムに振動させ、該振動により移動及び姿勢変更する電子部品ECをテープ走行溝14cに沿って間欠走行するキャリアテープ21の凹部21a内に挿入することができる。
【0027】
要するに、振動に伴う電子部品EC自らの移動及び姿勢変更を利用して該電子部品ECをキャリアテープ21の凹部21a内に挿入することができるので、吸着ノズルを利用した従前の装置で生じ得るようなダメージが電子部品ECに与えられることを回避して、キャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECを挿入する際に該電子部品ECに表面傷やクラック等のダメージを与えることを確実に防止することができる。
【0028】
尚、前述の説明では、電子部品ECとして直方体形状のものを示しキャリアテープ21の凹部21aとして該電子部品ECの形状に対応した形状を有するものを示したが、他の形状の電子部品を挿入対象とし該電子部品に適合したキャリアテープを用いても、前記同様の作用効果を発揮することができる。
【0029】
[第1部分変形例]
図5は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第1部分変形例に係るもので、図5(A)は挿入トレイの上面図、図5(B)は図5(A)のd−d線縦断面図、図5(C)は図5(A)及び図5(B)に示した挿入トレイの改良例を示す挿入トレイの縦断面図である。
【0030】
図5(A)及び図5(B)に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、底板部14aにおけるテープ走行溝14cの左右方向両側に平坦部分FRを残し、該平坦部分FRの左右方向両側に平坦部分FRに向かって下向きに傾く所定角度(例えば数度)の傾斜部分IRを形成した点にある。
【0031】
この挿入トレイ14を用いれば、底板部14aの左右方向両側に形成した傾斜部分IRを利用して、底板部14a上の電子部品ECを平坦部分FR上及びキャリアテープ21上に集めてキャリアテープ21上の電子部品ECの密度を高めることができる。これにより、キャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECが挿入される確率を高めることができ、また、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECの数が減少した場合でも凹部21a内への電子部品ECの挿入を効果的に行うことができる。
【0032】
図5(C)に示した挿入トレイ14は、図5(A)及び図5(B)に示した挿入トレイ14から平坦部分FRを除外して、テープ走行溝14cの左右方向両側に該テープ走行溝14cに向かって下向きに傾く所定角度(例えば数度)の傾斜部分IRを形成したものである。
【0033】
この挿入トレイ14を用いれば、底板部14aの左右方向両側に形成した傾斜部分IRを利用して、底板部14a上の電子部品ECをキャリアテープ21上に集めてキャリアテープ21上の電子部品ECの密度を高めることができる。これにより、キャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECが挿入される確率を高めることができ、また、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECの数が減少した場合でも凹部21a内への電子部品ECの挿入を効果的に行うことができる。
【0034】
[第2部分変形例]
図6は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第2部分変形例に係る、テープ走行溝を通るラインで切断した挿入トレイの縦断面図である。
【0035】
図6に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、挿入トレイ14全体が所定角度θ(例えば数度)をもって後下がりに傾くように振動機15に支持されている点にある。
【0036】
挿入トレイ14を後下がりに傾かせれば、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECをキャリアテープ21の走行方向後側部分上に集めて該部分上の電子部品ECの密度を高めることができる。これにより、キャリアテープ21の走行方向後側部分の凹部21a内に電子部品ECが挿入される確率を高めることができ、また、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECの数が減少した場合でも凹部21a内への電子部品ECの挿入を効果的に行うことができる。
【0037】
[第3部分変形例]
図7は第1実施形態のテープ走行溝に改良を施した第3部分変形例に係るもので、図7(A)と図7(B)は挿入トレイの図4(B)に対応する箇所の縦断面図である。
【0038】
図7(A)に示した挿入トレイ14は底板部14aの厚さがキャリアテープ21(図4(B)参照)の高さと同じか僅かに厚い場合、換言すれば、キャリアテープ21の高さが底板部14aの厚さと同じか僅かに低い場合に有効なテープ走行溝14cの形成構造であり、底板部14aにテープ走行溝14cと同じ幅のスリットを形成し該スリットの下側開口をテープ走行溝14cの底面となる底板14dによって閉塞してある。
【0039】
図7(B)に示した挿入トレイ14は底板部14aの厚さがキャリアテープ21(図4(B)参照)の高さよりも薄い場合、換言すれば、キャリアテープ21の高さが底板部14aの厚さよりも高い場合に有効なテープ走行溝14cの形成構造であり、底板部14aに縦断面コ字形の張出部14eを形成してその内側にテープ走行溝14cを形成してある。
【0040】
要するに、挿入トレイ14の底板部14aの厚さとキャリアテープ21の高さとの関係如何によって底板部14aに形成されるテープ走行溝14cの構造を適宜変更して、底板部14aの厚さに拘わらず所期のテープ走行溝14cを底板部14aに形成することができる。
【0041】
[第4部分変形例]
図8は第1実施形態に挿入電子部品の姿勢矯正具を付加した第4部分変形例に係るもので、図8(A)はブラシを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図、図8(B)はエアノズルを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図である。
【0042】
図8(A)に示したブラシ31は底板部14aに位置するキャリアテープ21の前側上方に配置され、凹部21aに傾いた状態で挿入された電子部品ECaに接触することによって該電子部品ECaの姿勢を矯正して凹部21a内に適正な姿勢で挿入させることができる。
【0043】
図8(B)に示したエアノズル32は底板部14aに位置するキャリアテープ21の前側上方に配置され、凹部21aに傾いた状態で挿入された電子部品ECaにエアを吹き付けることによって該電子部品ECaの姿勢を矯正して凹部21a内に適正な姿勢で挿入させることができる。このエアノズル32からのエア吹き出しはキャリアテープ21の間欠走行の停止時間と移動時間の何れか一方で行うようにしてもよい。また、凹部21aに傾いた状態で挿入された電子部品ECaを検出可能な光センサ(図示省略)を所定位置に設けて、該光センサが姿勢不良の電子部品ECaを検出したときのみにエアノズル32から所定時間エア吹き出しを行うようにしてもよい。
【0044】
[第5部分変形例]
図9は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第5部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【0045】
図9に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、テープ走行溝14c1が複数(図中は3本)のキャリアテープ21の同時走行を可能とした幅を有する点にある。
【0046】
テープ走行溝14c1に複数のキャリアテープ21を同時走行できるようにすれば、複数のキャリアテープ21の凹部21aへの電子部品ECの挿入を効率的に行うことができる。
【0047】
[第6部分変形例]
図10は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第6部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【0048】
図10に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、複数(図中は3本)のテープ走行溝14cを底板部14aの左右方向に間隔をおいて形成した点にある。
【0049】
複数のテープ走行溝14cに複数のキャリアテープ21を同時走行できるようにすれば、複数のキャリアテープ21の凹部21aへの電子部品ECの挿入を効率的に行うことができる。
【0050】
[第7部分変形例]
図11は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第7部分変形例に係るもので、図11(A)は挿入トレイの部分上面図、図11(B)は図11(A)のe−e線縦断面図である。
【0051】
図11(A)及び図11(B)に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、底板部14aに形成されたテープ走行溝14cの上側にキャリアテープ21を覆う挿入ガイド板14gを配置した点にある。挿入ガイド板14gは、テーパー付きの挿入ガイド孔14g1をキャリアテープ21の凹部21aの配置間隔と等しい間隔で有している。各挿入ガイド孔14g1の下端開口形は凹部21aの開口形と同じか或いは僅かに大きく、且つ、上端開口形は下端開口形よりも大きくなっていて、下端開口と上端開口との間には鋭角的なテーパー面が存する。
【0052】
この挿入ガイド板14gは、第1実施形態よりも深めにテープ走行溝14c形成してその左右方向両側に挿入ガイド板14gを納め入れるための凹所14fを形成し、該凹所14fにその上面が底板部14aの上面と一致し、且つ、挿入ガイド孔14g1の下端開口が間欠走行の停止時間でキャリアテープの凹部21aと合致するように配置されている。
【0053】
この挿入トレイを用いれば、図11(B)に矢印で示すように、挿入ガイド孔14g1のテーパーを利用して間欠走行するキャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECを誘導することができ、これにより凹部21内への電子部品ECの挿入性を向上させることができる。
【0054】
尚、図11(A)及び図11(B)には挿入トレイ14の底板部14aに形成された凹所14fに挿入ガイド板14gを納め入れたものを示したが、挿入ガイド板14gのサイズを底板部14aと同じにして該挿入ガイド板14gを底板部14aに載置する構造を採用すれば、前記凹所14fを底板部14aに形成することなしに前記同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る、テーピング装置の全体図である。
【図2】図1に示したキャリアテープの具体構成を例示する部分斜視図である。
【図3】図1に示した挿入トレイの拡大上面図である。
【図4】図3のa−a線拡大縦断面図とb−b線拡大縦断面図とc−c線拡大縦断面図である。
【図5】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第1部分変形例に係る、挿入トレイの上面図とそのd−d線縦断面図と、さらなる改良例を示す挿入トレイの縦断面図である。
【図6】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第2部分変形例に係る、テープ走行溝を通るラインで切断した挿入トレイの縦断面図である。
【図7】第1実施形態のテープ走行溝に改良を施した第3部分変形例に係る、挿入トレイの図4(B)に対応する箇所の縦断面図である。
【図8】第1実施形態に挿入電子部品の姿勢矯正具を付加した第4部分変形例に係る、ブラシを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図と、エアノズルを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図である。
【図9】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第5部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【図10】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第6部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【図11】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第7部分変形例に係る、挿入トレイの部分上面図とそのe−e線縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
14…挿入トレイ、14a…底板部、14b…側板部、14c,14c1…テープ走行溝、14g…挿入ガイド板、14g1…挿入ガイド孔、IR…傾斜部分、15…振動機、21…キャリアテープ、21a…凹部、22…カバーテープ、23…部品テープ、EC…電子部品、31…ブラシ、32…エアノズル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープに形成された電子部品収納用の凹部内に電子部品を収納し、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞するテーピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテーピング装置は、電子部品収納用の凹部が間隔をおいて形成されたキャリアテープを所定方向に移動させる手段と、該キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する手段と、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞する手段とを備えている。
【0003】
前記の電子部品挿入手段としては、バラ状態の電子部品を所定向きで一列に整列して供給するバーツフィーダと、パーツフィーダによって供給された電子部品を自らの回転によってその外周切欠きに順次取り込むターンテーブルと、ターンテーブルの回転に伴って所定位置に移動した電子部品を吸着してキャリアテープの凹部内に挿入する1自由度の吸着ノズルとを備えたものが使用されている。
【0004】
また、前記の電子部品挿入手段としては、バラ状態の電子部品を所定向きで一列に整列して供給するバーツフィーダと、パーツフィーダによって供給された電子部品を順次吸着し取り出してキャリアテープの凹部内に挿入する2自由度の吸着ノズルとを備えたものも使用されている。
【特許文献1】特開平9−298398
【特許文献2】特開2000−103408
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸着ノズルを利用した従前の電子部品挿入手段にあっては、電子部品を吸着した吸着ノズルを下降させることによって該電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入するものであるため、吸着ノズルに吸着された電子部品に吸着から挿入までの過程で位置ズレを生じた場合や、電子部品が挿入される凹部(キャリアテープ)に位置ズレを生じた場合に、吸着ノズルと一緒に下降する電子部品が凹部の開口縁やキャリアテープの上面に衝突して該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えてしまうことがある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを防止できるテーピング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、電子部品収納用の凹部が間隔をおいて形成されたキャリアテープを所定方向に移動させる手段と、該キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する手段と、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞する手段とを備えたテーピング装置であって、前記の電子部品挿入手段は、(1)底板部と、該底板部を囲む側板部と、底板部に形成されたテープ走行溝とを有し、テープ走行溝に収容されたキャリアテープをその上面が底板部の上面から突出しない状態のままテープ走行溝に沿って走行し得る挿入トレイと、(2)挿入トレイに2次元的或いは3次元的な振動を付与する振動機とを備え、挿入トレイの底板部上にバラ状態で電子部品を投入し、該挿入トレイに振動機から振動を付与すると共にキャリアテープをテープ走行溝に沿って走行させることによって、振動により自ら移動及び姿勢変更する電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入する、ことをその特徴とする。
【0008】
このテーピング装置によれば、振動機から挿入トレイに付与される振動によって該挿入トレイの底板部上の電子部品をランダムに振動させ、該振動により移動及び姿勢変更する電子部品をテープ走行溝に沿って走行するキャリアテープの凹部内に挿入することができる。要するに、振動に伴う電子部品自らの移動及び姿勢変更を利用して該電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入することができるので、吸着ノズルを利用した従前の装置で生じ得るようなダメージが電子部品に与えられることを回避して、キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する際に該電子部品に表面傷やクラック等のダメージを与えることを防止できるテーピング装置を提供することができる。
【0010】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係るもので、図1はテーピング装置の全体図、図2(A)と図2(B)は図1に示したキャリアテープの具体構成を例示する部分斜視図、図3は図1に示した挿入トレイの拡大上面図、図4は図3のa−a線拡大縦断面図とb−b線拡大縦断面図とc−c線拡大縦断面図である。以下の説明では、図1の左を前、右を後、手前を左、奥を右と表記する。
【0012】
テーピング装置は、図1に示すように、リール軸11に巻き付けられたキャリアテープ21を供給する第1リール11と、リール軸12aに巻き付けられたカバーテープ22を供給する第2リール12と、カバーテープ22が貼り付けられた後のキャリアテープ21(以下、部品テープ23と言う)を巻き取る第3リール13と、挿入トレイ14と、振動機15と、基台16と、アイロン17と、カバーテープ22用の方向規制ローラ18と、第3リール13を図中反時計回り方向に間欠回転させる駆動機構(図示省略)とを備えている。
【0013】
キャリアテープ21は、図2(A)と図2(B)にも示すように、所定の幅及び高さを有すると共に電子部品ECを収納するための凹部21aを長さ方向で等間隔に有している。図2(A)には凹部21aに相当する孔が形成されたパンチテープPTと該パンチテープPTの下面に貼り付けられたボトムテープBTとから成るキャリアテープ21を例示し、また、図2(B)には凹部21aに相当する凹部が成形等によって形成されたエンボステープETから成るキャリアテープ21を例示してあるが、これら以外の構成を有するキャリアテープを用いることも可能である。
【0014】
カバーテープ22は、図2(A)と図2(B)にも示すように、キャリアテープ21よりも僅かに小さな幅を有しており、ヒートシールによってキャリアテープ21の上面に貼り付けられ該貼り付けによって電子部品収納後の凹部21aの開口を閉塞する。
【0015】
挿入トレイ14は、図3と図4(A)〜図4(C)にも示すように、矩形状の底板部14aと、該底板部14aの四辺を囲む矩形枠状の側板部14bと、底板部14aの左右方向中心部分に形成されその前後方向両端をトレイ14の前後方向両端面で開口したテープ走行溝14cとを有する。
【0016】
テープ走行溝14cの深さはキャリアテープ21の高さと同じか僅かに大きく設定されており、図4(A)〜図4(C)から分かるように、キャリアテープ21(ここでは図2(A)のキャリアテープ21を示してある)はテープ走行溝14cの両端開口を通じて該テープ走行溝14c内に収容され、その上面が底板部14aの上面から突出しない状態のままテープ走行溝14cに沿って後から前に向かって走行することができる。
【0017】
尚、後述する動作中にテープ走行溝14aに収容されたキャリアテープ21が浮き上がって該テープ走行溝14aの上面から突出するような場合には、テープ走行溝14aの底面にエア吸引孔(図示省略)を適当数設けて該エア吸引孔にキャリアテープ21の走行を妨げない程度の負圧を作用させ、該負圧によってキャリアテープ21の浮き上がり防止と姿勢保持を行うようにしてもよい。
【0018】
振動機15は、トレイ14をほぼ水平に支持する役目を果たす他、トレイ14に2次元(平面)的或いは3次元的な振動を付与する。
【0019】
アイロン17は、カバーテープ22をヒートシールするのに適した温度に加熱された上下移動可能なシール部17aと、カバーテープ22をヒートシールする際にキャリアテープ21の下面を支持する台盤17bとを有している。
【0020】
以下に、前述のテーピング装置の動作について説明する。
【0021】
部品挿入に際しては挿入トレイ14の底板部14a上に電子部品ECをバラ状態で投入し、そして、振動機15を作動させて挿入トレイ14を2次元的或いは3次元的に振動させ、第3リール13を図1で反時計回り方向に間欠回転させ、該間欠回転の停止時間でアイロン17のシール部17aを下降させる。
【0022】
第3リール13の間欠回転によって挿入トレイ14のテープ走行溝14cに収容されているキャリアテープ21はその上面が底板部14aの上面から突出しない状態のままテープ走行溝14cに沿って後から前に向かって間欠的に走行する。一方、振動機15の作動によって挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECがランダムに振動し、該振動により自ら移動及び姿勢変更する電子部品ECが間欠走行するキャリアテープ21の凹部21a内に徐々に挿入される(図4(B)及び図4(C)参照)。
【0023】
キャリアテープ21の凹部21a内への電子部品ECの挿入は、実際上は、振動により移動及び姿勢変更した電子部品ECの位置及び姿勢が凹部21a内に挿入可能となったときに随時行われ、キャリアテープ21がテープ走行溝14cに沿って間欠走行する過程で電子部品ECが挿入されていない凹部21a内に電子部品ECが順次挿入されるような挿入作用が実行される。
【0024】
このようにして凹部21a内に電子部品ECが挿入されたキャリアテープ21はやがて挿入トレイ14のテープ走行溝14cから抜け出し、アイロン17の台盤17b上に移動する。そして、第3リール13の間欠回転の停止時間でアイロン17のシール部17aが下降し、キャリアテープ21と同期して間欠的に繰り出されるカバーテープ22がキャリアテープ21の上面にヒートシールによって貼り付けられ、該貼り付けによって電子部品収納後の凹部21aの開口が閉塞される。
【0025】
カバーテープ22が貼り付けられた後のキャリアテープ21、即ち、部品テープ23は間欠回転する第3リール13のリール軸13aに巻き取られる。
【0026】
前述のテーピング装置によれば、振動機15から挿入トレイ14に付与される振動によって該挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECをランダムに振動させ、該振動により移動及び姿勢変更する電子部品ECをテープ走行溝14cに沿って間欠走行するキャリアテープ21の凹部21a内に挿入することができる。
【0027】
要するに、振動に伴う電子部品EC自らの移動及び姿勢変更を利用して該電子部品ECをキャリアテープ21の凹部21a内に挿入することができるので、吸着ノズルを利用した従前の装置で生じ得るようなダメージが電子部品ECに与えられることを回避して、キャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECを挿入する際に該電子部品ECに表面傷やクラック等のダメージを与えることを確実に防止することができる。
【0028】
尚、前述の説明では、電子部品ECとして直方体形状のものを示しキャリアテープ21の凹部21aとして該電子部品ECの形状に対応した形状を有するものを示したが、他の形状の電子部品を挿入対象とし該電子部品に適合したキャリアテープを用いても、前記同様の作用効果を発揮することができる。
【0029】
[第1部分変形例]
図5は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第1部分変形例に係るもので、図5(A)は挿入トレイの上面図、図5(B)は図5(A)のd−d線縦断面図、図5(C)は図5(A)及び図5(B)に示した挿入トレイの改良例を示す挿入トレイの縦断面図である。
【0030】
図5(A)及び図5(B)に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、底板部14aにおけるテープ走行溝14cの左右方向両側に平坦部分FRを残し、該平坦部分FRの左右方向両側に平坦部分FRに向かって下向きに傾く所定角度(例えば数度)の傾斜部分IRを形成した点にある。
【0031】
この挿入トレイ14を用いれば、底板部14aの左右方向両側に形成した傾斜部分IRを利用して、底板部14a上の電子部品ECを平坦部分FR上及びキャリアテープ21上に集めてキャリアテープ21上の電子部品ECの密度を高めることができる。これにより、キャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECが挿入される確率を高めることができ、また、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECの数が減少した場合でも凹部21a内への電子部品ECの挿入を効果的に行うことができる。
【0032】
図5(C)に示した挿入トレイ14は、図5(A)及び図5(B)に示した挿入トレイ14から平坦部分FRを除外して、テープ走行溝14cの左右方向両側に該テープ走行溝14cに向かって下向きに傾く所定角度(例えば数度)の傾斜部分IRを形成したものである。
【0033】
この挿入トレイ14を用いれば、底板部14aの左右方向両側に形成した傾斜部分IRを利用して、底板部14a上の電子部品ECをキャリアテープ21上に集めてキャリアテープ21上の電子部品ECの密度を高めることができる。これにより、キャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECが挿入される確率を高めることができ、また、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECの数が減少した場合でも凹部21a内への電子部品ECの挿入を効果的に行うことができる。
【0034】
[第2部分変形例]
図6は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第2部分変形例に係る、テープ走行溝を通るラインで切断した挿入トレイの縦断面図である。
【0035】
図6に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、挿入トレイ14全体が所定角度θ(例えば数度)をもって後下がりに傾くように振動機15に支持されている点にある。
【0036】
挿入トレイ14を後下がりに傾かせれば、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECをキャリアテープ21の走行方向後側部分上に集めて該部分上の電子部品ECの密度を高めることができる。これにより、キャリアテープ21の走行方向後側部分の凹部21a内に電子部品ECが挿入される確率を高めることができ、また、挿入トレイ14の底板部14a上の電子部品ECの数が減少した場合でも凹部21a内への電子部品ECの挿入を効果的に行うことができる。
【0037】
[第3部分変形例]
図7は第1実施形態のテープ走行溝に改良を施した第3部分変形例に係るもので、図7(A)と図7(B)は挿入トレイの図4(B)に対応する箇所の縦断面図である。
【0038】
図7(A)に示した挿入トレイ14は底板部14aの厚さがキャリアテープ21(図4(B)参照)の高さと同じか僅かに厚い場合、換言すれば、キャリアテープ21の高さが底板部14aの厚さと同じか僅かに低い場合に有効なテープ走行溝14cの形成構造であり、底板部14aにテープ走行溝14cと同じ幅のスリットを形成し該スリットの下側開口をテープ走行溝14cの底面となる底板14dによって閉塞してある。
【0039】
図7(B)に示した挿入トレイ14は底板部14aの厚さがキャリアテープ21(図4(B)参照)の高さよりも薄い場合、換言すれば、キャリアテープ21の高さが底板部14aの厚さよりも高い場合に有効なテープ走行溝14cの形成構造であり、底板部14aに縦断面コ字形の張出部14eを形成してその内側にテープ走行溝14cを形成してある。
【0040】
要するに、挿入トレイ14の底板部14aの厚さとキャリアテープ21の高さとの関係如何によって底板部14aに形成されるテープ走行溝14cの構造を適宜変更して、底板部14aの厚さに拘わらず所期のテープ走行溝14cを底板部14aに形成することができる。
【0041】
[第4部分変形例]
図8は第1実施形態に挿入電子部品の姿勢矯正具を付加した第4部分変形例に係るもので、図8(A)はブラシを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図、図8(B)はエアノズルを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図である。
【0042】
図8(A)に示したブラシ31は底板部14aに位置するキャリアテープ21の前側上方に配置され、凹部21aに傾いた状態で挿入された電子部品ECaに接触することによって該電子部品ECaの姿勢を矯正して凹部21a内に適正な姿勢で挿入させることができる。
【0043】
図8(B)に示したエアノズル32は底板部14aに位置するキャリアテープ21の前側上方に配置され、凹部21aに傾いた状態で挿入された電子部品ECaにエアを吹き付けることによって該電子部品ECaの姿勢を矯正して凹部21a内に適正な姿勢で挿入させることができる。このエアノズル32からのエア吹き出しはキャリアテープ21の間欠走行の停止時間と移動時間の何れか一方で行うようにしてもよい。また、凹部21aに傾いた状態で挿入された電子部品ECaを検出可能な光センサ(図示省略)を所定位置に設けて、該光センサが姿勢不良の電子部品ECaを検出したときのみにエアノズル32から所定時間エア吹き出しを行うようにしてもよい。
【0044】
[第5部分変形例]
図9は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第5部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【0045】
図9に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、テープ走行溝14c1が複数(図中は3本)のキャリアテープ21の同時走行を可能とした幅を有する点にある。
【0046】
テープ走行溝14c1に複数のキャリアテープ21を同時走行できるようにすれば、複数のキャリアテープ21の凹部21aへの電子部品ECの挿入を効率的に行うことができる。
【0047】
[第6部分変形例]
図10は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第6部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【0048】
図10に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、複数(図中は3本)のテープ走行溝14cを底板部14aの左右方向に間隔をおいて形成した点にある。
【0049】
複数のテープ走行溝14cに複数のキャリアテープ21を同時走行できるようにすれば、複数のキャリアテープ21の凹部21aへの電子部品ECの挿入を効率的に行うことができる。
【0050】
[第7部分変形例]
図11は第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第7部分変形例に係るもので、図11(A)は挿入トレイの部分上面図、図11(B)は図11(A)のe−e線縦断面図である。
【0051】
図11(A)及び図11(B)に示した挿入トレイ14が第1実施形態の挿入トレイ14と異なるところは、底板部14aに形成されたテープ走行溝14cの上側にキャリアテープ21を覆う挿入ガイド板14gを配置した点にある。挿入ガイド板14gは、テーパー付きの挿入ガイド孔14g1をキャリアテープ21の凹部21aの配置間隔と等しい間隔で有している。各挿入ガイド孔14g1の下端開口形は凹部21aの開口形と同じか或いは僅かに大きく、且つ、上端開口形は下端開口形よりも大きくなっていて、下端開口と上端開口との間には鋭角的なテーパー面が存する。
【0052】
この挿入ガイド板14gは、第1実施形態よりも深めにテープ走行溝14c形成してその左右方向両側に挿入ガイド板14gを納め入れるための凹所14fを形成し、該凹所14fにその上面が底板部14aの上面と一致し、且つ、挿入ガイド孔14g1の下端開口が間欠走行の停止時間でキャリアテープの凹部21aと合致するように配置されている。
【0053】
この挿入トレイを用いれば、図11(B)に矢印で示すように、挿入ガイド孔14g1のテーパーを利用して間欠走行するキャリアテープ21の凹部21a内に電子部品ECを誘導することができ、これにより凹部21内への電子部品ECの挿入性を向上させることができる。
【0054】
尚、図11(A)及び図11(B)には挿入トレイ14の底板部14aに形成された凹所14fに挿入ガイド板14gを納め入れたものを示したが、挿入ガイド板14gのサイズを底板部14aと同じにして該挿入ガイド板14gを底板部14aに載置する構造を採用すれば、前記凹所14fを底板部14aに形成することなしに前記同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る、テーピング装置の全体図である。
【図2】図1に示したキャリアテープの具体構成を例示する部分斜視図である。
【図3】図1に示した挿入トレイの拡大上面図である。
【図4】図3のa−a線拡大縦断面図とb−b線拡大縦断面図とc−c線拡大縦断面図である。
【図5】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第1部分変形例に係る、挿入トレイの上面図とそのd−d線縦断面図と、さらなる改良例を示す挿入トレイの縦断面図である。
【図6】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第2部分変形例に係る、テープ走行溝を通るラインで切断した挿入トレイの縦断面図である。
【図7】第1実施形態のテープ走行溝に改良を施した第3部分変形例に係る、挿入トレイの図4(B)に対応する箇所の縦断面図である。
【図8】第1実施形態に挿入電子部品の姿勢矯正具を付加した第4部分変形例に係る、ブラシを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図と、エアノズルを付加した例を示す挿入トレイの部分縦断面図である。
【図9】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第5部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【図10】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第6部分変形例に係る、挿入トレイの上面図である。
【図11】第1実施形態の挿入トレイに改良を施した第7部分変形例に係る、挿入トレイの部分上面図とそのe−e線縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
14…挿入トレイ、14a…底板部、14b…側板部、14c,14c1…テープ走行溝、14g…挿入ガイド板、14g1…挿入ガイド孔、IR…傾斜部分、15…振動機、21…キャリアテープ、21a…凹部、22…カバーテープ、23…部品テープ、EC…電子部品、31…ブラシ、32…エアノズル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品収納用の凹部が間隔をおいて形成されたキャリアテープを所定方向に移動させる手段と、該キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する手段と、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞する手段とを備えたテーピング装置であって、
前記の電子部品挿入手段は、(1)底板部と、該底板部を囲む側板部と、底板部に形成されたテープ走行溝とを有し、テープ走行溝に収容されたキャリアテープをその上面が底板部の上面から突出しない状態のままテープ走行溝に沿って走行し得る挿入トレイと、(2)挿入トレイに2次元的或いは3次元的な振動を付与する振動機とを備え、
挿入トレイの底板部上にバラ状態で電子部品を投入し、該挿入トレイに振動機から振動を付与すると共にキャリアテープをテープ走行溝に沿って走行させることによって、振動により自ら移動及び姿勢変更する電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入する、
ことを特徴とするテーピング装置。
【請求項2】
挿入トレイの底板部には、底板部上の電子部品をキャリアテープ上に集めるための傾斜部分が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング装置。
【請求項3】
挿入トレイは、底板部上の電子部品がキャリアテープの走行方向後側上に集まるように全体が傾いている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のテーピング装置。
【請求項4】
前記の電子部品挿入手段は、
キャリアテープの凹部内に挿入された電子部品の姿勢を矯正する姿勢矯正具をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のテーピング装置。
【請求項5】
姿勢矯正具は、キャリアテープの凹部内に挿入された電子部品に接触して該接触によって電子部品の姿勢を矯正するブラシである、
ことを特徴とする請求項4に記載のテーピング装置。
【請求項6】
姿勢矯正具は、キャリアテープの凹部内に挿入された電子部品にエアを吹き付け該エア吹き付けによって電子部品の姿勢を矯正するエアノズルである、
ことを特徴とする請求項4に記載のテーピング装置。
【請求項7】
挿入トレイのテープ走行溝に収容されたキャリアテープは挿入ガイド板によって覆われていて、該挿入ガイド板には電子部品をキャリアテープの凹部内に誘導するテーパー付きの挿入ガイド孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のテーピング装置。
【請求項1】
電子部品収納用の凹部が間隔をおいて形成されたキャリアテープを所定方向に移動させる手段と、該キャリアテープの凹部内に電子部品を挿入する手段と、電子部品収納後の凹部の開口をカバーテープで閉塞する手段とを備えたテーピング装置であって、
前記の電子部品挿入手段は、(1)底板部と、該底板部を囲む側板部と、底板部に形成されたテープ走行溝とを有し、テープ走行溝に収容されたキャリアテープをその上面が底板部の上面から突出しない状態のままテープ走行溝に沿って走行し得る挿入トレイと、(2)挿入トレイに2次元的或いは3次元的な振動を付与する振動機とを備え、
挿入トレイの底板部上にバラ状態で電子部品を投入し、該挿入トレイに振動機から振動を付与すると共にキャリアテープをテープ走行溝に沿って走行させることによって、振動により自ら移動及び姿勢変更する電子部品をキャリアテープの凹部内に挿入する、
ことを特徴とするテーピング装置。
【請求項2】
挿入トレイの底板部には、底板部上の電子部品をキャリアテープ上に集めるための傾斜部分が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のテーピング装置。
【請求項3】
挿入トレイは、底板部上の電子部品がキャリアテープの走行方向後側上に集まるように全体が傾いている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のテーピング装置。
【請求項4】
前記の電子部品挿入手段は、
キャリアテープの凹部内に挿入された電子部品の姿勢を矯正する姿勢矯正具をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のテーピング装置。
【請求項5】
姿勢矯正具は、キャリアテープの凹部内に挿入された電子部品に接触して該接触によって電子部品の姿勢を矯正するブラシである、
ことを特徴とする請求項4に記載のテーピング装置。
【請求項6】
姿勢矯正具は、キャリアテープの凹部内に挿入された電子部品にエアを吹き付け該エア吹き付けによって電子部品の姿勢を矯正するエアノズルである、
ことを特徴とする請求項4に記載のテーピング装置。
【請求項7】
挿入トレイのテープ走行溝に収容されたキャリアテープは挿入ガイド板によって覆われていて、該挿入ガイド板には電子部品をキャリアテープの凹部内に誘導するテーパー付きの挿入ガイド孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のテーピング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−173305(P2009−173305A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13367(P2008−13367)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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