説明

テーブルトップ用化粧シート

【課題】テーブルトップとしての必要なテーブルトップ表面に置いた紙に鉛筆やボールペンで文字や絵を描く際に問題が発生することがない硬度を保持しつつ、高齢者や幼児にとっても不意の接触による怪我や痛みを緩和する安全なテーブルトップを得るためのテーブルトップ用化粧シートを提供すること。
【解決手段】表面保護層を有するテーブルトップ用の化粧シートであって、前記化粧シートの裏面側に水酸基価が15〜60mgKOH/gのポリウレタンフォーム層を有すること、前記ポリウレタンフォーム層の厚みが1mm〜30mmであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテーブルトップ、主に高齢者向けあるいは幼児向けにて使用するテーブルトップ、作業台、受付台、肘受けの表面に貼り合わせて使用するテーブルトップ用化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルトップには、それぞれの特徴を活かしてステンレス、人造大理石、メラミン化粧板、天然石、集成材、むく板、タイルなどの多様な材質が使用されている。むく板のように木質本来のやわらかさを特徴とするものもあるが、上記各種材質は基本的に硬いことを特徴としている。硬いことによってものを置く際の安定感を得、鉛筆やボールペンで紙に文字を書く際に下敷きがいらないものとなっている。
【0003】
しかしながら、とりわけ高齢者や幼児にとっては、不意に接触した際にその硬さにより怪我(骨折、打撲)を負う場合も考えられ、さらに手や肘を付いた際に痛みを伴うことがあった。
【0004】
とりわけ高齢者や幼児にとっては硬いテーブルトップが思わぬ怪我や苦痛をもたらす場合があり、軟質のテーブルトップが求められるようになっている。しかし、衝撃吸収のために単に柔らかい材料を緩衝層として使用すると鉛筆やボールペン等により文字を書く際に不安定で書き難く、ものを置いた際に安定感が悪い。また、硬すぎると本来の意図を達成できない。
【0005】
表面に貼り合わせて使用するものとして柔軟性を持たせたものは家具の縁材などが知られているが、側面など曲面部分での衝撃吸収だけを目的としたものであり、化粧シートとして意匠性を付与するものもあるが立体加工適性が優先されており、水平面としての表面各種耐性を有するものではなかった。その他、床用化粧シートなども知られているが、床用の場合、ピアノなどの重量物のキャスターの跡が残らないようにするための復元性、あるいは歩行感を得るための弾力性といったものを目的としており、本件と求められる物性が大きく異なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、テーブルトップとしての必要な硬度を保持しつつ、高齢者や幼児にとっても安全なテーブルトップを得るためのテーブルトップ用化粧シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、表面保護層を有するテーブルトップ用の化粧シートであって、前記化粧シートの裏面側に水酸基価が15〜60mgKOH/gのポリウレタンフォーム層を有することを特徴とするテーブルトップ用化粧シートである。
【0008】
またその請求項2記載の発明は、前記ポリウレタンフォーム層の厚みが1mm〜30mmであることを特徴とする請求項1記載のテーブルトップ用化粧シートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明はその請求項1、2記載の発明により、高齢者や幼児にとって不意の接触による怪我や痛みを緩和することが可能となり、かつテーブルトップ表面に置いた紙に鉛筆やボールペンで文字や絵を描く際に問題が発生することもないという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のテーブルトップ用化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明のテーブルトップ用化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。化粧シート層1の表面に表面保護層2を有し、裏面にポリウレタンフォーム層3を有してなる。
【0012】
本発明における化粧シート層1としては、下地の隠蔽を目的とした基材層、インキの印刷などによる絵柄模様層、絵柄模様層の保護や凹凸を設けるための透明樹脂層などからなる従来公知の化粧シートが使用可能である。それぞれの層構成材料についても特に限定するものではなく、化粧シートとしての作用効果を有するものであれば特に限定するものではない。
【0013】
本発明における表面保護層2としては、各種表面物性を強化するために適宜設けることができ、具体的には2液ウレタン樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などが使用可能である。また、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
【0014】
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。また、本発明のポリマーの表面保護層としての性能(成形性及び耐擦傷性)を損なわない程度に共重合して使用することもできる。
【0015】
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
【0016】
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
【0017】
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
【0018】
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
【0019】
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
【0020】
ポリウレタンフォーム層3としては、公知のポリウレタンフォームを限定なく使用することができる。ポリオール(A)、およびイソシアネート化合物(B)を主成分として含有し、これに触媒(C)、発泡剤(D)を反応させて得られる。
ポリオール(A):特に限定されるものではなく、当該分野において通常使用されるあらゆるタイプのものを用いることができる。例えばポリエーテルポリオール、ポリマーポリオールが挙げられ、2種以上のポリオールを混合して用いてもよい。その水酸基価は15〜60mgKOH/gの範囲のものが適当である。水酸基価を15mgKOH/g以上にすることでコラップス等で発泡体のつぶれが発生しにくい。また水酸基価を60mgKOH/g以下とすることで柔軟性に優れたウレタンフォームが出来る。ポリオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が望ましい。
イソシアネート化合物(B):特に限定されるものではなく、例えばイソシアネート基を2以上有する芳香族、脂環族、もしくは脂肪族系のイソシアネート化合物、その変性体またはこれらの混合物を用いることができる。具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の単体及び化合物が例示される。
触媒(C):特に限定されるものではなく、当該分野において公知である各種触媒を使用することができる。例えばトリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレンアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,1,2−ジメチルイミダゾール、1−ブチル−2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−トリオキシエチレン−N,N−ジメチルアミン等のアミン、又はこれらの有機酸塩及びスタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ナフタン酸亜鉛等の有機金属化合物が挙げられる。
発泡剤(D):水(HO)が挙げられ、水を用いた場合、イソシアネート基と水(H2O)の反応で発生する炭酸ガスが使用される。尚、補助的に低沸点有機化合物の使用やCO2ローディング装置で原液中に炭酸ガス等を混入させて発泡させることも可能である。
【0021】
本発明におけるポリウレタンフォーム層3の水酸基価が15〜60mgKOH/gとなるようにする。水酸基価が、15mgKOH/gより低いと発泡体の潰れが発生し、紙を置いての筆記作業が困難なものとなる。水酸基が60mgKOH/gを超えると硬すぎで痛みを和らげることが出来ない。
【0022】
本発明におけるポリウレタンフォーム層3の厚みは1mm〜30mmが好ましい。1mmより薄いとゆっくり重圧がかかった場合の痛みを和らげることが困難になり、30mmを越えるとゆっくり重圧がかかった後の表面の凹みの戻りが悪くなる。
【実施例1】
【0023】
化粧シート層1として、厚さ70μmの顔料配合ランダムポリプロピレンシートにグラビア印刷によりウレタン系インキにて木目印刷を施し、ホモポリプロピレン樹脂をこの印刷上に90μmとなるようにエクストルージョンラミネート法により施す。施すと同時に表面にエンボス加工を施した。その後、表面保護層2としてウレタンアクリレート100部とペンタエリスリトールテトラアクリレート20部、ベンゾフェノン系光開始剤0.5部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5部、ヒンダードアミン系光安定剤0.5部、粒径1μmの燐片状の石英フィラー2部重量部を添加した紫外線硬化型樹脂を厚さ5μmとなるように塗布し、メタルハライドランプにて紫外線照射し硬化させた。
【0024】
ポリウレタンフォーム層3として、水酸基価35mgKOH/g、不飽和度0.05のポリエステルポリオール100部に対して、触媒としてアミン触媒0.5部、発泡剤として水3.0部を配合し、攪拌後、イソシアネートを除く各原料成分の水酸基当量とポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比率が同じになるようにポリイソシアネート化合物を添加し、再び攪拌した後、65℃に調温された型枠に流し込み、10倍発泡のポリウレタンフォームを作成した。その後、ポリウレタンフォームを規定の2mm厚にスライスした。
このポリウレタンフォーム層3の一面と前記表面保護層2を設けた化粧シート層1の裏面とを接着剤(コニシ(株)「KU580」)にて貼り合せ、本発明のテーブルトップ用化粧シートを得た。
【0025】
このテーブルトップ用化粧シートの裏面と、18mm厚のパーチクルボードとを、酢酸ビニル系接着剤(中央理化工業(株)「BA−10L」)により貼り合せ、1週間養生させてテーブルトップを作製した。
【0026】
<比較例1>
ポリエステルポリオールの水酸基価を5mgKOH/gにした以外は、実施例1と同様にしてテーブルトップ用化粧シートとテーブルトップを作製した。
【0027】
<比較例2>
ポリエステルポリオールの水酸基価を100mgKOH/gにした以外は、実施例1と同様にしてテーブルトップ用化粧シートとテーブルトップを作製した。
【0028】
<性能評価>
実施例1のテーブルトップでは、HBの鉛筆及びボールペンにて上記テーブルトップ上にて紙に文字を書いたが、不安定でなく書くことが出来き、ペン先が表面保護層付き化粧シートを突き破ることなく書くことができた。また、5人の被験者を対象に前記テーブルトップ上に肘をついて20kgの荷重が肘に掛かるようにして立ち上がった際にも特に痛みを訴える被験者はなかった。
【0029】
比較例1のテーブルトップでは、鉛筆で紙に文字を書いてみたが、部分的に発泡層のつぶれが発生して、安定して書くことが困難であった。また、ペン圧によっては表面保護層付き化粧シートにペン跡がくっきり残ることがあった。
【0030】
比較例2のテーブルトップでは、問題なく鉛筆で紙に文字を書くことは可能であったが、肘をつき20kgの荷重が肘部に掛かるようにして立ち上がったところ、被験者5名全てが痛みを感じた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のテーブルトップ用化粧シートは主に高齢者向けあるいは幼児向けにて使用するテーブルトップ、作業台、受付台、肘受けの表面に貼り合わせて使用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…化粧シート層
2…表面保護層
3…ポリウレタンフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面保護層を有するテーブルトップ用の化粧シートであって、前記化粧シートの裏面側に水酸基価が15〜60mgKOH/gのポリウレタンフォーム層を有することを特徴とするテーブルトップ用化粧シート。
【請求項2】
前記ポリウレタンフォーム層の厚みが1mm〜30mmであることを特徴とする請求項1記載のテーブルトップ用化粧シート。



【図1】
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【公開番号】特開2011−62903(P2011−62903A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215091(P2009−215091)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】