説明

テーブルリフト装置

【課題】上下速度の変化が小さく、横荷重に強いテーブルリフトを製作する。また、従来より横巾の小さいテーブルリフトを製作する。
【解決手段】1対の外アーム16と1対の内アーム15とが互いの中心部分で回動自在に結合されてX字状の昇降リンクを形成し、前記外アーム16の回転軸の中心点aと、内アーム15の端軸に揺動自在に取り付けられた減速モーター1の駆動により作動するボールねじ4で移動するボールなっとブロックピンの中心点bと、前記回転軸と前記ボールなっとブロックピンとに取り付けられたボールなっと取り付けブラケットの一端に設けられた1対のコロの中心点cとが三角形を形成し、前記減速モーター1の駆動により前記ボールなっと取り付けブラケットが回動し、これに伴い前記コロが前記内アーム15に設けられたカム14を揺動させて前記内アーム15を前記端軸を中心にスイング駆動させ、前記昇降リンクを昇降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交差するXパンタを開閉する事でテーブルを上下駆動するボールねじ駆動型テーブルリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年ボールねじを利用したボールねじ駆動型テーブルリフトの需要が増えてきている。(特許文献1、特許文献2参照。)
【0003】
以下図1〜図3により従来のテーブルリフトについて説明する。図1は従来の油圧テーブルリフトの側面図である。図で油圧シリンダーがその伸縮により直接Xパンタを開閉してテーブルを上下駆動している。
【0004】
図2は特許文献1の電動リフト側面図で、内アームに回転可能に連結され、他端に設けられたガイドローラーが外アームに設けられ、パンタの交差点方向に設けられた長穴に沿って動く中間アームを電動シリンダーで駆動することで、交差するパンタアームの交差角を変え、テーブルを上下駆動している。図3は特許文献1の平面図で外アーム、内アーム、中間アーム、電動シリンダー等の配置状態が分かる。
【0005】
図4は特許文献2の平面図で外アーム、内アーム、中間アーム、電動シリンダー等の配置状態が分かる。
【0006】
【特許文献1】特許番号第2591598号
【特許文献2】公開特許番号2003−155195
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1に従来のテーブルリフトはテーブルが下限にある時の移動速度は大きく、上限に近ずくに従い速度が遅くなり、その比率は最大2:1に達することもある。
【0008】
第2に、従来のテーブルリフトは偏荷重に弱く偏荷重が働くと、その方向に撓む問題があった。
【0009】
第3に、従来から横方向(パンタアームに直交する方向)の寸法の小さいテーブルリフトの需要があったが、従来の構造ではその実現は難しかった。
【問題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1、第2の課題解決手段は1対の外アームに設けられた回転軸A(中心点a)と、その回転軸に設けられ、それを正逆転駆動するブラケットに設けられた支点B(中心点b)と、回転軸(A)の両端にテーブルリフトの中心面に対称に設けられたブラケットに設けられた2個のコロC(中心点c)と、一対の内アームに設けられ2個のコロを受けるカムよりなるテーブルリフトでa−b−cで固定の三角形を形成し、頂角b−a−cを60°近くにする事で下限から上限に至るまで速度変化が小さい状態にする事ができる。この角度は通常60°近くにすれば速度変化は30%程度に収まる。また、この角度は0°〜60°位が望ましい。平面図6(テーブル寸法:700×1000mm)、側面図7(最低高さ:180mm)のテーブルリフトで試算した結果を図5に示している。図5参照。
【0011】
また、この構造で,回転軸Aの両端に設けられたコロはその軸心から等距離、同位相に設けられているので両内アームはカムを介して同期して駆動される。この結果、横方向の力、又は偏荷重が加わっても左右のテーブル高さも等しくなり、結果的に横荷重、または偏荷重に強くなる。
【0012】
また第3の課題解決手段は駆動減速モーターとそれにカップリングにより直結されたボールねじ等駆動系をテーブルリフトの中心面に配し、請求項1の発明で回転軸の両端に設けるコロ用ブラッケト(9)と、2個のコロを正逆転駆動するブラケット(10)を一体化にする事で重複するスペースを省く事が出来、横巾の小さいテーブルリフトの製作が可能になる。図6、図9を比較すればこの事が理解できる。
【発明の効果】
【0013】
上記第1、第2の課題解決手段による作用効果は次のとおりである。すなわち、請求項1に示す頂角b−a−cを60°程度にする事で上昇、下降の速度変化は小さくなり速度変化率{(最大速度―最小速度)/最大速度}は3割程度に収まる。速度の変化が少ない事は作業性、安全性の観点から望ましく、製作面でもテーブルリフトをコンパクトに製作出来る。
【0014】
また、所要動力は荷重と速度の積に比例する事から速度変化が大きいと所要動力も大きくなる。従って速度変化が小さくなることは使用モーターの出力を小さく、また、フレームの構成部材も小さく出来る。
【0015】
また,回転軸Aの両端に設けられたコロはその軸心から等距離、同位相に設けられているので両内アームは同期して駆動される。更に、回転軸Aの断面2次モーメントを充分大きくしておけば両端のブラケットにかかる力に差があっても、両ブラケットの動きに差は生じない。この結果偏荷重があっても左右のテーブル高さも等しくなり、偏荷重に対して強いテーブルリフトを作る事が可能になった。
【0016】
上記第2の課題解決手段により従来より100mm程度巾の小さいテーブルリフトが製作可能になり、スペース上従来使用不可能であった場所にも使用出来る様になった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の油圧テーブルリフトの側面図
【図2】従来の電動テーブルリフトの側面図
【図3】従来の電動テーブルリフトの平面図
【図4】従来の横幅の小さい電動テーブルリフトの側面図
【図5】本発明のテーブルリフトの速度変化率を示すグラフ
【図6】本発明の実施例を示す電動テーブルリフトの平面図
【図7】本発明の実施例を示す電動テーブルリフトの下限側面図
【図8】本発明の実施例を示す電動テーブルリフトの上限側面図
【図9】本発明の横巾の小さい電動テーブルリフトの平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態として第1の実施例及び第2の実施例を図6〜図8に基づいて説明する。
【実施例】
【0019】
図5に実施例の電動テーブルリフトの平面図を、図6に実施例の電動テーブルリフトの側面図を示している。図で減速モーター1はカップリング2をへてボールねじ4を回転駆動している。ロット8には減速モーター1、スラスト軸受箱5が取り付けてあり、ボールなっと7に生じる力はボールねじ4、スラスト軸受箱5、ロット8を経由して内アームの端軸6に伝えられる。
ボールなっと7はボールねじ4の回転によりボールねじ4の軸方向に駆動され、ボールなっと7が取り付けてある取り付け箱13に取り付けてあるピンBを経由しブラッケト9で回転軸Aを回転駆動している。
【0020】
このとき回転軸Aの中心点a,ボールなっとピンの中心点b、持ち上げコロCの中心点cは固定の三角形を形成している。ボールなっと7がボールなっとピンB、ブラッケト9を経て回転軸Aを回転駆動する。この結果持ち上げコロCは回転軸Aに取り付けられたブラケット10に取り付けられ、内アーム15に設けられたカム14を持ち上げ、内アームは内アーム端軸6を中心に揺動する。
【0021】
一般のリフトでは内、外アームが、そのセンターピン7を中心に開閉駆動されるが請求項1の発明では内アームは内アーム端軸6を中心に持ち上げコロCで駆動され、内アーム端軸6の中心から持ち上げコロC迄の長さが長い為(約3倍)内アームの回転速度も遅くなる。この事がテーブルリフトの上下速度の変動が小さくなる原因である。
【0022】
請求項2の発明ではテーブルの横巾を小さくするため、減速モーター1とボールねじ4を直線上に配し、ボールねじ4に生じる力を減速モーター1と内アーム15の間に設けられたロット8を経由して内アーム端軸6に伝えている。同時にコロCの取りつけブラッケト10と、コロCをボールねじ4の取り付ブロック13の取り付けブラッケト9を一体化し、重複したスペースを無くした。この事で横幅を従来のテーブルのより100mm程度小さくする事が出来た。
【0023】
以上の様に請求項1〜請求項2の発明を実施すれば、横荷重に強く、昇降速度の変化の小さいテーブルリフトが可能になる。また、従来より横巾の小さいテーブルリフトが製作可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上下速度変化が小さく、横荷重に強いテーブルリフトは精密動作が必要なIT産業等の自動化ライン等に需要がみこまれる。
【0025】
また、横巾を小さいテーブルリフトは従来から需要が大きかったので、従来より更に100mm程小さい物が製作可能になり、各方面で使用されるものと思われる。
【符号の説明】
【0026】
1 減速モーター
2 カップリング
4 ボールねじ
5 軸受箱
7 ボールなっと
8 ロット
9 ボールなっと取り付けブラッケット
10 コロ取り付けブラッケット
15 内アーム
16 外アーム
A 回転軸
B なっとブロックピン
C コロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースとテーブルの間に、一対の外アームと一対の内アームが交差するパンタアームを設け、それを開閉する事でテーブルを昇降するテーブルリフトで、
1対の外アームに回転自在に設けられた回転軸(A)と、同回転軸に設けられ、電動ボールねじによる駆動でそれを正逆転駆動するブラケット(9)に設けられた支点(B)と、回転軸の両端に設けられたブラッケト(10)に設けられた2個のコロ(C)と、一対の内アームに設けられ2個のコロを受けるカム(13)よりなるテーブルリフトで、Aの中心点をa,Bの中心点をb、Cの中心点をcとし、三角形a−b−c(角b−a−cが0°を含む。)が固定の三角形を形成し、支点aを中心に支点bを正逆駆動する事でコロ(C)が回転軸(A)を中心に内アームに設けられたカムを駆動し、内アーム(15)が端軸(6)を中心にスイング駆動する事を特徴とするテーブルリフト。
【請求項2】
請求項1の発明で駆動減速機(1)、ボールねじ(4)、ボールなっと(7)等駆動系をテーブルリフト本体の中心面上に配し、外アーム(16)に回転自在に保持された回転軸(A)の両端に設けられたブラケット(10)と、それらの中間に設け、回転軸(A)を正逆転駆動するブラッケト(9)を一体化する事を特徴とするテーブルリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56764(P2012−56764A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216060(P2010−216060)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(592131995)株式会社アカシン (3)
【出願人】(502130995)