説明

テーブル昇降装置

【課題】物品の収納スペースを極力大きく効率良く確保できるとともに、汎用性のあるテーブル昇降装置を供する。
【解決手段】積載テーブル10の下面に昇降機構を備えて一体に構成されたテーブルユニット体Uが支持部材1に昇降自在に嵌装されるテーブル昇降装置であって、昇降機構は、ユニットフレーム11に一端を結着したスプリング28を介装したロープ36が、積載テーブル10の下面に沿って水平に延びて、ユニットフレーム11の側辺に設けられた転換定滑車35に巻き掛けられて上方に延び、その上端部が支持部材1に固定されることで、支持部材1に対してロープ36を介したスプリング28のばね力により積載テーブル10をテーブルユニット体Uとともに積載荷重に概ね見合った高さで支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載した物品の荷重に応じて上下に昇降する積載テーブルのテーブル昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテーブル昇降装置は、例えば図書館などで図書を運搬する台車に適用されており、台車の積載テーブルが図書の積載量に応じて下降するもので、図書の数が多く積載される程、積載テーブルが下降することで、積載された図書のうち上方に位置する図書は常に所定の高さに保たれるようにし、作業員の図書の積み下ろしを容易にして労力を軽減することができる。
【0003】
この図書運搬台車としては、特許文献1に開示された例がある。
同特許文献1に実施例として開示された台車は、支持板(積載テーブル)が下から複数のスプリングで支持されたもので、図書が積載されると、その荷重に応じてスプリングが圧縮されて支持板が下降するものである。
【0004】
また、特許文献2に開示された自動上下動式作業台車は、車体上に植設された支柱に片持ち支持される載置台が上下動し、支柱内に載置台(積載テーブル)を上下動する昇降機構が設けられている。
【0005】
昇降機構は、スプロケット(動滑車)を用いた滑車装置のチェーン(ロープ)が載置台を吊り下げており、スプロケットをスプリング(および油圧シリンダ)が引っ張り支持している。
したがって、物品が載置台に載ると、滑車装置を介してスプリング(および油圧シリンダ)が伸びてその物品の荷重に応じて載置台が下降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭54−34350号公報
【特許文献2】実公昭54−16427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
引用文献1に開示された台車は、支持板を下方から複数のスプリングが支持するため、支持板の下には上下方向に伸縮するスプリングが実施例で上下3段に亘って重ねられた昇降機構が設けられており、この昇降機構のためのスペースが大きい分、支持板の上方の図書収納スペースが大幅に制限されている。
【0008】
同昇降機構の場合、支持板の下降量はスプリングの圧縮量に等しいので、図書の収納スペースを大きくするために支持板の下降量を大きくすると、スプリングの圧縮量も大きくすることになり、スプリング自体が長尺となる。
そのため、昇降機構のスプリングが最も圧縮されたとしても、圧縮されたスプリングの長さも相当あり、その分、図書収納スペースの最大量が削減される。
【0009】
また、引用文献2に開示された自動上下動式作業台車は、載置台の下方は空けてあり、載置台を大きく下降してその上方に大きく収納空間を確保できるが、支柱内に滑車装置やスプリング等の昇降機構が内蔵されるので、支柱は幅広に拡張されて、その分、収納空間が狭くなっている。
【0010】
引用文献1も引用文献2もテーブル昇降装置は台車に積載テーブルと昇降機構が組み込まれて構成されるので、台車以外に他の場所や装置に積載テーブルと昇降機構を適用することは容易ではなく汎用性がない。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、物品の収納スペースを極力大きく効率良く確保できるとともに、汎用性のあるテーブル昇降装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、積載した物品の荷重に応じて上下に昇降する積載テーブルのテーブル昇降装置において、前記積載テーブルの下面に昇降機構を備えて一体に構成されたテーブルユニット体が支持部材に昇降自在に嵌装されるテーブル昇降装置であって、前記テーブルユニット体のユニットフレームに支持される前記昇降機構は、前記ユニットフレームに一端を結着したスプリングを介装したロープが、前記積載テーブルの下面に沿って水平に延びて、前記ユニットフレームの側辺に設けられた転換定滑車に巻き掛けられて上方に延び、その上端部が前記支持部材に固定されることで、前記支持部材に対して前記ロープを介した前記スプリングのばね力により前記積載テーブルを前記テーブルユニット体とともに積載荷重に概ね見合った高さで支持するテーブル昇降装置とした。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のテーブル昇降装置において、前記昇降機構は、動滑車の軸支体が、前記積載テーブルの下面に沿って移動自在に前記ユニットフレームに支持され、前記スプリングは、前記軸支体に一端が結着され、前記軸支体の移動方向に延びて他端が前記ユニットフレームに固着され、前記ロープは、前記動滑車に半周程巻き掛けられ、前記動滑車の両側から互いに平行なロープ直線部が前記軸支体に関して前記スプリングと反対側に延び、前記ロープの一方のロープ直線部が前記ユニットフレームに対して固定状態とされ、前記ロープの他方のロープ直線部が前記転換定滑車に巻き掛けられて上方に延びることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のテーブル昇降装置において、前記積載テーブルは矩形をなすとともに、前記ユニットフレームが直方体状をなし、前記ユニットフレームの4つの角部に上下1対のローラがそれぞれ設けられ、前記支持部材は、上下1対のローラが接して上下に転動する鉛直面を有する支柱が各上下1対のローラに対応してそれぞれ立設されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のテーブル昇降装置において、前記軸支体には、その移動方向と直交する方向に対称に1対の前記動滑車が軸支され、前記1対の動滑車の各動滑車に対応して、それぞれ前記ユニットフレームにおける前記軸支体に関して前記スプリングと反対側の側辺に1対の内側定滑車と1対の外側定滑車が対称に軸支されるとともに、前記スプリング側の側辺に1対の前記転換定滑車が対称に軸支され、前記1対の内側定滑車に架渡されて前記軸支体に延びる1対の各ロープ直線部は、対応する前記動滑車に半周程巻き掛けられて前記外側定滑車に延び、同外側定滑車に半周程巻き掛けられて対応する前記転換定滑車に延び、同転換定滑車に4分の1周巻き掛けられて上方に延び、その上端部が前記支持部材に固定されることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか記載のテーブル昇降装置において、前記支持部材は、台車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載のテーブル昇降装置によれば、積載テーブルの下面に昇降機構を備えて一体に構成されたテーブルユニット体が支持部材に昇降自在に嵌装され、テーブルユニット体のユニットフレームに支持される昇降機構が、スプリングを介装したロープが積載テーブルの下面に沿って水平に延びて転換定滑車に巻き掛けられて上方に延びる構造で、昇降機構が積載テーブルの下に上下幅の狭いユニットフレーム内に収まって支持されるので、テーブルユニット体は昇降機構に規制されることなく水平面積を大きくできるとともに、上下幅を狭く構成でき、したがって、面積の大きい積載テーブルの上下移動量を大きく取って極力大きい物品の収納スペースを効率良く確保できる。
【0018】
また、積載テーブルの下面に昇降機構を備えてテーブルユニット体が一体に構成されているので、ユニット化されたテーブルユニット体を台車や他の装置あるいは適当な場所に簡単に備え付けることができ、汎用性がある。
【0019】
請求項2記載のテーブル昇降装置によれば、昇降機構が動滑車を用い、動滑車の軸支体が積載テーブルの下面に沿って移動し、その軸支体からスプリングが移動方向に延び、動滑車に半周程巻き掛けられたロープの両側のロープ直線部が積載テーブルの下面に沿って平行に延びるので、テーブルユニット体の上下幅を狭く維持できるとともに、動滑車を用いることで、動滑車の軸支体の移動量は、積載テーブルの上下移動量の半分以下にすることができ、限られた積載テーブルの下面に容易に昇降機構を収めることができる。
【0020】
請求項3記載のテーブル昇降装置によれば、積載テーブルは矩形をなし、直方体状をなすユニットフレームの4つの角部に上下1対のローラがそれぞれ設けられ、支持部材は上下1対のローラが接して上下に転動する鉛直面を有する支柱が各上下1対のローラに対応してそれぞれ立設されているので、積載テーブルは水平姿勢を維持したまま上下方向に滑らかに平行移動することができる。
【0021】
請求項4記載のテーブル昇降装置によれば、1つの軸支体に1対の動滑車が軸支され、ユニットフレームに1対の内側定滑車と1対の外側定滑車と1対の転換定滑車が対称に軸支され、1対の内側定滑車に架渡されたロープの両側部がそれぞれ各動滑車、各外側定滑車、各転換定滑車に巻き掛けられて積載テーブルの下面に対称な構造の昇降機構が構成されるので、軸支体が積載テーブルの下面に沿って姿勢を変えることなく円滑に平行移動することができ、積載テーブルの滑らかな昇降を担保することができる。
【0022】
請求項5記載のテーブル昇降装置によれば、前記支持部材は、台車であるので、台車の積載テーブルへの物品の積み下ろしを容易にして、運搬作業を容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係るテーブル昇降装置である台車の全体外観図である。
【図2】同台車の上面図である。
【図3】同台車の側板を省略した後面図である。
【図4】同側面図である。
【図5】テーブルユニット体の斜視図である。
【図6】積層テーブルの一部を省略したテーブルユニット体の上面図である。
【図7】テーブルユニット体の後面図である。
【図8】同側面図である。
【図9】同断面図(図6のIX−IX線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図9に基づいて説明する。
本実施の形態に係るテーブル昇降装置は、主に図書を運搬する台車に適用したもので、図1は、その台車1の全体外観図である。
【0025】
台車1は、下側矩形フレーム2と上側矩形フレーム3とをその4つの上下に対応する角部をそれぞれ支柱4で連結して直方体状を構成しており、下側矩形フレーム2の4つの角部にそれぞれキャスタ5が取り付けられ、対応する1対の支柱4,4の上部間に取っ手6が架設されている。
作業者は、取っ手6を掴んで台車1を押したり引いたりして方向も自由に走行させることができる。
【0026】
ここで、本実施の形態において、台車1の取っ手6のある方を後方とし、その反対の取っ手6のない方を前方とし、前方を向いて左側を左方、右側を右方と決めておくこととする。
【0027】
前後左右の対応する支柱4,4間にそれぞれ側板7が嵌め込まれて、前後左右を覆って、内部に直方体状の空間を形成し、上側矩形フレーム3はそのまま開口して図書B(物品)が出し入れされ、上側矩形フレーム3の開口の奥に昇降自在に嵌挿された矩形の積載テーブル10上に図書Bが積載される。
【0028】
図2,図3,図4は、台車1の側板7を省略して示した上面図、後面図(取っ手6も省略)、側面図であり、図3,図4では、積載テーブル10およびこれから説明するテーブルユニット体Uが最高位置にあるときを実線で示し、最低位置にあるときを2点鎖線で示している。
【0029】
テーブルユニット体Uは、積載テーブル10の下面に昇降機構20を備えて一体に構成されたものであり、積載テーブル10を省略したテーブルユニット体Uの斜視図を図5に示し、積載テーブル10を一部切り欠いたテーブルユニット体Uの上面図を図6に示す。
また、テーブルユニット体Uの後面図、側面図、断面図を、図7,図8,図9に図示する。
【0030】
積載テーブル10の下面にはテーブルユニット体Uの昇降機構20を支持するユニットフレーム11が構成されている。
図5を参照して、ユニットフレーム11は上下に扁平な直方体状の枠体であり、前記4本の支柱4に沿って内側に鉛直フレーム12が4本立設され、前側左右2本の鉛直フレーム12,12の間に上下に2本前水平フレーム13,13が架設され、後側左右2本の鉛直フレーム12,12の間に上下に2本後水平フレーム14,14が架設され、左側前後2本の鉛直フレーム12,12の間に上下に2本左水平フレーム15,15が架設され、右側前後2本の鉛直フレーム12,12の間に上下に2本右水平フレーム16,16が架設されてユニットフレーム11が構成されている。
【0031】
矩形の積載テーブル10は、上側の左水平フレーム15と上側の右水平フレーム16間に架設されて、ユニットフレーム11と一体に昇降する。
鉛直フレーム12は断面がコ字状をなし、外側となった2外側面にそれぞれローラ17が上下に1対ずつ軸支されている。
そして、4本の各支柱4の直交する内側鉛直面に各鉛直フレーム12の2外側面の2対のローラ17が転動自在に当接して、4本の各支柱4の間にユニットフレーム11が水平姿勢を維持したまま円滑に昇降自在に嵌装される。
【0032】
上側の前水平フレーム13の中央部と上側の後水平フレーム14の中央部間に前後方向に指向した水平支持フレーム21が架設されており、同水平支持フレーム21の側面には断面コ字状をしたレール22が前後方向に長尺に固着されている。
このレール22にスライダ23が前後方向に摺動自在に嵌合されており、同スライダ23にはブラケット24を介して動滑車31,31を軸支する軸支体25が吊設されている。
【0033】
軸支体25は、帯状の金属板を両端側で同方向に直角に屈曲したのち、さらに互いに外側に屈曲して軸支片25a,25aを形成している。
この軸支体25は、左右方向に指向させてブラケット24に下方から中央部を固着され、左右端部に位置する軸支片25a,25aには、支軸31a,31aが垂設され、同支軸31a,31aに動滑車31,31が回転自在に軸支されている。
したがって、動滑車31,31を左右に軸支する軸支体25は、レール22にスライダ23を介して導かれて前後方向に移動する。
【0034】
軸支体25の左右の鉛直部間には前端縁に沿ってスプリング係止バー25bが架設され(図6参照)、一方、下側の後水平フレーム14の中央上面には左右両端を上方に屈曲させた支持片27が固着され、同支持片27の左右鉛直端間にスプリング係止バー27bが架設されている(図5,図6参照)。
【0035】
軸支体25側のスプリング係止バー25bと後水平フレーム14側のスプリング係止バー27bとは前後で対向しており、両スプリング係止バー25b,27b間に前後方向に指向した3本のスプリング28が左右に略等間隔に並んで架設される。
3本のスプリング28は、軸支体25を後方に付勢することになる。
【0036】
下側の前水平フレーム13の上面には、左右の動滑車31,31が対応する両位置より内側に左右1対の内側定滑車32,32が鉛直支軸32a,32aに軸支されて取り付けられ、左右の動滑車31,31が対応する両位置より外側に左右1対の外側定滑車33,33が鉛直支軸33a,33aに軸支されて取り付けられている。
【0037】
また、上下の後水平フレーム14,14間には、左右の鉛直フレーム12,12寄りに鉛直片34,34が架設され、同鉛直片34,34の外側面に水平支軸35a,35aに軸支されて転換定滑車35,35が取り付けられている。
転換定滑車35,35は後水平フレーム14より一部後方に飛び出している。
【0038】
以上の左右1対の内側定滑車32,32、動滑車31,31、外側定滑車33,33、転換定滑車35,35は、左右対称に配置されており、1本のロープ36が巻き掛けられて動滑車機構が構成されている。
【0039】
そして、ロープ36は1対の内側定滑車32,32に前側から架渡されて左右側部が後方の軸支体25に延び、軸支体25に延びた1対のロープ直線部は、それぞれ対応する動滑車31,31に内側から半周巻き掛けられて前方の外側定滑車33,33に延び、同外側定滑車33,33に内側から半周巻き掛けられて後方の転換定滑車35,35に延び、同転換定滑車35,35に下側から4分の1周巻き掛けられて上方に延び、その上端部が台車1の後側の側板7の内面に突設された係止突起37に結着される。
【0040】
このように昇降機構20は、左右対称に構成されているので、軸支体25が積載テーブル10の下面に沿って姿勢を変えることなく円滑に平行移動することができ、これは積載テーブル10の傾きを防止して滑らかな昇降を担保する。
ロープ36も左右対称に配設されるので、中央部はユニットフレーム11に対して固定状態にあり、よって、ロープを中央部で切断して2本とし、その切断した端部をユニットフレーム11に固定してもよい。
【0041】
なお、ユニットフレーム11の上面視の矩形より若干大きい矩形の積載テーブル10は、4隅を切り欠いて上面視でローラ17が一部露出するようにしているとともに、鉛直上方に延びたロープ36を避けるべく後辺に切欠き10c,10cが形成されている。
【0042】
台車1の4本支柱4に昇降自在に支持されたテーブルユニット体Uは、積載テーブル10の下面にユニットフレーム11に支持されて上記のような昇降機構20を一体に構成しており、ロープ36を介したスプリング28のばね力により積載テーブル10をテーブルユニット体Uとともに積載荷重に概ね見合った高さで支持する。
【0043】
すなわち、積載テーブル10に積載された図書Bの荷重とテーブルユニット体Uの自重の合計荷重は、テーブルユニット体Uを下降させるように働いてロープ36を引っ張り、動滑車31,31を介して軸支体25を前方に移動させようとするが、これに対向して3本のスプリング28の引っ張りばね力が軸支体25を後方に付勢し、この両者の力の平衡した前後方向位置に軸支体25が位置し、同軸支体25の位置によりロープ36を介したテーブルユニット体U(積載テーブル10)の高さが決まる。
【0044】
積載テーブル10に図書Bが全く載置されていないときは、図3および図4において実線で示すように、テーブルユニット体Uの自重のみをスプリング28のばね力が支えるので、スプリング28のばね力は小さくスプリング28の伸びは最小で、よって軸支体25は後方に位置して、ロープ36を介して支持されたテーブルユニット体Uは積載テーブル10とともに最高位置にある。
【0045】
積載テーブル10に図書Bが積載されたときは、テーブルユニット体Uの自重に図書積載荷重が加わり、この合計荷重をスプリング28のばね力が支えるため、スプリング28のばね力は大きくなりスプリング28は伸び、軸支体25は前方に移動し、ロープ36を介して支持されたテーブルユニット体Uは積載テーブル10とともに下降する。
【0046】
図書Bの積載量が多くなるほど、テーブルユニット体Uは積載テーブル10とともに下降して低い位置となる。
図3および図4においては、積載テーブル10が最低位置に至ったときのテーブルユニット体Uを2点鎖線で示している。
【0047】
このように、本台車1は、積載テーブル10が図書Bの積載量に概ね見合って下降するので、積載された図書のうち上方に位置する図書は常に所定の高さに概ね保たれるため、作業員の図書Bの積み下ろしを容易にして労力を軽減することができる。
【0048】
本台車1は、積載テーブル10の下面に昇降機構20を備えて一体に構成されたテーブルユニット体Uが台車1の4本の支柱4に昇降自在に嵌装され、テーブルユニット体Uのユニットフレーム11に支持される昇降機構20が、スプリング28を介装したロープ36が積載テーブルの下面に沿って水平に延びて転換定滑車35に巻き掛けられて上方に延びる構造であるため、昇降機構20が積載テーブル10の下に上下幅の狭いユニットフレーム11内に収まり、テーブルユニット体Uの上下幅を狭く構成でき、よって積載テーブル10の上下移動量を大きく取って極力大きい物品の収納スペースを効率良く確保できる。
【0049】
さらに、昇降機構20を台車1の枠体に設けていないので、積載テーブル10は昇降機構20に規制されることなく水平面積を大きく取ることが可能で、益々収納スペースを効率良く確保することができる。
【0050】
また、積載テーブル10の下面に設けられる昇降機構20が動滑車31を用いているので、動滑車31の軸支体25の移動量は、積載テーブル10の上下移動量の半分にすることができ、限られた面積の積載テーブル10の下面に容易に昇降機構20を収めることができる。
なお、動滑車20を1対設けたが、2対以上とすることもスペースに余裕があれば考えられ、動滑車の軸支体の移動量を、積載テーブルの上下移動量の4分の1以下とすることができる。
【0051】
また、積載テーブル10の下面に昇降機構20を備えてテーブルユニット体Uが一体に構成されているので、ユニット化されたテーブルユニット体Uを台車以外の装置あるいは適当な場所に簡単に備え付けることができ、汎用性がある。
すなわち、図5に示すように、本テーブルユニット体Uは、4本の支柱を4隅に立設して、テーブルユニット体Uを昇降自在に嵌装し、ロープ6の上方に延びた2つの上端部を支持部材のいずれかに固定すれば、積載した物品の荷重に応じて積載テーブルが上下に昇降するテーブル昇降装置を、何処でも簡単に備え付けることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…台車、2…下側矩形フレーム、3…上側矩形フレーム、4…支柱、5…キャスタ、6…取っ手、7…側板、
U…テーブルユニット体、10…積載テーブル、11…ユニットフレーム、12…鉛直フレーム、13…前水平フレーム、14…後水平フレーム、15…左水平フレーム、16…右水平フレーム、17…ローラ、
20…昇降機構、21…水平支持フレーム、22…レール、23…スライダ、24…ブラケット、25…軸支体、25b…スプリング係止バー、27…支持片、27b…スプリング係止バー、28…スプリング、
30…、31…動滑車、32…内側定滑車、33…外側定滑車、34…鉛直片、35…転換定滑車、36…ロープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載した物品の荷重に応じて上下に昇降する積載テーブルのテーブル昇降装置において、
前記積載テーブルの下面に昇降機構を備えて一体に構成されたテーブルユニット体が支持部材に昇降自在に嵌装されるテーブル昇降装置であって、
前記テーブルユニット体のユニットフレームに支持される前記昇降機構は、
前記ユニットフレームに一端を結着したスプリングを介装したロープが、前記積載テーブルの下面に沿って水平に延びて、前記ユニットフレームの側辺に設けられた転換定滑車に巻き掛けられて上方に延び、その上端部が前記支持部材に固定されることで、
前記支持部材に対して前記ロープを介した前記スプリングのばね力により前記積載テーブルを前記テーブルユニット体とともに積載荷重に概ね見合った高さで支持することを特徴とするテーブル昇降装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、
動滑車の軸支体が、前記積載テーブルの下面に沿って移動自在に前記ユニットフレームに支持され、
前記スプリングは、前記軸支体に一端が結着され、前記軸支体の移動方向に延びて他端が前記ユニットフレームに固着され、
前記ロープは、前記動滑車に半周程巻き掛けられ、前記動滑車の両側から互いに平行なロープ直線部が前記軸支体に関して前記スプリングと反対側に延び、
前記ロープの一方のロープ直線部が前記ユニットフレームに対して固定状態とされ、
前記ロープの他方のロープ直線部が前記転換定滑車に巻き掛けられて上方に延びることを特徴とする請求項1記載のテーブル昇降装置。
【請求項3】
前記積載テーブルは矩形をなすとともに、前記ユニットフレームが直方体状をなし、
前記ユニットフレームの4つの角部に上下1対のローラがそれぞれ設けられ、
前記支持部材は、上下1対のローラが接して上下に転動する鉛直面を有する支柱が各上下1対のローラに対応してそれぞれ立設されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のテーブル昇降装置。
【請求項4】
前記軸支体には、その移動方向と直交する方向に対称に1対の前記動滑車が軸支され、
前記1対の動滑車の各動滑車に対応して、それぞれ前記ユニットフレームにおける前記軸支体に関して前記スプリングと反対側の側辺に1対の内側定滑車と1対の外側定滑車が対称に軸支されるとともに、前記スプリング側の側辺に1対の前記転換定滑車が対称に軸支され、
前記1対の内側定滑車に架渡されて前記軸支体に延びる1対の各ロープ直線部は、対応する前記動滑車に半周程巻き掛けられて前記外側定滑車に延び、同外側定滑車に半周程巻き掛けられて対応する前記転換定滑車に延び、同転換定滑車に4分の1周巻き掛けられて上方に延び、その上端部が前記支持部材に固定されることを特徴とする請求項3記載のテーブル昇降装置。
【請求項5】
前記支持部材は、台車であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載のテーブル昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−11852(P2011−11852A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156478(P2009−156478)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000229759)日本ファイリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】