説明

テープのアンダーフィル方法及びチップのパッケージ方法

【課題】パッケージ工程においてボイドが発生しないようにした、テープのアンダーフィル方法及びチップのパッケージ方法を提供する。
【解決手段】チップの実装領域を有するテープを準備する工程102と、実装領域内に孔を穿設する工程104と、チップ側から、チップとテープとの間にアンダーフィル材を充填し、チップを実装領域へ接着する工程106とを含む。アンダーフィル材の充填時及びベーキング工程において、アンダーフィル材から発生したガスは、孔から放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にチップ・オン・フィルム(chip-on-film:COF)デバイスの製造に用いられるテープのアンダーフィル方法及びチップのパッケージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスが高集積化に向かうに従い、チップボンディングなどのパッケージ技術は重要になってきている。接合強度を向上させる最も一般的な技術には、ICチップとパッケージとの間に配置するアンダーフィル材が含まれる。一般に、アンダーフィル材は二つの構成要素(ICチップとテープなど)の間や、二つの構成要素を接合するボールグリッドアレイ(Ball Grid Array:BGA)を形成する半田バンプの周囲に注入されたり配置される。アンダーフィル材を注入(充填)するものは、特許文献1に記載されているように、ICチップのパッケージに際してアンダーフィル工程が必要である。アンダーフィル材を配置するものは、特許文献2に記載されているように、テープ上にアンダーフィル材が予め貼着される。
【特許文献1】特開2004−119502号公報
【特許文献2】特開2003−209146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アンダーフィル工程には、接合されている二つの構成要素間の僅かな隙間にアンダーフィル材を流すことが必要である。しかし、ICチップのサイズが増大するにつれ、アンダーフィル材を流す作業には時間が多くかかるようになり、より複雑なチップのように、BGAの密度が高まるとボイドも形成しやすくなった。さらに詳細には、隣接する半田バンプ間の空間が減少すると、二つの構成要素の間にアンダーフィル材を均一に流すことはさらに困難となった。そして、ボイドが応力集中の中心となり、後続のベーキング工程においてボイド内の残留ガスなどが膨張して損傷を発生させることがよくあった。そのため、パッケージの信頼性を向上させることが望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、テープに孔を穿設してガスを放散させ、パッケージ工程においてボイドが発生しないようにするテープのアンダーフィル方法及びチップのパッケージ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のテープのアンダーフィル方法は、チップの実装領域を有するテープを準備する工程と、実装領域内に孔を穿設する工程と、チップ側から、チップとテープとの間にアンダーフィル材をアンダーフィルし、チップを実装領域へ接着する工程とを含む。
【0006】
本発明のCOFデバイスのアンダーフィル方法は、先ずフィルムを準備する工程と、外径が50μmよりも小さい孔をフィルムに穿設する工程と、チップ側から、チップとフィルムとの間に接着剤をアンダーフィルし、チップをフィルムの孔上へ接合する工程とを含む。
【0007】
本発明のチップのパッケージ方法は、その上にチップがパッケージされる孔をテープに穿設し、残留ガスによるボイド及びその他損傷が発生することを防ぐ。
【0008】
本発明のチップのパッケージ方法は、テープを準備する工程と、テープに外径が50μmよりも小さい孔を穿設する工程と、チップ側から、チップとテープとの間に接着剤をアンダーフィルし、チップのバンプをテープの孔上へ接合する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、テープに穿設された孔を使用し、アンダーフィル材のフローバランスが悪いために発生する残留ガスを放散し、ボイドの形成やその他の欠陥が発生することを防ぐことができる。さらに付加的なベーキング工程により、アンダーフィル材が大量に漏れることを防ぎ、残留ガス及びアンダーフィル材のその他の揮発性物質の放散を加速させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、先ず、チップ204の実装領域212を有するテープ202を準備する(工程102)。実装領域212内に孔222を穿設する(工程104)。図3Aに示すように、チップ204の一側から、チップ204とテープ202との間にアンダーフィル材206をアンダーフィル(充填)し、図3Bに示すように、チップ204を実装領域212へ接着させる(工程106)。テープ202の実装領域212に孔222を穿設することにより、効果的にガスを放散させる短パスを提供し、アンダーフィル材206を注入するときに、テープ202とチップ204との間にボイドが形成されることを防ぐ。
【0011】
さらに詳細には、孔222の形状は、円形、楕円形、矩形又はその他の定形又は不定形であってもよい。孔222の外径は50μmよりも小さく、好適には20から30μmの間である。一般に、従来のメカニカル・ドリルを使用すると、100μmよりも小さい孔を有するテープを製作することは容易でない上、粗雑で誤った位置になりやすい。そのため、本実施形態では正確な位置に、外径が100μmよりも小さい孔を形成することができるように、孔222の穿設にはレーザ穿孔を用いるのがよい。孔222は、1つに限らず複数でもよい。
【0012】
テープ202の孔222のサイズが大きいと、アンダーフィル工程に悪影響を与えることがある。例えば、接着剤やその他適当なアンダーフィル材は、孔222から漏れてテープ202の裏側を汚してしまう。このアンダーフィル材206の漏れは、孔222が小さいほど少なくすることができる。好適な実施形態による孔222は、その小さな外径と後述するような特別な工程により、アンダーフィル材206の漏れを大幅に防ぐことができる。
【0013】
本実施形態のテープ202はCOFデバイスのフィルムであり、チップ204がテープ202を接合する複数のバンプ204aを有する。また、チップのパッケージ方法にはアンダーフィル工程を適用してもよい。テープ202(COFデバイスのフィルム)は、ポリイミド(PI)からなるフィルム基板228、フィルム基板228上に配置された銅膜226及び銅膜226を水、化学などの損傷から保護するため銅膜226上に配置される耐半田フィルム224を含む。なお、図3A、図3Bでは、銅膜226及び半田フィルム224は省略してある。
【0014】
図2に示すように、銅膜226はチップ204とバンプ204aを接合するため、実装領域212が露出されている。チップ204側から、テープ202とチップ204との間に、アンダーフィル材206が注入されたり配置されたりするときに、ボイド形成を防ぎ、従来技術と異なり、実装領域212内の孔222は、残留ガスを放散する短パスを提供する。
【0015】
また、孔222からアンダーフィル材206が大量に漏れることがないように、孔222の外径は50μmよりも小さいことが好ましく、アンダーフィル工程を行う際に付加的なベーキング工程を選択的に行ってもよい。例えば、孔222内にあるアンダーフィル材206を熱硬化するなど、孔222から漏れる前に、テープ202を所定温度でベーキングしてアンダーフィル材206を硬化する。このベーキング工程を行うと、アンダーフィル材が大量に漏れることを防ぐことができる上、残留ガス及び溶剤などのアンダーフィル材206の揮発性物質の放散を加速させることもできる。
【0016】
また所定温度は、アンダーフィル材206や孔222のサイズ、アンダーフィル材206の流量やフィルム基板228の熱導電など、その他工程パラメータに応じて決定することができる。例えば、アンダーフィル材206がエポキシ樹脂であり、孔222のサイズが50μmよりも小さい場合、所定温度を80から125℃の間にする。
【0017】
他の実施形態では、COFデバイスにアンダーフィル工程を行ってもよい。外径が50μmよりも小さい孔222を、フィルム内に穿設してもよい。そして、チップ204側から、チップ204とフィルムとの間に接着剤をアンダーフィルし、フィルムの孔222上にチップ204を接合する。さらに他の実施形態では、チップのパッケージ方法を提供する。外径が50μmよりも小さい孔222を、テープ202に穿設してもよい。そしてチップ204側から、チップ204と孔222との間に接着剤をアンダーフィルし、チップ204のバンプ204aをテープ202の孔222上に接合させる。
【0018】
本発明では好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知するものなら誰でも、本発明の主旨と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す模式図である。
【図3A】本発明の実施形態によるアンダーフィル材を充填しているときの状態を示す模式図である。
【図3B】本発明の実施形態によるアンダーフィル材を充填したときの状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0020】
202 テープ
204 チップ
206 アンダーフィル材
212 実装領域
222 孔
224 耐半田フィルム
226 銅膜
228 フィルム基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップの実装領域を有するテープを準備する工程と、
前記実装領域内に孔を穿設する工程と、
前記チップと前記テープとの間にアンダーフィル材を充填し、前記チップを前記実装領域へ接着する工程と、
を含むことを特徴とするテープのアンダーフィル方法。
【請求項2】
前記孔の外径は50μmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のテープのアンダーフィル方法。
【請求項3】
前記孔の外径は、20から30μmの間であることを特徴とする請求項2に記載のテープのアンダーフィル方法。
【請求項4】
前記孔は、レーザ穿孔により穿設することを特徴とする請求項1に記載のテープのアンダーフィル方法。
【請求項5】
前記テープはポリイミドからなることを特徴とする請求項1に記載のテープのアンダーフィル方法。
【請求項6】
前記テープを所定温度でベーキングし、前記孔内にある前記アンダーフィル材を硬化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のテープのアンダーフィル方法。
【請求項7】
前記アンダーフィル材がエポキシ樹脂からなるとき、前記所定温度は80から125℃の間であることを特徴とする請求項6に記載のテープのアンダーフィル方法。
【請求項8】
フィルムを準備する工程と、
外径が50μmよりも小さい孔をフィルムに穿設する工程と、
前記チップと前記フィルムとの間に接着剤を充填し、前記チップを前記フィルムの孔上へ接合する工程と、
を含むことを特徴とするCOFデバイスのアンダーフィル方法。
【請求項9】
前記孔の外径は、20から30μmの間であることを特徴とする請求項8に記載のCOFデバイスのアンダーフィル方法。
【請求項10】
前記孔は、レーザ穿孔により穿設することを特徴とする請求項8に記載のCOFデバイスのアンダーフィル方法。
【請求項11】
前記フィルムはポリイミドからなることを特徴とする請求項8に記載のCOFデバイスのアンダーフィル方法。
【請求項12】
前記フィルムを所定温度でベーキングし、前記孔内にある前記接着剤を硬化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のCOFデバイスのアンダーフィル方法。
【請求項13】
前記接着剤がエポキシ樹脂からなるとき、前記所定温度は80から125℃の間であることを特徴とする請求項12に記載のCOFデバイスのアンダーフィル方法。
【請求項14】
テープを準備する工程と、
前記テープに外径が50μmよりも小さい孔を穿設する工程と、
前記チップと前記テープとの間に接着剤を充填し、前記チップのバンプを前記テープの前記孔上へ接合する工程と、
を含むことを特徴とするチップのパッケージ方法。
【請求項15】
前記孔の外径は、20から30μmの間であることを特徴とする請求項14に記載のチップのパッケージ方法。
【請求項16】
前記孔は、レーザ穿孔により穿設することを特徴とする請求項14に記載のチップのパッケージ方法。
【請求項17】
前記テープはポリイミドからなることを特徴とする請求項14に記載のチップのパッケージ方法。
【請求項18】
前記テープを所定温度でベーキングし、前記孔内にある前記接着剤を硬化する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のチップのパッケージ方法。
【請求項19】
前記接着剤がエポキシ樹脂からなるとき、前記所定温度は80から125℃の間であることを特徴とする請求項18に記載のチップのパッケージ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2007−116092(P2007−116092A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195697(P2006−195697)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(504376935)奇景光電股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】