説明

テープの巻き出し防止用治具

【課題】この発明は、落下した際に際限なく巻きだされることを回避でき、作業性に優れかつ低コストのテープの巻き出し防止用治具を得ることを課題とする。
【解決手段】中央部が開口されたコアに巻きつけられて使用されるテープの巻き出し防止用治具において、前記コア1の周縁部の一部を該コア1の半径方向に沿って巻回するように環状に取り付けられるバンド本体4と、このバンド本体4の端部同士を係合してループ状にするかしめ部材5とを具備することを特徴とするテープの巻き出し防止用治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に四フッ化エチレン樹脂生テープ,紙テープ等の抵抗なく送出しやすいテープの巻き出し落下防止用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、油,溶剤,化学薬品,水等の配管ねじ継手や、ボルト,ナット部等のねじ継手をシールする目的で四フッ化エチレン樹脂生テープが広く用いられている。この四フッ化エチレン樹脂生テープは、一般に中央部が開口されたコアに複数層巻かれているが、セロテープ(登録商標)等の裏面に粘着剤が塗布されたテープと比べて滑り性が良く、落下した際に際限なくテープが巻きだされてしまう問題があった。また、このように巻きだされた四フッ化エチレン樹脂生テープは、落下した際にテープにゴミ等が付着ししまう為、使用不可能になる場合が多く、作業上も非常に不便であった。そこで、落下した際に際限なくテープが巻きだされるのを防止する必要があった。この対策として、コアに巻き出し防止用の細工をすることが考えられるが、四フッ化エチレン樹脂生テープ自体のコストが安価であるため、あまり費用をかけることはできなかった。
【0003】
なお、従来、粘着テープを巻回した粘着テープの積層体を形成するために用いられるコアとしては、特許文献1が知られている。しかし、粘着テープの場合は、作業中に誤って落下させても四フッ化エチレン樹脂生テープのように粘着テープが際限なく巻きだされることはない。なお、現在、四フッ化エチレン樹脂生テープにおいて、テープの巻き出し落下防止用手段を講じた製品は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−17216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明はこうした事情を考慮してなされたもので、落下した際に際限なく巻きだされることを回避しえる、作業性に優れかつ低コストの四フッ化エチレン樹脂生テープの巻きだし落下防止用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のテープの巻き出し防止用治具は、中央部が開口されたコアに巻きつけられて使用されるテープの巻き出し防止用治具において、前記コアの周縁部の一部を該コアの半径方向に沿って巻回するように環状に取り付けられるバンド本体を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、落下した際に際限なく巻きだされることを回避でき、作業性に優れかつ低コストのテープの巻き出し防止用治具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るテープの巻き出し防止用治具の説明図を示す。
【図2】図2は、図1(C)の変形例を示すテープの巻き出し防止用治具の説明図を示す。
【図3】図3は、図1の巻き出し防止用治具の作用を説明するための説明図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係るテープ巻き出し防止用治具の要部の説明図を示す。
【図5】図5は、本発明の実施例3に係るテープ巻き出し防止用治具の説明図を示す。
【図6】図6は、本発明の実施例4に係るテープ巻き出し防止用治具の説明図を示す。
【図7】図7は、本発明の実施例5に係るテープ巻き出し防止用治具の一構成であるコアの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明のテープの巻き出し防止用治具について更に詳しく説明する。
この発明において、前記バンド本体としては例えば弾性体が挙げられる、ここで、弾性体としては、ポリブタジエン系、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体系、クロロプレン系、イソプレン系、クロロプレン系、スチレン系、スチレン・ブタジエン共重合体系、イソブチレン・イソプレン共重合体系、エチレン・プロピレンターポリマー系、ポリクロロプレン系、クロロ・スルフォン化ポリエチレン系、ポリウレタン系、有機ポリサルファイド系、有機ポリシロキサン系、6フッ化プロピレンフッ化ビニリデン共重合体系、アクリル酸エステル共重合体系のいずれかからなるゴム、あるいは天然ゴムとしてのポリイソプレンが挙げられる。
【0010】
この発明において、前記結束手段としては、例えば下記の場合が挙げられる。
(1)バンド本体の両端部を互にオーバーラップさせ又は突合わせ、このオーバーラップ部分又は突合わせ部分をかしめるように配置された筒状のかしめ部材である結束手段。ここで、かしめ部材の材質としては、例えば金属製が挙げられる。また、かしめ部材は1個所に設けても、2個所に設けてもよい。
【0011】
(2)バンド本体の一方の端部に取り付けられた第1の係止具と、バンド本体の他方の端部に取り付けられ,第1の係止具と取り外し自在に係合する第2の係止具とかなる結束手段。ここで、第1の係止具及び第2の係止具の材質としては、金属製又は樹脂製が挙げられる。
(3)バンド本体の一方の端部に取り付けられた第1のマジックバンドと、バンド本体の他方の端部に取り付けられ,第1のマジックバンドと取り外し自在に係合する第2のマジックバンドとからなる結束手段。
(4)接着剤。即ち、同材質のゴム糊。
【0012】
この発明において、コアの半径方向に該コアの開口部分(開口部)に達するスリットが形成され、前記バンド本体がエンドレス状のバンド本体である場合が挙げられる。このケースは、後述する図7の場合が該当する。エンドレス状のバンド本体は、テープをコアに巻回する前に、バンド本体の一部をスリットからコアの開口部に入れることにより、コアの半径方向に沿って巻回するように環状に取り付ける。
【0013】
この発明において、巻き出し防止用治具が弾性体からなるバンド本体と該バンド本体の両端部を係合する結束手段とから構成される場合、前記バンド本体又は結束手段は、テープが位置する部分とその他の部分とをスムーズに移動可能な状態にあることが好ましい。これは、次のような理由による。即ち、テープが位置する部分に金属あるいは樹脂製の結束手段があると、テープに傷が付きやすく、落下時に巻き出し防止効果が得られない。このことから、テープを使用する際はバンド本体がテープの位置する部分にあるように、バンド本体がテープの位置する部分とその他のコア部分(コアの側面等)とを移動できる状態にあることが好ましい。
【0014】
次に、この発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
図1(A)〜(C)を参照する。ここで、図1(A)はこの実施例1に係るテープの巻き出し防止用治具の全体を示す図、図1(B)は図1(A)の正面図、図1(C)は図1(B)の要部(X部)の拡大図をしめす。
【0015】
図中の1は、中央部が開口されたコアを示す。このコア1の芯体1aには、シールテープ2が複数層周方向に沿って積層されている。コア1には、コア1の周縁部の一部を該コア1の半径方向に沿って巻回するように巻き出し防止用治具3が取り付けられている。巻き出し防止用治具3は、弾性体(例えば天然ゴム)からなるバンド本体4と、このバンド本体4の端部4a,4b同士をかしめにより係合してループ状にするループ状のかしめ部材(結束手段)5から構成されている。バンド本体4は、シールテープ2が位置する部分と、その他の部分(コアの側部とコアの芯体の裏側部)とを移動可能な状態にある。従って、シールテープ2を使用するときは、シールテープ2が位置する部分に結束手段5が存在せず、バンド本体4が存在するように移動させる。
【0016】
実施例1のテープの巻き出し防止用治具は、弾性体からなるバンド本体4と、このバンド本体4の端部4a,4b同士をかしめにより係合してループ状にするかしめ部材5から巻き出し防止用治具3が構成されている。従って、シールテープ2を使用するときは、シールテープ2が位置する部分にバンド本体4が存在するようにすることにより、シールテープ2をスムーズに巻き出しすることができる。
【0017】
なお、上記実施例1では、バンド本体の端部同士をオーバーラップするように重ね合わせるように配置して、かしめた場合について述べたが、これに限らない。例えば、図2に示すように、バンド本体4の端部4a,4b同士を突合わせように配置して、かしめ部材5でかしめてもよい。
図3は、実施例1のシールテープ2を巻き出しする際の様子を示す。図3から分かるように、バンド本体4が弾性体であるので、シールテープ2を取り出す際、バンド本体4が伸び、シールテープ2はスムーズに送られる。
【0018】
(実施例2)
図4は、この発明の実施例2に係るテープの巻きだし落下防止用治具の要部を示す。図3は、バンド本体と結束具の結束状態を部分的に示している。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
実施例2では、かしめ部材は、第1のかしめ部材5と、この第1のかしめ部材5と隣接して配置された第2のかしめ部材5とから構成されている。両かしめ部材5,5は、シールテープ2の幅より小さい距離で隣接している。実施例2において、シールテープ2を使用するときは、シールテープ2が位置する部分にバンド本体4が存在するようにすることにより、シールテープ2をスムーズに巻き出しすることができる。
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を有する。
【0019】
(実施例3)
図5は、この発明の実施例3に係るテープの巻きだし落下防止用治具の要部を示す。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
実施例3において、結束手段は、バンド本体4の一方の端部4aに取り付けられた金属製の第1の係止具6と、バンド本体4の他方の端部4bに取り付けられ,第1の係止具6と取り外し自在に係合する金属製の第2の係止具7とから構成されている。実施例3において、シールテープ2を使用するときは、第1・第2の係止具6,7を係合させ、シールテープ2が位置する部分にバンド本体4が存在するようにすることにより、シールテープ2をスムーズに巻き出しすることができる。
実施例3によれば、実施例1と同様な効果を有する。
【0020】
(実施例4)
図6は、この発明の実施例4に係るテープの巻きだし落下防止用治具の要部を示す。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
実施例4において、結束手段は、バンド本体4の一方の端部4aに取り付けられた第1のマジックバンドとしての樹脂製のオス型マジックテープ(登録商標)8と、バンド本体4の他方の端部4bに取り付けられ,オス型マジックテープ8と取り外し自在に係合する第2のマジックバンドとしての樹脂製のメス型マジックテープ9とから構成されている。なお、巻き出し防止用治具3は、コアに対して環状に取り付けて使用されるので、例えばマジックテープ8の裏面側とマジックテープ9の表面側が係合するようになっている。従って、巻き出し防止用治具3を環状にしたとき、内側に位置するマジックテープが滑り性を有していることが必要である。
【0021】
実施例4において、シールテープ2を使用するときは、マジックテープ8,9を係合させ、シールテープ2が位置する部分にバンド本体4が存在するようにすることにより、シールテープ2をスムーズに巻き出しすることができる。
実施例4によれば、実施例1と同様な効果を有する。
【0022】
(実施例5)
図7を参照する。図7は、中央部が開口されたコア1に改良を施したものである。図7中の符番11は、コア1の半径方向に形成されたスリットを示す。ここで、スリット11は、コアの外周縁部から中央部の開口された部分(開口部)12まで達しており、スリット11を経て環状の(エンドレス状の)バンド本体13をコア1に掛止できるようになっている。スリット11の幅は特に限定されず、コア1に切れ目を入れた程度でもよい。こうした構成のコア1にシールテープを巻くときは、予めコア1にバンド本体13を掛止した状態で行う。
実施例5によれば、テープの巻きだし落下防止用治具の一構成であるコア1を成型等により簡単に作ることができるとともに、コア1のスリット11からエンドレス状のバンド本体13をコア1に掛止できるので、実施例1〜4のように結束手段を設ける必要がない。
【0023】
なお、この発明は、上記実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更には、異なる形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。一例を述べれば、前記結束手段は、かしめ部材等の代わりに、バンド本体の端部同士を接着剤,即ち同材質のゴム糊で接合してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…コア、2…シールテープ、3…テープ巻き出し防止用治具、4,13…バンド本体、5,5,5…かしめ部材(締結手段)、6,7…係止具、8,9…マジックテープ、11…スリット、12…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部が開口されたコアに巻きつけられて使用されるテープの巻き出し防止用治具において、
前記コアの周縁部の一部を該コアの半径方向に沿って巻回するように環状に取り付けられるバンド本体を具備することを特徴とするテープの巻き出し防止用治具。
【請求項2】
バンド本体はバンド状の形状をしており、そのバンド本体の端部同士を係合してループ状にする結束手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載のテープの巻き出し防止用治具。
【請求項3】
前記結束手段は、バンド本体の両端部を互にオーバーラップさせ又は突合わせ、このオーバーラップ部分又は突合わせ部分をかしめるように配置された筒状のかしめ部材であることを特徴とする請求項2記載のテープの巻き出し防止用治具。
【請求項4】
前記かしめ部材は、互に近接して配置された第1のかしめ部材及び第2のかしめ部材からなることを特徴とする請求項3記載のテープの巻き出し防止用治具。
【請求項5】
前記結束手段は、バンド本体の一方の端部に取り付けられた第1の係止具と、バンド本体の他方の端部に取り付けられ,第1の係止具と取り外し自在に係合する第2の係止具とかなることを特徴とする請求項2記載のテープの巻き出し防止用治具。
【請求項6】
前記結束手段は、バンド本体の一方の端部に取り付けられた第1のマジックバンドと、バンド本体の他方の端部に取り付けられ,第1のマジックバンドと取り外し自在に係合する第2のマジックバンドとからなることを特徴とする請求項2記載のテープの巻き出し用治具。
【請求項7】
前記結束手段は、接着剤であることを特徴とする請求項2記載のテープの巻き出し防止用治具。
【請求項8】
前記コアの半径方向に該コアの開口部分に達するスリットが形成され、前記バンド本体がエンドレス状のバンド本体であることを特徴とする請求項1記載のテープの巻き出し防止用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96929(P2012−96929A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10322(P2012−10322)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−147185(P2007−147185)の分割
【原出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000211156)中興化成工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】