説明

テープカット装置

【課題】テープ切断時にテープが表裏方向に動きにくいテープカット装置を提供することを課題とする。
【解決手段】テープカット装置1は、所定の切断位置Bにおいて電子部品用のテープ9を切断するカッター311fと、テープ9を切断する際にテープ9の表裏方向の動きを規制する表裏方向規制部61、302と、を備える。テープカット装置1は、表裏方向規制部61、302を備えているため、テープ9を切断する際に、テープ9が表裏方向に動きにくい。したがって、テープ9の切断精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が収容されるテープを切断するテープカット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図35(a)に、テープフィーダの上面図を示す。図35(b)に、テープフィーダの側面図を示す。テープフィーダ100は、電子部品実装機(図略)に取り付けられている。テープフィーダ100は、フィーダ本体101と、テープ102と、リール103と、スプロケット104と、を備えている。
【0003】
リール103は、フィーダ本体101に取り付けられている。テープ102は、リール103に巻装されている。テープ102は、キャリアテープ102aと、表裏一対のカバーテープ102bと、を備えている。キャリアテープ102aには、多数の送り孔102aaと、多数の部品収容部102abと、が穿設されている。多数の送り孔102aaは、所定のピッチごとに、長手方向に並んでいる。多数の部品収容部102abは、所定のピッチごとに、長手方向に並んでいる。表裏一対のカバーテープ102bは、キャリアテープ102aの表面および裏面に貼り付けられている。表裏一対のカバーテープ102bは、多数の部品収容部102abの表裏開口を封止している。多数の部品収容部102abには、各々、電子部品(図略)が封入されている。
【0004】
スプロケット104は、フィーダ本体101に取り付けられている。スプロケット104の外周面には、所定のピッチごとに、送り歯104aが配置されている。送り歯104aは、テープ102の送り孔102aaに、係脱可能である。スプロケット104は、モータ(図略)により回転駆動されている。スプロケット104が回転することにより、テープ102は、リール103から引き出される。フィーダ本体101の先端には、部品供給位置108が設定されている。テープ102の電子部品は、部品供給位置108から、電子部品実装機の吸着ノズル(図略)により、取り出される。取り出された電子部品は、基板に装着される。
【0005】
スプロケット104は、多数の部品収容部102abを、部品供給位置108に、順番に、かつ段階的に到達させる。スプロケット104の単位回転量(つまりテープ102の単位送り量)と、多数の部品収容部102ab間のピッチと、は対応している。
【0006】
テープ102の多数の電子部品が基板に装着されるのに従って、テープ102は徐々に消費されていく。テープ102の残り量が所定量以下になると、使用中のテープ102に新しいテープを繋ぎ合わせる作業、つまりスプライシング作業が実行される。
【0007】
図36(a)に、テープのスプライシング作業の第一段階の模式図を示す。図36(b)に、テープのスプライシング作業の第二段階の模式図を示す。図36(c)に、テープのスプライシング作業の第三段階の模式図を示す。
【0008】
スプライシング作業においては、まず、図36(a)に示すように、作業者が、新しいテープ105の先端105c付近を、ハサミ106により、所定の切断位置105d(理想的には、テープ102の短手方向に延在する所定位置(例えば送り孔105aaの中心を通る直線位置))で、切断する。同様に、作業者が、使用中のテープ102の後端102c付近を、ハサミ106により、所定の切断位置102d(理想的には、テープ102の短手方向に延在する所定位置(例えば送り孔102aaの中心を通る直線位置))で、切断する。
【0009】
次に、図36(b)に示すように、作業者が、新しいテープ105の切断位置105dと、使用中のテープ102の切断位置102dと、を位置合わせする。それから、図36(c)に示すように、作業者が、連結テープ107により、新しいテープ105と、使用中のテープ102と、を連結する。このようにして、スプライシング作業は実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−243757号公報
【特許文献2】特開平6−336362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、スプライシング作業の際、図36(a)に示すように、新しいテープ105の切断位置105dが、切断位置105daのように、長手方向にずれてしまう場合がある。同様に、使用中のテープ102の切断位置102dが、切断位置102daのように、長手方向にずれてしまう場合がある。
【0012】
このような場合、図36(c)に示すように、テープ連結位置(切断位置102d、105d)を境に、多数の送り孔102aaのピッチと、多数の送り孔105aaのピッチと、がずれてしまう。このため、テープ連結位置を境に、多数の部品収容部105abのピッチと、多数の部品収容部102abのピッチと、がずれてしまう。したがって、図35(a)、図35(b)に示すように、スプライシング作業後のテープ102をスプロケット104により引き出す際、テープ連結位置を境に、部品供給位置108に対して、部品収容部102ab(つまり電子部品)がずれてしまう。よって、電子部品実装機の吸着ノズルが、部品供給位置108から電子部品を取り出しにくくなる。
【0013】
また、スプライシング作業の際、図36(a)に示すように、新しいテープ105の切断位置105dが、切断位置105dbのように、短手方向に対して傾斜してしまう場合がある。同様に、使用中のテープ102の切断位置102dが、切断位置102dbのように、短手方向に対して傾斜してしまう場合がある。
【0014】
このような場合、新しいテープ105と使用中のテープ102との連結作業自体が困難になってしまう。また、新しいテープ105と使用中のテープ102とが、「折れ線状」に連結されるおそれがある。
【0015】
このように、スプライシング作業においては、テープ102、105を、理想的な切断位置102d、105dで切断することが、極めて重要である。すなわち、テープ102、105の切断精度を向上させることが、極めて重要である。
【0016】
テープを切断する装置として、特許文献1には、テープの自動接続装置が開示されている。また、特許文献2には、テープ接続用治具が開示されている。特許文献1の自動接続装置、特許文献2のテープ接続用治具を用いると、ハサミ106を用いる場合と比較して、テープの切断精度を向上させることができる。
【0017】
ところが、特許文献1の自動接続装置、特許文献2のテープ接続用治具を用いる場合、テープ切断時に、テープが表裏方向に動いてしまうおそれがある。すなわち、特許文献1の自動接続装置の場合、テープ切断時に、テープが表裏方向から固定されていない。このため、カッターの剪断力などにより、テープ切断時に、テープが表裏方向に動いてしまうおそれがある。また、特許文献2のテープ接続用治具の場合、同文献の図4に示すように、テープ切断時に、安全カバーがテープを表側から覆っている。しかしながら、同文献には、「安全カバーがテープの表裏方向の動きを規制すること」に関する記載はない。このため、カッターの押圧力などにより、テープ切断時に、テープが表裏方向に動いてしまうおそれがある。
【0018】
また、図35(b)に示すように、テープ102はリール103に巻装されている。このため、リール103から引き出されたテープ102には、「巻き癖」がついている。当該「巻き癖」により、テープ102切断時に、テープ102は、より一層、表裏方向に動きやすくなる。この点、特許文献2のテープ接続用治具の場合、同文献の図1に示すように、安全カバーは所定の揺動半径で揺動可能である。このため、垂線(上下方向線)に対して斜め方向から、弧状の軌道を描きながら、安全カバーがテープに近接する。したがって、安全カバーの揺動半径の径方向外側に、テープが逃げやすくなる。よって、テープの切断精度が低下してしまう。
【0019】
また、特許文献2のテープ接続用治具の場合、同文献の図4に示すように、カッターの真下には、刃先受板が配置されている。このため、テープ切断時の最終段階においては、カッターと刃先受板との間で、テープを押しつぶすことになる。したがって、テープの切断面に凹凸が発生しやすい。つまり、テープの切断精度が低下してしまう。
【0020】
本発明のテープカット装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、テープ切断時にテープが表裏方向に動きにくいテープカット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(1)上記課題を解決するため、本発明のテープカット装置は、所定の切断位置において電子部品用のテープを切断するカッターと、該テープを切断する際に該テープの表裏方向の動きを規制する表裏方向規制部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明のテープカット装置は、表裏方向規制部を備えている。このため、テープを切断する際に、テープが表裏方向に動きにくい。したがって、テープの切断精度を向上させることができる。
【0023】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記テープを切断した後の前記カッターが進入するカッター挿入孔を備える構成とする方がよい。本構成によると、テープの被切断位置全体が、剪断により切断される。このため、特許文献2のテープ接続用治具のように、テープが押しつぶされるおそれが小さい。したがって、テープの切断精度を向上させることができる。
【0024】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記テープを案内するガイド溝を表面に有するベースを備え、前記表裏方向規制部は、該テープを切断する際に該テープを表側から押さえることにより、該ガイド溝の溝底面との間で該テープを表裏方向から挟持する押さえ部材である構成とする方がよい。
【0025】
本構成によると、テープ切断時に、テープの表面が押さえ部材により押圧される。並びに、テープの裏面がガイド溝の溝底面により押圧される。このため、テープが表裏方向に動きにくい。
【0026】
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、前記テープの表面に対して垂直方向から、前記押さえ部材が該テープに当接する構成とする方がよい。本構成によると、押さえ部材からテープに、テープの短手方向の荷重が作用しにくい。このため、特許文献2のテープ接続用治具のように、テープが短手方向に逃げるおそれが小さい。したがって、テープの切断精度を向上させることができる。
【0027】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記テープを切断する際に該テープの短手方向の動きを規制する短手方向規制部を備える構成とする方がよい。本構成によると、テープを切断する際に、テープが、表裏方向のみならず、短手方向にも動きにくい。したがって、テープの切断精度を向上させることができる。
【0028】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記テープは、長手方向に沿って所定のピッチごとに配置される複数の送り孔を有し、前記短手方向規制部は、該テープを切断する際に該テープの該送り孔に係合する複数の送り歯を有するスプロケットと、該テープを切断する際に該送り歯が係合する該送り孔以外の該送り孔に係合する位置決めピンと、を有する構成とする方がよい。
【0029】
本構成によると、テープ切断時に、任意の送り孔にスプロケットの送り歯が係合している。並びに、他の送り孔に位置決めピンが係合している。このため、テープ切断時に、テープの長手方向の少なくとも二箇所において、テープを固定することができる。このため、テープを切断する際に、テープが短手方向に動きにくい。
【0030】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、操作者により操作される操作部と、該操作部に連動し、所定の送り量だけ前記テープを下流側に送るテープ送り部と、を備え、前記切断位置に対して上流側に設定される基準位置と、該切断位置と、の間の距離は、該送り量の整数倍に設定される構成とする方がよい。
【0031】
本構成によると、操作者が操作部を手動で動かすことにより、テープを送り、テープを切断することができる。このため、電気の供給がない場合であっても、精度よくテープを切断することができる。
【0032】
また、本構成によると、基準位置と切断位置との間の距離が、送り量の整数倍に設定されている。このため、基準位置にテープの被切断位置(切断対象位置)を合わせ、操作部を動かすことにより、簡単かつ高精度に、テープの被切断位置を切断位置に揃えることができる。
【0033】
(5−1)好ましくは、上記(5)の構成において、前記切断位置は、外部から視認できない位置に配置される構成とする方がよい。本構成によると、切断位置を視認できないにもかかわらず、簡単かつ高精度に、テープの被切断位置を切断位置に揃えることができる。
【0034】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記テープは、長手方向に沿って所定のピッチごとに配置される複数の送り孔を有し、前記テープ送り部は、前記操作部に連動して回転し複数の規制歯を有する歯車と、該規制歯に係脱可能であって該テープを上流側から下流側に送る方向に該歯車の回転方向を規制する歯止め部材と、を有するラチェット部と、該歯車に連動して回転し、該テープの該送り孔に係合する複数の送り歯を有するスプロケットと、を有し、前記送り量は、複数の該規制歯のピッチの整数倍に設定される構成とする方がよい。
【0035】
テープ送り部は、ラチェット部とスプロケットとを有している。ラチェット部は、歯車と歯止め部材とを有している。歯車は、複数の規制歯を有している。送り量は、複数の規制歯のピッチの整数倍に設定されている。本構成によると、確実にテープの被切断位置を切断位置に揃えることができる。
【0036】
また、歯止め部材は、歯車の順方向(テープを上流側から下流側に送る方向)の回転を許容している。その反面、歯止め部材は、歯車の逆方向(テープを下流側から上流側に送る方向)の回転を禁止している。このため、テープが逆方向に送られるおそれが小さい。
【0037】
(6−1)好ましくは、上記(6)の構成において、前記基準位置に対して上流側に配置される挿入位置と、該基準位置と、の間の距離は、前記送り量の整数倍に設定され、該挿入位置から該基準位置まで前記テープは前記操作者により送られ、前記テープ送り部は、該操作者に、該送り量だけ該テープが送られたことを、前記ラチェット部の前記歯止め部材が前記歯車の前記規制歯を乗り越える際に該操作者が受ける、反力の変化により伝達可能である構成とする方がよい。
【0038】
本構成によると、上流側から下流側に向かって、挿入位置と基準位置と切断位置とが並んでいる。挿入位置から基準位置までの間、テープは、操作者自らの力により送られる。ここで、挿入位置と基準位置との間の距離は、送り量の整数倍に設定されている。また、テープ送り部は、操作者に、単位送り量だけテープが送られたことを、歯止め部材が規制歯を乗り越える際の反力の変化により、伝達することができる。このため、操作者は、反力変化を感じた回数を基に、テープが基準位置に到達したことを、認識することができる。
【0039】
例えば、挿入位置と基準位置との間の距離が送り量の3倍に設定されている場合、操作者は、反力変化を3回感じることにより、テープが基準位置に到達したことを、認識することができる。
【0040】
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記テープを案内するガイド溝を表面に有するベースと、該ベースの表側に配置され前記カッターを収容する収容部を有するカッターユニットと、該カッターの動きを規制可能なストッパ部と、を備え、該ベースに対して該カッターユニットが閉じられる閉モードと、該ベースに対して該カッターユニットが開かれる開モードと、に切替可能であり、該閉モードにおいては、該ストッパ部が該カッターの動きを許容することにより、該カッターが該収容部から突出可能であり、該開モードにおいては、該ストッパ部が該カッターの動きを規制することにより、該カッターが該収容部から突出不可能である構成とする方がよい。
【0041】
閉モードは、テープ切断時に用いられる。一方、開モードは、切断したテープを取り除く際、カッターを交換する際、メンテナンスの際などに用いられる。本構成によると、閉モードにおいては、カッターが収容部から突出可能である。このため、テープを切断することができる。一方、開モードにおいては、カッターが収容部から突出不可能である。このため、安全性が高い。
【発明の効果】
【0042】
本発明によると、テープ切断時にテープが表裏方向に動きにくいテープカット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のテープカット装置の一実施形態であるテープカット装置の右前から見た斜視図である。
【図2】同テープカット装置の右後から見た斜視図である。
【図3】同テープカット装置の前面図である。
【図4】同テープカット装置の透過右面図である。
【図5】同テープカット装置のカッターユニットの斜視図である。
【図6】同カッターユニットの分解斜視図である。
【図7】同カッターユニットの操作部の分解斜視図である。
【図8】同テープカット装置のベースおよびテープ押さえ部の斜視図である。
【図9】同テープカット装置のテープ押さえ部の分解斜視図である。
【図10】同テープカット装置のベースの斜視図である。
【図11】同ベースの透過斜視図である。
【図12】同テープカット装置のテープ送り部および歯止め部材解除部の斜視図である。
【図13】同テープ送り部および歯止め部材解除部の分解斜視図である。
【図14】同テープ送り部の回転規制部材付近の分解斜視図である。
【図15】同テープ送り部の共用回転軸付近の分解斜視図である。
【図16】テープ切断方法のタイミングチャートである。
【図17】同テープカット装置の、テープ切断方法の挿入工程の第一段階における透過右面図である。
【図18】図3の枠XVIII内の、同挿入工程の第一段階における拡大断面図である。
【図19】同テープカット装置の、テープ切断方法の挿入工程の第二段階における透過右面図である。
【図20】同テープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第一段階における透過右面図である。
【図21】同テープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第二段階における透過右面図である。
【図22】図21の枠XXII内の拡大図である。
【図23】同テープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第三段階における透過右面図である。
【図24】図23の枠XXIV内の拡大図である。
【図25】同テープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第四段階における透過右面図である。
【図26】図25の枠XXVI内の拡大図である。
【図27】同テープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第五段階における透過右面図である。
【図28】図27の枠XXVIII内の拡大図である。
【図29】同テープカット装置の、テープ切断方法の復動工程の第一段階における透過右面図である。
【図30】同テープカット装置の、テープ切断方法の復動工程の第二段階における透過右面図である。
【図31】同テープカット装置の、テープ切断方法の取出工程の第一段階における透過右面図である。
【図32】同テープカット装置の、テープ切断方法の取出工程の第二段階における透過右面図である。
【図33】同テープカット装置の閉モードにおける前方から見た部分断面図である。
【図34】同テープカット装置の開モードにおける前方から見た部分断面図である。
【図35】(a)はテープフィーダの上面図である。(b)はテープフィーダの側面図である。
【図36】(a)はテープのスプライシング作業の第一段階の模式図である。(b)は同スプライシング作業の第二段階の模式図である。(c)は同スプライシング作業の第三段階の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明のテープカット装置の実施の形態について説明する。
【0045】
<テープカット装置の構成>
まず、本実施形態のテープカット装置の構成について説明する。図1に、本実施形態のテープカット装置の右前から見た斜視図を示す。図2に、同テープカット装置の右後から見た斜視図を示す。図3に、同テープカット装置の前面図を示す。図4に、同テープカット装置の透過右面図を示す。なお、図1、図2においては、カバーテープ91を透過して示す。また、図4においては、操作レバー310を省略して示す。
【0046】
図1〜図4に示すように、テープカット装置1は、ベース2と、カッターユニット3と、テープ送り部4と、歯止め部材解除部5と、テープ押さえ部6と、ストッパ部(図略)と、を備えている。
【0047】
[カッターユニット3]
図5に、本実施形態のテープカット装置のカッターユニットの斜視図を示す。図6に、同カッターユニットの分解斜視図を示す。図7に、同カッターユニットの操作部の分解斜視図を示す。図5〜図7に示すように、カッターユニット3は、開閉部30と操作部31とを備えている。
【0048】
(開閉部30)
開閉部30は、本体300と、カバー301と、下流側押さえ部材302と、揺動軸303と、スプリング304と、を備えている。下流側押さえ部材302は、本発明の「押さえ部材」の概念に含まれる。
【0049】
本体300は、直方体状を呈している。本体300は、後述するベース2の上方に配置されている。本体300は、後述する揺動軸21を介して、ベース2に対して揺動可能(開閉可能)である。図6に示すように、本体300は、収容部300aと、ストッパ本体収容部300bと、操作レバー取付部300cと、を備えている。収容部300aは、前方(テープ9の送り方向における上流側)に開口している。収容部300aは、本体300を上下方向に貫通している。ストッパ本体収容部300bは、収容部300aの右側(本体300の揺動半径の径方向外側)に配置されている。ストッパ本体収容部300bは、収容部300aに連なっている。操作レバー取付部300cは、本体300の左上隅に配置されている。操作レバー取付部300cは、収容部300aの左側(本体300の揺動半径の径方向内側)に配置されている。
【0050】
カバー301は、平板状を呈している。カバー301は、収容部300aを前方から封止している。カバー301の下縁には、窓部301aと被係合部301bとが、切り欠き状に凹設されている。図5に示すように、被係合部301bには、後述するテープ送りプッシャ311bの下端部が係合している。
【0051】
図6に示すように、下流側押さえ部材302は、短冊状を呈している。下流側押さえ部材302は、収容部300aの下端開口に、上下方向に移動可能に配置されている。また、下流側押さえ部材302は、スプリング(図略)により、上方に付勢されている。下流側押さえ部材302は、収容部300aの下端開口を、左右方向に横切っている。
【0052】
下流側押さえ部材302は、位置決めピン挿通孔302aとプッシャ挿通スリット302bとを備えている。位置決めピン挿通孔302aは、下流側押さえ部材302を上下方向に貫通している。プッシャ挿通スリット302bは、下流側押さえ部材302の前縁に、切り欠き状に凹設されている。プッシャ挿通スリット302bは、位置決めピン挿通孔302aの右側に配置されている。
【0053】
揺動軸303は、操作レバー取付部300cに配置されている。揺動軸303は、操作レバー取付部300cを前後方向に貫通している。スプリング304は、揺動軸303に環装されている。スプリング304の一端は、操作レバー取付部300cの底面300caに当接している。スプリング304の他端は、後述する操作部31の操作レバー310に当接している。
【0054】
(操作部31)
操作部31は、操作レバー310とスライダ311とを備えている。操作レバー310は、本体310aとスライド軸310bとを備えている。本体310aは、左右方向に延在する棒状を呈している。本体310aの横断面形状は、下方に開口するC字状を呈している。本体310aの左端は、揺動軸303を介して、操作レバー取付部300cに取り付けられている。本体310aつまり操作レバー310は、揺動軸303を中心に揺動可能である。スプリング304により、操作レバー310は、操作レバー取付部300cに対して、上方に付勢されている。スライド軸310bは、本体310aの左右方向中間部に配置されている。スライド軸310bは、本体310aの前後壁間に架設されている。
【0055】
図7に示すように、スライダ311は、本体311aと、テープ送りプッシャ311bと、テープ押さえプッシャ311cと、スプリング311dと、位置決めピン311eと、カッター311fと、を備えている。
【0056】
本体311aは、上下方向に延在する直方体状を呈している。図4に示すように、本体311aつまりスライダ311は、収容部300a内を上下方向にスライド可能である。本体311aの上端付近には、長孔311aaが配置されている。長孔311aaは、左右方向に延在する長円状を呈している。長孔311aaは、本体311aを前後方向に貫通している。スライド軸310bは、長孔311aaに挿通されている。スライド軸310bに対して、長孔311aaつまり本体311aは、左右方向にスライド可能である。また、スライド軸310bに対して、長孔311aaつまり本体311aは、揺動可能である。
【0057】
テープ送りプッシャ311bは、本体311aの右面下部に取り付けられている。テープ送りプッシャ311bは、上下方向に延在する細板状を呈している。テープ送りプッシャ311bは、プッシャ挿通スリット302bに挿通されている。テープ送りプッシャ311bの下端部は、カバー301の被係合部301bに係合している。
【0058】
スプリング311dは、本体311aの下面に埋設されている。テープ押さえプッシャ311cは、上下方向に延在する丸棒状を呈している。テープ押さえプッシャ311cは、スプリング311dの下方に配置されている。スプリング311dが弾性変形することにより、テープ押さえプッシャ311cは、上下方向に移動可能である。位置決めピン311eは、上下方向に延在する針状を呈している。位置決めピン311eは、本体311aの下面から突設されている。
【0059】
カッター311fは、本体311aの後面下部に取り付けられている。カッター311fの下縁には、刃が形成されている。図4に示すように、カッター311fの下縁(刃)は、本体311aの下面よりも、下方に突出している。
【0060】
以上まとめると、図3に示すように、開閉部30つまりカッターユニット3は、揺動軸21を介して、ベース2に対して揺動可能である。操作部31の操作レバー310は、揺動軸303を介して、開閉部30に対して揺動可能である。操作部31のスライダ311は、スライド軸310bを介して、操作レバー310に対して揺動可能である。また、スライダ311は、スライド軸310bを介して、操作レバー310に対して左右方向にスライド可能である。また、図3、図4に示すように、操作レバー310を揺動させることにより、スライダ311は、収容部300a内を上下方向にスライド可能である。
【0061】
[ストッパ部8]
図6に示すように、ストッパ部8は、ストッパ本体80とスプリング81と揺動軸82とを備えている。ストッパ部8は、開閉部30の本体300に内蔵されている。ストッパ本体80は、ストッパ本体収容部300bに収容されている。ストッパ本体80の左上隅には、係合部80aが配置されている。揺動軸82は、ストッパ本体収容部300bの前後両壁間に架設されている。ストッパ本体80は、揺動軸82を中心に、揺動可能である。スプリング81は、ストッパ本体収容部300bの上壁に埋設されている。スプリング81は、ストッパ本体80を、係合部80aが収容部300a内に突出する方向に、付勢している。
【0062】
ただし、図3に示すように、ベース2にカッターユニット3が当接している閉モードにおいては、ストッパ本体80の下端部がベース2の本体20の上面に当接している。このため、係合部80aが収容部300a内に突出していない。なお、ストッパ部8の動きについては、後で詳しく説明する。
【0063】
[テープ押さえ部6]
図8に、本実施形態のテープカット装置のベースおよびテープ押さえ部の斜視図を示す。図9に、同テープカット装置のテープ押さえ部の分解斜視図を示す。図10に、同テープカット装置のベースの斜視図を示す。図11に、同ベースの透過斜視図を示す。なお、図8、図10においては、カバーテープ91を透過して示す。
【0064】
図8、図9に示すように、テープ押さえ部6は、プレート60と、上流側押さえ部材61と、一対のスプリング62と、一対のスペーサ63と、一対のスクリュー64と、を備えている、上流側押さえ部材61は、本発明の「押さえ部材」の概念に含まれる。
【0065】
プレート60は、平板状を呈している。プレート60は、後述するベース2の本体20の上面に配置されている。プレート60は、突起挿入孔600と、刻線Aと、切欠部601と、一対のスクリュー取付孔602と、を備えている。刻線Aは、本発明の「基準位置」に対応する。切欠部601は、プレート60の後縁に凹設されている。刻線Aは、プレート60の上面前部に刻設されている。刻線Aは、切欠部601の側面まで延在している。突起挿入孔600は、前後方向に延在する長孔状を呈している。突起挿入孔600は、プレート60を上下方向に貫通している。一対のスクリュー取付孔602は、突起挿入孔600の左右両側に配置されている。一対のスクリュー取付孔602は、プレート60を上下方向に貫通している。
【0066】
上流側押さえ部材61は、本体610と突起611とを備えている。本体610は、平板状を呈している。本体610は、プレート60の上方に配置されている。本体610は、一対のスペーサ挿通孔610aを備えている。一対のスペーサ挿通孔610aは、後述する突起611の左右両側に配置されている。一対のスペーサ挿通孔610aは、本体610を上下方向に貫通している。突起611は、前後方向に延在する直方体状を呈している。突起611は、本体610の下面から突設されている。突起611は、プレート60の突起挿入孔600に挿入されている。
【0067】
スペーサ63は、スペーサ挿通孔610aに、上方から挿通されている。スペーサ63の下端は、プレート60の上面に当接している。スプリング62は、スペーサ63に環装されている。スプリング62は、スペーサ63の頭部と本体610との間に介在している。スクリュー64は、スクリュー取付孔602に、下方から挿通されている。スクリュー64は、スペーサ63の下端に螺着されている。スクリュー64の頭部は、スクリュー取付孔602に収容されている。「スペーサ63−スプリング62−スクリュー64」のセットは、突起611の左右両側に配置されている。本体610つまり突起611は、スプリング62が弾性変形することにより、上下方向に移動可能である。
【0068】
[ベース2]
ベース2は、本体20と揺動軸21とを備えている。本体20は、直方体ブロック状を呈している。図11に示すように、本体20は、第一収容部200と、開閉部取付部201と、送り歯突出孔202と、カッター挿入孔203と、プッシャ挿入孔204と、ガイド溝205と、第二収容部206と、仕切壁207と、係脱レバー突出孔208と、を備えている。
【0069】
開閉部取付部201は、本体20の上面左端に配置されている。開閉部取付部201には、前後方向に延在する揺動軸21を介して、開閉部30が取り付けられている。ガイド溝205は、本体の上面に凹設されている。ガイド溝205は、前後方向に延在している。ガイド溝205の前端には、導入部205aが配置されている。導入部205aの溝幅は、後方から前方に向かって広くなるように設定されている。図1に示すように、ガイド溝205の前部は、プレート60により上方から覆われている。ガイド溝205の後部は、開閉部30により上方から覆われている。
【0070】
ガイド溝205には、テープ9が案内される。図10に示すように、テープ9は、キャリアテープ90と一対のカバーテープ91とを備えている。キャリアテープ90には、多数の送り孔900と、多数の部品収容部901と、が穿設されている。多数の送り孔900は、所定のピッチごとに、長手方向に並んでいる。多数の部品収容部901は、所定のピッチごとに、長手方向に並んでいる。一対のカバーテープ91は、キャリアテープ90の上面および下面に貼り付けられている。一対のカバーテープ91は、多数の部品収容部901の上下開口を封止している。
【0071】
送り歯突出孔202は、前後方向に延在するスリット状を呈している。送り歯突出孔202は、ガイド溝205の溝底面に開設されている。送り歯突出孔202からは、後述するスプロケット41の送り歯410が、ガイド溝205の溝内部に突出可能である。
【0072】
カッター挿入孔203は、本体の上面に開設されている。カッター挿入孔203は、ガイド溝205を左右方向に横切っている。図4に示すように、カッター311fは、カッター挿入孔203に、上方から進入可能である。
【0073】
プッシャ挿入孔204は、本体の上面に開設されている。プッシャ挿入孔204は、ガイド溝205の右側に配置されている。図6に示すテープ送りプッシャ311bの下端部は、図11に示すように、プッシャ挿入孔204を介して、後述する第一収容部200の内部に、上方から進入している。
【0074】
係脱レバー突出孔208は、本体の上面に開設されている。係脱レバー突出孔208は、ガイド溝205の右側に配置されている。係脱レバー突出孔208からは、後述する係脱レバー50の上端部が突出している。
【0075】
図11に示すように、第一収容部200および第二収容部206は、本体20の内部に配置されている。第一収容部200と第二収容部206とは、仕切壁207を介して、左右方向に並んでいる。後述するように、第一収容部200には、テープ送り部4のラチェット部40、リンク部材42、回転規制部材43、歯止め部材解除部5が収容されている。第二収容部206には、テープ送り部4のスプロケット41が収容されている。テープ送り部4の共用回転軸49は、仕切壁207に支持されている。第一収容部200には、回転規制部材取付壁200aと第一歯止め部材取付壁(図略)とが配置されている。
【0076】
[テープ送り部4]
図12に、本実施形態のテープカット装置のテープ送り部および歯止め部材解除部の斜視図を示す。図13に、同テープ送り部および歯止め部材解除部の分解斜視図を示す。図14に、同テープ送り部の回転規制部材付近の分解斜視図を示す。図15に、同テープ送り部の共用回転軸付近の分解斜視図を示す。
【0077】
図12〜図15に示すように、テープ送り部4は、ラチェット部40と、スプロケット41と、リンク部材42と、回転規制部材43と、共用回転軸49と、を備えている。共用回転軸49は、左右方向に延在している。共用回転軸49は、仕切壁207を貫通している。
【0078】
以下、共用回転軸49の回転方向のうち、テープ9を前方(上流側)から後方(下流側)に送る方向を、「順方向(上→後→下→前と回る方向)」という。反対に、テープ9を後方から前方に送る方向を、「逆方向(上→前→下→後と回る方向)」という。
【0079】
図11に示すように、スプロケット41は、第二収容部206に収容されている。スプロケット41は、共用回転軸49の左端に固定されている。スプロケット41の外周面には、所定のピッチごとに、送り歯410が配置されている。スプロケット41の上縁付近の送り歯410は、送り歯突出孔202からガイド溝205の溝内部に進入している。図4に示すように、送り歯410は、ガイド溝205の溝内部において、テープ9の送り孔900に係合している。このため、スプロケット41を回転させると、テープ9がガイド溝205を移動する。反対に、テープ9を動かすと、スプロケット41が回転する。
【0080】
図11に示すように、リンク部材42は、第一収容部200に収容されている。リンク部材42は、従動ピン420と、被係合部421と、第二歯止め部材支持ピン422と、本体423と、を備えている。
【0081】
本体423は、共用回転軸49に取り付けられている。本体423は、共用回転軸49に固定されていない。このため、本体423つまりリンク部材42は、共用回転軸49に対して、回転可能である。また、本体423には、スプリング42aが取り付けられている。図12に示す中立位置に対して、リンク部材42を順方向あるいは逆方向に回転させると、リンク部材42には、中立位置に戻る付勢力が発生する。
【0082】
従動ピン420は、本体423の左面上部から、左方に向かって突設されている。被係合部421は、本体423の上部後方に配置されている。図13にハッチングで示すように、被係合部421には、後述する回転規制部材43の係合部431が係合している。このため、被係合部421の順方向の回転は規制されている。第二歯止め部材支持ピン422は、本体423の右面下部から、右方に向かって突設されている。
【0083】
図11に示すように、ラチェット部40は、第一収容部200に収容されている。ラチェット部40は、歯車400と、第一歯止め部材401と、第二歯止め部材402と、スプリング401bと、スプリング402bと、を備えている。第一歯止め部材401、第二歯止め部材402は、本発明の「歯止め部材」の概念に含まれる。
【0084】
歯車400は、共用回転軸49の右端に固定されている。歯車400は、共用回転軸49を介して、スプロケット41に連結されている。歯車400とスプロケット41とは、一体的に回転する。歯車400の外周面には、所定のピッチごとに、規制歯400aが配置されている。
【0085】
図15に示すように、第一収容部200の第一歯止め部材取付壁200bの右面からは、第一歯止め部材支持ピン200baが突設されている。第一歯止め部材401は、第一歯止め部材支持ピン200baに、回転可能に取り付けられている。第一歯止め部材401の右面からは、解除用ピン401aが突設されている。スプリング401bは、第一歯止め部材支持ピン200baと第一歯止め部材401との間に介装されている。スプリング401bの付勢力により、第一歯止め部材401は、歯車400の規制歯400aに噛合している。
【0086】
第一歯止め部材401は、ベース2に対する歯車400の回転方向を規制している。すなわち、第一歯止め部材401は、歯車400の順方向の回転を許容している。一方、第一歯止め部材401は、歯車400の逆方向の回転を禁止している。
【0087】
第二歯止め部材402は、リンク部材42の第二歯止め部材支持ピン422に、回転可能に取り付けられている。第二歯止め部材402の右面からは、解除用ピン402aが突設されている。スプリング402bは、第二歯止め部材支持ピン422と第二歯止め部材402との間に介装されている。スプリング402bの付勢力により、第二歯止め部材402は、歯車400の規制歯400aに噛合している。
【0088】
第二歯止め部材402は、リンク部材42に対する歯車400の回転方向を規制している。すなわち、第二歯止め部材402は、歯車400の順方向の回転を許容している。一方、第二歯止め部材401は、歯車400の逆方向の回転を禁止している。
【0089】
図14に示すように、第一収容部200の回転規制部材取付壁200aには、揺動軸200aaが挿通されている。回転規制部材43は、従動ピン430と、係合部431と、本体433と、を備えている。本体433は、揺動軸200aaに取り付けられている。従動ピン430は、本体433の左面上部から、左方に向かって突設されている。係合部431は、本体433の上部前方に配置されている。図13にハッチングで示すように、係合部431は、被係合部421に係合している。本体433には、スプリング43aが当接している。係合部431は、スプリング43aにより、前方(被係合部421に係合する方向)に付勢されている。
【0090】
[歯止め部材解除部5]
歯止め部材解除部5は、係脱レバー50とスプリング51とブラケット52と一対のボルト53と一対のワッシャリング54とを備えている。ブラケット52は、平板状を呈している。ブラケット52は、一対のボルト53および一対のワッシャリング54を介して、回転規制部材取付壁200aの右面に固定されている。
【0091】
係脱レバー50は、前方に向かって膨出するC字棒状を呈している。係脱レバー50の下端は、第一歯止め部材支持ピン200baに、回転可能に取り付けられている。図11に示すように、係脱レバー50の上端は、係脱レバー突出孔208から上方に突出している。係脱レバー50の前縁は、第一歯止め部材401の解除用ピン401a、および第二歯止め部材402の解除用ピン402aに、当接している。このため、係脱レバー50を前方に揺動させると、解除用ピン401aおよび解除用ピン402aを介して、第一歯止め部材401および第二歯止め部材402を揺動させることができる。
【0092】
スプリング51は、ブラケット52と係脱レバー50との間に介装されている。図12に示す中立位置に対して、係脱レバー50を前方に揺動させると、係脱レバー50には、後方に戻る付勢力が発生する。
【0093】
<テープ切断方法>
次に、本実施形態のテープカット装置を用いて行うテープ切断方法について説明する。図16に、テープ切断方法のタイミングチャートを示す。図16に示すように、テープ切断方法は、挿入工程と、往動工程と、復動工程と、取出工程と、を備えている。
【0094】
[挿入工程]
図16に示すように、本工程においては、操作者がテープ9を基準位置まで移動させる。ここで、テープ9の「挿入位置」とは、後述する図17に示すように、テープ9の先端の送り孔900がスプロケット41の送り歯410に当接する位置をいう。スプロケット41の「挿入端」とは、挿入位置におけるスプロケット41の角度をいう。歯車400の「挿入端」とは、挿入位置における歯車400の角度をいう。図16に示すように、テープ9を移動させると、テープ9の移動に伴って、スプロケット41および歯車400が回転する。以下、本工程の内容を具体的に説明する。
【0095】
(第一段階)
図17に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の挿入工程の第一段階における透過右面図を示す。なお、図17は、図4に対応している。図18に、図3の枠XVIII内の、同挿入工程の第一段階における拡大断面図を示す。
【0096】
図17、図18に示すように、本工程の第一段階においては、操作者(図略)が、テープ9をベース2のガイド溝205に挿入する。具体的には、図1に示すように、操作者が、プレート60とベース2との隙間から、ガイド溝205の導入部205aに、テープ9を挿入する。ここで、導入部205aの溝幅は、ガイド溝205の導入部205a以外の部分よりも、広く設定されている。このため、操作者は、簡単にテープ9を挿入することができる。
【0097】
図17、図18に示すように、挿入されたテープ9は、テープ押さえ部6の上流側押さえ部材61の下方に潜り込む。このため、上流側押さえ部材61は、スプリング62を圧縮しながら、上方に移動する。したがって、テープ9には、上方から、上流側押さえ部材61を介して、スプリング62の付勢力が作用する。すなわち、テープ9は、上流側押さえ部材61の下面とガイド溝205の溝底面とにより、上下方向から挟持される。よって、テープに「巻き癖」(図35(b)参照)がついている場合であっても、当該「巻き癖」を矯正することができる。
【0098】
(第二段階)
図19に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の挿入工程の第二段階における透過右面図を示す。なお、図19は、図4に対応している。図19に示すように、本工程の第二段階においては、操作者が、テープ9の被切断位置C(仮想線)と、プレート60の刻線A(基準位置)と、が揃うまで、前方から後方に向かって、テープ9を移動させる。
【0099】
移動の際、テープ9は、送り歯突出孔202の上方を通過する。このため、テープ9の送り孔900に、スプロケット41の送り歯410が係合する。したがって、テープ9の移動に伴って、スプロケット41が順方向に回転する。スプロケット41と歯車400とは、共用回転軸49を介して、連結されている。このため、スプロケット41が順方向に回転すると、歯車400も順方向に回転する。
【0100】
なお、第一歯止め部材401および第二歯止め部材402は、歯車400の順方向の回転を許容している。このため、スプロケット41および歯車400の回転が、第一歯止め部材401および第二歯止め部材402により、禁止されることはない。
【0101】
また、誤って、被切断位置Cが刻線Aを過ぎるまでテープ9を送ってしまった場合は、歯止め部材解除部5を操作することにより、テープ9を、下流側から上流側に戻すことができる(後述する取出工程参照)。
【0102】
[往動工程]
図16に示すように、本工程においては、操作者が操作レバー310を押し下げることにより、まず、テープ9の被切断位置Cを、基準位置Aから切断位置B(カッター311fの真下の位置)まで移動させる。次に、テープ9をテープ押さえプッシャ311cで押さえつける。並びに、テープ9の送り孔900に位置決めピン311eを挿入する。つまり、テープ9を、上下方向(表裏方向)および左右方向(短手方向)から固定する。それから、テープ9の被切断位置Cを、カッター311fにより、切断する。以下、本工程の内容を具体的に説明する。
【0103】
(第一段階)
図20に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第一段階における透過右面図を示す。なお、図20は、図4に対応している。図1に示すように、本工程においては、操作者が、操作部31の操作レバー310を、上方から下方に向かって押し下げる。操作レバー310は、揺動軸303を中心に、揺動する。このため、図20に示すように、スライダ311が収容部300a内を下方にスライドする。
【0104】
この際、図5に示すように、スライダ311のテープ送りプッシャ311bは、カバー301の被係合部301bから外れる。また、図6に示すように、テープ送りプッシャ311bは、下流側押さえ部材302のプッシャ挿通スリット302b内を下方にスライドする。また、図11に示すように、テープ送りプッシャ311bは、本体20のプッシャ挿入孔204内を下方にスライドする。そして、テープ送りプッシャ311bは、本体20の第一収容部200を下方に移動する。
【0105】
ここで、スライダ311のテープ送りプッシャ311bの下端部は、回転規制部材43の従動ピン430の前端に当接している。また、従動ピン430は、回転規制部材43の揺動軸200aaよりも、後方に配置されている。このため、スライダ311が下方にスライドすると、テープ送りプッシャ311bの下端部により、従動ピン430が後方に押しのけられる。すなわち、回転規制部材43が、スプリング43a(図12参照)の付勢力に抗して、揺動軸200aaを中心に揺動する。よって、回転規制部材43の係合部431が、リンク部材42の被係合部421から、外れる。
【0106】
また、スライダ311のテープ送りプッシャ311bの下端部は、リンク部材42の従動ピン420の上端に当接している。また、従動ピン420は、共用回転軸49よりも、後方に配置されている。このため、スライダ311が下方にスライドすると、テープ送りプッシャ311bの下端部により、従動ピン420が下方に押し下げられる。すなわち、リンク部材42が、スプリング42a(図12参照)の付勢力に抗して、共用回転軸49を中心に、順方向に揺動する。ここで、回転規制部材43の係合部431は、既に、リンク部材42の被係合部421から、外れている。このため、リンク部材42の揺動が、回転規制部材43に規制されることはない。
【0107】
(第二段階)
図21に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第二段階における透過右面図を示す。なお、図21は、図4に対応している。操作者が、操作部31の操作レバー310をさらに押し下げると、スライダ311はさらに下方にスライドする。このため、図21に示すように、リンク部材42が順方向に揺動する。
【0108】
ここで、第二歯止め部材402は、歯車400の逆方向の回転を禁止している。このため、歯車400は、リンク部材42に対して、相対的に逆方向に回転することができない。したがって、リンク部材42と共に歯車400も順方向に回転する。なお、この場合、歯車400は、第一歯止め部材401に対して、順方向に回転する。このため、歯車400の回転は、第一歯止め部材401に許容される。
【0109】
歯車400とスプロケット41とは、共用回転軸49を介して、連結されている。このため、歯車400が順方向に回転すると、スプロケット41も順方向に回転する。スプロケット41の送り歯410と、テープ9の送り孔900と、は係合している。したがって、スプロケット41が順方向に回転すると、テープ9が前方から後方に向かって送られる。
【0110】
図22に、図21の枠XXII内の拡大図を示す。なお、図22においては、テープ送りプッシャ311bを省略して示す。図22に示すように、往動工程の第二段階においては、位置決めピン311eが下流側押さえ部材302の位置決めピン挿通孔302a(図6参照)に接近するまで、スライダ311が下方にスライドする。ここで、下流側押さえ部材302とテープ9との間には、隙間L1が確保されている。つまり、下流側押さえ部材302は、テープ9に当接していない。
【0111】
(第三段階)
図23に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第三段階における透過右面図を示す。なお、図23は、図4に対応している。操作者が、操作部31の操作レバー310をさらに押し下げると、スライダ311はさらに下方にスライドする。しかしながら、図23に示すように、リンク部材42が揺動することにより、従動ピン420が、テープ送りプッシャ311bの下端部に対して、前方にずれる。つまり、従動ピン420が、テープ送りプッシャ311bの下端部の軌道から外れる。このため、従動ピン420に、テープ送りプッシャ311bから、押圧力が加わらなくなる。したがって、リンク部材42、歯車400、スプロケット41の揺動が停止する。並びに、テープ9の移動が停止する。テープ9の被切断位置Cは、切断位置Bで停止する。
【0112】
このように、基準位置Aから切断位置Bまでの距離と、リンク部材42、歯車400、スプロケット41の揺動距離と、は対応している。つまり、基準位置Aから切断位置Bまでの距離と、テープ送り部4によるテープ9の送り量と、は一致している。また、基準位置Aから切断位置Bまでの距離は、歯車400の規制歯400aのピッチの整数倍に対応している。
【0113】
図24に、図23の枠XXIV内の拡大図を示す。なお、図24においては、テープ送りプッシャ311bを省略して示す。図24に示すように、テープ9が停止しても、スライダ311は下方にスライドし続けている。このため、スライダ311のテープ押さえプッシャ311cが、スプリング311d(図7参照)の付勢力に抗して、下流側押さえ部材302を上方から押圧する。下流側押さえ部材302は、図22に示す隙間L1を消費して、下方に移動する。下流側押さえ部材302は、テープ9を上方から押圧する。テープ9は、下流側押さえ部材302の下面とガイド溝205の溝底面との間で、挟持される。このため、テープに「巻き癖」(図35(b)参照)がついている場合であっても、当該「巻き癖」を矯正することができる。
【0114】
なお、図23に示すように、テープ9の前部は、上流側押さえ部材61の下面とガイド溝205の溝底面との間で、挟持される。このため、切断位置Bに停止したテープ9は、前後方向の二箇所で、上下方向から固定されることになる。
【0115】
また、図24に示すように、位置決めピン311eは、テープ9の送り孔900に上方から係合する。なお、図23に示すように、テープ9の前部の送り孔900には、スプロケット41の送り歯410が係合している。このため、切断位置Bに停止したテープ9は、前後方向の二箇所で、左右方向(短手方向)から固定されることになる。
【0116】
(第四段階)
図25に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第四段階における透過右面図を示す。なお、図25は、図4に対応している。操作者が、操作部31の操作レバー310をさらに押し下げると、スライダ311はさらに下方にスライドする。ただし、テープ9は停止したままである。
【0117】
図26に、図25の枠XXVI内の拡大図を示す。なお、図26においては、テープ送りプッシャ311bを省略して示す。図26に示すように、位置決めピン311eは、テープ9の送り孔900に、さらに深く進入する。図7に示すように、テープ押さえプッシャ311cは、スプリング311dの付勢力に抗して、本体311aの下面に没入可能である。このため、位置決めピン311eの進入量に応じて、テープ押さえプッシャ311cは、本体311aに没入する。テープ押さえプッシャ311cの没入により、スプリング311dの付勢力が大きくなる。このため、テープ9に対する上下方向からの挟持力が大きくなる。
【0118】
(第五段階)
図27に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の往動工程の第五段階における透過右面図を示す。なお、図27は、図4に対応している。操作者が、操作部31の操作レバー310をさらに押し下げると、スライダ311はさらに下方にスライドする。ただし、テープ9は停止したままである。
【0119】
図28に、図27の枠XXVIII内の拡大図を示す。なお、図28においては、テープ送りプッシャ311bを省略して示す。図28に示すように、位置決めピン311eは、テープ9の送り孔900に、さらに深く進入する。位置決めピン311eの進入量に応じて、テープ9に対するテープ押さえプッシャ311cの押圧力は大きくなる。カッター311fは、本体20のカッター挿入孔203に進入しながら、テープ9の被切断位置Cを切断する。
【0120】
[復動工程]
図16に示すように、本工程においては、操作者が操作レバー310を離すことにより、テープ押さえプッシャ311c、位置決めピン311e、カッター311f、リンク部材42を復動させる。以下、本工程の内容を具体的に説明する。
【0121】
(第一段階)
図29に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の復動工程の第一段階における透過右面図を示す。なお、図29は、図4に対応している。操作者が、操作部31の操作レバー310を離すと、スプリング304の付勢力により(図6参照)、操作レバー310が上方に揺動する。このため、スライダ311が上方にスライドする。
【0122】
スライダ311が上方にスライドすると、テープ9の前部9aの送り孔900、および下流側押さえ部材302の位置決めピン挿通孔302aから、位置決めピン311eが退出する。また、下流側押さえ部材302から、テープ押さえプッシャ311cが離間する。また、スプリングの付勢力により、下流側押さえ部材302が、テープ9の前部9aから離間する。また、カッター311fが上方に移動する。
【0123】
また、スライダ311つまりテープ送りプッシャ311bが上方にスライドすると、従動ピン420がテープ送りプッシャ311bの下方に進入可能になる。このため、スプリング42a(図12参照)の付勢力により、リンク部材42が逆方向に揺動する。ここで、第二歯止め部材402は、歯車400の順方向の回転を許容している。このため、リンク部材42および第二歯止め部材402は、歯車400に対して、逆方向に揺動する。一方、第一歯止め部材401は、歯車400の逆方向の回転を禁止している。このため、リンク部材42および第二歯止め部材402が逆方向に揺動しても、歯車400は不動である。したがって、スプロケット41、および切断されたテープ9の前部9aも不動である。
【0124】
(第二段階)
図30に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の復動工程の第二段階における透過右面図を示す。なお、図30は、図4に対応している。本段階においては、スプリング304の付勢力により(図6参照)、操作レバー310がさらに上方に揺動する。このため、スライダ311がさらに上方にスライドする。スライダ311が上方にスライドすると、スプリング43a(図12参照)の付勢力により、回転規制部材43が揺動する。そして、係合部431が、リンク部材42の被係合部421に係合する。当該係合により、リンク部材42の順方向の揺動が禁止される。
【0125】
[取出工程]
図16に示すように、本工程においては、操作者が、係脱レバー50を前方に引くことにより、テープ9をテープカット装置1から取り出す。以下、本工程の内容を具体的に説明する。
【0126】
なお、本工程は、後述する「閉モードから開モードへの切替動作」により実行することも可能である。
【0127】
(第一段階)
図31に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の取出工程の第一段階における透過右面図を示す。なお、図31は、図4に対応している。図31に示すように、操作者が係脱レバー50を前方に引くと、係脱レバー50が第一歯止め部材支持ピン200baを中心に、揺動する。ここで、係脱レバー50の下縁(C字外縁)は、第一歯止め部材401の解除用ピン401a、第二歯止め部材402の解除用ピン402aに当接している。このため、係脱レバー50が揺動すると、第一歯止め部材401が、第一歯止め部材支持ピン200baを中心に、揺動する。並びに、第二歯止め部材402が、第二歯止め部材支持ピン422を中心に、揺動する。このため、第一歯止め部材401および第二歯止め部材402が、歯車400から外れる。したがって、歯車400およびスプロケット41が、順方向のみならず逆方向にも自由に回転可能になる。
【0128】
(第二段階)
図32に、本実施形態のテープカット装置の、テープ切断方法の取出工程の第二段階における透過右面図を示す。なお、図32は、図4に対応している。図32に示すように、本段階においては、係脱レバー50を引いたままの状態で、操作者が、テープ9の前部9aを、テープカット装置1から前方に引き抜く。並びに、操作者が、テープ9の後部9bを、テープカット装置1から後方に引き抜く。
【0129】
以上説明したように、本実施形態のテープカット装置1によると、操作者の人力だけにより、電力を使わずに、テープ9を切断することができる。
【0130】
<テープカット装置のモード切替時の動き>
次に、本実施形態のテープカット装置の閉モードから開モードへの切替時の動きについて説明する。図33に、本実施形態のテープカット装置の閉モードにおける前方から見た部分断面図を示す。図34に、同テープカット装置の開モードにおける前方から見た部分断面図を示す。なお、閉モードは、テープ9を切断する際に利用される。また、開モードは、切断後のテープ9をテープカット装置1から取り出す際や、メンテナンス(例えばガイド溝205の掃除)の際などに利用される。
【0131】
図33に示すように、閉モードにおいては、スプリング81が、ストッパ本体80を、係合部80aが収容部300a内に突出する方向に、付勢している。しかしながら、ストッパ本体80の下端部800は、ベース2の本体20の上面に当接している。このため、ストッパ本体80は揺動しない。したがって、スライダ311つまりカッター311fは、係合部80aに干渉することなく、収容部300a内を移動することができる。
【0132】
図33、図34に示すように、揺動軸21を中心に開閉部30を上方に開くと、テープカット装置1が閉モードから開モードに切り替わる。図34に示すように、開モードにおいては、ストッパ本体80の下端部800が、ベース2の本体20の上面から離間している。このため、ストッパ本体80は、スプリング81の付勢力により、揺動する。したがって、係合部80aが収容部300a内に突出する。スライダ311の往復動方向から見て、係合部80aとスライダ311との間には重複代L2が存在している。このため、収容部300aにおけるスライダ311の移動は、係合部80aにより規制される。したがって、開モードにおいては、カッター311fが収容部300a内に保持される。
【0133】
なお、開モードから閉モードへの切替は、図34→図33のように、開閉部30を閉じることにより実行する。
【0134】
<作用効果>
次に、本実施形態のテープカット装置1の作用効果について説明する。本実施形態のテープカット装置1は、上流側押さえ部材61と下流側押さえ部材302とを備えている。このため、テープ9を切断する際に、テープ9が上下方向に動きにくい。したがって、テープ9の切断精度を向上させることができる。また、テープ9に「巻き癖」がついている場合であっても、当該「巻き癖」を矯正することができる。また、テープ9の長手方向二箇所でテープ9を上下方向(表裏方向)から固定することができる。
【0135】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、テープ9を切断する際に、位置決めピン311eがテープ9の送り孔900に係合する。並びに、スプロケット41の送り歯410がテープ9の送り孔900に係合する。このため、テープ9を切断する際に、テープ9が左右方向に動きにくい。したがって、テープ9の切断精度を向上させることができる。また、テープ9の長手方向二箇所でテープ9を左右方向(短手方向)から固定することができる。
【0136】
また、図17に示すように、安全性を確保するため、切断位置Bは、外部から視認できない位置に配置されている。このため、被切断位置Cと切断位置Bとが揃っていることを、目視により確認するのは困難である。
【0137】
この点、本実施形態のテープカット装置1によると、基準位置Aと切断位置Bとの間の距離が、テープ送り部4によるテープ9の送り量と、一致している。このため、操作者が、テープ9の被切断位置Cを基準位置Aに揃え、所定のストローク分、操作レバー310を押し下げるだけで、確実に、テープ9の被切断位置Cを切断位置Bまで送ることができる。言い換えると、目視確認することなく、テープ9の被切断位置Cと切断位置Bとを揃えることができる。このため、所望の位置(例えば、電子部品入りの部品収容部901と、空の部品収容部901と、の中間)で、テープ9を切断することができる。したがって、切断後のテープ9(使用する方のテープ9)に、空の部品収容部901が連なっているおそれが小さい。また、切断後のテープ9(使用しない方のテープ9)に、電子部品入りの部品収容部901が連なっているおそれが小さい。また、目視確認することなく被切断位置Cと切断位置Bとを揃えることができるため、安全性が高い。
【0138】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、操作者が操作レバー310を手動で動かすことにより、テープ9を送り、テープ9を切断することができる。このため、電気の供給がない場合であっても、精度よくテープ9を切断することができる。
【0139】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、テープ送り部4によるテープ9の送り量が、歯車400の規制歯400aのピッチの整数倍に設定されている。このため、確実にテープ9の被切断位置Cを切断位置Bに揃えることができる。また、ラチェット部40により、スプロケット41は段階的に回転する。このため、テープ9の被切断位置Cを切断位置Bに揃えやすい。また、第一歯止め部材401、第二歯止め部材402は、歯車400の逆方向の回転を禁止している。このため、第一歯止め部材401、第二歯止め部材402が歯車400に噛合している状態において、テープ9が逆方向に送られるおそれが小さい。
【0140】
また、本実施形態のテープカット装置1は、閉モードと開モードとに切替可能である。閉モードにおいては、カッター311fが収容部300aから突出可能である。このため、テープ9を切断することができる。一方、開モードにおいては、カッター311fが収容部300aから突出不可能である。このため、安全性が高い。
【0141】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、図28に示すように、テープ9を切断した後のカッター311fが進入するカッター挿入孔203が配置されている。このため、テープ9の被切断位置C全体が、剪断により切断される。したがって、テープ9の切断精度を向上させることができる。
【0142】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、図24に示すように、テープ9の表面(上面)に対して垂直方向(真上方向)から、下流側押さえ部材302がテープ9に当接する。このため、下流側押さえ部材302からテープ9に、テープ9の短手方向(左右方向)の荷重が作用しにくい。このため、テープ9が短手方向に逃げるおそれが小さい。したがって、テープ9の切断精度を向上させることができる。
【0143】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、図24に示すように、切断位置Bの直近で、下流側押さえ部材302がテープ9に当接している。また、切断位置Bの直近で、位置決めピン311eが送り孔900に挿入されている。このため、切断位置Bから離間した位置のみでテープ9を位置決めする場合と比較して、テープ9の切断精度を向上させることができる。
【0144】
また、本実施形態のテープカット装置1によると、図17に示すように、上流側(前方)から下流側(後方)に向かって、挿入位置と基準位置Aとが並んでいる。挿入位置から基準位置Aまでの間、テープ9は、操作者自らの力により送られる。ここで、挿入位置と基準位置Aとの間の距離は、歯車400の規制歯400aのピッチの整数倍に設定されている。第一歯止め部材401および第二歯止め部材402が、相対的に、歯車400の規制歯400aを乗り越える際、操作者に加わる反力は、瞬間的に大きくなる。また、歯車400の規制歯400aを乗り越える際、「カチッ」という音が鳴る。操作者は、触覚で反力変化を感じた回数や、聴覚で「カチッ」という音が聞こえた回数を基に、テープが基準位置に到達したことを、認識することができる。このため、簡単かつ確実に、テープ9の被切断位置Cを基準位置Aまで送ることができる。
【0145】
<その他>
以上、本発明のテープカット装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0146】
上記実施形態においては、基準位置Aと切断位置Bとの間の距離と、テープ送り部4によるテープ9の送り量と、を一致させたが、当該距離はテープ9の送り量の整数倍であればよい。この場合、操作者は、操作レバー310を複数回押し下げればよい。
【0147】
また、テープ9における送り孔900のピッチ、部品収容部901のピッチは特に限定しない。例えば、JIS C 0806−1〜3の規格に準じたピッチにしてもよい。上記実施形態においては、下流側押さえ部材302を開閉部30に配置した。しかしながら、下流側押さえ部材302をベース2の本体20に配置してもよい。
【0148】
また、挿入位置と基準位置Aとの間の距離、基準位置Aと切断位置Bとの間の距離は特に限定しない。例えばテープ9の規格などに応じて、適宜変更してもよい。テープ9の被切断位置Cの位置は特に限定しない。例えばテープ9の規格などに応じて、適宜変更してもよい。また、送り孔900を横断しないように、被切断位置Cを設定してもよい。
【符号の説明】
【0149】
1:テープカット装置、2:ベース、3:カッターユニット、4:テープ送り部、5:歯止め部材解除部、6:テープ押さえ部、8:ストッパ部、9:テープ、9a:前部、9b:後部。
20:本体、21:揺動軸、30:開閉部、31:操作部、40:ラチェット部、41:スプロケット、42:リンク部材、42a:スプリング、43:回転規制部材、43a:スプリング、49:共用回転軸、50:係脱レバー、51:スプリング、52:ブラケット、53:ボルト、54:ワッシャリング、60:プレート、61:上流側押さえ部材(押さえ部材)、62:スプリング、63:スペーサ、64:スクリュー、80:ストッパ本体、80a:係合部、81:スプリング、82:揺動軸、90:キャリアテープ、91:カバーテープ。
200:第一収容部、200a:回転規制部材取付壁、200aa:揺動軸、200b:第一歯止め部材取付壁、200ba:第一歯止め部材支持ピン、201:開閉部取付部、202:送り歯突出孔、203:カッター挿入孔、204:プッシャ挿入孔、205:ガイド溝、205a:導入部、206:第二収容部、207:仕切壁、208:係脱レバー突出孔、300:本体、300a:収容部、300b:ストッパ本体収容部、300c:操作レバー取付部、300ca:底面、301:カバー、301a:窓部、301b:被係合部、302:下流側押さえ部材(押さえ部材)、302a:位置決めピン挿通孔、302b:プッシャ挿通スリット、303:揺動軸、304:スプリング、310:操作レバー、310a:本体、310b:スライド軸、311:スライダ、311a:本体、311aa:長孔、311b:テープ送りプッシャ、311c:テープ押さえプッシャ、311d:スプリング、311e:位置決めピン、311f:カッター、400:歯車、400a:規制歯、401:第一歯止め部材、401a:解除用ピン、401b:スプリング、402:第二歯止め部材、402a:解除用ピン、402b:スプリング、410:送り歯、420:従動ピン、421:被係合部、422:第二歯止め部材支持ピン、423:本体、430:従動ピン、431:係合部、433:本体、600:突起挿入孔、601:切欠部、602:スクリュー取付孔、610:本体、610a:スペーサ挿通孔、611:突起、800:下端部、900:送り孔、901:部品収容部。
A:刻線(基準位置)、B:切断位置、C:被切断位置、L1:隙間、L2:重複代。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の切断位置において電子部品用のテープを切断するカッターと、
該テープを切断する際に該テープの表裏方向の動きを規制する表裏方向規制部と、
を備えるテープカット装置。
【請求項2】
前記テープを案内するガイド溝を表面に有するベースを備え、
前記表裏方向規制部は、該テープを切断する際に該テープを表側から押さえることにより、該ガイド溝の溝底面との間で該テープを表裏方向から挟持する押さえ部材である請求項1に記載のテープカット装置。
【請求項3】
前記テープを切断する際に該テープの短手方向の動きを規制する短手方向規制部を備える請求項1または請求項2に記載のテープカット装置。
【請求項4】
前記テープは、長手方向に沿って所定のピッチごとに配置される複数の送り孔を有し、
前記短手方向規制部は、該テープを切断する際に該テープの該送り孔に係合する複数の送り歯を有するスプロケットと、該テープを切断する際に該送り歯が係合する該送り孔以外の該送り孔に係合する位置決めピンと、を有する請求項3に記載のテープカット装置。
【請求項5】
操作者により操作される操作部と、
該操作部に連動し、所定の送り量だけ前記テープを下流側に送るテープ送り部と、
を備え、
前記切断位置に対して上流側に設定される基準位置と、該切断位置と、の間の距離は、該送り量の整数倍に設定される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のテープカット装置。
【請求項6】
前記テープは、長手方向に沿って所定のピッチごとに配置される複数の送り孔を有し、
前記テープ送り部は、
前記操作部に連動して回転し複数の規制歯を有する歯車と、該規制歯に係脱可能であって該テープを上流側から下流側に送る方向に該歯車の回転方向を規制する歯止め部材と、を有するラチェット部と、
該歯車に連動して回転し、該テープの該送り孔に係合する複数の送り歯を有するスプロケットと、
を有し、
前記送り量は、複数の該規制歯のピッチの整数倍に設定される請求項5に記載のテープカット装置。
【請求項7】
前記テープを案内するガイド溝を表面に有するベースと、
該ベースの表側に配置され前記カッターを収容する収容部を有するカッターユニットと、
該カッターの動きを規制可能なストッパ部と、
を備え、
該ベースに対して該カッターユニットが閉じられる閉モードと、該ベースに対して該カッターユニットが開かれる開モードと、に切替可能であり、
該閉モードにおいては、該ストッパ部が該カッターの動きを許容することにより、該カッターが該収容部から突出可能であり、
該開モードにおいては、該ストッパ部が該カッターの動きを規制することにより、該カッターが該収容部から突出不可能である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のテープカット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2013−110232(P2013−110232A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253345(P2011−253345)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】