説明

テープカートリッジ

【課題】ドアのケース内側への落ち込みの防止を低コストで実現する。
【解決手段】磁気テープカートリッジは、磁気テープTが巻回されたテープリールと、テープリールを収容し、磁気テープTを引き出すための開口が右側壁25に形成されたケースと、ケースの外部に露出する取っ手部を有し、右側壁25に沿ってスライド可能に設けられて開口を開放及び閉塞するドア6とを備えている。ケースには、ドア6を所定のスライド方向に摺動可能に案内するガイド溝が形成されている。ガイド溝には、ドア6が閉塞するときに、ドア6に当接することによってドア6をケースの外向きに押す膨出部75が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープリールとケースとを備えたテープカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、テープリールとケースとを備えたテープカートリッジが知られている。例えば、特許文献1に係るテープカートリッジは、テープが巻回されたテープリールと、該テープリールを収容し、該テープを引き出すための開口が側壁に形成されたケースと、該開口を開放及び閉塞するドアとを備えている。該ドアは、ケースの外部に露出する取っ手部を有し、ケースの側壁に沿ってスライド可能に設けられている。このように構成されたテープカートリッジは、ドアのスライド方向と平行な方向に、テープドライブへ挿入される。テープドライブには、ドアの取っ手部に係合する係合部が設けられている。テープカートリッジがテープドライブへ挿入されるときに、その途中で、ドアの取っ手が係合部に係合する。その状態でテープカートリッジがさらに挿入されると、ドアがケースに対して相対的に移動し、開口が開放される。こうして、テープの装填が完了するときには、ケースの開口が開放された状態となる。その後、ケースの開口からテープが引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−61745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記ドアは、通常、ケースに形成された案内溝等のガイド部に案内されている。ドアやガイド部の形状誤差や摺動性を考慮すると、溝幅等のガイド部の寸法は、ドアの厚みよりも多少の余裕を有している。そのため、ドアとガイド部とは多少なりともガタツキを有する。このガタツキが大きいと、ドアがケースに対して内側に入り過ぎたり、外側に出過ぎたりする場合がある。そして、ドアがケースの内側に入り過ぎていると、ドアの取っ手部がテープドライブの係合部と係合しない虞がある。
【0005】
そこで、ドアの取っ手部を、ドアが内側に入り込んだ場合であってもケースの外側に十分に突出する形状とすることが考えられる。しかし、この構成では、ドアが本来の適切な位置に位置したときに、取っ手部がケースの外側へ出過ぎるという問題が生じる。取っ手部が外方に突出し過ぎると、テープカートリッジをテープドライブへ挿入する際にドアの取っ手部がテープドライブの係合部以外の他の部分(例えば、挿入口の縁)に干渉してしまう虞がある。
【0006】
そこで、別の方策として、ガイド部の寸法の余裕を小さくすることによってドアの位置精度を向上させることが考えられる。しかし、この構成ではドアの摺動性が低下する虞がある。そこでさらに、ドアの摺動性を低下させることなく、ドアの位置精度を向上させるために、ドア及びガイド部の形状精度を向上させることが考えられる。しかし、この場合にはコストが増大してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドアのケース内側への落ち込みの防止を低コストで実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るテープカートリッジは、テープが巻回されたテープリールと、前記テープリールを収容し、前記テープを引き出すための開口が側壁に形成されたケースと、前記ケースの外部に露出する取っ手部を有し、前記側壁に沿ってスライド可能に設けられて前記開口を開放及び閉塞するドアとを備え、前記ケースには、前記ドアを所定のスライド方向に摺動可能に案内するガイド部が形成され、前記ガイド部及び前記ドアの一方には、前記ドアが閉塞するときに、該ガイド部及び該ドアの他方に当接することによって該ドアを前記ケースの外向きに押す当接部が設けられているものとする。
【0009】
前記の構成の場合、ドアは、当接部の存在により、閉塞するときにケースの外向きに押される。その結果、ドアが内側に落ち込むこと防止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、当接部を設けるという簡単な構成でドアをケースの外向きの押すため、ドアのケース内側への落ち込みを低コストで防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気テープカートリッジの分解斜視図である。
【図2】磁気テープカートリッジ及びテープドライブの斜視図である。
【図3】ケースの内側且つ斜め上方から見たときのドアの斜視図である。
【図4】下ケースのケース内方の様子を示す斜視図である。
【図5】下ケースにおける開口周辺の拡大斜視図である。
【図6】下ケースを右側から見た側面図である。
【図7】図6のVII−VII線における断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線における断面図である。
【図9】その他の実施形態に係る磁気テープカートリッジの、図7に相当する、開口周辺の拡大断面図である。
【図10】その他の実施形態に係る磁気テープカートリッジの、図7に相当する、開口周辺の拡大断面図である。
【図11】その他の実施形態に係る磁気テープカートリッジの、図7に相当する、開口周辺の拡大断面図である。
【図12】その他の実施形態に係る磁気テープカートリッジの、図7に相当する、開口周辺の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る磁気テープカートリッジの分解斜視図である。
【0014】
実施形態に係る磁気テープカートリッジ1は、例えば、電子計算機に記録された記録データをバックアップするためのストレージデバイスとして使用されるLTO(Linear Tape Open)規格に準拠した1リール(単一リール)型のカートリッジ式情報記録媒体である。磁気テープカートリッジ1は、ケース2、テープリール3、磁気テープT(図7にのみ図示)、ロック解除具4、リール押え5、バネ53、カートリッジメモリ11、及びライトプロテクトプラグ12を備えている。この磁気テープカートリッジ1がテープカートリッジを、磁気テープTがテープを構成する。
【0015】
ケース2は、平面視正方形状の扁平な直方体に形成されている。すなわち、ケース2は、平面視正方形状の上壁21及び下壁22と、細長い長方形状の4つの側壁23〜26とを有している。ここで、磁気テープカートリッジ1を、後述するテープドライブ9に挿入するときに、テープドライブ側を向いている側壁を前側壁23、前側壁23と対向する側壁を後側壁24、テープドライブ9の方を向いて右側の側壁を右側壁25、テープドライブ9の方を向いて左側の側壁を左側壁26と称する。また、ケース2は、合成樹脂製の上ケース2Aと下ケース2Bとの分割構造になっている。上ケース2Aと下ケース2Bとの分割ラインは、側壁23〜26をそれぞれ通るようになっている。これらの上ケース2A及び下ケース2Bは、それぞれ、平面視正方形状の浅皿状に形成されている。上ケース2Aの天板内面には、その略中央において、断面十文字状のガイド突起(図示省略)が下方に突出するように形成されている。上ケース2Aと下ケース2Bとは、ネジで締結されている。ケース2の内部には、テープリール3が収容されている。下ケース2Bの底板には、その略中央において、テープリール3の被駆動ギア(図示省略)を外部に露出させるためのギア開口20aが形成されている。
【0016】
また、ケース2の右側壁25には、テープリール3に巻回された磁気テープを外部に引き出すための開口27が形成されている。この開口27は、薄板状のドア6によって開閉可能に塞がれている。ドア6は、バネ13を介して、開口27を閉じる方向へ付勢されている。
【0017】
さらに、ケース2内における、後側壁24と右側壁25とで構成される隅部には、円弧状のリブによって区画されたメモリ収容部20bが形成されている。このメモリ収容部20bには、カートリッジメモリ11が収容される。カートリッジメモリ11は、磁気テープカートリッジ1の製造情報や使用履歴情報、磁気テープのパーテーション情報などを記憶するようになっている。
【0018】
さらにまた、ケース2内における、後側壁24と左側壁26とで構成される隅部には、平板状のリブによって区画されたプラグ収容部20cが形成されている。このプラグ収容部20cには、ライトプロテクトプラグ12が収容される。ライトプロテクトプラグ12は、磁気テープカートリッジ1に記録されているデータの誤消去を防止するためのものである。ライトプロテクトプラグ12は、データ消去許容位置とデータ消去禁止位置との間でスライド移動可能にプラグ収容部20cに収容されている。
【0019】
テープリール3は、円筒状のハブ31と、該ハブ31の上端に鍔状に設けられた上フランジ32と、該ハブ31の下端に鍔状に設けられた下フランジ33と、該下フランジ33に取り付けられた金属製の吸着板34とを有している。これらハブ31、上フランジ32及び下フランジ33は、合成樹脂で形成されている。さらに詳しくは、ハブ31と下フランジ33とは一体成形されている。そして、下フランジ33と一体成形されたハブ31の上端に、上フランジ32が超音波溶着されている。
【0020】
ハブ31は、上端側(即ち、上フランジ側)が開口する一方、下端側(即ち、下フランジ側)が閉塞する有底円筒状に形成されている。ハブ31に、磁気テープの基端部が取り付けられる。そして、ハブ31の外周面に、磁気テープが巻回されている。磁気テープの先端部には、リーダーピンP(図7にのみ図示)が設けられている。このリーダーピンPがリーダー部材を構成する。
【0021】
ハブ31の底壁上面(内面)には、3つの円弧状のリブ31b(図1では、1つだけ図示)が、互いに間隔を空けて同一円周上に並んだ状態で突設されている。これらリブ31bの上面には、被ロックギア31aが形成されている。ハブ31の底壁には、隣接するリブ31bの間の部分、即ち、リブ31bが設けられていない部分の、径方向外側には、ロック解除具4の後述する爪部43が嵌合する開口(図示省略)が貫通形成されている。
【0022】
また、ハブ31の底壁下面(外面)の中央には、吸着板34が取り付けられている。さらに、ハブ31の底壁下面の外周縁には、被駆動ギア(図示省略)が環状に形成されている。尚、前記開口は、底壁のうち被駆動ギアが形成されている部分に開口している。つまり、被駆動ギアの歯に混ざって、ロック解除具4の爪部43が開口からハブ31の底壁下面に突出することになる。
【0023】
また、テープリール3においては、被駆動ギア及び吸着板34が下ケース2Bのギア開口20aからケース2の外部に露出している。磁気テープカートリッジ1をテープドライブ9に装填したときには、吸着板34がテープドライブ9のモータの駆動軸に磁気吸着され、被駆動ギアに該駆動軸の駆動ギアが噛合するようになっている。
【0024】
リール押え5は、上向きに開口する扁平な有底筒状をしており、その外径は、テープリール3のハブ31の内径よりも小さく設定されている。このリール押え5は、該ハブ31内に配設される。また、リール押え5の底壁上面(内面)の中央には、4個の断面L字状のリブ51,51,…が突設されていて、これら4つのリブ51,51,…により十文字状のスライド溝52が形成されている。このスライド溝52は、上ケース2Aのガイド突起(図示省略)と同様の形状をしていて、該ガイド突起に対して上下方向にスライド移動可能でかつ相対回転不能に係合している。また、リール押え5の底壁下面(外面)には、ロックギア(図示省略)が形成されている。このロックギアは、テープリール3のハブ31の被ロックギア31aに噛合するように形成されている。
【0025】
バネ53は、コイルバネである。バネ53の内径は、上ケース2Aのガイド突起及びリール押え5のリブ51,51,…を外周から囲む程度の値に設定されている。すなわち、バネ53は、上ケース2Aとリール押え5との間において、ガイド突起とリブ51,51,…とを外周から囲むように配置されている。このバネ53は、上ケース2Aと下ケース2Bとが接合されることによって収縮変形して、リール押え5を下側(テープリール3側)に付勢するようになっている。
【0026】
こうして下側に付勢されるリール押え5は、そのロックギアをテープリール3の被ロックギア31aに噛合させた状態で、該テープリール3を下側に押圧する。このとき、リール押え5は、リブ51,51,…が上ケース2Aのガイド突起に係合して、上ケース2Aに対して回転不能な状態となっているため、被ロックギア31aがリール押え5のロックギアに噛合しているテープリール3も回転不能な状態となっている。磁気テープカートリッジ1は、非駆動時には、この状態となっている。
【0027】
ロック解除具4は、本体41と該本体41から放射状に延びた3つの腕部42,42,42とを有している。各腕部42の先端には、屈曲して下方に延びる爪部43が形成されている。リール押え5のロックギアがハブ31の被ロックギア31aに噛合している状態においては、該リール押え5とハブ31の底壁との間には隙間が形成されており、ロック解除具4は、このハブ31の底壁とリール押え5との隙間に配設されている。このとき、ロック解除具4の腕部42,42,42は、ハブ31の底壁上面のリブ31bとリブとの間を延びて、爪部43がハブ31の底壁の開口に嵌っている。ロック解除具4は、磁気テープカートリッジ1の非駆動時には、この状態となっていて、リール押え5のロックギアとハブ31の被ロックギア31aとの噛合状態に影響を与えることはない。一方、磁気テープカートリッジ1がテープドライブに装填されたとき、即ち、駆動時には、ロック解除具4は上方に押し上げられるようになっている。上方に押し上げられたロック解除具4は、さらに、リール押え5をバネ53の付勢力に抗して押し上げるようになっている。リール押え5が押し上げられると、該リール押え5のロックギアとハブ31の被ロックギア31aとの噛合が解除され、テープリール3の回転が許容されるようになっている。
【0028】
このように構成された磁気テープカートリッジ1は、テープドライブ9に装填される。図2を参照しながら、磁気テープカートリッジ1の装填について説明する。図2に、磁気テープカートリッジ1及びテープドライブ9の斜視図を示す。
【0029】
テープドライブ9には、磁気テープカートリッジ1を挿入するための挿入口91が設けられている。挿入口91には、磁気テープカートリッジ1のドア6と係合する係合部92が設けられている。尚、係合部92は、挿入口91ではなく、挿入口91よりもテープドライブ9の内方に設けられていてもよい。
【0030】
磁気テープカートリッジ1が挿入口91に挿入されるときに、その途中で、ドア6が係合部92に係合する。その状態から、磁気テープカートリッジ1がさらに挿入されると、ドア6が係合部92に係合しているため、ドア6がケース2に対して開く方向へ相対的に移動する。そして、磁気テープカートリッジ1の装填が完了したときには、ケース2の開口27が開放された状態となる。装填完了後、テープドライブ9の引出機構が、磁気テープカートリッジ1の開口27からケース2内に進入し、磁気テープの先端に設けられたリーダーピンを把持し、磁気テープをケース2から引き出す。
【0031】
このように、磁気テープカートリッジ1は、テープドライブ9への挿入動作に伴ってドア6が開かれる。
【0032】
次に、前記ドア6の構成について詳しく説明する。図3に、ドアを、ケースの内側且つ斜め上方から見たときの斜視図を示す。
【0033】
ドア6は、概略長方形状の本体部60と、本体部60の一方の短辺部に設けられた取っ手部61と、本体部60の他方の短辺部に設けられ、バネ13が係合するバネ係合部62と、本体部60の両長辺部に形成された薄肉部63,63と、薄肉部63,63のそれぞれと本体部60とを繋ぐ傾斜面64,64とを有する板状の部材である。
【0034】
本体部60は、ケース2に配設したときに、ケース2の外方を向く面を表面60aとし、ケース2の内方を向く面を裏面60bとする。
【0035】
取っ手部61は、本体部60の長手方向における一端側の短辺部において、長手方向の外側及び厚み方向の表面60a側に突出するように設けられている。取っ手部61の長手方向外側への突出量は、ケース2の前側壁23の板厚よりも薄い。また、取っ手部61の厚み方向の表面60a側への突出量は、ケース2の右側壁25の板厚と略同じである。
【0036】
バネ係合部62は、本体部60の長手方向における他端側の短辺部から、さらに長手方向外側へ延びている。バネ係合部62には、長手方向外側から大きな第1切欠部62aが形成されている。第1切欠部62aの内部の下方には、さらに、第2切欠部62bが形成されている。この第2切欠部62bに、バネ13の端部が係合する。
【0037】
ドア6は、前記取っ手部61の方を先端側とし、前記バネ係合部62の方を基端側とする。
【0038】
各薄肉部63は、本体部60の各長辺部における、相対的に先端側の部分に形成されている。すなわち、各薄肉部63は、本体部60の各長辺部に沿って、本体部60の先端から本体部60の長手方向中央部に向かって形成されている。各薄肉部63は、本体部60の裏面60bが陥没することで形成されている。すなわち、本体部60の表面60aは、全体的に平坦な面に形成されており、薄肉部63と、薄肉部63以外の部分とで変化はない。
【0039】
傾斜面64は、薄肉部63の基端側に形成されており、本体部60の裏面60bと薄肉部63とを繋いでいる。傾斜面64は、後方に向かってドア6の厚みが大きくなるように傾斜している。
【0040】
次に、ケース2における開口27周辺の構造について詳しく説明する。図4には、下ケース2Bのケース内方の様子を示す斜視図を、図5には、下ケース2Bにおける開口27周辺の拡大斜視図を、図6には、下ケース2Bを右側から見た側面図を、図7は、図6のVII−VII線における断面図を、図8には、図6のVIII−VIII線における断面図を示す。
【0041】
ケース2の上壁21及び下壁22には、開口27の近傍において、ドア6を案内するガイド溝7と、リーダーピンを収容するためのピン収容部8とが形成されている。このガイド溝7がガイド部及び案内溝を構成する。ガイド溝7及びピン収容部8の構成は、上壁21と下壁22とで同様である。そこで、以下では、下壁22におけるガイド溝7及びピン収容部8について説明する。
【0042】
ピン収容部8は、下壁22のうち、開口27の前端部(前側壁23寄りの部分)において陥没した状態で形成されている。ピン収容部8は、平面視で概略長方形状に形成されている。ピン収容部8は、その長手方向が前側壁23と平行になるように、即ち、短手方向が右側壁25と平行になるように設けられている。ピン収容部8は、詳しくは後述するガイド溝7と交差して、さらには、右側壁25を突き抜けて、ケース2の外方に開口している。つまり、このピン収容部8の開口部81においては、右側壁25が切り欠かれており、それに加えて、底面がケース2の外方に向かって下方に傾斜している。また、開口部81は、その幅が外方に向かって末広がりに拡がっている。ピン収容部8のうち長手方向の概略中央部分には、2つの受け部82,83が形成されている。受け部82,83のそれぞれには、収容されたリーダーピンを受け止めるための湾曲面82a,83aが形成されている。湾曲面82a,83aで囲まれた空間が、リーダーピンを収容する収容空間85となる。収容空間85は、開口部81と繋がっていて、ケース外方に開放されている。また、ピン収容部8における、受け部82,83よりも長手方向奥側の位置(即ち、ケース内方)には、位置決めピン84が設けられている。
【0043】
このピン収容部8には、リーダーピンを保持するための保持バネ86が配設される。この保持バネ86が保持部を構成する。保持バネ86は、屈曲した板金で構成された板バネである。詳しくは、保持バネ86は、位置決めピン84が嵌合する嵌合穴が形成された平板部86aと、平板部86aの一端縁から立設され且つケース外方へ向かって細長く延びる延伸部86bと、延伸部86bの先端において屈曲して形成された屈曲部86cとを有している。保持バネ86は、平板部86aの嵌合穴に位置決めピン84が嵌め込まれるようにしてピン収容部8に設置される。このとき、延伸部86bは、ピン収容部8の受け部82の側方(前側)を通過して、開口部81まで延びている。屈曲部86cは、受け部82よりもケース外方(即ち、右側壁25寄り)において、開口部81内に突出している。つまり、この屈曲部86cによって、収容空間85と開口部81との境目にくびれが形成される。
【0044】
このように構成されたピン収容部8には、磁気テープTがテープリール3に巻回されることによって、リーダーピンPが収容される。詳しくは、リーダーピンPは、ピン収容部8の開口部81を通ってケース2内に入ってくる。ここで、開口部81においては、下壁22の底面が外方に向かって下方に傾斜していると共に幅が外方に向かって末広がりに拡がっているため、リーダーピンPはケース2内へスムーズに案内される。ケース2内に入ったリーダーピンPは、まず、保持バネ86の屈曲部86cに当接する。リーダーピンPがさらに引き込まれると、リーダーピンPは、保持バネ86の延伸部86bを外側に押し広げながら、収容空間85内に進入する。その後、リーダーピンPは、受け部82,83の湾曲面82a,83aに当接する。保持バネ86は、リーダーピンPの通過と同時に元の状態に戻る。その結果、リーダーピンPは、受け部82,83の湾曲面82a,83a及び保持バネ86の屈曲部86cによって囲まれた状態となる。こうして、リーダーピンPが、湾曲面82a,83a及び屈曲部86cにより収容空間85内に保持される。
【0045】
尚、磁気テープTが引き出されるときには、テープドライブ側の引出機構によって、ピン収容部8内のリーダーピンPが把持され、引き出されていく。このとき、保持バネ86は、リーダーピンPを引き込む際と同様に、延伸部86bを外側に押し広げながら、ケース外方へ移動していく。
【0046】
続いて、ガイド溝7について説明する。ガイド溝7は、開口27に隣接して、右側壁25に沿って形成されている。ガイド溝7は、底面71と、ケース外寄りの側面(以下、「外側面」ともいう)72と、ケース内寄りの側面(以下、「内側面」ともいう)73とを有している。
【0047】
外側面72は、右側壁25のケース内方を向く面(以下、「内表面」ともいう)25aで構成されている。右側壁25は、開口27を形成するために前端部が低く切り欠かれている。この切欠部分では、右側壁25が完全に存在しないわけではなく、高さが低いながらも右側壁25が存在し、前側壁23まで延びている。ただし、右側壁25における開口27のための切欠部分のうち、ピン収容部8の開口部81が設けられた部分は、さらに切り欠かれている。この開口部81のための切欠部分においては、右側壁25は完全に存在しない。
【0048】
下壁22には、ガイド壁74が立設されている。ガイド溝7の相対的に後側の部分では、このガイド壁74のケース外方を向く面(以下、「外表面」ともいう)74aで内側面73が構成されている。ガイド壁74は、右側壁25よりもケース内方において、該右側壁25と平行に設けられている。すなわち、ガイド壁74の外表面74aは、右側壁25の内表面25aと対向する面である。ガイド壁74の前端は、開口27の後端部まで延びている。すなわち、ガイド壁74は、開口27に対応する部分には、形成されていない。ガイド壁74の前端は、上ケース2Aと下ケース2Bとをネジ締結するためのボス28に連結している。また、ガイド壁74の後端は、メモリ収容部20bを形成するリブに連結されている。ガイド壁74の後端部には、バネ13の一端が係合する係合部74bが形成されている。
【0049】
ガイド溝7の相対的に前側の部分、即ち、開口27が形成された部分では、下ケース2Bの下壁22によって内側面73が構成されている。詳しくは、ガイド溝7の前側部分では、下壁22のケース内方を向く面(以下、「内表面」ともいう)22aが陥没することでガイド溝7が形成されている。そのため、下壁22には、その内表面22aとガイド溝7の底面71とを繋ぐ側面22bが形成されている。側面22bは、ガイド壁74の外表面74aと連続的に繋がっており、外表面74aと共に1つの平面を形成している。側面22bは、右側壁25のうち、開口27のための切欠部分における内表面25aと対向している。
【0050】
この側面22bは、ピン収容部8に対応する部分には設けられていない。ただし、ピン収容部8よりも前側であって前側壁23に隣接する部分には、下壁22の内表面22aが陥没することで形成された側面22cが設けられている。この側面22cは、右側壁25のうち、開口27のための切欠部分における内表面25aと対向している。
【0051】
つまり、内側面73の相対的に後側の部分は、ガイド壁74の外表面74aで構成され、内側面73の相対的に前側の部分は、下壁22の側面22b、22cで構成されている。
【0052】
そして、ガイド溝7の内側面73には、外側面72の方へ膨出する膨出部75が形成されている。詳しくは、膨出部75は、側面22bの前端部、即ち、側面22bのうち、ピン収容部8に隣接する部分に形成されている。膨出部75は、平面視で概略台形状をしている。膨出部75は、側面22bと平行な平行面75aと、平行面75aと側面22bとを繋ぐ第1傾斜面75bと、平行面75aとピン収容部8の受け部83とを繋ぐ第2傾斜面75cとを有している。第1傾斜面75bは、ガイド溝7の長手方向に沿って、前方(即ち、ドア6を閉じる方向)に向かうほど、ガイド溝7の溝幅が徐々に狭くなるように傾斜している。この膨出部75が当接部を構成する。
【0053】
つまり、ガイド溝7の溝幅は、第1傾斜面75bよりも後側の部分においては、所定の幅で一定になっている。具体的には、この部分の溝幅は、ドア6の本体部60の厚みよりも少し大きな値に設定されている。そして、第1傾斜面75bの部分において、ガイド溝7の溝幅は、前方に向かって徐々に狭くなる。平行面75aの部分において、ガイド溝7の溝幅は、最も狭くなる。平行面75aの部分における溝幅は、ドア6の本体部60の厚みよりも小さく且つ薄肉部63の厚みよりも少し大きな値に設定されている。尚、側面22cの部分におけるガイド溝7の溝幅は、平行面75aの部分における溝幅と略同じである。したがって、ガイド溝7は、右側壁25の内表面25aとガイド壁74の外表面74a及び下壁22の側面22bとで構成され、所定の溝幅を有する通常部7Aと、右側壁25の内表面25aと第1傾斜面75bとで構成され、通常部7Aから溝幅が徐々に狭くなる漸減部7Bと、右側壁25の内表面25aと平行面75a及び側面22cとで構成され、溝幅が最も小さい狭小部7Cとを有している。
【0054】
このように構成されたガイド溝7にドア6が配設される。ドア6は、ガイド溝7の長手方向、即ち、ケース2の右側壁25と平行な方向にスライド可能となっている。この右側壁25と平行な方向がスライド方向に相当する。このとき、バネ13の一端部は、ドア6の第2切欠部62bに係合する一方、他端部は、ガイド壁74の係合部74bに係合している。ドア6は、バネ13の付勢力により、前側壁23に向かって付勢され、開口27を閉じている。このとき、ドア6の先端は、前側壁23に当接している。前側壁23の右端部には、取っ手部61が収容される切欠部23aが形成されている。つまり、ドア6の取っ手部61は、前側壁23の切欠部23a内に位置している。この状態から、ドア6をバネ13の付勢力に抗して後方へ押圧すると、ドア6がガイド溝7に沿って後方へ移動する。ドア6を後方へ押圧していた力を取り除くと、ドア6は、バネ13の付勢力により前方へ移動し、開口27を閉じる。
【0055】
このドア6が閉じるときのドア6の挙動を以下に詳しく説明する。
【0056】
ドア6が全開状態においては、ドア6の全ての部分がガイド溝7の通常部7A内に位置している。通常部7Aの溝幅はドア6の本体部60の厚みよりも大きいため、ドア6は、ガイド溝7の溝幅方向に多少がたつく。
【0057】
ドア6がガイド溝7に沿って前方へ移動していくと、やがて、ドア6の先端がガイド溝7の漸減部7Bに到達する。ここで、ドア6の先端部の下端縁及び上端縁には、前記薄肉部63,63が形成されている。この薄肉部63は、前述の如く、ドア6の裏面60bが陥没して設けられている。また、薄肉部63の幅(即ち、ドア6をガイド溝7に設置したときの上下方向への寸法)は、ガイド溝7のうち、膨出部75が位置する部分の深さよりも大きい。さらに、薄肉部63の厚み(即ち、ドア6をガイド溝7に設置したときの溝幅に相当する方向への寸法)は、狭小部7Cの溝幅よりも小さい。そのため、ドア6の本体部60は、膨出部75の第1傾斜面75bに衝突せず、ドア6の薄肉部63が膨出部75の第1傾斜面75bに衝突する。第1傾斜面75bは、ガイド溝7に直行するわけではなく、前方に向かってガイド溝7の外側面72に近づくように傾斜しているので、第1傾斜面75bに衝突したドア6は、第1傾斜面75bに案内されて、外側面72、即ち、右側壁25に近づきながら、前方へ移動していく。そして、ドア6の先端部は、ガイド溝7の狭小部7Cへ進入する。尚、ドア6が右側壁25に当接した状態で移動する場合には、ドア6の薄肉部63は、第1傾斜面75bに衝突することなく、ガイド溝7の狭小部7Cへ進入していく。
【0058】
ドア6の薄肉部63の厚みは狭小部7Cの溝幅よりも小さいので、ドア6の先端部が狭小部7Cに進入した後も、ドア6は溝幅方向に多少のガタツキを有した状態で前方へ移動していく。
【0059】
ドア6の先端部は、ピン収容部8の開口部81を通って、保持バネ86の屈曲部86cの周辺に達する。ここで、ドア6の先端部には前述の如く、裏面60bが陥没した薄肉部63が設けられているため、ドア6が保持バネ86に干渉することはない。やがて、ドア6の先端部は、ピン収容部8の開口部81を完全に塞いで、右側壁25における、開口部81のための切欠部よりも前側の部分に達する。
【0060】
その後、ドア6の薄肉部63のほとんどの部分が狭小部7C内に進入し、やがて、ドア6の傾斜面64が膨出部75に衝突する。詳しくは、ドア6の傾斜面64が、膨出部75における、第1傾斜面75bと平行面75aとで形成される稜線部に衝突する。傾斜面64は、後方(即ち、ドア6が開く方向)に向かってガイド溝7の内側面73との間隔が徐々に狭くなるように傾斜しているため、ドア6が前方へ進むにつれて、膨出部75によってケース外方へ押圧される。その結果、ドア6の、少なくとも前端部が右側壁25の内表面25aに当接した状態となる。このとき、図8に示すように、ドア6は、ガイド溝7の長手方向に対して、先端側が外寄りに、基端側が内寄りになるように傾斜した状態となり得る。しかし、ドア6の基端部に位置するバネ係合部62は、裏面60b側が本体部60よりも陥没しているため、バネ係合部62がガイド壁74の外表面74aに当接することはない。
【0061】
最終的には、ドア6の先端は、ガイド溝7のうち、側面22cが位置する部分に達し、さらには、前側壁23に当接して開口27を完全に閉じきった状態となる。このときも、ドア6の、少なくとも前端部が右側壁25に当接している。その結果、ドア6の取っ手部61は、前側壁23の切欠部23a内であって且つ右側壁25の方へできる限り寄った位置に位置している。ただし、取っ手部61の表面60a側への突出量は、右側壁25の厚みと略同じであるので、取っ手部61は、右側壁25のケース外方を向く面である外表面25bと略面一となる。尚、取っ手部61の前側への突出量は、前側壁23の厚みよりも薄いので、取っ手部61は、前側壁23よりも前方へ突出することはない。
【0062】
したがって、本実施形態によれば、ドア6が閉まるときに、ドア6の傾斜面64にガイド溝7の膨出部75が当接してドア6をケース外側へ向かって押すことによって、ドア6をケース2のできる限り外よりに位置させることができる。これにより、ドア6の取っ手部61がケースの内方へ落ち込んでしまうことを防止することができる。つまり、ドア6の取っ手部61を、磁気テープカートリッジ1をテープドライブ9に挿入時にテープドライブ9の係合部92に必ず係合し且つ、該挿入時にテープドライブ9の挿入口91の縁等の係合部92以外の部分に干渉しない適切な位置に位置させることができる。
【0063】
また、ドア6が閉じるときに該ドア6と干渉する膨出部75をガイド溝7に設けるだけなので、ドア6の落ち込みを防止する構成を低コストで実現することができる。
【0064】
さらに、ドア6は、ピン収容部8の保持バネ86との干渉を避けるべく、薄肉部63を形成する必要がある。そして、薄肉部63を形成することによって本体部60との間で形成される段差を利用して傾斜面64を設けている。すなわち、保持バネ86との干渉を避けるための薄肉部63を利用することによって、簡単な構成で、ドア6の落ち込みを防止する構成を実現することができる。
【0065】
また、ドア6に傾斜面64を設けることによって、ドア6の板厚が本体部60と薄肉部63との間で急激に変わることを防止することができる。ドア6の厚みの変化をなだらかにすることによって、成形時のドア6の反りを抑制することができる。
【0066】
さらにまた、膨出部75が当接する部分を傾斜面64とすることによって、ドア6を、閉まる方向に移動させながら、ケース外方へスムーズに移動させることができる。
【0067】
さらに、ドア6の傾斜面64が膨出部75に当接するタイミングを、ドア6の先端がピン収容部8の開口部81を閉じた後にすることによって、ドア6の先端が開口部81において右側壁25に引っ掛かることを防止することができる。すなわち、ドア6の先端が開口部81を通過する前に傾斜面64が膨出部75に当接してしまうと、開口部81には右側壁25が存在しないので、ドア6の先端が開口部81において、右側壁25の内表面25aよりも外側に出てしまう虞がある。そのまま、ドア6が前方へ移動すると、ドア6の先端が、右側壁25のうち、開口部81の前側に位置する部分に引っ掛かってしまい、ドア6を閉めることができない。それに対して、本実施形態では、ドア6の先端が開口部81を通過した後に傾斜面64が膨出部75に当接するため、ドア6の先端が開口部81に位置する間にドア6が外方へ押圧されることがない。そして、ドア6が開口部81を閉じた後に、傾斜面64が膨出部75に当接することによってドア6が外方へ押圧される。こうして、ドア6の先端が開口部81において右側壁25に引っ掛かることを防止することができる。
【0068】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0069】
前記実施形態では、ドア6に傾斜面64を設け、ガイド溝7に、傾斜面64と当接する膨出部75を設けているが、これに限られるものではない。例えば、図9に示すように、傾斜面をガイド溝7に設ける一方、該傾斜面に当接する当接部をドア6に設けてもよい。具体的には、ガイド溝7の膨出部75の第1傾斜面75bを傾斜面として機能させる。また、ドア6の本体部60と薄肉部63との境目に形成される角部が当接部65を構成する。この当接部65は、薄肉部63から見れば、ガイド溝7の内側面73の方へ膨出している。かかる構成の場合、ドア6が閉じられるときに、ドア6の当接部65が膨出部75の第1傾斜面75bに当接し、さらには、当接部65が第1傾斜面75bに当接した状態でドア6がさらに閉じられることによって、ドア6がケースの外向きに押されながら閉じる方向に移動していく。これにより、ドア6の落ち込みが防止される。
【0070】
すなわち、ドア6及びガイド溝7の一方に傾斜面が設けられ、他方に当接部が設けられ、ドア6が閉じる方向へ移動する際に傾斜面と当接部とが当接することによってドア6がケースの外側へ押圧される構成であれば、任意の構成を採用することができる。
【0071】
傾斜面や当接部の形状も、任意の形状を採用することができる。例えば、当接部の形状は、前記膨出部75の構成に限定されるものではない。当接部は、台形状に限らず、長方形状でも、三角形状でも、五角形状でもよい。また、当接部は、図10に示す膨出部75のように、平面視で半円形状であってもよい。また、傾斜面は、平面ではなく、湾曲面であってもよい。
【0072】
さらに、傾斜面を設ける場合、ガイド溝7の長手方向に平行な面は必須ではない。すなわち、ドア6に傾斜面を設ける場合、図11に示すように、ドア6の裏面60bを全体的に表面60aに対して傾斜させ、裏面60bで傾斜面64を構成してもよい。あるいは、ガイド溝7に傾斜面を設ける場合、図12に示すように、内側面73を全体として、ガイド溝7の長手方向に対して、前方に向かって溝幅が狭くなるように傾斜させてもよい。
【0073】
また、ドア6に当接部を設ける場合には、図9に示すように本体部60と薄肉部63との段差部で当接部を構成するものに限られない。例えば、図12に示すように、ドア6の全体を、保持バネ86と干渉しない程度の薄さに形成し、そのドア6の裏面60bにガイド溝7の内側面73側に膨出する当接部65を設ける構成であってもよい。
【0074】
前記実施形態では、ドア6の傾斜面64は、ドア6の先端がピン収容部8の開口部81を通過した後に、膨出部75に当接するように構成されているが、これに限られるものではない。ドア6及びガイド溝7の片方ずつに設けられた傾斜面及び当接部との当接は、ドア6が全開状態から全閉状態へ至るストロークのうち、後半の部分(即ち、全ストロークにおける中間地点よりも全閉側の領域)で発生することが好ましい。傾斜面と当接部とが当接するとドア6の摺動抵抗が大きくなる。傾斜面と当接部との当接を、全ストローク中の後半に生じさせることによって、摺動抵抗が大きくなるのを遅れさせることができる。ただし、前述の如く、ドア6が開口部81で引っ掛かることを防止する観点からは、ドア6の傾斜面64は、ドア6の先端がピン収容部8の開口部81を通過した後に、膨出部75に当接することが好ましい。
【0075】
また、閉じた状態におけるドア6の先端部は、落ち込みが防止されて右側壁25寄りに位置するため、図9,10に示すように、側面22cを設けなくてもよい。
【0076】
尚、当接部及び傾斜面等の構成は、前述の異なる実施形態の間でで入れ替えたり、さらには、ドア6とガイド溝7との間で入れ替えたりして、任意の組み合わせを採用することができる。
【0077】
前記実施形態では、磁気テープTの先端にリーダーピンPが設けられているが、これに限られるものではない。リーダーピンPの代わりに、ブロック状のリーダー部材が設けられていてもよい。つまり、磁気テープTの先端には、該磁気テープTを引き出すためのリーダー部材が設けられていればよく、リーダー部材の形状は問わない。
【0078】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明は、テープリールとケースとを備えたテープカートリッジについて有用である。
【符号の説明】
【0080】
T 磁気テープ(テープ)
P リーダーピン(リーダー部材)
1 磁気テープカートリッジ(テープカートリッジ)
2 ケース
22b 側面(傾斜面)
25 右側壁(側壁)
27 開口
3 テープリール
6 ドア
60 本体部
60b 裏面
63 薄肉部
64 傾斜面
65 当接部
7 ガイド溝(ガイド部、案内溝)
72 外側面
73 内側面
75 膨出部(当接部)
75b 第1傾斜面(傾斜面)
86 保持バネ(保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープが巻回されたテープリールと、
前記テープリールを収容し、前記テープを引き出すための開口が側壁に形成されたケースと、
前記ケースの外部に露出する取っ手部を有し、前記側壁に沿ってスライド可能に設けられて前記開口を開放及び閉塞するドアとを備え、
前記ケースには、前記ドアを所定のスライド方向に摺動可能に案内するガイド部が形成され、
前記ガイド部及び前記ドアの一方には、前記ドアが閉塞するときに、該ガイド部及び該ドアの他方に当接することによって該ドアを前記ケースの外向きに押す当接部が設けられているテープカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のテープカートリッジにおいて、
前記ガイド部は、前記ドアを摺動可能に案内する案内溝であって、
前記当接部は、前記案内溝の側面のうち、前記ケースの内寄りの側面である内側面に、該ケースの外寄りの側面である外側面の方へ膨出するように設けられ、
前記ドアには、前記案内溝の内側面と対向し且つ、該ドアが閉塞するときに前記当接部と当接する傾斜面が設けられ、
前記傾斜面は、前記案内溝の内側面との間隔が前記スライド方向の開く側に向かって徐々に狭くなるように傾斜しているテープカートリッジ。
【請求項3】
請求項2に記載のテープカートリッジにおいて、
前記テープの先端には、テープを引き出すためのリーダー部材が設けられ、
前記ケースにおける前記開口の内側には、前記リーダー部材を保持しておく保持部が設けられており、
前記ドアは、本体部と、前記開口を閉塞する際の前記保持部との干渉を避けるために該本体部のうち、前記案内溝の内側面と対向する面である裏面が陥没した薄肉部とを有し、
前記傾斜面は、前記ドアの裏面において、前記本体部と前記薄肉部との境界において該本体部と該薄肉部とを繋ぐように形成されているテープカートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載のテープカートリッジにおいて、
前記ガイド部は、前記ドアを摺動可能に案内する案内溝であって、
前記当接部は、前記ドアのうち、前記案内溝の内側面と対向する面である裏面に、該案内溝の内側面の方へ膨出するように設けられ、
前記案内溝の内側面には、該ドアが閉塞するときに前記当接部と当接する傾斜面が設けられ、
前記傾斜面は、前記案内溝の溝幅が前記スライド方向の閉じる側に向かって徐々に狭くなるように傾斜しているテープカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−113770(P2012−113770A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260094(P2010−260094)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)