説明

テープカートリッジ

【課題】リールの円筒部の外周面の円筒度を向上させる。
【解決手段】リール10は、円筒部13と、円筒部の下側の開口を閉じる底板15と、円筒部の外周面の下端から外向きに突出した下フランジ14が一体的に成形されてなるハブ部材12を備える。底板には、ロック解除部材30の操作爪31が貫通する3つの出退口22が略等角度間隔で形成されている。隣り合う出退口間には、リール押さえ部材40のロック歯41とかみ合う円弧状のロック歯20が形成されている。底板には、更に、ロック歯の少なくとも一部を切り欠く切り欠き25と、切り欠きと連続し且つ底板を薄肉化する凹部26とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録用途に好ましく使用される単リール型のテープカートリッジに関する。特に、テープが巻回されるリールの円筒面の精度が向上したテープカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
単リール型のテープカートリッジは、主にコンピュータシステムのデータバックアップ用途として用いられている。
【0003】
この種のテープカートリッジにおいては、不使用時にリールが遊動回転するのを防ぐために、リールと筐体との間にリールロック機構を有する。リールロック機構にはいくつかの形態がある。そのひとつに、円形状のリール押さえ部材をリールに向かって付勢し押し付けることにより、リール押さえ部材及びリールにそれぞれ設けたロック歯を互いに係合させて、リールの遊動回転を防ぐ形態がある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
この形態のテープカートリッジでは、リールの円筒部内に、ロック解除部材と、上記リール押さえ部材と、バネとがこの順に挿入されている。
【0005】
リール押さえ部材は、上下動可能かつ回転不能に筐体に支持され、バネで常にリールに向かって付勢されている。リール押さえ部材とリールとの間に、ロック解除部材が設けられている。ロック解除部材は三叉状のアームを有し、各アームの先端には下方に折り曲げられた操作爪が形成されている。操作爪はリールの底板に設けられた出退口(貫通孔)を貫通している。テープカートリッジをドライブ装置に装填すると、ドライブ装置の駆動軸が、出退口から突出したロック解除部材の操作爪を押し上げることにより、ロック解除部材及びリール押さえ部材が持ち上げられ、リール押さえ部材のロック歯とリールの底板上のロック歯との係合が解除される。その結果、リールはドライブ装置の駆動軸によって回転駆動可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−187548号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のリールロック機構においては、リールの下側からロック解除部材を持ち上げるために、ロック解除部材の3本のアームの先端の下向きの操作爪を、リールの底板を貫通させてリールより下側に突出させている。従って、リールの底板に、ロック解除部材の操作爪を貫通させるための出退口(貫通孔)が120度間隔で形成されている。更に、放射状に延びた3本のアームとの干渉を回避するために、リールの底板において出退口の近傍ではロック歯が欠落している。
【0008】
一般にリールは、樹脂材料を射出成形することにより製造される。射出成形では、樹脂内の固化速度(冷却速度)に差が生じると、成形後の収縮に差が生じる。従来のリールでは、120度間隔で出退口が形成され、且つ、出退口の近傍ではロック歯が設けられていないので、出退口の近傍部分と、隣り合う出退口間の部分とで樹脂の肉厚が異なり、これにより両者間で固化速度に差が生じてしまう。その結果、テープが巻回される円筒部の外周面のひずみ量が不均一となり、円筒度が悪化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の従来の問題を解決し、リールの円筒部の外周面の円筒度が向上したテープカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のテープカートリッジは、磁気テープが巻回されるリールと、不使用時に前記リールの回転を阻止するリールロック機構と、前記リール及び前記リールロック機構を収納する筐体とを備える。前記リールは、円筒部と、前記円筒部の下側の開口を閉じる底板と、前記円筒部の外周面の下端から外向きに突出した下フランジとが一体的に成形されてなるハブ部材、及び、前記下フランジに対向するように前記円筒部の上端に接合された上フランジを備える。前記リールロック機構は、略等角度間隔に放射状に延びた3本のアームと、前記3本のアームのそれぞれの先端を下方に向かって折り曲げることで形成された操作爪とを備えたロック解除部材、前記底板に対向する側の面にロック歯を備え、上下動可能且つ回転不能に前記筐体に支持されたリール押さえ部材、及び、前記リール押さえ部材に対して下向きの付勢力を印加するバネを前記底板側から上側に向かってこの順に前記円筒部内に備える。前記底板には、前記3本のアームの各先端の前記操作爪が貫通する3つの出退口が前記リールと同心の共通する円上に略等角度間隔で形成されている。前記底板の前記リール押さえ部材に対向する側の面には、前記リール押さえ部材の前記ロック歯とかみ合うロック歯が、隣り合う前記出退口間に前記リールと同心の円弧に沿って形成されている。前記底板には、前記ロック歯の少なくとも一部を切り欠く切り欠きと、前記切り欠きと連続し且つ前記底板を薄肉化する凹部とが形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハブ部材の底板上のロック歯に切り欠きを形成し、切り欠きに連続して凹部を形成しているので、切り欠き及び凹部の近傍での冷却・固化時の体積収縮によって発生するひずみ量を、出退口近傍でのそれに近づけることができる。更に、切り欠き及び凹部を隣り合う出退口間に形成しているので、出退口の近傍や切り欠き及び凹部の近傍以外の部分でのひずみ量も小さくすることができる。これらにより、円筒部の外周面のひずみ量及びその不均一が低減するので、当該外周面の円筒度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジの概略斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II線を含む面に沿った本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジの主要部の縦断面図である。
【図3】図3は、図1に示した本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジの主要部材を示した分解斜視図である。
【図4】図4Aは従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の斜視図、図4Bはその平面図である。
【図5】図5は、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の、図4BのV−V線を含む面に沿った縦断面図である。
【図6】図6Aは、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の、図5の部分VIAの拡大断面図である。図6Bは、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の、図5の部分VIBの拡大断面図である。
【図7】図7Aは本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の斜視図、図7Bはその平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の、図7BのVIII−VIII線を含む面に沿った縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の、図8の部分IXの拡大断面図である。
【図10】図10Aは、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の円筒部の外周面についての形状測定結果を示した図である。図10Bは、図10Aに示した測定において上下方向の測定位置を示した断面図である。図10Cは、図10Aに示した測定結果図において周方向の位置を示した図である。
【図11A】図11Aは、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の縦断面の、成形完了後の温度を流動解析により求めた結果を示した図である。
【図11B】図11Bは、本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の縦断面の、成形完了後の温度を流動解析により求めた結果を示した図である。
【図12A】図12Aは、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材の横断面の、成形完了後の温度を流動解析により求めた結果を示した図である。
【図12B】図12Bは、本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の横断面の、成形完了後の温度を流動解析により求めた結果を示した図である。
【図13】図13は、ハブ部材を成形するための、本発明の実施形態2にかかる入れ子構造を有する金型の部分拡大断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態2にかかる入れ子構造を有する金型によって形成されたバリを示した部分拡大断面図である。
【図15】図15は、ハブ部材を成形するための、本発明の実施形態3にかかる入れ子構造を有する金型の部分拡大断面図である。
【図16】図16は、図15に示す入れ子構造を備えた金型によって成形された本発明の実施形態3にかかるハブ部材の切り欠き及び凹部を示した部分拡大斜視図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態3にかかる入れ子構造を有する金型によって形成されたバリを示した部分拡大断面図である。
【図18】図18は、本発明の実施形態4にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の平面図である。
【図19】図19は、本発明の実施形態5にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の平面図である。
【図20】図20は、本発明の実施形態6にかかるテープカートリッジに用いられるハブ部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上記のテープカートリッジにおいて、前記切り欠き及び前記凹部は、隣り合う前記出退口の略中央位置に形成されていてもよい。これにより、切り欠き及び凹部の数を少なくしながら、円筒部の外周面の円筒度を向上させることができる。
【0014】
あるいは、前記切り欠き及び前記凹部は、隣り合う前記出退口間にそれぞれ複数個形成されていてもよい。この場合、複数個の前記切り欠き及び前記凹部は、隣り合う前記出退口間を略等角度間隔に分割する位置に配置されていることが好ましい。これにより、円筒部の外周面の円筒度を更に向上させることができる。
【0015】
前記切り欠きは、前記ロック歯の外周側の一部のみを切り欠いていてもよい。これにより、リール押さえ部材のロック歯とのかみ合い面積の減少量が少なくなるので、落下時等の外部からの衝撃に対する耐久性の低下を抑えることができる。
【0016】
あるいは、前記切り欠きは、前記出退口間に延びる前記ロック歯を分断していてもよい。これにより、円筒部の外周面の円筒度を更に向上させることができる。
【0017】
前記切り欠き及び前記凹部の一部又は全部が入れ子又はイジェクタピンにより形成されていることが好ましい。これにより、入れ子又はイジェクタピンを適宜交換又は追加加工することにより、容易且つ低コストで、円筒部の外周面の円筒度を更に向上させることができる。
【0018】
上記において、前記切り欠きの上端に隣接して平面部が形成されていることが好ましい。この場合、前記平面部は前記ロック歯の谷より前記底板に近い位置にあることが好ましい。前記切り欠きと前記平面部との境界に前記入れ子又はイジェクタピンと金型との分割位置があることが好ましい。これにより、入れ子又はイジェクタピンと金型との分割位置に発生するバリの許容範囲が拡大するので、歩留まりが向上し、より安価にハブ部材を製造することができる。
【0019】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0020】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジ1の概略斜視図である。テープカートリッジ1は、上ハーフ1aと下ハーフ1bとが上下方向に接合された箱状(中空の略直方体形状)の筐体2を備える。
【0021】
図2は、図1のII−II線を含む面に沿った本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジ1の主要部(中央部)の縦断面図である。図3は、リール10及びリールロック機構の分解斜視図である。以下の説明の便宜のために、上ハーフ1aの側を「上」、下ハーフ1bの側を「下」と呼ぶ。但し、この「上」、「下」はテープカートリッジ1の実際の使用状態での上下方向を意味するものではない。
【0022】
筐体2内にはリール10が内蔵されている。リールロック機構は、リール10の中央の円筒部13内に収納されており、下から上に向かって、ロック解除部材30、リール押さえ部材40、及びバネ45をこの順に備える。
【0023】
リール10は、中央が開口した円板状の上フランジ11と、ハブ部材12との2部品で構成される。ハブ部材12は、中空円筒形状を有する円筒部13と、円筒部13の外周面の下端から外向きに突出する円板状の下フランジ14と、円筒部13の下側の開口を閉じる底板15とを備え、これらが一体に成形されている。底板15の下面には、中央が開口した円形の金属プレート18が取り付けられている。金属プレート18は、インサート成形によりハブ部材12と一体化されている。上フランジ11が、下フランジ14に対向するように円筒部13の上端に接合されてハブ部材12と一体化される。磁気テープ(図示せず)は、上フランジ11と下フランジ14との間に、円筒部13の外周面である円筒面上に巻回される。
【0024】
図2に示されているように、下ハーフ1bの中央には円形の開口1cが形成されている。この開口1c内にバブ部材12の底板15が露出している。底板15には、リール10と同心の共通する円上に、3つの出退口(貫通孔)22が形成されている(後述する図7A,図7Bを参照)。3つの出退口(貫通孔)22は、リール10の中心に対して等角度間隔(即ち、120度間隔)で配置されている。底板15の上面には、隣り合う出退口22間に、リール10と同心の円弧に沿ってロック突起21が形成されており、その上端にロック歯20が形成されている(後述する図7A,図7Bを参照)。出退口22のリール10の中心からの距離は、ロック歯20のそれと同じか、わずかに遠い。底板15の下面には、ドライブ装置の駆動軸50に設けられた駆動歯51とかみ合う被駆動歯16が、リール10と同心の円弧に沿って設けられている。3つの出退口22が、被駆動歯16を3つに分断している。
【0025】
ロック解除部材30は、120度間隔で放射状に延びた3本のアームを備え、全体として三叉形状(略Y字形状)を有している。各アームの先端は下向きに略90度折り曲げられて操作爪31が形成されている。
【0026】
リール押さえ部材40は、上側が開口した有底円筒形状を有する。リール押さえ部材40の底板の下面には、リール10のロック歯20とかみ合うロック歯41が円状に配置されている。また、リール押さえ部材40の底板の上面の中央には略十字形状の溝(十字溝)42が形成されている。上ハーフ1aの下面には、十字溝42に嵌入する略十字形状の十字突起1dが立設されている。十字溝42に十字突起1dが嵌入することにより、リール押さえ部材40は、筐体2内において、上下方向には移動可能であるが、回転することはできない。
【0027】
バネ45は、リール押さえ部材40と上ハーフ1aとの間に配置されて、リール押さえ部材40に対して下向きの付勢力を印加する。
【0028】
テープカートリッジ1の不使用時には、バネ45の下向きの付勢力によって、リール押さえ部材40は下方に変位し、リール押さえ部材40のロック歯41とリール10のロック歯20とがかみ合う。従って、リール10は回転することができない。また、リール押さえ部材40がロック解除部材30を下方に変位させて、ロック解除部材30の操作爪31がリール10の出退口22を貫通し、リール10の底板15よりも下側に突出する。
【0029】
テープカートリッジ1がドライブ装置に装填されると、ドライブ装置の駆動軸50が、図2の矢印Aの向きに下ハーフ1bの開口1c内に挿入される。駆動軸50の上面にはマグネット(図示せず)が設けられており、リール10の下面に取り付けられた金属プレート18が当該マグネットに吸着される。これにより、駆動軸50の上面に形成された駆動歯51がリール10の被駆動歯16とかみ合う。これと同時に、駆動歯51が、リール10の底板15から突出したロック解除部材30の操作爪31に当接して、ロック解除部材30を上方に押し上げる。これにより、リール押さえ部材40は、バネ45の付勢力に反して上方に変位し、リール押さえ部材40のロック歯41とリール10のロック歯20とのかみ合いが解除される。従って、リール10は回転可能状態となり、駆動軸50により回転される。ロック解除部材30は、リール10とともに回転する。
【0030】
図2は、駆動軸50によって、ロック解除部材30及びリール押さえ部材40が上方に変位され、リール10が回転可能な状態を示している。但し、理解を容易にするために、実際には開口1c内に挿入されリール10と係合している駆動軸50を、リール10から下方に離して描いている。
【0031】
以下に、テープカートリッジ1を構成するハブ部材12を、従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材と比較しながら詳細に説明する。以下に参照する本発明のハブ部材12及び従来のハブ部材112を示した図において、同一の要素には同一の符号を付しており、それらについての重複する説明を省略する。
【0032】
図4Aは従来のテープカートリッジに用いられていたハブ部材112の斜視図、図4Bはその平面図である。図5は、図4BのV−V線を含む面に沿ったハブ部材112の縦断面図である。図6A及び図6Bは、図5の部分VIA及び部分VIBの拡大断面図である。円筒部13の底板15に、3つの出退口22が、バブ部材112の中心から等距離に且つ中心に対して120度間隔で形成されている。周方向に隣り合う出退口22の間の領域に、3つのロック突起21が、ハブ部材112と同心の円弧に沿って配置されている。ロック突起21は、底板15から上側に突出しており、その上端にロック歯20が形成されている。ロック歯20(またはロック突起21)の半径方向に沿った幅W0は一定である。半径方向においては、出退口22は、底板15の下面に形成された被駆動歯16の位置に形成されている。底板15の、ロック歯20(またはロック突起21)と円筒部13との間の部分の厚さ(被駆動歯16の谷の部分での底板15の厚さ)はT0である。
【0033】
図7Aは本発明の実施形態1にかかるテープカートリッジ1に用いられるハブ部材12の斜視図、図7Bはその平面図である。図8は、図7BのVIII−VIII線を含む面に沿ったハブ部材12の縦断面図である。図9は、図8の部分IXの拡大断面図である。本実施形態1のハブ部材12では、円弧に沿って形成された各ロック歯20の円弧長方向の略中央位置に、ロック歯20の外周側(リール10の中心から遠い側)の一部を取り除くような切り欠き25が形成されている。切り欠き25は、ロック突起21の外側壁面上に、ロック歯20から底板15にまで上下方向に連続的に延びている。更に、底板15には、切り欠き25と連続する凹部26が、ロック突起21と円筒部13との間の領域に形成されている。本実施形態1では、出退口22と、切り欠き25及び凹部26とが、ハブ部材12の中心に対して60度おきに、周方向に交互に配置されている。切り欠き25が形成された部分でのロック歯20(またはロック突起21)の半径方向に沿った幅をW1とすると、切り欠き25が形成されていない部分でのロック歯20の幅W0(図6B参照)との間にW1<W0の関係が成立する。また、凹部26が形成された部分での底板15の厚さ(被駆動歯16の谷の部分での底板15の厚さ)をT1とすると、凹部26が形成されていない部分での底板15の厚さT0(図6B参照)との間にT1<T0の関係が成立する。本実施形態1のハブ部材12は、切り欠き25及び凹部26が形成されている点を除いて、図4A、図4B、図5、図6A、及び図6Bに示した従来のハブ部材112と同じである。
【0034】
上記のように構成された本発明のハブ部材12の作用を、従来のハブ部材112と比較して説明する。
【0035】
本発明のハブ部材12及び従来のハブ部材112は、その中心軸が通る底板15の下面上の地点を樹脂の注入口(ゲート)17として射出成形により製作される。
【0036】
一般に、金型内に射出された樹脂の冷却・固化は、金型に接した部分から始まり、最後に厚肉部の中心部分やゲート近傍で起こる。相対的に遅く冷却・固化する厚肉部の中心部分は、その周囲の既に冷却・固化した部分を引き込みながら(即ち、体積収縮しながら)冷却・固化するので、厚肉部の表面がくぼむ等の問題が生じやすい。このようにして成形品の表面に発生したくぼみは、一般に「ヒケ」と呼ばれる。
【0037】
図6A及び図6Bに示されているように、成形時にゲートから金型内に射出された樹脂は、矢印91の向きに半径方向の外側に向かって流れる。
【0038】
図6Bは、隣り合う出退口22間の中央位置での断面図である。この位置では、ロック歯20及びロック突起21の幅W0や、底板15の被駆動歯16が形成された部分での厚さT0は相対的に大きい。従って、これらの部分は冷却されにくく、その中心部分の冷却・固化は相対的に遅くなり、冷却・固化する際には体積収縮する。このとき発生する収縮力F0が、近傍の円筒部13の下端部分を引っ張る。従って、円筒部13の外周面に、下側ほど大きなひずみ(ヒケ)が発生する。
【0039】
一方、図6Aに示されているように、出退口22の近傍にはロック歯20及びロック突起21は存在しない。また、出退口22の位置では底板15の肉厚はゼロである。従って、出退口22の近傍では、冷却・固化は比較的早い段階で進行するので、図6Bの位置と比較して、体積収縮は少なく、発生する収縮力も小さい。その結果、出退口22の近傍では、円筒部13の外周面に発生するひずみ(ヒケ)は相対的に小さい。
【0040】
従って、従来のハブ部材112では、出退口22の近傍部分と、周方向に隣り合う出退口22の間の部分とで、円筒部13の外周面に発生するひずみ量に差が生じる。
【0041】
従来のハブ部材112の円筒部13の外周面の形状測定結果の一例を図10Aに示す。形状測定機(Mitutoyo製Roundtest RA-2100)を用いて、図10Bに示す下フランジ14の上面からの高さHが1mm、2mm、3mm、4mm、5mmのそれぞれの地点で円筒部13の外表面の形状(即ち、半径方向の凹凸の変化量)を順に測定した。図10Aは、着目地点とこれより1mm上の地点(被比較地点)との測定値の差分をグラフ化したものである。即ち、「H=1mm」は、H=2mmの地点での測定値に対するH=1mmの地点での測定値の差分を意味し、「H=2mm」は、H=3mmの地点での測定値に対するH=2mmの地点での測定値の差分を意味し、「H=3mm」は、H=4mmの地点での測定値に対するH=3mmの地点での測定値の差分を意味し、「H=4mm」は、H=5mmの地点での測定値に対するH=4mmの地点での測定値の差分を意味する。図10Aにおいて、「直径変化量」がマイナスであることは、被比較地点に比べて着目地点で円筒部13の外周面が中心方向に後退していることを意味する。図10Aに示す角度は、図10Cに示すとおりである。出退口22は、0度、120度、240度の位置に設けられている。
【0042】
図10Aより、円筒部13の外周面の中心方向への後退量は、周方向に隣り合う出退口22の間の中央位置(角度が60度、180度、300度の位置)で特に大きく、出退口22の近傍位置(角度が0度、120度、240度の位置)では小さいことが分かる。また、前記後退量は、高さHが低いほど、即ち、下フランジ14に近いほど大きいことが分かる。この形状測定結果は、図6A及び図6Bで説明した、円筒部13の外周面のひずみの発生原理と整合する。
【0043】
これに対して、本実施形態1のハブ部材12は、図7A、図7B、図8に示したように、周方向に隣り合う出退口22の間の中央位置(図10A及び図10Cにおいて角度が60度、180度、300度に相当する位置)に、ロック歯20の外周側の一部を取り除く切り欠き25と、切り欠き25と連続する凹部26とが形成されている。従って、図8の部分IXの拡大断面図である図9に示すように、切り欠き25が形成された部分でのロック歯20及びロック突起21の幅W1、及び、凹部26が形成された部分での底板15の厚さT1が他の部分に比べて小さくなる。これにより、幅W1を有するロック突起21の部分や、厚さT1を有する底板15の部分の中心部分の冷却・固化を早めることができるので、冷却・固化する際の体積収縮によって発生する収縮力F1は、図6Aの収縮力F0に比べて小さくなる。その結果、従来のハブ部材112に比べて、円筒部13の外周面に発生するひずみ量が低減し、当該外周面の円筒度が向上する。
【0044】
図11Aは従来のハブ部材112について、また、図11Bは本実施形態1のハブ部材12について、樹脂成形完了後の縦断面内の温度分布を流動解析により求めた結果を示した図である。図11A、図11Bにおいて、濃淡は温度の高低を表している。図11A、図11Bは、図5、図8と左右が反転している。図11Aに示されているように、従来のハブ部材112では、底板15の厚さT0(図6B参照)を有する部分の中心部分で最高温度151.6℃に達しているのに対して、図11Bに示されているように、本実施形態1のハブ部材12では、厚さT1(図9参照)を有する部分の中心部分で最高温度141.6℃に達しており、本実施形態1のハブ部材12は従来のハブ部材112に比べて最高温度が10℃低くなっている。
【0045】
図12Aは従来のハブ部材112について、また、図12Bは本実施形態1のハブ部材12について、樹脂成形完了後の横断面内の温度分布を流動解析により求めた結果を示した図である。図12A、図12Bにおいても、濃淡は温度の高低を表している。図12Aに示されているように、従来のハブ部材112では、3つの出退口22の近傍で温度が低く、隣り合う出退口22間の3つの円弧状の領域で温度が高い。この3つの円弧状の領域に、図6Bで説明した中心に向かう収縮力F0が作用する。
【0046】
一方、図12Bに示されているように、本実施形態1のハブ部材12では、3つの出退口22の近傍に加えて、隣り合う出退口22間の中央部分(切り欠き25及び凹部26が形成された部分に相当する。図7Bを参照)において温度が低い。一方、相対的に温度が低いこれら6つの部分間の6つの円弧状の領域で温度が高い。本実施形態1では、この6つの円弧状の領域に、図9で説明した中心に向かう収縮力F1が作用する。
【0047】
図12A及び図12Bにおいて、収縮力F0,F1が作用する高温の円弧状の領域の両端は、その温度が相対的に低く作用する収縮力は相対的に小さいから、固定端と考えることができる。高温の円弧状の領域の弧長は、図12Aに示した従来のハブ部材112より図12Bに示した本実施形態1のハブ部材12の方が短いから、作用する収縮力F0,F1が同じであると仮定すると、円弧状の領域の変位量は従来のハブ部材112より本実施形態1のハブ部材12の方が少なくなる。実際には、図11A及び図11Bに示したように本実施形態1のハブ部材12は従来のハブ部材112に比べて最高温度が低いから、発生する収縮力にはF1<F0の関係が成立する。従って、円弧状の領域の変位量は、本実施形態1のハブ部材12は従来のハブ部材112に比べて更に小さくなる。
【0048】
このように、本実施形態1において円筒部13の外周面に発生するひずみ量が低減することが、流動解析によっても裏付けられる。
【0049】
以上のように、本実施形態1によれば、ロック歯20に切り欠き25を形成し、切り欠き25に連続して凹部26を形成しているので、切り欠き25及び凹部26の近傍での冷却・固化時の体積収縮によって発生するひずみ量を、出退口22近傍でのそれに近づけることができる。更に、切り欠き25及び凹部26を隣り合う出退口22間に形成しているので、出退口22の近傍や切り欠き25及び凹部26の近傍以外の部分でのひずみ量も小さくすることができる。これらにより、円筒部13の外周面のひずみ量及びひずみ量の不均一が低減するので、当該外周面の円筒度が向上する。その結果、円筒部13に巻回された磁気テープの巻きずれや、磁気テープの両端の伸び変形(一般に「わかめ状変形」と呼ばれる)を低減することができる。
【0050】
なお、凹部26に代えて、底板15を貫通する貫通孔を形成することも可能であるが、本実施形態1では、外部から円筒部13内にゴミなどの異物が侵入するのを防ぐため、有底の凹部26を形成している。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態2では、実施形態1で説明した切り欠き25及び凹部26の形成方法について説明する。
【0052】
実施形態1で説明したように、ハブ部材12は所定の金型内に樹脂を注入する射出成形法により一体的に作成される。この場合、切り欠き25及び凹部26を形成するための形状を金型に一体的に形成しておいてもよいが、入れ子構造を用いてもよい。図13は、切り欠き25及び凹部26を形成するための入れ子(「駒」と言うこともある)65を備えた金型の一例の部分拡大断面図である。図13において、61は上金型、62は下金型であり、入れ子65は上金型61に嵌め込まれている。
【0053】
入れ子構造を用いることにより、上金型61及び下金型62はそのままで、入れ子65のみを交換又は追加加工してその形状や寸法を調整することができる。従って、成形された円筒部13の外周面に発生したひずみ量等の測定と、切り欠き25及び凹部26を成形する入れ子65の交換又は追加加工とを必要に応じて繰り返して行うことにより、切り欠き25及び凹部26の形状や寸法を最適化して、容易且つ低コストで、円筒部13の外周面に発生するひずみ量を最小化することができる。従って、円筒部13の外周面の円筒度を更に向上させることができる。
【0054】
上記において、入れ子65の代わりに、成形したハブ部材12を上金型61から取り外すためのイジェクタピンを用いて切り欠き25及び凹部26を形成してもよい。この場合も、イジェクタピンの形状や寸法を調整することにより、容易且つ低コストで、円筒部の外周面の円筒度を更に向上させることができる。金型成形において一般的に使用されているイジェクタピンを用いて切り欠き25及び凹部26を形成することにより、さらなる低コスト化が可能である。
【0055】
上記の例は、切り欠き25及び凹部26の全部を入れ子65又はイジェクタピンで形成するものであるが、切り欠き25及び凹部26の一部のみを入れ子65又はイジェクタピンで形成してもよい。例えば、凹部26の底面の一部のみをイジェクタピンで形成することができる。この場合、切り欠き25及び凹部26の残りは、例えば金型(図13の例では上金型61)で形成することができる。あるいは、入れ子及びイジェクタピンを併用して、切り欠き25及び凹部26の全部又は一部を形成してもよい。
【0056】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。
【0057】
(実施形態3)
本実施形態3は、入れ子又はイジェクタピンと金型との分割位置において実施形態2と異なる。
【0058】
図13に示されているように、実施形態2では、ハブ部材12を成形するためのキャビティの内面において、入れ子65と上金型61との分割位置(境界)66がロック歯20に隣接している。従って、分割位置66にて入れ子65と上金型61との界面に腐食や摩耗が生じて両者間に隙間が形成されると、図14に示すように、ロック歯20上に上に向かって突出したバリ68が形成される可能性がある。このバリ68は、その高さがたとえわずかであっても、ロック歯20とリール押さえ部材40のロック歯41とのかみ合いを困難にする。
【0059】
そこで、本実施形態3では、図15に示すように、入れ子65と上金型61との分割位置66を、半径方向にはロック歯20から円筒部13側に離れた位置に、上下方向にはロック歯20よりも下側に設けている。
【0060】
図16は、図15に示した入れ子65を備えた金型によって成形された本実施形態3にかかるテープカートリッジの切り欠き25及び凹部26を示した拡大斜視図である。切り欠き25の上端に隣接して、水平方向と略平行な平面部27が形成されている。平面部27はロック歯20の谷(ロック歯20の凹凸のうち最も低い箇所)よりも下側に位置している。この平面部27は、図15から理解できるように、上金型61によって形成されたものである。
【0061】
本実施形態3によれば、分割位置66にて入れ子65と上金型61との界面に腐食や摩耗が生じて両者間に隙間が形成されると、図17に示すように、平面部27上に上側に向かって突出したバリ68が形成される。上述したように、平面部27は、ロック歯20の谷よりも下側に位置しているから、バリ68の高さL1が、平面部27とロック歯20の谷との高低差L0よりも低い限り、バリ68は、ロック歯20とリール押さえ部材40のロック歯41とのかみ合いに対して何ら悪影響を及ぼさない。
【0062】
従って、本実施形態3の入れ子構造は、実施形態2の入れ子構造に比べて、リール押さえ部材40のロック歯41に対するかみ合い不良が低減したハブ部材12を成形することができる。また、L1<L0を満足する限りバリ68の発生は許容されるから、ハブ部材12を成形後にバリ68を除去する頻度や、分割位置66で入れ子65と上金型61との界面に生じた腐食や摩耗を修理する頻度を低減することができる。従って、より安価にハブ部材12を成形することができる。
【0063】
実施形態2で説明したように、本実施形態3においても、入れ子65に代えてイジェクタピンを用いてもよい。また、切り欠き25及び凹部26の一部のみを入れ子65又はイジェクタピンで形成してもよい。
【0064】
なお、平面部27は、上記の例では水平方向と平行な面であったが、水平方向に対して傾斜した面であってもよい。また、平面である必要はなく、凸面、凹面などの任意の曲面であってもよい。
【0065】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1,2と同じである。
【0066】
(実施形態4)
本実施形態4は、切り欠き25及び凹部26の数及び配置位置に関して実施形態1と異なる。
【0067】
実施形態1では、切り欠き25及び凹部26は、隣り合う出退口22間の略中央位置(即ち、略円弧状のロック歯20の周方向の略中央位置)に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。
【0068】
例えば、図18に示すように、隣り合う出退口22間に切り欠き25及び凹部26の対が2個配置されていてもよい。もちろん、隣り合う出退口22間に切り欠き25及び凹部26の対を3個以上配置することもできる。切り欠き25及び凹部26の対は、その数に関わらず、隣り合う出退口22間を略等角度間隔に分割するように配置することが好ましい。図18の例では、ハブ部材12の中心に対して40度おきに切り欠き25及び凹部26の対又は出退口22が配置されている。
【0069】
本実施形態4によれば、切り欠き25及び凹部26の対の数が増えるので、円筒部13の外周面に発生するひずみ量が更に低減する可能性がある。
【0070】
本実施形態4は、上記を除いて実施形態1と同じである。本実施形態4のハブ部材12に、実施形態2,3を適用してもよい。
【0071】
(実施形態5)
本実施形態5は、切り欠き25及び凹部26の寸法に関して実施形態1と異なる。
【0072】
実施形態1では、切り欠き25及び凹部26の周方向の寸法は、出退口22のそれと略同一であったが、本発明はこれに限定されない。
【0073】
例えば、図19に示すように、周方向の寸法が拡大された略円弧状の切り欠き25及び凹部26をロック歯20に沿って形成してもよい。この場合も、略円弧状の切り欠き25及び凹部26は、隣り合う出退口22間の略中央位置に配置されることが好ましい。
【0074】
本実施形態5によれば、切り欠き25及び凹部26をロック歯20に沿って略円弧状に配置するので、円筒部13の外周面に発生するひずみ量が更に低減する可能性がある。
【0075】
本実施形態5は、上記を除いて実施形態1と同じである。本実施形態5のハブ部材12に、実施形態2,3を適用してもよい。また、本実施形態5の略円弧状の切り欠き25及び凹部26の対を、実施形態4に説明したように、隣り合う出退口22間に複数個配置してもよい。
【0076】
(実施形態6)
本実施形態6は、切り欠き25の形状に関して実施形態1と異なる。
【0077】
実施形態1では、切り欠き25は、ロック歯20及びロック突起21の外周側(円筒部13に近い側)の一部のみを切り欠いていたが、本発明の切り欠きはこれに限定されない。
【0078】
例えば、図20に示すように、ロック歯20を分断するように切り欠き25を形成してもよい。切り欠き25は底板15にまで達し、更に底板15が薄肉化されて凹部26が形成されている。
【0079】
本実施形態6によれば、ロック歯20が、出退口22と同様に、切り欠き25においても分断されるので、切り欠き25及び凹部26近傍での円筒部13の外周面に発生するひずみ量を、出退口22近傍でのそれに更に近づけることができる。よって、円筒部13の外周面に発生するひずみ量を更に低減することができる。
【0080】
なお、本実施形態6では、切り欠き25によるロック歯20とリール押さえ部材40のロック歯41とのかみ合い面積の減少量は、実施形態1よりも大きい。従って、例えば落下時の衝撃等を受けると、ロック歯20及びロック歯41の破損などの危険性が増大するかも知れない。但し、この危険性は、例えばロック歯20及びロック歯41の半径方向の寸法を拡大すること等により低減することが可能である。
【0081】
本実施形態6は、上記を除いて実施形態1と同じである。本実施形態6のハブ部材12に、実施形態2,3を適用してもよい。また、本実施形態6の切り欠き25及び凹部26を、実施形態4で説明したように隣り合う出退口22間に複数個配置してもよい。また、切り欠き25及び凹部26の周方向の寸法は、実施形態5で説明したように適宜調整することができる。
【0082】
上記の実施形態1〜6は例示に過ぎず、本発明はこれらの実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0083】
例えば、請求項に記載した本発明の範囲内において、公知のテープカートリッジの構成を適宜選択して本発明のテープカートリッジに組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の利用分野は特に制限はなく、例えばデータ記録用途等に用いられる単リール型のテープカートリッジとして好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 テープカートリッジ
2 筐体
10 リール
11 上フランジ
12 ハブ部材
13 円筒部
14 下フランジ
15 底板
20 リールのロック歯
21 ロック突起
22 出退口
25 切り欠き
26 凹部
27 平面部
30 ロック解除部材
31 操作爪
40 リール押さえ部材
41 リール押さえ部材のロック歯
45 バネ
61 上金型
62 下金型
65 入れ子
66 入れ子と金型との分割位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープが巻回されるリールと、
不使用時に前記リールの回転を阻止するリールロック機構と、
前記リール及び前記リールロック機構を収納する筐体とを備えたテープカートリッジであって、
前記リールは、円筒部と、前記円筒部の下側の開口を閉じる底板と、前記円筒部の外周面の下端から外向きに突出した下フランジとが一体的に成形されてなるハブ部材、及び、前記下フランジに対向するように前記円筒部の上端に接合された上フランジを備え、
前記リールロック機構は、
略等角度間隔に放射状に延びた3本のアームと、前記3本のアームのそれぞれの先端を下方に向かって折り曲げることで形成された操作爪とを備えたロック解除部材、
前記底板に対向する側の面にロック歯を備え、上下動可能且つ回転不能に前記筐体に支持されたリール押さえ部材、及び、
前記リール押さえ部材に対して下向きの付勢力を印加するバネ
を前記底板側から上側に向かってこの順に前記円筒部内に備え、
前記底板には、前記3本のアームの各先端の前記操作爪が貫通する3つの出退口が前記リールと同心の共通する円上に略等角度間隔で形成されており、
前記底板の前記リール押さえ部材に対向する側の面には、前記リール押さえ部材の前記ロック歯とかみ合うロック歯が、隣り合う前記出退口間に前記リールと同心の円弧に沿って形成されており、
前記底板には、前記ロック歯の少なくとも一部を切り欠く切り欠きと、前記切り欠きと連続し且つ前記底板を薄肉化する凹部とが形成されていることを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項2】
前記切り欠き及び前記凹部は、隣り合う前記出退口の略中央位置に形成されている請求項1に記載のテープカートリッジ。
【請求項3】
前記切り欠き及び前記凹部は、隣り合う前記出退口間にそれぞれ複数個形成されており、複数個の前記切り欠き及び前記凹部は、隣り合う前記出退口間を略等角度間隔に分割する位置に配置されている請求項1に記載のテープカートリッジ。
【請求項4】
前記切り欠きは、前記ロック歯の外周側の一部のみを切り欠いている請求項1〜3のいずれかに記載テープカートリッジ。
【請求項5】
前記切り欠きは、前記出退口間に延びる前記ロック歯を分断している請求項1〜3のいずれかに記載のテープカートリッジ。
【請求項6】
前記切り欠き及び前記凹部の一部又は全部が入れ子又はイジェクタピンにより形成されている請求項1〜5のいずれかに記載のテープカートリッジ。
【請求項7】
前記切り欠きの上端に隣接して平面部が形成されており、前記平面部は前記ロック歯の谷より前記底板に近い位置にあり、前記切り欠きと前記平面部との境界に前記入れ子又は前記イジェクタピンと金型との分割位置がある請求項6に記載のテープカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2013−51003(P2013−51003A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187082(P2011−187082)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)