説明

テープレコーダのリール駆動装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はテープレコーダのリール駆動装置に係り、特にモード変換が迅速になるようにその構造が改良されたテープレコーダのリール駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は従来のリール駆動装置を概略的に示す。テープレコーダのデッキ(図示せず)にはテープカセット(図示せず)のリールがそれぞれ安着する供給リールディスク6と巻取リールディスク1が設置されている。そして、リールディスク6,1の間には図示されていない駆動源により駆動される駆動ギヤー4が設置されている。そして、アイドラ5が駆動ギヤー4と常にかみ合うように連結レバー7が連結されている。したがって、前記アイドラ5は駆動ギヤー4とかみ合ったまま移動可能である。そして、巻取リールディスク1側には巻取リールディスク1と摩擦接触する摩擦ブレーキ3が設けられ、供給リールディスク6と摩擦回転する下部ディスク(図示せず)には図示されていないテンションポールにより作動するテンションバンド8が巻かれている。
【0003】前記摩擦ブレーキ3はREV,REWモード時テープに張力をあたえるように巻取リールディスク1と摩擦接触する。そして、テンションバンド8はPLAY,F.Fモード時下部ディスクを制動させテープに張力をあたえる。このような構成の従来のリール駆動装置において、PLAY,F.Fモードでは前記アイドラ5が駆動ギヤー4の回転力により時計方向に回動され前記巻取リールディスク1とかみ合い駆動し、REV,REWモードでは駆動ギヤー4が反対の方向に回動されアイドラ5が供給リールディスク6とかみ合い駆動する。このようにアイドラ5は選択されたモードによりリールディスク6,1に選択的にかみ合い駆動する。
【0004】しかし、このような駆動装置において、モード変換時アイドラ5は前記リールディスク6,1から分離し、同時にテープはピンチローラ(図示せず)とキャップスタン軸に引続き圧搾移送されるのでテープがリールから解ける現状が発生する。したがって、従来のリール駆動装置が採用されたテープレコーダは再生画面の質が落ち、雑音が発生する問題点がある。また、前記テープに所定の張力をあたえるように設置される摩擦ブレーキを駆動するための別途の装置が必要なので装置の構造が複雑になる問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記の問題点が解決されたリール駆動装置を提供することにある。更に詳しくは、モード変換が迅速でモード変換中テープの解け現状が発生しないリール駆動装置を提供することにある。本発明の他の目的は構造が簡単なリール駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために本発明は、テープリールがそれぞれ安着するリールディスクと、該リールディスクと同じ回転力を有するように同軸に設置され、摩擦フェルトが設けられたフェルトテーブルと、前記リールディスクとフェルトテーブルの間に設けられ、回転方向によりフェルトテーブルと選択的に摩擦回転/空回転する方向制御体とを備えた二個のリールテーブルと、前記二個のリールテーブルの間に設けられ、所定の駆動源から駆動される駆動ギヤーと、前記駆動ギヤーと前記各リールテーブルの方向制御体を相互連結する中間ギヤーと、前記リールテーブルのうち少なくとも一つのリールテーブルの側に設けられるテープテンション手段とを備えてなることを特徴とする。
【0007】本発明のテープレコーダのリール駆動装置によると、PLAY,F.Fモード時駆動ギヤーの回転力は中間ギヤーを通じて巻取リールテーブルに内設された方向制御体に伝達され、その方向制御体は巻取リールテーブルのフェルトテーブルと摩擦回転する。したがって、巻取リールディスクは駆動ギヤーの回転力により駆動される。反面、供給リールテーブルのリールディスクは供給リールテーブルに内設された方向制御体により空回転する。そしてREVIEW,REWINDモード時前記駆動ギヤーの回転方向が変りながら供給リールディスクは摩擦回転し、巻取リールディスクは空回転する。
【0008】前記各リールテーブルが前記駆動ギヤーと前記中間ギヤーにより連結されて駆動されることにより駆動ギヤーの回転方向によるモード変換が即刻に行われる。
【0009】
【実施例】本発明では主にカムコーダ(camcorder)のような小型のテープレコーダに本発明によるリール駆動装置を適用して説明する。図2ないし図5を参照すると、供給リール/巻取リールテーブル10,20は、テープリール(図示せず)がそれぞれ安着するリールディスク14,24と、該リールディスク14,24と同じ回転力を有するように同軸10’,20’に設置され、摩擦フェルト16,26が設けられたフェルトテーブル17,27と、前記リールディスク14,24とフェルトテーブル17,27の間に設けられ回転方向によりフェルトテーブル17,27と選択的に摩擦回転/空回転する方向制御体35,45を備える。そして前記リールディスク14,24と方向制御体35,45の間にはスプリング15,25が設置されフェルトテーブル17,27に方向制御体35,45を密着させる。このようなリールテーブル10,20はデッキ100に回転可能に設置される。前記デッキ100は図4に示したように図示されていない駆動手段により移動可能に設置される。
【0010】そして、前記二個のリールテーブル10,20の間には所定駆動源により駆動される駆動ギヤー30が配列される。そして、駆動ギヤー30と各リールテーブル10,20の間には中間ギヤー40,50が配列される。これら中間ギヤー40,50により駆動ギヤー30と各リールテーブル10,20が互いに連結される。前記駆動ギヤー30は駆動源の軸30’とベルト70に連結され駆動される。一方、前記中間ギヤー40,50は所定の着脱手段により前記各リールテーブル10,20と連結及び分離が可能である。
【0011】前記着脱手段は、前記駆動ギヤー30と中間ギヤー40,50が常にかみ合い、駆動ギヤー30により中間ギヤー40,50が移動可能に相互連結する複数のリンク62〜65と、所定の駆動源から駆動され、カム溝60’が形成されたカム60と、回転可能にピボット61’が設置され、一端が前記リンク62,63と連結され、他端が前記カム60に連動されるように設置されるカムレバー61と、前記複数のリンク62〜65の間に連結されるスプリング66,66’とを備えて構成される。
【0012】前記4個のリンク62〜65は前記中間ギヤー40,50と駆動ギヤー30の回転中心にヒンジ連結する。したがって、前記スプリング66,66’によりリンク62〜65が回転され中間ギヤー40,50は各リールテーブル10,20から離れる。ここで、前記中間ギヤー40,50は前記リンク62〜65に支持されデッキ100の上部に設置される。そして、前記カムレバー61のピボット61’と駆動ギヤー30の軸30”は図5に示したようにデッキ100の下部のベース110に固定される(図5ではピボットの設置状態は図示せず)。ここで、前記各リールテーブル10,20に設けられる各方向制御体35,45は(図5ないし図7参照)、前記リールディスク14,24と同軸10’,20’にスリップ可能に結合され、環形の溝(参照符号未表示)が形成された被駆動ディスク12,22と、該被駆動ディスク12,22の溝に結合され、内周面に傾斜溝11’,21’が形成され、外周面にギヤー11a,21aが形成されて前記中間ギヤー40,50とそれぞれかみ合う駆動ディスク11,21を備える。その傾斜溝11’,21’の壁にスプリング11”,21”の一端が固定され、他端にボール13,23が連結される。
【0013】ここで、前記ボール13,23は各駆動ディスク11,21の回転方向により前記傾斜溝11’,21’内で移動され、前記被駆動ディスク12,22の溝と傾斜溝11’,21’の壁の間に挟まれるか、それから解除される。そして、前記各リールテーブル10,20側にはテープに張力をあたえる所定のテンション手段が設けられる。PLAY,F.Fモード時供給リールから引出されるテープに張力をあたえるためのテンション手段は、前記供給リールテーブル10の被駆動ディスク12の外周面に所定の引張手段(図示せず)により引張されるテンションバンド90を巻いて構成した。前記テンションバンド90は通常のようにテープカセットからテープを引出させるガイドポールが設置されたポールベースの移動により連動するテンションポール(図示せず)により引張されうる。
【0014】そして、REV,REWモード時巻きリールから引出されるテープに張力をあたえるためのテープテンション手段は、前記巻取リールテーブル20の被駆動ディスク22に常にかみ合い駆動する固定ギヤー80と、前記固定ギヤー80とは常にかみ合い、固定ギヤー80の回転方向により前記被駆動ディスク22と連結または分離するように固定ギヤー80により移動する流動ギヤー81と、前記固定ギヤー80と流動ギヤー81を連結する連結レバー84とを備えて構成する。そして、前記連結レバー84から延長して延長部82を形成し、前記連結レバー84の回転区間のうち一地点に前記延長部82が引っ掛かるようにストッパ83を形成して、前記固定ギヤー80の回転による流動ギヤー81の過度な回転を防止するようにした。一方、前記巻取リールテーブル20の側に設けられるテープテンション手段は前記供給リールテーブル10の側に設けられうる。
【0015】以下本発明によるリール駆動装置の作動を説明する。図4を参照すると、まずテープカセットのアンローディング時、前記カム60の回転によりカムレバー61は反時計方向に回転する。これにより、前記中間ギヤー40,50は前記リンク62〜65がスプリング66,66’により互いに近よる方向に回転することにより互いに隣接する。したがって、中間ギヤー40,50と駆動ギヤー30の配列距離は前記二個のリールテーブル10,20間の間隔より短くなる。次いで、前記各リールテーブル10,20にテープカセットが安着し、デッキ100が回転ヘッドドラム(図示せず)の側にローディングする。ローディングが完了すると、図2に示したように所定の駆動源(図示せず)により回転するカム60によりカムレバー61は時計方向に回転する。このとき、前記各中間ギヤー40,50は前記リンク61〜65により互い遠くなる方向に移動し、各リールテーブル10,20の駆動ディスク11,21とかみ合う。このとき、前記スプリング66,66’は引張された状態で残る(図2及び図3には方向制御体35,45の駆動ディスク11,21を付加的に示した)。
【0016】PLAY,F.Fモード時駆動ギヤー30は時計方向に駆動し、同時に動力は各中間ギヤー40,50を通じて伝達され各リールディスク14,24も時計方向に回転する。このとき、図5及び図6に示したように、巻取リールテーブル20に内設された駆動ディスク21のボール23は回転慣性力により傾斜溝21’の狭い側に移動され、被駆動ディスク22の壁と傾斜溝21’の壁の間に挟まれる。したがって、駆動ディスク21と被駆動ディスク22は共に回転しフェルトテーブル27を摩擦回転させる。即ち、リールディスク24とフェルトテーブル27は前記被駆動ディスク22と摩擦回転することにより一定の回転力で回転する。そして、巻取リールテーブル20の被駆動ディスク22にかみ合った固定ギヤー80が反時計方向に回転することにより、流動ギヤー81は被駆動ディスク22から離れる。
【0017】そして、供給リールテーブル10側の駆動ディスク11は図2及び図7に示したように、時計方向に回転することにより、ボール13は慣性回転によりスプリング11”を圧縮しながら傾斜溝11’の広い側に移動することになる。したがって、中間ギヤー40にかみ合い駆動する駆動ディスク11は被駆動ディスク12に対して空回転する。したがって、テープは巻取リールテーブル20側のリールディスク24の回転力により供給リール(図示せず)から解かれる。このときテンションバンド90は所定の引張手段(図示せず)により引張される。したがって、被駆動ディスク12は停止し、フェルトテーブル17とリールディスク14は被駆動ディスク12に摩擦回転されて走行するテープに一定の張力をあたえることになる。
【0018】このように作動するPLAY,F.FモードからREV,REWモードにモード変換すると、各リールテーブル10,20の駆動ディスク11,21は中間ギヤー40,50を通じて駆動ギヤー30と互いに連結されているので、即刻に回転方向が換りながら回転する。前記供給リールテーブル10のリールディスク14は方向制御体35に対して摩擦回転し、巻取リールテーブル20側のリールディスク24は空回転する。しかし、図3を参照すると、巻取リールテーブル20の被駆動ディスク22にかみ合った固定ギヤー80は時計方向に回転するので流動ギヤー81は被駆動ディスク22とかみ合う。したがって、前記三つのギヤー22,80,81が同時にかみ合うので被駆動ディスク22は停止する。これにより、リールディスク24は方向制御体45に摩擦回転して走行するテープに張力をあたえる。一方、供給リールテーブル10の側に設置されたテンションバンド90は被駆動ディスク12から解除される。前記説明したREV,REWモードの方向制御体35,45の作動は前記PLAY,F.Fモードと作動が似ているので詳しい説明は省略した。
【0019】
【発明の効果】以上で説明したように本発明によるリール駆動装置は各リールテーブル10,20が中間ギヤー40,50により駆動ギヤー30と互いに連結されているのでモード変換が迅速なテープレコーダを提供する。したがって、本発明のリール駆動装置が採用されたテープレコーダはテープの解けが発生しないので再生画質を良好にする。また、テープに所定の張力をあたえるテンション手段がリールテーブルの回転方向により自動的に動作する固定ギヤーと流動ギヤーだけで構成されるので装置の構造が簡単になったテープレコーダが提供される。
【0020】なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。例えば、前記二つのリールテーブルと駆動ギヤーの間を連結する中間ギヤーは二個と限定されるのではなく、メカニズムの構造により適定数の中間ギヤーに配列しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のリール駆動装置を示した概略図である。
【図2】PLAY,F.Fモードを説明するための本発明によるリール駆動装置を示した概略図である。
【図3】REV,REWモードを説明するための本発明によるリール駆動装置を示した概略図である。
【図4】中間ギヤーをリールテーブルから分離させる動作を説明するための本発明によるリール駆動装置を示した概略図である。
【図5】本発明によるリール駆動装置の概略的断面図である。
【図6】巻取リールテーブルに設けられる方向制御体の駆動ディスクを示した平面図である。
【図7】供給リールテーブルに設けられる方向制御体の駆動ディスクを示した平面図である。
【符号の説明】
10 供給リールテーブル
11,21 駆動ディスク
11’,21’ 傾斜溝
11”,21”,66 スプリング
20 巻取リールテーブル
30 駆動ギヤー
35,45 方向制御体
40,50 中間ギヤー
60 カム
61 カムレバー
62〜65 リンク
70 ベルト
80 固定ギヤー
81 流動ギヤー
82 延長部
83 ストッパ
84 連結レバー
90 テンションバンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 テープリールがそれぞれ安着するリールディスクと、該リールディスクと同じ回転力を有するように同軸に設置され、摩擦フェルトが設けられたフェルトテーブルと、前記リールディスクとフェルトテーブルの間に設けられ、回転方向によりフェルトテーブルと選択的に摩擦回転/空回転する方向制御体とを備えた二個のリールテーブルと、前記二個のリールテーブルの間に設けられ、所定の駆動源から駆動される駆動ギヤーと、前記駆動ギヤーと前記各リールテーブルの方向制御体を相互連結する中間ギヤーと、前記リールテーブルのうち少なくとも一つのリールテーブルの側に設けられ、テープに一定の張力をあたえるテープテンション手段とを備えてなり、該テープテンション手段は、前記リールディスクと同軸にスリップ可能に結合して環形の溝が形成され、外周面にギヤーが形成された被駆動ディスクと、該被駆動ディスクの溝に結合し内周面に傾斜溝が形成され、その傾斜溝の壁にスプリングの一端が固定し他端にボールが連結し、外周面にギヤーが形成され前記中間ギヤーとかみ合う駆動ディスクをもつ方向制御体を備え、前記被駆動ディスクに常にかみ合い駆動する固定ギヤーと、前記固定ギヤーとは常にかみ合う固定ギヤーの回転方向により前記被駆動ディスクと連結または分離するように固定ギヤーによって移動する流動ギヤーと、前記固定ギヤーと流動ギヤーを連結する連結レバーとを備えて、前記固定ギヤーの回転方向により前記流動ギヤーが被駆動ディスクとかみ合うように構成したことを特徴とするテープレコーダのリール駆動装置。
【請求項2】 前記各方向制御体は、前記リールディスクと同軸にスリップが可能に結合し、環形の溝が形成された被駆動ディスクと、該被駆動ディスクの溝に結合して内周面に傾斜溝が形成され、該傾斜溝の壁にスプリングの一端が固定されて他端にボールが連結し、外周面にギヤーが形成され前記中間ギヤーとかみ合う駆動ディスクとを備え、前記駆動ギヤーの回転方向により前記ボールが傾斜溝内から移動して前記被駆動ディスクの溝の壁と傾斜溝の壁の間に挟まれるか、それから解除されるようにしてなることを特徴とする請求項1記載のテープレコーダのリール駆動装置。
【請求項3】 前記連結レバーから延長して延長部を形成し、前記連結レバーの回転区間のうち一地点に前記延長部が引っ掛かるようにストッパを形成して、前記固定ギヤーの回転による流動ギヤーの過度な回転が防止されるように構成したことを特徴とする請求項1記載のテープレコーダのリール駆動装置。
【請求項4】 前記中間ギヤーを各リールテーブルから着脱可能にする着脱手段が更に備えられてなることを特徴とする請求項1記載のテープレコーダのリール駆動装置。
【請求項5】 前記着脱手段は、前記駆動ギヤーと中間ギヤーが常にかみ合い、駆動ギヤーにより中間ギヤーが移動可能になるように相互連結する複数のリンクと、所定の駆動源から駆動されるカムと、回転可能にピボットを設置し、一端が前記リンクと連結し、他端が前記カムに連動されるように設置するカムレバーと、前記複数のリンクの間に連結されるスプリングとを備えて、前記カムの回転により前記各中間ギヤーが各リールテーブルから着脱可能になるように構成したことを特徴とする請求項記載のテープレコーダのリール駆動装置。

【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2728613号
【登録日】平成9年(1997)12月12日
【発行日】平成10年(1998)3月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−10104
【出願日】平成5年(1993)1月25日
【公開番号】特開平5−258401
【公開日】平成5年(1993)10月8日
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【参考文献】
【文献】特開 平3−254457(JP,A)