説明

テープ貼着工具

【課題】テープを相手部材の側縁部に沿って容易に貼着できるテープ貼着工具の提供を図る。
【解決手段】把手1Aを把持してテープガイド3の位置決め部3aをドアトリム11の側縁部に当接させて、ドアトリム11の所定位置に貼着した不織布テープ12の貼着始端上にローラ2を押し当てて、テープ貼着方向へ転動させる。これにより、不織布テープ12はテープガイド3,4によってテープ幅方向の遊動が規制されてローラ2とドアトリム11面との間に逐次遊動されると共に、ドアトリム11の側縁部に沿って整然と貼着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープを相手部材の側縁部に沿って貼着する場合に用いられるテープ貼着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のトリム部材の側縁部に不織布テープを貼着して、トリム部材の側縁部が車体パネル面と直接接触することによって生じる不快な摺擦異音の発生を回避するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−216683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不織布テープは、専ら作業者の手作業によってトリム部材の側縁部に沿って押圧,貼着するようにしている。
【0005】
このため、不織布テープを位置がずれないように貼着するのが難しく作業性の改善が望まれている。
【0006】
そこで、本発明はテープを相手部材の側縁部に沿って容易に貼着することができるテープ貼着工具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテープ貼着工具は、把持部材と、前記把持部材に回転可能に装着されて、テープを相手部材面に押圧するローラと、前記テープの幅相当の間隔をおいて前記ローラの両側で前記把持部材に固定され、前記テープを前記ローラと相手部材面との間へ誘導する一対のテープガイドと、を備えている。
【0008】
そして、前記テープガイドの一方は、前記ローラよりも下方に張り出して、前記相手部材の側縁部に摺擦,係合する位置決め部を備えていることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一方のテープガイドの位置決め部を相手部材の側縁部に当接させて、相手部材面の所定位置に貼着したテープの貼着始端上にローラを押し当てて、テープ貼着方向へ転動させる。これにより、テープは一対のテープガイドによってテープ幅方向の遊動が規制されてローラと相手部材面との間に逐次誘導されると共に、相手部材の側縁部に沿って整然と貼着される。
【0010】
この結果、テープの位置ずれを生じることがなく、テープを相手部材面に容易に貼着することができて、テープの貼着作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るテープ貼着工具の一実施形態を斜め下方から見た斜視図。
【図2】図1に示したテープ貼着工具の断面説明図。
【図3】テープ貼着工具の使用例を示す斜視説明図。
【図4】テープ貼着工具の使用例を示す斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0013】
図1,図2に示す本実施形態のテープ貼着工具は、把持部材1と、該把持部材1に回転可能に装着されて後述するテープ12を相手部材11面(テープ12,相手部材11は何れも図3,図4参照)に押圧するローラ2と、一対のテープガイド3,4と、を備えている。
【0014】
把持部材1は、把手1Aと、該把手1Aを固定すると共に、前記ローラ2およびテープガイド3,4を取りつけるベース部材1Bと、で構成している。
【0015】
把持部材1,ローラ2,およびテープガイド3,4は、何れも適宜の合成樹脂材で構成している。
【0016】
把持部材1のベース部材1Bは、逆L字状断面に形成してあり、逆L字状の上面部分に把手1Aを螺合固定して立設し、側面部分にローラ2とテープガイド3,4とをボルト6とナット7とにより取りつけるようにしている。
【0017】
ローラ2には、その中心部分に軸受部材5を圧入嵌合してサブアッセンブリしてある。
【0018】
このローラ2の両側にテープガイド3,4を配置し、これらテープガイド3,4と軸受部材5とにボルト6を挿通し、ナット7締めすることによって、これらテープガイド3,4と軸受部材5とをベース部材1Bに固定している。
【0019】
ローラ2の側面とテープガイド3,4との接触を避けるため、例えば、軸受部材5のインナレース5aの一端にテープガイド4に当接するスペーサ部5bをフランジアップして形成し、テープガイド3の内面側中心部分にこのインナレース5aの他端に当接するスペーサ部3bを突出して有段成形してある。
【0020】
テープガイド3は、ローラ2よりも下方に張り出して、相手部材11の側縁部に摺擦,係合する位置決め部3aを備えている。
【0021】
テープガイド4は、その下縁を相手部材11面に近接もしくは摺擦する平坦な直状縁4aとして形成している。
【0022】
本実施形態では、テープガイド3,4を何れもローラ2よりも大径の円盤状に形成して、位置決め部3aはテープガイド3の円盤形状の下側部分で構成し、直上縁4aはテープガイド4の下側をローラ2の下面よりもやや上側の位置でほぼ水平に切欠した形状として構成している。
【0023】
次に、上述の構成からなるテープ貼着工具を用いて、テープを相手部材に貼着する作業例を図3,図4により説明する。
【0024】
この作業例では、自動車のドアトリム11を相手部材とし、その裏面側の側縁部に沿ってテープとしての不織布テープ12を貼着する場合を示している。
【0025】
図3は不織布テープ12の貼着作業開始時を示している。不織布テープ12は予め所要の長さに裁断し、一側面に付設した離型紙を剥がして接着面を露出させる。作業者はこの不織布テープ12の貼着始端部をドアトリム11の側縁部近傍の所要位置に位置合わせして乗せ、指先で軽くしごいて貼着させる。
【0026】
次に、作業者は一方の手Hでテープ貼着工具の把手1Aを把持し、一方のテープガイド3の位置決め部3aをドアトリム11の側縁部に当接させ、ローラ2を不織布テープ12の貼着始端部上に押し当てる。このとき、不織布テープ12の未貼着部分は、ローラ2の上側に巻き返すようにしてテープガイド3,4の間に部分的に入り込ませる。
【0027】
そして、不織布テープ12の未貼着部分に他方の手を添え、あるいは自由状態のまま押圧状態を維持して図4に示すようにローラ2をテープ貼着方向に向けて押圧,転動させる。
【0028】
これにより、不織布テープ12は一対のテープガイド3,4によってテープ幅方向の遊動が規制されてローラ2とドアトリム11との間に逐次誘導されると共に、ドアトリム11の側縁部に沿って整然と貼着される。
【0029】
この結果、不織布テープ12の位置ずれを生じることがなく、不織布テープ12をドアトリム11の適正位置に容易に貼着することができて、貼着作業性を改善することができる。
【0030】
本実施形態では、他方のテープガイド4の下縁を、ドアトリム11面に近接もしくは摺接する平坦な直状縁4aとして形成しているので、前記ローラ2の移動時に工具が全体的に移動前後方向にフラツキを生じることがなく、安定姿勢を維持して貼着作業を行えて、より作業性を向上することができる。
【0031】
前記実施形態では、ドアトリム11に不織布テープ12を貼着する作業例を示したが、これに限定されず、テープを相手部材面の側縁部に沿って貼着する作業に用いて同様の効果を奏することができる。
【0032】
また、テープガイド3,4は円盤状のものを示したが形状はこれに限定されず、テープ12の遊動を抑えて貼着部へ誘導できる構成であればよい。
【0033】
また、ローラ2は移動方向に複数を多段配置した構成でもよく、更には、把持部材1はその把手1Aがローラ2の直上部分に配置した構成であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…把持部材
2…ローラ
3…一方のテープガイド
3a…位置決め部
4…他方のテープガイド
4a…直状縁
11…ドアトリム(相手部材)
12…不織布テープ(テープ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部材と、
前記把持部材に回転可能に装着されて、テープを相手部材面に押圧するローラと、
前記テープの幅相当の間隔をおいて前記ローラの両側で前記把持部材に固定され、前記テープを前記ローラと相手部材面との間へ誘導する一対のテープガイドと、を備え、
前記テープガイドの一方は、前記ローラよりも下方に張り出して、前記相手部材の側縁部に摺擦,係合する位置決め部を備えていることを特徴とするテープ貼着工具。
【請求項2】
前記テープガイドの他方は、その下縁を前記相手部材面に近接もしくは摺擦する直状縁として形成したことを特徴とする請求項1に記載のテープ貼着工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112468(P2013−112468A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259743(P2011−259743)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】