説明

ディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ

【課題】ディジタルビデオフォーマットに準拠して録画された動画データをビデオデッキにより直接再生する。
【解決手段】VTRカセットと同じ大きさでVTRデッキのカセット挿入口から挿入されるケース2を備え、ケースは、ケースがVTRデッキ内にセットされるとVTRデッキの回転ヘッドにローディングされる無端状のビデオテープ4a〜4d、アナログビデオデータを新たに記録する前にビデオテープの記録を消去する消去ヘッド6、半導体メモリカードが挿入されるメモリスロット部9、半導体メモリカードに録画されているディジタルビデオデータを読み出しデコーディングしてアナログビデオデータに変換する動画デコード部10、およびアナログビデオデータをビデオテープに録画する録画ヘッド11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アナログのビデオデッキでディジタルの動画データを再生するためにアナログのビデオ信号に変換するディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
媒体に録音されたディジタルオーディオデータをカセットテープ再生装置で再生するために、カセットテープ再生装置で使用されるカセットテープと互換形状をしたケースを有するディジタルオーディオデータ再生装置が提案されている。そして、ケースは、外部装置と圧縮符号化されたディジタルオーディオデータの入出力を行う入出力手段と、データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたデータを読み出して伸長処理により復号を行う復号手段と、復号手段により復号されたデータをアナログ信号に変換するD/A変換手段と、D/A変換手段により変換されたアナログ信号をカセットテープ再生装置に伝達する磁気ヘッドとを収納した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−43669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エレベータ用の防犯カメラは、HDDに録画するタイプが主流となっているが、顧客にはVTRデッキにより画像を確認したいという要望があり、ビデオテープにダビングして提供している。しかし、ビデオテープへのダビングは記録時間と同等の時間が必要となるため、エレベータを保守管理する人に多大な負担を強いることになる。
また、特許文献1に記載のディジタルオーディオデータ再生装置ではビデオデータを再生することができない。
また、PCを前提としたシステムでは高齢者の管理者では操作できないという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、ディジタルビデオフォーマットに準拠して録画された動画データをビデオデッキにより直接再生することのできるディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタは、VTRカセットと同じ大きさでVTRデッキのカセット挿入口から挿入されるケースを備え、上記ケースは、上記ケースが上記VTRデッキ内にセットされると上記VTRデッキの回転ヘッドにローディングされる無端状のビデオテープ、アナログビデオデータを新たに記録する前に上記ビデオテープの記録を消去する消去ヘッド、半導体メモリカードが挿入されるメモリスロット部、上記半導体メモリカードに録画されているディジタルビデオデータを読み出しデコーディングしてアナログビデオデータに変換する動画デコード部、および上記アナログビデオデータを上記ビデオテープに録画する録画ヘッドを有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタの効果は、ディジタルの動画データをデコーディングしてアナログのビデオ信号に変換し、変換されたアナログのビデオ信号を無端状に周回するビデオテープに録画し、ビデオテープに録画されたアナログのビデオ信号を一般的なビデオデッキで再生するので、従来のアナログのビデオカセットをビデオデッキで再生することと同様にビデオデッキのカセット挿入口に挿入すればよく、一度ビデオカセットにダビングする必要がないことである。そのため、ダビングに要する多大な負担を強いることがなくなることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明を実施するための最良の形態に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタの構成図である。図2は、この発明を実施するための最良の形態に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタの斜視図である。
この発明を実施するための最良の形態に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1は、VTRカセットと同じ大きさで図示しないVTRデッキのカセット挿入口から挿入されるケース2、ケース2の内部に収納されVTRデッキ内にセットされるとVTRデッキの回転ヘッドにローディングされる無端状のビデオテープ3、ビデオテープ3の周回を案内する4つのガイドローラ4a〜4d、ガイドローラ4a〜4dの1つを回転駆動するモータ5、アナログビデオデータ(以下、AVデータと称す。)を新たに記録する前にビデオテープ3の記録を消去する消去ヘッド6、VTRカセットの磁気テープを周回するビデオデッキの回転軸に嵌合して回転する2つの回転ローラー7a、7bを備える。
【0009】
また、この発明を実施するための最良の形態に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1は、半導体メモリカードとしてUSBメモリカード8が挿入されるメモリスロット部9、USBメモリカード8に録画されているディジタルビデオデータ(以下、DVデータと称す。)を読み出しデコーディングしてAVデータに変換する動画デコード部10、AVデータをビデオテープ3に記録する録画ヘッド11、回転ローラー7aの回転を検出する回転検出部12、回転検出部12で検出した回転の方向および速度に従ってモータ5を制御してビデオテープの速度を調整するモータ部13、ディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1全体を制御する制御部14、ディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1に電源を供給する電池15、電源の供給を入切する電源スイッチ17を備える。
【0010】
メモリカードとして、USBメモリカード8を例に用いているが、例えばCompactFlash、SmartMedia(登録商標)、SDメモリカード、メモリースティック、MMC、xDピクチャーカードなどの規格に準拠したメモリカードであれば適用できる。
【0011】
USBメモリカード8に録画されているDVデータを動画デコード部10でデコーディングしてAVデータに変換し、AVデータを録画ヘッド11でビデオテープ3に録画する。
VTRデッキは、ビデオテープ3に録画されたAVデータを再生しアナログのビデオ信号を出力する。このアナログのビデオ信号は図示しないテレビモニタに入力されて動画が表示される。
【0012】
回転検出部12は、VTRデッキからの早送り、巻き戻または通常再生の指示を回転ローラー7aの回転の方向および速度から検出する。
制御部14は、DVデータを読み出すときにDVデータの読み出し位置を確認し、DVデータの読み出しを停止するときDVデータのファイル名、現在の日付および時刻、読み出し位置を読出テーブルに記憶する。
例えば、4つのメモリスロット部9が備わった場合、図3に示すように、読出テーブルに直近に再生したDVデータに係る情報が記憶されている。ファイル名がAAAAというDVデータは2007年11月28日の11時13分05秒で読み出し位置10分20秒00において読み出しが停止したことを表している。
また、制御部14は、DVデータを読み出すときに、早送り、巻き戻しまたは通常再生の指示に応じたDVデータを読出テーブルに記憶されている読み出し位置から読み出して動画デコード部10でAVデータに変換し、録画ヘッド11を用いて変換したAVデータをビデオテープ3に録画する。なお、読出テーブルに現在メモリスロット部9に挿入されているUSBメモリカード8に録画されているDVデータのファイル名が記憶されていないときには読み出し位置を先頭として読み出しを開始する。
【0013】
また、制御部14は、メモリスロット部9に挿入されているUSBメモリカード8の数を検出してシングル画面で再生するかマルチ画面で再生するかを決定する。すなわち、4つのメモリスロット部9のうち1つのメモリスロット部9にだけUSBメモリカード8が挿入されているときシングル画面で再生する。一方、4つのメモリスロット部9のうち2つ以上のメモリスロット部9にUSBメモリカード8が挿入されているとき4画面のマルチ画面で再生する。
また、制御部14は、4画面のマルチ画面で再生するときメモリスロット部9に挿入されている複数のUSBメモリカード8からDVデータを読み出し、読み出した複数のDVデータを動画デコード部10に入力する。動画デコード部10は入力された複数のDVデータをミキシングして一画面のAVデータに変換して出力する。
【0014】
次に、この発明に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1を用いてUSBメモリカード8に録画されたDVデータをTVモニタに再生する再生処理手順を説明する。図4は、この発明に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1を用いてUSBメモリカード8に録画されている動画データを再生する再生処理手順を示すフローチャートである。
再生処理に先立ってディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1のメモリスロット部9にUSBメモリカード8を挿入してから電源スイッチ17をONする。それから、ディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1をVTRデッキのVTRテープ挿入口から挿入する。
【0015】
ステップS101で、回転ローラー7aが回転しているか否かを判断し、回転ローラー7aが回転しているときステップS102に進み、回転ローラー7aが回転していないときステップS101を繰り返す。
ステップS102で、4つのメモリスロット部9のうち2つ以上にUSBメモリカード8が挿入されているか否かを判断し、1つしかUSBメモリカード8が挿入されていなければステップS103に進み、2つ以上のUSBメモリカード8が挿入されているときはステップS105に進む。
【0016】
ステップS103で、読出テーブルから挿入されているUSBメモリカード8に録画されているDVデータの再生を開始する位置を特定する。DVデータを識別するファイル名が読出テーブルに記憶されているときには再生を開始する位置を読み出し位置とし、ファイル名が読出テーブルに記憶されていないときには再生を開始する位置を先頭とする。
ステップS104で、再生を開始する位置から再生を開始する。
【0017】
ステップS105で、読出テーブルから挿入されている各USBメモリカード8に録画されているDVデータの再生を開始する位置を特定する。DVデータを識別するファイル名が読出テーブルに記憶されているときには再生を開始する位置を読み出し位置とし、ファイル名が読出テーブルに記憶されていないときには再生を開始する位置を先頭とする。
ステップS106で、画面を4つの領域に分割してUSBメモリカード8に対応する領域で再生を開始する位置から再生を開始する。
【0018】
ステップS107で、回転ローラー7aが巻き戻しされているか否かを判断し、回転ローラー7aが巻き戻しされているときステップS108に進み、回転ローラー7aが巻き戻しされていないときステップS111に進む。
ステップS108で、読み出し位置が先頭か否かを判断し、読み出し位置が先頭のときステップS109に進み、読み出し位置が先頭でないときステップS110に進む。
ステップS109で、読み出し位置を最後尾としてステップS110に進む。
ステップS110で、巻き戻し再生してステップS107に戻る。
【0019】
ステップS111で、回転ローラー7aが早送りされているか否かを判断し、回転ローラー7aが早送りされているときステップS112に進み、回転ローラー7aが早送りされていないときステップS115に進む。
ステップS112で、読み出し位置が最後尾か否かを判断し、読み出し位置が最後尾のときステップS113に進み、読み出し位置が最後尾でないときステップS114に進む。
ステップS113で、読み出し位置を先頭としてステップS114に進む。
ステップS114で、早送り再生してステップS107に戻る。
【0020】
ステップS115で、回転ローラー7aが通常再生で回転されているか否かを判断し、回転ローラー7aが通常再生で回転されているときステップS116に進み、回転ローラー7aが通常再生で回転されていないときステップS119に進む。
ステップS116で、読み出し位置が最後尾か否かを判断し、読み出し位置が最後尾のときステップS117に進み、読み出し位置が最後尾でないときステップS118に進む。
ステップS117で、読み出し位置を先頭としてステップS118に進む。
ステップS118で、通常再生してステップS107に戻る。
【0021】
ステップS119で、回転ローラー7aが停止しているか否かを判断し、回転ローラー7aが停止しているときステップS120に進み、回転ローラー7aが回転しているときステップS107に戻る。
ステップS120で、現在メモリスロット部9に挿入されているUSBメモリカード8に録画されているDVデータのファイル名、現在の日付、時刻、読み出し位置を読出テーブルに記憶して再生処理手順を終了する。
【0022】
この発明に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ1は、ディジタルの動画データをデコーディングしてアナログのビデオ信号に変換し、変換されたアナログのビデオ信号を無端状に周回するビデオテープ3に録画し、ビデオテープ3に録画されたアナログのビデオ信号を一般的なビデオデッキで再生するので、従来のアナログのビデオカセットをビデオデッキで再生することと同様にビデオデッキのカセット挿入口に挿入すればよく、一度ビデオカセットにダビングする必要がない。そのため、ダビングに要する多大な負担を強いることがなくなる。
【0023】
また、複数のディジタルの動画データをミキシングしてからデコーディングし一画面の中に複数の動画データを表示するので、同時に複数の動画データを確認することができ、確認作業時間を短縮化できる。
また、直近に動画データを再生したときに再生を停止した位置を読出テーブルに記憶しておき、再度その動画データを再生するときには読出テーブルに記憶された位置から再生を開始するので、再生の途中で再生を中断し再開しても動画データの先頭から再生するという無駄な時間の発生を防止できる。
【0024】
また、VTRデッキの巻き戻し、早送りまたは通常再生をVTRデッキのカセットテープを走行させる回転軸の回転の方向および速度から検出する回転検出部を有し、巻き戻し、早送りまたは通常再生に従ってディジタルの動画データを読み出してビデオテープに録画するので、巻き戻しおよび早送りでも動画データを再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明を実施するための最良の形態に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタの構成図である。
【図2】この発明を実施するための最良の形態に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタの斜視図である。
【図3】ディジタルの動画データの読み出しを停止するときに読み出し位置を記憶する読出テーブルのデータ構造である。
【図4】この発明に係るディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタを用いてUSBメモリカードに録画されているディジタルの動画データを再生する再生処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1 ディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ、2 ケース、3 ビデオテープ、4a〜4d ガイドローラ、5 モータ、6 消去ヘッド、7a、7b 回転ローラー、8 メモリカード、9 メモリスロット部、10 動画デコード部、11 録画ヘッド、12 回転検出部、13 モータ部、14 制御部、15 電池、17 電源スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VTRカセットと同じ大きさでVTRデッキのカセット挿入口から挿入されるケースを備え、
上記ケースは、上記ケースが上記VTRデッキ内にセットされると上記VTRデッキの回転ヘッドにローディングされる無端状のビデオテープ、アナログビデオデータを新たに記録する前に上記ビデオテープの記録を消去する消去ヘッド、半導体メモリカードが挿入されるメモリスロット部、上記半導体メモリカードに録画されているディジタルビデオデータを読み出してデコーディングしアナログビデオデータに変換する動画デコード部、および上記アナログビデオデータを上記ビデオテープに録画する録画ヘッドを有することを特徴とするディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ。
【請求項2】
上記ケースは、上記VTRカセットの磁気テープを周回するビデオデッキの回転軸に嵌合して回転する回転ローラー、上記回転ローラーの回転から上記ビデオデッキでの指示が巻き戻し、早送りまたは通常再生のいずれかであるかを検出する回転検出部、および巻き戻し、早送りまたは通常再生の指示に従って上記半導体メモリカードからディジタルビデオデータを巻き戻し、早送りまたは通常再生で読み出す制御部を有することを特徴とする請求項1に記載のディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ。
【請求項3】
上記制御部は、上記メモリスロット部に複数の半導体メモリカードが挿入されたとき複数のディジタルビデオデータを読み出し、
上記動画デコード部は、複数のディジタルビデオデータをミキシングして一画面上に表示することを特徴とする請求項2に記載のディジタル−アナログビデオデータ変換アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−181622(P2009−181622A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18789(P2008−18789)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】