説明

ディジタルカーオーディオの再生方法

【目的】 記録媒体の演奏開始時に速やかに音声出力を行うことができるようにする。
【構成】 ミニディスクMDの演奏中に電源がオフされたとき、バックアップ電源によりDRAM17Aに対する電源の供給を継続して電源オフ前に書き込まれたデータを保持させ、次に、電源がオンされたとき、DRAM17Aに保持されているデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、サーボ動作が安定してミニディスクMDからオーディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディジタルカーオーディオの再生方法に係り、特に車載用ミニディスクシステムや車載用DCC(ディジタルコンパクトカセット)システムなどで、記録媒体から読み出したオーディオデータを一旦、DRAMに保持させたのち、該DRAMから読み出して音声出力するようにしたディジタルカーオーディオの再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在のミュージックソースの主流であるコンパクトディスク(CD)は、高音質、容易な頭出し、耐久性の高さなど、従来のレコードやカセットテープには無い数々の優れた特徴を持っている。けれども、広く普及するに従い、直径が12cmあることによる取り扱い難さなどの問題も浮かび上がってきており、この点に鑑みて、近年、コンパクトディスクの約半分のサイズ(直径6.4cm)で取り扱い易くしたミニディスク(MD)の提案がなされている。
【0003】ミニディスクは小型で、カートリッジに収納したまま使用するようにしてあるので、カーオーディオ等のアウトドア用途で不可欠な優れたポータビリティとハンドリング性を得ることができる。
【0004】従来の車載用ミニディスクシステムの構成を図5に示す。10はミニディスクMDを回転させるスピンドルモータ、11はミニディスクMDの記録信号を検出する光ピックアップ、12は光ピツアップ11の検出信号からRF信号,フォーカシングエラー信号,トラッキングエラー信号,ATIPデータのFM変調信号等を作成し、RF信号については更に波形等化や2値化を行うRFアンプ、13は光ピックアップ11をディスク半径方向に送る送りモータ、14はスピンドルモータ10,光ピックアップ11,送りモータ13に対し、フォーカシングサーボ,トラッキングサーボ,スレッドサーボ,スピンドルサーボ等の各種サーボコントロールを行うサーボプロセッサ、15はATIP(絶対時間)データの復調を行うATIPデコーダ、16はEFM/CIRCデコーダであり、2値化RF信号からEFMデータの読み取り、ディインターリーブ、誤り訂正等を行ってATRAC音声圧縮データの復調を行う。
【0005】17はATRAC音声圧縮データを一時的に蓄える1メガビット容量のDRAM、18はDRAM17に対するATRAC音声圧縮データの書き込み/読み出しを行い、ショック発生時にミニディスクMDからのデータ読み取りが中断しても、3秒程度であればATRAC音声圧縮データの連続的な出力を可能とするショックプルーフメモリコントローラ、19はDRAM17から読み出されたATRAC音声圧縮データを通常のオーディオサンプルデータに変換するATRACデコーダ、20はオーディオサンプルデータをD/A変換してアンプ側に出力するD/A変換器である。
【0006】21はACC電源(+ACC)から所定の直流安定化電圧を作成して後述する操作部とシステムコントローラを除くシステム各部にシステム電源を給電するDC−DCコンバータ、22はバッテリ電源(+B)から所定の直流安定化電圧を作成して常時、操作部とシステムコントローラにバックアップ電源を給電するDC−DCコンバータ、23は電源のオン・オフを行う電源スイッチ、24は電源オン・オフ操作,選曲操作,イジェクト操作等を行う操作部、25はマイコン構成のシステムコントローラであり、電源のオン・オフ制御,通常演奏制御,選曲制御,ミニディスクMDのローディング制御,アンローディング制御等を行う。また、システムコントローラ25は、ショック発生時、ショックプルーフメモリコントローラ18に対し書き込み動作を禁止するとともに、ATIPデータを監視しながらショック発生直前の位置まで光ピックアップ11を復帰させ、復帰完了後、ショックプルーフメモリコントローラ18に対し書き込み動作を許可することで、ショック発生時にも音声出力が連続してなされるように制御する。
【0007】ACCスイッチ26が閉じている状態で、操作部24で電源オン操作がなされると、システムコントローラ25は電源スイッチ22を閉じる。そして、DC−DCコンバータ21から出力される電源電圧が立ち上がったあと、システムコントローラ25はサーボプロセッサ14に対しサーボオン指令を与えて、ミニディスクMDの回転と光ピックアップ11による信号検出を開始させる。サーボが安定し、EFM/CIRCデコーダ16がATRAC音声圧縮データを出力し始めると、システムコントローラ25はショックプルーフメモリコントローラ18に対し書き込み開始指令を与え、EFM/CIRCデコーダ16から出力されたATRAC音声圧縮データをDRAM17に一旦保持させるようにし、一定時間後、読み出し開始指令も与えてDRAM17に保持された古いATRAC音声圧縮データから読み出させる。
【0008】DRAM17から読み出されたATRAC音声圧縮データはATRACデコーダ19でオーディオサンプルデータに変換されて、D/A変換器20へ出力され、ここでアナログ音声信号に変換されたのち、外部のアンプへ出力されて音声出力される。これにより、ミニディスクMDの演奏が始まる。
【0009】演奏中にショックで光ピックアップ12による信号検出が不能になり、EFM/CIRCデコーダ16からのATRAC音声圧縮データの出力が止まると、システムコントローラ25はショック発生直前でのATIPデータを記憶し、ショクプルーフメモリコントローラ18に対し書き込み一時停止指令を出力し、読み出し動作だけ行わせ、サーボプロセッサ14をしてサーチ動作を行わせ、ATIPデコーダ15から出力されるATIPデータを監視しながらショック発生直前の演奏位置を探し、該位置に来た所で通常サーボに戻させる。そして、EFM/CIRCデコーダ16からのATRAC音声圧縮データの出力が再開すると、ショックプルーフメモリコントローラ18に対し書き込み再開指令を与えて、書き込みを再開させる。これにより、ショックで、ミニディスクMDからの信号検出が不能となっても、最大で約3秒以内であれば、途切れなく音声出力を継続できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ミニディスクMDの演奏中に、演奏を停止させるため電源オフ操作をすると、システムコントローラ25は電源スイッチ23を開き、DC−DCコンバータ21の出力電圧が落ちる。また、ミニディスクMDの演奏中に、運転者が車両を降りるためACCスイッチ26を開いたときも、DC−DCコンバータ21の出力電圧が落ちる。すると、システム各部の稼働が止まって演奏が停止し、この際、DRAM17に対する電源供給も止まるので保持されていたデータも消える。次に、ミニディスクMDの演奏を聴くため、ACCスイッチ26をオンしたり、操作部24で電源オン操作をしたりして、ACCスイッチ26と電源スイッチ23を閉じた状態にすると、前述したようにシステムコントローラ25の制御でミニディスクMDの演奏が再開されるが、この際、サーボ動作が安定し、音声出力が開始するまでに数秒間が必要となっていた。
【0011】また、ミニディスクMDの演奏中にミニディスクMDを交換するためイジェクト操作がなされると、システムコントローラ25はシステム各部の動作を停止させたのち、ローディング機構(図示せず)に対しアンローディング制御を行ってミニディスクMDを排出させる。次いで、新たなミニディスクMDが挿入されると、システムコントローラ24はローディング機構に対しローディング制御を行って、ミニディスクMDを再生系にセットさせたのち、電源投入時と同様にして、新たにセットされたミニディスクMDの演奏を開始させるが、このときも、サーボ動作が安定し、音声出力が開始するまで数秒間が必要であった。
【0012】カーチューナやカーデッキの場合、電源を投入すると直ちに音声出力が始まり、音楽を楽しむことができるので、ミニディスクシステムにおける電源投入後の無音状態には違和感が有り、ときに、システムの故障と勘違いしたりする。また、カーデッキでは、テープ交換後直ちに音声出力が始まるので、ミニディスクシステムにおけるミニディスク交換後の無音状態にも違和感が生じる。
【0013】以上から本発明の目的は、記録媒体の演奏開始時に速やかに音声出力を行うことのできるディジタルカーオーディオシステムの再生方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明の1つにおいては、記録媒体から読み取ったオーディオデータを一旦、DRAMに保持させたのち、該DRAMからオーディオデータを読み出して音声出力を行うようにしたディジタルカーオーディオにおいて、電源がオフされたのちも、前記DRAMに対する電源の供給を継続させる手段と、次に、電源がオンされたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させる手段と、その後、記録媒体からオーディオディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる手段により達成される。
【0015】また、本発明の他の1つにおいては、記録媒体から読み取ったオーディオデータを一旦、DRAMに保持させたのち、該DRAMからオーディオデータを読み出して音声出力を行うようにしたディジタルカーオーディオにおいて、記録媒体が取り出されたのちも、前記DRAMにオーディオデータを継続して記憶する手段と、次に、記録媒体が入れられたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させる手段と、その後、記録媒体からオーディオディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる手段により達成される。
【0016】
【作用】本発明の1つによれば、電源がオフされたのちも、DRAMに対する電源の供給を継続しておき、次に、電源がオンされたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、記録媒体からオーディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる。これにより、電源オフ前にDRAMに書き込まれたオーディオデータが電源オフ後も保持され、その後、電源がオンすると、まずDRAMのオーディオデータを用いて音声出力がされるので、電源オン後の無音状態がなくなって直ちに音楽を楽しむことができ、違和感が無くなる。
【0017】また、本発明の他の1つによれば、記録媒体が取り出されたのちも、DRAMにオーディオデータを継続して記憶しておき、次に、記録媒体が入れられたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、記録媒体からオーディオディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる。これにより、記録媒体の取り出し前にDRAMに書き込まれたオーディオデータが記録媒体の取り出し後も保持され、新たな記録媒体が入れられると、まずDRAMのオーディオデータを用いて音声出力がされるので、記録媒体を入れた後の無音状態がなくなって直ちに音楽を楽しむことができ、違和感が無くなる。
【0018】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係わる車載用ミニディスクシステムの全体構成図である。なお、図5と同一の構成部分には同一の符号が付してある。
【0019】10はミニディスクMDを回転させるスピンドルモータ、11はミニディスクMDの記録信号を検出する光ピックアップ、12は光ピツアップ11の検出信号からRF信号,フォーカシングエラー信号,トラッキングエラー信号,ATIPデータのFM変調信号等を作成し、RF信号については更に波形等化や2値化を行うRFアンプ、13は光ピックアップ11をディスク半径方向に送る送りモータ、14はスピンドルモータ10,光ピックアップ11,送りモータ13に対し、フォーカシングサーボ,トラッキングサーボ,スレッドサーボ,スピンドルサーボ等の各種サーボコントロールを行うサーボプロセッサ、15はATIP(絶対時間)データの復調を行うATIPデコーダ、16はEFM/CIRCデコーダであり、2値化RF信号からEFMデータの読み取り、ディインターリーブ、誤り訂正等を行ってATRAC音声圧縮データの復調を行う。
【0020】17AはATRAC音声圧縮データを一時的に蓄える1メガビット容量のDRAM、18AはATRAC音声圧縮データのDRAM17への書き込み/読み出しを制御し、ショック発生時にミニディスクMDからのデータ読み取りが中断しても、3秒程度であればATRAC音声圧縮データの連続的な出力を可能とするショックプルーフメモリコントローラ、19はDRAM17から読み出されたATRAC音声圧縮データを通常のオーディオサンプルデータに変換するATRACデコーダ、20はオーディオサンプルデータをD/A変換してアンプ側に出力するD/A変換器である。
【0021】ここでDRAM17Aとショックプルーフメモリコントローラ18Aには、後述するバックアップ電源により、常時、電源の供給がなされるようになっている。この結果、電源がオフされる直前や、ミニディスクMDが取り出される直前に記憶されたデータが電源オフ後も保持させるようになっている。
【0022】21はACC電源(+ACC)から所定の直流安定化電圧を作成してDRAM17Aとシヨックプルーフメモリコントローラ18Aや、後述する操作部とシステムコントローラを除くシステム各部にシステム電源を給電するDC−DCコンバータ、22はバッテリ電源(+B)から所定の直流安定化電圧を作成して操作部,システムコントローラ,DRAM17A,ショックプルーフメモリコントローラ18Aに常時バックアップ電源を給電するDC−DCコンバータ、23は電源のオン・オフを行う電源スイッチ、24は電源オン・オフ操作,選曲操作,イジェクト操作等を行う操作部、25Aはマイコン構成のシステムコントローラであり、電源投入後やミニディスクMDの装填後の通常演奏制御,選曲操作に応じた選曲制御,イジェクト操作に応じたミニディスクMDのアンローディング制御,ミニディスクMDの挿入時のローディング制御等を行う。また、システムコントローラ25Aは、ショック発生時、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し書き込み動作を禁止するとともに、ATIPデータを監視しながらショック発生直前の位置まで光ピックアップ11を復帰させ、復帰完了後、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し書き込み動作を許可することで、ショック発生時にも音声出力が連続してなされるように制御する。更に、システムコントローラ25Aは、電源の再投入後やミニディスクMDの入れ換え後のDRAM17Aのデータに基づく音声出力制御を行う。
【0023】26は車両に設けられたACCスイッチ、27はACC電源電圧を監視して、ACC電圧が或る基準電圧以下に下がると、ACCオフ検出信号をシステムコントローラ25Aに出力し、ACC電圧が或る基準電圧以上に上がるとACCオン検出信号をシステムコントローラ25Aに出力するACCオン・オフ検出回路である。ACCオン・オフ検出回路27は本実施例ではバックアップ電源で動作するが、ACC電源+ACCやバッテリ電源+Bで動作させてもよい。
【0024】図2と図3はシステムコントローラ25Aの動作を示す流れ図、図4は電源オン・オフ時の再生動作の説明図であり、以下、これらの図に従って説明する。
【0025】なお、予め、システムはACCスイッチ26と電源スイッチ23が閉じて各部が給電され、ミニディスクMDの演奏状態にあるものとする。このとき、サーボプロセッサ14は予めシステムコントローラ25Aによりサーボオン状態とされており、光ピックアップ11でミニディスクMDの記録信号が検出され、RFアンプ13よりRF信号の作成、波形等化、2値化がなされる。2値化RF信号はEFM/CIRCデコーダ16でATRAC音声圧縮データの復調がなされる。ショックプルーフメモリコントローラ18AとDRAM17Aは常時バックアップ電源で給電されており、かつ、ショックプルーフメモリコントローラ18Aは予めシステムコントローラ25Aから与えられた書き込み/読み出し指令に従い、ATRAC音声圧縮データをDRAM17Aに一旦保持させながら読み出しを行う。DRAM17Aから読み出されたATRAC音声圧縮データはATRACデコーダ19でオーディオサンプルデータに変換され、更に、D/A変換器20でアナログ音声信号に変換されてアンプ側へ出力され、音声出力される。
【0026】図4(1)に示す如く、ミニディスクMDのA,B,・・の位置から読み出されたATRAC音声圧縮データがDRAM17Aに書き込まれていくとき、DRAM17Aからは数秒間遅れてA,B,・・のATRAC音声圧縮データが読み出されて音声出力されていく。
【0027】ここで、運転者がミニディスクMDの演奏を止めるため操作部24で電源オフ操作をすると(図2のステップ101)、システムコントローラ25AはACCオン・オフ検出回路27の出力からACC電圧がオンしていることを確認したあと(ステップ102)、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、書き込み/読み出し停止指令を与えてDRAM17Aに対するATRAC音声圧縮データの書き込みと読み出しを停止させる(ステップ103)。次いで、電源スイッチ23を開く(ステップ104)。DC−DCコンバータ21から出力されるシステム電源が落ちるので、ミニディスクMDの演奏が止まり、音声出力も停止する。但し、DRAM17Aにはシステム電源が落ちたあともバックアップ電源により給電が継続されているので、システム電源が落ちる前に書き込まれたATRAC音声圧縮データは保持される。ここでは、ミニディスクMDのC点以降がDRAM17Aに保持されているものとする(図4(1)参照)。
【0028】その後、運転者が操作部24で電源オン操作をすると(ステップ105)、システムコントローラ25AはACCオン・オフ検出回路27の出力からACC電源がオンしていることを確認したあと(ステップ106)、電源スイッチ23を閉じてDC−DCコンバータ21から出力されるシステム電源を立ち上げさせるとともに(ステップ107)、サーボプロセッサ14にサーボをオンさせ(ステップ108)、また、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、読み出し指令を与えてDRAM17AからATRAC音声圧縮データを読み出させる(ステップ109)。このATRAC音声圧縮データはATRACデコーダ19でオーディオサンプルデータに変換され、更に、D/A変換器20でアナログ音声信号に変換されたアンプへ出力される。これにより、電源オン操作をすると、直ちにミニディスクMDのC点以降の音声出力が始まる。
【0029】サーボ動作が安定し、ミニディスクMDの記録信号の検出が可能となり、EFM/CIRCデコーダ16からATRAC音声圧縮データの出力が開始すると(ステップ110)、システムコントローラ25Aはショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、書き込み指令を与えてDRAM17Aに対するATRAC音声圧縮データの書き込みを開始させる(ステップ111)。よって、仮にミニディスクMDの再生がE点から始まれば、C点以降の約3秒間の音声出力に続いてE点以降の演奏が行われることになる(図4(2)参照)。
【0030】このようにして、操作部24で電源オン操作をすると、予めDRAM17Aに保持しておいたATRAC音声圧縮データを用いて直ちに音声出力が始まるので、電源オン操作後、待ち時間なく演奏を楽しむことかでき、違和感が生じず、システムの故障と勘違いすることもない。
【0031】これと異なり、ミニディスクMDの演奏中に、運転者が車両を降りるためACCスイッチ26をオフしたとき、ACCオン・オフ検出回路27がACC電源のオフを検出してACCオフ検出信号を出力する。このACCオフ検出信号を入力したシステムコントローラ25Aは(ステップ112)、電源スイッチ23がオンしていることを確認したあと(ステップ113)、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、書き込み/読み出し停止指令を与えてDRAM17Aに対するATRAC音声圧縮データの書き込みと読み出しを停止させる(ステップ114)。ACCスイッチ26のオフで、DC−DCコンバータ21から出力されるシステム電源が落ちるので、ミニディスクMDの演奏が止まり、音声出力も停止する。但し、DRAM17Aにはシステム電源が落ちたあともバックアップ電源により給電が継続されているので、システム電源が落ちる前に書き込まれたATRAC音声圧縮データは保持される。ここでは、ミニディスクMDのC点以降がDRAM17Aに保持されているものとする(図4(1)参照)。
【0032】その後、車両に戻った運転者がACCスイッチオン操作をすると(ステップ115)、ACCオン・オフ検出回路27からACCオン検出信号が出力され、DC−DCコンバータ21から出力されるシステム電源電圧が立ち上がる。ACCオン検出信号が入力されると(ステップ115)、システムコントローラ25Aはサーボプロセッサ14にサーボをオンさせ(ステップ108)、また、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、読み出し指令を与えてDRAM17AからATRAC音声圧縮データを読み出させる(ステップ109)。このATRAC音声圧縮データはATRACデコーダ19でオーディオサンプルデータに変換され、更に、D/A変換器20でアナログ音声信号に変換されたアンプへ出力される。これにより、電源オン操作をすると、直ちにミニディスクMDのC点以降の音声出力が始まる。
【0033】サーボ動作が安定し、ミニディスクMDの記録信号の検出が可能となり、EFM/CIRCデコーダ16からATRAC音声圧縮データの出力が開始すると(ステップ110)、システムコントローラ25Aはショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、書き込み指令を与えてDRAM17Aに対するATRAC音声圧縮データの書き込みを開始させる(ステップ111)。よって、仮にミニディスクMDの再生がE点から始まれば、C点以降の約3秒間の音声出力に続いてE点以降の演奏が行われることになる(図4(2)参照)。
【0034】このようにして、ACCスイッチ26のオン操作をすると、予めDRAM17Aに保持しておいたATRAC音声圧縮データを用いて直ちに音声出力が始まるので、ACC電源の立ち上がり後、待ち時間なく演奏を楽しむことかでき、違和感が生じず、システムの故障と勘違いすることもない。
【0035】また、ミニディスクMDの演奏中に、ミニディスクMDの入れ換えをするため、操作部24でイジェクト操作をすると(図3のステップ201)、システムコントローラ25Aはサーボプロセッサ14をしてサーボをオフさせ(ステップ202)、また、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、書き込み/読み出し停止指令を与えてDRAM17Aに対するATRAC音声圧縮データの書き込みと読み出しを停止させる(ステップ203)。サーボのオフでミニディスクMDの演奏が止まり、またDRAM17AからのATRAC音声圧縮データの読み出しが止まることで音声出力も停止する。
【0036】次いで、システムコントローラ25Aはローディング機構(図示せず)に対しアンローディング制御を行い(ステップ204)、ミニディスクMDの排出を行わせる。運転者がミニディスクMDをシステムから取り出し、新たなミニディスクMDを入れると(ステップ205)、システムコントローラ25Aはローディング機構に対しローディング制御を行い(ステップ206)、新たなミニディスクMDを再生系にセットさせる。セット完了後、システムコントローラ25Aはサーボプロセッサ14にサーボをオンさせ(ステップ207)、また、ショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、読み出し指令を与えてDRAM17AからATRAC音声圧縮データを読み出させる(ステップ208)。このATRAC音声圧縮データはATRACデコーダ19でオーディオサンプルデータに変換され、更に、D/A変換器20でアナログ音声信号に変換されたアンプへ出力される。これにより、ミニディスクMDの入れ換え後、直ちに音声出力が始まる。
【0037】サーボ動作が安定し、ミニディスクMDの記録信号の検出が可能となり、EFM/CIRCデコーダ16からATRAC音声圧縮データの出力が開始すると(ステップ209)、システムコントローラ25Aはショックプルーフメモリコントローラ18Aに対し、書き込み指令を与えてDRAM17Aに対するATRAC音声圧縮データの書き込みを開始させる(ステップ210)。
【0038】このようにして、ミニディスクMDの入れ換えをすると、予めDRAM17Aに保持しておいたATRAC音声圧縮データを用いて直ちに音声出力が始まるので、入れ換え完了後、待ち時間なく演奏を楽しむことかでき、違和感が生じず、システムの故障と勘違いすることもない。
【0039】なお、上記した実施例では車載用ミニディスクシステムを例に挙げて説明したが、本発明は何らこれに限定されず、車載用DCC(ディジタルコンパクトカセット)システムなどにも同様に適用することができ、要は、所定の記録媒体からオーディオデータを読み出して、一旦、DRAMに保持したあと、該DRAMからオーディオデータを読み出して音声出力するようにしたシステムであればよい。
【0040】
【発明の効果】以上本発明の1つによれば、電源がオフされたのちも、DRAMに対する電源の供給を継続しておき、次に、電源がオンされたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、記録媒体からオーディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる。これにより、電源オフ前にDRAMに書き込まれたオーディオデータが電源オフ後も保持され、その後、電源がオンすると、まずDRAMのオーディオデータを用いて音声出力がされるので、電源オン後の無音状態がなくなって直ちに音楽を楽しむことができ、違和感が無くなる。
【0041】また、本発明の他の1つによれば、記録媒体が取り出されたのちも、DRAMにオーディオデータを継続して記憶しておき、次に、記録媒体が入れられたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、記録媒体からオーディオディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせる。これにより、記録媒体の取り出し前にDRAMに書き込まれたオーディオデータが記録媒体の取り出し後も保持され、新たな記録媒体が入れられると、まずDRAMのデータを用いて音声出力がされるので、記録媒体を入れた後の無音状態がなくなって直ちに音楽を楽しむことができ、違和感が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る再生方法を具現した車載用ミニディスクシステムの全体構成図である。
【図2】システムコントローラの動作を示す第1の流れ図である。
【図3】システムコントローラの動作を示す第2の流れ図である。
【図4】電源オン・オフ時の再生動作を示す説明図である。
【図5】従来の車載用ミニディスクシステムの全体構成図である。
【符号の説明】
17A DRAM
18A ショックプルーフメモリコントローラ
22 DC−DCコンバータ
23 電源スイッチ
25A システムコントローラ
26 ACCスイッチ
MD ミニディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録媒体から読み取ったオーディオデータを一旦、DRAMに保持させたのち、該DRAMからオーディオデータを読み出して音声出力を行うようにしたディジタルカーオーディオにおいて、電源がオフされたのちも、前記DRAMに対する電源の供給を継続しておき、次に、電源がオンされたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、記録媒体からオーディオディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせるようにしたこと、を特徴とするディジタルカーオーディオの再生方法。
【請求項2】 記録媒体から読み取ったオーディオデータを一旦、DRAMに保持させたのち、該DRAMからオーディオデータを読み出して音声出力を行うようにしたディジタルカーオーディオにおいて、記録媒体が取り出されたのちも、前記DRAMにオーディオデータを継続して記憶しておき、次に、記録媒体が入れられたとき、DRAMに既に記憶されているオーディオデータを読み出して音声出力を開始させ、その後、記録媒体からオーディオディオデータを読み取れるようになれば、通常の音声出力動作を行わせるようにしたこと、を特徴とするディジタルカーオーディオの再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−159460
【公開日】平成5年(1993)6月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−323177
【出願日】平成3年(1991)12月6日
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)