説明

ディジタルシネマストリーム環境における振動−運動信号のトランスポート

モーションプラットフォームを制御するためのマルチチャネル振動−運動信号が符号化されている、ディジタルシネマファイルのオーディオバンドル内に含めるためのコンピュータファイルを生成する方法が開示される。前記オーディオバンドルはD−シネマプレーヤとモーションデコーダとの間でディジタルトランスポートリンクを介してトランスポートされるものである。本方法は、振動−運動ファイル(例えばKineLinkファイル)から振動−運動サンプルの一連のブロックを得るステップと、前記マルチチャネル振動−運動信号のサンプルを表すバイナリデータを規定の構造に従ってモノラルPCMサンプルの系列に符号化するステップと、符号化されたバイナリデータを用いて前記コンピュータファイルを構成するステップとを備え、前記コンピュータファイルは前記ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに組み込むためのものであり、前記符号化されたバイナリデータは前記D−シネマプレーヤのディジタルトランスポートリンクを介して前記モーションプラットフォームを制御するモーションデコーダにトランスポートされるものである。対応するエンコーダ、対応するデコーダ及び対応する復号方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディジタルシネマに関する。より詳しくは、本発明は、ディジタルシネマフレームワークにおいて振動−運動信号(即ち運動及び振動)をオーディオ及びビデオ信号とともに記憶する、配信する及び同期する課題を取り扱う。
【背景技術】
【0002】
運動プラットフォームを制御するには、振動−運動信号をオーディオストリーム及びビデオストリームと同期させ、一緒に記憶及び配信する課題がある。解決方法は存在するが、それらの方法は必ずしもディジタルシネマ環境によく適応していない。
【0003】
本発明の目的は上記の課題を解決することにある。
【発明の概要】
【0004】
目標用途においては、振動−運動信号は、0−100Hzの帯域幅を有する400Hzでサンプリングされた位置座標のマルチチャネルストリームを表す。一実施例によれば、ここに開示される技術は、ディジタルシネマサーバによりこのマルチチャネル信号をオーディオ及びビデオコンテンツと同期して記憶及び再生することを可能にする。KineLink(登録商標)はモーションデコーダからの振動−運動信号をモーションプラットフォームにトランスポートするのに使用される専用プロトコルの名前である。モーションコード(登録商標)又はモーションFXは符号化されモーションプラットフォームへ配信されるマルチチャネル振動−運動信号の内容を表す。
【0005】
一実施例によれば、モーションプラットフォームを制御するマルチチャネル振動−運動信号が符号化されている、ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに含めるためのコンピュータファイルを生成する方法が提供される。前記オーディオバンドルはD−シネマプレーヤとモーションデコーダとの間でディジタルトランスポートリンクを介してトランスポートされるものである。本方法は、振動−運動ファイル(例えばKineLinkファイル)から振動−運動サンプルの一連のブロックを得るステップと、前記マルチチャネル振動−運動信号のサンプルを表すバイナリデータを規定の構造に従ってモノラルPCMサンプルの系列に符号化するステップと、符号化されたバイナリデータを用いて前記コンピュータファイルを構成するステップとを備え、前記コンピュータファイルは前記ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに組み込むためのものであり、前記符号化されたバイナリデータは前記D−シネマプレーヤのディジタルトランスポートリンクを介して前記モーションプラットフォームを制御するモーションデコーダにトランスポートされるものである。
【0006】
一実施例によれば、ディジタルシネマファイルのオーディオバンドル内に含めるためのコンピュータファイルを生成するモーションエンコーダが提供される。本モーションエンコーダは、振動−運動ファイルから振動−運動サンプルの一連のブロックを受信する入力部と、前記マルチチャネル振動−運動信号のサンプルを表すバイナリデータを規定の構造に従ってモノラルPCMサンプルの系列に符号化し、符号化されたバイナリデータを用いて前記コンピュータファイルを構成するプロセッサとを備え、前記コンピュータファイルは前記ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに組み込むためのものであり、前記符号化されたバイナリデータは前記D−シネマプレーヤのディジタルトランスポートリンクを介して前記モーションプラットフォームを制御するモーションデコーダにトランスポートされるものであり、更に前記コンピュータファイルをメモリ装置に転送する出力部を備える。
【0007】
一実施例によれば、ディジタルシネマオーディオストリームに含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号する方法が提供される。前記ディジタルシネマオーディオストリームは一つのPCMチャネルを含む。前記振動−運動信号は振動−運動サンプルのブロックを含み、モーションプラットフォームを制御するためのものである。本方法は、前記ディジタルオーディオストリームのチャネルをモニタするステップと、前記ディジタルオーディオストリームから前記振動−運動信号を復号するステップと、前記振動−運動信号を用いて前記モーションプラットフォームを制御するステップとを備える。
【0008】
一実施例によれば、ディジタルシネマオーディオストリーム(AES3)に含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号するモーションデコーダが提供される。前記ディジタルシネマオーディオストリームは一つのPCMチャネルを含む。前記振動−運動信号は振動−運動サンプルのブロックを含み、モーションプラットフォームを制御するためのものである。本モーションデコーダは、前記ディジタルオーディオストリームを受信しモニタする受信機と、前記符号化されたディジタルオーディオストリームから前記振動−運動信号を復号するプロセッサと、前記モーションプラットフォームの制御に使用される前記振動−運動信号を出力する出力部とを備える。
【0009】
一実施例によれば、ディジタルシネマストリーム(AES3)に含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号する方法が提供される。前記ディジタルシネマオーディオストリームは2つの(PCM)チャネルを含む。前記振動−運動信号はモーションプラットフォームを制御するための信号である。本方法は、前記ディジタルオーディオストリームの2つのチャネルをモニタするステップと、前記ディジタルオーディオストリームから、前記符号化された振動−運動信号を含むチャネルを選択するステップと、前記ディジタルオーディオストリームから前記振動−運動信号を復号するステップと、前記振動−運動信号を用いて前記モーションプラットフォームを制御するステップとを備える。
【0010】
一実施例によれば、ディジタルシネマストリーム(AES3)に含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号するモーションデコーダが提供される。前記ディジタルシネマオーディオストリームは2つの(PCM)チャネルを含む。前記振動−運動信号はモーションプラットフォームを制御するための信号である。本モーションデコーダは、前記ディジタルオーディオストリームの2つのチャネルを受信しモニタする受信機と、前記ディジタルオーディオストリームから、前記符号化された振動−運動信号を含むチャネルを選択し、前記ディジタルオーディオストリームから前記振動−運動信号を復号するプロセッサと、前記モーションプラットフォームの制御に使用される前記振動−運動信号を出力する出力部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例によるモーションデコーダを含むディジタルシネマシステムの一部分を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に従って構成されるディジタルシネマファイルのオーディオバンドルの概略図である。
【図3】本発明の一実施例による、ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに含めるためのコンピュータファイルを生成する方法のフローチャートである。
【図4】図3に開示されたKineLinkデータバーストを構成する方法のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例による、ディジタルシネマオーディオストリームに含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号する方法のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例による、ディジタルシネマオーディオストリームに含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号するモーションデコーダのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、ディジタルシネマシステム100の一部分が示されている。ディジタルシネマシステム100は、4つのAES3リンク104を用いてオーディオシステム106及びモーションデコーダ108に接続されたD−シネマプレーヤ102を備える(本明細書ではD−シネマはE−シネマも含むものとする)。モーションデコーダ108は更に双方向KineLink接続112を用いて複数のモーションプラットフォーム110に接続される。
【0013】
D−シネマでは、オーディオが通常PCMオーディオとして4つの又は8つのAES3リンク104(8又は16チャネル)でトランスポートされる。この仕様は、モーションコード(登録商標)からなるマルチチャネル振動−運動信号をD−シネマプレーヤのAES3チャネルの一つでトランスポートできるように該信号を符号化する方法を記述する。
【0014】
振動−運動信号をAES3リンクの一つのチャネルでトランスポートすると、オーディオに本質的に精密に同期する利点が得られる。これは安定で高速で高信頼度のトランスポートであって、比較的安価に実施できる。AES3チャネルの一つに使用可能な帯域幅は振動−運動信号をトランスポートするのに要求される最小帯域幅の約30倍である。
【0015】
提案の構成では、使用可能なAES3リンクの一つが振動−運動信号をリニアPCMモノストリームとして使用する。モーションデコーダ108はD−シネマプレーヤ102の対応するAES3リンクに接続される。モーションデコーダ108はAES3リンクの2チャネルの一つのチャネル上の振動−運動信号を認識し復号化し、それを下流のモーションプラットフォーム110又はKineLineリピータ(Kineハブ)(図示せず)に送出する。一実施例では、モーションプラットフォームは4つのアクチュエータを含む。
【0016】
リニアPCM信号は、通常48kHzのサンプリングレートでAES3上に2チャネルのオーディオとしてトランスポートされる。以下に記載するKineLine−over−AES3符号化方式は、IEC61937フォーマットに類似のアプローチを用いて振動−運動信号をAES3リンクの2つのPCMチャネルの一つのチャネル上に符号化する。
【0017】
このプロジェクトでは、以下の理由のために振動−運動信号の符号化にIEC61937プロトコルを使用しなかった。(a)このプロトコルはAES3ストリームの両チャネルを使用する。提案のアプローチでは、2チャネルの一つは他のアプリケーション(聴覚障害者用の解説など)のために開放される。(b)IEC61937プロトコルは、モーションコード(登録商標)のようなマルチチャネル信号をトランスポートするために使用できる正式のフレームワークを(まだ)持っていない。(c)リニアPCM再生用ファイルをAES3リンクで生成するために使用可能なソフトウェアツールは簡単であり、それらの動作はストレートフォワードである。
【0018】
このアプローチの主な欠点は、(a)振動−運動信号がシステムにPCMオーディオ信号として現れる。この信号のサウンドシステムによる再生に対してシステムの保護がない。(b)D−シネマKineLinkトランスポート仕様のこの実施は、AES3リンクに提示されるデータ信号がD−シネマサーバに格納されたデータのbit−exactバージョンであることに依存している。いかなる変更も、それがどんなに僅かであっても、ストリームにモーションデコーダがそれを認識できなくなるような改変を与え得る。特に、D−シネマプレーヤは振動−運動信号をPCMオーディオとしてみなす。信号はスケーリングや、フィルタリング又は等化などの効果の付加や、ウォータマークの付加などで勝手に変更され得る。このような変更のいずれも振動−運動信号にモーションデコーダがそれを認識できなくなるような改変を与え得る。(c)振動−運動信号はAES3リニアPCMストリームの左又は右チャネルのいずれかに存在させることができる。モーションデコーダは両チャネルをモニタし、どちらのチャネルに振動−運動信号が存在するかを認識しなければならない。
【0019】
前段落に記載された欠点(b)を軽減するために、リニアPCMストリーム内の振動−運動信号を、種々の変更及び処理効果、例えば
・ 符号の変更
・ 振幅の変更
・ μ-low/A-low圧縮/圧縮解除
・ 等化、室内音響などのリニアフィルタリング効果
・ オーディオウォータマークの付加
に対して、より一層ロバストにするために、変調及び/又は圧縮(又は圧縮変調(codulation))技術を用いることが提案される。
【0020】
このような変調技術は、リニアPCMストリームのトランスポートのために使用可能な極めて大きな帯域幅を活用し、この帯域幅を上記の効果に対するロバスト性の増大と交換することができる。
【0021】
AES3ストリーム構成:
AES3ストリームはリニアPCMステレオストリーム(オーディオ)として構成される。この方法では、一方のチャネルは振動−運動信号をトランスポートするために使用される。他方のチャネルは、解説などの他の目的のために利用可能である。
【0022】
振動−運動信号のIEC60958へのマッピング:
この信号はIEC60958サブフレーム(タイムスロット12−27)の16ビットデータ領域でトランスポートされる。これは、2つのサブフレームの一つが使用されるだけである点を除いて、IEC61937符号化に類似する。
【0023】
IEC60958トランスポートにより与えられる帯域幅は振動−運動信号をトランスポートするのに必要とされる帯域幅よりはるかに大きいため、振動−運動信号はデータバーストに詰め込まれる。各データバーストはKineLinkフレーム又はブロック(4つのKineLink座標のグループ)を表す。データバーストの繰り返しレートは48kHzで120のIEC60958フレーム、即ち2.5msである。
【0024】
データバーストは通常ゼロでパッディングされるが、モーションデコーダ108はパッディング領域を読み込む必要はない。
【0025】
AES3リンクに接続されたモーションデコーダ108はAES3ストリームの両チャネルをモニタし解析して、両チャネルの一つにKineLinkデータバーストの存在を認識し、そのデータにロックオンする。
【0026】
KINELINKデータバーストの構成:
データバーストは7つの連続する16ビットワードで構成される。
【表1】

【0027】
プリアンブル:
プリアンブルA及びBの組み合わせにより、デコーダはKineLineデータバーストの開始を極めて小さな曖昧さで認識することが可能になる。加えて、プリアンブルBは、KineLinkストリームがアクティブであるかスタンバイ状態であるかを指示するため、及びそれがアクティブであるとき、マルチチャネル振動−運動信号は1gプリエンファシスとともに符号化されているかどうかを指示するために使用される。
【0028】
プリエンファシス:
1gプリエンファシスは、振動−運動信号が周波数範囲6Hz〜100Hzにおいて位置というよりむしろ加速度を表すようにする。
【0029】
これは2つの理由のために行われる。理由1:振動−運動信号のフル16ビットダイナミック範囲を、アクチュエータの加速度を飽和する恐れなしに、全周波数範囲で使用することができる。理由2:振動信号の「力(エネルギー)」の印象は位置よりもずっと加速度に密接に関連している。従って、同じ振幅の加速度信号はそれらの周波数とは無関係に同じ力で知覚される。他方、位置信号の知覚される力は周波数の増大とともに増大する。
【0030】
振動−運動信号が1gプリエンファシスされて符号化される場合、モーションデコーダ又はアクチュエータ自身がデエンファシスフィルタを適用しなければならない。
【0031】
チェックサム:
チェックサムは、(a)チェックサムの前に現れる6ワードを16ビットラップアラウンド(モジュロ)演算により加算し、(b)結果の2の補数を取ることによって計算される。このチェックサムと前6ワードのラップアラウンド演算の和はゼロでなければならない。KineLinkバーストのサイズは固定であるため、このチェックサムの多くの脆弱性は当てはまらない。このチェックサムは実施が極めて容易であり、依然として多くの典型的な伝送エラーに対して良好な保護をもたらす。
【0032】
KineLinkファイル(KLKファイル)の処理シーケンスは次の通りである。
(a)KLKファイルを開き、連続する各KineLinkブロックを抽出する。
(b)プリアンブルA及びB、4つの振動−運動サンプル及びチェックサムを付加してKineLinkデータバーストを構成する。スタンバイプリアンブルはKineLinkファイルの構成には決して使用されず、これは何の目的もない。スタンバイプリアンブルは通常モーションデコーダの上流のムービープレーヤにより動的に使用される。
(c)データバーストに113個のゼロをパッディングする。
(d)一連のデータバーストでデータストリームを構成する。このデータストリームは48kHZのモノラルブロードキャストウェーブファイルに組み込まれる。これは.mxfオーディオファイル(ムービーバンドルの一部分)に含めるための処理ラボへ転送されるファイルである。
【0033】
この処理シーケンスは、振動−運動信号を備えるKLKファイルをBWFファイル(即ち、broadcast wave file)に変換するソフトウェアアプリケーションにより実行される。
【0034】
次に図2を参照すると、本発明の一実施例に使用されるディジタルシネマファイルのオーディオバンドルの概略図が示され、該ファイルは以下で更に検討される図3の方法に従って生成される。D−シネマファイルのオーディオバンドル201は一組のモノラル信号(200a,200b,200n)を備える。これらのモノラル信号の一つ(200a)は、一連のパッディング206付きKineLineデータバースト(即ち、パディング付きKineLineデータバースト202a,202b、202c、202n)をトランスポートする。KineLinkデータバースト204はプリアンブル208、KineLinkサンプルブロック210及びチェックサム212を含む。
【0035】
次に図3を参照すると、モーションプラットフォームを制御する振動−運動信号が符号化されているディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに含めるためのコンピュータファイルを生成する方法300が示されている。この方法はKineLinkファイル(又は振動−運動ファイル又はKLKファイル)から一連の振動−運動サンプルのブロックを得るステップ(302)を備える。この方法は、更に、KineLinkデータバーストを構成するステップ(304)を備える。この方法は、更に、KineLinkデータバーストをパディングするステップ(306)及び一連のKineLinkデータバーストからコンピュータファイルを構成するステップ(308)を備える。コンピュータファイルはディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに組み込むためのものである。一実施例によれば、コンピュータファイルは、D−シネマプレーヤでの読み取りに適したメモリ媒体に格納される。このメモリ媒体又は記憶装置は、ディジタルビデオディスク、磁気テープ又は他の磁気メモリ媒体、任意のタイプの半導体メモリなどを含むが、これらに限定されない。このメモリ媒体はD−シネマプレーヤの局部メモリ又は外部メモリとすることができる。前記信号をインターネットなどの外部ネットワークから受信することもできる。
【0036】
図4に付き説明すると、KineLinkデータバーストを構成するステップ(304)が詳細に示されている。このステップは、振動−運動サンプルのブロックを得るステップ(402)、振動−運動サンプルの各ブロックにKineLinkデータバーストの開始の認識を可能にするとともに動作モードを指示するためのプリアンブルを付加するステップ(404)、及び振動−運動サンプルの各ブロックにチェックサムを付加するステップ(406)を備える。
【0037】
図5を参照すると、ディジタルシネマオーディオストリーム(AES3)内に符号化されているマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号する方法500が示されている。各ディジタルシネマオーディオストリームは2つの(PCM)チャネルを備える。マルチチャネル振動−運動オーディオ信号はモーションプラットフォームを制御するものである。この方法は、AES3オーディオストリームの両チャネルをモニタするステップ(502)、AES3オーディオストリームから、既知のプリアンブルを含むチャネルを選択するステップ(504)、選択されたチャネルについてKineLinkデータバーストを検出するステップ(506)、該KineLinkデータバーストから振動−運動信号を復号するステップ(508)及び該振動−運動信号を用いてモーションプラットフォームを制御するステップ(510)を備える。
【0038】
次に図6を参照すると、ディジタルシネマオーディオストリーム(AES3)内に含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号するモーションデコーダ600のブロック図が示されている。各ディジタルシネマオーディオストリームは2つの(PCM)チャネルを備える。マルチチャネル振動−運動信号はモーションプラットフォームを制御する信号である。このモーションデコーダは、AES3オーディオストリームを受信し、モニタする受信機602、AES3オーディオストリームから、既知のプリアンブルを含むチャネルを選択し、選択されたチャネル対してKineLinkデータバーストの検出を行い、該KineLinkデータバーストから振動−運動信号を復号するプロセッサ604及びモーションプラットフォームを制御するために使用される振動−運動信号を出力する出力部606を備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーションプラットフォームを制御するためのマルチチャネル振動−運動信号が符号化されている、ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに含めるためのコンピュータファイルを生成する方法であって、前記オーディオバンドルはD−シネマプレーヤとモーションデコーダとの間でディジタルトランスポートリンクを介してトランスポートされるものであり、該方法は、
振動−運動ファイルから振動−運動サンプルの一連のブロックを得るステップと、
前記マルチチャネル振動−運動信号のサンプルを表すバイナリデータを規定の構造に従ってモノラルPCMサンプルの系列に符号化するステップと、
前記符号化されたバイナリデータを用いて前記コンピュータファイルを構成するステップと、
を備え、前記コンピュータファイルは前記ディジタルシネマファイルの前記オーディオバンドルに組み込むためのものであり、前記符号化されたバイナリデータは前記D−シネマプレーヤのディジタルトランスポートリンクを介して前記モーションプラットフォームを制御するモーションデコーダにトランスポートされるものである、方法。
【請求項2】
前記コンピュータファイルをメモリ媒体に格納するステップを更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータファイルを前記ディジタルシネマファイルの前記オーディオバンドルに組み込むステップを更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ディジタルシネマファイルをメモリ媒体に格納するステップを更に備える、請求項3記載の方法。
【請求項5】
リニアPCMストリーム内の前記符号化されたバイナリデータのトランスポートを、符号の変更、振幅の変更、A−low/μ−low圧縮/圧縮解除、等化、室内音響学などのリニアフィルタリング効果及びオーディオウォータマークの付加のうちの一つ以上を含む種々の変更及び処理効果に対してより一層ロバストにするために、前記ディジタルトランスポートリンクを介してPCM信号としてトランスポートされる前記符号化されたバイナリデータを変調及び/又は圧縮するステップ更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記振動−運動サンプルの各ブロックにプリアンブルを付加するステップを更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記プリアンブルが付加された前記振動−運動サンプルの各ブロックにチェックサムを付加するステップを更に備える、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記プリアンブル及び前記チェックサムが付加された前記振動−運動サンプルにゼロをパディングするステップを更に備える、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記コンピュータファイルを構成するステップは、前記コンピュータファイルをAES3フォーマットで構成するステップである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに含めるためのコンピュータファイルを生成するモーションエンコーダであって、前記モーションエンコーダは、
振動−運動ファイルから振動−運動サンプルの一連のブロックを受信する入力部を備え、
更に、前記マルチチャネル振動−運動信号のサンプルを表すバイナリデータを規定の構造に従ってモノラルPCMサンプルの系列に符号化し、前記符号化されたバイナリデータを用いて前記コンピュータファイルを構成するプロセッサを備え、前記コンピュータファイルは前記ディジタルシネマファイルのオーディオバンドルに組み込むためのものであり、前記符号化されたバイナリデータは前記D−シネマプレーヤのディジタルトランスポートリンクを介して前記モーションプラットフォームを制御するモーションデコーダにトランスポートされるものであり、
更に、前記コンピュータファイルをメモリ装置に転送する出力部を備える、
モーションエンコーダ。
【請求項11】
ディジタルシネマオーディオストリームに含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号する方法であって、前記ディジタルシネマオーディオストリームは一つのPCMチャネルを含み、前記振動−運動信号は振動−運動サンプルのブロックを含み、モーションプラットフォームを制御するための信号であり、該本方法は、
前記ディジタルオーディオストリームの前記チャネルをモニタするステップと、
前記ディジタルオーディオストリームから前記振動−運動信号を復号するステップと、前記モーションプラットフォームを制御すべく前記振動−運動信号を用いるステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記復号ステップは、前記振動−運動サンプルの各ブロックのプリアンブルを検出するステップを備える、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記振動−運動サンプルの各ブロックに対してチェックサム演算を実行するステップを更に備える、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ディジタルオーディオストリームはAES3フォーマットであり、2つのPCMストリームを備える、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記モニタステップは、前記ディジタルオーディオストリームの両チャネルをモニタするステップを備える、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ディジタルシネマオーディオストリーム(AES3)に含まれるマルチチャネル振動−運動信号をリアルタイムに復号するモーションデコーダであって、前記ディジタルシネマオーディオストリームは一つのPCMチャネルを含み、前記振動−運動信号は振動−運動サンプルのブロックを含み、モーションプラットフォームを制御するための信号であり、該モーションデコーダは、
前記ディジタルオーディオストリームを受信しモニタする受信機と、
前記符号化されたディジタルオーディオストリームから前記振動−運動信号を復号するプロセッサと、
前記モーションプラットフォームの制御に使用される前記振動−運動信号を出力する出力部と、
を備えるモーションデコーダ。
【請求項17】
前記復号は、前記振動−運動サンプルの各ブロックのプリアンブルを検出する、請求項16記載のモーションデコーダ。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記振動−運動サンプルの各ブロックに対してチェックサム演算を実行する、請求項17記載のモーションデコーダ。
【請求項19】
前記ディジタルオーディオストリームはAES3フォーマットであり、2つのPCMストリームを備える、請求項16記載のモーションデコーダ。
【請求項20】
前記モニタは、前記ディジタルオーディオストリームの両チャネルをモニタする、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−520305(P2011−520305A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547013(P2010−547013)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000202
【国際公開番号】WO2009/103162
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(507355157)ディー−ボックス テクノロジーズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】