説明

ディジタル信号再生装置およびディジタル信号再生方法

【課題】記録媒体の記録面に傷や指紋などがあると信号を再生することが難しい。
【解決手段】サンプリング部10は、再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力する。DC制御部12は、DC制御信号に基づき、サンプリング信号のDCレベルを制御する。2値化部20は、サンプリング信号のDCレベルを所定の値と比較して2値化信号を出力する。重み付け部22a、22bは、2値化信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する。DC制御信号生成部26は、重み付き誤差信号を積分することにより、DC制御信号を生成し、DC制御部12に供給する。重み付け判別ブロック50は、DC制御信号生成部26が生成するDC制御信号のレベルに基づいて、重み付け部22a、22bによる誤差信号のレベルの重み付けを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の記録媒体に記録されている信号を再生するディジタル信号再生装置およびディジタル信号再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクが高密度になる程、ディスク面の傷やディスク面に付着した埃や指紋への対処は難しくなる。特にブルーレイディスク(商標または登録商標)に代表されるようなディスクカバー層の薄い光ディスクでは、レーザ光の焦点をディスク表面に非常に近い位置に合わせるため、ディスク面に付着した指紋等により、検出される信号レベルが大きく減衰する。また、光ディスクの再生速度の高速化が進んでいるが、ディスク面に傷や指紋があると再生エラーになり、リトライが多発するため、高速再生の妨げとなる。
【0003】
従来、光ディスクの再生において、傷や指紋などが原因で高速再生時にエラーが発生する場合、安定した再生が可能な再生速度に切り替えていた。しかし、その発生個所、頻度が特定出来ないため、リトライを繰り返し、必要なデータレートを得られないなどの課題があった。
【0004】
特許文献1では、この問題を解決するために、ディスクの記録面を複数のゾーンに分割して、再生時に各ゾーン毎の最適再生速度をテーブルに記憶し、それ以降、同じゾーンを再生する場合には、該テーブルより読み出した再生速度に即座に再生速度を切り替えて再生するなどの工夫をしていた。また、特許文献2は、再生信号から傷の種類と位置を検出して、傷の影響を少なくする傷処理方法を選択する光ディスク再生装置を開示する。
【特許文献1】特開2002−367277号公報
【特許文献2】特開2005−141868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、予め記録面のゾーン毎に決められた最適再生速度をテーブルから読み出して利用するため、指紋や埃などの付着状態の変化に適応するのは難しい。また、ゾーン内で傷(ディフェクト)と指紋の混在している場合には対応することが難しい。仮に、傷と指紋が混在している状況に対応しようとして、パラメータを変えながらリトライを繰り返すと、データレートのマージンを圧迫することになり、バッファメモリで吸収できない事態に陥ってしまう。また、実際、パラメータを変更しようとしても、予め用意したパラメータセットと合致しなければ、対応することができない。
【0006】
特許文献2の光ディスク再生装置は、ディスク面の傷の種類と位置を検出して傷処理方法を切り替えるものであり、粗い切り替えしかできず、ディスク面に付着する指紋などに適応的に対応することは難しい。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、傷や指紋などに適応的に対応することができるディジタル信号再生装置およびディジタル信号再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のディジタル信号再生装置は、再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するサンプリング部と、DC制御信号に基づき、前記サンプリング信号のDCレベルを制御するDC制御部と、前記サンプリング信号のDCレベルを所定の値と比較して2値化信号を出力する2値化部と、前記2値化信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する重み付け部と、前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記DC制御信号を生成し、前記DC制御部に供給するフィルタリング部と、前記DC制御部から出力されるDCレベル調整後のサンプリング信号を復号する復号部と、前記フィルタリング部が生成する前記DC制御信号のレベルに基づいて、前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを調整する重み付け調整部とを含む。
【0009】
本発明の別の態様もまた、ディジタル信号再生装置である。この装置は、再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するサンプリング部と、利得制御信号に基づき、前記サンプリング信号の振幅レベルを制御する利得制御部と、前記サンプリング信号の振幅レベルを所定の値と比較して誤差信号を出力する誤差信号生成部と、前記誤差信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する重み付け部と、前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記利得制御信号を生成し、前記利得制御部に供給するフィルタリング部と、前記利得制御部から出力される振幅レベル調整後のサンプリング信号を復号する復号部と、前記フィルタリング部が生成する前記利得制御信号のレベルに基づいて、前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを調整する重み付け調整部とを含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、ディジタル信号再生装置である。この装置は、再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するサンプリング部と、位相制御信号に基づき、前記サンプリング部に与えるサンプリングクロックを制御する位相制御部と、前記サンプリング部の出力と前記サンプリングクロックとの位相差を誤差信号として抽出する誤差信号生成部と、前記誤差信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する重み付け部と、前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記位相制御信号を生成し、前記位相制御部に供給するフィルタリング部と、前記サンプリング部から出力されるサンプリング信号を復号する復号部と、前記フィルタリング部が生成する前記位相制御信号のレベルに基づいて、前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを調整する重み付け調整部とを含む。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、ディジタル信号再生方法である。この方法は、再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するステップと、制御信号に基づき、前記サンプリング信号のDCレベル、振幅レベル、および位相の少なくとも一つを制御するステップと、前記サンプリング信号のDCレベル、振幅レベル、および位相の少なくとも一つに関する誤差信号を生成するステップと、前記誤差信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力するステップと、前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記制御信号を生成するステップと、DCレベル、振幅レベル、および位相の少なくとも一つが調整されたサンプリング信号を復号するステップと、前記制御信号のレベルに基づいて、前記誤差信号のレベルの重み付けを調整するステップとを含む。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録媒体の記録面等に傷や指紋等が付けられても、その傷や指紋などに適応的に対応し、効率良く再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係るディジタル信号再生装置を説明するに先立ち、光ディスクから読み取られた再生信号が指紋によってどのように変化するかをまず説明する。
【0015】
図1(a)〜(d)は、ディスク面に付着した指紋が再生信号に与える影響を説明する図である。図1(a)は、指紋部分を通過した再生信号を模式的に示す。再生信号700は、ランレングス変調されており、光学系を通過することにより、短い周期の波形は振幅が小さく、長い周期の波形は振幅が大きくなる。符号710で示す振幅は、仮に長い周期が連続した場合にたどると推測される振幅の変化を示している。
【0016】
符号720で示す区間は指紋区間である。指紋区間720において、再生信号700は、符号712で示すように、楔状に信号が大きく減衰しているのがわかる。また、指紋区間といっても減衰のレベルは一様ではなく、指紋の縞の間を光学的に通過する信号は減衰しないため、信号の減衰は断続的である。楔状に大きく減衰した部分(符号712)は指紋の縞に対応すると考えられる。指紋の縞の間を通過した再生信号700は、符号714で示すように、振幅が通常区間722と同じくらいの大きさの振幅を示すこともある。このことが指紋区間720と通常区間722の判別を一層難しくする要因である。
【0017】
図1(b)は、再生信号のエンベロープ(振幅包絡線)から指紋部分を抽出する方法を説明する図である。点線730は、検出感度の高いエンベロープ検波を行った結果を示す。検出感度が高いと、傷や指紋のない通常区間722においても変調による長短周期に影響される振幅変動にも反応してしまい、指紋区間720で検出される振幅変動との区別がつきにくくなる。また検出感度が高いとノイズ等にも敏感に反応するため、指紋区間720を正しく検出することが難しくなる。
【0018】
そのため、検出感度を下げてエンベロープ検波をすることになるが、前述のように指紋は傷と異なり、断続的に大きな振幅レベルの信号が現れるため、エンベロープは、図1(c)の点線732のようになる。通常区間722における誤検出はなくなっているが、指紋区間720において、符号712で示される指紋による振幅の減衰を検出することができなくなっていることがわかる。これは、指紋区間720においては、振幅の減衰は断続的であり、符号714で示すように、通常区間722の振幅と同程度の振幅の信号も現れるからである。
【0019】
このように、検出感度の低いエンベロープ検波では、指紋区間720における大きな振幅レベルの信号を拾うため、検出された振幅包絡線732のレベルは、通常区間722の振幅レベルと比較しても、せいぜい数十パーセント程度の減衰に留まる。これでは、レーザパワーの揺らぎやメディア個体差による変動と区別がつかない。図1(c)の検出感度の低いエンベロープ検波に対して、閾値を−50パーセントとして指紋検出を行うと、図1(d)に示すように、何も検出されない。
【0020】
そのため、ひとたび、所定の閾値よりも低い振幅レベルが検出されると、指紋区間720を通過するまで、数百トラックにわたって、DC制御のフィードバックループのゲインを高め、DC制御の応答性を高めるといった、粗い切替制御をするしかなくなる。そして、指紋区間720は欠陥部分として扱い、消失訂正処理によって欠落したデータを復元することになる。
【0021】
しかし、DC制御のゲインをこのように粗く切り替えると、自分自身で外乱を発生させてしまい、S/N比とのトレードオフの関係になる。本来、プレイアビリティ性能ぎりぎりの再生を行う場合には、通常の信号検出が可能な期間を少しでも増やして、S/N比を稼ぐことができるかどうかが重要となるが、DC制御の応答速度を粗く切り替えると、外乱が発生して、この要求を満たすことができなくなる。
【0022】
また、光ディスクの高密度化に伴い、指紋区間720であっても、全体を欠落部分とするのではなく、光学的に指紋の縞の間を通り抜ける信号を最大限利用することも必要になる。
【0023】
そこで、本発明者は、指紋区間では一律にDC制御のゲインを上げて応答を速めるといった、粗い切り替えではなく、指紋区間であっても信号の減衰レベルを正確に検出し、適応的に応答特性を変えて、指紋区間に対応した動作を行うことが必要であることを認識するに至った。以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
実施の形態1
図2は、実施の形態1に係るディジタル信号再生装置100の構成図である。図示する機能ブロックはハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0025】
図示しない光ディスクより再生された再生信号はサンプリング部10に入力される。サンプリング部10は、クロック生成部18から与えられるサンプリングクロックにて入力された再生信号をサンプリングして出力する。
【0026】
サンプリング部10の出力は、DC制御部12に供給される。DC制御部12は、DC制御信号生成部26から供給されるDC制御信号に基づいて、再生信号のDC成分(直流成分)のレベルを制御する。DC制御部12はDCレベル調整後の再生信号を出力する。
【0027】
DC制御部12の出力は、フィルタリング部14に供給され、必要に応じて、復号に適した形に波形整形もしくは波形等化が施される。フィルタリング部14の出力は、復号部16に供給される。復号部16は、フィルタリング処理後の再生信号を復号し、復号データを出力する。
【0028】
DC制御部12の出力は、クロック生成部18にも供給され、クロック生成部18は、PLL動作に基づき、再生信号に同期したクロックを生成する。
【0029】
DC制御部12の出力は、2値化部20にも供給される。2値化部20は、再生信号を所定の閾値に基づいて2値化する。2値化部20から出力された2値化信号は、第1重み付け部22aおよび第2重み付け部22bに供給され、互いに異なる重み付けがなされる。第1重み付け部22aおよび第2重み付け部22bの出力は、選択部24に供給される。
【0030】
選択部24は、ヒステリシス処理部48から出力されるヒステリシス付き判別フラグに基づいて、第1重み付け部22a、第2重み付け部22bのいずれか一方を選択し、選択された方の出力が重み付き誤差信号としてDC制御信号生成部26に供給される。
【0031】
DC制御信号生成部26は、低域通過フィルタであり、重み付き誤差信号を積分処理することによって、低域成分を抽出し、負帰還となるように極性を調節した後、DC制御信号として、DC制御部12へ供給する。
【0032】
2値化部20、第1および第2重み付け部22a、22b、選択部24、およびDC制御信号生成部26は、フィードバック制御ブロック60を構成する。フィードバック制御ブロック60は、DC制御部12によるDCレベルの制御に対して、誤差信号の極性を反転させて制御信号として与えることにより、閉ループ制御を行う。選択部24は、この閉ループ制御のゲインを調整して重み付きの誤差信号を生成する。ゲイン調整のための重みは、第1重み付け部22aまたは第2重み付け部22bにより与えられる。ここでは、第1重み付け部22aは、通常の重み付けを誤差信号に与え、第2重み付け部22bは第1重み付け部22aよりも大きい重み付けを誤差信号に与える。
【0033】
フィードバック制御のゲインの選択、言い替えれば誤差信号の重み付けの選択は、重み付け判別ブロック50が生成する判別フラグに基づいてなされる。重み付け判別ブロック50は、DC制御信号生成部26が出力するDC制御信号を取得して、閾値と比較することで重み付けを選択するための判別フラグを生成する。この判別フラグは、DC制御信号の絶対値が閾値以下であれば、通常時の重み付けを選択させ、DC制御信号の絶対値が閾値を超えるなら、通常時よりも大きい重み付けを選択させるものである。
【0034】
安定性を考慮すれば、この判別フラグにはヒステリシスをもたせて値が必要以上に短時間で反転を繰り返さないようにするのが好ましく、重み付け判別ブロック50は、ヒステリシス付き判別フラグを生成して、選択部24に与える。
【0035】
重み付け判別ブロック50が出力する判別フラグは、選択部24において誤差信号の重み付けを切り替えるための重み付け切替信号として作用する。その意味で、重み付け判別ブロック50は、「重み付け調整ブロック」と呼ぶこともできる。以下、重み付け判別ブロック50の構成を詳しく説明する。
【0036】
フィルタリング部40は、DC制御信号生成部26の出力するDC制御信号を入力信号として取得し、さらに低域の成分を抽出する。これにより、DC制御信号から高周波のノイズ成分が除去され、重み付けの切り替え判別に利用できる信号になる。フィルタリング部40の出力は、絶対値演算部42へ供給され、信号の絶対値を取る演算がなされる。絶対値演算部42の出力は、比較判別部46に供給され、閾値発生部44から出力された閾値と比較することにより、High(高)またはLow(低)のいずれかの判別フラグを出力する。
【0037】
比較判別部46が出力する判別フラグはヒステリシス処理部48に供給される。ヒステリシス処理部48は、判別フラグがいったんHighになると、所定の時間を超えてLowにならない限りはHighであり続けるようにすることで、判別フラグにヒステリシスをもたせる。ヒステリシス処理部48はヒステリシスをもたせた判別フラグを選択部24に与える。選択部24は、判別フラグがHighであれば、第2重み付け部22bに切り替えて、相対的に大きい重み付けがなされた誤差信号を選択して出力し、判別フラグがLowであれば、第1重み付け部22aに切り替えて、相対的に小さい重み付けがなされた誤差信号を選択して出力する。
【0038】
第1および第2重み付け部22a、22b、選択部24、フィルタリング部40、絶対値演算部42、閾値発生部44、比較判別部46、およびヒステリシス処理部48は、重み付き誤差信号生成ブロック70を構成する。重み付き誤差信号生成ブロック70は、DC制御部12、2値化部20、およびDC制御信号生成部26が行うDCレベルの閉ループ制御に対して、負帰還制御のゲインを調整するための重み付き誤差信号を供給する働きをする。その意味で、「ゲイン調整ブロック」と呼ぶこともできる。
【0039】
以上の構成のディジタル信号再生装置100の動作を説明する。
【0040】
図3(a)〜(h)は、横軸を時間として、ディジタル信号再生装置100の各部から出力される信号波形を示す図である。この図を用いて、ディジタル信号再生装置100による再生信号のDC制御の手順を説明する。
【0041】
図3(a)は、再生信号700を示す。比較のため、図1(a)と同じ符号を用いる。太い実線800は、仮想的なDC中心を示す。通常区間722では仮想DC中心はゼロであるが、指紋区間720では仮想DC中心はゼロからずれて振動する。
【0042】
図3(b)は、DC制御部12から出力される再生信号702を示す。太い線は仮想的なDC中心を示す。仮想DC中心は通常区間722および指紋区間720においてゼロレベルに制御されている(符号802)。もっともここでは、DCレベルのフィードバック制御の最終的な結果を図示したものであり、フィードバック制御の過程では図3(a)と図3(b)の間の過渡状態である。
【0043】
DC制御部12の役割は、図3(a)の太い線で示される仮想DC中心を検出し、それをキャンセルすることで、図3(b)に示すようなDCレベルがゼロの信号波形を得ることである。
【0044】
図3(c)は、DC制御信号生成部26から出力されるDC制御信号810を示す。極太線で図示している部分は、フィードバック制御のゲインを大きくしたことによって発生する高周波ノイズを模式的に示したものである。フィードバック制御のゲインを大きくすると、変調された再生信号の振幅の揺れにも敏感に反応するため、ノイズが発生する。
【0045】
重み付け判別ブロック50は、DC制御部12の動作過程で得られるDC制御信号810を利用して、フィードバック制御のゲインすなわち重み付けを切り替えるための信号である判別フラグを生成する。
【0046】
DC制御信号をフィードバック制御のゲイン調整に利用することの利点の一つは、変調された再生信号の長短周期による振幅変動に影響されることがない点である。また、エンベロープを利用すると発生頻度の少ない最大振幅ポイントに頼らざるを得なくなるが、DC制御信号の場合、DCレベルのゼロクロスポイントの発生頻度が多いため、正確な情報が得られる。
【0047】
ただし、DC制御信号生成部26から出力されるDC制御信号810は、図3(c)に示されるように、特に指紋区間720においてフィードバックループのゲインを高くするため、再生信号の振幅変動に対する感度が高く、高周波のノイズが含まれる。このようなノイズが含まれたままでは、ゲイン調整の切り替え判別に用いることが難しいので、図3(c)のDC制御信号810をフィルタリング部40に入力し、高周波成分を除去する。図3(d)は、フィルタリング部40を通過した後のDC制御信号812を示す。
【0048】
フィルタリング部40の出力は絶対値演算部42に供給され、絶対値が取られる。図3(e)は、絶対値演算部42から出力されるDC制御信号814を示す。点線820は、閾値発生部44が発生する閾値である。比較判別部46は、DC制御信号814と閾値820を比較して、判別フラグを生成する。図3(f)は、比較判別部46から出力される判別フラグ信号を示す。図3(e)においてDC制御信号814が閾値820を超えるとき、判別フラグはHighであり、DC制御信号814が閾値820以下であるとき、判別フラグはLowである。
【0049】
比較判別部46が生成した判別フラグ信号はヒステリシス処理部48に渡され、判別フラグにヒステリシスがつけられる。図3(g)は、ヒステリシス処理部48から出力されるヒステリシスをもたせた判別フラグ信号を示す。
【0050】
図3(f)では、指紋区間720において判別フラグはHighとLowの間を頻繁に切り替わっていた。ヒステリシス処理部48によって、いったんHighになった判別フラグは、所定の時間以上、Lowにならない限り、Highのまま維持されるようにヒステリシスをもたせる。これにより、図3(g)に示すように、判別フラグは短時間で頻繁に切り替わることはなくなり、Lowである状態が所定の時間以上、継続してはじめて判別フラグはLowになる。
【0051】
これを図3(e)のDC制御信号814の変化と比較して言えば、DC制御信号814が閾値820を超えた時点でヒステリシス付き判別フラグはHighになり、DC制御信号814がたびたび閾値820を切ることがあっても、短時間で再び閾値820を超える限り、ヒステリシス付き判別フラグはHighのまま維持される。しかし、DC制御信号814が閾値820を切り、その状態が所定の時間以上続くと、ヒステリシス付き判別フラグはLowにリセットされる。そして、DC制御信号814が閾値820を再び超えると、ヒステリシス付き判別フラグはHighになり、それ以降は前述の動作を繰り返す。
【0052】
ヒステリシス付き判別フラグにより、第1重み付け部による相対的に小さい重み付けがなされる区間Aと、第2重み付け部による相対的に大きい重み付けがなされる区間Bの切り替えは、図3(h)のようになる。言い替えれば、DC制御信号814が閾値820を超える状態が断続的であっても継続する区間Bでは、仮想的なDC中心がゼロから離れているため、フィードバックループ制御のゲインを大きくし、DC制御信号814が一定時間以上、閾値820を下回ると、仮想的なDC中心がゼロに近いため、フィードバック制御のゲインを小さくする。
【0053】
フィードバック制御のゲインを大きくすると、応答速度が上がり、DCレベルが速くゼロになるが、ノイズが発生し、S/N比が悪くなる。ゲインを小さくすると、応答速度は下がるが、S/N比は良くなる。そこで、DC制御信号814が閾値よりも大きい場合は、ゲインを大きくしてフィードバック制御の応答速度を上げ、仮想的なDC中心を速くゼロにすることを優先する。DC制御信号814が閾値以下である場合は、仮想的なDC中心がゼロ付近にあるため、ゲインを小さくしてノイズが発生するのを抑え、S/N比を良くし、有効な再生信号を取得できるようにする。図3(b)において、区間AのDC制御信号810は高周波のノイズがない(細い線で示される)のはそのためである。
【0054】
このように、指紋の付着によって断続的にDCレベルが振動する区間であっても、ゲインをDCレベルの振動に合わせて適応的に調整することで、S/N比の良い再生信号を得ることができる。結果として、リトライ回数を減らし、プレイアビリティを向上されることができる。
【0055】
以上述べたように、本実施の形態のディジタル信号再生装置100によれば、断続的に信号レベルが減衰する指紋区間において、重み付け判別ブロック50がDC制御信号に応じて重み付けを小刻みに切り替える。これにより、指紋区間ではフィードバックループの応答特性を適応的に変化させ、応答速度を上げつつ、S/N比を確保することができる。指紋区間であっても、一律に再生信号を捨てて消失訂正処理に任せるのではなく、指紋区間における再生信号の減衰パターンに応じて、応答特性をリアルタイムに調整することで、リトライ動作を減らして、再生マージンを大幅に拡大することができる。
【0056】
なお、重み付け判別ブロック50による重み付けの切り替えは、DC制御信号と閾値の比較によりなされるため、指紋区間や傷のある区間を判定する必要はないことに留意する。結果的に、通常区間であっても、傷、指紋等の区間であっても、全く同じ方法で対応することができ、指紋と傷が混在するような状況にも対応することができる。また、傷や指紋等の領域をあらかじめ判別することもないため、ディスク面の傷の状態や指紋等の付着状況が変わってもすぐに対応することができる。
【0057】
実施の形態2
図4は、実施の形態2に係るディジタル信号再生装置200の構成図である。実施の形態1のディジタル信号再生装置100のサンプリング部10は、再生信号と同期したサンプリングクロックで再生信号のサンプリングを行ったが、実施の形態2では、サンプリング部10は、所定の周波数でサンプリングを行い、再生信号とは同期しない点が、実施の形態1とは異なる。実施の形態1のディジタル信号再生装置100と共通する機能ブロックには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
フィルタリング部14の出力は、リサンプリングDPLL(Digital Phase Locked Loop)15に供給される。リサンプリングDPLL15は、ディジタル位相同期回路(DPLL)の働きにより、再生信号を所望のビットレートでリサンプリング(間引き補間)し、再生信号と同期した場合と同等のデータおよびクロックを生成する。生成されたデータとクロックは、復号部16に供給される。復号部16は、クロックに基づいてデータを復号し、復号データを出力する。
【0059】
本実施の形態では、DC制御部12によるDC制御は、再生信号と非同期のサンプリングにより行われているが、DC制御の効果には何ら問題なく、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0060】
実施の形態3
図5は、実施の形態3に係るディジタル信号再生装置300の構成図である。実施の形態1のディジタル信号再生装置100の重み付け判別ブロック50は絶対値演算部42を有し、絶対値演算部42がフィルタリング処理されたDC制御信号の絶対値を計算し、比較判別部46はDC制御信号の絶対値と閾値を比較することにより、判別フラグを求めた。実施の形態3では、重み付け判別ブロック50は絶対値演算部42をもたない点が異なる。実施の形態1のディジタル信号再生装置100と共通する機能ブロックには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
本実施の形態では、重み付け判別ブロック50において、フィルタリング部40から出力されるDC制御信号は、比較判別部46に供給される。比較判別部46は、フィルタリング処理されたDC制御信号が閾値発生部44の出力する閾値の範囲内にあるか否かを判別する。ここで、閾値発生部44が発生する閾値は、正負の値を取り、比較判別部46は、DC制御信号が正負の閾値で挟まれる範囲内にあれば、判別フラグをLowとし、正負の閾値で挟まれる範囲外にあれば、判別フラグをHighとする。これにより、DC制御信号の絶対値を取らなくても閾値との比較が可能であり、絶対値演算部の構成が不要である。
【0062】
図6(a)〜(h)は、ディジタル信号再生装置300の各部から出力される信号波形を示す図である。これは、実施の形態1のディジタル信号再生装置100の各部から出力される信号波形を示した図3(a)〜(h)と対応する。実施の形態1と共通する部分は説明を省略する。
【0063】
図6(e)は、フィルタリング部40から出力されるDC制御信号812であり、図6(d)と同じ信号波形である。点線820a、820bは、閾値発生部44が発生する正負の閾値である。比較判別部46は、DC制御信号812が正負の閾値820a、820bで挟まれる範囲内にあるか否かを判定して、判別フラグを生成する。図6(f)は、比較判別部46から出力される判別フラグ信号を示す。図6(e)においてDC制御信号814が正負の閾値820a、820bで挟まれる範囲外にあるとき、判別フラグはHighであり、DC制御信号814がその範囲内にあるとき、判別フラグはLowである。この結果は、実施の形態1の図3(f)と同じである。
【0064】
実施の形態4
図7は、実施の形態4に係るディジタル信号再生装置400の構成図である。実施の形態1のディジタル信号再生装置100は、DC制御部12を有し、仮想的なDC中心がゼロになるように制御したが、実施の形態3のディジタル信号再生装置400は、利得制御部30を有し、再生信号の振幅が一定になるように制御する。実施の形態1のディジタル信号再生装置100と共通する機能ブロックには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
サンプリング部10の出力は、利得制御部30に供給される。利得制御部30は、再生信号の利得を制御し、振幅が一定になるように調整する。利得制御された再生信号は、フィルタリング部14、クロック生成部18および振幅レベル検出部32に供給される。
【0066】
振幅レベル検出部32は、再生信号の振幅レベルを検出し、振幅誤差検出部34へ出力する。再生信号の振幅レベルは、再生信号のエンベロープ検波によって検出することができる。振幅誤差検出部34は、再生信号の振幅レベルを所定の目標レベルと比較し、誤差信号を出力する。出力された誤差信号は、第1重み付け部22aおよび第2重み付け部22bに供給され、互いに異なる重み付けがなされた後、選択部24に供給される。
【0067】
以下、実施の形態1と同様に、選択部24は、ヒステリシス処理部48から出力されるヒステリシス付き判別フラグに基づいて、第1重み付け部22a、第2重み付け部22bのいずれか一方を選択し、選択された方の出力が重み付き誤差信号として利得制御信号生成部28に供給される。
【0068】
利得制御信号生成部28は、重み付き誤差信号を積分処理することによって、低域成分を抽出し、負帰還となるように極性を調節した後、利得制御信号として、利得制御部30に供給する。
【0069】
利得制御信号生成部28から出力される利得制御信号は、重み付け判別ブロック50のフィルタリング部40にも供給される。この利得制御信号は、再生信号の振幅レベルの目標値に対する誤差を示すものであり、実施の形態1の図3(c)で示したDC制御信号と同様、目標値に近ければゼロ、目標値より大きければ正、目標値より小さければ負の値をとり、目標値から離れるほど絶対値が大きくなる。
【0070】
重み付け判別ブロック50の各構成による処理は実施の形態1と同様であり、利得制御信号が所定の閾値と比較され、誤差が閾値よりも大きい場合は、判別フラグがHighとなり、誤差が閾値よりも小さい場合は、判別フラグがLowとなる。重み付け判別ブロック50は、判別フラグにはヒステリシスをもたせ、選択部24に供給する。これにより、振幅レベルの目標値からのずれに応じて誤差信号に重み付けがなされ、振幅を一定にするためのフィードバック制御のゲインが細かく調整され、応答特性がリアルタイムで改善する。
【0071】
本実施の形態においても、実施の形態2のように、サンプリング部10が再生信号と非同期にサンプリングを行い、利得制御部30による利得制御が、非同期サンプリングされたデータに基づいて行われてもよい。また、実施の形態3のように、重み付け判別ブロック50は、絶対値演算部42を有しない構成であってもよい。いずれの場合でも、本実施の形態の効果には変わりはない。
【0072】
また、実施の形態1、2または3のDC制御と、実施の形態4の利得制御とを組み合わせて、再生信号のDC制御の後、利得制御を行うように構成してもよい。光ディスク指紋や傷に適応的に対応してDCレベルと振幅レベルの両方を調整することで、再生速度を低下させることなく、再生信号を正確に復号することができる。
【0073】
実施の形態5
図8は、実施の形態5に係るディジタル信号再生装置500の構成図である。実施の形態1、2および3のディジタル信号再生装置100、200、300では、重み付け判別ブロック50はDCレベルのフィードバック制御のゲイン調整を行い、実施の形態4のディジタル信号再生装置400では、重み付け判別ブロック50は振幅レベルのフィードバック制御のゲイン調整を行った。実施の形態5のディジタル信号再生装置500では、重み付け判別ブロック50は位相のフィードバック制御のゲイン調整を行う。実施の形態1のディジタル信号再生装置100と共通する機能ブロックには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
サンプリング部10は、電圧制御発振器(VCO)38から与えられるサンプリングクロックにて再生信号をサンプリングする。サンプリング部10の出力は、DC・利得制御部36に供給される。DC・利得制御部36は、再生信号のDCレベルと振幅レベルの両方を制御する。DC制御および利得制御がなされた信号は、フィルタリング部14および位相誤差検出部35に供給される。
【0075】
位相誤差検出部35は、DC・利得制御部36が出力する再生信号とVCO38から供給されたサンプリングクロックとの間で位相比較を行い、位相誤差を抽出する。位相誤差検出部35から出力された位相誤差は、第1重み付け部22aおよび第2重み付け部22bに供給され、互いに異なる重み付けがなされた後、選択部24に供給される。
【0076】
以下、実施の形態1と同様に、選択部24は、ヒステリシス処理部48から出力されるヒステリシス付き判別フラグに基づいて、第1重み付け部22a、第2重み付け部22bのいずれか一方を選択し、選択された方の出力が重み付き誤差信号として位相制御信号生成部29に供給される。
【0077】
位相制御信号生成部29は、重み付き誤差信号を積分処理することによって、低域成分を抽出し、負帰還となるように極性を調節した後、位相制御信号として、VCO38に供給する。VCO38は、「位相制御部」の一例であり、位相制御信号に基づいて位相誤差がゼロになるようにサンプリングクロックを調整する。
【0078】
位相制御信号生成部29から出力される位相制御信号は、重み付け判別ブロック50のフィルタリング部40にも供給される。この位相制御信号は、再生信号とサンプリングクロックの位相誤差を示すものであり、実施の形態1の図3(c)で示したDC制御信号と同様、位相誤差に応じて正負の値をとり、位相誤差が大きいほど絶対値が大きくなる。
【0079】
重み付け判別ブロック50の各構成による処理は実施の形態1と同様であり、位相制御信号が所定の閾値と比較され、誤差が閾値よりも大きい場合は、判別フラグがHighとなり、誤差が閾値よりも小さい場合は、判別フラグがLowとなる。重み付け判別ブロック50は、判別フラグにはヒステリシスをもたせ、選択部24に供給する。これにより、位相誤差の大きさに応じて誤差信号に重み付けがなされ、位相誤差をゼロに補正するためのフィードバック制御のゲインが細かく調整され、応答特性がリアルタイムで改善する。
【0080】
実施の形態6
図9は、実施の形態6に係るディジタル信号再生装置600の構成図である。本実施の形態では、再生信号と同期しないでサンプリングデータに対してDC制御と利得制御を行う点が実施の形態5とは異なる。実施の形態5のディジタル信号再生装置100と共通する機能ブロックには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
サンプリング部10は、再生信号に同期していない所定のクロックでサンプリングを行い、DC・利得制御部36は、非同期のサンプリングデータに対してDCレベルと利得の制御を行い、フィルタリング部14に供給する。フィルタリング部14の出力は、リサンプリングDPLL15に供給され、タイミング生成部39から供給されたタイミング情報に基づき、リサンプリング動作を行い、再生信号と同期した場合と同等のデータとクロックを生成する。復号部16は、リサンプリングDPLL15から供給されるクロックに基づいてデータを復号し、復号データを出力する。
【0082】
リサンプリングDPLL15によってリサンプリングされた信号は、位相誤差検出部35にも供給される。位相誤差検出部35は、タイミング生成部39から供給されたクロックと位相比較を行い、位相誤差を抽出する。位相誤差検出部35から出力された位相誤差は、第1重み付け部22aおよび第2重み付け部22bに供給され、互いに異なる重み付けがなされた後、選択部24に供給される。
【0083】
以下、実施の形態5と同様に、選択部24は、ヒステリシス処理部48から出力されるヒステリシス付き判別フラグに基づいて、第1重み付け部22a、第2重み付け部22bのいずれか一方を選択し、選択された方の出力が重み付き誤差信号として位相制御信号生成部29に供給される。
【0084】
位相制御信号生成部29は、重み付き誤差信号を積分処理することによって、低域成分を抽出し、負帰還となるように極性を調節した後、位相制御信号として、タイミング生成部39に供給する。タイミング生成部39は、「位相制御部」の一例であり、位相制御信号に基づいて適正なタイミング信号を生成することにより、リサンプリングDPLL15によるリサンプリングにおける位相誤差を制御する。
【0085】
位相制御信号生成部29から出力される位相制御信号は、重み付け判別ブロック50のフィルタリング部40にも供給される。重み付け判別ブロック50の各構成による処理は実施の形態3と同様であり、位相制御信号が閾値発生部44の出力する閾値の範囲内にあるか否かが判別され、位相制御信号が正負の閾値で挟まれる範囲内にあれば、判別フラグはLowとなり、正負の閾値で挟まれる範囲外にあれば、判別フラグをHighとなる。重み付け判別ブロック50は、判別フラグにはヒステリシスをもたせ、選択部24に供給する。これにより、再生信号の位相のずれに応じて誤差信号に重み付けがなされ、位相誤差をゼロにするための閉ループ制御のゲインが細かく調整される。
【0086】
なお、本実施の形態において、実施の形態5のように重み付け判別ブロック50に絶対値演算部42の構成をもたせてもよいことは言うまでもない。
【0087】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。特に、本実施の形態では、記録媒体として、DVDやBDの光ディスクを一例に説明したが、本発明は、これに限らず、光磁気ディスク等の指紋や埃等により再生に影響を与える記録媒体であれば、適用可能である。
【0088】
上記の実施の形態では、重み付け部を二つ設け、誤差信号に二段階の重み付けを行ったが、重み付け部を一つだけ設け、重み付けなしと重み付けありの二段階の重み付けを行ってもよい。また、重み付け部を三つ以上設けて、多段階の重み付けを行ってもよい。
【0089】
上記の実施の形態では、再生信号のDCレベル、振幅レベル、および位相を制御するフィードバックループのゲインをフィードバックの制御信号に基づいて調整することで、ディスク面の傷や指紋などが存在する区間における再生信号の乱れに対処した。フィードバック制御の対象は、実施の形態で挙げたものに限られず、再生信号から抽出される何らかの意味のあるデータであって、ディスク面の傷や指紋等によって乱れが生じるものであれば、同じ制御方法を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1(a)〜(d)は、ディスク面に付着した指紋が再生信号に与える影響を説明する図である。
【図2】実施の形態1に係るディジタル信号再生装置の構成図である。
【図3】図3(a)〜(h)は、図2のディジタル信号再生装置の各部から出力される信号波形を示す図である。
【図4】実施の形態2に係るディジタル信号再生装置の構成図である。
【図5】実施の形態3に係るディジタル信号再生装置の構成図である。
【図6】図6(a)〜(h)は、図5のディジタル信号再生装置の各部から出力される信号波形を示す図である。
【図7】実施の形態4に係るディジタル信号再生装置の構成図である。
【図8】実施の形態5に係るディジタル信号再生装置の構成図である。
【図9】実施の形態6に係るディジタル信号再生装置の構成図である。
【符号の説明】
【0091】
10 サンプリング部、 12 DC制御部、 14 フィルタリング部、 15 リサンプリングDPLL、 16 復号部、 18 クロック生成部、 20 2値化部、 22 重み付け部、 24 選択部、 26 DC制御信号生成部、 28 利得制御信号生成部、 29 位相制御信号生成部、 30 利得制御部、 32 振幅レベル検出部、 34 振幅誤差検出部、 35 位相誤差検出部、 36 DC・利得制御部、 38 VCO、 39 タイミング生成部、 40 フィルタリング部、 42 絶対値演算部、 44 閾値発生部、 46 比較判別部、 48 ヒステリシス処理部、 50 重み付け判別ブロック、 60 フィードバック制御ブロック、 70 重み付き誤差信号生成ブロック、 100 ディジタル信号再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体からの再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するサンプリング部と、
DC制御信号に基づき、前記サンプリング信号のDCレベルを制御するDC制御部と、
前記サンプリング信号のDCレベルを所定の値と比較して2値化信号を出力する2値化部と、
前記2値化信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する重み付け部と、
前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記DC制御信号を生成し、前記DC制御部に供給するフィルタリング部と、
前記DC制御部から出力されるDCレベル調整後のサンプリング信号を復号する復号部と、
前記フィルタリング部が生成する前記DC制御信号のレベルに基づいて、前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを調整する重み付け調整部とを含むことを特徴とするディジタル信号再生装置。
【請求項2】
前記重み付け調整部は、前記DC制御信号を所定の閾値と比較して、重み付けを切り替えるかどうかを判別するフラグを出力する比較判別部を含み、前記フラグに基づいて前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のディジタル信号再生装置。
【請求項3】
前記重み付け調整部は、前記フラグの値にヒステリシスを設けるヒステリシス処理部をさらに設け、ヒステリシスをつけたフラグの値に基づいて前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを切り替えることを特徴とする請求項2に記載のディジタル信号再生装置。
【請求項4】
記録媒体からの再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するサンプリング部と、
利得制御信号に基づき、前記サンプリング信号の振幅レベルを制御する利得制御部と、
前記サンプリング信号の振幅レベルを所定の値と比較して誤差信号を出力する誤差信号生成部と、
前記誤差信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する重み付け部と、
前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記利得制御信号を生成し、前記利得制御部に供給するフィルタリング部と、
前記利得制御部から出力される振幅レベル調整後のサンプリング信号を復号する復号部と、
前記フィルタリング部が生成する前記利得制御信号のレベルに基づいて、前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを調整する重み付け調整部とを含むことを特徴とするディジタル信号再生装置。
【請求項5】
記録媒体からの再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するサンプリング部と、
位相制御信号に基づき、前記サンプリング部に与えるサンプリングクロックを制御する位相制御部と、
前記サンプリング部の出力と前記サンプリングクロックとの位相差を誤差信号として抽出する誤差信号生成部と、
前記誤差信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力する重み付け部と、
前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記位相制御信号を生成し、前記位相制御部に供給するフィルタリング部と、
前記サンプリング部から出力されるサンプリング信号を復号する復号部と、
前記フィルタリング部が生成する前記位相制御信号のレベルに基づいて、前記重み付け部による前記誤差信号のレベルの重み付けを調整する重み付け調整部とを含むことを特徴とするディジタル信号再生装置。
【請求項6】
記録媒体からの再生信号を所定のクロックでサンプリングしてサンプリング信号を出力するステップと、
制御信号に基づき、前記サンプリング信号のDCレベル、振幅レベル、および位相の少なくとも一つを制御するステップと、
前記サンプリング信号のDCレベル、振幅レベル、および位相の少なくとも一つに関する誤差信号を生成するステップと、
前記誤差信号のレベルに重み付けを行い、重み付き誤差信号を出力するステップと、
前記重み付き誤差信号を積分することにより、前記制御信号を生成するステップと、
DCレベル、振幅レベル、および位相の少なくとも一つが調整されたサンプリング信号を復号するステップと、
前記制御信号のレベルに基づいて、前記誤差信号のレベルの重み付けを調整するステップとを含むことを特徴とするディジタル信号再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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