説明

ディジタル信号再生装置およびディジタル信号再生方法

【課題】
光ディスク再生装置ではAACSは鍵データ長128ビットのAESを用いることで暗号化強度を高めて著作権保護の安全性を高めている。この暗号を、光ディスクドライブの制御プログラムを不法なものに書き換えることによって解析を行なえるようにして暗号が破られる危険性を排除する。
【解決手段】
更新用プログラムをディスクデータ再生用の一時記憶装置に記憶させ、一時記憶装置から暗号解読回路に読み出して更新プログラムに暗号化されて付加された署名を暗号解読し、解読された署名が正規のものであると判定された場合に、一時記憶装置上の更新プログラムをCPUの制御プログラムが格納されているフラッシュROMにコピーする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル信号再生装置およびディジタル信号再生方法に関し、特に記録されたディジタル信号の著作権保護の安全性を高める装置・方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Blu−lay DiscやHD DVDといった次世代光ディスクではコンテンツを暗号化するAACS技術を用いて著作権の保護を行なっている。これについては、非特許文献1に記載されている。
【0003】
【非特許文献1】http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060314/114741/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AACSは鍵データ長128ビットのAESを用いることで暗号化強度を高めて著作権保護の安全性を高めている。しかしながら、光ディスクドライブの制御プログラムを不法なものに書き換えることによって、暗号が破られる危険性があり、著作権保護の安全性を低下させる課題があった。
【0005】
本発明の目的は、光ディスクドライブの制御プログラムを不法に書き換えることを抑制し著作権保護の安全性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、その一例として特許請求の範囲に記載の構成により解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光ディスクドライブの制御プログラムを不法に書き換えることを抑制し著作権保護の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を用いて、光ディスク再生装置を例に、本発明の第1の実施例であるディジタル信号再生装置を説明する。
【0009】
図1は、光ディスク再生装置のブロック図である。101は映像信号および音声信号がディジタルデータ化され、更に暗号化されたデータが、誤り訂正符号が付加されて、定められた変調則に従って変調されたデータが記録された光ディスク、102は光ディスク101を回転させるディスクモーター、103は光ディスク101の読み出すために発光するレーザーを搭載し、光ディスクにレーザー光の焦点を合わせるためのレンズ、光信号を電気信号に変換するOEICなどを更に搭載してなる光ピックアップ、104は光ピックアップ103で読み取られた信号に対し復調処理を行なう復調回路、105は復調された再生データが一時的に蓄えられるDRAM、106はDRAMに一時的に蓄えられた復調済のデータに対して誤り訂正処理を行なう誤り訂正回路、107はDRAMに蓄えられた誤り訂正処理済の
データを外部に出力するか、外部からの入力をDRAM105にライトするインターフェース回路、108は入出力端子、109はサーボ制御回路であり、ディスクモーターの回転制御や光ビームのフォーカスやトラッキングの制御を行なう。114はCPUであり復調回路104、誤り訂正回路106、インターフェース回路107、サーボ回路109、暗号解読回路110、正規/非正規判定回路111、データ消去回路115など再生装置各部の制御を行なう。113はCPU114のプログラムを格納するフラッシュROMである。110は外部からインターフェース回路107を介してDRAM109に記憶されたデータがCPU114の更新プログラムである場合、更新プログラムに暗号化されて付加された署名を解読する暗号解読回路、111は暗号解読回路110で解読された署名が正規のものであるか判定する回路、112は正規/非正規判定回路の判定結果に制御されて、判定結果が正規の時に、DRAM105上の更新プログラムをフラッシュROM113にコピーする。コピー終了後DRAM105上に残った更新プログラムはデータ消去回路115によって削除される。
【0010】
以上、本実施例においては、プログラムを外部から更新する際に、暗号化された署名が正規と認められた場合のみ、CPUのプログラムROMは更新されるので、製造メーカーが作成した正規のプログラム以外のプログラムに更新されることを抑制できる。従って、不法に改造されたプログラムで再生装置が動作することを抑制でき、暗号化されて著作権が保護された映像信号および音声信号の安全性を高く保つことが可能となる。また、更新プログラムが正規のものであるか判定するために一時的に記憶するメモリを、データ再生用のメモリと兼用しているので、再生装置を安価に提供することができる。
【0011】
なお、本実施例でDRAM105はランダムアクセスが可能であれば他のメモリでも良い。
【0012】
なお、本実施例で挙げた署名はメインのデータであるプログラムに対し、暗号演算を畳み込んで求めたコードを付加することが、例として考えられる。
【0013】
また、フラッシュROM113は電源を切ってもデータが失われない不揮発性メモリであれば良い。 また、正規/非正規判定回路111、更新制御回路112は、書き換えがプロテクトされたプログラムによって実現しても良い。
次に、本発明の第2の実施例であるディジタル信号再生装置を説明する。
【0014】
図2は、光ディスク再生装置のブロック図である。図2において、光ディスク101、ディスクモーター102、光ピックアップ103、復調回路104、DRAM105、誤り訂正回路106、インターフェース回路107、入出力端子108、サーボ制御回路109、暗号解読回路110、正規/非正規判定回路111、更新制御回路112、フラッシュROM113、データ消去回路115は、構成も動作も実施例1の光ディスク再生装置と同様である。CPU114は、第1の実施例の要素に加え、更に暗号処理回路201を制御する点が異なる。暗号処理回路201は第2の実施例に特有の構成要素であり、ディスク101に記録された暗号化されたデータを解くための暗号鍵を外部機器に送る際に外部機器が正規の機器か認証して、外部機器に伝送するための処理を行なう。
【0015】
この処理は暗号処理回路201がCPU114の制御を受けて行なうため、CPU114のプログラムが改ざんされると言うことは、暗号化されてディスクに記録されて著作権保護されているシステムに対し、暗号鍵を解かれる可能性を与え著作権保護の安全性を低めることになる。
【0016】
以上、本実施例によれば、暗号化されたデータの安全性を確保するために重要な暗号鍵の伝送を制御するプログラムが、違法なものに改造される危険が少なく、著作権保護の安全性を高く保つことができる。
【0017】
また、外部機器の認証処理、暗号鍵の伝送を行なう暗号処理回路201と暗号解読回路110は同じ方式の暗号が用いられている場合、暗号演算回路を共通にすることができる。
次に、本発明の第3の実施例であるディジタル信号再生方法を説明する。
【0018】
図3は第3の実施例を示す光ディスクの再生方法における再生制御プログラムの更新処理のフローチャートである。
【0019】
ステップ301は、外部機器から再生装置の制御プログラムの更新プログラムを第1の実施例のインターフェース107を介して、再生データ一時記憶用のDRAM105にライトする。
【0020】
ステップ302は更新プログラムデータ内に暗号化された署名の暗号を第1の実施例の暗号解読回路110で解読する。
【0021】
ステップ303は解読された署名が正規のものであるかを第1の実施例の正規/非正規判定回路111で判定する。正規と判定された場合はステップ304、非正規に判定された場合はステップ305に進む。
【0022】
ステップ304はステップ303で正規と判定された時、第1の実施例のDRAM105上の更新プログラムをフラッシュROM113にコピーする。
【0023】
ステップ305は、ステップ303で非正規と判定された場合、およびステップ304の終了後、第1の実施例のDRAM105上の更新プログラムをデータ消去回路115によって消去する。
【0024】
以上、本実施例によれば、プログラムを外部から更新する際に、暗号化された署名が正規と認められた場合のみ、CPUのプログラムROMは更新されるので、製造メーカーが作成した正規のプログラム以外のプログラムに更新されることを抑制できる。従って、不法に改造されたプログラムで再生装置が動作することは少なく、暗号化されて著作権が保護された映像信号および音声信号の安全性を高く保つことが可能となる。
【0025】
なお、本実施例では、署名の成否が判定されるまで一時的に蓄えるメモリをディスクからのデータを再生する際のバッファメモリと共用しているが、独立したメモリとしても、CPUのプログラムメモリと独立したメモリであれば良い。
次に、本発明の第4の実施例であるディジタル信号再生方法を説明する。
【0026】
図4は第4の実施例を示す光ディスクの再生方法における再生制御プログラムの更新処理のフローチャートである。
【0027】
ステップ401は更新プログラムをn個に分割する。
ステップ402はn個に分割された更新プログラムの内のm個目をインターフェース107を介して、再生データ一時記憶用のDRAM105にライトする。
【0028】
ステップ302は更新プログラムの分割されたm個目のデータ内に暗号化された署名の暗号を第1の実施例の暗号解読回路110で解読する。
【0029】
ステップ303は解読された署名が正規のものであるか判定する。第1の実施例の正規/非正規判定回路111で判定する。正規と判定された場合はステップ304、非正規に判定された場合はステップ305Bに進む。
【0030】
ステップ304はステップ303で正規と判定された時、第1の実施例のDRAM105上の分割された更新プログラムのm個目をフラッシュROM113にコピーする。
ステップ305Aは、ステップ304の終了後、第1の実施例のDRAM105上の分割された更新プログラムのm個目をデータ消去回路115によって消去する。
ステップ305Bは、ステップ303で非正規と判定された場合、第1の実施例のDRAM105上の分割された更新プログラムのm個目をデータ消去回路115によって消去する。ステップ305Bを実施すると、プログラムの更新処理を中止して終了する。
ステップ403は、ステップ305Aが実施された後、分割して行なわれた更新プログラムのフラッシュROM113へのコピーが全て終了したか判定する。全て終了していれば終了する。この時、更新プログラムは完全に更新されたことになる。全て終了していなければ、m+1個目について(ステップ404)、ステップ402以降を繰り返させる。
【0031】
以上、本実施例によれば、プログラムを外部から更新する際に、暗号化された署名が正規と認められた場合のみ、CPUのプログラムROMは更新されるので、製造メーカーが作成した正規のプログラム以外のプログラムに更新されることを抑制できる。従って、不法に改造されたプログラムで再生装置が動作することは少なく、暗号化されて著作権が保護された映像信号および音声信号の安全性を高く保つことが可能となる。
【0032】
また、プログラムが分割されてDRAM上に格納されるので、再生用のデータバッファがプログラム容量より小さくても、正規のプログラムか判定して更新することができる。また、分割して逐次判定をしていくので、署名が完全でないプログラムの場合判定を全体で行なう場合に比べて速く行なうことができる。
【0033】
また、本実施例では分割して逐次判定して非正規と判定した時点で処理を終了しているが、分割されたプログラムを署名の正規/非正規に従ってコピーを続けても
再生用のデータバッファがプログラム容量より小さくても、正規のプログラムか判定して更新することができる。
【0034】
繰返しになる部分も存在するがその他の実施例としては、光ディスクからデータを読み出すピックと、ピックにより読み出されたデータを格納する第1のメモリと、第1のメモリに格納されているデータを再生処理する再生処理回路と、再生処理回路を制御するCPUとCPUの動作プログラムを格納する第2のメモリと、CPUの動作プログラムを入力する入力部と、を有し、入力部から入力される動作プログラムは、第1のメモリに格納され、正規の動作プログラムと判定されたときに、該動作プログラムを第1のメモリから前記第2のメモリに移動することでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の光ディスク再生装置である第1の実施例を示す図。
【図2】本発明の光ディスク再生装置である第2の実施例を示す図。
【図3】本発明の光ディスク再生方法である第3の実施例を示す図。
【図4】本発明の光ディスク再生方法である第4の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0036】
101…光ディスク、102…ディスクモーター、103…光ピックアップ、104…復調回路、105…DRAM、106…誤り訂正回路、107…インターフェース回路、108…入出力端子、109…サーボ制御回路、110…暗号解読回路、111…正規/非正規判定回路、112…更新制御回路、113…フラッシュROM、114…CPU、115…データ消去回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化されて保護されたデータが定められた変調則に従って変調されて記録された媒体から読み取ったデータを再生するディジタルデータ再生装置であって、
媒体からデータを読み取る手段と、
前記読み取り手段により読み取られた記録データを前記変調則に従って復調をする回路と、
前記復調回路で復調された再生データを一時的に蓄える第1のメモリと、
前記第1のメモリに蓄えられた再生データを外部機器に出力する、もしくは外部機器からデータを入力して、入力されたデータを前記第1のメモリに蓄えるインターフェース回路と、
ディジタルデータ再生装置を制御するCPUと、
前記CPUのプログラムを保存する不揮発性の第2のメモリと、
外部機器から入力されて前記第1のメモリに記憶されたデータが前記CPUプログラムの更新データである場合は、前記第1のメモリに記憶された更新データを読み出し、暗号化されて付加された署名を解読する手段と、
解読された署名が正規のものである場合に、前記第1のメモリに記憶された更新データを前記不揮発性の第2のメモリに移動を許可する手段を具備したことを特徴とするディジタルデータ再生装置。
【請求項2】
暗号化されて保護されたデータが定められた変調則に従って変調されて記録された媒体から読み取ったデータを再生するディジタルデータ再生装置であって、
媒体からデータを読み取る手段と、
前記読み取り手段により読み取られた記録データを前記変調則に従って復調をする回路と、
前記復調回路で復調された再生データを一時的に蓄える第1のメモリと、
前記第1のメモリに蓄えられた再生データを外部機器に出力する、もしくは外部機器からデータを入力して、入力されたデータを前記第1のメモリに蓄えるインターフェース回路と、
外部機器で暗号化されて保護されたデータの暗号を解くための鍵を、伝送するための暗号処理回路と、
ディジタルデータ再生装置を制御するCPUと、
前記CPUのプログラムを保存する不揮発性の第2のメモリと、
外部機器から入力されて前記第1のメモリに記憶されたデータが前記CPUプログラムの更新データである場合は、前記第1のメモリに記憶された更新データを読み出し、暗号化されて付加された署名を解読する手段と、
解読された署名が正規のものである場合に、前記第1のメモリに記憶された更新データを前記不揮発性の第2のメモリに移動を許可する手段を具備したことを特徴とするディジタルデータ再生装置。
【請求項3】
前記暗号処理回路と暗号化されて付加された署名を解読する手段は共通の暗号処理演算回路を含むことを特徴とする請求項2記載のディジタルデータ再生装置。
【請求項4】
前記不揮発性の第2のメモリはフラッシュROMであることを特徴とする請求項1および2記載のディジタルデータ再生装置。
【請求項5】
暗号化されて保護されたデータが定められた変調則に従って変調されて記録された媒体から読み取り手段と、前記読み取り手段により読み取られた記録データを前記変調則に従って復調をする回路と、前記復調回路で復調された再生データを一時的に蓄える第1のメモリと、前記第1のメモリに蓄えられた再生データを外部機器に出力する、もしくは外部機器からデータを入力して、入力された前記第1のメモリに蓄えるインターフェース回路と、ディジタルデータ再生装置を制御するCPUと、前記CPUのプログラムを保存する不揮発性の第2のメモリを備えたディジタルデータ再生装置において、
外部機器から前記CPUプログラムの更新を行なう方法は、
外部機器から前記インターフェース回路を介して、プログラム更新データを前記第1のメモリに記憶させるステップと、
前記第1のメモリからプログラム更新データを読み出し、暗号化されて付加された署名を解読するステップと、
解読された署名が正規のものであるか判定するステップと、
前記判定ステップで正規のプログラムと判定された場合に、前記第1のメモリに記憶された更新データを前記不揮発性の第2のメモリにコピーするステップを含むことを特徴とするディジタルデータ再生方法。
【請求項6】
暗号化されて保護されたデータが定められた変調則に従って変調されて記録された媒体から読み取り手段と、前記読み取り手段により読み取られた記録データを前記変調則に従って復調をする回路と、前記復調回路で復調された再生データを一時的に蓄える第1のメモリと、前記第1のメモリに蓄えられた再生データを外部機器に出力する、もしくは外部機器からデータを入力して、入力された前記第1のメモリに蓄えるインターフェース回路と、ディジタルデータ再生装置を制御するCPUと、前記CPUのプログラムを保存する不揮発性の第2のメモリを備えたディジタルデータ再生装置において、
外部機器から前記CPUプログラムの更新を行なう方法は、
更新データを複数に分割するステップ1と、
外部機器から前記インターフェース回路を介して、分割されたプログラム更新データを前記第1のメモリに記憶させるステップ2と、
前記第1のメモリから分割されたプログラム更新データを読み出し、暗号化されて付加された署名を解読するステップ3と、
解読された署名が正規のものであるか判定するステップ4と、
前記判定ステップで正規のプログラムと判定された場合には、前記第1のメモリに記憶された分割されたプログラムの更新データを前記不揮発性の第2のメモリにコピーし分割されたプログラム更新データの残部分に対しステップ2,3,4を継続し、非正規と判定された場合は、ステップ2,3,4の処理を中止させるステップ5を含むことを特徴とするディジタルデータ再生方法。
【請求項7】
前記ステップ3、4、5の処理は論理回路で構成されるか、改編できないROMに記憶されたプログラムにより実現されるものであることを特徴とする請求項6記載のディジタルデータ再生方法。
【請求項8】
光ディスクを再生する光ディスク再生装置であって、
光ディスクからデータを読み出すピックと、
前記ピックにより読み出されたデータを格納する第1のメモリと、
前記第1のメモリに格納されているデータを再生処理する再生処理回路と、
前記再生処理回路を制御するCPUと、
前記CPUの動作プログラムを格納する第2のメモリと、
CPUの動作プログラムを入力する入力部と、
を有し、
前記入力部から入力される動作プログラムは、前記第1のメモリに格納され、正規の動作プログラムと判定されたときに、該動作プログラムを第1のメモリから前記第2のメモリに移動する、
光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−54064(P2009−54064A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222021(P2007−222021)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】