ディジタル放送受信装置、ディジタル放送受信方法、およびプログラム
【課題】ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、高解像度の映像をより長く表示することができるディジタル放送受信装置20を提供する。
【解決手段】本発明のディジタル放送受信装置20は、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダをディジタル放送用電波の受信状態に応じて切り替える切替閾値を、車両情報に基づいて切り替える。複数のディジタル放送用デコーダとしては、例えば、固定受信装置向けディジタル放送映像を出力する固定受信向けデコーダ200や、移動受信装置向けディジタル放送映像を出力する移動受信向けデコーダ201がある。
【解決手段】本発明のディジタル放送受信装置20は、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダをディジタル放送用電波の受信状態に応じて切り替える切替閾値を、車両情報に基づいて切り替える。複数のディジタル放送用デコーダとしては、例えば、固定受信装置向けディジタル放送映像を出力する固定受信向けデコーダ200や、移動受信装置向けディジタル放送映像を出力する移動受信向けデコーダ201がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載されるディジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近々、地上波ディジタル放送の開始が予定されている。地上波ディジタル放送では、各放送局に割り当てられた伝送帯域を多数のセグメントに分割し、1つ以上のセグメントで構成した階層を複数同時に伝送する階層伝送が行われる。階層伝送では、階層を構成するセグメント数が多いほど、高解像度の映像を伝送できるが、車両等において移動中にデータ誤り無く受信するのは困難になる。そこで、例えば、日本が準拠しているISDB−T方式では、1チャネルのディジタル放送用帯域を13個のセグメントに分割し、その中の12個のセグメントを使って固定受信装置向けに高解像度の映像を提供し、残りの1個のセグメントを使って伝送誤りに対する耐性の高い伝送方式による低解像度の映像を提供する。
【0003】
これにより、家庭等に設置される固定受信装置によって、高解像度のディジタル放送を受信でき、携帯電話やPDA等の移動受信装置によって、低解像度ではあるが、移動中でも安定したディジタル放送の受信が可能となる。
【0004】
しかし、車両に搭載されるナビゲーション装置等のように、移動体に搭載され、携帯電話やPDA等よりも大きな画面を有する移動受信装置においては、移動中であっても可能な限り、12個のセグメントを用いた高解像度の映像を表示したいという要望がある。
【0005】
これを実現可能とするために、例えば、特許文献1では、車両に搭載するディジタル放送受信装置であって、ディジタル放送用信号の受信率を地図上の各地点において予め測定したデータベースを有し、ナビゲーション機能による目的地までの移動経路の誘導中に、当該移動経路上におけるディジタル放送用信号の受信率をデータベースから取得してユーザに提示することにより、12個のセグメントを用いる高解像度の映像および1個のセグメントを用いる、低解像度ではあるが移動中の受信に優れた映像のいずれを受信すべきかの判断材料をユーザに提供する。
【0006】
【特許文献1】特開2003−274303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1は、予め測定された受信率をユーザに提示するのみであり、実際に12個のセグメントを用いる高解像度映像の受信と1個のセグメントを用いる低解像度映像の受信とを切り替えるのはユーザであるため、ユーザにわずらわしい操作を強いることになる。そのため、ユーザは、映像や音声が乱れてから1個のセグメントを用いる低解像度映像の受信に切り替えたり、受信率の悪い地域を通過した後に受信率の良い地域に入ったとしても、12個のセグメントを用いる高解像度映像に切り替えるのを忘れて1個のセグメントを用いる低解像度映像のままにしてしまったりする場合がある。
【0008】
また、車両等の移動体において電波を受信する場合、移動に伴って、電波を反射する物体との距離が変化し、移動体において受信される電波の強度は激しく変動する。そのため、静止状態では12個のセグメントを用いる高解像度映像を受信するのに十分な受信率の地点でも、移動中には当該高解像度の映像を必ずしも途切れることなく表示できるとは限らない。そのため、移動中のユーザは、映像が乱れたり途切れたりする高解像度映像の受信を中止し、1個のセグメントを用いる低解像度映像の受信を続ける場合が考えられる。
【0009】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、高解像度の映像をより長く表示することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のディジタル放送受信装置は、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダをディジタル放送用電波の受信状態に応じて切り替える切替閾値を、車両情報に基づいて切り替える。
【0011】
また、本発明は、例えば、移動体に搭載されるディジタル放送受信装置であって、移動体に関する情報である移動体情報を取得する移動体情報取得手段と、ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力する復調手段と、復調手段によって復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダと、受信状態に応じて、復調手段によって復調された信号を、複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせるかを切り替えるための切替閾値を、移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納手段と、移動体情報に基づき切替閾値格納手段を参照して、対応する切替閾値を取得し、受信状態および取得した切替閾値に基づいて、復調手段によって復調された信号を、複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるデコーダ切替手段とを備えることを特徴とするディジタル放送受信装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディジタル放送受信装置によれば、ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、高解像度の映像をより長く表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るディジタル放送システム10の構成を示す。ディジタル放送システム10は、ディジタル放送中継局13、ディジタル放送用アンテナ14、ディジタル放送受信装置20、ナビゲーション装置30、表示装置16、および音響再生装置17を備える。ディジタル放送中継局13は、放送局において作成された固定受信装置向けの高解像度映像および移動受信装置向けの低解像度映像を含むディジタル放送信号を有線ケーブル等を介して受け取り、受け取ったディジタル放送信号を、地上ディジタル放送において規定されている変調方式によって変調し、電波を用いて放送する。
【0015】
車両15は、GPSアンテナ12、ディジタル放送用アンテナ14、表示装置16、音響再生装置17、入力装置18、センサ19、ディジタル放送受信装置20、およびナビゲーション装置30を備える。
【0016】
ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送用アンテナ14を介してディジタル放送中継局13からディジタル放送信号を受信し、車速センサ等のセンサ19からの信号およびナビゲーション装置30からの車両の標高を示す信号等に基づいて、ディジタル放送信号の中から固定受信装置向けの高解像度映像または移動受信装置向けの低解像度映像を抽出し、ナビゲーション装置30へ送る。
【0017】
ナビゲーション装置30は、地図データを有しており、GPS衛星等の測地衛星11からのGPS信号、およびセンサ19からの車両15の速度や車両15の進行方位等に基づいて、車両15の現在位置を当該地図上に推測し、推測した車両15の現在位置を当該現在位置付近の地図データと共に表示装置16に表示する。
【0018】
また、ナビゲーション装置30は、道路の座標や旅行時間等を含む道路データを有しており、出発地点および目的地点を入力装置18を介してナビゲーション装置30のユーザから入力された場合に、道路データを用いて推奨経路を探索し、探索した推奨経路を表示装置16に表示する。そして、表示した推奨経路に対する誘導指示を入力装置18を介してユーザから受け取った場合に、ナビゲーション装置30は、当該推奨経路を示した地図と共に車両15の現在位置を表示装置16に表示する。さらに、ナビゲーション装置30は、車両15の現在位置から、推奨経路上の所定距離前方に右折または左折すべき交差点等が存在する場合には、その旨を示す音声を音響再生装置17によって再生することにより、運転者を推奨経路に沿って誘導する。
【0019】
また、ナビゲーション装置30は、測地衛星11からのGPS信号に基づいて車両の標高を算出し、算出した車両の標高をディジタル放送受信装置20へ送る。また、ナビゲーション装置30は、ディジタル放送受信装置20が抽出した固定受信装置向けの高解像度映像または移動受信装置向けの低解像度映像を表示装置16に表示すると共に、対応する音声を音響再生装置17に再生させる。また、ナビゲーション装置30は、ディジタル放送信号の受信に関するディジタル放送受信装置20の設定情報を入力装置18を介してユーザから受け取り、受け取った設定情報をディジタル放送受信装置20へ送る。
【0020】
なお、本例において、ディジタル放送受信装置20、ナビゲーション装置30、表示装置16、音響再生装置17、および入力装置18は、それぞれが別体として示されているが、全て1つの装置として一体に実現されていてもよく、いずれか2つ以上が一体の装置として実現されていてもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。ディジタル放送受信装置20は、固定受信向けデコーダ200、移動受信向けデコーダ201、切替閾値テーブル格納部202、デコーダ切替部203、およびディジタル放送復調部204を備える。
【0022】
ディジタル放送復調部204は、ディジタル放送用アンテナ14を介してディジタル放送中継局13から受信したディジタル放送信号を、例えばOFDM方式に基づいて復調し、復調した信号をFFT変換することにより13個のセグメントを抽出する。また、ディジタル放送復調部204は、ディジタル放送用アンテナ14を介して受信したディジタル放送信号の受信状態を示す信号を生成してデコーダ切替部203に送る。
【0023】
受信状態を示す信号とは、例えば、受信すべきディジタル放送信号の受信電界強度、受信すべきディジタル放送信号における搬送波の受信レベルに対するノイズレベルであるCN比(Carrier to Noise ratio)、および受信データのコンスタレーションに対するずれ量を示すコンスタレーションエラー量等である。
【0024】
ここで、コンスタレーションエラー量Vは、以下の関係式を用いて算出される。
【0025】
【数1】
【0026】
L1は、IQ平面上のキャリアと実際に受信した信号との距離を示し、以下の関係式を用いて算出される。
【0027】
【数2】
【0028】
ここで、nは、受信した信号の数を示す。
【0029】
また、L2は、隣り合うキャリアの距離を示し、変調方式が64QAMの場合には、以下の関係式を用いて算出される。
【0030】
【数3】
【0031】
固定受信向けデコーダ200は、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、固定受信向けディジタル放送映像が含まれる12個のセグメントをデコードして固定受信装置向けの高解像度映像を抽出する。移動受信向けデコーダ201は、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、移動受信向けディジタル放送映像が含まれる1個のセグメントをデコードして移動受信装置向けの低解像度映像を抽出する。
【0032】
切替閾値テーブル格納部202は、ディジタル放送復調部204が生成した受信状態を示す信号に応じて固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替えるための切替閾値を格納している。また、その切替閾値は、車両情報に対応して変化するものである。本例において、受信状態を示す信号には、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量の3種類があり、車両情報を示す信号には、車両15の速さおよび標高の2種類がある。そのため、切替閾値テーブル格納部202には、受信状態を示す信号と車両情報を示す信号との組み合わせに応じて、6種類の閾値切替テーブルが格納されている。
【0033】
デコーダ切替部203は、受信状態を示す信号として、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量のいずれを使用するか、および車両情報として、車両15の速さおよび標高のいずれを使用するかを、ナビゲーション装置30を介してユーザから予め設定される。これにより、デコーダ切替部203は、本例では6種類ある切替閾値テーブルの中の1つを用いて、固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替えることができる。
【0034】
デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204から受信状態を示す信号を取得すると共に、センサ19またはナビゲーション装置30から車両情報を示す信号を取得する。そして、デコーダ切替部203は、ユーザからの設定情報で特定される切替閾値テーブルを用いて、車両情報を示す信号の値に対応する切替閾値を抽出し、抽出した切替閾値と受信状態を示す信号の値とを比較して、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201を選択し、選択したデコーダにディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントからディジタル放送映像を抽出させる。
【0035】
図3は、切替閾値テーブル2020の一例を説明するための概念図である。図3(a)は、受信状態を示す信号を受信電界強度とし、車両情報を示す信号を車両15の速さとする場合の切替閾値と車速との関係の一例を示す。一般的に、受信電界強度が高くなれば、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は良くなる。図3(a)に示す例では、車速が速いほど切替閾値に対応する受信電界強度が高くなるように設定されている。
【0036】
デコーダ切替部203は、図3(a)に示した切替閾値テーブル2020aを参照して、センサ19から取得した車速に対応する切替閾値を抽出する。そして、ディジタル放送復調部204から取得した受信電界強度が、抽出した切替閾値以上の場合に、デコーダ切替部203は、固定受信向けデコーダ200に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の12個のセグメントをデコードさせて、固定受信装置向けの高解像度映像を抽出させる。一方、ディジタル放送復調部204から取得した受信電界強度が、抽出した切替閾値未満以上の場合には、デコーダ切替部203は、移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の1個のセグメントをデコードさせて、移動受信装置向けの低解像度映像を抽出させる。
【0037】
ここで、切替閾値を車両15の速さにかかわらず一定値にするとすれば、閾値を決定するために、受信電界強度と車両15の速さとの様々な組み合わせで受信テストを行い、平均等の統計的な処理により切替閾値を決定する場合がある。例えば、図3(a)に示すように、−75dBmが適当な切替閾値として決定されたとする。しかし、フェージング等の影響によって、車速が速いほどディジタル放送復調部204によって受信される信号の品質は劣化する。
【0038】
そのため、車速が遅い場合には、切替閾値近辺ではあるが、切替閾値以上の受信電界強度であれば、固定受信向けデコーダ200は、途切れ等の視覚や聴覚的に判別可能なエラーを発生することなく固定受信向けの高解像度映像を抽出することができても、車速が速い場合には、切替閾値以上の受信電界強度であっても、途切れ等の視覚や聴覚的に判別可能なエラーを発生することなく固定受信向けの高解像度映像を抽出することができない場合がある。
【0039】
さらに、安定して固定受信向けの高解像度映像を抽出可能な場合にのみ、固定受信向けデコーダ200を選択するように切替閾値を設定するとすれば、切替閾値は、車速が速い場合に安定して固定受信向けの高解像度映像を抽出できるような高い受信電界強度の値に設定される場合がある。このような場合、走行中には、通常、受信電界強度が切替閾値を超えることが少なくなり、表示装置16には、移動受信向けの低解像度映像が表示される機会が多くなる。そのため、固定受信向けの高解像度映像ならではの表現力を有する放送を表示する機会が少なくなり、コマーシャル等の広告効果が低くなる場合がある。
【0040】
これに対して、本発明では、車速が遅い場合に、受信電界強度に基づく切替閾値を低くし、車速が速くなるに従って、受信電界強度に基づく切替閾値を高くする。これにより、デコーダ切替部203は、車速が遅い場合には、受信電界強度が低くても、固定受信向けデコーダ200に固定受信向けの高解像度映像を抽出させることができる。従って、ディジタル放送受信装置20は、固定受信向けの高解像度映像ならではの表現力を有する放送を表示する機会を多くすることができる。
【0041】
図3(b)は、受信状態を示す信号をCN比、車両情報を示す信号を車両15の速さとする場合の切替閾値と車速との関係の一例を示す。一般的に、CN比が高くなれば、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は良くなる。図3(b)においても、図3(a)と同様に、車速が速いほど切替閾値に対応するCN比が高くなるように設定されている。これにより、デコーダ切替部203は、車速が遅い場合には、CN比が低くても、固定受信向けデコーダ200に固定受信向けの高解像度映像を抽出させることができる。
【0042】
図3(c)は、受信状態を示す信号をコンスタレーションエラー量、車両情報を示す信号を車両15の速さとする場合の切替閾値と車速との関係の一例を示す。一般的に、コンスタレーションエラー量が少なくなれば、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は良くなる。図3(c)においても、図3(a)と同様に、車速が速いほど切替閾値に対応するコンスタレーションエラー量が少なくなるように設定されている。これにより、デコーダ切替部203は、車速が遅い場合には、コンスタレーションエラー量が大きくても、固定受信向けデコーダ200に固定受信向けの高解像度映像を抽出させることができる。
【0043】
なお、図3(a)〜(c)に示す例において、それぞれの切替閾値テーブル2020の一部は直線で描かれているが、全ての部分が曲線であってもよい。
【0044】
図4は、切替閾値テーブル2021の一例を説明するための概念図である。図4(a)は、受信状態を示す信号を受信電界強度、車両情報を示す信号を車両15の標高とする場合の切替閾値と標高との関係の一例を示す。図中に示すhは、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値である。一般的に、ディジタル放送中継局13における送信アンテナ位置の標高との標高差が多くなればなるほど、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は悪くなる傾向にある。図4(a)に示す例では、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値と車両15の標高との差が大きいほど、切替閾値に対応する受信電界強度が高くなるように設定されている。
【0045】
図4(b)は、受信状態を示す信号をCN比、車両情報を示す信号を車両15の標高とする場合の切替閾値と標高との関係の一例を示す。図4(b)においても、図4(a)と同様に、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値と車両15の標高との差が大きいほど、切替閾値に対応するCN比が高くなるように設定されている。
【0046】
図4(c)は、受信状態を示す信号をコンスタレーションエラー量、車両情報を示す信号を車両15の標高とする場合の切替閾値と標高との関係の一例を示す。図4(c)においても、図4(a)と同様に、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値と車両15の標高との差が大きいほど、切替閾値に対応するコンスタレーションエラー量が低くなるように設定されている。
【0047】
図5は、ナビゲーション装置30の詳細な構成の一例を示す。ナビゲーション装置30は、現在位置算出部300、地図データ格納部301、経路誘導部302、および表示制御部303を備える。地図データ格納部301は、道路を複数のリンクと呼ばれる線分で近似した道路データおよび地図データを格納する。それぞれのリンクには、当該リンクの長さや、一方通行または相互通行の別、車両が走行した場合の旅行時間、当該リンクの始点座標および終点座標等が対応付けられている。
【0048】
標高算出部304は、測地衛星11からのGPS信号に基づいて、車両15の標高を算出する。現在位置算出部300は、地図データ格納部301からの道路データ、測地衛星11からのGPS信号、センサ19からの車両15の速さ、およびセンサ19からの車両15の進行方位に基づいて、例えば定期的に、マップマッチング等により車両15の現在位置を推測する。そして、現在位置算出部300は、推測した車両15の現在位置を表示制御部303へ送る。
【0049】
経路誘導部302は、表示制御部303から出発地点、目的地点、および探索条件等の情報を受け付けた場合に、地図データ格納部301内の道路データを参照して、例えばダイクストラ法等を用いて、出発地点から目的地点までの推奨経路を探索して表示制御部303に送る。
【0050】
また、経路誘導部302は、表示制御部303から経路誘導指示を受け付けた場合に、現在位置算出部300が推測した車両の現在位置の周辺の推奨経路の情報を表示制御部303へ送る。また。経路誘導部302は、車両15の現在位置から推奨経路上の所定距離前方に、右折または左折すべき交差点等が存在する場合には、その旨を表示制御部303へ通知する。
【0051】
表示制御部303は、現在位置算出部300が推測した車両の現在位置を受け取った場合に、当該現在位置周辺の地図データを地図データ格納部301から取得して、取得した地図データと共に、当該現在位置を表示装置16に表示する。
【0052】
また、表示制御部303は、入力装置18を介して、出発地点、目的地点、および探索条件をナビゲーション装置30のユーザから入力された場合に、入力された出発地点、目的地点、および探索条件を経路誘導部302に送る。そして、経路誘導部302から推奨経路を受け取った場合に、表示制御部303は、受け取った推奨経路を表示装置16に表示する。
【0053】
また、表示制御部303は、経路誘導部302が探索した推奨経路に対する誘導指示を入力装置18を介してユーザから受け取った場合に、当該推奨経路を示した地図データと共に現在位置算出部300が推測した車両15の現在位置を表示装置16に表示する。そして、車両15の現在位置から推奨経路上の所定距離前方に、右折または左折すべき交差点等が存在する旨を経路誘導部302から受け取った場合には、表示制御部303は、その旨を示す音声を音響再生装置17によって再生することにより、運転者を推奨経路に沿って誘導する。
【0054】
また、表示制御部303は、デコーダ切替部203が固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替える際に使用する切替閾値テーブルを特定するための情報(受信状態として受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量のいずれを使用するか、および車両情報として車両15の速さおよび標高のいずれを使用するかを示す情報)を、入力装置18を介してユーザから受信してデコーダ切替部203へ送る。
【0055】
また、表示制御部303は、入力装置18を介してディジタル放送の受信開始をユーザから指示された場合に、ディジタル放送の受信開始指示をディジタル放送受信装置20へ送る。そして、表示制御部303は、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201がデコードしたディジタル放送映像および音声を取得して、取得した映像を表示装置16に表示すると共に取得した音声を音響再生装置17に再生させる。また、表示制御部303は、入力装置18を介してディジタル放送の受信終了をユーザから指示された場合に、ディジタル放送の受信終了指示をディジタル放送受信装置20へ送る。
【0056】
図6は、設定メニュー画面40の構成の一例を示す。表示制御部303は、デコーダ切替部203が固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替える際に使用する情報の設定メニュー画面40を表示装置16に表示する。ユーザは、入力装置18を介して、ラジオボタン402およびラジオボタン403のいずれかを選択することにより、車両情報401として車速または標高のいずれかを設定する。また、ユーザは、入力装置18を介して、ラジオボタン405、ラジオボタン406、およびラジオボタン407のいずれかを選択することにより、受信状態404として受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量のいずれかを設定する。
【0057】
なお、入力装置18を介して設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報は、表示制御部303を介してデコーダ切替部203に送られ、デコーダ切替部203によって保持される。
【0058】
図7は、第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。車両15のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、ディジタル放送受信装置20は、本フローチャートに示す処理を開始する。まず、デコーダ切替部203は、表示制御部303を介してユーザからディジタル放送の受信開始指示受け付けたか否かを判定する(S100)。ディジタル放送の受信開始指示受け付けていない場合(S100:No)、デコーダ切替部203は、ステップ100を繰り返す。
【0059】
ディジタル放送の受信開始指示受け付けた場合(S100:Yes)、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、使用する車両情報が車速か否かを判定する(S101)。使用する車両情報が車速である場合(S101:Yes)、センサ19から車両15の車速を取得する(S102)。
【0060】
次に、デコーダ切替部203は、取得した車速に基づいて、切替閾値テーブル格納部202に格納された複数の切替閾値テーブル2020の中から、後述する処理により1つの切替閾値テーブル2020を選択し、選択した切替閾値テーブル2020に基づいて、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのデコードを指示する(S110)。
【0061】
そして、デコーダ切替部203は、表示制御部303を介して、ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けたか否かを判定する(S103)。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けていない場合(S103:No)、デコーダ切替部203は、再びステップ102に示した処理を行う。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けた場合(S103:Yes)、デコーダ切替部203は、再びステップ100に示した処理を行う。
【0062】
ステップ101において、使用する車両情報が車速でない場合(S101:No)、デコーダ切替部203は、標高算出部304から車両15の標高を取得する(S104)。そして、デコーダ切替部203は、取得した車両15の標高に基づいて、切替閾値テーブル格納部202に格納された切替閾値テーブル2020の中から、後述する処理により1つの切替閾値テーブル2020を選択し、選択した切替閾値テーブル2020に基づいて、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのデコードを指示する(S130)。
【0063】
そして、デコーダ切替部203は、表示制御部303を介して、ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けたか否かを判定する(S106)。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けていない場合(S106:No)、デコーダ切替部203は、再びステップ104に示した処理を行う。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けた場合(S106:Yes)、デコーダ切替部203は、再びステップ100に示した処理を行う。
【0064】
図8は、ステップ110における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。まず、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態として受信電界強度を使用するか否かを判定する(S111)。受信状態として受信電界強度を使用する場合(S111:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2020aを参照して、ステップ102において取得した車速に対応する切替閾値を取得する(S112)。
【0065】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成した受信電界強度の値が切替閾値テーブル2020aから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S113)。受信電界強度が切替閾値以上である場合(S113:Yes)、デコーダ切替部203は、固定受信向けデコーダ200に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の12個のセグメントをデコードさせて、固定受信装置向けの高解像度映像を抽出させ(S115)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0066】
一方、受信電界強度が切替閾値未満である場合(S113:No)、デコーダ切替部203は、移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の1個のセグメントをデコードさせて、移動受信装置向けの低解像度映像を抽出させ(S114)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0067】
ステップ111において、受信状態として受信電界強度を使用しない場合(S111:No)、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態としてCN比を使用するか否かを判定する(S116)。受信状態としてCN比を使用する場合(S116:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2020bを参照して、ステップ102において取得した車速に対応する切替閾値を取得する(S117)。
【0068】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したCN比の値が切替閾値テーブル2020bから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S118)。CN比が切替閾値以上である場合(S118:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ115に示した処理を行う。一方、CN比が切替閾値未満である場合(S118:No)、デコーダ切替部203は、ステップ114に示した処理を行う。
【0069】
ステップ116において、受信状態としてCN比を使用しない場合、すなわち、受信状態としてコンスタレーションエラー量を使用する場合(S116:No)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2020cを参照して、ステップ102において取得した車速に対応する切替閾値を取得する(S119)。そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したコンスタレーションエラー量の値が切替閾値テーブル2020cから取得した切替閾値未満であるか否かを判定する(S120)。
【0070】
コンスタレーションエラー量が切替閾値未満である場合(S120:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ115に示した処理を行う。一方、コンスタレーションエラー量が切替閾値以上である場合(S120:No)、デコーダ切替部203は、ステップ114に示した処理を行う。
【0071】
図9は、ステップ130における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。まず、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態として受信電界強度を使用するか否かを判定する(S131)。受信状態として受信電界強度を使用する場合(S131:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2021aを参照して、ステップ104において取得した車両15の標高に対応する切替閾値を取得する(S132)。
【0072】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成した受信電界強度の値が切替閾値テーブル2021aから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S133)。受信電界強度が切替閾値以上である場合(S133:Yes)、デコーダ切替部203は、固定受信向けデコーダ200に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の12個のセグメントをデコードさせて、固定受信装置向けの高解像度映像を抽出させ(S135)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0073】
一方、受信電界強度が切替閾値未満である場合(S133:No)、デコーダ切替部203は、移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の1個のセグメントをデコードさせて、移動受信装置向けの低解像度映像を抽出させ(S134)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0074】
ステップ131において、受信状態として受信電界強度を使用しない場合(S131:No)、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態としてCN比を使用するか否かを判定する(S136)。受信状態としてCN比を使用する場合(S136:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2021bを参照して、ステップ104において取得した車両15の標高に対応する切替閾値を取得する(S137)。
【0075】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したCN比の値が切替閾値テーブル2021bから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S138)。CN比が切替閾値以上である場合(S138:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ135に示した処理を行う。一方、CN比が切替閾値未満である場合(S138:No)、デコーダ切替部203は、ステップ134に示した処理を行う。
【0076】
ステップ136において、受信状態としてCN比を使用しない場合、すなわち、受信状態としてコンスタレーションエラー量を使用する場合(S136:No)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2021cを参照して、ステップ104において取得した車両15の標高に対応する切替閾値を取得する(S139)。そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したコンスタレーションエラー量の値が切替閾値テーブル2021cから取得した切替閾値未満であるか否かを判定する(S140)。
【0077】
コンスタレーションエラー量が切替閾値未満である場合(S140:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ135に示した処理を行う。一方、コンスタレーションエラー量が切替閾値以上である場合(S140:No)、デコーダ切替部203は、ステップ134に示した処理を行う。
【0078】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
【0079】
上記説明から明らかなように、本実施形態のディジタル放送受信装置20によれば、ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、移動中において、固定受信装置向けの高解像度映像をより長く表示することができる。
【0080】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0081】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0082】
図10は、第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。固定受信向けデコーダ200、移動受信向けデコーダ201、切替閾値テーブル格納部202、デコーダ切替部203、ディジタル放送復調部204、およびドップラーシフト算出部205を備える。本例のディジタル放送受信装置20は、ドップラーシフト算出部205を有する点が図2に示したディジタル放送受信装置20と異なる。なお、以下に説明する点を除き、図10において、図2と同じ符号を付した構成は、図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0083】
ドップラーシフト算出部205は、車両15の現在位置からディジタル放送中継局13の位置までの方位と車両15の進行方位との方位差θを算出する。そして、ドップラーシフト算出部205は、センサ19から車両15の車速vを取得する。そして、ドップラーシフト算出部205は、以下の関係式に基づいて、受信信号のドップラーシフトfを算出する。
【0084】
【数4】
【0085】
ここで、cは光速であり、f0はディジタル放送中継局13において送信されるディジタル放送電波の周波数である。
【0086】
上記数4を用いて算出されたドップラーシフトfが50Hzよりも大きい場合、ドップラーシフト算出部205は、算出したドップラーシフトf分、受信機の局発周波数をシフトさせる制御信号をディジタル放送復調部204に供給する。これにより、ディジタル放送復調部204は、車両15の移動によりドップラーシフトfだけ周波数がずれたディジタル放送電波の影響を補正する。これにより、ディジタル放送復調部204は、品質が改善した受信信号に基づいて当該信号を復調し、13個のセグメントを抽出して固定受信向けデコーダ200および移動受信向けデコーダ201に供給すると共に、受信状態を示す信号を生成してデコーダ切替部203に供給することができる。
【0087】
これにより、デコーダ切替部203は、ドップラーシフトfの影響を除いて、固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替えを判定することができる。なお、本例において、ディジタル放送中継局13の地図上の位置は、ナビゲーション装置30の地図データ格納部301に予め格納されているものとする。
【0088】
図11は、第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する点を除き、本フローチャートにおいて、図7に示したフローチャートと同じ番号を付した処理は、図7に示したフローチャートに処理と同一または同様の処理であるため説明を省略する。
【0089】
ステップ102において、車両15の車速を取得した後(S102)、ドップラーシフト算出部205は、数4に基づいて受信信号のドップラーシフトfを算出する。そして、ドップラーシフト算出部205は、算出したドップラーシフトf分、受信機の局発周波数をシフトさせる制御信号をディジタル放送復調部204に供給することにより、ディジタル放送復調部204に復調信号の品質を改善させる(S150)。
【0090】
同様に、ステップ104において、車両15の標高を取得した後(S104)、ドップラーシフト算出部205は、数4に基づいて受信信号のドップラーシフトfを算出する。そして、ドップラーシフト算出部205は、算出したドップラーシフトf分、受信機の局発周波数をシフトさせる制御信号をディジタル放送復調部204に供給することにより、ディジタル放送システム104に復調信号の品質を改善させる(S151)。
【0091】
図12は、車両15の現在位置の所定距離以内に複数のディジタル放送中継局13が存在する場合のディジタル放送受信装置20の動作を説明するための概念図である。本例において、ディジタル放送受信装置20は、最も受信電界強度の強い1つのディジタル放送中継局13からのディジタル放送信号のみを受信する。このとき、ドップラーシフト算出部205は、複数のディジタル放送中継局13のそれぞれのドップラーシフトfを算出し、ドップラーシフトfの影響を除いた受信信号に基づいて、それぞれのディジタル放送中継局13からの受信電界強度を測定する。
【0092】
例えば、図12に示す例では、ディジタル放送受信装置20は、車両位置50から見たディジタル放送中継局13aの方向と車両位置50における車両15の進行方位との方位差θ1および車両位置50における車両15の車速vに基づいて、数4に従ってディジタル放送中継局13aからのフドップラーシフトfaを算出し、算出したドップラーシフトfaの影響を補正した受信信号に基づいて、ディジタル放送中継局13aからの受信電界強度を測定する。ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送中継局13bからの信号についても、方位差θ1および車速vに基づいて、数4に従ってディジタル放送中継局13bからのフドップラーシフトfbを算出し、算出したドップラーシフトfbの影響を補正した受信信号に基づいて、ディジタル放送中継局13bからの受信電界強度を測定する。そして、ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送中継局13aおよびディジタル放送中継局13bからの受信電界強度を比較して、受信すべきディジタル放送中継局13を決定する。
【0093】
なお、ディジタル放送受信装置20は、ドップラーシフトfの影響を補正した後に、CN比またはコンスタレーションエラー量に基づいてディジタル放送電波を受信すべきディジタル放送中継局13を決定してもよい。
【0094】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
【0095】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0096】
図13は、第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。固定受信向けデコーダ200、移動受信向けデコーダ201、切替閾値テーブル格納部202、デコーダ切替部203、ディジタル放送復調部204、およびテーブル生成部206を備える。本例のディジタル放送受信装置20は、テーブル生成部206を有する点が図2に示したディジタル放送受信装置20と異なる。なお、以下に説明する点を除き、図13において、図2と同じ符号を付した構成は、図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0097】
テーブル生成部206は、表示制御部303を介してユーザから切替閾値テーブル作成指示を受け付けた場合に、切替閾値テーブル格納部202内の全ての切替閾値テーブルの値を最低レベルに設定する。例えば、受信状態が受信電界強度に対応する切替閾値テーブルに対しては、全ての車速および標高についての閾値の値を、例えば−100dBmに設定する。これにより、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が復調した13個のセグメントを常に固定受信向けデコーダ200にデコードさせるようになる。
【0098】
そして、テーブル生成部206は、例えば1秒等の所定のタイミング毎に車両15の車速、標高、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量を取得する。そして、受信したディジタル放送信号に基づいて固定受信向けデコーダ200が抽出した固定受信向け高解像度映像の品質を測定する。テーブル生成部206は、例えば、MPEG−2のTSパケットに含まれるエラーインジケータがオンとなっているか否かを判定することにより、映像の受信品質を判定する。
【0099】
そして、テーブル生成部206は、1つの画面を構成する画素を含むTSパケットについて、エラーインジケータがオンになっているTSパケットの個数が所定の範囲内(例えば1〜3個の間)の場合に、そのときの受信状態を切替閾値として記憶する。
【0100】
テーブル生成部206は、所定数の切替閾値を記憶した場合に、記憶した切替閾値に基づいて、それぞれの受信状態を示す信号に対応する切替閾値テーブル2020および切替閾値テーブル2021を生成して切替閾値テーブル格納部202に格納する。
【0101】
図14は、第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。例えば、表示制御部303を介してユーザから切替閾値テーブル作成指示を受け付けた場合に、テーブル生成部206は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0102】
まず、テーブル生成部206は、切替閾値テーブル格納部202内の全ての切替閾値テーブルの値を最低レベルに設定する(S200)。このとき、テーブル生成部206は、コンスタレーションエラー量に関しては、最高値に設定する。そして、テーブル生成部206は、センサ19から車両15の車速を、標高算出部304から車両の標高をそれぞれ取得する(S201)。
【0103】
次に、テーブル生成部206は、受信状態として、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量をディジタル放送復調部204からそれぞれ取得する(S202)。そして、テーブル生成部206は、例えば、1つの画面を構成する画素を含むTSパケットにおいて、エラーインジケータがオンとなっているTSパケットの数が所定の範囲内(例えば1〜3個の間)であるか否かを判定することにより、固定受信向けデコーダ200が抽出した固定受信向け高解像度映像の品質を判定する(S203)。
【0104】
固定受信向け高解像度映像の品質が所定の範囲内でない場合(S203:No)、テーブル生成部206は、ステップ205に示す処理を行う。固定受信向け高解像度映像の品質が所定の範囲内である場合(S203:Yes)、テーブル生成部206は、現在の受信状態を示すそれぞれの信号を切替閾値として記憶する(S204)。そして、テーブル生成部206は、記憶した切替閾値が所定数に達したか否かを判定する(S205)。所定数に達していない場合(S205:No)、テーブル生成部206は、再びステップ201に示した処理を行う。
【0105】
記憶した切替閾値が所定数に達した場合(S205:Yes)、テーブル生成部206は、収集した切替閾値から切替閾値テーブルを作成し、作成した切替閾値テーブルを切替閾値テーブル格納部202に格納し(S206)、本フローチャートに示す処理は終了する。ステップ206では、同一の車速や標高において、複数の異なる受信状態に対応する切替閾値が存在する場合、テーブル生成部206は、例えばそれらの平均値に基づいて切替閾値テーブルを作成する。
【0106】
なお、ステップ204において、テーブル生成部206は、切替閾値を格納する際に、当該切替閾値に対応する受信状態が測定された位置を特定する情報(例えば、その位置の緯度および経度)を、当該切替閾値に対応付けて格納してもよい。
【0107】
以上、本発明の第3実施形態について説明した。
【0108】
本発明は上記した実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、ディジタル放送受信装置20は、固定受信向けデコーダ200および移動受信向けデコーダ201の2つのディジタル放送用デコーダを、車両情報および受信状態に応じて切り替えたが、他の例として、3つ以上のディジタル放送用デコーダを、車両情報および受信状態に応じて切り替えてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、12個のセグメントをデコードするデコーダと、1個のセグメントをデコードするデコーダとを切り替えたが、本発明はこれに限られない。例えば、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、9個のセグメントをデコードするデコーダと、3個のセグメントをデコードするデコーダと、1個のセグメントをデコードするデコーダとを、車両情報および受信状態に応じて切り替えるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施形態に係るディジタル放送システム10の構成を示す。
【図2】第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。
【図3】切替閾値テーブル2020の一例を説明するための概念図である。
【図4】切替閾値テーブル2021の一例を説明するための概念図である。
【図5】ナビゲーション装置30の詳細な構成の一例を示す。
【図6】設定メニュー画面40の構成の一例を示す。
【図7】第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】ステップ110における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】ステップ130における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。
【図11】第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】車両15の現在位置の所定距離以内に複数のディジタル放送中継局13が存在する場合のディジタル放送受信装置20の動作を説明するための概念図である。
【図13】第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。
【図14】第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
10・・・ディジタル放送システム、11・・・測地衛星、12・・・GPSアンテナ、13・・・ディジタル放送中継局、14・・・ディジタル放送用アンテナ、15・・・車両、16・・・表示装置、17・・・音響再生装置、18・・・入力装置、19・・・センサ、20・・・ディジタル放送受信装置、200・・・固定受信向けデコーダ、201・・・移動受信向けデコーダ、202・・・切替閾値テーブル格納部、2020、2021・・・切替閾値テーブル、203・・・デコーダ切替部、204・・・ディジタル放送復調部、205・・・ドップラーシフト算出部、206・・・テーブル生成部、30・・・ナビゲーション装置、300・・・現在位置算出部、301・・・地図データ格納部、302・・・経路誘導部、303・・・表示制御部、304・・・標高算出部、40・・・設定メニュー画面、401・・・車両情報、402、403、405、406、407・・・ラジオボタン、404・・・受信状態、50・・・車両位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載されるディジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近々、地上波ディジタル放送の開始が予定されている。地上波ディジタル放送では、各放送局に割り当てられた伝送帯域を多数のセグメントに分割し、1つ以上のセグメントで構成した階層を複数同時に伝送する階層伝送が行われる。階層伝送では、階層を構成するセグメント数が多いほど、高解像度の映像を伝送できるが、車両等において移動中にデータ誤り無く受信するのは困難になる。そこで、例えば、日本が準拠しているISDB−T方式では、1チャネルのディジタル放送用帯域を13個のセグメントに分割し、その中の12個のセグメントを使って固定受信装置向けに高解像度の映像を提供し、残りの1個のセグメントを使って伝送誤りに対する耐性の高い伝送方式による低解像度の映像を提供する。
【0003】
これにより、家庭等に設置される固定受信装置によって、高解像度のディジタル放送を受信でき、携帯電話やPDA等の移動受信装置によって、低解像度ではあるが、移動中でも安定したディジタル放送の受信が可能となる。
【0004】
しかし、車両に搭載されるナビゲーション装置等のように、移動体に搭載され、携帯電話やPDA等よりも大きな画面を有する移動受信装置においては、移動中であっても可能な限り、12個のセグメントを用いた高解像度の映像を表示したいという要望がある。
【0005】
これを実現可能とするために、例えば、特許文献1では、車両に搭載するディジタル放送受信装置であって、ディジタル放送用信号の受信率を地図上の各地点において予め測定したデータベースを有し、ナビゲーション機能による目的地までの移動経路の誘導中に、当該移動経路上におけるディジタル放送用信号の受信率をデータベースから取得してユーザに提示することにより、12個のセグメントを用いる高解像度の映像および1個のセグメントを用いる、低解像度ではあるが移動中の受信に優れた映像のいずれを受信すべきかの判断材料をユーザに提供する。
【0006】
【特許文献1】特開2003−274303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1は、予め測定された受信率をユーザに提示するのみであり、実際に12個のセグメントを用いる高解像度映像の受信と1個のセグメントを用いる低解像度映像の受信とを切り替えるのはユーザであるため、ユーザにわずらわしい操作を強いることになる。そのため、ユーザは、映像や音声が乱れてから1個のセグメントを用いる低解像度映像の受信に切り替えたり、受信率の悪い地域を通過した後に受信率の良い地域に入ったとしても、12個のセグメントを用いる高解像度映像に切り替えるのを忘れて1個のセグメントを用いる低解像度映像のままにしてしまったりする場合がある。
【0008】
また、車両等の移動体において電波を受信する場合、移動に伴って、電波を反射する物体との距離が変化し、移動体において受信される電波の強度は激しく変動する。そのため、静止状態では12個のセグメントを用いる高解像度映像を受信するのに十分な受信率の地点でも、移動中には当該高解像度の映像を必ずしも途切れることなく表示できるとは限らない。そのため、移動中のユーザは、映像が乱れたり途切れたりする高解像度映像の受信を中止し、1個のセグメントを用いる低解像度映像の受信を続ける場合が考えられる。
【0009】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、高解像度の映像をより長く表示することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のディジタル放送受信装置は、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダをディジタル放送用電波の受信状態に応じて切り替える切替閾値を、車両情報に基づいて切り替える。
【0011】
また、本発明は、例えば、移動体に搭載されるディジタル放送受信装置であって、移動体に関する情報である移動体情報を取得する移動体情報取得手段と、ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力する復調手段と、復調手段によって復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダと、受信状態に応じて、復調手段によって復調された信号を、複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせるかを切り替えるための切替閾値を、移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納手段と、移動体情報に基づき切替閾値格納手段を参照して、対応する切替閾値を取得し、受信状態および取得した切替閾値に基づいて、復調手段によって復調された信号を、複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるデコーダ切替手段とを備えることを特徴とするディジタル放送受信装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディジタル放送受信装置によれば、ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、高解像度の映像をより長く表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るディジタル放送システム10の構成を示す。ディジタル放送システム10は、ディジタル放送中継局13、ディジタル放送用アンテナ14、ディジタル放送受信装置20、ナビゲーション装置30、表示装置16、および音響再生装置17を備える。ディジタル放送中継局13は、放送局において作成された固定受信装置向けの高解像度映像および移動受信装置向けの低解像度映像を含むディジタル放送信号を有線ケーブル等を介して受け取り、受け取ったディジタル放送信号を、地上ディジタル放送において規定されている変調方式によって変調し、電波を用いて放送する。
【0015】
車両15は、GPSアンテナ12、ディジタル放送用アンテナ14、表示装置16、音響再生装置17、入力装置18、センサ19、ディジタル放送受信装置20、およびナビゲーション装置30を備える。
【0016】
ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送用アンテナ14を介してディジタル放送中継局13からディジタル放送信号を受信し、車速センサ等のセンサ19からの信号およびナビゲーション装置30からの車両の標高を示す信号等に基づいて、ディジタル放送信号の中から固定受信装置向けの高解像度映像または移動受信装置向けの低解像度映像を抽出し、ナビゲーション装置30へ送る。
【0017】
ナビゲーション装置30は、地図データを有しており、GPS衛星等の測地衛星11からのGPS信号、およびセンサ19からの車両15の速度や車両15の進行方位等に基づいて、車両15の現在位置を当該地図上に推測し、推測した車両15の現在位置を当該現在位置付近の地図データと共に表示装置16に表示する。
【0018】
また、ナビゲーション装置30は、道路の座標や旅行時間等を含む道路データを有しており、出発地点および目的地点を入力装置18を介してナビゲーション装置30のユーザから入力された場合に、道路データを用いて推奨経路を探索し、探索した推奨経路を表示装置16に表示する。そして、表示した推奨経路に対する誘導指示を入力装置18を介してユーザから受け取った場合に、ナビゲーション装置30は、当該推奨経路を示した地図と共に車両15の現在位置を表示装置16に表示する。さらに、ナビゲーション装置30は、車両15の現在位置から、推奨経路上の所定距離前方に右折または左折すべき交差点等が存在する場合には、その旨を示す音声を音響再生装置17によって再生することにより、運転者を推奨経路に沿って誘導する。
【0019】
また、ナビゲーション装置30は、測地衛星11からのGPS信号に基づいて車両の標高を算出し、算出した車両の標高をディジタル放送受信装置20へ送る。また、ナビゲーション装置30は、ディジタル放送受信装置20が抽出した固定受信装置向けの高解像度映像または移動受信装置向けの低解像度映像を表示装置16に表示すると共に、対応する音声を音響再生装置17に再生させる。また、ナビゲーション装置30は、ディジタル放送信号の受信に関するディジタル放送受信装置20の設定情報を入力装置18を介してユーザから受け取り、受け取った設定情報をディジタル放送受信装置20へ送る。
【0020】
なお、本例において、ディジタル放送受信装置20、ナビゲーション装置30、表示装置16、音響再生装置17、および入力装置18は、それぞれが別体として示されているが、全て1つの装置として一体に実現されていてもよく、いずれか2つ以上が一体の装置として実現されていてもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。ディジタル放送受信装置20は、固定受信向けデコーダ200、移動受信向けデコーダ201、切替閾値テーブル格納部202、デコーダ切替部203、およびディジタル放送復調部204を備える。
【0022】
ディジタル放送復調部204は、ディジタル放送用アンテナ14を介してディジタル放送中継局13から受信したディジタル放送信号を、例えばOFDM方式に基づいて復調し、復調した信号をFFT変換することにより13個のセグメントを抽出する。また、ディジタル放送復調部204は、ディジタル放送用アンテナ14を介して受信したディジタル放送信号の受信状態を示す信号を生成してデコーダ切替部203に送る。
【0023】
受信状態を示す信号とは、例えば、受信すべきディジタル放送信号の受信電界強度、受信すべきディジタル放送信号における搬送波の受信レベルに対するノイズレベルであるCN比(Carrier to Noise ratio)、および受信データのコンスタレーションに対するずれ量を示すコンスタレーションエラー量等である。
【0024】
ここで、コンスタレーションエラー量Vは、以下の関係式を用いて算出される。
【0025】
【数1】
【0026】
L1は、IQ平面上のキャリアと実際に受信した信号との距離を示し、以下の関係式を用いて算出される。
【0027】
【数2】
【0028】
ここで、nは、受信した信号の数を示す。
【0029】
また、L2は、隣り合うキャリアの距離を示し、変調方式が64QAMの場合には、以下の関係式を用いて算出される。
【0030】
【数3】
【0031】
固定受信向けデコーダ200は、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、固定受信向けディジタル放送映像が含まれる12個のセグメントをデコードして固定受信装置向けの高解像度映像を抽出する。移動受信向けデコーダ201は、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、移動受信向けディジタル放送映像が含まれる1個のセグメントをデコードして移動受信装置向けの低解像度映像を抽出する。
【0032】
切替閾値テーブル格納部202は、ディジタル放送復調部204が生成した受信状態を示す信号に応じて固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替えるための切替閾値を格納している。また、その切替閾値は、車両情報に対応して変化するものである。本例において、受信状態を示す信号には、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量の3種類があり、車両情報を示す信号には、車両15の速さおよび標高の2種類がある。そのため、切替閾値テーブル格納部202には、受信状態を示す信号と車両情報を示す信号との組み合わせに応じて、6種類の閾値切替テーブルが格納されている。
【0033】
デコーダ切替部203は、受信状態を示す信号として、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量のいずれを使用するか、および車両情報として、車両15の速さおよび標高のいずれを使用するかを、ナビゲーション装置30を介してユーザから予め設定される。これにより、デコーダ切替部203は、本例では6種類ある切替閾値テーブルの中の1つを用いて、固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替えることができる。
【0034】
デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204から受信状態を示す信号を取得すると共に、センサ19またはナビゲーション装置30から車両情報を示す信号を取得する。そして、デコーダ切替部203は、ユーザからの設定情報で特定される切替閾値テーブルを用いて、車両情報を示す信号の値に対応する切替閾値を抽出し、抽出した切替閾値と受信状態を示す信号の値とを比較して、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201を選択し、選択したデコーダにディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントからディジタル放送映像を抽出させる。
【0035】
図3は、切替閾値テーブル2020の一例を説明するための概念図である。図3(a)は、受信状態を示す信号を受信電界強度とし、車両情報を示す信号を車両15の速さとする場合の切替閾値と車速との関係の一例を示す。一般的に、受信電界強度が高くなれば、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は良くなる。図3(a)に示す例では、車速が速いほど切替閾値に対応する受信電界強度が高くなるように設定されている。
【0036】
デコーダ切替部203は、図3(a)に示した切替閾値テーブル2020aを参照して、センサ19から取得した車速に対応する切替閾値を抽出する。そして、ディジタル放送復調部204から取得した受信電界強度が、抽出した切替閾値以上の場合に、デコーダ切替部203は、固定受信向けデコーダ200に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の12個のセグメントをデコードさせて、固定受信装置向けの高解像度映像を抽出させる。一方、ディジタル放送復調部204から取得した受信電界強度が、抽出した切替閾値未満以上の場合には、デコーダ切替部203は、移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の1個のセグメントをデコードさせて、移動受信装置向けの低解像度映像を抽出させる。
【0037】
ここで、切替閾値を車両15の速さにかかわらず一定値にするとすれば、閾値を決定するために、受信電界強度と車両15の速さとの様々な組み合わせで受信テストを行い、平均等の統計的な処理により切替閾値を決定する場合がある。例えば、図3(a)に示すように、−75dBmが適当な切替閾値として決定されたとする。しかし、フェージング等の影響によって、車速が速いほどディジタル放送復調部204によって受信される信号の品質は劣化する。
【0038】
そのため、車速が遅い場合には、切替閾値近辺ではあるが、切替閾値以上の受信電界強度であれば、固定受信向けデコーダ200は、途切れ等の視覚や聴覚的に判別可能なエラーを発生することなく固定受信向けの高解像度映像を抽出することができても、車速が速い場合には、切替閾値以上の受信電界強度であっても、途切れ等の視覚や聴覚的に判別可能なエラーを発生することなく固定受信向けの高解像度映像を抽出することができない場合がある。
【0039】
さらに、安定して固定受信向けの高解像度映像を抽出可能な場合にのみ、固定受信向けデコーダ200を選択するように切替閾値を設定するとすれば、切替閾値は、車速が速い場合に安定して固定受信向けの高解像度映像を抽出できるような高い受信電界強度の値に設定される場合がある。このような場合、走行中には、通常、受信電界強度が切替閾値を超えることが少なくなり、表示装置16には、移動受信向けの低解像度映像が表示される機会が多くなる。そのため、固定受信向けの高解像度映像ならではの表現力を有する放送を表示する機会が少なくなり、コマーシャル等の広告効果が低くなる場合がある。
【0040】
これに対して、本発明では、車速が遅い場合に、受信電界強度に基づく切替閾値を低くし、車速が速くなるに従って、受信電界強度に基づく切替閾値を高くする。これにより、デコーダ切替部203は、車速が遅い場合には、受信電界強度が低くても、固定受信向けデコーダ200に固定受信向けの高解像度映像を抽出させることができる。従って、ディジタル放送受信装置20は、固定受信向けの高解像度映像ならではの表現力を有する放送を表示する機会を多くすることができる。
【0041】
図3(b)は、受信状態を示す信号をCN比、車両情報を示す信号を車両15の速さとする場合の切替閾値と車速との関係の一例を示す。一般的に、CN比が高くなれば、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は良くなる。図3(b)においても、図3(a)と同様に、車速が速いほど切替閾値に対応するCN比が高くなるように設定されている。これにより、デコーダ切替部203は、車速が遅い場合には、CN比が低くても、固定受信向けデコーダ200に固定受信向けの高解像度映像を抽出させることができる。
【0042】
図3(c)は、受信状態を示す信号をコンスタレーションエラー量、車両情報を示す信号を車両15の速さとする場合の切替閾値と車速との関係の一例を示す。一般的に、コンスタレーションエラー量が少なくなれば、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は良くなる。図3(c)においても、図3(a)と同様に、車速が速いほど切替閾値に対応するコンスタレーションエラー量が少なくなるように設定されている。これにより、デコーダ切替部203は、車速が遅い場合には、コンスタレーションエラー量が大きくても、固定受信向けデコーダ200に固定受信向けの高解像度映像を抽出させることができる。
【0043】
なお、図3(a)〜(c)に示す例において、それぞれの切替閾値テーブル2020の一部は直線で描かれているが、全ての部分が曲線であってもよい。
【0044】
図4は、切替閾値テーブル2021の一例を説明するための概念図である。図4(a)は、受信状態を示す信号を受信電界強度、車両情報を示す信号を車両15の標高とする場合の切替閾値と標高との関係の一例を示す。図中に示すhは、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値である。一般的に、ディジタル放送中継局13における送信アンテナ位置の標高との標高差が多くなればなるほど、ディジタル放送復調部204において受信される信号の品質は悪くなる傾向にある。図4(a)に示す例では、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値と車両15の標高との差が大きいほど、切替閾値に対応する受信電界強度が高くなるように設定されている。
【0045】
図4(b)は、受信状態を示す信号をCN比、車両情報を示す信号を車両15の標高とする場合の切替閾値と標高との関係の一例を示す。図4(b)においても、図4(a)と同様に、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値と車両15の標高との差が大きいほど、切替閾値に対応するCN比が高くなるように設定されている。
【0046】
図4(c)は、受信状態を示す信号をコンスタレーションエラー量、車両情報を示す信号を車両15の標高とする場合の切替閾値と標高との関係の一例を示す。図4(c)においても、図4(a)と同様に、ディジタル放送中継局13の送信アンテナ位置の標高の平均値と車両15の標高との差が大きいほど、切替閾値に対応するコンスタレーションエラー量が低くなるように設定されている。
【0047】
図5は、ナビゲーション装置30の詳細な構成の一例を示す。ナビゲーション装置30は、現在位置算出部300、地図データ格納部301、経路誘導部302、および表示制御部303を備える。地図データ格納部301は、道路を複数のリンクと呼ばれる線分で近似した道路データおよび地図データを格納する。それぞれのリンクには、当該リンクの長さや、一方通行または相互通行の別、車両が走行した場合の旅行時間、当該リンクの始点座標および終点座標等が対応付けられている。
【0048】
標高算出部304は、測地衛星11からのGPS信号に基づいて、車両15の標高を算出する。現在位置算出部300は、地図データ格納部301からの道路データ、測地衛星11からのGPS信号、センサ19からの車両15の速さ、およびセンサ19からの車両15の進行方位に基づいて、例えば定期的に、マップマッチング等により車両15の現在位置を推測する。そして、現在位置算出部300は、推測した車両15の現在位置を表示制御部303へ送る。
【0049】
経路誘導部302は、表示制御部303から出発地点、目的地点、および探索条件等の情報を受け付けた場合に、地図データ格納部301内の道路データを参照して、例えばダイクストラ法等を用いて、出発地点から目的地点までの推奨経路を探索して表示制御部303に送る。
【0050】
また、経路誘導部302は、表示制御部303から経路誘導指示を受け付けた場合に、現在位置算出部300が推測した車両の現在位置の周辺の推奨経路の情報を表示制御部303へ送る。また。経路誘導部302は、車両15の現在位置から推奨経路上の所定距離前方に、右折または左折すべき交差点等が存在する場合には、その旨を表示制御部303へ通知する。
【0051】
表示制御部303は、現在位置算出部300が推測した車両の現在位置を受け取った場合に、当該現在位置周辺の地図データを地図データ格納部301から取得して、取得した地図データと共に、当該現在位置を表示装置16に表示する。
【0052】
また、表示制御部303は、入力装置18を介して、出発地点、目的地点、および探索条件をナビゲーション装置30のユーザから入力された場合に、入力された出発地点、目的地点、および探索条件を経路誘導部302に送る。そして、経路誘導部302から推奨経路を受け取った場合に、表示制御部303は、受け取った推奨経路を表示装置16に表示する。
【0053】
また、表示制御部303は、経路誘導部302が探索した推奨経路に対する誘導指示を入力装置18を介してユーザから受け取った場合に、当該推奨経路を示した地図データと共に現在位置算出部300が推測した車両15の現在位置を表示装置16に表示する。そして、車両15の現在位置から推奨経路上の所定距離前方に、右折または左折すべき交差点等が存在する旨を経路誘導部302から受け取った場合には、表示制御部303は、その旨を示す音声を音響再生装置17によって再生することにより、運転者を推奨経路に沿って誘導する。
【0054】
また、表示制御部303は、デコーダ切替部203が固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替える際に使用する切替閾値テーブルを特定するための情報(受信状態として受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量のいずれを使用するか、および車両情報として車両15の速さおよび標高のいずれを使用するかを示す情報)を、入力装置18を介してユーザから受信してデコーダ切替部203へ送る。
【0055】
また、表示制御部303は、入力装置18を介してディジタル放送の受信開始をユーザから指示された場合に、ディジタル放送の受信開始指示をディジタル放送受信装置20へ送る。そして、表示制御部303は、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201がデコードしたディジタル放送映像および音声を取得して、取得した映像を表示装置16に表示すると共に取得した音声を音響再生装置17に再生させる。また、表示制御部303は、入力装置18を介してディジタル放送の受信終了をユーザから指示された場合に、ディジタル放送の受信終了指示をディジタル放送受信装置20へ送る。
【0056】
図6は、設定メニュー画面40の構成の一例を示す。表示制御部303は、デコーダ切替部203が固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替える際に使用する情報の設定メニュー画面40を表示装置16に表示する。ユーザは、入力装置18を介して、ラジオボタン402およびラジオボタン403のいずれかを選択することにより、車両情報401として車速または標高のいずれかを設定する。また、ユーザは、入力装置18を介して、ラジオボタン405、ラジオボタン406、およびラジオボタン407のいずれかを選択することにより、受信状態404として受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量のいずれかを設定する。
【0057】
なお、入力装置18を介して設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報は、表示制御部303を介してデコーダ切替部203に送られ、デコーダ切替部203によって保持される。
【0058】
図7は、第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。車両15のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、ディジタル放送受信装置20は、本フローチャートに示す処理を開始する。まず、デコーダ切替部203は、表示制御部303を介してユーザからディジタル放送の受信開始指示受け付けたか否かを判定する(S100)。ディジタル放送の受信開始指示受け付けていない場合(S100:No)、デコーダ切替部203は、ステップ100を繰り返す。
【0059】
ディジタル放送の受信開始指示受け付けた場合(S100:Yes)、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、使用する車両情報が車速か否かを判定する(S101)。使用する車両情報が車速である場合(S101:Yes)、センサ19から車両15の車速を取得する(S102)。
【0060】
次に、デコーダ切替部203は、取得した車速に基づいて、切替閾値テーブル格納部202に格納された複数の切替閾値テーブル2020の中から、後述する処理により1つの切替閾値テーブル2020を選択し、選択した切替閾値テーブル2020に基づいて、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのデコードを指示する(S110)。
【0061】
そして、デコーダ切替部203は、表示制御部303を介して、ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けたか否かを判定する(S103)。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けていない場合(S103:No)、デコーダ切替部203は、再びステップ102に示した処理を行う。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けた場合(S103:Yes)、デコーダ切替部203は、再びステップ100に示した処理を行う。
【0062】
ステップ101において、使用する車両情報が車速でない場合(S101:No)、デコーダ切替部203は、標高算出部304から車両15の標高を取得する(S104)。そして、デコーダ切替部203は、取得した車両15の標高に基づいて、切替閾値テーブル格納部202に格納された切替閾値テーブル2020の中から、後述する処理により1つの切替閾値テーブル2020を選択し、選択した切替閾値テーブル2020に基づいて、固定受信向けデコーダ200または移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのデコードを指示する(S130)。
【0063】
そして、デコーダ切替部203は、表示制御部303を介して、ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けたか否かを判定する(S106)。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けていない場合(S106:No)、デコーダ切替部203は、再びステップ104に示した処理を行う。ディジタル放送の受信終了指示をユーザから受け付けた場合(S106:Yes)、デコーダ切替部203は、再びステップ100に示した処理を行う。
【0064】
図8は、ステップ110における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。まず、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態として受信電界強度を使用するか否かを判定する(S111)。受信状態として受信電界強度を使用する場合(S111:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2020aを参照して、ステップ102において取得した車速に対応する切替閾値を取得する(S112)。
【0065】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成した受信電界強度の値が切替閾値テーブル2020aから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S113)。受信電界強度が切替閾値以上である場合(S113:Yes)、デコーダ切替部203は、固定受信向けデコーダ200に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の12個のセグメントをデコードさせて、固定受信装置向けの高解像度映像を抽出させ(S115)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0066】
一方、受信電界強度が切替閾値未満である場合(S113:No)、デコーダ切替部203は、移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の1個のセグメントをデコードさせて、移動受信装置向けの低解像度映像を抽出させ(S114)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0067】
ステップ111において、受信状態として受信電界強度を使用しない場合(S111:No)、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態としてCN比を使用するか否かを判定する(S116)。受信状態としてCN比を使用する場合(S116:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2020bを参照して、ステップ102において取得した車速に対応する切替閾値を取得する(S117)。
【0068】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したCN比の値が切替閾値テーブル2020bから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S118)。CN比が切替閾値以上である場合(S118:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ115に示した処理を行う。一方、CN比が切替閾値未満である場合(S118:No)、デコーダ切替部203は、ステップ114に示した処理を行う。
【0069】
ステップ116において、受信状態としてCN比を使用しない場合、すなわち、受信状態としてコンスタレーションエラー量を使用する場合(S116:No)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2020cを参照して、ステップ102において取得した車速に対応する切替閾値を取得する(S119)。そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したコンスタレーションエラー量の値が切替閾値テーブル2020cから取得した切替閾値未満であるか否かを判定する(S120)。
【0070】
コンスタレーションエラー量が切替閾値未満である場合(S120:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ115に示した処理を行う。一方、コンスタレーションエラー量が切替閾値以上である場合(S120:No)、デコーダ切替部203は、ステップ114に示した処理を行う。
【0071】
図9は、ステップ130における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。まず、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態として受信電界強度を使用するか否かを判定する(S131)。受信状態として受信電界強度を使用する場合(S131:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2021aを参照して、ステップ104において取得した車両15の標高に対応する切替閾値を取得する(S132)。
【0072】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成した受信電界強度の値が切替閾値テーブル2021aから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S133)。受信電界強度が切替閾値以上である場合(S133:Yes)、デコーダ切替部203は、固定受信向けデコーダ200に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の12個のセグメントをデコードさせて、固定受信装置向けの高解像度映像を抽出させ(S135)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0073】
一方、受信電界強度が切替閾値未満である場合(S133:No)、デコーダ切替部203は、移動受信向けデコーダ201に、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントの中の1個のセグメントをデコードさせて、移動受信装置向けの低解像度映像を抽出させ(S134)、本フローチャートに示す処理は終了する。
【0074】
ステップ131において、受信状態として受信電界強度を使用しない場合(S131:No)、デコーダ切替部203は、予め設定された、切替閾値テーブルを特定するための情報に基づいて、受信状態としてCN比を使用するか否かを判定する(S136)。受信状態としてCN比を使用する場合(S136:Yes)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2021bを参照して、ステップ104において取得した車両15の標高に対応する切替閾値を取得する(S137)。
【0075】
そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したCN比の値が切替閾値テーブル2021bから取得した切替閾値以上であるか否かを判定する(S138)。CN比が切替閾値以上である場合(S138:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ135に示した処理を行う。一方、CN比が切替閾値未満である場合(S138:No)、デコーダ切替部203は、ステップ134に示した処理を行う。
【0076】
ステップ136において、受信状態としてCN比を使用しない場合、すなわち、受信状態としてコンスタレーションエラー量を使用する場合(S136:No)、デコーダ切替部203は、切替閾値テーブル2021cを参照して、ステップ104において取得した車両15の標高に対応する切替閾値を取得する(S139)。そして、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が生成したコンスタレーションエラー量の値が切替閾値テーブル2021cから取得した切替閾値未満であるか否かを判定する(S140)。
【0077】
コンスタレーションエラー量が切替閾値未満である場合(S140:Yes)、デコーダ切替部203は、ステップ135に示した処理を行う。一方、コンスタレーションエラー量が切替閾値以上である場合(S140:No)、デコーダ切替部203は、ステップ134に示した処理を行う。
【0078】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
【0079】
上記説明から明らかなように、本実施形態のディジタル放送受信装置20によれば、ユーザにわずらわしい操作を強いることなく、移動中において、固定受信装置向けの高解像度映像をより長く表示することができる。
【0080】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0081】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0082】
図10は、第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。固定受信向けデコーダ200、移動受信向けデコーダ201、切替閾値テーブル格納部202、デコーダ切替部203、ディジタル放送復調部204、およびドップラーシフト算出部205を備える。本例のディジタル放送受信装置20は、ドップラーシフト算出部205を有する点が図2に示したディジタル放送受信装置20と異なる。なお、以下に説明する点を除き、図10において、図2と同じ符号を付した構成は、図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0083】
ドップラーシフト算出部205は、車両15の現在位置からディジタル放送中継局13の位置までの方位と車両15の進行方位との方位差θを算出する。そして、ドップラーシフト算出部205は、センサ19から車両15の車速vを取得する。そして、ドップラーシフト算出部205は、以下の関係式に基づいて、受信信号のドップラーシフトfを算出する。
【0084】
【数4】
【0085】
ここで、cは光速であり、f0はディジタル放送中継局13において送信されるディジタル放送電波の周波数である。
【0086】
上記数4を用いて算出されたドップラーシフトfが50Hzよりも大きい場合、ドップラーシフト算出部205は、算出したドップラーシフトf分、受信機の局発周波数をシフトさせる制御信号をディジタル放送復調部204に供給する。これにより、ディジタル放送復調部204は、車両15の移動によりドップラーシフトfだけ周波数がずれたディジタル放送電波の影響を補正する。これにより、ディジタル放送復調部204は、品質が改善した受信信号に基づいて当該信号を復調し、13個のセグメントを抽出して固定受信向けデコーダ200および移動受信向けデコーダ201に供給すると共に、受信状態を示す信号を生成してデコーダ切替部203に供給することができる。
【0087】
これにより、デコーダ切替部203は、ドップラーシフトfの影響を除いて、固定受信向けデコーダ200と移動受信向けデコーダ201とを切り替えを判定することができる。なお、本例において、ディジタル放送中継局13の地図上の位置は、ナビゲーション装置30の地図データ格納部301に予め格納されているものとする。
【0088】
図11は、第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する点を除き、本フローチャートにおいて、図7に示したフローチャートと同じ番号を付した処理は、図7に示したフローチャートに処理と同一または同様の処理であるため説明を省略する。
【0089】
ステップ102において、車両15の車速を取得した後(S102)、ドップラーシフト算出部205は、数4に基づいて受信信号のドップラーシフトfを算出する。そして、ドップラーシフト算出部205は、算出したドップラーシフトf分、受信機の局発周波数をシフトさせる制御信号をディジタル放送復調部204に供給することにより、ディジタル放送復調部204に復調信号の品質を改善させる(S150)。
【0090】
同様に、ステップ104において、車両15の標高を取得した後(S104)、ドップラーシフト算出部205は、数4に基づいて受信信号のドップラーシフトfを算出する。そして、ドップラーシフト算出部205は、算出したドップラーシフトf分、受信機の局発周波数をシフトさせる制御信号をディジタル放送復調部204に供給することにより、ディジタル放送システム104に復調信号の品質を改善させる(S151)。
【0091】
図12は、車両15の現在位置の所定距離以内に複数のディジタル放送中継局13が存在する場合のディジタル放送受信装置20の動作を説明するための概念図である。本例において、ディジタル放送受信装置20は、最も受信電界強度の強い1つのディジタル放送中継局13からのディジタル放送信号のみを受信する。このとき、ドップラーシフト算出部205は、複数のディジタル放送中継局13のそれぞれのドップラーシフトfを算出し、ドップラーシフトfの影響を除いた受信信号に基づいて、それぞれのディジタル放送中継局13からの受信電界強度を測定する。
【0092】
例えば、図12に示す例では、ディジタル放送受信装置20は、車両位置50から見たディジタル放送中継局13aの方向と車両位置50における車両15の進行方位との方位差θ1および車両位置50における車両15の車速vに基づいて、数4に従ってディジタル放送中継局13aからのフドップラーシフトfaを算出し、算出したドップラーシフトfaの影響を補正した受信信号に基づいて、ディジタル放送中継局13aからの受信電界強度を測定する。ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送中継局13bからの信号についても、方位差θ1および車速vに基づいて、数4に従ってディジタル放送中継局13bからのフドップラーシフトfbを算出し、算出したドップラーシフトfbの影響を補正した受信信号に基づいて、ディジタル放送中継局13bからの受信電界強度を測定する。そして、ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送中継局13aおよびディジタル放送中継局13bからの受信電界強度を比較して、受信すべきディジタル放送中継局13を決定する。
【0093】
なお、ディジタル放送受信装置20は、ドップラーシフトfの影響を補正した後に、CN比またはコンスタレーションエラー量に基づいてディジタル放送電波を受信すべきディジタル放送中継局13を決定してもよい。
【0094】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
【0095】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0096】
図13は、第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。固定受信向けデコーダ200、移動受信向けデコーダ201、切替閾値テーブル格納部202、デコーダ切替部203、ディジタル放送復調部204、およびテーブル生成部206を備える。本例のディジタル放送受信装置20は、テーブル生成部206を有する点が図2に示したディジタル放送受信装置20と異なる。なお、以下に説明する点を除き、図13において、図2と同じ符号を付した構成は、図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0097】
テーブル生成部206は、表示制御部303を介してユーザから切替閾値テーブル作成指示を受け付けた場合に、切替閾値テーブル格納部202内の全ての切替閾値テーブルの値を最低レベルに設定する。例えば、受信状態が受信電界強度に対応する切替閾値テーブルに対しては、全ての車速および標高についての閾値の値を、例えば−100dBmに設定する。これにより、デコーダ切替部203は、ディジタル放送復調部204が復調した13個のセグメントを常に固定受信向けデコーダ200にデコードさせるようになる。
【0098】
そして、テーブル生成部206は、例えば1秒等の所定のタイミング毎に車両15の車速、標高、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量を取得する。そして、受信したディジタル放送信号に基づいて固定受信向けデコーダ200が抽出した固定受信向け高解像度映像の品質を測定する。テーブル生成部206は、例えば、MPEG−2のTSパケットに含まれるエラーインジケータがオンとなっているか否かを判定することにより、映像の受信品質を判定する。
【0099】
そして、テーブル生成部206は、1つの画面を構成する画素を含むTSパケットについて、エラーインジケータがオンになっているTSパケットの個数が所定の範囲内(例えば1〜3個の間)の場合に、そのときの受信状態を切替閾値として記憶する。
【0100】
テーブル生成部206は、所定数の切替閾値を記憶した場合に、記憶した切替閾値に基づいて、それぞれの受信状態を示す信号に対応する切替閾値テーブル2020および切替閾値テーブル2021を生成して切替閾値テーブル格納部202に格納する。
【0101】
図14は、第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。例えば、表示制御部303を介してユーザから切替閾値テーブル作成指示を受け付けた場合に、テーブル生成部206は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0102】
まず、テーブル生成部206は、切替閾値テーブル格納部202内の全ての切替閾値テーブルの値を最低レベルに設定する(S200)。このとき、テーブル生成部206は、コンスタレーションエラー量に関しては、最高値に設定する。そして、テーブル生成部206は、センサ19から車両15の車速を、標高算出部304から車両の標高をそれぞれ取得する(S201)。
【0103】
次に、テーブル生成部206は、受信状態として、受信電界強度、CN比、およびコンスタレーションエラー量をディジタル放送復調部204からそれぞれ取得する(S202)。そして、テーブル生成部206は、例えば、1つの画面を構成する画素を含むTSパケットにおいて、エラーインジケータがオンとなっているTSパケットの数が所定の範囲内(例えば1〜3個の間)であるか否かを判定することにより、固定受信向けデコーダ200が抽出した固定受信向け高解像度映像の品質を判定する(S203)。
【0104】
固定受信向け高解像度映像の品質が所定の範囲内でない場合(S203:No)、テーブル生成部206は、ステップ205に示す処理を行う。固定受信向け高解像度映像の品質が所定の範囲内である場合(S203:Yes)、テーブル生成部206は、現在の受信状態を示すそれぞれの信号を切替閾値として記憶する(S204)。そして、テーブル生成部206は、記憶した切替閾値が所定数に達したか否かを判定する(S205)。所定数に達していない場合(S205:No)、テーブル生成部206は、再びステップ201に示した処理を行う。
【0105】
記憶した切替閾値が所定数に達した場合(S205:Yes)、テーブル生成部206は、収集した切替閾値から切替閾値テーブルを作成し、作成した切替閾値テーブルを切替閾値テーブル格納部202に格納し(S206)、本フローチャートに示す処理は終了する。ステップ206では、同一の車速や標高において、複数の異なる受信状態に対応する切替閾値が存在する場合、テーブル生成部206は、例えばそれらの平均値に基づいて切替閾値テーブルを作成する。
【0106】
なお、ステップ204において、テーブル生成部206は、切替閾値を格納する際に、当該切替閾値に対応する受信状態が測定された位置を特定する情報(例えば、その位置の緯度および経度)を、当該切替閾値に対応付けて格納してもよい。
【0107】
以上、本発明の第3実施形態について説明した。
【0108】
本発明は上記した実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、ディジタル放送受信装置20は、固定受信向けデコーダ200および移動受信向けデコーダ201の2つのディジタル放送用デコーダを、車両情報および受信状態に応じて切り替えたが、他の例として、3つ以上のディジタル放送用デコーダを、車両情報および受信状態に応じて切り替えてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、ディジタル放送受信装置20は、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、12個のセグメントをデコードするデコーダと、1個のセグメントをデコードするデコーダとを切り替えたが、本発明はこれに限られない。例えば、ディジタル放送復調部204が抽出した13個のセグメントのうち、9個のセグメントをデコードするデコーダと、3個のセグメントをデコードするデコーダと、1個のセグメントをデコードするデコーダとを、車両情報および受信状態に応じて切り替えるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施形態に係るディジタル放送システム10の構成を示す。
【図2】第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。
【図3】切替閾値テーブル2020の一例を説明するための概念図である。
【図4】切替閾値テーブル2021の一例を説明するための概念図である。
【図5】ナビゲーション装置30の詳細な構成の一例を示す。
【図6】設定メニュー画面40の構成の一例を示す。
【図7】第1実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】ステップ110における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】ステップ130における閾値切替処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。
【図11】第2実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】車両15の現在位置の所定距離以内に複数のディジタル放送中継局13が存在する場合のディジタル放送受信装置20の動作を説明するための概念図である。
【図13】第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の詳細な構成の一例を示す。
【図14】第3実施形態におけるディジタル放送受信装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
10・・・ディジタル放送システム、11・・・測地衛星、12・・・GPSアンテナ、13・・・ディジタル放送中継局、14・・・ディジタル放送用アンテナ、15・・・車両、16・・・表示装置、17・・・音響再生装置、18・・・入力装置、19・・・センサ、20・・・ディジタル放送受信装置、200・・・固定受信向けデコーダ、201・・・移動受信向けデコーダ、202・・・切替閾値テーブル格納部、2020、2021・・・切替閾値テーブル、203・・・デコーダ切替部、204・・・ディジタル放送復調部、205・・・ドップラーシフト算出部、206・・・テーブル生成部、30・・・ナビゲーション装置、300・・・現在位置算出部、301・・・地図データ格納部、302・・・経路誘導部、303・・・表示制御部、304・・・標高算出部、40・・・設定メニュー画面、401・・・車両情報、402、403、405、406、407・・・ラジオボタン、404・・・受信状態、50・・・車両位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるディジタル放送受信装置であって、
前記移動体に関する情報である移動体情報を取得する移動体情報取得手段と、
ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力する復調手段と、
前記復調手段によって復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダと、
前記受信状態に応じて、前記復調手段によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせるかを切り替えるための切替閾値を、前記移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納手段と、
前記移動体情報に基づき前記切替閾値格納手段を参照して、対応する切替閾値を取得し、前記受信状態および取得した切替閾値に基づいて、前記復調手段によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるデコーダ切替手段と
を備えることを特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記複数のディジタル放送用デコーダは、
前記復調手段によって復調された信号をデコードして、移動受信装置向けディジタル放送映像を出力する移動受信向けデコーダと、
前記復調手段によって復調された信号をデコードして、固定受信装置向けディジタル放送映像を出力する固定受信向けデコーダと
を含み、
前記デコーダ切替手段は、
前記復調手段が出力した受信状態および前記移動体情報に基づき前記切替閾値格納手段から取得した切替閾値に基づいて、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダまたは前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の速度であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときの受信電界強度であり、
前記切替手段は、
前記受信電界強度が前記移動体の速度に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記受信電界強度が前記移動体の速度に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項4】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の速度であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときのCN(Carrier to Noise)比であり、
前記切替手段は、
前記CN比が前記移動体の速度に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記CN比が前記移動体の速度に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項5】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の速度であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を復調したときのコンスタレーションエラー量であり、
前記切替手段は、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の速度に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の速度に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項6】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の標高であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときの受信電界強度であり、
前記切替手段は、
前記受信電界強度が前記移動体の標高に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記受信電界強度が前記移動体の標高に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項7】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の標高であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときのCN(Carrier to Noise)比であり、
前記切替手段は、
前記CN比が前記移動体の標高に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記CN比が前記移動体の標高に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項8】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の標高であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を復調したときのコンスタレーションエラー量であり、
前記切替手段は、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の標高に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の標高に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項9】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記ディジタル放送受信装置が受信するディジタル放送において、前記固定受信装置向けディジタル放送映像は、ISDB−T方式における12セグメントを用いた放送信号によって放送され、
前記移動受信装置向けディジタル放送映像は、ISDB−T方式における1セグメントを用いた放送信号によって放送されること
を特徴とディジタル放送受信装置。
【請求項10】
移動体に搭載されるディジタル放送受信装置のディジタル放送受信方法であって、
前記ディジタル放送受信装置は、
ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力するステップと、
前記移動体に関する情報である移動体情報を取得するステップと、
復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送用映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダを、前記受信状態に応じて切り替えるための切替閾値を、前記移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納手段から、前記移動体情報に基づいて対応する切替閾値を取得するステップと、
前記受信状態および取得した切替閾値に基づいて、復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるステップと
を行うことを特徴とするディジタル放送受信方法。
【請求項11】
移動体に搭載されるディジタル放送受信装置を動作させるプログラムであって、
前記ディジタル放送受信装置を、
前記移動体に関する情報である移動体情報を取得する移動体情報取得機能、
ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力する復調機能、
前記復調機能によって復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダ、
前記受信状態に応じて、前記復調機能によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせるかを切り替えるための切替閾値を、前記移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納機能、および
前記移動体情報に基づき前記切替閾値格納機能を参照して、対応する切替閾値を取得し、前記受信状態および取得した切替閾値に基づいて、前記復調機能によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるデコーダ切替機能
として動作させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
移動体に搭載されるディジタル放送受信装置であって、
前記移動体に関する情報である移動体情報を取得する移動体情報取得手段と、
ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力する復調手段と、
前記復調手段によって復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダと、
前記受信状態に応じて、前記復調手段によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせるかを切り替えるための切替閾値を、前記移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納手段と、
前記移動体情報に基づき前記切替閾値格納手段を参照して、対応する切替閾値を取得し、前記受信状態および取得した切替閾値に基づいて、前記復調手段によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるデコーダ切替手段と
を備えることを特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記複数のディジタル放送用デコーダは、
前記復調手段によって復調された信号をデコードして、移動受信装置向けディジタル放送映像を出力する移動受信向けデコーダと、
前記復調手段によって復調された信号をデコードして、固定受信装置向けディジタル放送映像を出力する固定受信向けデコーダと
を含み、
前記デコーダ切替手段は、
前記復調手段が出力した受信状態および前記移動体情報に基づき前記切替閾値格納手段から取得した切替閾値に基づいて、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダまたは前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の速度であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときの受信電界強度であり、
前記切替手段は、
前記受信電界強度が前記移動体の速度に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記受信電界強度が前記移動体の速度に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項4】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の速度であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときのCN(Carrier to Noise)比であり、
前記切替手段は、
前記CN比が前記移動体の速度に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記CN比が前記移動体の速度に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項5】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の速度であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を復調したときのコンスタレーションエラー量であり、
前記切替手段は、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の速度に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の速度に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項6】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の標高であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときの受信電界強度であり、
前記切替手段は、
前記受信電界強度が前記移動体の標高に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記受信電界強度が前記移動体の標高に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項7】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の標高であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を受信したときのCN(Carrier to Noise)比であり、
前記切替手段は、
前記CN比が前記移動体の標高に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記CN比が前記移動体の標高に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項8】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記移動体情報は、前記移動体の標高であり、
前記受信状態は、前記復調手段が前記ディジタル放送電波を復調したときのコンスタレーションエラー量であり、
前記切替手段は、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の標高に対応する切替閾値未満の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記固定受信向けデコーダにデコードさせ、
前記コンスタレーションエラー量が前記移動体の標高に対応する切替閾値以上の場合に、前記復調手段によって復調された信号を前記移動受信向けデコーダにデコードさせること
を特徴とするディジタル放送受信装置。
【請求項9】
請求項2に記載のディジタル放送受信装置であって、
前記ディジタル放送受信装置が受信するディジタル放送において、前記固定受信装置向けディジタル放送映像は、ISDB−T方式における12セグメントを用いた放送信号によって放送され、
前記移動受信装置向けディジタル放送映像は、ISDB−T方式における1セグメントを用いた放送信号によって放送されること
を特徴とディジタル放送受信装置。
【請求項10】
移動体に搭載されるディジタル放送受信装置のディジタル放送受信方法であって、
前記ディジタル放送受信装置は、
ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力するステップと、
前記移動体に関する情報である移動体情報を取得するステップと、
復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送用映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダを、前記受信状態に応じて切り替えるための切替閾値を、前記移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納手段から、前記移動体情報に基づいて対応する切替閾値を取得するステップと、
前記受信状態および取得した切替閾値に基づいて、復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるステップと
を行うことを特徴とするディジタル放送受信方法。
【請求項11】
移動体に搭載されるディジタル放送受信装置を動作させるプログラムであって、
前記ディジタル放送受信装置を、
前記移動体に関する情報である移動体情報を取得する移動体情報取得機能、
ディジタル放送電波を受信して、当該電波を復調すると共に、当該電波の受信状態を出力する復調機能、
前記復調機能によって復調された信号をデコードして、それぞれ異なるディジタル放送映像を出力する複数のディジタル放送用デコーダ、
前記受信状態に応じて、前記復調機能によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせるかを切り替えるための切替閾値を、前記移動体情報に対応付けて予め格納している切替閾値格納機能、および
前記移動体情報に基づき前記切替閾値格納機能を参照して、対応する切替閾値を取得し、前記受信状態および取得した切替閾値に基づいて、前記復調機能によって復調された信号を、前記複数のディジタル放送用デコーダのいずれにデコードさせ、デコード結果を表示装置に表示させるデコーダ切替機能
として動作させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−60552(P2007−60552A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246416(P2005−246416)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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