説明

ディスクカートリッジ

【課題】収納されたディスクを容易に挿排出可能なディスクカートリッジを提供する。
【解決手段】カートリッジ本体10の一方の主面を構成する第1の矩形板40と他方の主面を構成する第2の矩形板と、カートリッジ本体の左右一対の第1の側縁に設けられカートリッジ本体の側壁を構成する左右一対のディスクホルダ41,42とを有し、ディスクホルダは、それぞれ第1及び第2の矩形板と平行で、ディスクの外周縁を面方向に亘ってスライド可能に支持する支持溝がカートリッジ本体の左右一対の第2の側縁の一端から他端に亘って形成され、一端に第2の側縁の一方からディスクが挿排出されるディスク挿排出口50が設けられ、他端に第2の側縁の他方からディスクをディスク挿排出口側へ押し出す押出部材が進入するディスク押出口51が設けられ、ディスク挿排出口閉塞部材14と、上記ディスク押出口を閉塞するディスク押出口閉塞部材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを収納したディスクカートリッジに関し、特にディスクトレイを用いることなくディスクを収納すると共に、カートリッジ本体にディスクを挿排出するための開口部が設けられず、上下シェルが分離することによりディスクの挿排出を行うディスクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスク状記録媒体の記録容量は飛躍的に増大し、個人レベルで扱う情報量を保存するのに必要な容量を備えつつある。一方で、将来実用化が期待されている超多層ディスク、体積記録ディスクをクラウドコンピュータデータセンターや大容量データ記録保存が必要なシステムに適用する場合でも、Blu−rayDisc(BD:登録商標)やProfessionalディスクのように1枚ごとにカートリッジに格納されている場合、1カートリッジでの記録容量では将来的にも不十分である。
【0003】
また、1枚ごとに大容量ディスクを収納したディスクカートリッジを多数扱うディスクローダマシンやカートマシンを用いてデータセンターを構築しようとすると、スペースの利用効率を上げる上でも不十分であった。
【0004】
その解決方法として、1つのカートリッジにシート状ディスクを多数枚格納した構成が、特開2004−134019(特許文献1)、特開2007−115328(特許文献2)、特開2007−172726(特許文献3)で提案されている。しかし、かかる構成では、収納可能なディスク枚数と同じ数の専用のディスクトレイを必要とし、カートリッジ本体が大型化、重量化を招く。また、当該ディスクを駆動するディスクドライブ装置側には、ディスクトレイを搬送するとともにディスクトレイからディスクのみを排出する機構が必要となるなど、ディスクのローディング機構が複雑化、大型化してしまう。また、シート状ディスクの回転を安定化させるための機構が必要になるなど、装置本体の大型化、高コスト化といった問題もある。
【0005】
一方で、ディスクトレイを用いずに多数のディスク状記録媒体を収納しようとすると、カートリッジ本体内で、ディスク状記録媒体が揺動し、ディスク挿排出時に不測のトラブルを招くおそれがある。また、カートリッジ本体の強度が不足し、ディスクカートリッジの変形や、収納したディスク状記録媒体が傷つくおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−134019号公報
【特許文献2】特開2007−115328号公報
【特許文献3】特開2007−172726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ディスクトレイを用いることなく、カートリッジ本体内に収納されたディスクを容易に挿排出可能なディスクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るディスクカートリッジは、カートリッジ本体の一方の主面を構成する第1の矩形板と、上記カートリッジ本体の他方の主面を構成する第2の矩形板と、上記カートリッジ本体の左右一対の第1の側縁に設けられ上記カートリッジ本体の側壁を構成する左右一対のディスクホルダとを有し、上記ディスクホルダは、それぞれ上記第1及び第2の矩形板と平行で、ディスクの外周縁を上記ディスクの面方向に亘ってスライド可能に支持する支持溝が上記カートリッジ本体の上記第1の側縁と隣接する左右一対の第2の側縁の一端から他端に亘って形成され、一端に上記第2の側縁の一方から上記ディスクが挿排出されるディスク挿排出口が設けられ、他端に上記第2の側縁の他方から上記ディスクを上記ディスク挿排出口側へ押し出す押出部材が進入するディスク押出口が設けられ、上記ディスク挿排出口を閉塞するディスク挿排出口閉塞部材と、上記ディスク押出口を閉塞するディスク押出口閉塞部材を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ディスク挿排出口及びディスク押出口を開放し、一方のシェル内に収納されたディスクを面方向にスライドさせることによりディスクの挿排出を行うことができ、ディスクトレイを用いることなく簡易な構成でディスクの挿排出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ディスクカートリッジ及びディスクチェンジャー装置を示す外観斜視図である。
【図2】ディスクチェンジャー装置を示す外観斜視図である。
【図3】ディスクチェンジャー装置を示す分解斜視図である。
【図4】ディスクカートリッジを示す外観斜視図であり、(a)は上面側を示し、(b)は下面側を示す。
【図5】ディスクカートリッジが上下シェルに分割された状態を示す外観斜視図である。
【図6】上シェルを示す外観斜視図である。
【図7】上シェルの分解斜視図である。
【図8】下シェルの分解斜視図である。
【図9】下シェルを示す外観斜視図である。
【図10】上下シェルが突き合わされた状態を示す断面図である。
【図11】カートリッジ本体の収納位置に光ディスクが収納された状態を示す平面図である。
【図12】セルフロックバネを示す斜視図である。
【図13】セレクトローダを示す分解斜視図である。
【図14】フロントパネルを示す分解斜視図である。
【図15】セレクトローダを示す外観斜視図である。
【図16】セレクトローダを示す外観斜視図である。
【図17】カートリッジホルダを示す斜視図である。
【図18】ロック解除片を示す斜視図である。
【図19】(a)は、誤消去防止スイッチと離間する当接スイッチ片を示す斜視図であり、(b)は、誤消去防止スイッチと当接する当接スイッチ片を示す斜視図である。
【図20】セレクトローダの斜視図である。
【図21】下ホルダを示す斜視図である。
【図22】上下ホルダが突き合わされた状態のシェル位置決めピンを示す斜視図である。
【図23】駆動機構を示す平面図である。
【図24】駆動機構を示す平面図である。
【図25】押出機構を示す斜視図である。
【図26】光ディスクを下シェルから排出する状態を示す斜視図であり、(a)は押出レバーがガイド部にガイドされている状態を示し、(b)は押出レバーがガイド部から外れてキャリーローダによって引き込まれる位置まで光ディスクを排出している状態を示す。
【図27】レバースライダーと回動操作片との係合が解除された状態を示す平面図である。
【図28】サイドベゼルと上シェル分割片との位置関係を示す斜視図である。
【図29】キャリーローダの分解斜視図である。
【図30】光ディスクを引き込むキャリーローダを示す斜視図である。
【図31】光ディスクを下シェル内に挿入するキャリーローダを示す外観斜視図である。
【図32】ローディングアームを示す分解斜視図である。
【図33】係止爪を示す斜視図である。
【図34】スライドアームを示す外観斜視図である。
【図35】スライドデッキを示す分解斜視図である。
【図36】スライドプレートを示す外観斜視図である。
【図37】カムギヤを示す外観斜視図である。
【図38】ディスクカートリッジからキャリーローダ内へ光ディスクを引き込む工程を示す斜視図である。
【図39】キャリーローダからディスクカートリッジ内へ光ディスクを押し戻す工程を示す斜視図である。
【図40】ローディングアームの操作状態を説明するための図である。
【図41】通常の押し戻し工程におけるスライドリミッター機構を示す図であり、(a)は斜視図であり(b)は断面図である。
【図42】押し戻し工程でローディングアームの移動が規制された状態におけるスライドリミッター機構を示す図であり、(a)は斜視図であり(b)は断面図である。
【図43】光ディスクを下シェルに押し戻す工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用したディスクカートリッジ及びディスクチェンジャー装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明は、以下の順番で行う。
1.ディスクカートリッジ
1−1.上シェル
1−2.下シェル
2.ディスクチェンジャー装置
2−1.装置本体
2−2.セレクトローダ
2−3.キャリーローダ
2−4.ディスクチェンジャー装置の動作
本発明が適用されたディスクカートリッジ及びディスクチェンジャー装置は、図1に示すように、ディスク状記録媒体となる光ディスク2を複数収納したディスクカートリッジ1と、このディスクカートリッジ1が装着され、光ディスク2を選択的に搬送するディスクチェンジャー装置3とを備える。ディスクチェンジャー装置3のトップカバー61を外した状態を図2及び図3に示す。図2及び図3に示すように、ディスクチェンジャー装置3は、ディスクカートリッジ1に収納された複数の光ディスク2から情報信号の記録又は再生を行う光ディスク2を排出するセレクトローダ5と、セレクトローダ5から排出された光ディスク2を引き込み、記録再生装置7に搬送するキャリーローダ6とを有する。
【0012】
ディスクチェンジャー装置3は、ディスクカートリッジ1が挿入されると、セレクトローダ5によってディスクカートリッジ1の上下シェル11,12を分割して光ディスク2を排出させ、キャリーローダ6によって当該光ディスク2を記録再生装置7にチャッキング可能な位置まで搬送する。また、ディスクチェンジャー装置3は、光ディスク2に対する情報信号の書き込みや読み出しが終了すると、キャリーローダ6によって当該光ディスク2をセレクトローダ5に装着されているディスクカートリッジ1内に挿入し、セレクトローダ5によってディスクカートリッジ1の上下シェル11,12を結合し、装置本体外へ排出する。
【0013】
<1.ディスクカートリッジ>
ディスクカートリッジ1は、図4及び図5に示すように、上下シェル11,12が突き合わせ結合されてなる矩形状のカートリッジ本体10を有する。ディスクカートリッジ1は、上下シェル11,12が分割された後、下シェル12に複数の光ディスク2が収納され、下シェル12の長手方向となる一端12a側から光ディスク2の挿排出が行われるものである。すなわち、ディスクカートリッジ1は、カートリッジ本体10に光ディスク2の挿排出口は設けられておらず、カートリッジ本体10を構成する上下シェル11,12を分割することにより光ディスク2の挿排出を行うものである。
【0014】
なお、以下では、カートリッジ本体10は、下シェル12から光ディスク2が挿排出されるとともに、ディスクチェンジャー装置3への挿入端となる長手方向の一端側の側面を前面10aとし、前面10aと反対側でラベル貼着用の凹面部23が形成された他端側の側面を背面10bとし、前面10a及び背面10bと直交し、上下シェル11,12の分割溝47が設けられた側面を左側面10c及び右側面10dとする。
【0015】
[1−1.上シェル]
上シェル11は、エンジニアリングプラスチックを用いて成型され、図6に示すように、カートリッジ本体10の上面を構成する矩形状の上面板13と、上面板13に取り付けられカートリッジ本体10の背面を構成する背面ブロック14と、上面板13に取り付けられカートリッジ本体10の前面を構成する前面壁15と、上面板13の略中央より立設された支軸16とを有する。
【0016】
図7に示すように、上面板13は、長手方向の一端側に前面壁15がビス止めされるビス孔18が形成され、長手方向の他端側に背面ブロック14がビス止めされるビス孔19が形成されている。また、上面板13は、長手方向の一端側の光ディスク2の投影面を避けた両側に、後述するロック機構30の前側ロック片31を軸支する回動支軸20が立設されている。また、上面板13は、ディスクカートリッジ1がディスクチェンジャー装置3のセレクトローダ5に挿入されたときに、後述するカートリッジホルダ80に係合する凹部21が形成されている。
【0017】
前面壁15は、上面板13の長手方向の一端側にビス止めされることにより、カートリッジ本体10の前面を構成するものである。前面壁15は、長手方向の両側に、ディスクカートリッジ1がディスクチェンジャー装置3に挿入されたときに、ロック機構30の前側ロック片31を回動するロック解除片99が進入するロック解除孔22が形成されている。また、前面壁15は、カートリッジ本体10の内面側に、前側ロック片31を回動支軸20とともに支持する支持片24が設けられている。
【0018】
背面ブロック14は、上面板13の長手方向の他端側にビス止めされることにより、カートリッジ本体10の背面を構成するものである。背面ブロック14は、カートリッジ本体10の背面を構成する外側面14aにラベル貼着用の凹面部23が形成されている。また、背面ブロック14は、外側面14aに、凹面部23に隣接して、誤消去防止スイッチ25に形成され、ユーザによって操作されるツマミ部25aを外方に臨ませる操作孔26が形成されている。また、背面ブロック14は、下シェル12とともにカートリッジ本体10の下面の一部を構成する下面部14bに、誤消去防止スイッチ25に形成され、セレクトローダ5の識別スイッチ110に当接される当接片25bを外方に臨ませる当接孔27が形成されている。
【0019】
また、背面ブロック14の両側面部14c,14dには、カートリッジ本体10を把持する把持孔28が形成されている。把持孔28は、ディスクカートリッジ1をライブラリーから取り出し、ディスクチェンジャー装置3内へ挿入する工程を、ロボットアームを用いてオートメーション化する場合などに、ロボットアームによって把持される孔として用いられる。
【0020】
また、上面板13と、背面ブロック14の下面部14b及びカートリッジ本体10の側面の一部を構成する両側面部14c,14dには、滑り止め用のシボ29が形成されている。また、このシボ29は、上面板13と下面部14bとでパターンを異ならせることにより、ユーザが把持したとき、パターンの違いに応じて、上下方向が識別可能となっている。またディスクカートリッジ1は、カートリッジ本体10の背面10b側にのみシボ29を形成することにより、ユーザが把持したときに、挿入方向を識別可能となっている。
【0021】
上面板13の略中央部に立設された支軸16は、カートリッジ本体10の剛性を確保すると共に、カートリッジ本体10内に収納される光ディスク2の位置決めを図るものである。支軸16は、光ディスク2の中心孔2aの直径よりもやや短い直径を有する円柱形状を有する。また、支軸16は、ディスクカートリッジ1の厚さと同じ高さを有し、上下シェル11,12が突き合わされることにより、先端面が下シェル12に形成された軸受け部46に当接され、支持される。
【0022】
支軸16は、上下シェル11,12が突き合わされると、下シェル12に収納されている光ディスク2の中心孔2aを挿通して軸受け部46に当接する。これにより、支軸16は、光ディスク2のカートリッジ本体10内における揺動を防止するとともに、カートリッジ本体10の剛性を高めることができる。
【0023】
すなわち、ディスクカートリッジ1は、ディスクトレイを用いることなく光ディスク2を収納するものであり、後述するように、光ディスク2をカートリッジ本体10の上下面と平行な方向へスライドさせることにより光ディスク2の挿排出を行っている。ここで、カートリッジ本体に光ディスクの挿排出口を設けた場合、かかるディスクカートリッジは、光ディスクの搬送領域上には支軸を立てることができないことから、カートリッジ本体10は上下面の中央部の剛性が確保しにくくなる。
【0024】
この点、ディスクカートリッジ1は、カートリッジ本体10に光ディスク2の挿排出口を設けず、上下シェル11,12を分割することにより光ディスク2の挿排出を行うものであることから、支軸16が光ディスク2の挿排出の障害とはならない。そして、ディスクカートリッジ1は、支軸16を設けることにより、上下シェル11,12が突き合わされると、カートリッジ本体10の上下面の中央部が支軸によって支えられ、剛性を高めることができ、また、光ディスク2の中心孔2aに挿通させることで、カートリッジ本体10内における光ディスク2の揺動を防止することができる。
【0025】
また、ディスクカートリッジ1は、光ディスク2をカートリッジ本体10から排出し、ディスクチェンジャー装置3内に搬送する場合は、上下シェル11,12を分割し、予め選択した所定の光ディスク2をセレクトローダ5に設けられた押出レバー167によって押し出す。このとき、支軸16は、選択された所定の光ディスク2の上方に収納されている他の光ディスク2の中心孔2aに挿通することで、他の光ディスク2の揺動を規制し、また所定の光ディスク2とともに排出される友連れ排出を防止することができる(図43参照)。
【0026】
上面板13は、上下シェル11,12が結合されたときに、下シェル12に収納された光ディスク2の投影面を外したコーナ部に、上下シェル11,12を結合するロック機構30が配設されている。ロック機構30は、長手方向の一端側に設けられた回動支軸20に支持される前側ロック片31と、上面板13の短手方向両側に立設された分割壁32の延長線上にスライド自在に支持された後側ロック片33とを有する。
【0027】
前側ロック片31は、上面板13に立設された回動支軸20及び前面壁15に設けられた支持片24に設けられた支軸が挿通する軸孔31aと、前面壁15のロック解除孔22より外方に臨まされロック解除片99に押圧される押圧面部31bと、下シェル12の被係合凹部56に係合する係合部31cとを有する。また、前側ロック片31は、コイルバネ35の一端が係止されることにより、常時、係合部31cが下シェル12に係合すると共に押圧面部31bがロック解除孔22に面する図6中矢印R方向へ回動付勢されている。
【0028】
コイルバネ35は、一端を前側ロック片31に係止され、他端を上面板13に設けられたバネ掛け部36に係止されている。
【0029】
後側ロック片33は、上面板13の長手方向の他端側に支持されている。後側ロック片33は、上面板13の分割壁32の延長線上に設けられたスライド段部32aにスライド可能に支持されることにより、図4に示すように、上シェル11と下シェル12との間に設けられる分割溝47の延長線上に位置する。
【0030】
後側ロック片33は、分割壁32及び背面ブロック14との間にスライド可能に支持される支持片部33aと、分割溝47の延長線上に位置する押圧片部33bと、支持片部33aの一端に設けられ下シェル12の被係合凹部57に係合する係合部33cとを有する。後側ロック片33は、支持片部33aの一端にコイルバネ38が係止され、常時、係合部33cが下シェル12に係合すると共に押圧片部33bがカートリッジ本体10の前面側にスライドし分割溝47の延長線上に位置する図6中矢印S方向へスライド付勢されている。
【0031】
かかるロック機構30は、前側ロック片31及び後側ロック片33が、それぞれ図6中矢印R方向及び矢印S方向へ付勢されることにより、各係合部31c,33cが下シェル12に係合し、上下シェル11,12を結合させている。そして、ロック機構30は、ディスクカートリッジ1がセレクトローダ5のカートリッジホルダ80に装着されると、ロック解除孔22より進入したロック解除片99によって押圧面部31bが押圧されることによりコイルバネ35の付勢力に対抗して前側ロック片31が反矢印R方向へ回動され、また、分割溝47に挿通した上シェル分割片103によって押圧片部33bが押圧されることによりコイルバネ38の付勢力に対抗して後側ロック片33が反矢印S方向へスライドされる。
【0032】
これによりロック機構30は、前側ロック片31及び後側ロック片33の各係合部31c,33cと下シェル12との係合が解除され、上下シェル11,12を分割可能とする。また、ロック機構30は、ディスクカートリッジ1をディスクチェンジャー装置3から排出する際は、ロック解除片99及び上シェル分割片103による押圧が解除されるため、コイルバネ35,38の付勢力を受けて前側ロック片31及び後側ロック片33がそれぞれ矢印R方向及び矢印S方向へ付勢され、各係合部31c,33cが下シェル12に係合し、上下シェル11,12を結合する。
【0033】
[1−2.下シェル]
次いで、光ディスク2を収納する下シェル12について説明する。下シェル12は、図5及び図9に示すように、カートリッジ本体10の下面を構成する矩形状の下面板40と、カートリッジ本体10の側面の一部を構成するとともに光ディスク2を収納する左右ディスクホルダ41,42と、左右ディスクホルダ41,42を支持するホルダプレート49とを備える。
【0034】
下面板40は、金属やエンジニアリングプラスチック等の樹脂によって形成され、図8に示すように、長手方向と直交する短手方向の相対向する側縁40a,40bにビス孔44が形成され、左右ディスクホルダ41,42がビス止めされる。また、下面板40は、左右ディスクホルダ41,42が取り付けられる側縁40a,40bと略直交する相対向する側縁40c,40dが開放され、後述するように光ディスク2のディスク挿排出口50及びディスク押出口51とされる。
【0035】
また、下面板40は、略中央部に上シェル11に突設された支軸16の先端が当接する軸受け部46が形成されている。軸受け部46は、円形の凹面部からなり、図10に示すように、上下シェル11,12が突き合わせ結合されることにより、支軸16の先端が当接する。これにより、カートリッジ本体10は、下シェル12の収納位置に収納された光ディスク2の中心孔2aに支軸16が挿通し、光ディスク2の揺動を防止することができる。また、カートリッジ本体10は、上下シェル11,12の略中央が支軸16によって軸支されることで、剛性を高めることができ、上下シェル11,12の変形や、これにより光ディスク2が傷つくことを防止できる。
【0036】
また、下面板40は、ディスクカートリッジ1がディスクチェンジャー装置3のセレクトローダ5に挿入されたときに、後述するカートリッジホルダ80の下ホルダ91における下シェル12の位置決めを図る位置決め孔45が形成されている。
【0037】
左右ディスクホルダ41,42は、複数の光ディスク2を支持するものであり、下面板40の短手方向の両側縁40a,40bにビス止めされている。これら左右ディスクホルダ41,42は、上下シェル11,12が突き合わされることにより、それぞれカートリッジ本体10の左右側面の一部を構成するものであり、外側面には、後述するカートリッジホルダ80に設けられた分割片103,115が進入する進入溝43が形成されている。
【0038】
そして、左右ディスクホルダ41,42は、進入溝43を境に上方が内側に退避し、上下シェル11,12が突き合わされることにより、上シェル11の分割壁32が進入溝43の上方に外側から被せられる。これにより左右ディスクホルダ41,42は、上シェル11の分割壁32とともに進入溝43の下方がカートリッジ本体10の左右側面10c,10dを構成する。このとき、左右ディスクホルダ41,42は、分割壁32の下端面と進入溝43の上端面とで、分割溝47が形成される。
【0039】
また、左右ディスクホルダ41,42は、それぞれ内面側に、複数の支持溝48が形成されている。支持溝48は、光ディスク2の厚さよりも若干厚い溝高さを有している。また支持溝48は、左右ディスクホルダ41,42に同数形成され、左右一対で光ディスク2の非信号記録領域である外側縁を支持するとともに光ディスク2の面方向に亘ってスライド可能とする。また、支持溝48は、下面板40と平行に形成され、光ディスク2を下シェル12の長手方向にスライドさせる。
【0040】
支持溝48は、左右ディスクホルダ41,42の一端面から他端面まで形成されている。また、支持溝48は、下シェル12の一端12a側に形成され下面板40の側縁と平行なストレート部48aと、ストレート部48aと連続し、下シェル12の他端12b側に向かって互いに近接する円弧部48bとが形成されている。さらに、右ディスクホルダ42の支持溝48は、円弧部48bからさらに他端12b側にかけて、後述するセレクトローダ5の押出レバー167をガイドするガイド部48cが形成されている。
【0041】
図11に示すように、左右ディスクホルダ41,42は、下シェル12の一端12a側に形成されたストレート部48a間の幅W1が、光ディスク2の最大幅Dよりも若干広い。また、支持溝48は、ストレート部48aが左右ディスクホルダ41,42の一端面に臨まされている。これにより、下シェル12は、一端12a側に、光ディスク2の挿排出が行われるディスク挿排出口50が形成され、また、ストレート部48aにおいて光ディスク2をスライド自在に支持することができる。
【0042】
また、左右ディスクホルダ41,42は、ストレート部48aから下シェル12の他端12b側に向かって連続する円弧部48b間の幅W2が光ディスク2の最大幅Dよりも狭い。また、円弧部48bは、光ディスク2の曲率と略同一の曲率で形成されている。これにより、下シェル12は、ストレート部48aをスライドした光ディスク2を円弧部48bで停止させ、光ディスク2をカートリッジ本体10内における収納位置に規制することができる。また、円弧部48bは、光ディスク2の曲率と略同一の曲率で形成されることから、光ディスク2の外周部を円弧状に支持し、カートリッジ本体10内の収納位置において確実に保持することができる。
【0043】
なお、光ディスク2が円弧部48bに支持される光ディスク2の収納位置は、矩形状に形成されたカートリッジ本体10の長手方向一端側、すなわち、ディスク挿排出口50が形成された前面10a側にやや片寄って設けられている。
【0044】
また、右ディスクホルダ42は、円弧部48bから下シェル12の他端側にかけて、ガイド部48cが形成されている。ガイド部48cは、右ディスクホルダ42の他端面に臨まされ、押出レバー167が当該他端面から進退可能とされている。また、ガイド部48cは、押出レバー167の回動軌跡に沿った円弧状に形成されている。これにより、下シェル12は、他端12b側に、光ディスク2をディスク挿排出口50側に押し出す押出レバー167が進退するディスク押出口51が形成され、ガイド部48cにおいて押出レバー167の先端を支持し、安定して回動可能とする。また、ガイド部48cは、後述するように、セレクトローダ5側に排出する所定の光ディスク2が収納されている支持溝48に押出レバー167をガイドし、確実に所定の光ディスク2をディスク挿排出口50側へ押し出させることができる(図25)。
【0045】
また、支持溝48は、下面板40と直交するカートリッジ本体10の厚さ方向に亘って複数、本実施例では12本ずつ形成され、最大12枚の光ディスク2を積層収納可能とされている。
【0046】
また、右ディスクホルダ42は、光ディスク2をカートリッジ本体10の収納位置に規制するセルフロックバネ53が設けられている。セルフロックバネ53は、支持溝48内に弾性片53aが進退可能に突出され、この弾性片53aにより光ディスク2を円弧部48b側に付勢することにより収納位置に規制するものである。
【0047】
セルフロックバネ53は、図12に示すように、支持溝48の数と同数の弾性片53aと、弾性片53aが設けられた支持体53bとを有する。セルフロックバネ53は、全体を金属バネなどの可撓性を有する材料で形成され、略矩形板状の支持体53bの長手方向に亘って複数の弾性片53aが側方に延長している。また、セルフロックバネ53は、右ディスクホルダ42の長手方向の略中間に設けられた配設口54に配設されると、弾性片53aが支持溝48の側面に開口された開口部より支持溝48内に突出される。セルフロックバネ53は、弾性片53aが可撓性を有するため、開口部より進退自在に突出されている。また、弾性片53aは、支持溝48内に突出する先端部が湾曲し、光ディスク2の外周面が摺接した場合にも、光ディスク2の外周面を傷つけることがない。
【0048】
セルフロックバネ53は、下シェル12のディスク挿排出口50より光ディスク2が挿入されると、支持溝48をスライドする光ディスク2の外周面に押圧され、弾性片53aが右ディスクホルダ42の配設口54内に退避する。そして、光ディスク2が円弧部48bに当接する収納位置まで挿入されると、図11に示すように、弾性片53aが光ディスク2の中心孔2aよりも下シェル12の一端12a側に当接する。これにより、セルフロックバネ53は、光ディスク2を円弧部48b側に押圧し、カートリッジ本体10内における収納位置に規制する。したがって、セルフロックバネ53は、光ディスク2の自重やカートリッジ本体10の振動による光ディスク2の揺動を防止でき、ディスクチェンジャー装置3内における光ディスク2の挿排出を安定して行うことができる。
【0049】
光ディスク2が押出レバー167によってディスク挿排出口50側にスライドされると、セルフロックバネ53は、弾性片53aが光ディスク2の外周面に押圧されて右ディスクホルダ42内に退避する。したがって、セルフロックバネ53は、光ディスク2の挿排出を阻害することはない。
【0050】
左右ディスクホルダ41,42は、ホルダプレート49が架け渡されている。ホルダプレート49は、左右ディスクホルダ41,42の揺動を防止するものであり、特に左右ディスクホルダ41,42が離間する方向に揺動することにより光ディスク2が支持溝48から脱落することを防止するものである。
【0051】
ホルダプレート49は、矩形板状に形成された金属板が用いられ、左右ディスクホルダ41,42の上面に設けられた係止孔55,55内にネジ止めされる。ホルダプレート49は、光ディスク2の収納位置である下シェル12の他端12b側に係止されることで、カートリッジ本体10の移動や落下等の衝撃が加わった場合にも、左右ディスクホルダ41,42の揺動を防止し、支持溝48間に支持している光ディスク2の脱落を防止できる。特に、ホルダプレート49は、図9に示すように、光ディスク2を円弧状に支持する円弧部48b上に架け渡されることにより、円弧部48bによって光ディスク2の外周を確実に支持することができる。
【0052】
また、左右ディスクホルダ41,42は、それぞれ、ロック機構30の前側ロック片31の係合部31cが係合する被係合凹部56と、後側ロック片33の係合部33cが係合する被係合凹部57とが形成されている。被係合凹部56は、左右ディスクホルダ41,42のディスク挿排出口50が設けられた一端面が凹状に切り欠かれることにより形成されている。また、被係合凹部57は、左右ディスクホルダ41,42のディスク押出口51が設けられた他端面が凹状に切り欠かれることにより形成されている。
【0053】
被係合凹部56は、前側ロック片31がコイルバネ35の付勢力を受けて矢印R方向へ回動されることにより係合部31cと係合する。また、被係合凹部57は、後側ロック片33がコイルバネ38の付勢力を受けて矢印S方向へスライドされることにより係合部33cと係合する。
【0054】
また、被係合凹部56は、ロック解除片99によって前側ロック片31が反矢印R方向に回動されることにより係合部31cとの係合が解除される。また、被係合凹部57は、カートリッジ本体10の分割溝47と連続し、分割溝47に上シェル分割片103が進入することにより後側ロック片33の押圧片部33bがこの上シェル分割片103に押圧されることにより係合部33cとの係合が解除される。
【0055】
かかるディスクカートリッジ1によれば、ロック機構30によって上下シェル11,12が結合されると、上シェル11の上面板13に突設された支軸16が、下シェル12の下面板40に形成された軸受け部46に当接される。したがって、ディスクカートリッジ1は、ディスクトレイを用いることなく、カートリッジ本体10の強度を確保し、カートリッジ本体10の変形を防止すると共に、カートリッジ本体10の変形によって光ディスク2に傷が付くことを防止できる。
【0056】
また、ディスクカートリッジ1は、上シェル11の上面板13、前面壁15、背面ブロック14、左右一対の分割壁32、及び下シェル12の下面板40、左右ディスクホルダ41,42によって、カートリッジ本体10の全面が構成される。すなわち、カートリッジ本体10は、光ディスク2を挿排出させる開口部と当該開口部を開閉する扉が設けられていない。したがって、ディスクカートリッジ1は、カートリッジ本体10を堅牢に形成することができる。また、ディスクカートリッジ1は、上シェル11の支軸16が下シェル12の軸受け部46に当接されているため、上面及び下面の略中央の強度も向上されている。したがって、ディスクカートリッジ1は、落下や振動などによる耐性を向上させることができる。
【0057】
また、ディスクカートリッジ1は、支柱16が光ディスク2の中心孔2aを挿通することにより、カートリッジ本体10内における光ディスク2の位置決めを図り、カートリッジ本体10の落下や振動などにより光ディスク2が揺動することを防止する。したがって、ディスクカートリッジ1は、上下シェル11,12が分割されたときにも、光ディスク2が所定の収納位置に収納されているため、光ディスク2の挿排出をスムーズに行うことができる。
【0058】
さらに、ディスクカートリッジ1は、上下シェル11,12によって全面が閉塞され、ディスク挿排出用の開口部及び開口部を開閉する扉を設けていないため、カートリッジ本体10の密閉性を高め、塵埃等の進入を防止することができる。また、ディスクカートリッジ1は、ディスク挿排出用の開口部及び開口部を開閉する扉を設けていないため、ユーザによって不用意に扉が開放され、光ディスク2に手指や異物が触れる事態を防止することができる。
【0059】
また、ディスクカートリッジ1は、後述するセレクトローダ5によって上下シェル11,12が上下に分割されることにより、下シェル12に収納されている光ディスク2を、ディスクの面方向にスライドさせることにより挿排出させる。したがって、ディスクカートリッジ1は、ディスクトレイを用いることなく、簡易な構成で光ディスク2の挿排出を行うことができる。
【0060】
また、このとき、ディスクカートリッジ1は、積層収納された複数の光ディスク2のうち、挿排出される所定の光ディスク2よりも上方に収納された光ディスク2に支軸16が挿通されているため、所定の光ディスク2以外の光ディスク2が排出される友連れを防止することができる。
【0061】
なお、ディスクカートリッジ1は、上下シェル11,12が上下方向に接離可能に形成され、上下シェル11,12が結合されることによりカートリッジ本体10の全面が閉塞され、上下シェル11,12が分離されることにより光ディスク2が面方向に挿排出可能とされていれば、矩形状のものに限定されるものではない。また、ディスクカートリッジ1は、下シェル12の下面板40と左右ディスクホルダ41,42とを一体に成型するようにしてもよい。さらに、ディスクカートリッジ1は、下シェル12の左右ディスクホルダ41,42によって光ディスク2を収納保持すると共に、カートリッジ本体10の側壁を構成するが、光ディスク2を収納保持する左右ディスクホルダと、カートリッジ本体10の側壁を構成する側壁部材とを別個に設けてもよい。
【0062】
<2.ディスクチェンジャー装置>
次いで、ディスクカートリッジ1に収納された光ディスク2を選択して取り出し、情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行うディスクチェンジャー装置3について説明する。ディスクチェンジャー装置3は、ディスクカートリッジ1のカートリッジ本体10を分割し、光ディスク2を排出するセレクトローダ5と、セレクトローダ5から排出された光ディスク2を引き込み、記録再生装置7に搬送するキャリーローダ6とを有する。
【0063】
セレクトローダ5は、ディスクカートリッジ1をディスクチェンジャー装置3から挿脱するカートリッジ挿脱位置と、下シェル12から光ディスク2の挿排出を行うディスク挿排出位置とを有する。セレクトローダ5は、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿脱位置へ装着されるとロック機構30のロックを解除し、下シェル12のみディスク挿排出位置へ搬送する。このとき、セレクトローダ5は、排出する光ディスク2に応じて下シェル12の昇降高さを制御する。そして、セレクトローダ5は、当該所定の高さに位置する光ディスク2をキャリーローダ6側へ押し出す。
【0064】
キャリーローダ6は、下シェル12より押し出された光ディスク2を、記録再生装置7にチャッキング可能な位置まで引き込み、また、光ディスク2に対する記録及び/又は再生が終了した後は、当該光ディスク2を下シェル12の収納位置へ押し戻す。
【0065】
[2−1.装置本体]
図1及び図2に示すように、ディスクチェンジャー装置3は、全体を矩形の箱形状をなす装置本体60を有する。装置本体60は、矩形状のトップカバー61と、トップカバー61が被さるボトムカバー62と、ディスクカートリッジ1の挿脱面となるフロントパネル63とを有する。ディスクチェンジャー装置3は、この装置本体60内に、セレクトローダ5及びキャリーローダ6が搭載される。なお、装置本体60は、図1において、フロントパネル63が設けられた面を前面60a、前面60aと反対側の面を背面60b、トップカバー61によって構成される主面を上面60c、トップカバー61に構成される両側面を左側面60d及び右側面60eとする。
【0066】
図13に示すように、トップカバー61は、装置本体60の背面60b、上面60c、左側面60d及び右側面60eを構成する。左右側面60d,60eには、フロントパネル63と係合するパネル係合口65が開口され、また内面側にボトムカバー62と接続するカバー接続片66が突出形成されている。
【0067】
ボトムカバー62は、装置本体60の上面60cと略同じ大きさの矩形板状をなし、長手方向と直交する短手方向の両側縁部に、トップカバー61のカバー接続片66がネジ止めされるカバー接続部67が複数形成されている。カバー接続片66及びカバー接続部67は、ネジ孔が形成され、後述するホルダカバー81とともに、共締めされる。
【0068】
フロントパネル63は、図14に示すように、矩形板状をなし、ディスクカートリッジ1が挿脱されるカートリッジ挿脱口70と、カートリッジ挿脱口70を閉塞するベゼル71と、トップカバー61のパネル係合口65に係合するカバー係合片72とを有する。カートリッジ挿脱口70は、カートリッジ本体10の前面10aより若干大きな矩形状の開口部であり、装置本体60の上側に開口され、後述するカートリッジ挿脱位置に搬送されたカートリッジホルダ80とほぼ同じ高さに位置する。
【0069】
ベゼル71は、カートリッジ挿脱口70の長手方向の両側を除くほぼ全面を開閉するセンターベゼル74と、カートリッジ挿脱口70の長手方向の両側を開閉する一対のサイドベゼル75,75と、フロントパネル63の裏面に取り付けられ、センターベゼル74とサイドベゼル75,75とを回動可能に支持する支持フレーム76とを備える。
【0070】
支持フレーム76は、カートリッジ挿脱口70の長手方向の長さと略同一の長さを有するセンターアーム部76aと、センターアーム部76aの両端から延長され、センターベゼル74及びサイドベゼル75,75を回動可能に支持する一対のサイドアーム部76b,76bとからなる。サイドアーム部76bの先端には、フロントパネル63に接続される接続部77が設けられている。支持フレーム76は、接続部77がフロントパネル63の裏面にネジ止めされて取り付けられる。
【0071】
また、サイドアーム部76b,76bは、それぞれ、上端にセンターベゼル74を回動可能に支持する第1の支持部78が設けられ、また、長手方向に亘ってサイドベゼル75を回動可能に支持する第2の支持部79が設けられている。
【0072】
センターベゼル74は、サイドアーム部76b,76bの各第1の支持部78に支持されることにより、カートリッジ挿脱口70の長手方向と直交する短手方向の上側縁から装置本体60の背面60b側に回動可能とされている。また、サイドベゼル75,75は、サイドアーム部76b,76bの各第2の支持部79に支持されることにより、カートリッジ挿脱口70の長手方向の両側縁から装置本体60の背面60b側に回動可能とされている。
【0073】
また、センターベゼル74及びサイドベゼル75,75は、いずれも図示しないコイルバネによって、常時カートリッジ挿脱口70を閉塞する前面60a側に回動付勢されている。このとき、サイドベゼル75,75は、センターベゼル74の長手方向の両端部に、背面60b側から重畳される。
【0074】
かかるベゼル71は、ディスクカートリッジ1の装置本体60内への装着を待機している状態では、センターベゼル74及びサイドベゼル75,75がカートリッジ挿脱口70を閉塞する前面60a側に回動付勢されている。そして、ベゼル71は、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿脱口70へ挿入されると、センターベゼル74がカートリッジ本体10の前面10aに押圧されて背面60b側へ回動されるとともに、センターベゼル74に押圧されてサイドベゼル75,75も背面60b側へ回動される。そして、ベゼル71は、カートリッジ本体10が装置本体60内に装着されている間、センターベゼル74がカートリッジ本体10に当接し前面60a側への回動が規制されるとともに、サイドベゼル75,75もセンターベゼル74によって前面60a側への回動が規制されている。
【0075】
また、ベゼル71は、サイドベゼル75を設けることにより、後述するように、カートリッジホルダ80に設けた上シェル分割片103や下シェル分割片115との干渉を回避するとともに、カートリッジ本体10のカートリッジ挿脱位置を装置本体60の前面60a側へ設けることができ、装置本体60の小型化を図ることができる。
【0076】
なお、カバー係合片72は、トップカバー61のパネル係合口65に係合する係合突部72aが突設されている。
【0077】
[2−2.セレクトローダ]
次いで、ディスクカートリッジ1のカートリッジ本体10を分割し、光ディスク2を排出するセレクトローダ5について説明する。セレクトローダ5は、図13、図15及び図16に示すように、ディスクカートリッジ1が装着されるカートリッジホルダ80と、カートリッジホルダ80を上下シェル11,12に分割するとともに下シェル12をディスク挿排出位置へ搬送するホルダ昇降機構84と、ディスク挿排出位置へ搬送された下シェル12より光ディスク2をキャリーローダ6側へ押し出すディスク押出機構85とを有する。ホルダ昇降機構84は、カートリッジホルダ80をスライド可能に支持するホルダカバー81と、カートリッジホルダ80を搬送するカムプレート82と、カムプレート82をスライドさせる駆動機構83とを備える。
【0078】
カートリッジホルダ80は、カートリッジホルダ80は、互いに分離自在に結合され、上シェル11を保持する上ホルダ90と、下シェル12を保持する下ホルダ91とを備える。カートリッジホルダ80は、後述するホルダ昇降機構84によって、装置本体60の全面60a側にスライドされるカートリッジ挿脱位置と、カートリッジ挿脱位置から装置本体60の背面60b側へスライドされる挿入位置と、挿入位置から下降され光ディスク2の挿排出が行われるディスク挿排出位置とに亘って移動される。そして、カートリッジホルダ80は、カートリッジ挿脱位置及び挿入位置において、上ホルダ90と下ホルダ91とが結合されてカートリッジ本体10が挿脱される。また、カートリッジホルダ80は、下ホルダ91がディスク挿排出位置へ下降されることにより、上下ホルダ90,91が分離され、これにより光ディスク2の挿排出が可能となる。
【0079】
上ホルダ90は、ホルダカバー81によって装置本体60の前後方向にスライド可能に支持されることにより、カートリッジ本体10が装置本体60より挿脱されるカートリッジ挿脱位置と、カートリッジ本体10が装置本体60の背面60b側へスライドされる挿入位置とに亘って保持されている。上ホルダ90は、上シェル11の上面板13を支持する略矩形状の支持面部93と、支持面部93の両側縁から立設される左右一対の上部側面部94,94とを備え、これら支持面部93及び上部側面部94,94にロック機構30のロックを解除するロック解除機構92が設けられている。
【0080】
支持面部93は、背面60b側の略中央に、ホルダカバー81との間に引っ張りコイルバネ95が架け渡されるバネ係止部96が形成されている。上ホルダ90は、引っ張りコイルバネ95によって、常時、装置本体60の前面60a側へ付勢されている。なお、上ホルダ90は、引っ張りコイルバネ95を用いる以外にも、モータを用いた駆動機構によって前後にスライドさせるようにしてもよい。
【0081】
また、支持面部93は、図17に示すように、上シェル11の上面板13と対峙する内面に、上面板13に形成された凹部21に係合する上シェル保持凸部98が形成されている。上シェル保持凸部98は、支持面部93より内面側に延在された可撓性を有する矩形状の弾性片からなる。上シェル保持凸部98は、装置本体60の前面60a側と背面60b側に形成され、前面60a側に形成された上シェル保持凸部98は、先端部にPOMなどの樹脂部品が嵌合され、背面60b側に形成され凹部21に係合する上シェル保持凸部98は、板金を打ち出して形成されている。
【0082】
左右一対の上部側面部94,94は、下ホルダ91に係合するホルダ係合片100と、ホルダカバー81にスライド可能に係合するカムピン101と、引っ張りコイルバネ95の付勢力に対向してカートリッジホルダ80を装置本体60の背面60b側へ保持するホルダ保持片102と、カートリッジ本体10の分割溝47に進入し、上シェル11を上ホルダ90に保持する上シェル分割片103とを備える。
【0083】
ホルダ係合片100は、下ホルダ91に突設された係合カムピン113に上方から係合することにより、上下ホルダ90,91とを装置本体60の前後方向に一体にスライド可能に結合させるものである。ホルダ係合片100は、下ホルダ91の係合カムピン113に応じて、上部側面部94の前後に離間して設けられている。ホルダ係合片100は、下端が開放されたスリット100aが形成されている。スリット100aは、カートリッジ本体10の挿脱方向と略直交する上下方向に形成され、下ホルダ91の昇降に応じて、開放端となる下端より下ホルダ91に突設された係合カムピン113が進入し、また退避する。カートリッジホルダ80は、ホルダ係合片100に係合カムピン113が係合することにより、上ホルダ90と下ホルダ91とが係合され、装置本体60の前後方向に一体にスライド可能とされる。
【0084】
カムピン101は、ホルダカバー81に形成された上部カムスリット140に挿通することにより、上ホルダ90をこの上部カムスリット140に沿って装置本体60の前後方向ヘスライド可能に支持させるものである。カムピン101は、上部側面部94,94の外面に、前後に離間して突設されている。
【0085】
ホルダ保持片102は、上部側面部94,94の背面60b側に、外側に向かって突設されている。ホルダ保持片102は、ホルダカバー81に回動支持されているホルダラッチ142に係合されることにより、引っ張りコイルバネ95によって装置本体60の前面60a側に付勢されているカートリッジホルダ80を、装置本体60の背面60b側に保持させるものである。ホルダ保持片102は、ホルダカバー81の前後方向に形成された挿通溝144よりホルダカバー81の外側面に突出し、カートリッジ本体10が装着され、カートリッジホルダ80が装置本体60の背面60b側にスライドされると、ホルダカバー81の外側面に設けられたホルダラッチ142に係止される。
【0086】
また、上部側面部94は、上シェル11の分割壁32を押圧する押圧片104が形成されている。押圧片104は、上部側面部94より上ホルダ90の内側に突出する可撓性を有する板状体からなり、装置本体60の前面60a側に設けられた押圧片104にはPOM等の樹脂部品が嵌合され、背面60b側に形成された押圧片104は、板金を打ち出して形成されている。上ホルダ90は、押圧片104が上シェル11を押圧することにより、がたつきを防止し、下シェル12との安定した係脱を可能とする。
【0087】
支持面部93及び上部側面部94には、ロック機構30のロックを解除するロック解除機構92が形成されている。ロック解除機構92は、支持面部93に設けられたロック解除片99及び上部側面部94に設けられた上シェル分割片103とからなる。
【0088】
ロック解除片99は、上シェル11の前面壁15に形成されたロック解除孔22に進入し、前側ロック片31を回動させるものである。図18に示すように、支持面部93は、装置本体60の背面60b側の側縁に後側面97が下方に折り曲げ形成されている。そして、ロック解除片99は、後側面97の下端が前面60a側へ折り曲げられることにより形成され、カートリッジ本体10のカートリッジホルダ80への着脱に応じて、ロック解除孔22から進退可能に形成されている。
【0089】
これにより、ロック解除片99は、カートリッジ本体10がカートリッジホルダ80に装着されると、ロック解除孔22内に進入して押圧面部31bを押圧することにより、前側ロック片31をコイルバネ35の付勢力に対抗して反矢印R方向へ回動させる。前側ロック片31は、反矢印R方向へ回動されることにより、係合部31cが被係合凹部56より退避し、下シェル12との係合が解除される。また、ロック解除片99は、カートリッジ本体10がカートリッジホルダ80より引き抜かれると、ロック解除孔22より退出し、前側ロック片31をコイルバネ35の付勢力によって矢印R方向へ回動可能とする。前側ロック片31は、矢印R方向へ回動されることにより、係合部31cが被係合凹部56に係合される。
【0090】
上シェル分割片103は、カートリッジ本体10の左右側面10c,10dに形成された分割溝47に進入することにより、後側ロック片33のロックを解除すると共に、上シェル11の分割壁32の下端面を支持し、これによりカートリッジ挿脱位置にある上ホルダ90内に上シェル11を保持するものである。上シェル分割片103は、分割壁32の下端面を支持可能な平板状に形成され、上部側面部94,94の内面に突出形成されている。また、上シェル分割片103は、上下ホルダ90,91とが結合されることにより、下ホルダ91に形成された下シェル分割片115と平行に並列される。
【0091】
そして、上シェル分割片103は、カートリッジホルダ80内にカートリッジ本体10が挿入されると、分割溝47に進入し、後側ロック片33の押圧片部33bを押圧して反矢印S方向へスライドさせると共に、上シェル11の分割壁32を下方から支持する。これにより、上シェル分割片103は、上下シェル11,12のロックを解除して分割可能とすると共に、上シェル11をカートリッジ挿脱位置に支持し、下シェル12が下降することにより、上下シェル11,12を分割させる。
【0092】
下ホルダ91は、ホルダカバー81によって昇降操作されることにより、下シェル12をカートリッジ挿脱位置と挿入位置とディスク挿排出位置とに亘って搬送するものである。下ホルダ91は、下シェル12の下面板40が載置される載置面部106と、載置面部106の両側縁から立設される左右一対の下部側面部107,107とを備える。
【0093】
載置面部106は、カートリッジ本体10内に配設された誤消去防止スイッチ25の当接片25bに当接する識別スイッチ110のスイッチ片111が突出する。スイッチ片111は、可撓性を有することにより、識別スイッチ110に接離可能に設けられている。また、スイッチ片111は、カートリッジ本体10がカートリッジホルダ80に装着されると、カートリッジ本体10の下面に設けられ、誤消去防止スイッチ25の当接片25bが臨む当接孔27に進入可能な位置に形成されている。
【0094】
上述したように、当接片25bは、ツマミ部25aが光ディスク2に対する書き込みを禁止する方向に操作されることにより、下シェル12とともにカートリッジ本体10の下面の一部を構成する背面ブロック14の下面部14bに形成された当接孔27を介してスイッチ片111と対峙する側へ移動される。また、当接片25bは、ツマミ部25aが光ディスク2に対する書き込みを可能とする方向に操作されることにより、当接孔27を介してスイッチ片111と対峙しない側へ移動される。
【0095】
そしてスイッチ片111は、図19(a)に示すように、当接孔27に進入し、誤消去防止スイッチ25の当接片25bに当接しないときは、識別スイッチ110に接触しないため、識別スイッチ110をオフ(書き込み可)とする。また、スイッチ片111は、図19(b)に示すように、当接孔27に進入し、誤消去防止スイッチ25の当接片25bに当接すると、載置面部106の下方に撓み識別スイッチ110に接触することにより、識別スイッチ110をオン(書き込み不可)とする。
【0096】
左右一対の下部側面部107,107は、図17、図20及び図21に示すように、上ホルダ90に係合するとともにホルダカバー81にスライド可能に係合する係合カムピン113と、カートリッジ本体10の分割溝47に進入し、下シェル12を下ホルダ91に保持する下シェル分割片115と、下シェル12のディスク挿排出位置における高さを精度よく規制する高さ規制片116と、載置面部106に載置された下シェル12の位置決めを図るシェル位置決めピン117とを備える。
【0097】
係合カムピン113は、上ホルダ90のホルダ係合片100に係合されることにより、上下ホルダ90,91とを装置本体60の前後方向にスライド可能に結合させるものである。係合カムピン113は、下部側面部107の前後に離間して、外方に突出形成されている。そして、係合カムピン113は、上下ホルダ90,91とがカートリッジ挿脱位置にて結合されるとき、上ホルダ90のホルダ係合片100のスリット100aに進入する。これにより、下ホルダ91は、上ホルダ90と装置本体60の前後方向に一体化され、上ホルダ90と一体に前後方向へスライドされる。
【0098】
また、係合カムピン113は、ホルダカバー81に形成された下部カムスリット141に挿通することにより、下ホルダ91をこの下部カムスリット141に沿って装置本体60の前後方向及び上下方向ヘスライド可能に支持させる。
【0099】
下シェル分割片115は、カートリッジ本体10の左右側面10c,10dに形成された分割溝47に進入することにより、下シェル12の左右ディスクホルダ41,42に形成された進入溝43の上端面を支持し、これにより下ホルダ91内に下シェル12を保持するものである。下シェル分割片115は、進入溝43の上端面を支持可能な平板状に形成され、下部側面部107,107の内面に突出形成されている。また、下シェル分割片115は、上下ホルダ90,91とが結合されることにより、上ホルダ90に形成された上シェル分割片103と隣接される。
【0100】
そして、下シェル分割片115は、カートリッジホルダ80内にカートリッジ本体10が挿入されると、分割溝47に進入し、下シェル12の進入溝43の上端面を上方から支持する。これにより、下シェル分割片115は、下シェル12を下ホルダ91内に保持し、下シェル12が後述するカムプレート82によってカートリッジ挿脱位置からディスク挿排出位置へ下降されると、下シェル12を上シェル11から分割させる。
【0101】
高さ規制片116は、ディスク挿排出位置へ下降された下ホルダ91の位置決めを図ることにより、カートリッジ本体10内に積層して収納された複数の光ディスク2のうち、所定の光ディスク2を、押出レバー167の回動軌跡上に位置決めするものである。高さ規制片116は、図20に示すように、下部側面部107,107の前後に離間して外方に突出形成され、高さ調整プレート120に係合される。
【0102】
図20に示すように、高さ調整プレート120は、ホルダカバー81の支持側面部134,135の内面に設けられた支持凸部122に、装置本体60の前後方向に亘ってスライド自在に支持され、後述する駆動機構83によってスライドされる。この高さ調整プレート120は、カートリッジ本体10内に収納されている光ディスク2の支持間隔と同間隔で形成された複数の調整スリット121が形成されている。各調整スリット121は、高さ規制片116に係合することにより、支持溝48に支持された複数の光ディスク2のうちそれぞれ対応する光ディスク2が押出レバー167の回動軌跡上に位置するディスク挿排出位置に下ホルダ91の位置決めを図るものである。調整スリット121は、ディスク挿排出位置に下降された下ホルダ91の高さ規制片116に向かって開口され、高さ調整プレート120がスライドすることにより、高さ規制片116に係脱可能とされている。なお、調整スリット121は、各開口部の先端が広がって高さ規制片116を引き込みやすくなっている。
【0103】
下ホルダ91は、カムプレート82によって、情報信号の記録及び/又は再生を行う所定の光ディスク2が押出レバー167の回動軌跡上に位置するディスク挿排出位置まで下降されると、高さ調整プレート120がスライドして高さ規制片116に係合する。これにより、下ホルダ91は、所定の光ディスク2のディスク挿排出位置に規制され、上下に積層された他の光ディスク2がディスク挿排出位置に位置される誤挿排出を防止することができる。
【0104】
シェル位置決めピン117は、下シェル12の下面板40に穿設された位置決め孔45に挿通することにより、下ホルダ91における下シェル12の位置決めを図るものである。シェル位置決めピン117は、図21に示すように、カートリッジ本体10の挿入端となる前側縁の幅方向の両側に設けられている。シェル位置決めピン117は、下ホルダ91に設けられたピン孔123を介して位置決め孔45に挿通する挿通ピン124と、挿通ピン124が突設された昇降ブロック125と、上ホルダ90に押下される押下片126とを有する。また、シェル位置決めピン117は、昇降ブロック125が下ホルダ91に取り付けられた昇降軸128に昇降自在に挿通し、この昇降軸128をスライドすることにより、挿通ピン124がピン孔123より載置面部106上に進退可能とされている。
【0105】
昇降軸128は、載置面部106の下側に設けられ、先端に昇降ブロック125を上方に押圧するコイルバネ129が挿通されている。コイルバネ129は、昇降軸128の先端に設けられたEリング等の係止部材によって係止され、常時昇降ブロック125を、挿通ピン124が載置面部106上に突出する図21中矢印U方向へ付勢している。
【0106】
押下片126は、昇降ブロック125より下部側面部107の外側に延在され、上ホルダ90によって押下されることにより昇降ブロック125をコイルバネ129の付勢力に対抗して反矢印U方向へ押し下げ、挿通ピン124を載置面部106上から退避させる。
【0107】
シェル位置決めピン117は、上下ホルダ90,91が突き合わされることにより、図22に示すように、押下片126が上ホルダ90によって押下されるため、カートリッジ本体10をカートリッジホルダ80内へ着脱可能とする。また、シェル位置決めピン117は、カートリッジ本体10が装着し、下ホルダ91がディスク挿排出位置へ下降されると、上ホルダ90による押下片126への押圧が解除されるため、コイルバネ129によって昇降ブロック125が上昇される。これにより、シェル位置決めピン117は、ピン孔123を介して挿通ピン124を下シェル12の位置決め孔45へ挿通し、下ホルダ91内における下シェル12の位置決めを図ることができる。
【0108】
なお、下部側面部107は、下シェル12の左右ディスクホルダ41,42を押圧する押圧片131が形成されている。押圧片131は、下部側面部107より下ホルダ91の内側に突出する可撓性を有する板状体からなり、装置本体60の前面60a側に設けられた押圧片131にはPOM等の樹脂部品が嵌合され、背面60b側に形成された押圧片131は、板金を打ち出して形成されている。下ホルダ91は、押圧片131が下シェル12を押圧することにより、がたつきを防止し、光ディスク2の挿排出や上シェル11との係脱を安定して行うことを可能とする。
【0109】
次いで、カートリッジホルダ80を昇降させるホルダ昇降機構84について説明する。上述したとおり、ホルダ昇降機構84は、カートリッジホルダ80をスライド可能に支持するホルダカバー81と、カートリッジホルダ80を搬送するカムプレート82と、カムプレート82をスライドさせる駆動機構83とを備える。
【0110】
ホルダカバー81は、カートリッジホルダ80をスライド可能に支持するものであり、図13、図16に示すように、装置本体60のトップカバー61とともにボトムカバー62のカバー接続部67に共締めされることにより、装置本体60に一体に固定されている。また、ホルダカバー81は、装置本体60の上面60cと平行な天面部133と、天面部133の両側縁より折り曲げ形成され、カートリッジホルダ80を支持する左右一対の支持側面部134,135とを備える。
【0111】
天板部133は、装置本体60の前面60a側に上ホルダ90との間に架け渡される引っ張りコイルバネ95の一端が係止されるバネ係止部137が形成されている。引っ張りコイルバネ95は、バネ係止部137に係止されることにより、常時、カートリッジホルダ80を装置本体60の前面60a側へスライド付勢している。
【0112】
支持側面部134,135は、カートリッジホルダ80の上ホルダ90をガイドする上部カムスリット140と、下ホルダ91をガイドする下部カムスリット141と、上ホルダ90を装置本体60の背面60b側へ保持するホルダラッチ142と、後述するカムプレート82のスライドをガイドするスライドガイドピン143と、上ホルダ90に形成されたホルダ保持片102が挿通する挿通溝144とを備える。
【0113】
上部カムスリット140及び下部カムスリット141は、カートリッジホルダ80の移動をガイドするものである。ディスクチェンジャー装置3は、ディスクカートリッジ1の挿入を待機しているとき、あるいはディスクカートリッジ1を排出したときは、カートリッジホルダ80が装置本体60の前面60a側のカートリッジ挿脱位置へスライドされている。また、ディスクチェンジャー装置3は、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿脱口70内より挿入されると、カートリッジ本体10に押圧されてカートリッジホルダ80が背面60b側の挿入位置へスライドされる。また、ディスクチェンジャー装置3は、ディスクカートリッジ1を排出するとき、カートリッジホルダ80が引っ張りコイルバネ95によって前面60a側のカートリッジ挿排出位置へスライドされる。このとき、カートリッジホルダ80は、上部カムスリット140及び下部カムスリット141によって前後方向へのスライドがガイドされる。また、下ホルダ91は、カムプレート82によって挿入位置とディスク挿排出位置とに亘って昇降されるとき、下部カムスリット141にガイドされる。
【0114】
上部カムスリット140は、上ホルダ90の上部側面部94に突設されたカムピン101が挿通することにより、カートリッジホルダ80の前後方向に亘るスライドをガイドするものである。上部カムスリット140は、支持側面部134,135の上方に、前後に離間して形成されている。各上部カムスリット140は、カートリッジホルダ80を前後方向にガイドする上側水平部140aと、下側水平部140aの背面60b側の端部より下方に延びる上側垂直部140bとを有する。
【0115】
上部カムスリット140は、上ホルダ90のカムピン101が挿通することにより、上側水平部140aによって、上ホルダ90の前後方向のスライドをガイドする。このとき、上ホルダ90と下ホルダ91とは、ホルダ係合片100及び係合カムピン113が係合することにより結合されているため、カートリッジホルダ80は上下ホルダ90,91とが一体に、前後方向への移動がガイドされる。なお、このとき、カートリッジ本体10は、上下シェル11,12が結合した状態とされている。また、上部カムスリット140は、上側水平部140aによってカートリッジ本体10を水平方向に亘って移動させ、通常使用において上側垂直部140bによるガイドは行わない。
【0116】
下部カムスリット141は、下ホルダ91の下部側面部107に突設された係合カムピン113が挿通することにより、カートリッジホルダ80の前後方向に亘るスライド、及び下ホルダ91の上下方向に亘るスライドをガイドするものである。下部カムスリット141は、支持側面部134,135の高さ方向の真ん中近辺に、前後に離間して形成されている。各下部カムスリット141は、カートリッジホルダ80を前後方向にガイドする下側水平部141aと、下側水平部141aと略直交し下側水平部141aの背面60b側より下方に延びる下側垂直部141bとを有する。なお、下側水平部141aは、下側垂直部141bよりもさらに背面60b側に予備水平部141cが形成されている。
【0117】
下部カムスリット141は、下ホルダ91の係合カムピン113が挿通することにより、下側水平部141aによって下ホルダ91の前後方向のスライドをガイドする。このとき、下ホルダ91と上ホルダ90とは、係合カムピン113がホルダ係合片100に係合することにより結合されているため、カートリッジホルダ80は、上下ホルダ90,91とが一体にスライドする。
【0118】
また、下部カムスリット141は、下ホルダ91が下側水平部141aの背面60b側の挿入位置までスライドされると、下側垂直部141bによって、カムプレート82により昇降される係合カムピン113を上下方向にガイドする。これにより、下部カムスリット141は、下ホルダ91のカートリッジ挿脱位置とディスク挿排出位置とに亘る昇降をガイドする。
【0119】
ホルダラッチ142は、装置本体60の背面60b側の挿入位置にスライドされたカートリッジホルダ80を、引っ張りコイルバネ95の付勢力に対向して当該挿入位置に留め置くものであり、支持側面部134,135の背面60b側に設けられている。ホルダラッチ142は、上ホルダ90の上部側面部94に形成されたホルダ保持片102に前面60a側から係止することにより、上ホルダ90及び上ホルダ90と一体に結合する下ホルダ91の前面60a側へのスライドを規制する。
【0120】
ホルダラッチ142は、ホルダ保持片102に係止する鉤部142aと、支持側面部134,135に回動自在に支持される回動支持部142bと、ラッチバネ145が係止するバネ係止片部142cとを有する。ホルダラッチ142は、一端を支持側面部134,135に係止されたラッチバネ145の他端に係止されることにより、常時、鉤部142aをホルダ保持片102に係止する図15中矢印L方向へ回動付勢されている。したがって、ホルダラッチ142は、カートリッジホルダ80が背面60b側へスライドされると、ホルダ保持片102に鉤部142aが係止することにより、カートリッジホルダ80の前面60a側へのスライドを規制することができる。
【0121】
なお、下部カムスリット141は、カートリッジホルダ80がホルダ保持片102とホルダラッチ142の鉤部142aとが係止するまで押し込まれることにより、係合カムピン113が下側水平部141aから下側垂直部141b上を経て予備水平部141cまでスライドする。そして、下部カムスリット141は、ホルダ保持片102がホルダラッチ142に係止されると、係合カムピン113が下側垂直部141b上に位置される。これにより、上下シェル11,12は、挿入位置に保持される。
【0122】
また、ホルダラッチ142は、バネ係止片部142cが、後述するカムプレート82のスライド軌跡上に位置され、ディスクカートリッジ1を排出する際には、カムプレート82によってバネ係止片部142cが背面60b側へ押圧されることにより、図15中反矢印L方向へ回動される。これにより、ホルダラッチ142は、鉤部142aがホルダ保持片102から外れ、上ホルダ90及び下ホルダ91を前面60a側にスライド可能とし、上ホルダ90及び下ホルダ91が引っ張りコイルバネ95によって前面60a側へスライドされる。
【0123】
また、カムプレート82のスライドをガイドするスライドガイドピン143は、支持側面部134,135の下方に突設されている。スライドガイドピン143は、カムプレート82に形成されたガイドスリット151に挿通することにより、カムプレート82のスライドをガイドする。
【0124】
ホルダ保持片102が挿通する挿通溝144は、支持側面部134,135の背面60b側に、前後方向に亘って形成されている。挿通溝144は、ホルダ保持片102が外方に突出してスライドすることにより、ホルダラッチ142の鉤部142aに係合させる。
【0125】
なお、支持側面部134,135には、高さ方向の下側縁にボトムカバー62のカバー接続部67に接続する複数のカバー接続片146が形成されている。カバー接続片146は、トップカバー61とともにボトムカバー62のカバー接続部67に共締めされる。また、支持側面部134,135は、装置本体60の背面60b側に延長し、後述するキャリーローダ6のハウジング200が取り付けられる延長支持片154,154が形成されている。
【0126】
次いで、下ホルダ91を昇降させるカムプレート82について説明する。カムプレート82は、支持側面部134,135の外側に隣接し、ホルダカバー81及び後述する駆動機構83によって前後方向にスライド可能に支持されている。図15に示すように、カムプレート82は、下ホルダ91に突設された係合カムピン113が挿通する昇降ガイド溝150と、ホルダカバー81に突設されたスライドガイドピン143が挿通するガイドスリット151と、ホルダラッチ142のバネ係止片部142cを押圧するラッチ押圧部152とを備える。
【0127】
昇降ガイド溝150は、カムプレート82の前後方向に離間して設けられ、装置本体60の前後方向に形成されて下ホルダ91の同方向へのスライドをガイドする水平ガイド部150aと、水平ガイド部150aの背面60b側の端部より下方に向かって斜行し下ホルダ91を昇降させる昇降ガイド部150bとを有する。昇降ガイド溝150は、カムプレート82が駆動機構83によって装置本体60の前後方向に亘ってスライドされることにより、係合カムピン113を水平ガイド部150aと昇降ガイド部150bに沿ってスライドさせ、これにより、下ホルダ91を昇降させる。
【0128】
また、カムプレート82は、駆動機構83と連結手段を介して連続され、駆動機構83が駆動されることにより装置本体60の前後方向へスライドされる。このとき、カムプレート82は、ホルダカバー81の支持側面部134,135に設けられたスライドガイドピン143がガイドスリット151に挿通され、スライドガイドピン143によってガイドされる。ガイドスリット151は、カムプレート82の下方に、装置本体60の前後方向に亘って形成されている。
【0129】
ラッチ押圧部152は、カムプレート82の背面60b側の側縁に形成されている。ラッチ押圧部152は、カムプレート82が背面60b側へスライドされることにより、ホルダラッチ142のバネ係止片部142cを押圧し、鉤部142aを反矢印L方向へ回動させることによりホルダ保持片102から外す。
【0130】
カムプレート82を駆動する駆動機構83は、図13及び図23に示すように、ボトムカバー62に共締めされるベース板155上に配設され、駆動源となる第1の駆動モータ156と、第1の駆動モータ156によって回転駆動されるとともに、それぞれカムプレート82に連結された第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158とを備える。
【0131】
ベース板155は、ボトムカバー62と略同じ大きさを有する矩形状をなし、トップカバー61、及びホルダカバー81とともにボトムカバー62のカバー接続部67に共締めされることにより固定されている。ベース板155は、表面155a上の前面60a側に、後述するディスク押出機構85が配設されている。また、ベース板155は、表面155a上の背面60b側に、後述するキャリーローダ6及び記録再生装置7が設けられている。
【0132】
第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158は、ベース板155の裏面155bに回転可能に支持されるとともに相互に咬合されている。また、第1の裏面ギヤ157は、ベース板155の表面155aに搭載された第1の駆動モータ156と減速ギヤを介して連結されている。また、第1の裏面ギヤ157は、カムプレート82の下側縁よりベース板155の裏面155b側に延設されたギヤ連結部82aのギヤ部159bと咬合されている。第2の裏面ギヤ158は、第1の裏面ギヤ157と咬合すると共に、カムプレート82の下側縁よりベース板155の裏面155b側に延設されたギヤ連結部82aのギヤ部159bと咬合されている。
【0133】
カムプレート82のギヤ連結部82aは、装置本体60の前後方向に亘って形成されたガイド長孔159aと第1の裏面ギヤ157又は第2の裏面ギヤ158と咬合するギヤ部159bとが形成されている。ガイド長孔159aは、ベース板155の裏面155bに突設されたガイド軸が挿通されている。また、ギヤ部159bは、装置本体60の前後方向に亘って形成されている。
【0134】
かかる駆動機構83は、第1の駆動モータ156が駆動されると第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158が回転され、ギヤ連結部82aをガイド長孔159aに沿って移動させる。これにより、左右一対のカムプレート82は、装置本体60の前後方向に同期してスライドされる。
【0135】
カムプレート82は、ディスクカートリッジ1の挿入を待機している状態では、装置本体60の背面60b側へスライドされている。また、カートリッジホルダ80は、カムピン101及び係合カムピン113が、カムプレート82の水平ガイド部150a及びホルダカバー81の上側水平部140a及び下側水平部141aにガイドされることにより上下ホルダ90,91が結合され、カートリッジ挿脱位置に保持されている。
【0136】
そして、装置本体60は、ディスクカートリッジ1がカートリッジホルダ80へ挿入され、カートリッジホルダ80が引っ張りコイルバネ95の付勢力に対抗して装置本体60の背面60b側へスライドされると、ホルダラッチ142の鉤部142aがホルダ保持片102に係止し、装置本体60の前面60a側へのスライドを規制する。かかる位置までカートリッジホルダ80がスライドされたことを検出すると、カムプレート82は、第1の駆動モータ156が駆動することにより前面60a側へスライドされる。また、下ホルダ91は、係合カムピン113が水平ガイド部150aから昇降ガイド部150bへ摺動されることにより、ホルダカバー81の下側水平部141aから下側垂直部141bに沿って下降され、ディスク挿排出位置へ搬送される。
【0137】
また、図24に示すように、駆動機構83は、ベース板155の表面155aに表面カムギヤ160が回転可能に支持されている。表面カムギヤ160は、ベース板155に設けられた第2の駆動モータ163と減速ギヤを介して連結されている。また表面カムギヤ160は、上述した高さ調整プレート120をスライドさせる第2のカム溝160aが形成されている。第2のカム溝160aには、調整スライド板161のカムピン161aが係合されている。調整スライド板161は、装置本体60の前後方向に亘る直進ガイド溝161b,161cが設けられ、これら直進ガイド溝161b,161cがベース板155に立設されたガイド軸及び表面カムギヤ160の回動支軸に挿通されることにより、前後方向にスライド可能に支持されている。
【0138】
また、調整スライド板161は、調整バネ162が係止されている。調整バネ162は、ベース板155に突設された支軸に回動自在に支持されるとともに、一端を調整スライド板161に係止され、他端を高さ調整プレート120に開口されたバネ係止孔120aに係止されている(図20)。
【0139】
高さ調整プレート120は、装置本体60の前後方向に亘る長孔164が設けられている。また、上述したように、ホルダカバー81は、支持側面部134,135の内面に、長孔164に挿通することにより高さ調整プレート120のスライドをガイドする支持凸部122が突設されている。高さ調整プレート120は、長孔164に支持凸部122が挿通することにより、この支持凸部122に装置本体60の前後方向にスライド可能に支持されている。また、高さ調整プレート120は、ホルダカバー81の支軸側面部134,135との間にバネ166が架け渡されることにより、常時、装置本体60の背面60b側へスライド付勢されている。
【0140】
そして、高さ調整プレート120は、表面カムギヤ160が回転されると、カムピン161aが第2のカム溝160aを摺動することにより、調整スライド板161が装置本体60の背面60b側へスライドされる。これにより、調整バネ162は、他端が前面60a側へ回動することにより、高さ調整プレート120を長孔164に沿って装置本体60の前面60a側へスライドさせることができる。
【0141】
次いで、光ディスク2をキャリーローダ6側へ押し出すディスク押出機構85について説明する。ディスク押出機構85は、ベース板155の表面155aの前面60a側に設けられ、ディスク挿排出位置に搬送された下シェル12のディスク押出口51より光ディスク2を押圧し、ディスク挿排出口50から排出させるものである。ディスク押出機構85は、図24及び図25に示すように、光ディスク2を押し出す押出レバー167と、押出レバー167を支持するレバー支持壁168と、押出レバー167を回動させるレバースライダ169と、押出レバー167を回動させる駆動力を付与する第2の駆動モータ163とを備える。
【0142】
図25に示すように、押出レバー167は、長く平らな板状に形成され、左右ディスクホルダ41,42の内面側に形成され光ディスク2を支持する支持溝48に進入可能な厚さを有する。また、押出レバー167は、支持溝48に進入する先端部には、光ディスク2よりも柔らかい樹脂部材からなるディスク当接部材173が嵌合されている。
【0143】
ディスク当接部材173は、光ディスク2の外周面を押圧することによりディスク挿排出口50から排出させるものであり、先端が円弧状に形成され、光ディスク2を傷つけることなく当接可能とされている。
【0144】
押出レバー167は、基端部がベース板155の前面60a側に突設されたレバー支軸172の上端に回動可能に支持されている。これにより、押出レバー167は、後述するレバースライダ169がスライドされると、レバー支軸172を支点に、光ディスク2をディスク挿排出口50へ押し出す図25中矢印P方向及びディスク押出口51側に復帰する反矢印P方向への回動軌跡を描く。この回動軌跡は、支持溝48に円弧状に形成されたガイド部48cの軌跡と同一とされている。したがって、押出レバー167は、支持溝48に進入すると、ガイド部48cに沿って回動されるため、ディスク当接部材173がガイド部48cに支持される。
【0145】
ここで、押出レバー167は、レバー支軸172に支持されることにより、ディスク挿排出位置の高さで回動される。そして、ディスク押出機構85は、キャリーローダ6側へ排出する所定の光ディスク2がディスク挿排出位置の高さに位置するように、下シェル12が下降されることにより、当該所定の光ディスク2が押出レバー167によって押圧可能とされる。このように、ディスク押出機構85は光ディスク2の挿排出を行う高さが決まっている。したがって、ホルダ昇降機構84は、下ホルダ91を昇降させることにより、所定の光ディスク2の収納位置を、ディスク押出機構85による光ディスク2の挿排出を行う高さ、すなわちディスク挿排出位置に合わせ、これにより複数積層して収納されている光ディスク2のうち、記録再生を行う所定の光ディスク2を選択し、かつ、所定の光ディスク2の挿排出を可能としている。これにより、セレクトローダ5は、カートリッジ本体10を光ディスク2の挿排出を可能に分離し、かつ複数の光ディスク2のうち所定の光ディスク2の選択を同時に行う構成を簡易に実現できる。
【0146】
押出レバー167は、ガイド部48cよりもさらに装置本体60の前面60a側へ回動されることにより、収納位置に収納されている光ディスク2をディスク挿排出口50から排出することができる。このとき、図26(a)に示すように、押出レバー167は、予め所定の光ディスク2を支持する支持溝48のガイド部48cに進入しているため、当該支持溝48に支持されている所定の光ディスク2を押し出すことができる。
【0147】
押出レバー167は、光ディスク2を押し出すことにより、少なくとも光ディスク2の中心孔2aがディスク挿排出口50から排出する位置まで搬送する。これにより、ディスク押出機構85は、後述するキャリーローダ6のローディングアーム201が光ディスク2の中心孔2aよりも排出方向後端側を把持することができる位置まで、光ディスク2を排出することができる(図30)。
【0148】
押出レバー167は、レバー支持壁168によって全回動領域に亘って支持されている。図26(b)に示すように、押出レバー167は、支持溝48のガイド部48cより先に回動される際は、先端部が支持溝48から外れてしまう。このため、レバー支持壁168は、長尺な押出レバー167が揺動し、排出する所定の光ディスク2との当接が外れたり、他の光ディスク2に衝突したりすることを防止している。
【0149】
このレバー支持壁168は、押出レバー167を支持するレバー支軸172の近傍に設けられ、押出レバー167の基端側の回動軌跡に沿った円弧状の支持面168aが設けられている。また、レバー支持壁168は、支持面168aが押出レバー167がレバー支軸172に支持されている高さに形成されている。また、レバー支持壁168は、押出レバー167の基端側に設けられることにより、押出レバー167の全回動領域に亘って支持することができる。
【0150】
レバースライダ169は、駆動機構83によってスライドされることにより押出レバー167を回動させるものであり、図24に示すように、略矩形板状に形成されている。レバースライダ169は、長手方向の一端に押出レバー167に設けられた回動操作片175に係合する操作凹部176が設けられ、長手方向の他端に表面カムギヤ160に形成された第3のカム溝160bに係合するカムピン177が突設されている。
【0151】
操作凹部176は、レバースライダ169の長手方向に亘って離間する一対の当接面178,178が形成され、これら当接面178,178間に押出レバー167の回動操作片175が係合する。そして、操作凹部176は、レバースライダ169が長手方向となる図24中矢印B方向又は反矢印B方向へスライドされると、一方又は他方の当接面178によって回動操作片175を押圧し、押出レバー167を光ディスク2を押し出す方向、あるいは初期位置へ復帰する方向に回動させる。
【0152】
また、レバースライダ169は、長手方向に沿ったやや幅広の長孔180が形成され、この長孔180にベース板155に立設されたガイド軸181が挿通することにより、長手方向への移動がガイドされている。さらに、レバースライダ169は、引っ張りバネ182の一端が係止され、常時、操作凹部176が回動操作片175に係止される図27及び図24中矢印A方向へ付勢されている。引っ張りバネ182は、一端をレバースライダ169に係止され、他端をベース板155に突設されたバネ係止片183に係止されている。
【0153】
かかるレバースライダ169は、カムピン177が表面カムギヤ160の第3のカム溝160bに摺動することにより、長手方向となる図24中矢印B方向へスライドされる。レバースライダ169は、矢印B方向へスライドされることにより、操作凹部176の当接面178によって押出レバー167の回動操作片175を同方向へ押圧し、押出レバー167を矢印P方向へ回動させる。このとき、レバースライダ169は、引っ張りバネ182によって矢印A方向へ引っ張られているため、操作凹部176の当接面178,178間に回動操作片175が係合され、確実に押出レバー167を回動させることができる。
【0154】
また、光ディスク2がキャリーローダ6側へ排出されると、レバースライダ169は、表面カムギヤ160が反転することにより、反矢印B方向へスライドされる。これにより、レバースライダ169は、回動操作片175を同方向へ押圧し、押出レバー167を反矢印P方向へ回動させる。
【0155】
ここで、ディスク押出機構85は、図27に示すように、キャリーローダ6に既に光ディスク2が挿入されている場合や、押出レバー167が揺動して先端が支持溝48間の端面に当接した場合など、押出レバー167の矢印P方向への回動が規制されると、レバースライダ169と回動操作片175との係合が解除される。
【0156】
すなわち、レバースライダ169は、スライド方向と直交する幅方向にやや幅広な長孔180が設けられている。このため、レバースライダ169は、押出レバー167の矢印P方向への回動が規制され回動操作片175が固定すると、引っ張りバネ182の付勢力に対抗して反矢印A方向へ移動し、操作凹部176と回動操作片175との係合が外れる。これにより、レバースライダ169は、表面カムギヤ160の回転に応じた矢印B方向へのスライドが可能となり、駆動機構83や押出レバー167、光ディスク2に過剰な負荷がかかることを防止できる。
【0157】
なお、ディスク押出機構85は、所定時間経過後に、表面カムギヤ160が反転することによりレバースライダ169が反矢印B方向へスライドされる。このとき、レバースライダ169は、引っ張りバネ182によって矢印A方向へ付勢されることにより、操作凹部176と回動操作片175とが係合される。
【0158】
ここで、フロントパネル63に設けたベゼル71と、カートリッジホルダ80に設けた上シェル分割片103、下シェル分割片115との干渉を回避する構成について説明する。上述したように、カートリッジ挿脱口70を閉塞するベゼル71は、カートリッジ挿脱口70の長手方向の両側を除くほぼ全面を開閉するセンターベゼル74と、カートリッジ挿脱口70の長手方向の両側を開閉する一対のサイドベゼル75,75とを備える。また、カートリッジホルダ80は、カートリッジ挿脱位置にスライドされ、上シェル分割片103は、上ホルダ90の上部側面部94,94の内面側に突出形成されている。
【0159】
仮にベゼル71をセンターベゼル74のみでカートリッジ挿脱口70を閉塞するように構成した場合、センターベゼル74はカートリッジ挿脱口70の上側縁に沿って背面60b側へ向かう回動軌跡を描くことから、長手方向の両側においてもセンターベゼル74の回動領域上から上シェル分割片103等の他の障害物を退避させる必要がある。
【0160】
上シェル分割片103を背面60b側へ移動させることにより、センターベゼル74との干渉を回避しようとすると、上シェル分割片103を、装置本体60の背面60b側へ形成する必要がある。しかし、上シェル分割片103は、カートリッジ本体10をカートリッジホルダ80へ装着する際に、カートリッジ本体10の背面10dに配設された後側ロック片33を挿入方向と反対の反矢印S方向へ押圧するものである。
【0161】
したがって、上シェル分割片103を装置本体60の背面60b側へ形成するほど、カートリッジ本体10を装置本体60の背面60b側へ深く挿入しなければ後側ロック片33のロックを解除できなくなる。そのため、カートリッジ本体10をユーザの手で挿入する場合にはユーザの手が装置本体60内に深く進入させる必要が生じ、使い勝手を損なうほか、装置本体60内の機構に手が触れる危険も増す。また、カートリッジ本体10を自動的に引き込む機構を組み込む場合にも、カートリッジ本体10の搬送距離が伸びることから、装置本体60の奥行き方向のサイズが長くなり、装置本体60の省スペース化を損なってしまう。
【0162】
そこで、ディスクチェンジャー装置3では、ベゼル71を、カートリッジ挿脱口70の長手方向両側を除くほぼ全面を開閉するセンターベゼル74と、カートリッジ挿脱口70の長手方向の両側を開閉する一対のサイドベゼル75,75とを備える。これにより、ベゼル71は、センターベゼル74の長手方向の長さを上シェル分割片103と干渉しない領域まで設けることで、上シェル分割片103との干渉を回避することができる。
【0163】
そして、センターベゼル74で覆われないカートリッジ挿脱口70の長手方向の両側をサイドベゼル75,75で覆う。図28に示すように、サイドベゼル75,75は、センターベゼル74に比してカートリッジ本体10の挿入方向への回動領域が短いため、上シェル分割片103を可能な限り前面60a側に設けることができる。
【0164】
これにより、ディスクチェンジャー装置3は、上シェル分割片103とベゼル71との干渉を回避しつつ、ロック機構30のロックを解除するために必要なカートリッジ本体10の挿入深さを短くし、ユーザの使い勝手の向上、装置本体60の小型化を図ることができる。
【0165】
[2−3.キャリーローダ]
次いで、キャリーローダ6について説明する。キャリーローダ6は、セレクトローダ5から排出された光ディスク2を引き込み、記録再生装置7に搬送すると共に、記録再生装置7から排出された光ディスク2をセレクトローダ5内の下シェル12内に押し戻すものである。キャリーローダ6は、図2、図3に示すように、装置本体60の背面60b側にセレクトローダ5と隣接して設けられている。
【0166】
キャリーローダ6は、外筐となるハウジング200内に、記録再生装置7とともに設けられている。このハウジング200は、セレクトローダ5のホルダカバー81に形成された延長支持片154,154にネジ止めされている。
【0167】
図29に示すように、キャリーローダ6は、光ディスク2の外周に当接してキャリーローダ6内への引き込み及び下シェル内への押し戻しを行うローディングアーム201と、ローディングアーム201を光ディスク2の搬送方向に駆動させるアーム駆動機構202とを有する。
【0168】
アーム駆動機構202は、ローディングアーム201をスライドさせる一対のスライドアーム203,204と、スライドアーム203,204を回動可能に支持するスライドデッキ205と、スライドデッキ205にスライド可能支持されると共にこのスライドデッキ205を介してスライドアーム203,204と係合するスライドプレート206と、スライドデッキ205とスライドプレート206との間に架け渡されスライドプレート206をスライドデッキ205に対して付勢するスライド付勢バネ207と、スライドプレート206から突設されたスライドカムピン250が係合するスライドカム溝252が形成されスライド付勢バネ207の付勢力に対向してスライドプレート206をスライドデッキ205に対してスライドさせるカムギヤ208と、カムギヤ208を回転可能に支持すると共にカムギヤ208を駆動する駆動モータ209が設けられたベースデッキ210とを備える。
【0169】
また、アーム駆動機構202は、ローディングアーム201に連結されローディングアーム201を昇降させる昇降デッキ211と、昇降デッキ211に設けられた昇降カム孔261にスライド可能に係合されると共にベースデッキ210にスライド自在に支持された昇降プレート212と、昇降プレート212とベースデッキ210との間に架け渡され昇降プレート212をカムギヤ208に対して付勢する昇降付勢バネ213とを備える。
【0170】
そして、キャリーローダ6は、アーム駆動機構202によってローディングアーム201を駆動することにより、図30に示すように、セレクトローダ5によって下シェル12から押し出された所定の光ディスク2を引き込む。また、キャリーローダ6は、図31に示すように、記録再生装置7によって情報信号の記録及び/又は再生が行われた光ディスク2を、下シェル12内に押し戻す。
【0171】
ローディングアーム201は、図32に示すように、スライドアーム203,204と係合する左右アームプレート220,221が連結されることにより形成されている。左右アームプレート220,221は、互いにネジ止めされるネジ孔222と、スライドアーム203又は204が係合する係合溝223とが設けられている。係合溝223は、ローディングアーム201のスライド方向となる図32中矢印C方向と直交する方向に形成されている。
【0172】
また、左右アームプレート220,221は、光ディスク2の外周面に当接する係止爪226が設けられるアーム部224が形成されている。アーム部224は、ローディングアーム201のスライド方向に延長され、先端に係止爪226が取り付けられている。
【0173】
係止爪226は、光ディスク2を傷つけることなく当接可能な樹脂材料からなり、左右アームプレート220,221のアーム部224に取り付けられることにより、互いに平行にスライド可能に支持される。この係止爪226は、図33(a),(b)に示すように、光ディスク2の外周面に対峙する内面側に、光ディスク2を押圧して下シェル12内に挿入する挿入面部227と、光ディスク2をキャリーローダ6内に引き込む引き込み面部228とが形成されている。
【0174】
挿入面部227は、係止爪226の先端側に設けられ、光ディスク2の外周面と略同一の曲率を有する円弧状に形成されることにより、光ディスク2の外周に面接触可能とされている。また、挿入面部227は、先端部が、光ディスク2の厚さよりも厚く形成され、下領域を下シェル12から挿排出される所定の光ディスク2を押圧する押圧部227aとし、上領域を当該所定の光ディスク2に隣接する他の光ディスク2を押圧して収納位置に規制する規制部227bとされている。
【0175】
引き込み面部228は、挿入面部227よりも係止爪226の基端側に設けられ、光ディスク2の非信号記録面となる上面と対峙する係止爪226の下面226a側に形成されている。引き込み面部228は、光ディスク2の外周面と略同一の曲率を有する円弧状に形成されることにより、光ディスク2の外周に面接触可能とされている。
【0176】
ローディングアーム201は、係止爪226が左右アームプレート220,221に取り付けられることにより挿入面部227同士が対峙されるとともに引き込み面部228同士が対峙される。そして、ローディングアーム201は、一対の挿入面部227によって光ディスク2の挿入方向後端側を左右均等に押圧し、光ディスク2を下シェル12内に挿入する(図31)。また、ローディングアーム201は、一対の引き込み面部228によって光ディスクの引き込み方向後端側を左右均等に押圧し、光ディスク2をキャリーローダ6内に引き込む(図30)。
【0177】
また、ローディングアーム201は、左右アームプレート220,221の側壁229,230に、ビス232が挿通され、このビス232が、後述する昇降デッキ211に形成されたスライドガイド孔260に挿通支持されることにより、昇降デッキ211に対して図29中矢印C方向及び反矢印C方向へスライド可能に支持されている。そして、ローディングアーム201は、昇降デッキ211が昇降されることにより、光ディスク2の面内方向と直交する高さ方向となる図29中矢印D方向へ昇降可能とされている。
【0178】
次いで、ローディングアーム201を駆動するアーム駆動機構202について説明する。アーム駆動機構202は、ローディングアーム201を光ディスク2の搬送方向、すなわち、装置本体60の前後方向にスライドさせるとともに、装置本体60の上下方向にも昇降させるものである。
【0179】
ローディングアーム201の左右アームプレート220,221に係合するスライドアーム203,204は、図34に示すように、細長い平板状の金属板からなり、長手方向の一端にスライドデッキ205にガイドされるガイドピン235が突設されている。また、スライドアーム203,204は、長手方向の他端に、左右アームプレート220,221に形成された係合溝223に挿通するスライドピン236が突設されている。さらに、スライドアーム203,204は、長手方向の略中央にスライドデッキ205に突設された回転軸238に挿通支持される挿通孔237が形成されている。
【0180】
スライドアーム203,204は、ガイドピン235がスライドデッキ205を介してスライドプレート206に係合され、スライドプレート206の前後方向へのスライドに応じて、回転軸238を支点にスライドピン236が回動される。これによりスライドアーム203,204は、スライドピン236が左右アームプレート220,221の係合溝223をスライドし、これにより左右アームプレート220,221を一体に矢印C方向及び反矢印C方向へスライドさせる。
【0181】
スライドデッキ205は、スライドアーム203,204及びスライドプレート206を支持するものであり、後述するベースデッキ210に固定されている。図35に示すように、スライドデッキ205は、スライドアーム203,204の挿通孔237に挿通する回転軸238と、スライドアーム203,204に突設されたガイドピン235が挿通するガイド孔239と、スライドプレート206の直進をガイドする直進ガイド溝240とを有する。
【0182】
回動軸238は、デッキ主面に開口された軸孔に裏面側から取り付けられることにより、デッキ主面上に突出し、スライドアーム203,204の挿通孔237を挿通することにより回動自在に支持している。また、ガイド孔239は、スライドアーム203,204のガイドピン235の回動軌跡に応じて円弧状に形成されている。そして、スライドアーム203,204は、ガイドピン235がガイド孔239を介して下方に突出し、スライドプレート206の係合孔247に係合する。
【0183】
直進ガイド溝240は、スライドプレート206の移動をガイドするものであり、装置本体60の前後方向に形成されている。スライドプレート206は、図36(a)に示すように、直進ガイド溝240を挿通したビス242が取り付けられることにより、スライドデッキ205に支持されると共に、直進ガイド溝240に沿ってスライド可能とされている。
【0184】
また、スライドデッキ205は、装置本体60の背面60b側の側縁近傍にスライドプレート206との間に架け渡されるスライド付勢バネ207の一端が係止されるバネ掛け片244が形成されている。さらに、スライドデッキ205は、カムギヤ208の回転位置を検出するギアスイッチ243が取り付けられるスイッチ取付片245が形成されている。
【0185】
スライドプレート206は、カムギヤ208の回転に応じてスライドされることにより、スライドアーム203,204を回動させるものである。図36(a)に示すように、スライドプレート206は、スライドデッキ205側の主面に、直進ガイド溝240に挿通されるビス242と、スライド付勢バネ207の他端が係止されるバネ掛け片246が形成されている。スライドプレート206は、ビス242が直進ガイド溝240を挿通することによりスライドデッキ205に前後方向となる図36(a)中矢印E方向及び反矢印E方向に亘ってスライド自在に支持されると共に、スライド付勢バネ207が架け渡されることにより、常時、スライドデッキ205に対して装置本体60の背面60b側となる反矢印E方向へ付勢されている。
【0186】
また、スライドプレート206は、スライドアーム203,204に突設され、スライドデッキ205のガイド孔239を介して突出されたガイドピン235が係合される係合孔247と、ベースデッキ210に突設されカムギヤ208を回転自在に支持するギヤ支軸270が挿通する軸挿通孔248が開口されている。
【0187】
係合孔247は、スライドアーム203,204に応じて2つ形成され、いずれも長孔状に形成されている。係合孔247にガイドピン235が挿通されることにより、スライドプレート206は、直進ガイド溝240に沿って直進移動されると、スライドアーム203,204を回動させ、これによりローディングアーム201の左右アームプレート220,221を矢印C方向及び反矢印C方向へスライドさせる。
【0188】
またスライドプレート206は、図36(b)に示すように、カムギヤ208に面する主面に、カムギヤ208に形成されたスライドカム溝252に係合するスライドカムピン250が設けられている。スライドカムピン250は、スライド付勢バネ207によってスライドプレート206が装置本体60の背面60b側となる反矢印E方向へ付勢されることにより、カムギヤ208のスライドカム溝252に摺動し、カムギヤ208の回転に応じて直進ガイド溝240に沿ってスライドされる。
【0189】
カムギヤ208は、スライドプレート206及び後述する昇降プレート212をスライドさせるものであり、図37(a)(b)に示すように、一方の主面にスライドプレート206をスライドさせるスライドカム溝252が形成され、他方の主面に昇降プレート212をスライドさせる昇降カム溝253が形成されている。
【0190】
カムギヤ208は、中央にベースデッキ210に突設されたギヤ支軸270が挿通する支軸挿通孔254が形成され、ギヤ支軸270によって回転自在に支持されている。また、カムギヤ208は、ベースデッキ210に取り付けられた駆動モータ209と減速ギヤを介して連結されている。
【0191】
カムギヤ208の一方の主面に形成されたスライドカム溝252は、スライドプレート206がスライド付勢バネ207によって装置本体60の背面60b側へ付勢されることにより、常時、外周側の側面に沿ってスライドカムピン250が摺動する。これにより、スライドカム溝252は、カムギヤ208の回転に応じてスライドカムピン250を介してスライドプレート206を直進ガイド孔240に沿ってスライドさせる。
【0192】
また、スライドカム溝252は、光ディスク2を下シェル12内に挿入する矢印C方向へスライドするローディングアーム201のスライドが妨害され、スライドアーム203,204及びスライドプレート206にスライド方向と反対方向の負荷が加わったとき、当該負荷を逃がすスライドリミッター機構255が形成されている。
【0193】
スライドリミッター機構255は、スライドカム溝252が、スライドカムピン250が摺動する外周面側の側面から支軸挿通孔254側にかけて、退避スペース256を設けることにより構成される。このスライドリミッター機構255については、後に詳述する。
【0194】
また、カムギヤ208の他方の主面に形成された昇降カム溝253は、後述するように、昇降プレート212が昇降付勢バネ213によって装置本体60の左側面60d側へ付勢されることにより、常時、外周側の側面に沿って昇降カムピン266が摺動する。これにより、昇降カム溝253は、カムギヤ208の回転に応じて昇降カムピン266を介して昇降プレート212をスライドさせる。なお、昇降カム溝253は、ローディングアーム201の下降動作が規制され、昇降デッキ211及び昇降プレート212に下降方向と反対方向の負荷が加わったとき、当該負荷を逃す昇降リミッター機構257が形成されている。
【0195】
昇降リミッター機構257は、昇降カム溝253が、昇降カムピン266が摺動する外周面側の側面から支軸挿通孔254側にかけて、退避スペース258を設けることにより構成される。この昇降リミッター機構257については、後に詳述する。
【0196】
次いで、昇降デッキ211について説明する。昇降デッキ211は、ローディングアーム201を昇降させるものであり、ベースデッキ210に昇降可能に支持されるとともに、昇降プレート212に係合し、昇降プレート212のスライドに応じて昇降操作される。
【0197】
昇降デッキ211は、四辺の側壁からなる略矩形の枠体をなし、装置本体60の前後方向と平行な相対向する一対の側壁211aには、ローディングアーム201の左右アームプレート220,221に突設されたビス232が挿通するスライドガイド孔260が形成されている。スライドガイド孔260は、側壁211aの長手方向に平行に形成され、ビス232が挿通することにより、ローディングアーム201の矢印C方向へのスライドをガイドする。また、昇降デッキ211は、スライドガイド孔260にビス232が挿通することにより、ローディングアーム201を一体に昇降させる。
【0198】
また、昇降デッキ211は、側壁211aと直交する一対の側壁211bに、昇降プレート212に係合する昇降カム孔261と、ベースデッキ210に支持される昇降ガイド孔262が形成されている。
【0199】
昇降カム孔261は、側壁211bの長手方向に対して斜行し、昇降プレート212に突設された昇降カム凸部267が内面側から挿通する。これにより、昇降デッキ211は、昇降プレート212がスライドされると、昇降カム凸部267が昇降カム孔261をスライドすることにより装置本体60の上下方向に昇降操作される。
【0200】
昇降ガイド孔262は、側壁211bの長手方向と直交する装置本体60の上下方向に形成され、ベースデッキ210に突設された昇降ガイド凸部272が内面側から挿通する。これにより、昇降デッキ211は、昇降プレート212のスライドに応じて昇降操作されると、昇降ガイド凸部272が昇降ガイド孔262をスライドすることにより、装置本体60の上下方向に昇降する。
【0201】
昇降デッキ211を昇降させる昇降プレート212は、ベースデッキ210にスライド可能に支持されると共に、カムギヤ208によってスライドされることにより昇降デッキ211を昇降するものである。この昇降プレート212は、ベースデッキ210にスライド可能に支持されるスライドガイド溝265と、カムギヤ208の昇降カム溝253に係合する昇降カムピン266と、昇降デッキ211の昇降カム孔261に挿通する昇降カム凸部267とが形成されている。
【0202】
スライドガイド溝265は、昇降デッキ211の側面211bと平行な長孔状に形成され、装置本体60の前面60a側の側縁の近傍及び背面60b側の側縁の近傍に形成されている。昇降プレート212は、ビスがスライドガイド溝265を挿通してベースデッキ210に取り付けられることにより、ベースデッキ210にスライドガイド溝265に沿ってスライド可能に支持される。
【0203】
昇降カムピン266は、カムギヤ208の昇降カム溝253に係合することにより、昇降カム溝253の外周側の側壁に沿って摺動し、これにより昇降プレート212をスライドさせるものである。昇降カムピン266は、昇降プレート212とベースデッキ210との間に昇降付勢バネ213が架け渡され、昇降プレート212が常時装置本体60の左側面60d側となる図29中矢印F方向へスライド付勢されることにより、昇降カム溝253の側壁に当接されている。
【0204】
昇降カム凸部267は、昇降プレート212の装置本体60の前面60a側の側縁及び背面60b側の側縁よりそれぞれ上方に折り曲げ形成されたカム壁268外面に形成されている。昇降カム凸部267は、昇降デッキ211の側面211bに形成された昇降カム孔261に挿通することにより、昇降プレート212のスライドに応じて昇降デッキ211を昇降させる。
【0205】
昇降プレート212をスライド可能に支持するベースデッキ210は、主面上にカムギヤ208を回転自在に支持するギヤ支軸270と、スライドガイド溝265を挿通し昇降プレート212をスライド可能に支持する複数のビス(図示せず)と、昇降プレート212を付勢する昇降付勢バネ213の一端が係止されるバネ係止片(図示せず)とが形成されている。また、ベースデッキ210は、主面上の一コーナ部に駆動モータ209が配設されている。
【0206】
また、ベースデッキ210は、装置本体60の前面60a側及び背面60b側に側壁271が立ち上がり形成されている。側壁271は、昇降デッキ211の側面211bに形成された昇降ガイド孔262に挿通する昇降ガイド凸部272が形成されている。また、側壁271は、ハウジング200に接続されるハウジング接続片273が形成されている。
【0207】
このようなアーム駆動機構202は、カムギヤ208のスライドカム溝252及び昇降カム溝253によって、スライドプレート206及び昇降プレート212がスライドされることにより、ローディングアーム201を矢印C方向へスライドさせると共に、矢印D方向へ昇降させる。これにより、ローディングアーム201は、図38(a)〜(c)に示すように、光ディスク2を下シェル12からキャリーローダ6内に引き込んで記録再生装置7に引き渡し、また、図39(a)〜(c)に示すように、記録再生装置7から排出された光ディスク2を下シェル12内に押し戻す。
【0208】
具体的に、ローディングアーム201は、図40に示すように、セレクトローダ5より退避された引き込み・待機位置と、ディスク押出機構85によって下シェル12より押し出された光ディスク2を把持するディスク把持位置と、下シェル12内へ光ディスク2を押し戻すディスク押し戻し位置とに亘ってスライドされ、また、各位置において、搬送する光ディスク2に当接可能な下側と、搬送する光ディスク2と離間する上側とに亘って昇降される。
【0209】
引き込み・待機位置は、ローディングアーム201がセレクトローダ5から退避するとともに、記録再生装置7との間で光ディスク2の受け渡しを行う位置である。ディスク把持位置は、ローディングアーム201がディスク挿排出位置に下降された下シェル12内に進入し、ディスク押出機構85によって押し出された光ディスク2を、係止爪226の引き込み面部228で把持する位置であり、収納位置に支持されている他の光ディスク2とは離間した位置である。ディスク押し戻し位置は、ローディングアーム201が記録再生装置7から排出された光ディスク2を係止爪226の挿入面部227で押圧し、下シェル12の収納位置まで押し戻す位置である。ディスク押し戻し位置では、ローディングアーム201によって挿排出された光ディスク2に隣接して積層する光ディスク2も押圧される。
【0210】
そしてアーム駆動機構202は、カムギヤ208の回転に連動してスライドプレート206及び昇降プレート212がスライドされる。これによりローディングアーム201は、図40に示すように、引き込み・待機位置、ディスク把持位置及びディスク押し戻し位置の各位置と、各位置の上側及び下側との組合せが一義的に定まり、所定の搬送軌道を描くこととなる。
【0211】
ローディングアーム201は、ディスクカートリッジ1の挿入を待機している状態では、把持位置上側で停止されている。ローディングアーム201は、ディスクチェンジャー装置3の電源が投入された初期状態にあるときに当該位置に駆動され、ディスクカートリッジ1の挿入を待機する中立状態とされる。ディスクカートリッジ1の挿入が検出されると、ローディングアーム201は、把持位置下側へ下降して引き込み・待機位置下側を経由して引き込み・待機位置上側へ上昇される。これにより、ローディングアーム201は、下シェル12の昇降領域から退避し、下シェル12がディスク挿排出位置に下降されるまで待機する。
【0212】
下シェル12がディスク挿排出位置に下降すると、ローディングアーム201は、押し戻し位置を経由して、再度、把持位置上側へ駆動される。そして、ローディングアーム201は、下シェル12から所定の光ディスク2が押し出されると、把持位置下側へ下降され、係止爪226の引き込み面部228で光ディスク2の外周面を把持する。
【0213】
ローディングアーム201は、引き込み・待機位置下側にスライドされることにより、光ディスク2をキャリーローダ6内に引き込み、記録再生装置7の搬送機構に引き渡す。その後、ローディングアーム201は、引き込み・待機位置上側に上昇され、光ディスク2から離間する。
【0214】
記録再生装置7によって光ディスク2への記録又は再生が終了し、搬送機構によって光ディスク2が排出されると、ローディングアーム201は、引き込み・待機位置下側に下降し、挿入面部227で光ディスク2の外周面を把持する。次いで、ローディングアーム201は、押し戻し位置下側までスライドされることにより、光ディスク2を下シェル12の収納位置へ押し戻す。
【0215】
その後、ローディングアーム201は、把持位置下側へスライドし、把持位置上側へ上昇された後、押し戻し位置上側へスライドされる。これにより、ローディングアーム201は、搬送した光ディスク2に隣接して収納されている他の光ディスク2を収納位置に押圧し、光ディスク2の挿排出工程において揺動した他の光ディスク2を収納位置へ戻すことができる。したがって、上下シェル11,12が再度突き合わされたとき、他の光ディスク2の位置ずれによる支軸16と他の光ディスク2の中心孔2aとの干渉を防止することができる。なお、かかるローディングアーム201の2度押し工程は、カムギヤ208のスライドカム溝252及び昇降カム溝253の形状、あるいはカムギヤ208の反転、正転を制御することにより、2度以上行うようにしてもよい。
【0216】
光ディスク2の2度押し後、ローディングアーム201は、把持位置上側へスライドされ中立状態とされ、次の搬送動作に備える。
【0217】
ここで、記録再生装置7について説明する。ベースデッキ210の下に配設されている記録再生装置7は、公知のいわゆるスロットインタイプの記録再生装置を用いることができ、ハウジング200の載置突片280上に位置決めされている。記録再生装置7は、光ディスク2に対して情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行うものであり、ローディングアーム201によって引き込まれる光ディスク2を受け取り装置本体内に搬送し、また、ローディングアーム201に光ディスク2を引き渡す搬送機構と、装置本体内に搬送された光ディスク2を回転自在にチャッキングするチャッキング機構と、光ディスク2に対して情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行う光ピックアップ機構とを備える。
【0218】
搬送機構は、光ディスク2を搬送する複数の搬送アームを備え、記録再生装置7がキャリーローダ6と相互に位置合わせされることにより、ローディングアーム201との間で、光ディスク2の受取り及び引渡しが可能な高さで回動される。なお、搬送機構は、搬送アームを用いる構成以外にも、搬送ローラを用いる構成としてもよい。
【0219】
チャッキング機構は、搬送機構によって引き込まれた光ディスク2を支持するディスクテーブルと、ディスクテーブルを回転駆動するスピンドルモータとを備える。ディスクテーブルは、光ディスク2の中心孔2aに挿通する係合凸部が形成されている。また、ディスクテーブルは、昇降可能に支持され、光ディスク2が搬送されると係合凸部が中心孔2aを挿通することにより光ディスク2を保持する。なお、チャッキング機構は、ディスクテーブルとともに光ディスク2を回転可能に挟持するチャッキングプレートを用いる構成としてもよい。
【0220】
光ピックアップ機構は、光源となる半導体レーザから出射された光ビームを対物レンズにより集光させて光ディスク2の信号記録面に照射し、この光ディスク2の信号記録面で反射された戻りの光ビームを受光素子等からなる光検出器により検出する光学ブロックが形成されたピックアップベースを有し、光ディスク2に対する信号の書き込み又は読み出しを行うようになされている。
【0221】
また、光ピックアップ機構は、ピックアップベースがピックアップ移動機構によって支持されることにより、光ディスク2の半径方向に移動可能とされている。ピックアップ移動機構は、ピックアップベースを光ディスク2の半径方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸と、これら一対のガイド軸に支持されたピックアップベースを光ディスク2の半径方向に移動させるリードスクリューを備えたステッピングモータを用いたピックアップ移動機構とを有している。
【0222】
なお、記録再生装置7は、上述した構成以外にも、光ディスク2に対して記録再生を行うあらゆる記録再生装置を用いることができる。
【0223】
[2−4.ディスクチェンジャー装置の動作]
次いで、ディスクチェンジャー装置3の動作について説明する。先ず、ディスクカートリッジ1の挿入待機状態におけるディスクチェンジャー装置3の各部の状態について説明し、次いで、ディスクカートリッジ1が挿入されカートリッジ本体10から光ディスク2を排出して記録再生装置7内へ搬送する工程について説明し、次いで、記録再生装置7から光ディスク2を排出してカートリッジ本体10内へ搬送しディスクカートリッジ1を排出する工程について説明する。
【0224】
ディスクカートリッジ1の挿入待機状態においては、フロントパネル63は、カートリッジ挿脱口70がベゼル71によって閉塞されている。また、セレクトローダ5は、第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158に設けられた初期位置検出孔(図示せず)に、ベース板155に配設された初期位置検出スイッチ(図示せず)が挿通することにより、ディスクカートリッジ1の挿入を待機する初期位置が検出され当該初期位置に停止されている。このとき、カムプレート82は、第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158に咬合しているギヤ連結部82aを介して、装置本体60の背面60b側へスライドされている。
【0225】
これにより、カートリッジホルダ80は、下ホルダ91が上昇され、係合カムピン113が上ホルダ90のホルダ係合片100に挿通することにより、上下ホルダ90,91が係合されている。また、カートリッジホルダ80は、ホルダカバー81との間に架け渡されている引っ張りコイルバネ95によって上ホルダ90が付勢されることにより、装置本体60の前面60a側に上下ホルダ90,91が一体にスライドされ、カートリッジ挿脱位置に保持されている。
【0226】
なお、カートリッジホルダ80は、下ホルダ91が上昇し上下ホルダ90,91が係合されることにより、下ホルダ91に設けられたシェル位置決めピン117の押下片126が上ホルダ90によって押し下げられる。これにより、シェル位置決めピン117は、昇降ブロック125がコイルバネ129の付勢力に対抗して押し下げられ、挿通ピン124が下ホルダ91のピン孔123より退避されている。
【0227】
また、ホルダカバー81は、ホルダラッチ142がラッチバネ145によって矢印L方向へ回動され、鉤部142aが上ホルダ90のホルダ保持片102のスライド領域上に位置されている。また、高さ調整プレート120は、ベース板155に立設された立壁165に係止されているバネ166に背面60b側へ付勢されるとともに、調整スライド板161のカムピン161aが表面カムギヤ160の第2のカム溝160aによってガイドされることにより、装置本体60の前面60a側へスライドされ、調整バネ162が背面60b側へ回動されていることにより、装置本体60の背面60b側へスライドされている。
【0228】
また、ディスク押出機構85は、カムピン177が表面カムギヤ160の第3のカム溝160bによってガイドされることにより、レバースライダ169が反矢印B方向へスライドされている。これにより、押出レバー167は、回動操作片175が操作凹部176の当接面178に押圧され、下シェル12の昇降領域から退避する反矢印P方向へ回動されている。
【0229】
また、キャリーローダ6は、ディスクカートリッジ1の挿入待機状態において、カムギヤ208に設けられた初期位置検出孔(図示せず)に、ベースデッキ210に配設された初期位置検出スイッチ(図示せず)が挿通することにより、ディスクカートリッジ1の挿入を待機する初期位置が検出され当該初期位置に停止されている。このとき、スライドプレート206は、スライドデッキ205との間に架け渡されているスライド付勢バネ207に付勢されると共に、スライドカムピン250がカムギヤ208のスライドカム溝252にガイドされることにより、反矢印E方向へスライドされている。これにより、ローディングアーム201は、スライドプレート206によってスライドアーム203,204が回動され、装置本体60の前面60a側となる図32中矢印C方向へスライドされている。
【0230】
また、昇降プレート212は、昇降カムピン266がカムギヤ208の昇降カム溝253によってガイドされることにより、ベースデッキ210との間に架け渡されている昇降付勢バネ213の付勢力に対抗して、図29中反矢印F方向へスライドされている。そして、昇降デッキ211は、昇降カム孔261を昇降プレート212の昇降カム凸部267が反矢印F方向へスライドすることにより、昇降ガイド孔262がベースデッキ210の昇降ガイド凸部272にガイドされて、上昇されている。昇降デッキ211が上昇されることにより、ローディングアーム201は、図29中矢印D方向へ上昇されている。
【0231】
これにより、ローディングアーム201は、図40に示す、把持位置上側に駆動され、ディスクカートリッジ1の挿入を待機する。中立状態とされている。
【0232】
次いで、ディスクチェンジャー装置3にディスクカートリッジ1が挿入され、光ディスク2を記録再生装置7へ搬送する工程について説明する。ディスクカートリッジ1は、ユーザの手やロボットアームによって、カートリッジ本体10の前面10a側からカートリッジ挿脱口70に挿入される。ディスクカートリッジ1は、センターベゼル74を押圧して装置本体60の背面60b側へ回動させるとともに、センターベゼル74を介して、サイドベゼル75も背面60b側へ回動させる。
【0233】
このとき、ディスクチェンジャー装置3は、サイドベゼル75の背面60b側への回動長さが短くされていることから、カートリッジ挿脱位置に保持されているカートリッジホルダ80の上ホルダ90に形成されている上シェル分割片103と干渉することなく、カートリッジ挿脱位置を可能な限り前面60a側に設けることができる。
【0234】
ディスクカートリッジ1が装置本体60の背面60b側へ挿入されることにより、カートリッジホルダ80は、上シェル分割片103及び上シェル分割片103と平行に隣接する下シェル分割片115が、カートリッジ本体10の分割溝47に進入する。また、カートリッジホルダ80は、カートリッジ本体10の前面10aが上ホルダ90の後側面97に当接すると、引っ張りコイルバネ95の付勢力に対抗して、装置本体60の背面60b側の挿入位置へ上下ホルダ90,91が一体にスライドされる。このとき、カートリッジホルダ80は、上ホルダ90のカムピン101がホルダカバー81の上部カムスリット140にガイドされると共に、下ホルダ91の係合カムピン113がホルダカバー81の下部カムスリット141及びカムプレート82に形成された昇降ガイド溝150の水平ガイド部150aにガイドされる。
【0235】
カートリッジホルダ80は、カートリッジ本体10の前面10aが上ホルダ90の後側面97に当接すると、後側面97に折り曲げ形成されているロック解除片99がロック解除孔22に進入し、前側ロック片31の押圧面部31bを押圧する。これにより、前側ロック片31は、コイルバネ35の付勢力に対抗して図6中反矢印R方向へ回動され、係合部31cが下シェル12の被係合凹部56から外れる。
【0236】
また、カートリッジホルダ80は、カートリッジ本体10が装置本体60の背面60b側へ挿入されると、上シェル分割片103が分割溝47の延長線上にスライドされている後側ロック片33の押圧片部33bを押圧する。これにより、後側ロック片33は、コイルバネ38の付勢力に対抗して図6中反矢印S方向へスライドされ、係合部33c下シェル12の被係合凹部57から外れる。これにより、カートリッジ本体10は、上下シェル11,12に分割可能となる。
【0237】
また、カートリッジホルダ80は、上ホルダ90のホルダ保持片102がホルダラッチ142の鉤部142aに係止され、引っ張りコイルバネ95の付勢力に対向して装置本体60の背面60b側の挿入位置に留め置かれる。なお、このとき、カートリッジホルダ80は、下ホルダ91の係合カムピン113が下側水平部141aから予備水平部141cを経て、下側垂直部141b上に位置される。また、このとき、カートリッジホルダ80は、ホルダカバー81の一方の支持側面部134に設けられたカートリッジ挿入検出スイッチSW1を押圧し(図18)、ディスクカートリッジ1の挿入が検出される。
【0238】
なお、カートリッジホルダ80は、上ホルダ90の支持面部93に設けられた上シェル保持凸部98が上シェル11の凹部21に係合するとともに、上部側面部94,94に設けられた押圧片104によって上シェル11の分割壁32を押圧する。また、カートリッジホルダ80は、下ホルダ91の下部側面部107に設けられた押圧片131によって下シェル12の左右ディスクホルダ41,42を押圧する。これにより、カートリッジホルダ80は、上下シェル11,12のがたつきを防止している。
【0239】
カートリッジ挿入検出スイッチSW1によってディスクカートリッジ1の挿入が検出されると、第1の駆動モータ156が駆動し、第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158が回転される。第1の裏面ギヤ157及び第2の裏面ギヤ158が回転すると、ギヤ連結部82aがガイド長孔159aに沿ってスライドされる。これにより、左右一対のカムプレート82は、同期して装置本体60の前面60a側へスライドされる。
【0240】
カムプレート82が前面60aへスライドされると、下ホルダ91は、係合カムピン113が、昇降ガイド溝150の水平ガイド部150aから昇降ガイド部150bに沿って摺動されることにより、下降される。このとき、下ホルダ91は、係合カムピン113が、ホルダカバー81の下部カムスリット141に形成された下側垂直部141bにガイドされる。これにより、下ホルダ91は、係合カムピン113が上ホルダ90のホルダ係合片100のスリット100aから外れ、上ホルダ90と分割される。また、上ホルダ90は挿入位置に保持されている。
【0241】
上シェル11は、上ホルダ90の上シェル分割片103がカートリッジ本体10の分割溝47に進入することにより、分割壁32の下端面が支持されている。また、下シェル12は、下ホルダ91の下シェル分割片115が分割溝47に進入することにより、左右ディスクホルダ41,42に形成された進入溝43の上端面が支持されている。これにより、上シェル11は上ホルダ90に支持されることにより挿入位置に保持され、下シェル12は下ホルダ91に支持されることにより下ホルダ91が下降されるとディスク挿排出位置へ移動され、上下シェル11,12は分割される。
【0242】
下ホルダ91は、予めユーザによって指定された所定の光ディスク2が、押出レバー167の回動軌跡上に位置するディスク挿排出位置まで下降される。これにより下シェル12は、所定の光ディスク2の選別及び挿排出が可能となる。そして、下ホルダ91がディスク挿排出位置に下降されると、第2の駆動モータ163が駆動され、表面カムギヤ160が回転される。これにより、調整スライド板161は、カムピン161aが表面カムギヤ160の第2のカム溝160aを摺動することにより、背面60b側へスライドし、調整バネ162を介して高さ調整プレート120を前面60aへスライドさせる。高さ調整プレート120は、ディスク挿排出位置に応じて形成された調整スリット121を下ホルダ91の高さ規制片116に係合させ、所定の光ディスク2がディスク挿排出位置に位置するように下ホルダ91の高さを精度よく規制する(図20)。
【0243】
なお、下ホルダ91は、カムプレート82によってディスク挿排出位置へ下降されることにより上ホルダ90と離間すると、シェル位置決めピン117の押下片126から上ホルダ90が離間するため、昇降ブロック125がコイルバネ129によって矢印U方向へスライドされる(図24)。これにより、下ホルダ91は、挿通ピン124がピン孔123より突出して、下シェル12の位置決め孔45に挿通する。したがって、下ホルダ91は、下シェル12の位置決めを図ることができる。
【0244】
また、カートリッジ挿入検出スイッチSW1によってディスクカートリッジ1の挿入が検出されると、キャリーローダ6は、駆動モータ209によってカムギヤ208が回転され、スライドプレート206及び昇降プレート212がスライドされ、ローディングアーム201を把持位置上側から下降させ、引き込み・待機位置上側へ移動させる。これにより、キャリーローダ6は、ローディングアーム201が下ホルダ91の昇降領域から退避され、下ホルダ91をディスク挿排出位置へ搬送することが可能となる。
【0245】
高さ調整プレート120による下ホルダ91の位置規制が行われた後、ローディングアーム201は、引き込み・待機位置上側から、下降し、押し戻し位置を経由して、把持位置上側まで移動される。
【0246】
ローディングアーム201が把持位置上側まで移動された後、さらに第2の駆動モータ163によって表面カムギヤ160が回転されることにより、第3のカム溝160bに係合するカムピン177が摺動し、レバースライダ169が図24中矢印B方向へスライドされる。これにより、押出レバー167は、回動操作片175がレバースライダ169の操作凹部176に形成された一方の当接面178に押圧されて、図24及び図25中矢印P方向へ回動される。
【0247】
押出レバー167は、下ホルダ91に支持された下シェル12のディスク押出口51から、ディスク挿排出位置にある所定の光ディスク2を支持している支持溝48のガイド部48cへ進入し、当該所定の光ディスク2を押し出していく。このとき、押出レバー167は、図26(a)に示すように、ガイド部48cが押出レバー167の回動軌跡と同一の軌跡を有する円弧状に形成されているため、ガイド部48cに支持されながら回動される。したがって、押出レバー167は、回動中に支持溝48から外れることがない。
【0248】
図26(b)に示すように、押出レバー167は、レバースライダ169がベース板155に実装されたレバー位置検出スイッチSW2を押圧するまでスライドされることにより、光ディスク2を下シェル12のディスク挿排出口50から中心孔2aが排出されるまで押し出す。これにより、光ディスク2は、ローディングアーム201によって把持可能な位置まで排出される。
【0249】
ここで、ディスクカートリッジ1は、所定の光ディスク2がディスク挿排出位置にくるまで下シェル12が下降されている。したがって、例えば最も上の支持溝48に収納されている光ディスク2を排出する場合は、下シェル12は、当該最も上に収納されている光ディスク2の中心孔2aから上シェル11の支軸16が退避する位置まで下降される。一方、下シェル12は、例えば中段や下段の支持溝48に収納されている光ディスク2を排出する場合は、当該中段や下段の光ディスク2の中心孔2aから支軸16が退避する位置まで下降される。
【0250】
したがって、当該所定の光ディスク2よりも上方に収納されている他の光ディスク2の中心孔2aには支軸16が挿通されている。これにより、支軸16は、押出レバー167による所定の光ディスク2の排出に伴って他の光ディスク2が排出される友連れ排出を防止すると共に、セレクトローダ5内に収納中に他の光ディスク2の揺動を規制し、再度、上下シェル11,12が突き合わされる際に、他の光ディスク2の中心孔2a周辺部と支軸16との衝突を防止できる。
【0251】
なお、本実施例では、支軸16を所定の光ディスク2の中心孔2aから確実に退避させると共に、支軸16と押出レバー167との干渉を防止するために、支軸16は、挿排出される所定の光ディスク2の上に隣接する他の光ディスク2の中心孔2aからも退避し、3枚以上、上に積層して収納されている他の光ディスク2の中心孔2aに挿通している。また、所定の光ディスク2の下方に積層されている他の光ディスク2の中心孔2aからも支軸16が退避するが、他の光ディスク2は、セルフロックバネ53によって所定の収納位置に規制されている。
【0252】
光ディスク2が押出レバー167によってディスク排出口50より押し出された後、ローディングアーム201は、把持位置上側より下降され、係止爪226の下面226aに形成された引き込み面部228によって光ディスク2の外周面の押出方向後側を把持する。このとき、係止爪226は、引き込み面部228が光ディスク2の外周と略同じ曲率を有するため、光ディスク2の外周に沿って円弧状に当接する。次いで、ローディングアーム201は、引き込み・待機位置下側まで移動されることにより、光ディスク2をキャリーローダ6内に引き込み、記録再生装置7の搬送機構へ引き渡す。その後、ローディングアーム201は、引き込み・待機位置上側へ上昇され、停止する。これにより、ローディングアーム201は、光ディスク2と離間され、記録再生装置7による光ディスク2の回転駆動を阻害することがない。
【0253】
搬送機構は、ローディングアーム201によって記録再生装置7の奥まで光ディスク2が挿入されると、後は記録再生装置7内に光ディスク2を自動的に引き込んでいく。記録再生装置7は、光ディスク2を引き込んだ後、チャッキング機構によって光ディスク2を回転自在に支持し、光ピックアップ機構によって光ディスク2に対して情報信号の書き込み及び/又は読み出しを行う。
【0254】
ここで、ローディングアーム201は、昇降プレート212が矢印F方向へスライドされることにより、昇降デッキ211が下降され、これにより把持位置上側から係止爪226によって光ディスク2の外周を把持する把持位置下側へ移動する。このとき、ローディングアーム201のアーム駆動機構202は、係止爪226の下面が光ディスク2の主面に当接した後、さらに昇降プレート212がスライドされると、カムギヤ208の昇降カム溝253に設けられた昇降リミッター機構257によって、ローディングアーム201による光ディスク2への過剰な押圧を防止している。
【0255】
すなわち、アーム駆動機構202は、係止爪226と光ディスク2とが当接すると、昇降デッキ211の下降及び昇降プレート212のスライドが規制されることから、カムギヤ208の回転に応じて昇降プレート212の昇降カムピン266が昇降カム溝253の側面を摺動することができなくなる。そこで、昇降リミッター機構257は、昇降カムピン266が摺動する外周面側の側面から支軸挿通孔254側にかけて、退避スペース258を設け、昇降カムピン266が退避可能としている。
【0256】
退避スペース258に昇降カムピン266が退避することにより、カムギヤ208を回転させる駆動モータ209の駆動力は、昇降プレート212とベースデッキ210との間に架け渡された昇降付勢バネ213が伸張することにより吸収され、昇降プレート212及び昇降デッキ211を介してローディングアーム201及び光ディスク2に伝達されにくくなる。したがって、昇降リミッター機構257は、ローディングアーム201や光ディスク2に過剰な負荷がかかることによるローディングアーム201の破損や、光ディスク2の傷つきや変形を防止できる。
【0257】
次いで、記録再生装置7による情報信号の書き込み又は読み出しが終了した光ディスク2を下シェル12へ押し戻し、ディスクカートリッジ1をディスクチェンジャー装置3から排出する工程について説明する。
【0258】
光ピックアップ機構による情報信号の書き込み又は読み出しが終了した光ディスク2は、チャッキング機構とのチャッキングが解除され、搬送機構により記録再生装置7より排出される。このとき、光ディスク2は、中心孔2aが記録再生装置7より外方に露出する位置まで排出され、係止爪226の挿入面部227が下シェル12への挿入方向後側に当接可能とされている。
【0259】
また、このときまでに、セレクトローダ5は、第2の駆動モータ163及び表面カムギヤ160が所定量だけ反転され押出レバー167が反矢印P方向へ回動復帰し、下シェル12から退避されている。
【0260】
光ディスク2が記録再生装置7から排出されると、キャリーローダ6は、カムギヤ208が駆動され、ローディングアーム201を引き込み・待機位置上側から引き込み・待機位置下側へ下降させる。これにより、ローディングアーム201は、係止爪226の挿入面部227によって光ディスク2の下シェル12への挿入方向後側を把持する。次いで、ローディングアーム201は、押し戻し位置下側までスライドされ、光ディスク2を下シェル12の収納位置へ押し戻す。
【0261】
このとき、図43に示すように、ローディングアーム201は、挿入面部227の下領域における押圧部227aで光ディスク2を押圧し、挿入面部227の上領域における規制部227bで当該光ディスク2の一枚上に収納されている他の光ディスク2を収納位置に押圧する。上述したように、下シェル12から挿排出される所定の光ディスク2の上に隣接して収納されている他の光ディスク2は、支軸16が挿通されておらず、セルフロックバネ53によってのみ収納位置へ規制されている。したがって、他の光ディスク2は、万が一、所定の光ディスク2が下シェル12から押し出される際に一緒に押し出される友連れ排出が生じた場合や、所定の光ディスク2の搬送中等に収納位置から揺動した場合には、規制部227bによって所定の収納位置に規制される。
【0262】
さらに、ローディングアーム201は、押し戻し位置下側にスライドされた後、把持位置下側及び把持位置上側を経由して、押し戻し位置上側へスライドされる。これにより、ローディングアーム201は、押圧部227aによって所定の光ディスク2の上に隣接する他の光ディスク2を押圧し収納位置へ規制するとともに、規制部227bによって当該他の光ディスク2の上に隣接する他の光ディスク2を押圧し収納位置へ規制する。かかる2度押し工程を経ることにより、挿排出された所定の光ディスク2より2枚上まで収納された他の光ディスク2が収納位置へ規制されることとなり、所定の光ディスク2より上方に収納され支軸16が退避した他の光ディスク2の位置規制が行われる。
【0263】
なお、かかるローディングアーム201の2度押し工程は、カムギヤ208のスライドカム溝252及び昇降カム溝253の形状、あるいはカムギヤ208の反転、正転を制御することにより、2度以上行うようにしてもよい。また、セレクトローダ5の第1の駆動モータ156を制御することにより、第1、第2の裏面ギヤ157,158及びカムプレート82の駆動を制御することにより、下ホルダ91の上昇とローディングアーム201による押し戻しを交互に行い、所定の光ディスク2の下方に位置する他の光ディスク2の位置規制を行うようにしてもよい。
【0264】
光ディスク2を下シェル12内に押し戻した後、ローディングアーム201は、把持位置上側に後退し、中立状態とされて停止する。ローディングアーム201が把持位置上側に後退し、セレクトローダ5より退避すると、セレクトローダ5は、第2の駆動モータ163及び表面カムギヤ160がさらに反転され、調整スライド板161が前面60a側へスライドし、高さ調整プレート120を背面60b側へスライドさせる。これにより、高さ調整プレート120の調整スリット121と下ホルダ91の高さ規制片116との係合が解除され、下ホルダ91が上昇可能となる。
【0265】
次いで、セレクトローダ5は、第1の駆動モータ156及び第1、第2の裏面ギヤ157,158が駆動され、カムプレート82が装置本体60の背面60b側へスライドされる。
【0266】
カムプレート82が背面60b側へスライドされると、下ホルダ91は、係合カムピン113が昇降ガイド溝150の昇降ガイド部150bから水平ガイド部150aに沿って摺動されることにより上昇される。このときも、下ホルダ91は、係合カムピン113が、ホルダカバー81の下部カムスリット141に形成された下側垂直部141bにガイドされる。これにより、下ホルダ91は、係合カムピン113が上ホルダ90のホルダ係合片100のスリット100aに進入し、上ホルダ90と結合される。
【0267】
上下ホルダ90,91が結合されることにより、シェル位置決めピン117は、押下片126が上ホルダ90に押下されることにより、コイルバネ129の付勢力に対抗して昇降ブロック125が昇降軸128を下降する。これにより、シェル位置決めピン117は、挿通ピン124が下シェル12の位置決め孔45及び下ホルダ91のピン孔123より退避される。
【0268】
上下ホルダ90,91が結合されることにより、上下ホルダ90,91に支持されている上下シェル11,12も結合される。上下ホルダ90,91の結合後、さらにカムプレート82が背面60b側へスライドされることにより、ホルダラッチ142は、バネ係止片部142cがカムプレート82のラッチ押圧部152によって押圧されて、反矢印L方向へ回動される。これにより、カートリッジホルダ80は、引っ張りコイルバネ95によって装置本体60の前面60a側へスライドされ、カートリッジ挿脱位置へ移動する。
【0269】
カートリッジホルダ80がカートリッジ挿脱位置へ移動されることにより、カートリッジ本体10は、背面10b側がカートリッジ挿脱口70より外方に突出され、引き出し可能となる。そして、カートリッジ本体10は、カートリッジホルダ80より引き出されることにより、上ホルダ90に設けられたロック解除片99がロック解除孔22より退避する。したがって、前側ロック片31は、コイルバネ35の付勢力を受けて矢印R方向へ回動し、係合部31cを下シェル12の被係合凹部56に係合させる。また、カートリッジ本体10は、カートリッジホルダ80より引き出されることにより、上ホルダ90の上シェル分割片103が後側ロック片33の押圧片部33bより離間する。したがって、後側ロック片33は、コイルバネ38の付勢力を受けて矢印S方向へスライドし、係合部33cを下シェル12の被係合凹部57に係合させる。これにより、カートリッジ本体10は、上下シェル11,12がロックされる。
【0270】
なお、キャリーローダ6は、光ディスク2を下シェル12に押し戻す際に、光ディスク2が収納元となる支持溝48ではなく、隣接する支持溝48に挿入するなど、ローディングアーム201の押し戻し位置へのスライドが規制され、スライドアーム203,204及びスライドプレート206にスライド方向と反対方向の負荷が加わったとき、当該負荷を逃がすスライドリミッター機構255が形成されている。
【0271】
上述したように、スライドリミッター機構255は、スライドカム溝252が、スライドカムピン250が摺動する外周面側の側面から支軸挿通孔254側にかけて、退避スペース256を設けることにより構成される。
【0272】
図41(a),(b)に示すように、スライドリミッター機構255は、ローディングアーム201のスライドが規制されていない状態においては、スライドプレート206のスライドカムピン250がカムギヤ208のスライドカム溝252の外周側の側面に摺動しながら図41中反矢印E方向へスライドされる。スライドアーム203,204は、スライドプレート206の反矢印E方向へのスライドによってスライドピン236が装置本体60の前面60a側へ回動される。これにより、ローディングアーム201は、光ディスク2を下シェル12内に押し戻す図41中矢印C方向へスライドされる。
【0273】
一方、図42(a),(b)に示すように、ローディングアーム201の矢印C方向へのスライドが規制されると、スライドアーム203,204の回動及びスライドプレート206の反矢印E方向へのスライドが規制されることから、スライドカムピン250は、スライドカム溝252の外周側の側面に摺動できなくなる。このとき、スライドリミッター機構255は、スライドカム溝252の外周面側の側面から支軸挿通孔254側にかけて、退避スペース256を設けていることから、スライドカムピン250がこの退避スペース256を移動する。これにより、ローディングアーム201及び光ディスク2には、ローディングアーム201のスライドを規制する障害物と、スライドプレート206との間で、スライド付勢バネ207が伸張することによる負荷が加わるのみとなり、ローディングアーム201のスライドを規制する障害物と駆動モータ209からカムギヤ208を介して伝達された駆動力とに挟持されることなく、過剰な負荷が加わることによる変形等を防止できる。
【符号の説明】
【0274】
1 ディスクカートリッジ、2 光ディスク、3 ディスクチェンジャー装置、5 セレクトローダ、6 キャリーローダ、7 記録再生装置、10 カートリッジ本体、11 上シェル、12 下シェル、13 上面板、14 背面ブロック、15 前面壁、16 支軸、22 ロック解除孔、25 誤消去防止スイッチ、29 シボ、30 ロック解除機構、31 前側ロック片、32 分割壁、33 後側ロック片、40 下面板、41 左ディスクホルダ、42 右ディスクホルダ、43 進入溝、45 位置決め孔、46 軸受け部、47 分割溝、48 支持溝、50 ディスク挿排出口、51 ディスク押出口、53 セルフロックバネ、60 装置本体、61 トップカバー、62 ボトムカバー、63 フロントパネル、70 カートリッジ挿脱口、71 ベゼル、74 センターベゼル、75 サイドベゼル、80 カートリッジホルダ、81 ホルダカバー、82 カムプレート、83 駆動機構、84 ホルダ昇降機構、85 ディスク押出機構、90 上ホルダ、91 下ホルダ、92 ロック解除機構、93 支持面部、94 上部側面部、95 引っ張りコイルバネ、96 バネ係止部、97 後側面、98 上シェル保持凸部、99 ロック解除片、100 ホルダ係合片、101 カムピン、102 ホルダ保持片、103 上シェル分割片、106 載置面部、107 下部側面部、110 識別スイッチ、113 係合カムピン、115 下シェル分割片、116 高さ規制片、117 シェル位置決めピン、120 高さ調整プレート、121 調整スリット、124 挿通ピン、133 天面部、134,135 支持側面部、140 上部カムスリット、141 下部カムスリット、142 ホルダラッチ、143 スライドガイドピン、145 ラッチバネ、150 昇降ガイド溝、151 ガイドスリット、155 ベース板、156 第1の駆動モータ、157 第1の裏面ギヤ、158 第2の裏面ギヤ、160 表面カムギヤ、161 調整スライド板、163 第2の駆動モータ、167 押出レバー、168 レバー支持壁、169 レバースライダ、172 レバー支軸、173 ディスク当接部材、175 回動操作片、176 操作凹部、180 長孔、200 ハウジング、201 ローディングアーム、202 アーム駆動機構、203,204 スライドアーム、205 スライドデッキ、206 スライドプレート、207 スライド付勢バネ、208 カムギヤ、209 駆動モータ、210 ベースデッキ、211 昇降デッキ、212 昇降プレート、213 昇降付勢バネ、220,221 左右アームプレート、224 アーム部、226 係止爪、227 挿入面部、227a 押圧部、227b 規制部、228 引き込み面部、237 挿通孔、238 回転軸、239 ガイド孔、240 直進ガイド溝、247 係合孔、250 スライドカムピン、252 スライドカム溝、253 昇降カム溝、255 スライドリミッター機構、256 退避スペース、257 昇降リミッター機構、258 退避スペース、260 スライドガイド孔、261 昇降カム孔、262 昇降ガイド孔、265 スライドガイド溝、266 昇降カムピン、267 昇降カム凸部、270 ギヤ支軸、272 昇降ガイド凸部、280 載置突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ本体の一方の主面を構成する第1の矩形板と、
上記カートリッジ本体の他方の主面を構成する第2の矩形板と、
上記カートリッジ本体の左右一対の第1の側縁に設けられ上記カートリッジ本体の側壁を構成する左右一対のディスクホルダとを有し、
上記ディスクホルダは、それぞれ上記第1及び第2の矩形板と平行で、ディスクの外周縁を上記ディスクの面方向に亘ってスライド可能に支持する支持溝が上記カートリッジ本体の上記第1の側縁と隣接する左右一対の第2の側縁の一端から他端に亘って形成され、一端に上記第2の側縁の一方から上記ディスクが挿排出されるディスク挿排出口が設けられ、他端に上記第2の側縁の他方から上記ディスクを上記ディスク挿排出口側へ押し出す押出部材が進入するディスク押出口が設けられ、
上記ディスク挿排出口を閉塞するディスク挿排出口閉塞部材と、上記ディスク押出口を閉塞するディスク押出口閉塞部材を有するディスクカートリッジ。
【請求項2】
上記ディスク挿排出口を閉塞するディスク挿排出口閉塞部材と、上記ディスク押出口を閉塞するディスク押出口閉塞部材が一体に形成されている請求項1に記載のディスクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2012−181911(P2012−181911A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87754(P2012−87754)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2009−261402(P2009−261402)の分割
【原出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)