説明

ディスクスクリーン装置

【課題】ディスク枚数を減じて構造を簡易にしコストを低減するとともに、スクリーンに捕捉された浮遊物やし渣を剥離しやすくし、水路の下流方向へ容易に流出するようにしたディスクスクリーン装置を提供すること。
【解決手段】複数の円板11を偏心して駆動軸12に固定した複数の並列する回転円板スクリーンユニット1と、回転円板スクリーンユニット1の各円板11をスクリーン目21に回転可能に収容するバースクリーン2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクスクリーン装置に関し、特に、ディスク枚数を減じて構造を簡易にしコストを低減するとともに、スクリーンに捕捉された浮遊物やし渣を剥離しやすくし、水路の下流方向へ容易に流出するようにしたディスクスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、農業用水の取水口には、河川を流下する粗大な浮遊物を除去しつつ、連続的に取水するためにスクリーンを設置している。
このような目的に用いられるスクリーンとしては、鉄棒等を一定間隔で配列固定したバー式スクリーンか、網を張設したネット式スクリーンがほとんどであるが、河川を流下する粗大浮遊物は、スクリーン目より大きいことから、流水路内に流入することができず、取水口の吸い込み水流によりスクリーン面に捕捉され付着した状態となる。
この粗大浮遊物が一旦スクリーン目に付着すると、この粗大浮遊物を介して小さな浮遊物までが同時に付着するようになり、これが次第に成長すると、やがてスクリーンに目詰まりが生じ、取水能力が著しく低下したり、取水不能に陥ったりすることになる。
【0003】
一方、この粗大浮遊物の付着を防止することを目的として、例えば、特許文献1に開示されるようなディスクスクリーン装置が提案されている。
ディスクスクリーン装置は、図2に示すように、多数の円板31を同軸に駆動軸32に固定した多重回転円板式のスクリーンユニット3を、該スクリーンユニット3の円板31の間隙間に隣接するスクリーンユニット3の円板31が挿入されるように並設したものからなり、円板31が固定された駆動軸32を回転駆動することによって、スクリーンに張り付いた粗大浮遊物を強制的に水路主流の下流方向へ流下させ、スクリーンの目詰まりを防止する。
【0004】
しかしながら、この従来のディスクスクリーン装置は、多数の円板を同軸に駆動軸に固定した複数のスクリーンユニットを必要とすることから、ディスクの枚数が多大になるとともに構造が複雑になって、コスト高を招くという問題を有している。
【特許文献1】特開2002−88742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のディスクスクリーン装置が有する問題点に鑑み、ディスク枚数を減じて構造を簡易にしコストを低減するとともに、スクリーンに捕捉された浮遊物やし渣を剥離しやすくし、水路の下流方向へ容易に流出するようにしたディスクスクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のディスクスクリーン装置は、複数の円板を偏心して駆動軸に固定した複数の並列する回転円板スクリーンユニットと、該回転円板スクリーンユニットの各円板をスクリーン目に回転可能に収容するバースクリーンとを備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、円板の偏心の位相を、隣接する回転円板スクリーンユニットで異なるようにすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のディスクスクリーン装置によれば、複数の円板を偏心して駆動軸に固定した複数の並列する回転円板スクリーンユニットと、該回転円板スクリーンユニットの各円板をスクリーン目に回転可能に収容するバースクリーンとを備えることから、回転円板スクリーンユニットの駆動軸間隔を広げ、駆動軸間はバースクリーンで浮遊物やし渣を捕捉する構造とすることにより、ディスク枚数を減じて構造を簡易にしコストを低減するとともに、回転する円板をスクリーン面に対し出入りする構造とすることにより、バースクリーンに捕捉された浮遊物やし渣を剥離しやすくし、水路の下流方向へ容易に流出することができる。
【0009】
また、円板の偏心の位相を、隣接する回転円板スクリーンユニットで異なるようにすることにより、スクリーン面に出入りする円板を水流方向で交互にし、バースクリーンに捕捉された浮遊物やし渣をより剥離しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のディスクスクリーン装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に、本発明のディスクスクリーン装置の一実施例を示す。
このディスクスクリーン装置は、複数の円板11を偏心して駆動軸12に固定した複数の並列する回転円板スクリーンユニット1と、該回転円板スクリーンユニット1の各円板11をスクリーン目21に回転可能に収容するバースクリーン2とを備え、例えば、水路から分岐する取水口を覆うように、駆動軸12を縦にした状態で設置される。
【0012】
回転円板スクリーンユニット1は、複数の円板11をバースクリーン2の目幅で駆動軸12に串刺し状に固定したものからなり、駆動軸12は回転円板スクリーンユニット1の各円板11を同じ偏心した位置で貫通している。
本実施例では、この回転円板スクリーンユニット1を複数本用い、各回転円板スクリーンユニット1の円板11がバースクリーン2のスクリーン目21に回転可能に収まるように一定間隔で並列している。
また、本実施例では、隣接する回転円板スクリーンユニット1で、円板11の偏心の位相が180°異なるようにセッティングされており、各回転円板スクリーンユニット1は、駆動装置によりこの位相を保ちながら同じ回転数で同じ方向に回転する。
これにより、スクリーン面に出入りする円板11を水流方向で交互にし、バースクリーン2に捕捉された浮遊物やし渣をより剥離しやすくしている。
【0013】
バースクリーン2は、複数のスクリーンバー22を並列するとともに、各スクリーンバー22を一定間隔でディスタントピース23により連結しており、スクリーンバー22とディスタントピース23で区画した各スクリーン目21に、回転円板スクリーンユニット1の各円板11をそれぞれ回転可能に収容している。
本実施例では、最も没入したときの円板11とバースクリーン2の表面とが面一になるように、また、円板11が最も突出したときにバースクリーン2の表面からその直径の1/4〜1/6が出るように、駆動軸12を位置決めしている。
これにより、回転する円板11をスクリーン面に対し出入りする構造とし、バースクリーン面で捕捉された浮遊物やし渣を円板11の回転によりスクリーン面より剥離し、これらを水路の下流方向へ流出しやすい構造としている。
【0014】
かくして、本実施例のディスクスクリーン装置は、複数の円板11を偏心して駆動軸12に固定した複数の並列する回転円板スクリーンユニット1と、該回転円板スクリーンユニット1の各円板11をスクリーン目21に回転可能に収容するバースクリーン2とを備えることから、回転円板スクリーンユニット1の駆動軸間隔を広げ、駆動軸間はバースクリーン2で浮遊物やし渣を捕捉する構造とすることにより、ディスク枚数を減じて構造を簡易にしコストを低減するとともに、回転する円板11をスクリーン面に対し出入りする構造とすることにより、バースクリーン2に捕捉された浮遊物やし渣を剥離しやすくし、水路の下流方向へ容易に流出することができる。
【0015】
また、円板11の偏心の位相を、隣接する回転円板スクリーンユニット1で異なるようにすることにより、スクリーン面に出入りする円板11を水流方向で交互にし、バースクリーン2に捕捉された浮遊物やし渣をより剥離しやすくすることができる。
【0016】
以上、本発明のディスクスクリーン装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、スクリーンの幅や高さを広げるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のディスクスクリーン装置は、ディスク枚数を減じて構造を簡易にしコストを低減するとともに、スクリーンに捕捉された浮遊物やし渣を剥離しやすくし、水路の下流方向へ容易に流出させるという特性を有していることから、例えば、水路の取水口のスクリーンの用途に広く好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のディスクスクリーン装置の一実施例を示し、(a)はその平面図、(b)は同正面図である。
【図2】従来のディスクスクリーン装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 回転円板スクリーンユニット
11 円板
12 駆動軸
2 バースクリーン
21 スクリーン目
22 スクリーンバー
23 ディスタントピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円板を偏心して駆動軸に固定した複数の並列する回転円板スクリーンユニットと、該回転円板スクリーンユニットの各円板をスクリーン目に回転可能に収容するバースクリーンとを備えたことを特徴とするディスクスクリーン装置。
【請求項2】
円板の偏心の位相を、隣接する回転円板スクリーンユニットで異なるようにしたことを特徴とする請求項1記載のディスクスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−280669(P2008−280669A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123027(P2007−123027)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)