説明

ディスクチェンジャー装置

【課題】ファンとヒートシンクとの間に形成された制御回路に保護カバーが設置されてあっても、ファンによる放熱フィン周辺の空気の流れを阻害することなく、高い信頼性を備えたディスクチェンジャー装置を提供する。
【解決手段】ディスク収納部と、ディスクのドライブ部への搬送手段と、前記ドライブ部で前記ディスクにデータの読み書きを指示する制御回路基板と、前記ドライブ部と前記制御回路等を収納する筐体と、前記制御回路基板上の電子部品と、この電子部品に熱伝導部材を介して接触するヒートシンクと、このヒートシンクにたいして離間して設置されたファンとを備えたディスクチェンジャー装置において、前記ファンと前記電子部品との間にカバーを設け、前記カバーの対向面に凹部を設けるとともに、この凹部内にヒートシンクを配置し、このヒートシンクと前記電子部品とを熱的に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクチェンジャー装置やディスクライブラリ装置と呼ばれるディスクに記録再生を行う記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体への記録再生装置としては、例えば特許文献1に開示されているように、光ディスク等のディスク状記録媒体(以下、ディスクという)を収納する複数の収納部を有する収納ブロックを備え、各収納部から所望のディスクを取り出してドライブに装着し、装着したディスクに対して情報信号の記録や再生を行い、または、ディスクに記録されたデータを読み出して他の記憶装置への転送を行う光ディスク再生装置がある。
【0003】
この特許文献1では、駆動部と発熱部が配置された配置空間を外筐に配置し、本体側空間と配置空間を仕切る仕切り板を設けて、発熱部の熱が駆動部に伝導しないようになっている。
【0004】
また、発熱の大きい機器を備えた制御盤等を内蔵する機械の冷却等に関しては、例えば特許文献2に開示されているように、筐体内に配置された制御盤を冷却する冷却風路を筐体内に設けて、上記冷却風路内に放熱フィン部を露出させたヒートシンクを配設し、上記冷却風路内に外気導入ファンにより強制的に風冷する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−269673号公報
【特許文献2】特開2000−190163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の本体側空間と配置空間を仕切る仕切り板を設けて本体側空間の温度上昇を防止する特許に関しては、上記仕切り板で区切られた発熱部に保守、点検等で人が手を触れる可能性は無いため、発熱する回路部品に関する安全性を保つ構造に関しては配慮がされておらず、上記技術を本構造のディスクチェンジャー装置に適用するのは困難である。
【0007】
また、上記の特許文献2に記載の特許に関しても、ディスクチェンジャー装置のように、筐体内に上記冷却風路を設けるような空間が無く、かつ、限られた空間の中で上記ヒートシンクの放熱フィン部へ効果的に空気を流す流路構造に適用するということは難しい。そのため、狭い空間におけるヒートシンクの冷却方法としては利用できないという問題点があった。
【0008】
さらに詳しく、ディスクチェンジャー装置の放熱構造に関する課題について説明する。
従来のディスクチェンジャー装置においては、コンピュータ等の外部機器からの信号に基づいて制御部から指示信号を出力して、各収納部から所望のディスクを取り出してドライブに装着している。そして、装着されたディスクに対して情報信号の記録や再生を行い、または、ディスクに記録されたデータを読み出して他の記憶装置への転送を行う等の一連の動作を行っている。
【0009】
上記ディスクチェンジャー装置においては、制御部とドライブ部により構成されたドライブブロックは、チェンジャー装置の主な動作を指示する主要部であり、上記ドライブブロックの機能を正常に維持することがディスクチェンジャー装置の信頼性の確保には重要である。特に、制御部とドライブ部の温度上昇を抑制することが装置の誤動作防止と寿命の確保に大きな効果があるため、ファンによるドライブブロックの冷却が非常に重要な課題となっている。
【0010】
しかしながら、ディスクチェンジャー装置は、ラック等に上下方向に複数台並べて収容して使用することが一般的であることから、上下部分はラック内に収容され、また、フロント側はディスクを収納するための挿脱口を形成する。そのため、冷却用のファン取り付け部はディスクチェンジャー装置の後方部に限られる。そのような構造上の制約のため、上記のドライブブロックは冷却の必要から後方のファン近傍に配置することが必要であり、上記の空間上の制約の中でいかに効率的に小型のファンによるドライブブロックの冷却を行うかということが重要な課題となっている。
【0011】
上記ドライブブロックは制御部とドライブ部より構成されており、制御部を構成する制御回路は、IC等の発熱する電気回路部品を多数有している。回路部品で発生する熱は、ヒートシンク等に接触させ、上記ヒートシンクの放熱フィン部分をファンの対向面に設置することにより、回路部品の熱を放熱させて、制御回路の温度上昇を防ぎ、装置の信頼性を確保してきた。
【0012】
また、ディスクチェンジャー装置は、装置の保守、点検を定期的に行うことが必要であり、上記ドライブブロックには作業者によって引き出して通電しながら動作確認を行うという定期的な作業が必要である。その際に、制御部を構成する制御回路に通電時に手を触れないことが、安全性の確保や装置の静電気対策等から必須事項となっている。
【0013】
上記の2つの要求事項から、従来の装置においては、ドライブブロックの制御回路に格子状の制御回路の(保護)カバーを設けることとした。しかし、従来のカバーでは、カバーがファンとヒートシンクとの間に形成されたため、ファンによる放熱フィン周辺の空気の流れが阻害されることになる。そのため、ヒートシンクが効果的に冷却されなくなり、そのことにより回路部品の温度上昇を招き、装置自体が誤動作して、データの読み書きを行えなかったり、ディスクを取り出せなかったり、または回路部品の故障を生じる等の信頼性が低下する恐れが有った。
【0014】
本発明の目的は、制御回路保護カバーが設置されてあっても、ヒートシンク周囲の空気の流れを阻害することなく、人への安全性を確保すると共に冷却性能を維持することができ高い信頼性を備えたディスクチェンジャー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は達成するために本発明は、ディスクを収納するディスク収納部と、このディスク収納部からディスクをドライブ部に搬送する搬送手段と、前記ドライブ部で前記ディスクにデータの読み書きを指示する機能を有する制御回路基板と、前記ディスクと前記ディスク収納部と前記ドライブ部と前記制御回路を収納する筐体と、前記制御回路基板上に複数設置された電子部品と、この電子部品に熱伝導部材を介して接触するヒートシンクと、このヒートシンク所定の距離だけ離間して前記筐体に設置されたファンとを備えたディスクチェンジャー装置において、前記ファンと前記電子部品との間にカバーを設け、前記ファンと対向する前記カバーの対向面に凹部を設けるとともに、この凹部内にヒートシンクを配置し、このヒートシンクと前記電子部品とを熱的に接触させたものである。
【0016】
また上記目的は達成するために本発明は好ましくは、前記凹部に前記電子部品と前記ファンとが連通する開口部を設けるとともに、前記ヒートシンクは前記開口部を貫通し、前記ヒートシンクが前記電子部品と記熱伝導部材を介して接触させると良い。
【0017】
また上記目的は達成するために本発明は好ましくは、前記ヒートシンクが取り付けられる前記凹部の取り付け面の垂直な側面に開口部を設けると良い。
【0018】
また上記目的は達成するために本発明は好ましくは、前記凹部は前記ファンと対向する対向面全面にわたってコの字型形状で形成されると良い。
【0019】
また上記目的は達成するために本発明は好ましくは、前記凹部は前記ヒートシンクの取り付け面に垂直な側面、または前記カバーの前面に前記ヒートシンクから前記ファン方向に広がる傾斜を設けると良い。
【0020】
また上記目的は達成するために本発明は好ましくは、前記凹部は前記ファンに対向する周囲部分に単数、または複数の傾斜板を設けると良い。
【0021】
また上記目的は達成するために本発明は好ましくは、前記ヒートシンクと前記カバーを一体、または複数の部材で形成すると良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、制御回路保護カバーが設置されてあっても、ヒートシンク周囲の空気の流れを阻害することなく、人への安全性を確保すると共に冷却性能を維持することができ高い信頼性を備えたディスクチェンジャー装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図2】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図4】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図5】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図6】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図7】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図8】本発明の他の実施例に係るカバーを説明する図である。
【図9】本発明に係るディスクチェンジャー装置の斜視図である。
【図10】本発明に係るディスクチェンジャー装置の斜視図である。
【図11】本発明に係るディスクチェンジャー装置のカバーを説明する斜視図である。
【図12】本発明に係るディスクチェンジャー装置内の空気の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施例を図面にしたがって説明する。
本発明に係るディスクチェンジャー装置1について図9〜図12を用いて説明する。
図9〜図12において、ディスクチャンジャー装置1はディスク100に記録及び再生を行う装置であり、筐体2の内部に主要の各部が配置されている。
【0025】
図9(a)に示すように、ディスクチェンジャー装置1における筐体2の前面及び背面は開閉可能になっており、筐体2の前面パネル9は、ディスク100を収納した収納部3を挿入、及び引き出しが行えるようになっている。
【0026】
筐体2の内部には図9(b)に示す収納部3とディスク用ドライブ部4(以下、ドライブ部4という)、ディスク搬送部5(以下、搬送部5という)及びディスクチェンジャー装置1の操作及び動作を制御する制御回路部6(以下、制御部6という)が配置されている。収納部3は、例えば、側方が開口された縦長の箱状の保持用筐体3aで形成され、内部にディスク100を収納するための支持部3bが形成されている。
【0027】
ディスク100は縦長の箱状の保持用筐体3aに収納された状態で筐体2内部に図示しないガイドレールに沿って挿入され、所定の位置に達した後に前面パネル9にあるロック用のボタンにてロックされる。
【0028】
図9に示すディスクチェンジャー装置1は、多数のディスク100を同時に収容、処理するため上記各構成部が左右対称に配置され、複数個配置されたドライブ部4で同時に読み書き可能となっている。ドライブ部4は、例えば、前後に複数個のディスクドライブ機構が並んで配置され、それぞれ左右の搬送部5が位置する側の側方が開口されたディスク挿脱口4aを有している。ドライブ部4は内部にディスクドライブ機構を備えて、ディスク100に記録されたデータを外部機器である図示しないコンピュータ等に設けられた記憶装置、例えばHDDやメモリ等に転送する機能を有している。
【0029】
図10(a)は本装置を図9(b)に示した矢印方向から見た斜視図である。
図10(a)に示すように、後方には装置内部を冷却するためのファン11が後方パネル10に設置されている。
【0030】
図10(b)は図10(a)に示したファン11が設置されている後方パネル10を開放した状態を示している。
図10(b)に示すように、ファン11の対向面には図9で説明した制御回路6aとヒートシンク6bにより構成される制御部6が配置され、その後方にはドライブ部4が配置されている。ファン11は筐体内部及び制御部6及びドライブ部4の温度上昇を抑制するため、内部の空気を装置外に排出する機能を有している。
【0031】
以下にディスクチェンジャー装置1についての主な動作を図9及び図10を用いて説明する。
【0032】
図示しないコンピュータ等の外部装置から収納部3に収納された所望のディスク100にデータの読み書き等の動作を行う信号が制御部6に入力される。すると、上記入力信号により図9の搬送部5のディスク100取り出し機構5bは所定の動作開始位置から搬送用レール5aに添って所望のディスク100の取り出し位置まで搬送される。その後、ディスク100取り出し機構5bは所望のディスク100を取り出し、ドライブ部4に設置されている所定のドライブ機構まで搬送し、所定のドライブ機構のディスク挿脱口4aの前で停止して、ドライブ機構にディスク100を挿入する。挿入された上記ディスク100はドライブ機構においてデータの読み書き動作が行われ、上記データは制御部6によりコンピュータ等の外部装置へと転送される。
【0033】
上記の転送作業が終了し、ディスク100の読み書き動作が終了した後に上記のディスク100はディスク取り出し機構5bによりディスク挿脱口4aから取り出されて、搬送用レール5aに添って、ディスク100の事前の収納位置まで搬送され、収納部3の所定の収納位置に収納される。その後、搬送部5は所定の動作開始位置へ搬送され、停止して動作を終了する。
【0034】
上記の一連の動作は、複数のディスク100のデータの読み書きを行う場合には、所望のディスク100の枚数分だけ繰り返し行われる。
上記に述べた一連の動作を行わせる主要部の制御部6とドライブ部4は図11に示すドライブブロック12に一体のブロックとして形成されている
次に、図11によりドライブブロック12について説明する。
図11(a)は左側のドライブブロック12を外部に引き出した場合の斜視図であり、図11(b)は従来のカバー50が設置されているドライブブロック12、図11(c)は制御回路6aと発熱回路部品を冷却するための複数のピン状のフィン形状を有するヒートシンク6bに対する従来のカバー50とファン11の位置関係を説明する分離説明図である。
【0035】
図11(a)に示すように、ドライブブロック12は、図10に示したドライブ部4と制御部6により構成されている。ドライブブロック12は、ファン11の対向面に制御部6が位置しており、その背後にドライブ部4が構成されている。制御部6は、ドライブ部4、搬送部5等に一連の動作を行う指示を出す制御回路6aが設置されており、IC等の発熱回路部品が多数搭載され、さらに上記の発熱部品を冷却するためのヒートシンク6bも設けられている。
【0036】
制御部6の温度上昇を抑制することが装置の誤動作防止と寿命の確保に大きな効果があるため、ファン11によるドライブブロック12の冷却が非常に重要な課題となっている。そのため、制御回路6aに設置されている回路部品で発生する熱は、回路部品を図11(a)に示したヒートシンク6bに接触させ、上記ヒートシンク6bの放熱フィン部分をファン11の対向面に設置することにより、回路部品の熱を放熱させて、制御回路6aの温度上昇を防ぎ、装置の信頼性を確保してきた。
【0037】
また、ディスクチェンジャー装置1は装置の保守、点検を定期的に行うことが必要であり、上記ドライブブロック12(図12(b)に示す)には作業者が引き出して通電しながら動作確認を行うという動作が必須である。その際に、制御部6の制御回路6aに通電時に手を触れないことが、安全性の確保や装置の静電気対策等から必須事項となっている。これまでは、上記の懸念事項に対する対応策として、図11(b)に示すように従来は格子状の制御回路カバー50をドライブブロック12の制御回路6aとヒートシンク6bの周囲に設置してきた。
【0038】
しかしながら、従来のカバー50である図11(b)の構成では、カバー50がファン11とヒートシンク6bとの間に介在される構造(図11(c)に示す)となっているため、ファン11による放熱フィン周辺の空気の流れがカバー50によって阻害され、ヒートシンク6bが効果的に冷却されなかった。そのため、回路部品の温度上昇を招き、装置自体が誤動作して、データの読み書きを行えなかったり、ディスク100を取り出せなかったり、または回路部品の故障や寿命の低下を生じる等の信頼性が低下する恐れが有った。
【0039】
図12にファン11によるディスクチェンジャー装置1の筐体2内の空気の流れを示す。矢印102は空気流を示している。空気流102はディスクチェンジャー装置1の前方からディスク100が収納された収納部3の下部に形成された空気流路103を通り、ドライブ部4と制御部6より構成されたドライブブロック12の下部及びドライブ部4を通過し、制御部6を通ってファン11より排気される。
【0040】
図12(a)に示すように、従来のカバー50を制御回路6aとヒートシンク6bの周囲に設置することにより、特にヒートシンク6b周辺の空気の流れが阻害されるため、ヒートシンク6bが効果的に冷却されなくなる。
【0041】
そこで、本発明の発明者らはヒートシンクをカバーから露出させて取り付けることを考えた結果、以下のごとき実施例を得た。
【実施例1】
【0042】
本発明は、上記のような問題点を解決し、カバーがあっても、ヒートシンク周囲の空気の流れを阻害することなく、逆により効率的に冷却用の空気をヒートシンク6bに送る役割をカバーに持たせることにより、カバーによる装置及び人への安全性を確保する効果と冷却性能維持による装置の信頼性確保が同時に行うことのできるディスクチェンジャー装置1を提供するものである。
【0043】
図12(b)は本発明の新しいカバー13を適用した場合の空気の流れを示している。
本発明を適用したディスクチェンジャー装置1は、上記制御回路6aと上記筐体2に構成されたファン11との間に上記制御回路6aを覆うカバー13を備えたものであり、この構造は筐体2とカバー13の2重構造となっている。上記カバー13にはヒートシンク6bを取り付けるための凹部18がファン11に対向する対向面に設けられている。このヒートシンク6bは凹部18のカバー13と筐体2との間に突出するように設置されている。
【0044】
このカバー13を用いることにより、ヒートシンク6bに空気流を積極的に送ることが可能となり、制御回路6aの回路部品を効果的に冷却することができる。
【0045】
以下に本実施例によるカバーの詳細を図にしたがって述べる。
図1は本発明を適用した新たなカバー13の構造を示す説明図である。
【0046】
本発明のカバー13、13aは、図1(a)〜(d)に示すように、ファン11に対向する対向面にヒートシンク6bを取り付けるための取り付け凹部18を形成している。この取り付け凹部18はヒートシンク6b周辺の空気の流れが阻害されないようにカバー13、13aの前面に形成されている。また基板上の発熱する回路部品15とカバー13、13a及びヒートシンク6bは密着して接続されているので伝導による放熱とヒートシンク6bの放熱フィンに流れる空気の対流による冷却の相乗効果を有する。そのため、制御部6の温度上昇を低減し、装置としての信頼性を確保できるものである。
【0047】
図1(a)は放熱フィンを有するヒートシンク6bとカバー13が一体で形成した場合で、例えば材料がアルミニウム等の金属で製作された場合を示している。材料はアルミニウムに限定されるものではなく、熱伝導率の高い材料であればより好ましい。
【0048】
図1(b)は、図1(a)のカバーを中央部で縦断面したものであり、ファン11は図1(a)に示すようにヒートシンク6bの対向面に位置している。図1(b)に示すように、制御回路6aの回路基板14の表面には発熱するIC等の回路部品15が配置されている。上記回路部品15は絶縁性のシート状の高熱伝導部材16を介してカバー13に接触している。カバー13は、回路部品15と高熱伝導部材16を基板14とカバー13の間に密着するようにネジ17を用いてネジ止めされる。
【0049】
カバー13がヒートシンク6bと一体で形成されている場合には、回路部品15の熱は、ヒートシンク6bに伝導すると同時にカバー13に伝導する。さらにカバー13に伝導した熱は図11(b)に示すドライブブロック12に取り付けられたカバー50を介して筐体2へも伝導するため、熱を効率的に逃がすことができる。そのため、ヒートシンク6bとカバー13の熱伝導による冷却効果に加えてヒートシンク6bの放熱フィンに対する空気の対流による冷却効果も加わるため、部品の温度上昇がさらに抑制される。
【0050】
また、カバー13とヒートシンク6bを製作コスト低減の観点から、同一、または異なる金属材料による別部材で製作し、ネジ17でカバー13とヒートシンク6bが密着するように構成する場合でも同様の効果を得ることは可能である。
【0051】
さらに、上記のカバー13においては、コスト削減の観点から、手を触れる可能性の低いカバー13の側面部分131を無くした場合でも上記の効果と同様の効果を得ることができ、コストを安くすることが可能となる。
【0052】
次に、カバー13がABS樹脂等の非金属材料で構成され、ヒートシンク6bが金属材料という別部材で構成されたカバー13aの場合を説明する。例えば、図1(c)前面図、(d)断面図に示すように、カバー13aとヒートシンク6bを接触させる部分に開口部(または切欠や貫通孔等)20を設けている。この開口部を介してヒートシンク6bの金属の土台部分が回路部品15と高熱伝導部材16とに接触するように接続されている。
【0053】
上記の場合は、カバー13aの材料を樹脂等で構成することにより金属材料に比較してカバー13による伝熱による冷却効果は得られないが、より安価で製作が簡単な材料で構成することができ、製作コストを低減できる。
【0054】
また、ヒートシンク6bの金属部分が開口部(または切欠や貫通孔等)20を介して熱伝導樹脂部材16に直接接触することにより、回路部品15の熱を一体で形成したときと同様に熱伝導樹脂16を介してヒートシンク6bに逃がすことができ、回路部品を効果的に冷却することができる。
【0055】
本ディスクチェンジャー装置1では、図12に示したように、空気は筐体2の側面または下面からカバー13aの対向面に設置されているファン11に向かって流れている。そのため、前面及び側面は、図1に示すように、格子状の開口部21、21bが形成されており、空気が側面、または、下面から基板14の前方を通って、ファン11に流れるような構造になっている。
【0056】
また、側面部は図1(c)に示すように、ヒートシンク6bを設置したヒートシンク取り付け凹部18の側面にも開口部22aが設けられている。この開口部22aを設けたことによって、空気は開口部22aからヒートシンク6bの放熱フィンを通過してファン11へ流れる空気流路が形成されている。なお、この開口部22aは、ヒートシンク取り付け凹部18の側面に限るものではなく、ヒートシンク取り付け凹部18の上面及び下面部にも設けることによりさらにヒートシンク6bへの空気流量が増えて対流冷却の効果が期待できる。
【0057】
また、図1(a)(c)において、カバー13、13aの上面にも格子状の開口部21を設けることにより、基板14前面の空気の流れを確保し、高い放熱効果を得ることができる。また、カバー13aの他の実施例としては、カバー13aにおいて、さらに集中的にヒートシンク6bに空気を流すために、カバー13aのヒートシンク取り付け凹部18横の格子状の開口部21bを閉じて、ヒートシンク6bに横から空気を流入しやすくすることにより、ヒートシンク6bが積極的に冷却されるように形状を変えることも可能である。
【0058】
次にカバー13の形状の他の実施例について、図2〜図8を用いて説明する。
以下のカバー13の実施例は、金属または非金属、または、ヒ−トシンク6bと一体、または、別部材のどちらで製作しても良く、周囲の図示しない筐体2の側面に設置される吸入口及びファン11等の配置によってヒートシンク6bに空気が流れる最適な形状を適用するための基本構造の一例を示しており、本実施例に限定されるものではない。また、図中に主な空気の流れを矢印で示しておく。
【0059】
図2(a)〜(e)のカバー13bは上記の図1(c)のカバー13aよりさらにヒートシンク6bに空気を流すようにカバー形状を変更したカバー13bの実施例を示している。
図2(a)はカバー13bの前面図であり、図2(b)がカバー13b側面にもカバーを設けた場合の側面図、図2(c)がカバー13bの側面にカバーを設けない場合の側面図、図2(d)がヒートシンク取り付け凹部18の下面の5mm上のb1-b1’で切断し、ヒートシンク6b側から見た断面図、図2(e)が上面図を示している。
【0060】
図2(b)、(c)を見るとわかるように、カバー13bはヒートシンク6bの横の部分全体が凹部になるように形成されている。すなわち、ヒートシンク取り付け凹部18の一辺の長さがカバー13bの一辺の長さと同一になっており、ヒートシンク取り付け凹部18を上記のようなコの字型の形状とすることによりヒートシンク6bの側面への空気の流れを妨げない形状となっている。図2(a)に示すように、カバー13bの前面の凹部の格子状の開口部21を削除したことにより、ヒートシンク6bにスムーズに空気が流れる空気流路が形成されている。
【0061】
また、図2(d)はヒートシンクが形成された凹部18の下面を示す断面図で開口部22bが形成されていることがわかる。図示しないが、開口部22bは凹部18の上面にも同様に形成されている。凹部18の上下面に開口部22bを設けることによりさらに上下方向の空気流路が形成されて、ヒートシンク6bを冷却することが可能となる。また、上記の開口部22bは空気の流れに応じて、形成しないことも可能である。
【0062】
また、上記のカバー13bの他の実施例としては、上記水平方向の凹部18を垂直方向の凹部18として形成し、ヒートシンク6bへの垂直方向の空気流路を形成した場合も同様の効果を得ることができる。
【0063】
次に、図3(a)(b)で示すカバー13cは、ヒートシンク6bを取り付けたヒートシンク取り付け凹部18の上下面及び側面に傾斜を設けた場合を示している。一方、図4(a)〜(c)で示すカバー13dは、ヒートシンク取り付け凹部18の側面に傾斜を設けた場合である。
【0064】
カバー13cは水平方向に形成したヒートシンク取り付け凹部18の上下面に傾斜を設けた場合、カバー13dは垂直方向に形成したヒートシンク取り付け凹部18の側面に傾斜を設けた場合である。
【0065】
図3(a)はヒートシンク取り付け凹部18の傾斜面に開口部22cを設けたカバー13cの前面図であり、図3(b)はc1-c1’断面で切った断面図である。また、図4(a)はヒートシンク取り付け凹部18の傾斜面に開口部22dを設けたカバー13dの前面図であり、図4(b)はd1-d1’断面で切った断面図であり、図4(c)はカバー13dの上面図である。
【0066】
カバー13c、13dに示すように、ヒートシンク取り付け凹部18に傾斜を設けることによりファン11の空気の流れをヒートシンク6bにさらに流れやすくすることが可能となる。また、カバー13c、13dに示すように、開口部22c、22dを設けることにより、ヒートシンク6bの上下及び左右方向の空気の流れを確保することができ、さらに効果的にヒートシンク6bを冷却することが可能となる。
【0067】
なお、上記の開口部22c、22dは空気の流れに応じて、形成しないことも可能である。
【実施例2】
【0068】
図5はヒートシンク6bの上下左右の側面方向から空気を取り入れ、ファン11方向に排気するためにカバー13の正面部分に傾斜板23aを設けたカバー13eの構成を示している。図5(a)〜(d)は傾斜板が長方形の場合であるが、上記形状に限るものでは無い。図5(a)はカバー13eの前面図、(b)(c)が側面部にカバーを設置した場合、しなかった場合の各々の側面図、(e)は上面図である。
【0069】
図5(a)に示すように傾斜板23aを設けることにより基板14の周辺の空気は開口部22eを通り、ヒートシンク6bを通過させてファン11方向により積極的に流すことにより、さらに冷却効果が期待できる。
【0070】
次に図6に示すカバー13fは、図6に示した傾斜板23aと同じ役割をヒートシンク取り付け凹部18の上下面及び側面に傾斜をつけることで実現した実施例を示している。
図6(a) はカバー13fの前面図、(b)はf1-f1’断面で切った断面図、(c)はf2-f2’断面で切った断面図を示している。
【0071】
図6(a)〜(c)のカバー13fは、ヒートシンク取り付け凹部18の上下面及び側面に傾斜をつけることにより、図5の傾斜板と同様の効果を得ることができる。また図6(a)〜(c)に示すように前面の開口部21を無くし、ヒートシンク取り付け凹部18の上下面及び側面部に開口部22fを設けることにより、空気の流路を確保し、ヒートシンク6bを積極的に冷やすことが可能となる。
【0072】
また、上記の開口部22fは空気の流れに応じて、形成しないことも可能である。
【実施例3】
【0073】
図7は上記のファン11方向への傾斜をカバー13の前面全てに設けたカバー13g、13hを示している。図7(a) はカバー13gの前面図、(b)はg1-g1’断面で切った断面図、(c)は上面図、また、図7(d) はカバー13gの他の実施例であるカバー13hの前面図を示している。カバー13g、13hに示すように、カバー13g、13hの前面前部をファン11方向からヒートシンク6b方向に傾斜させる傾斜形状とすることにより、ヒートシンク6bの側面に空気が流れやすくなり、ヒートシンク6bの冷却効率を上げることができる。また、カバー13hは、カバー13gにおいて、ヒートシンク取り付け凹部18の横の部分の開口部21を無くし、ヒートシンク6b近傍のヒートシンク取り付け凹部18の側面に開口部22hを設けた場合であり、上記のような形状とすることにより、ヒートシンク6bにより空気が流れやすくなる。
【実施例4】
【0074】
図8は加工上の容易さから、ヒートシンク取り付け凹部18を楕円形で形成したカバー13iを示している。図8(a)はカバー13iの前面図、(b)は側面図、(c)は図5で示した傾斜板23aを円錐形で形成した傾斜板23cをヒートシンク取り付け凹部18 に形成した場合の側面図、(d)は上面図である。また、ヒートシンク取り付け凹部18の側面部には開口部22iが設けられている。
【0075】
図8に示したカバー13iは図1に示したカバー13aで示したヒートシンク取り付け凹部18を楕円形で形成したものであり、放熱の効果はカバー13aと同じように得ることができる。また、図8(c)はヒートシンク取り付け凹部18 の周囲に円錐形で形成した傾斜板23cを設けたもので、上記傾斜板23cにより空気がスムーズにヒートシンク6bに流れる効果を得ることができ、放熱効果を高めることができる。
【0076】
なお、上述したヒートシンク取り付け凹部18は取り付け凹部18が円形や楕円形状の場合には上部から圧力をかけるプレス加工によりヒートシンク取り付け凹部を形成することにより容易に製作することができる。また、取り付け凹部18が四角形状の場合には、カバー前面を切断して片側、または、両側から折り曲げることによりヒートシンク取り付け凹部18を製作することができる。
【0077】
さらに、上記の取り付け凹部18を形成した後に格子状の開口部21を作成し、折り曲げれば、カバー13を簡単に製作することができるし、カバー13を樹脂等で形成する場合には、成型用の型を作ることにより任意の形状を簡単に作成することが可能となる。
【0078】
なお、上記のカバー13の形状は、ディスクチェンジャー装置1内のファン11の配置及び空気の流れに応じて最適なものが選択されて適用されるため、上記の実施例に限るものではない。
【0079】
以上述べたように、カバー13を設けてヒートシンク6bに効果的に空気を送るような形状にすることにより、回路の冷却効率を高めて装置の誤動作を低減し、回路素子の寿命を延ばすことにより装置の故障を未然に防ぐことが可能となり、ディスクチェンジャー装置1の信頼性を向上させることが可能となる。
【0080】
以上のごとく本発明によれば、制御回路とファン等の冷却装置を有する筐体との間に、上記ヒートシンクを取り付ける取り付け凹部を有する上記カバーを設置し、上記ヒートシンクを上記取り付け凹部の上記カバーと上記筐体との間にファン方向に突出させて設置することとする。上記の構造とすることにより、カバーが設置された場合でも、ヒートシンク周囲の空気の流れを阻害することが無い。さらに、上記カバーに、より効率的にヒートシンクに冷却用の空気を送る役割を持たせることにより、カバーによる装置及び人への安全性を確保すると共に冷却性能を維持する効果を持つことが可能となり、高い信頼性を備えたディスクチェンジャー装置を提供できる。
【符号の説明】
【0081】
1…ディスクチェンジャー装置、2…筐体、3…収納部、4…ドライブ部、5…ディスク搬送部、6…制御回路部、6a…制御回路、6b…ヒートシンク、9…前面パネル、10…後方パネル、11…ファン、12…ドライブブロック、13…カバー、14…基板、15…回路部品、16…高熱伝導部材、17…ネジ、18…ヒートシンク取り付け凹部、20、21、22…開口部、23…傾斜板、50…従来のカバー、100…ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを収納するディスク収納部と、このディスク収納部からディスクをドライブ部に搬送する搬送手段と、前記ドライブ部で前記ディスクにデータの読み書きを指示する機能を有する制御回路基板と、前記ディスクと前記ディスク収納部と前記ドライブ部と前記制御回路を収納する筐体と、前記制御回路基板上に複数設置された電子部品と、この電子部品に熱伝導部材を介して接触するヒートシンクと、このヒートシンク所定の距離だけ離間して前記筐体に設置されたファンとを備えたディスクチェンジャー装置において、
前記ファンと前記電子部品との間にカバーを設け、前記ファンと対向する前記カバーの対向面に凹部を設けるとともに、
この凹部内にヒートシンクを配置し、このヒートシンクと前記電子部品とを熱的に接触させたことを特徴とするディスクチェンジャー装置。
【請求項2】
請求項1記載のディスクチェンジャー装置において、
前記凹部に前記電子部品と前記ファンとが連通する開口部を設けるとともに、
前記ヒートシンクは前記開口部貫通し、前記ヒートシンクが前記電子部品と記熱伝導部材を介して接触していることを特徴とするディスクチェンジャー装置。
【請求項3】
請求項1記載のディスクチェンジャー装置において、
前記ヒートシンクが取り付けられる前記凹部の取り付け面の垂直な側面に開口部を設けることを特徴とするディスクチェンジャー装置。
【請求項4】
請求項1記載のディスクチェンジャー装置において、
前記凹部は前記ファンと対向する対向面全面にわたってコの字型形状で形成されていることを特徴とするディスクチェンジャー装置。
【請求項5】
請求項1記載のディスクチェンジャー装置において、
前記凹部は前記ヒートシンクの取り付け面に垂直な側面、または前記カバーの前面に前記ヒートシンクから前記ファン方向に広がる傾斜を設けていることを特徴とするディスクチェンジャー装置。
【請求項6】
請求項1記載のディスクチェンジャー装置において、
前記凹部は前記ファンに対向する周囲部分に単数、または複数の傾斜板を設けていることを特徴とするディスクチェンジャー装置。
【請求項7】
請求項1記載のディスクチェンジャー装置において、
前記ヒートシンクと前記カバーを一体、または複数の部材で形成したことを特徴とするディスクチェンジャー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114718(P2013−114718A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260681(P2011−260681)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】