説明

ディスクトレイ及びディスクドライブ装置

【課題】高速で回転駆動されたときにも、光ディスクの粉砕を抑える。
【解決手段】ディスク状記録媒体2が収納される収納凹部21を有し、搬送機構15に支持されることにより装置本体3の前面に設けられた開口部9から該装置本体3の内外に亘って搬送されるディスクトレイ4において、ディスク状記録媒体2を収納する収納凹部21の周面には緩衝材25が貼り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置に関し、特に装置本体の内外に亘って水平方向に搬送されるディスクトレイにディスク状記録媒体を載置し、このディスクトレイが装置本体内に引き込まれるとディスク状記録媒体が内部のターンテーブルに回転自在に装着されるディスクドライブ装置及びディスクトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクとしては、従来よりCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった光ディスクが広く知られており、これら光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置が提供されている。
【0003】
またディスクドライブ装置には、装置本体から水平方向に出し入れされるディスクトレイに光ディスクを載置することで、ディスクトレイが引き込まれた際にディスクが内部のターンテーブルに自動的に装着されるタイプがある。この種のディスクドライブ装置は、一般に、光ディスクが収納される収納凹部が形成されたディスクトレイと、略矩形箱状に形成され前面にディスクトレイが排出される矩形開口部が形成された装置本体と、ディスクトレイを装置本体の内外に亘って搬送する搬送機構と、ディスクトレイの収納凹部に収納された光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動機構と、光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ機構とを備える。
【0004】
そして、ディスクドライブ装置は、矩形開口部より装置本体外へ排出されたディスクトレイの収納凹部に光ディスクが収納されると、搬送機構によってディスクトレイが装置本体内へ搬送される。装置本体内に搬送された光ディスクは、ディスク回転駆動機構のターンテーブルに回転自在に保持されるとともにスピンドルモータによってCLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angular Velocity)又はこれらの組み合わせで回転駆動される。また光ピックアップ機構は、回転駆動されている光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う。
【0005】
ところで、記録可能な光ディスクに対応したディスクドライブ装置においては、書き込み速度の高速化の要求に伴い、ディスク回転駆動機構による光ディスクの回転速度も増加する傾向にある。たとえば、追記録型のDVDに対して高倍速記録を行うディスクドライブ装置では、従来の4倍速記録から8倍速記録に移行すると、スピンドルモータによるDVDの回転速度は9000rpm以上にもなる。
【0006】
このとき、光ディスクに亀裂やキズ等があると、回転駆動中に光ディスクが粉砕し、その破片が装置本体の矩形開口部より外部へ飛散するおそれがある。すなわち、ユーザが光ディスクを長く使用していくうちに、たとえば誤って光ディスクを落下させてしまったり、ディスクケースから光ディスクを取り出す際などに光ディスクに無理な力が加わり、ディスクの中心孔周辺等に亀裂やキズが発生することがある。また、市販されている光ディスクの中には高速回転駆動に対する耐久性を持たない粗悪品が出回ることもある。
【0007】
このような亀裂が生じた光ディスクや耐久性を欠く粗悪品等の欠陥ディスクが高速で回転駆動されると、光ディスクが割れてディスクトレイの収納凹部に設けられた周壁に接触するなどし、粉砕されることがある。そして、光ディスクが粉砕されることによって生じた破片は、光ディスクの高速回転に伴うエネルギーを受けてディスクドライブ装置内に飛散し装置本体内に設けられた各種構成部品を破損するほか、その一部は装置本体の前面に設けられた矩形開口部より飛び出し、ユーザ等に危害を加えるおそれもある。また、ディスクドライブ装置の製造過程や、点検、修理等においては、装置本体のトップカバーやフロントパネルが装着されておらずディスクトレイがむき出しのまま光ディスクが回転駆動されることがあるが、この場合に光ディスクが粉砕すると、装置本体の周囲に対して危害を加えるおそれが生じる。
【0008】
かかる光ディスクの破片の飛散を防止するために、ディスクトレイの収納凹部に設けられた周壁を高く形成したり矩形開口部を覆う回動カバー等を更に設けたディスクドライブ装置や、収納凹部の周壁に加えて、別途光ディスクの近傍に側壁を設けたディスクドライブ装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
しかし、これら収納凹部の周壁を高く形成したり矩形開口部を覆う回動カバー等を更に設けたディスクドライブ装置やディスクトレイに別途側壁を設けたディスクドライブ装置においては、ディスクトレイの大型化を招き、装置本体のデザイン上又は設計上の制約となる。また、回動カバーを設けず、周壁を高く形成したり、ディスクトレイに側壁を形成したのみでは欠陥ディスクが高速で回転駆動されると周壁や側壁と接触して粉砕されるため、その細かな破片は装置本体の矩形開口部より飛散してしまう。
【0010】
【特許文献1】特開平3−104053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、亀裂が生じた光ディスクや耐久性を欠く粗悪品の光ディスク等の欠陥ディスクが用いられ、高速で回転駆動されたときにも、光ディスクの粉砕を抑え、その破片による被害を最小に抑えることができるディスクドライブ装置及びディスクドライブ装置用のディスクトレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明にかかるディスクトレイは、ディスク状記録媒体が収納される収納凹部を有し、搬送機構に支持されることにより装置本体の前面に設けられた開口部から該装置本体の内外に亘って搬送されるディスクトレイにおいて、上記ディスク状記録媒体を収納する収納凹部の周面には緩衝材が貼り付けられている。
【0013】
また、本発明にかかるディスクドライブ装置は、装置本体と、上記装置本体内に設けられ、ディスク状記録媒体を収納する収納凹部が設けられたディスクトレイと、上記ディスクトレイを上記装置本体の前面に設けられた開口部より該装置本体の内外に亘って搬送する搬送機構と、上記装置本体内に搬送されたディスク状記録媒体を保持すると共に回転駆動するディスク回転駆動機構と、上記回転駆動されたディスク状記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う記録再生機構とを備え、上記ディスクトレイは、収納凹部の周面に緩衝材が貼り付けられている。
【発明の効果】
【0014】
このようなディスクトレイ及びディスクドライブ装置によれば、光ディスクに対して高速記録を行う際に光ディスクが高速回転された場合において、光ディスクに亀裂やキズ等があることにより、高速回転に伴う負荷により光ディスクが割れた場合にも、ディスクトレイに形成された収納凹部の周面に緩衝材が貼り付けられているため、この緩衝材により周面への衝突による衝撃が弱められる。したがって、光ディスクの破片は大きなものとなり、粉砕されることによる細かな破片が発生せず、光ディスクの細かな破片が飛散することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明が適用されたディスクトレイ及びディスクドライブ装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。このディスクドライブ装置1は、CD、DVDといった光ディスクに記録された情報の再生を行い、またCD−RやDVD−R、DVD−RWといった信号記録可能な光ディスクに対して情報の書き込みを行うことができるディスクドライブ装置であり、直径が12cmの標準ディスクの他、直径が8cmの小径ディスクにも対応可能とされている。
【0016】
また、ディスクドライブ装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体3の内外に亘って水平方向に移動操作されるディスクトレイ4を備え、装置本体3の前面側に引き出されたディスクトレイ4に光ディスク2を載置した後、このディスクトレイ4を装置本体3内に引き込むことにより光ディスク2のローディングを行う。次いで、装置本体が組み込まれたホスト機器のホストコンピュータから記録又は再生指令信号が入力されると、スピンドルモータが駆動され、ディスクテーブル上に載置された光ディスク2が、一定線速度(CLV)又は一定角速度(CAV)によって回転駆動される。また、この光ディスク2の回転の開始とともに、光ピックアップ装置が駆動され、光ディスク2に対して記録データの読み出しや書き込みを行うものである。
【0017】
このディスクドライブ装置1の外筐となる装置本体3は、図1乃至図3に示すように、下部筐体である略扁平箱状のボトムケース6と、このボトムケース6を上方から覆うトップカバー7と、後述するディスクトレイ4が引き出される開口部9が形成されたフロントパネル8とから構成されている。ボトムケース6及びトップカバー7は共に薄い板金からなり、ボトムケース6に断面略コ字状のトップカバー7が係合されるとともに、長手方向の前面側にフロントパネル8が取り付けられている。フロントパネル8には、ディスクトレイ4が装置本体3の内外に亘って搬送される際のトレイ出入り口となる開口部9と、ディスクドライブ装置1の操作状況を光の点灯等により示す表示部10と、ディスクトレイ4の開閉操作を行う操作釦11等が形成されている。
【0018】
かかる装置本体2の内部には、図3に示すように、薄い金属板を打ち抜いて折曲形成されたシャーシ14が配設されている。このシャーシ14には、光ディスク2を装置本体3外のディスク着脱位置と装置本体3内のディスクローディング位置とに亘って搬送するディスクトレイ4と、ディスクトレイ4を搬送するトレイ搬送機構15と、ローディング位置に搬送された光ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構16と、回転駆動されている光ディスク2に対して情報信号の書き込み又は読み出しを行う光ピックアップ機構17とが設けられている。
【0019】
フロントパネル8の開口部9より装置本体3の内外に亘って搬送操作されるディスクトレイ4は、ABS樹脂等の合成樹脂材料を矩形板状に成形して形成されてなるもので、図2に示すように、長手方向の先端4a側に光ディスク2を収納保持するディスク保持部21と、ディスク保持部21の中央部から装置本体3の内方側に位置する後端側に亘って後述するディスク回転駆動機構16及び光ピックアップ機構17を光ディスク2の信号記録面側に臨ませる開口部22が形成されている。
【0020】
そして、ディスクトレイ4は、後述するトレイ搬送機構15によってフロントパネル8の開口部9より装置本体3の内外に亘って、図2中矢印A1方向又はA2方向に搬送される。また、ディスクトレイ4は、トレイの先端部4aがフロントパネル8の開口部9と略同一の大きさに形成され、図1に示すように、装置本体3内に搬送されたときに、トレイの先端部4aが開口部9を閉塞する。
【0021】
ディスク保持部21は、直径が12cmの標準の光ディスク2を収納保持する略円形の凹部が形成されている。ディスク保持部21は、光ディスク12の外径よりもやや大きく形成され、周囲に円弧状に立ち上がり形成された周壁24が形成されている。周壁24は、ディスク保持部21に収納された光ディスク2の厚さと同一かやや高い高さを有し、ディスク回転駆動機構16に回転駆動されている光ディスク2の外周面2aと対向される。この周壁24は、光ディスク2の挿脱を容易にさせるための切欠き部23が形成されている。
【0022】
また、図4に示すように、周壁24は、光ディスク2をディスク保持部21の中心にガイドする傾斜が設けられると共に、亀裂が生じた光ディスク2や耐久性を欠く粗悪品の光ディスク2が高速回転されることにより割れたときに光ディスク2の粉砕を防止又は低減させる弾性カバー25が貼着されている。
【0023】
弾性カバー25は、衝撃吸収機能に優れるポロン等の弾性部材を長尺状に加工したものが用いられ、周壁24の一部又は切欠き部23を除く全周にかけて接着剤等を用いて貼着されている。この弾性カバー25は、光ディスク2が割れて周壁24と衝突した際の衝撃を吸収する緩衝材となるものであり、周壁24に光ディスク2が衝突しても粉砕してしまうことを防止することができる。また、弾性カバー25は、周壁24がディスク回転駆動機構16に回転駆動されている光ディスク2の外周面2aと対向されることから、同様に、図5及び図6に示すように、回転駆動中の光ディスク2の外周面2aと対向した位置に設けられる。したがって、高速回転に伴う負荷により光ディスク2が割れたときにも、弾性カバー25によって衝撃が吸収されて光ディスク2の破片は大きなものとなり、粉砕されることによる細かな破片が発生しない。従って、ディスクドライブ装置1は、光ディスク2の破片がフロントパネル8の開口部9より飛散することがなく、被害を最小に抑えることができる。
【0024】
また、弾性カバー25は、周壁24の一部、たとえばディスクトレイ4の先端4a側にのみ貼着してもよい。この場合にも、弾性カバー25は、光ディスク2が周壁24に衝突する際の衝撃を吸収し、光ディスク2が細かく粉砕することを防止できるとともに、ディスクトレイ4が装置本体3内に搬送されることによりフロントパネル8の開口部9側に位置する先端4a側に設けられているため、開口部9近傍において光ディスク2が細かく粉砕されことを防止でき、開口部9近傍で光ディスク2の細かな破片が発生しないため開口部9から光ディスク2の破片が飛散することを防止することができる。
【0025】
なお、本発明が適用されたディスクドライブ装置1は、弾性カバー25に換えて、ディスク保持部21の周壁24に、衝撃吸収機能を有するゴム塗装を施してもよい。
【0026】
上述したように、このディスクトレイ4のディスク保持部21は、直径を12cmとする光ディスク2を保持できる大きさに形成されているが、その内側には、ディスク保持部21と中心を一致させて小径の、例えば直径を8cmとする光ディスク2を保持するための補助ディスク保持部21aが設けられている。この補助ディスク保持部21aは、ディスク保持部21の底面部に直径8cmの光ディスク2と略同一の大きさからなる凹部を設けることによって形成されている。
【0027】
また、ディスクトレイ4は搬送方向と平行な相対向する両側部に、左右一対のガイドレール28,28が一体に形成されている。更に、このディスクトレイ4は、底面側の一側部に、トレイ搬送機構15の送りギア29と噛合するラックギア30が設けられている。また、ディスクトレイ4は、図3に示すように、シャーシ14の相対向する左右の側板14a,14bの内側に取り付けられた合成樹脂からなる複数のトレイガイド部32によって左右一対のガイドレール28,28が支持され、これらトレイガイド部32に案内されて装置本体3の内外に亘る方向に移動するようになっている。
【0028】
ディスクトレイ4を装置本体3の内外に亘って移動操作させるトレイ搬送機構15は、図3に示すように、装置本体3内に配設されたシャーシ14の前面側に配設されている。このトレイ搬送機構15は、図3に示すように、シャーシ14の前面側の底面に取り付けられた図示しないローディングモータと、このローディングモータの回転軸に取り付けられた駆動ギアに噛合し且つ当該ローディングモータによって回転操作されるトレイ送りギア29を備えている。
【0029】
トレイ送りギア29は、ラックギア30と噛合されることによりディスクトレイ4に連結されている。従って、ディスクトレイ4は、ローディングモータが駆動することにより、トレイ送りギア29を介して装置本体3の内外に亘って送り操作される。
【0030】
また、トレイ搬送機構15には、後述するように、シャーシ14に取り付けられるディスク回転駆動機構16を構成するスピンドルモータを昇降操作する昇降操作板33を移動操作するギア部材が設けられている。このギア部材は、トレイ送りギア29と噛合され、ローディングモータが回転駆動されることにより、昇降操作板33を移動操作するものである。
【0031】
この昇降操作板33の、シャーシ14の底面に垂直に立上げて形成された立上げ片33aには、図3に示すように、傾斜カム溝34が設けられている。この傾斜カム溝34は、図3において右上がりに形成されていて、ディスク回転駆動機構16の昇降操作ピン36が摺動可能に係合されている。これにより、昇降操作板33が同図中ディスクトレイ4の搬送方向と直交する方向に移動操作されることにより、昇降操作ピン36が傾斜カム溝34に沿って移動し、ディスク回転駆動機構16側のスピンドルモータ43が、シャーシ14上を移動するディスクトレイ4に対して接近又は離間するよう上下方向に移動される。
【0032】
このスピンドルモータ43の昇降動作は、ディスクトレイ4が装置本体3内に収納された状態で行われる。これは、ディスクトレイ4がスピンドルモータ43側に移動することにより、その移動途中でディスクトレイ4がスピンドルモータ43に衝突することを回避するためである。そのため、昇降操作板33を移動操作するギア部材は、ディスクトレイ4の移動位置に応じて操作が規制されるようになっている。そして、この昇降操作板33が移動操作されると、昇降操作ピン36が傾斜カム溝34に沿って、下部位置と上部位置との間に亘って移動する。
【0033】
次に、上述したようなディスクトレイ4に保持されて装置本体3内に搬送された光ディスク2が装着され、この光ディスク2を回転自在に支持するディスク回転駆動機構16について説明する。ディスク回転駆動機構16は、光ディスク2を回転自在に支持するディスクテーブル42と、ディスクテーブル42を回転駆動するスピンドルモータ43と、ディスクテーブル42上に載置された光ディスク2をディスクテーブル42と協働してクランプするディスククランパー44とを有する。
【0034】
ディスク回転駆動機構16のディスクテーブル42及びスピンドルモータ43は、シャーシ14に上下方向へ傾動可能に支持される第1の支持フレーム41に取り付けられ、そして、ディスククランパー44は、図3に示すように、シャーシ14の上部に橋を掛けるように取り付けられている。ディスクテーブル42及びスピンドルモータ43が取り付けられる第1の支持フレーム41は、薄い金属板を打ち抜き、周縁部を下方へ折り曲げるようにして、矩形状に形成されている。この第1の支持フレーム41は、中央部に第2の支持フレーム45に取り付けられた光ピックアップ装置50を臨ませる略矩形状をなす開口部が切欠き形成されている。
【0035】
また、第1の支持フレーム41は前端側に上述した昇降操作板33の傾斜カム溝34に係合される昇降操作ピン36が形成された立壁が設けられ、この昇降操作ピン36が傾斜カム溝34を移動するに伴い、昇降操作される。そして、ディスクテーブル42及びスピンドルモータ43は、第1の支持フレーム41の前端側、即ち、第1の支持フレーム41がシャーシ14に支持されて装置本体3内に配置されたとき、開口部9側に位置する側に取り付けられ、第1の支持フレーム41とともに昇降操作される。
【0036】
また、このディスクテーブル42の上面中央部には、これに載置される光ディスク2の中心穴2bが係合されるセンタリング部材46が、スピンドル軸47の軸方向に進退可能なように取り付けられている。そしてスピンドルモータ43が上昇操作されると、光ディスク2の中心孔2bにセンタリング部材が挿入するとともに、ディスククランパー44とディスクテーブル42とで光ディスク2を挟持することにより、光ディスク2をディスクテーブル42に回転可能に保持する。
【0037】
次いで、ディスク回転駆動機構16のディスクテーブル42に支持された光ディスク2に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ機構17について説明する。光ピックアップ機構17は、対物レンズを備え所定の波長のレーザ光を光ディスク2の信号記録面に対して照射する光ピックアップ装置50と、この光ピックアップ装置50を光ディスク2の径方向に移動させるピックアップ移動機構51とを有する。
【0038】
この光ピックアップ機構17は、第1の支持フレーム41に上下方向へ傾動可能に支持される第2の支持フレーム45に独立して取り付けられ、第1の支持フレーム41に設けられた開口部よりディスク回転駆動機構16に回転自在に保持された光ディスク2の信号記録面と対物レンズとが対峙される。
【0039】
このディスクドライブ装置1は、CD等のような記録密度が標準である標準密度ディスクと、DVD等のような高記録密度化が図られた高密度ディスクとを選択的に記録及び/又は再生可能とするために、この装置に用いられる光ピックアップ装置50には、複数の光ディスク2のディスクフォーマットに応じた受発光素子及び光学系が形成され、各光ディスク2に対応した波長のレーザ光の受発光を行うピックアップ部52が備えられている。
【0040】
光ピックアップ装置50を光ディスク2の径方向に移動させるピックアップ移動機構51は、光ピックアップ装置50の装置本体に挿通することにより移動をガイドするガイド軸55と、送りモータ56と、送りモータ56の駆動力を光ピックアップ装置50に伝達するギア機構57とを有する。
【0041】
ガイド軸55は第2の支持フレーム45に立設された支持片によって光ディスク2の半径方向と平行に支持されている。このガイド軸55には、光ピックアップ装置50の装置本体に設けられた挿通孔に挿通され、これにより光ピックアップ装置50はガイド軸55にガイドされて光ディスク2の半径方向に移動可能とされている。
【0042】
送りモータ56は、ギア機構57を介して光ピックアップ装置50と連結され、送りモータ56が駆動されると、ギア機構を介して光ピックアップ装置50が駆動力を受けて搬送される。
【0043】
なお、第1の支持フレーム41の前端側の端面の略中央部には、上述したように、シャーシ14上に配設された昇降操作板33の傾斜カム溝34に係合される昇降操作ピン36が突設されている。そして、第1の支持フレーム41の後端側の両側には、インシュレータ取付部58,59が設けられており、これらインシュレータ取付部58,59には、ゴム等の弾性部材からなるインシュレータ60,61が取り付けられている。これらインシュレータ60,61をシャーシ14に立設された支持軸に支持させることにより、第1の支持フレーム41がシャーシ14上に弾性的に支持されている。
【0044】
このように、第1の支持フレーム41は、後端側の両側が弾性変位可能な一対のインシュレータ60,61を介してシャーシ14上に支持され、前端側の昇降操作ピン36が昇降操作板33の傾斜カム溝34に係合支持されている。そして、昇降操作板33が図3においてディスクトレイ4の搬送方向と直交する方向に移動操作され、昇降操作ピン36が傾斜カム溝34に沿って上下方向に移動されることにより、一対のインシュレータ60,61を支点として第1の支持フレーム41が上下方向へ回動操作される。その結果、第1の支持フレーム41の前端側に取り付けられたディスク回転駆動機構16が、ディスクトレイ4に対して昇降動作されることになる。
【0045】
上述したような構成を有するディスクドライブ装置1によって、光ディスク2に対して情報信号の記録及び/又は再生する動作を説明する。ここで、光ディスク2としては、直径を12cmとするCDやCD−ROM、DVDやDVD−R等が用いられる。
【0046】
まず、このディスクドライブ装置1に電源を投入し、ディスクトレイ4を装置本体3の前方に引き出す。そして、フロントパネル8の開口部9から前方に引き出されたディスクトレイ4のディスク保持部21に光ディスク2を載置し、その後、ディスクトレイ4を押し込み又操作釦11を操作する等して、ディスクトレイ4を装置本体3内に移動させるローディング操作を行う。
【0047】
このとき、ディスクトレイ4が装置本体3の内方に移動されると、詳細を省略するローディング検出スイッチによってローディング位置に移動されたことが検出され、ローディングモータが一旦停止される。そして、このローディングモータが逆方向に回転駆動される。この際、ローディングモータが逆転駆動されると、昇降操作板33が移動し、ディスク回転駆動機構16の第1の支持フレーム41に設けた昇降操作ピン36が、傾斜カム溝34の下部位置から上部位置に移動される。
【0048】
これにより、第1の支持フレーム41がディスクトレイ4側に向かって上昇する。そして、ディスクテーブル42がディスクトレイ4の底面開口22内に入り込み、ディスクトレイ4に保持された光ディスク2がディスクテーブル42上に載置される。これと略同時に、ディスククランパー44がディスクテーブル42側に圧着され、光ディスク2をクランプしてディスクテーブル42と一体に回転可能な状態となる。
【0049】
このとき、光ディスク2をディスクテーブル42にクランプさせる位置まで第1の支持フレーム41が移動すると、ローディングモータが停止されてローディングの完了が検出される。ローディングの完了が検出されると、ディスク回転駆動機構16のスピンドルモータ43が駆動を開始する。
【0050】
そして、光ディスク2から情報信号を読み出して再生する前に、記録又は再生の対象となる光ディスク2がCD等の標準密度ディスクであるかDVD等の高密度ディスクであるかを判定する。そして、再生の対象となる光ディスク2の種類に応じて、光ピックアップ機構17のピックアップ部52の光学系を選択して、情報信号の記録又は再生を実行する。
【0051】
このとき、DVD−RW等の高速記録を行う際には例えば8倍速記録おいて、光ディスク2の回転速度は9000rpm以上となる。ここで、光ディスク2に亀裂やキズ等があることにより、高速回転に伴う負荷により光ディスク2が割れた場合にも、ディスクトレイ4に形成されたディスク保持部21の周壁24に弾性カバー25が貼り付けられているため、この弾性カバー25により周壁24への衝突による衝撃が弱められる。したがって、光ディスク2の破片は大きなものとなり、粉砕されることによる細かな破片が発生せず、光ディスク2の破片がフロントパネル8の開口部9より飛散することを防止することができる。
【0052】
次に、利用者がデータ再生を終了するための操作を行うと、スピンドルモータ43の回転動作を停止すると共に、光ピックアップ機構17の再生動作を終了する。また、光ディスク2がディスクテーブル42から脱離されてディスクトレイ4上に載置される。そして、ディスクトレイ4が引き出され、ディスク保持部21が装置本体3の前方に露出されることにより、イジェクト動作が終了して、光ディスク2を取り出すことができる状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明が適用されたディスクドライブ装置を示す斜視図である。
【図2】ディスクトレイが排出されたディスクドライブ装置を示す斜視図である。
【図3】ディスクドライブ装置の内部を示す斜視図である。
【図4】ディスクトレイの周壁に設けられた弾性カバーを示す斜視図である。
【図5】光ディスクを回転可能に保持したディスクドライブ装置を示す断面図である。
【図6】光ディスクが収納されたディスクトレイを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ディスクトレイ、2 光ディスク、3 装置本体、4 ディスクトレイ、8 フロントパネル、9 開口部、14 シャーシ、15 トレイ搬送機構、16 ディスク回転駆動機構、17 光ピックアップ機構、21 ディスク保持部、22 開口部、23 切欠き部、24 周壁、25 弾性カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状記録媒体が収納される収納凹部を有し、搬送機構に支持されることにより装置本体の前面に設けられた開口部から該装置本体の内外に亘って搬送されるディスクトレイにおいて、
上記ディスク状記録媒体を収納する収納凹部の周面には緩衝材が貼り付けられているディスクトレイ。
【請求項2】
上記緩衝材は、上記収納凹部に収納されたディスク状記録媒体の外周面と対向する面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1記載のディスクトレイ。
【請求項3】
上記緩衝材は、少なくとも上記装置本体内に搬送されたディスクトレイの上記開口部側に貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載のディスクトレイ。
【請求項4】
装置本体と、
上記装置本体内に設けられ、ディスク状記録媒体を収納する収納凹部が設けられたディスクトレイと、
上記ディスクトレイを上記装置本体の前面に設けられた開口部より該装置本体の内外に亘って搬送する搬送機構と、
上記装置本体内に搬送されたディスク状記録媒体を保持すると共に回転駆動するディスク回転駆動機構と、
上記回転駆動されたディスク状記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う記録再生機構とを備え、
上記ディスクトレイは、収納凹部の周面に緩衝材が貼り付けられているディスクドライブ装置。
【請求項5】
上記緩衝材は、上記ディスクトレイの収納凹部に収納されたディスク状記録媒体の外周面と対向する面に貼り付けられていることを特徴とする請求項4記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
上記緩衝材は、少なくとも上記装置本体内に搬送されたディスクトレイの上記開口部側に貼り付けられていることを特徴とする請求項5記載のディスクドライブ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−103082(P2008−103082A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10844(P2008−10844)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【分割の表示】特願2004−267403(P2004−267403)の分割
【原出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】