説明

ディスクブレーキ装置

【課題】スライドピンに負荷される制動トルクを分散させると共に、ラトル音やクロンク音(カチン音)を抑制することのできるディスクブレーキ装置を提供する。
【解決手段】プレッシャプレート60は、ロータの回入側と回出側に一対、スライドピン24a,24bを挿通させるための貫通孔と、プレッシャプレート60を係止するパッドクリップを備え、一対の貫通孔間の中心ピッチがスライドピン24a,24b間の中心ピッチよりも大であり、パッドクリップは、アウタパッド58を爪部18に付勢させる第1バネ部94と、プレッシャプレート60をスライドピン24a,24bに付勢させ、一対の貫通孔66a,66bの内周面に、それぞれスライドピン24a,24bを当接させる第2バネ部96からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクブレーキ装置に係り、特にブレーキパッドをピンスライドさせるフローティング型のディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキパッドをピンスライドさせるタイプのフローティング型ディスクブレーキとしては、特許文献1に開示されているものが知られている。特許文献1に開示されているディスクブレーキ装置は、図28に示すように、ブレーキパッド2を構成するプレッシャプレート2aにおけるロータ回入側と回出側とのそれぞれに設けたアーム部3に、スライドピン5a,5bに当接する二股部4が形成されたものである。このような構成とすることで、ブレーキパッド2はスライドピン5a,5bに支持された状態を保ちつつ、ロータの軸方向へのスライドを実現することができる。
【0003】
しかし、このような構成のディスクブレーキ装置1では、制動時に回出側のスライドピン5bのみにトルク(制動トルク)が作用し、強度不足を補うために、スライドピン5bの直径を大径化する必要があった。しかしこの場合、ディスクブレーキ装置1の大型化、重量化などの問題が生ずる。また、ブレーキパッド2とスライドピン5a,5bとの間には拘束手段が無いため、車両走行時にはスライドピン5a,5bとブレーキパッド2との間でラトル音が生ずることとなり、制動時にはクロンク音(カチン音)が生ずることとなる。
【0004】
このような問題に対し、回出側のスライドピンに負荷される制動トルクを回入側に配置されたスライドピンにも分散させる構成を採用したディスクブレーキ装置として、特許文献2に開示されているものがある。特許文献2に開示されているディスクブレーキ装置では、ブレーキパッドの取り付け部に、スライドピンを挿通させるための貫通孔を設けている。このような構成とすることで、回出側のスライドピンにはブレーキパッドから押し方向の制動トルクが作用し、回入側のスライドピンにはブレーキパッドから引き方向の制動トルクが作用することとなり、制動時に生ずる制動トルクの分散が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭55−142127号公報
【特許文献2】特表2006−520448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されているような構成のディスクブレーキ装置であれば、スライドピンに負荷される制動トルクの分散を図ることができる。しかし特許文献2に開示されているディスクブレーキ装置でも、ブレーキパッドは拘束されていないため、ラトル音やクロンク音(カチン音)についての対策は不十分である。
【0007】
そこで本発明では、ブレーキパッドをピンスライドさせるフローティング型のディスクブレーキ装置であって、スライドピンに負荷される制動トルクを分散させると共に、ラトル音やクロンク音(カチン音)を抑制することのできるディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るディスクブレーキ装置は、キャリパの爪部内壁面に対してアウタパッドのプレッシャプレートを凹凸嵌合させて成るフローティング型のディスクブレーキ装置であって、前記プレッシャプレートは、ロータの回入側と回出側に一対、車両に固定されるサポートから延設されるスライドピンを挿通させるための貫通孔と、前記スライドピンを基点として前記プレッシャプレートを係止するパッドクリップを備え、一対の前記貫通孔間の中心ピッチPと前記スライドピン間の中心ピッチPとの関係が、P>Pであり、前記パッドクリップは、前記爪部の内壁面に設けた凹部に嵌合された前記アウタパッドを前記爪部に付勢させる第1バネ部と、前記プレッシャプレートを前記スライドピンに付勢させ、一対の前記貫通孔のうち、ロータ回入側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向外側のロータ回出側に位置する内周面に、ロータ回出側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向外側のロータ回入側に位置する内周面に、それぞれ前記スライドピンを当接させる第2バネ部からなることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明に係るディスクブレーキ装置としては、キャリパの爪部内壁面に対してアウタパッドのプレッシャプレートを凹凸嵌合させて成るフローティング型のディスクブレーキ装置であって、前記プレッシャプレートは、ロータの回入側と回出側に一対、車両に固定されるサポートから延設されるスライドピンを挿通させるための貫通孔と、前記スライドピンを基点として前記プレッシャプレートを係止するパッドクリップを備え、一対の前記貫通孔間の中心ピッチPと前記スライドピン間の中心ピッチPとの関係が、P<Pであり、前記パッドクリップは、前記爪部の内壁面に設けた凹部に嵌合された前記アウタパッドを前記爪部に付勢させる第1バネ部と、前記プレッシャプレートを前記スライドピンに付勢させ、一対の前記貫通孔のうち、ロータ回入側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向内側のロータ回入側に位置する内周面に、ロータ回出側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向内側のロータ回出側に位置する内周面に、それぞれ前記スライドピンを当接させる第2バネ部からなることを特徴とするものであっても良い。
この場合において、前記パッドクリップは、前記プレッシャプレートに固定される基部と、前記第1及び第2バネ部を一体的に形成するとよい。
【発明の効果】
【0010】
上記のような特徴を有するディスクブレーキ装置によれば、スライドピンに負荷される制動トルクを分散させると共に、ラトル音やクロンク音(カチン音)を抑制することが可能となる。
またスライドピンに安定接触するアウタパッドを介してキャリパボディを安定させることができる。よって、アウタパッドがロータ側へ倒れ込むことを防止することができ、アウタパッドの偏摩耗を抑制することができる。
【0011】
またパッドクリップの構成を簡易かつ小型なものとすることができる。また、展開状態での平面形態をシンプルなものとすることで、板取性が良好となり、第1及び第2バネ部を折り曲げ加工して一体的に形成することにより、部品点数を減らして、製造コストを安価とすることができる。
また基部からバネ部の作用点までの距離を長くすることにより、荷重ばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置の平面図である。
【図2】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置の正面図である。
【図3】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置の右側面図である。
【図4】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置の右下面側斜視図である。
【図5】実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるスライドピンと係合部の構成を示す図である。
【図6】アウタパッドおよびパッドクリップの係合状態を示す斜視図である。
【図7】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置のアウタパッドにおける貫通孔のピッチPとスライドピンのピッチPの関係、および制動トルク負荷時の様子を説明するための図である。
【図8】第1の実施形態に係るパッドクリップの平面図である。
【図9】第1の実施形態に係るパッドクリップの正面図である。
【図10】第1の実施形態に係るパッドクリップの右側面図である。
【図11】第1の実施形態に係る一対のパッドクリップのうちの一方の斜視図である。
【図12】第1の実施形態に係る一対のパッドクリップのうちの他方の斜視図である。
【図13】パッドクリップの展開平面図である。
【図14】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図15】第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるロータ回入側のスライドピンとアウタパッドの貫通孔との動作関係示す説明図である。
【図16】貫通孔の一部壁面が欠落している場合の例を示す図である。
【図17】貫通孔を楕円とした場合の例を示す図である。
【図18】貫通孔を長円とした場合の例を示す図である。
【図19】貫通孔を半円と方形の組み合わせにより構成した場合の例を示す図である。
【図20】第1の実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力がロータ回転方向と逆向きとなる構成の一例を示す図である。
【図21】第1の実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力がロータ回転方向と同一方向となる構成の一例を示す図である。
【図22】第1の実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力が逆転した場合におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図23】第2の実施形態に係るディスクブレーキ装置の右下面側斜視図である。
【図24】第2の実施形態に係るディスクブレーキ装置の正面図である。
【図25】第2の実施形態に係るディスクブレーキ装置のアウタパッドにおける貫通孔のピッチPとスライドピンのピッチPの関係、および制動トルク負荷時の様子を説明するための図である。
【図26】第2の実施形態に係るディスクブレーキ装置におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図27】第2の実施形態において制動時にアウタパッドに生ずる偶力が逆転した場合におけるスライドピンに対するアウタパッドの押し付け形態を示す図である。
【図28】ピンスライドを採用した従来のディスクブレーキ装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のディスクブレーキ装置に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図1は第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置に係る平面図であり、図2は正面図であり、図3は右側面図である。また、図4は第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置の右下面側斜視図である。
【0014】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10は、サポート38と、このサポート38に係合するスライドピン24(24a,24b)、およびスライドピン24に係合するキャリパ12、並びにブレーキパッド(インナパッド52,アウタパッド58)を基本として構成される。
【0015】
サポート38は、ディスクブレーキ装置10を車両に固定すると共に、車輪と共に回転するロータ(不図示)の制動トルクを受け止めるトルク受けとしての役割を担う。サポート38は、詳細を後述するスライドピン24を係合させるために設けられる一対のトルク受け部40(40a,40b)と、一対のトルク受け部40を連結するサポートブリッジ部46とを有し、全体形状として略コ字状を成す。
【0016】
トルク受け部40の先端側にはそれぞれ、スライドピン24を係合させるためのネジ孔42(図5参照)が設けられている。トルク受け部40とサポートブリッジ部46との接合箇所には、サポート38を車両等に固定するための取付孔44が設けられている。また、一対のトルク受け部40の対向する側面には、対向位置に、略コ字状の凹部48が形成されている。凹部48は、詳細を後述するインナパッド52(ブレーキパッド)を保持すると共に摺動させるための摺動レールとしての役割を担う。
【0017】
スライドピン24は、上述したサポート38のトルク受け部40に設けられたネジ孔42に螺合され、詳細を後述するキャリパ12とアウタパッド58(ブレーキパッド)の摺動レールとしての役割を担うと共に、制動時には、アウタパッド58のトルク受けとしての役割も担う。
【0018】
スライドピンは図5に示すように、サポート38との螺合部30を基点として、先端側にアウタパッド58の摺動部を有し、基端側にキャリパ12の摺動部を有することとなる。このため、スライドピン24は、締付けのためのボルト頭26とキャリパ摺動部28、螺合部30、およびアウタパッド摺動部32を有することとなる。本実施形態に係るキャリパ12は詳細を後述するように、アーム部20に設けられた貫通孔22を介してスライドピン24に係合し、また、貫通孔22とスライドピン24との間には、スリーブ34とブーツ36が設けられる。スリーブ34は、キャリパ12のスライド量を確保する。一方ブーツ36は、スリーブ34と貫通孔22との間の摺動部にダストが付着することを防止すると共に、スリーブ34と貫通孔22とのダンピング機能を有する。
【0019】
キャリパ12は、キャリパ本体14と爪部18、キャリパブリッジ部16、およびアーム部20を基本として構成される。キャリパ本体14には、図示しないロータのインナ側に配置され、少なくともシリンダ(不図示)と、ピストン15が設けられる。シリンダ内には、ブレーキ操作により作動油が流入し、流入した作動油を介してピストン15が押し出され、詳細を後述するインナパッド52におけるプレッシャプレート54を押圧することとなる。シリンダの開口部とピストン15の先端部の間には、蛇腹状のピストンブーツ(不図示)が設けられ、摺動部へのダストの付着防止が図られている。
【0020】
爪部18は、ロータを介してキャリパ本体14と反対側、すなわちロータのアウタ側に配置され、詳細を後述するアウタパッド58を支持する役割を担う。爪部18は、詳細を後述するキャリパブリッジ部16を基点として、ロータ半径方向内側へ向けて延設されている。このため、爪部18とキャリパ本体14とはロータを介して対向する位置に設けられる。また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、爪部18におけるロータの回入側と回出側の双方に貫通孔18a,18aが設けられ、詳細を後述するアウタパッド58の凸部を爪部18の内壁に凹凸嵌合可能な構成としている。なお貫通孔18a,18bにかえて有底の袋穴としてもよい。
【0021】
アーム部20は、キャリパ本体14から両端側(ロータの回入側と回出側)へ延設された係合部である。アーム部20の先端側には、スライドピン24におけるキャリパ摺動部28に係合するための貫通孔22(図5参照)が設けられており、この貫通孔22を介してスライドピン24との係合が成される。
【0022】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10ではブレーキパッドとして、サポート38に設けられた凹部48を摺動するインナパッド52と、スライドピン24a,24bを摺動するアウタパッド58とを備える。なお、インナパッド52、アウタパッド58共に、プレッシャプレート54,60と、プレッシャプレート54,60に添着された摩擦部材であるライニング56,62とを基本として構成される。
【0023】
インナパッド52におけるプレッシャプレート54は、ライニング56よりも一回り大きな金属の平板により略扇状に形成されたプレート本体と、このプレート本体の両端に突設された耳部(不図示)を有する。プレッシャプレート54の耳部をサポート38に形成された凹部48に遊嵌させることで、インナパッド52がロータの軸方向へスライド可能となる。なお、サポート38の凹部48には、金属板により構成されたパッドクリップ50が設けられ、インナパッド52がロータ軸方向へ摺動する際の摺動抵抗の低減と走行時の引き摺り防止が図られている。
【0024】
アウタパッド58におけるプレッシャプレート60は図6に示すように、ライニング62よりも一回り大きな金属の平板により略扇状に形成されたプレート本体60aと、このプレート本体60aの両端に、プレート本体60aを基点として略V字状となるように突設されたアーム部60bおよびアーム部60bの先端側に形成された貫通孔66(66a,66b)を有する。貫通孔66はスライドピン24よりも径大に形成されている。アウタパッド58は、アーム部60bの貫通孔66にスライドピン24におけるアウタパッド摺動部32を挿通させることで、スライドピン24上での摺動が可能となる。また、アウタパッド58におけるプレッシャプレート60のライニング添着面と反対側の爪部18との当接面には、キャリパ12の爪部18に設けた貫通孔18aに対応する位置に、一対の第1凸部64が形成されている。一対の第1凸部64を爪部18の貫通孔18a(凹部)に嵌合させることで、キャリパ12をアウタパッド58に対して安定保持させることが可能となる。
【0025】
また、本実施形態に係るアウタパッド58は、プレート本体60aとアーム部60bの間に一対の第2凸部60cが設けられている。第2凸部60cには後述するパッドクリップ90が固定される。
【0026】
また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、アウタパッド58における貫通孔66a,66bの中心ピッチPと、スライドピン24a,24bの中心ピッチPとが
>P
の関係を満たすように、貫通孔66a,66bのピッチPが定められている。このような構成とした場合図7に示すように、制動初期時等の低制動トルク発生時には回出側に配置されたスライドピン24bのみに貫通孔66bの内壁が接触し、スライドピン24bのみに制動トルクが負荷されることとなる。一方、高い制動トルクが生じた場合には、回出側に配置されたスライドピン24bが制動トルク負荷方向に撓み、回入側に配置されたスライドピン24aに貫通孔66aの内壁が接触することとなり、一対のスライドピン24a,24bに制動トルクが分散されることとなる。このように、制動トルクの高低に応じて制動トルクを分散させることを可能にすることで、スライドピン24の大径化等、強度補強を行う必要性がなくなり、スライドピンの大径化に伴う重量増加等を抑制することができる。
【0027】
本実施形態に係るパッドクリップ90は、図8〜図13に詳細を示すように、基部92と第1バネ部94、および第2バネ部96を基本として構成されている。なお、図面において、図8はパッドクリップの平面図、図9は正面図、図10は右側面図である。また、図11、および図12は一対のパッドクリップ90a,90bの双方を示す斜視図であり、図13はパッドクリップの展開平面図である。
【0028】
パッドクリップ90は、図13に示すように、基部92に連接された第1支持片93と第2支持片95からなる板状部材を折り曲げ形成することで構成される。第1バネ部94と第2バネ部96とは、バネとして作用する面が直交する関係となるため、折り曲げ加工前の展開状態では、その平面形状は、略S字状、あるいはクランク状の部材となる。なおパッドクリップ90の材質はステンレス鋼などを用いることができる。
【0029】
基部92は、板状部材の中心付近に固定孔92aを備えている。パッドクリップ90は、基部92に設けた固定孔92aを介して、プレッシャプレート60のアーム部60bに定められた第2凸部60c(図2参照)に固定される。なお、パッドクリップ90の固定は、凹凸を利用したカシメ加工や他のクリップ等を用いた挟持、およびネジ止めなどにより行うことができる。
【0030】
パッドクリップ90を構成する第1バネ部94は、第1支持片93を折り曲げて形成することができる。具体的には、第1支持片93における第1折り曲げ部93aを基部92に対して略直交する方向に谷折りし、ついで第2折り曲げ部93bを山折りする。クランク状を成し、基部92に対して略平行となった第1支持片93の先端に位置する第3折り曲げ部93cを波状に折り曲げて接触部を形成する。これにより、第1バネ部94は、キャリパ12の爪部18に係止可能となる。
【0031】
第2バネ部96は、第2支持片95を折り曲げて形成することができる。具体的には、第2支持片95における第1折り曲げ部95aを基部92に対して略直交する方向に谷折りする。第2支持片95に設けられた第2折り曲げ部95b、第3折り曲げ部95cを共に谷折りする。
【0032】
このように構成される本実施形態のパッドクリップ90は、ロータの回入側と回出側に一対配置されることとなるが、図2や図11、図12に示すようにロータの回入側と回出側とで、左右対称な形態となるように構成される。このような形態を構成するには、展開形状からの第1折り曲げ部93a,95aの折り曲げ方向の基準面を異ならせることで可能となる。このような構成のパッドクリップ90は、図13に示すような形態で配置することで、板取性を向上させることができ、端材に相当する面積を少なくすることによって製造コストの削減を図ることができる。
【0033】
パッドクリップ90の取り付けは上述したように、アウタパッド58におけるプレッシャプレート60のアーム部60bに設けられた第2凸部60cにパッドクリップ90の基部92を固定することで成される。そして、第1バネ部94の先端部分を爪部18に係止し、スライドピン24の先端をアウタパッド58の貫通孔66に挿入し、第2バネ部96をスライドピン24のアウタパッド摺動部32に付勢させることで、キャリパ12に対するアウタパッド58の組付けを成す。本実施形態では図2に示すように、ロータ回入側に設けたパッドクリップ90aの第2バネ部96の先は、スライドピン24aを基準としてロータ半径方向内側であってロータ回出側に付勢させ、ロータ回出側に設けたパッドクリップ90bの第2バネ部96の先端は、スライドピン24bを基準としてロータ半径方向内側であってロータ回入側に付勢させている。このような組付け状態とすることで、アウタパッド58はスライドピン24を基点(アース)としてロータ半径方向内側に押下げられる力を受ける。
【0034】
また上記パッドクリップ90を設けたアウタパッド58では、アウタパッド58を爪部18へ固定する際、プレッシャプレート60に設けた凸部64を貫通孔18aへ嵌合させると共に、第1バネ部94により爪部18を挟み込むことで、アウタパッド58を爪部18へ付勢させる。これにより、アウタパッド58の倒れ込みを防ぎ、ライニングの偏摩耗を防止することができる。また、アウタパッド58は、一対のパッドクリップ90により、スライドピン24に対して安定接触することとなる。このため、スライドピン24を介して安定保持されるアウタパッド58に対して爪部18を付勢させることで、キャリパ12のガタツキを防止し、安定させることができる。なお、パッドクリップ90は基部92から第1バネ部94の作用点である先端までの距離を長くすることにより、荷重のバラツキを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、アウタパッド58における貫通孔66の形態を次のようなものとしている。すなわち、スライドピン24を押し付ける側の壁面の平面形態を円弧状とし、押し付け側と反対側の壁面を平坦とし、いわゆる円弧と弦を組み合わせた形態としている。なお、本実施形態の場合、円を弦によって分けられる2つの円弧のうち、弧状部が長い方、すなわち優弧と弦を組み合わせた馬蹄形の貫通孔66を構成している。本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、パッドクリップ90によりアウタパッド58をスライドピン24に押し付ける形態を採っている。このため、スライドピン24を押し付けた側と反対側に位置する貫通孔66の壁面とスライドピン24との間には大きな隙間が生ずることとなる。そして、スライドピン24と貫通孔66の壁面との間に必要以上の隙間を設けた場合、スライドピン24と貫通孔66との間でのラトル音が増大する要因となる。よって、その隙間を埋めるように貫通孔66の一部を狭めることで、無用なガタツキを防止し、ラトル音の抑制を成すことができる。
【0036】
このような構成を有するディスクブレーキ装置10によれば、爪部18に嵌着されたアウタパッド58をスライドピン24に対してメタルタッチで支持することとなる。このため、スライドピン24に対してスリーブ34およびブーツ36を介して係止されたキャリパ12の倒れ込みを防止し、ガタツキを抑えることができる。
【0037】
次に、このような構成を有するディスクブレーキ装置10における制動時の動作について説明する。まず、車両運転者が図示しないブレーキペダルやブレーキレバーを操作すると、キャリパ本体14のシリンダに作動油が充填される。シリンダへの作動油の充填に伴い、シリンダ内に収容されているピストン15がロータ側へ押し出される。シリンダから押し出されたピストン15は、サポート38のトルク受け部40に支持されたインナパッド52のプレッシャプレート54を押圧し、インナパッド52におけるライニング56をロータの摺動面に押し付ける。インナパッド52のライニング56がロータに押し付けられると、キャリパ本体14は押し付け力の反力を受け、スライドピン24に沿ってロータから離間するようにスライドする。キャリパ本体14がロータから離間するようにスライドすると、キャリパブリッジ部16によりキャリパ本体14に連接されている爪部18は、ロータ側に引き寄せられるように動作する。爪部18がロータ側に引き寄せられると、爪部18に固定されたアウタパッド58のプレッシャプレートが爪部18により押圧され、スライドピン24に沿ってロータ側へスライドし、ライニング62がロータ摺動面に押し付けられる。
【0038】
上記動作によりインナパッド52とアウタパッド58によりロータ摺動面が挟持されると、摩擦力によりインナパッド52とアウタパッド58は、ロータ回出方向へ連れ回りする力を受ける。この時、インナパッド52はプレッシャプレート54における耳部がサポート38のトルク受け部40に形成された凹部48に当接し、制動時に生ずる制動トルクを受けることで制動力を生じさせる。一方アウタパッド58は、図7に示すように回出側のスライドピン24bと回入側のスライドピン24aの双方により制動トルクを受け、これを車両本体に固定されたサポート38に伝達することで、制動力を生じさせる。なお、上述したように、アウタパッド58における制動トルクは、回出側のスライドピン24bと回入側のスライドピン24aに分散し、入力される。
【0039】
また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、スライドピン24に対して貫通孔66の半径方向外側に位置する内周面が押し付けられた状態を維持しているため、アウタパッド58が制動トルクを受けた際、引き側(回入側)では、図15に示すように、貫通孔66aにおける円弧状の内周面に沿って(点線、および破線で示した軌跡に沿って)スライドピン24aが移動するようにプレッシャプレート60がずれることとなる。このため、高制動トルク負荷時にスライドピン24aが急激に反対側の壁面に衝突するという事態が生じず、押しアンカから押し+引きアンカへの切り替わりが急激に行われずに、徐々に行われるため、接触変化の安定化を図ることができる。その結果、制動時のクロンク音(カチン音)が抑制される。また、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10では、インナパッド52のみをサポート38で保持する形態としたため、サポート38がロータを跨ぐ構成とする必要が無い。このため、アウタ側の凹部形成等のためのサポート38の切削加工時間を短縮することができると共に軽量化が図れる。
【0040】
上記のような構成を持ち、上記のようにして動作するディスクブレーキ装置10は、以下のように組付けることにより構成される。まず、サポート38にインナパッド52を配置すると共に、キャリパ12の爪部18にアウタパッド58を嵌着する。その後、キャリパ12を所定位置に保持した状態で、スライドピン24を取り付ける。スライドピン24は、螺合部30を基点として先端側にアウタパッド58の貫通孔66を、基端側にキャリパ12の貫通孔22を挿通する。
【0041】
なお、上記実施形態では、貫通孔66の平面形態について、優弧と弦を組み合わせて成る馬蹄形として説明したが、その機能としては、制動トルクをスライドピン24a,24bに分配することができる形態であれば良い。よって、本願における貫通孔66には、図16に示すようなスリット63を有するものも含まれる。すなわち、スライドピン24の付勢、および制動トルク負荷時のスライドピン24の押し付けに係わらない壁面であれば、貫通孔66の内壁面が一部欠落していても、貫通孔とみなすことができる。
【0042】
また、図14に示す例では、貫通孔は優弧と弦により構成されるものとして説明しているが、本願における貫通孔は、図17に示すような楕円形状の貫通孔66a1(66b1)や、図18に示すような長円形状の貫通孔66a2(66b2)としても良い。貫通孔の形態をこのようなものとした場合であっても、制動トルクの分配やクロンク音(カチン音)の抑制、およびラトル音の抑制といった効果を奏することができるからである。
【0043】
また、上記貫通孔はいずれも、円形を主体として構成されるものであるが、本実施形態に係る貫通孔は、図19に示すように円形と方形(矩形)の組み合わせにより構成するものであっても良い。具体的には、スライドピン24の押し付けを受ける辺(ロータ半径方向外側)を円弧(半円)により構成し、押し付けを受けない辺(ロータ半径方向内側)を方形により構成するというものである。このような構成とした場合、スライドピン24のロータ半径方向内側におけるロータ回入側と回出側に位置する貫通孔66a3,66b3との間の隙間を広げることができる。よって、円形の孔を弦により分割し、その優弧側部分を貫通孔とする場合(例えば図14に示す例の場合)と同様に、スライドピン24と貫通孔66とのガタツキによるラトル音を抑制する効果を奏することに加え、その余の隙間を広げることができる。これにより、スライドピン24と貫通孔66a3,66b3との間に水が溜まったとしても、この水の抜け性を良好にすることができ、該当部分に生ずる錆を抑制することができる。なお、貫通孔66a3,66b3における方形部分の角部にRを設けることで、制動トルク負荷時における応力集中による割れを抑制することができる。
【0044】
上記実施形態においては、貫通孔66を構成する優弧の直径をφD、スライドピン24の直径をφdとした場合(図14参照)、φDとφdの差となるΔdが、スライドピン24(上記実施形態の場合スライドピン24b)が弾性変形することにより得られるアウタパッド58のシフト距離よりも短くなるように定める。このような構成とすることで、スライドピン24が弾性変形する範囲で制動トルクの分散が図られることとなる。
【0045】
上記実施形態に係るディスクブレーキ装置10では図20に示すように、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印Aに示す方向に働いている場合を前提として説明した。このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tよりも、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tが長い場合の構成を挙げることができ、上記実施形態に係るディスクブレーキ装置10の構成もこれに準じている。
【0046】
一方、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印A′に示すように逆向きとなった場合(図21参照)、スライドピン24に対するアウタパッド58の押し付け方向が逆向きとなるようにパッドクリップが装着される(パッドクリップは不図示)。この場合におけるスライドピン24と貫通孔66との関係は、図22に示すようなものとなる。具体的には、ロータの回入側に配置されたパッドクリップ90a(図11参照)は、スライドピン24aに対して、第2バネ部96をロータ半径方向内側のロータ回出側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24aに対して、ロータ半径方向外側のロータ回入側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66aではロータ半径方向内側のロータ回出側に位置する内周面がスライドピン24aに付勢する。一方、ロータの回出側に配置されたパッドクリップ90bは、スライドピン24bに対して、第2バネ部96をロータ半径方向内側のロータ回入側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24bに対して、ロータ半径方向外側のロータ回出側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66bではロータ半径方向内側のロータ回入側に位置する内周面がスライドピン24bに付勢する。
【0047】
このような構成とする場合には、貫通孔66における優弧と弦との関係は、相対的に、優弧がロータ半径方向内側、弦が半径方向外側に位置することとなる。なお、このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては、図20に示すように、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tが、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tよりも長い場合の構成を挙げることができる。
【0048】
次に、本発明のディスクブレーキ装置に係る第2の実施形態について、以下説明する。図23は第2の実施形態に係るディスクブレーキ装置の右下面側斜視図である。図24は第2の実施形態に係るディスクブレーキ装置の正面形態を示す図である。
【0049】
なお、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10aの殆どの構成は、上述した第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置10と同様である。よって、その構成を同一とする箇所には図面に同一符号を附して詳細な説明は省略することとする。
【0050】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10aは、第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置10と異なり、アウタパッド58における貫通孔66a,66b間の中心ピッチPとスライドピン24a,24b間の中心ピッチPとの関係が、
<P
の関係を満たすように、貫通孔66a,66bのピッチPが定められている。このような構成とした場合図25に示すように、低制動トルク負荷時には回入側に配置されたスライドピン24aのみに制動トルクが負荷されることとなる。一方、高い制動トルクが生じた場合には、回入側に配置されたスライドピン24aが制動トルク負荷方向に撓み、回出側に配置されたスライドピン24bに貫通孔66bの内壁が接触することとなり、一対のスライドピン24a,24bに制動トルクが分散されることとなる。このように、制動トルクの高低に応じて段階的に制動トルクを分散させることを可能にすることで、スライドピン24の大径化等、強度補強を行う必要性がなくなり、スライドピンの大径化に伴う重量増加等を抑制することができる。
【0051】
また本実施形態では図24に示すように、ロータ回入側に設けたパッドクリップ90aの第2バネ部96の先端は、スライドピン24aを基準としてロータ半径方向外側であってロータ回入側に付勢させ、ロータ回出側に設けたパッドクリップ90bの第2バネ部96の先端は、スライドピン24bを基準としてロータ半径方向外側であってロータ回出側に付勢させている。このような組付け状態とすることで、アウタパッド58はスライドピン24を基点(アース)としてロータ半径方向外側に押上げられる力を受ける。
【0052】
また、貫通孔66とスライドピン24との間における隙間の問題に関しては、上述した第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置10とは逆になる。このため、本実施形態では、貫通孔66におけるロータ半径方向外側に位置する部分に平坦部を設ける構成とした。このような構成とすることで、第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置10と同様な効果を奏することができる。
【0053】
本実施形態に係るディスクブレーキ装置10aでも、図20に示すように、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印Aに示す方向に働いている場合を前提として説明した。このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては上述したように、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tよりも、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tが長い場合の構成を挙げることができる。
【0054】
一方、制動時にアウタパッド58に生ずる偶力(モーメント)が矢印A′に示すように逆向きとなった場合(図21参照)、スライドピン24に対するアウタパッド58の押し付け方向が逆向きとなるようにパッドクリップが装着される(パッドクリップは不図示)。いわゆる引きアンカの場合、貫通孔66aが制動トルクを受けた後、この貫通孔66aを基点としてアウタパッド58が偶力発生方向に回動することとなるためである。この場合におけるスライドピン24と貫通孔66との関係は、図27に示すようなものとなる。本実施形態と共通な第1の実施形態に係るパッドクリップ90(図11、12参照)による付勢を例に挙げて説明すると、ロータの回入側に配置されたパッドクリップ90aは、スライドピン24aに対して、第2バネ部96をロータ半径方向外側のロータ回入側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド58はスライドピン24aに対して、ロータ半径方向内側のロータ回出側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66aではロータ半径方向外側のロータ回入側に位置する内周面がスライドピン24aに付勢する。一方、ロータの回出側に配置されたパッドクリップ90bは、スライドピン24bに対して、第2バネ部96をロータ半径方向外側のロータ回出側へ向けて当接させる。これにより、アウタパッド90bはスライドピン24bに対して、ロータ半径方向内側のロータ回入側へ向けて押し付けられる力を受ける。その結果、貫通孔66bではロータ半径方向外側のロータ回出側に位置する内周面がスライドピン24bに付勢する。
【0055】
このような構成とする場合には、貫通孔66における優弧と弦との関係は、相対的に、優弧がロータ半径方向外側、弦が半径方向内側に位置することとなる。なお、このような方向にモーメントを生じさせるための手段の一例としては、上記と同様、図21に示すように、ロータ中心軸Cからアウタパッド58のモーメント中心までの距離tが、ロータ中心軸Cから貫通孔66の中心までの距離tよりも長い場合の構成を挙げることができる。
【符号の説明】
【0056】
10………ディスクブレーキ装置、12………キャリパ、14………キャリパ本体、15………ピストン、16………キャリパブリッジ部、18………爪部、20………アーム部、22………貫通孔、24(24a,24b)………スライドピン、26………ボルト頭、28………キャリパ摺動部、30………螺合部、32………アウタパッド摺動部、34………スリーブ、36………ブーツ、38………サポート、40(40a,40b)………トルク受け部、42………ネジ孔、44………取付孔、46………サポートブリッジ部、48………凹部、50………パッドクリップ、52………インナパッド、54………プレッシャプレート、56………ライニング、58………アウタパッド、60………プレッシャプレート、60a………プレート本体、60b………アーム部、60c………第2凸部、62………ライニング、64………第1凸部、66(66a,66b)………貫通孔、90(90a,90b)………パッドクリップ、92………基部、94………第1バネ部、96………第2バネ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパの爪部内壁面に対してアウタパッドのプレッシャプレートを凹凸嵌合させて成るフローティング型のディスクブレーキ装置であって、
前記プレッシャプレートは、ロータの回入側と回出側に一対、車両に固定されるサポートから延設されるスライドピンを挿通させるための貫通孔と、前記スライドピンを基点として前記プレッシャプレートを係止するパッドクリップを備え、
一対の前記貫通孔間の中心ピッチPと前記スライドピン間の中心ピッチPとの関係が、
>P
であり、
前記パッドクリップは、前記爪部の内壁面に設けた凹部に嵌合された前記アウタパッドを前記爪部に付勢させる第1バネ部と、前記プレッシャプレートを前記スライドピンに付勢させ、一対の前記貫通孔のうち、ロータ回入側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向外側のロータ回出側に位置する内周面に、ロータ回出側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向外側のロータ回入側に位置する内周面に、それぞれ前記スライドピンを当接させる第2バネ部からなることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項2】
キャリパの爪部内壁面に対してアウタパッドのプレッシャプレートを凹凸嵌合させて成るフローティング型のディスクブレーキ装置であって、
前記プレッシャプレートは、ロータの回入側と回出側に一対、車両に固定されるサポートから延設されるスライドピンを挿通させるための貫通孔と、前記スライドピンを基点として前記プレッシャプレートを係止するパッドクリップを備え、
一対の前記貫通孔間の中心ピッチPと前記スライドピン間の中心ピッチPとの関係が、
<P
であり、
前記パッドクリップは、前記爪部の内壁面に設けた凹部に嵌合された前記アウタパッドを前記爪部に付勢させる第1バネ部と、前記プレッシャプレートを前記スライドピンに付勢させ、一対の前記貫通孔のうち、ロータ回入側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向内側のロータ回入側に位置する内周面に、ロータ回出側に設けられた貫通孔ではロータ半径方向内側のロータ回出側に位置する内周面に、それぞれ前記スライドピンを当接させる第2バネ部からなることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項3】
前記パッドクリップは、前記プレッシャプレートに固定される基部と、前記第1及び第2バネ部を一体的に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスクブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−117657(P2012−117657A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270934(P2010−270934)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】