説明

ディスクミラーリングシステム及びその管理方法

【課題】大きな差分情報の管理領域を備えることなく、任意の数のミラーディスクを管理できるディスクミラーリングシステム及びその管理方法を提供する。
【解決手段】主サイト装置は、ミラーリング処理に、該処理毎に更新される番号であるミラーリング処理番号をそれぞれ付与する。また、ミラーリング処理時に副サイト装置のいずれかで書き込みが失敗して差分が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を含む、該差分を示す差分情報を生成し、データに関連付けて保存する。副サイト装置は、ミラーリング処理が発生するとミラーリング処理番号を更新すると共に、復旧処理時、主サイト装置から送信される差分情報に基づいて復旧すべきデータの有無を判定し、該復旧すべきデータが有る場合は主サイト装置に該データの送信を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の記憶装置に同一の内容を記録して保存するディスクミラーリングシステム及びその管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブの障害対策として、複数のハードディスクドライブに同一の内容を記録して保存するディスクミラーリング方式が知られている。また、近年では、ネットワーク技術の進展により、記憶装置を備えた各種ノード間をLAN(Local Area Network)やインターネット等を介して接続することが可能であり、ミラーリングする記憶装置の設置場所も自由に選択できる。
【0003】
なお、ディスクミラーリング方式については特許文献1〜4等にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−078153号公報
【特許文献2】特開2006−323663号公報
【特許文献3】特開2008−140086号公報
【特許文献4】特開2009−110303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスクミラーリングシステムでは、オリジナルの記憶装置(以下、単に「ディスク」と称す)の内容変更時、あるいは定期的に、あるいはその他必要に応じて差分のみをコピーすることで、各ディスクで保存するデータの同一性を維持する必要がある。
【0006】
そのようなディスクミラーリングシステムにおける差分管理方法としては、本出願人が先に提案した方法がある(例えば、特願2010−127517号参照)。この差分管理方法では、1台のオリジナルのディスクで保存している情報を他の1台のディスクにコピー(ミラーリング)する一対一のディスクミラーリング手法を、複数のディスクに対するミラーリングにそれぞれ適用することで、一対多のディスクミラーリングシステムを実現している。
【0007】
しかしながら、そのようなディスクミラーリングシステムでは、オリジナルとの差分を示す差分情報を、ミラーリングするディスク毎に管理する必要があるため、ミラーリングするディスク数が増えると、差分情報量も増えてしまう問題がある。
【0008】
差分情報は、通常、情報処理装置(コンピュータ)で管理するが、情報処理装置の記憶容量には限界があるため、差分情報量が大きくなるとミラーリング可能なディスク数が制限されてしまう。
【0009】
本発明は上述したような背景技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、大きな差分情報の管理領域を備えることなく、任意の数のミラーディスクを管理できるディスクミラーリングシステム及びその管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明のディスクミラーリングシステムは、オリジナルとなる記憶装置を備えた主サイト装置と、
主サイト装置の記憶装置で保存されたデータのコピーが保存される記憶装置を備えた、少なくとも1つの副サイト装置から成る副サイト装置群と、
を有するディスクミラーリングシステムであって、
前記主サイト装置は、
前記副サイト装置に前記データのコピーを保存するミラーリング処理に、該ミラーリング処理毎に更新される番号であるミラーリング処理番号をそれぞれ付与するミラーリング処理装置と、
前記ミラーリング処理時に前記副サイト装置のいずれかで前記データのコピーの書き込みに失敗して差分が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を含む、該差分を示す差分情報を生成し、該データに関連付けて保存する差分管理装置と、
を有し、
前記副サイト装置は、
前記主サイト装置から送信されたデータを前記記憶装置に保存すると共に、前記ミラーリング処理が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を更新するミラーリング処理装置と、
前記副サイト装置の記憶装置の内容を前記主サイト装置の記憶装置と一致させる復旧処理時、前記主サイト装置から送信される前記差分情報に基づいて復旧すべきデータの有無を判定し、該復旧すべきデータが有る場合は前記主サイト装置に該データの送信を要求する差分管理装置と、
を有する。
【0011】
一方、本発明のディスクミラーリングシステムの管理方法は、オリジナルとなる記憶装置を備えた主サイト装置と、
主サイト装置の記憶装置で保存されたデータのコピーが保存される記憶装置を備えた、少なくとも1つの副サイト装置から成る副サイト装置群と、
を有するディスクミラーリングシステムの管理方法であって、
前記主サイト装置が、
前記副サイト装置に前記データのコピーを保存するミラーリング処理に、該ミラーリング処理毎に更新される番号であるミラーリング処理番号をそれぞれ付与し、
前記ミラーリング処理時に前記副サイト装置のいずれかで前記データのコピーの書き込みに失敗して差分が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を含む、該差分を示す差分情報を生成し、該データに関連付けて保存し、
前記副サイト装置が、
前記主サイト装置から送信されたデータを前記記憶装置に保存すると共に、前記ミラーリング処理が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を更新し、
前記副サイト装置の記憶装置の内容を前記主サイト装置の記憶装置と一致させる復旧処理時、前記主サイト装置から送信される前記差分情報に基づいて復旧すべきデータの有無を判定し、該復旧すべきデータが有る場合は前記主サイト装置に該データの送信を要求する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大きな差分情報の管理領域を備えることなく、任意の数のミラーディスクを管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のディスクミラーリングシステムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明で用いる差分情報及びミラーリング処理番号の関係を示す模式図である。
【図3】ミラーリング処理における主サイト装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示した主サイト装置における差分情報の更新処理の一例を示す模式図である。
【図5】ミラーリング処理における副サイト装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示した副サイト装置における差分情報の更新処理の一例を示す模式図である。
【図7】復旧処理時における主サイト装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】復旧処理時における副サイト装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図1に示した副サイト装置の復旧時におけるミラーリング処理番号の更新処理の手順の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明のディスクミラーリングシステムの一構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のディスクミラーリングシステムは、オリジナルとなる記憶装置(ディスク)を備えた主サイト装置1と、主サイト装置1のディスクで保存されたデータのコピーが保存(ミラーリング)される記憶装置(ディスク)を備えた副サイト装置群2と、主サイト装置1にデータを保存する、または主サイト装置1からデータを読み出して利用するホスト装置Hとを有し、主サイト装置1と副サイト装置群2とがネットワークNを介して接続された構成である。
【0017】
主サイト装置1は、I/O制御装置101、ミラーリング処理装置102、差分管理装置103、ディスク104、ミラーリング処理番号保持装置105及び差分情報保持装置106を備えている。
【0018】
I/O制御装置101は、ホスト装置Hの指示にしたがってディスク104に対するデータの書き込み及びディスク104からのデータの読み出しを実行する。
【0019】
ミラーリング処理装置102は、ホスト装置Hからディスク104に対するデータの書き込みが要求されると、副サイト装置群2の各副サイト装置20に該データのコピーを保存するミラーリング処理を実行する。また、ミラーリング処理装置102は、ミラーリング処理が発生すると、ミラーリング処理番号保持装置105に保存された、該ミラーリング処理を識別するためのミラーリング処理番号を更新する(図2のA2)。
【0020】
差分管理装置13は、ミラーリング処理時に副サイト装置20のいずれかでミラーリングに失敗して差分が発生すると、該差分を示す差分情報を生成し、差分情報保持装置106に保存する。差分情報は、ディスク104内の所要の区間毎に保存された差分発生時のデータに関連付けて差分情報保持装置106で保存される(図2のA1)。差分情報には、差分が発生したミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号が含まれる。上述したように、ミラーリング処理番号は、ミラーリング処理が実行される毎に更新されため、主サイト装置1及び副サイト装置20は、ミラーリング処理番号により、発生した差分の時系列な順序を特定できる。なお、記憶装置の同じ領域(区間)に対する複数回のデータの書き込み時に差分が複数回発生した場合は、最後に発生した差分情報が保持される。
【0021】
図1に示すように、副サイト装置群2は、少なくとも1つの副サイト装置20によって構成される。副サイト装置20は、I/O制御装置201、ミラーリング処理装置202、差分管理装置203、ディスク204、ミラーリング処理番号保持装置205及び差分情報保持装置206を備えている。
【0022】
I/O制御装置201は、主サイト装置1からの指示にしたがってディスク204に対するデータの書き込み及びディスク204からのデータの読み出しを実行する。
【0023】
ミラーリング処理装置202は、主サイト装置1からデータの書き込み(ミラーリング)が要求されると、I/O制御装置201を介してディスク204へ該データを書き込む。また、ミラーリング処理装置202は、ミラーリング処理が発生すると、ミラーリング処理番号保持装置205で保存された、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を更新する。
【0024】
差分管理装置203は、副サイト装置20のディスク204内のデータに対応する差分情報を管理する。差分管理装置203は、差分が発生した副サイト装置20のディスク204の内容を主サイト装置1のディスク104と一致させる復旧処理時、主サイト装置1から送信される差分情報に基づいて復旧すべきデータ(以下、差分データと称す場合もある)の有無を判定し、復旧すべき差分データが有る場合はミラーリング処理装置202を介して主サイト装置1に該差分データの送信を要求する。
【0025】
図1に示すホスト装置H、主サイト装置1及び副サイト装置20は、周知のCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、記憶装置等を備えた情報処理装置で実現できる。その場合、CPUは、記憶装置に格納された所定の制御用プログラムにしたがって処理を実行することで、ホスト装置H、主サイト装置1及び副サイト装置20としての機能を実現する。
【0026】
次に本実施形態のディスクミラーリングシステムの動作について図面を用いて説明する。
【0027】
本実施形態のディスクミラーリングシステムが備える主サイト装置1及び副サイト装置20は、主サイト装置1のディスク104で保存されたデータのコピーを各副サイト装置20が備えるディスク204で保存するミラーリング処理と、差分が発生した副サイト装置20のディスク204の内容を主サイト装置1のディスク104に一致させる復旧処理とを実行する。
【0028】
まず、ミラーリング処理における主サイト装置1の動作について図3及び図4を用いて説明する。
【0029】
主サイト装置1におけるミラーリング処理は、主サイト装置1に対してホスト装置HからI/O要求が発行されると開始される。
【0030】
図3に示すように、主サイト装置1は、ホスト装置HからのI/O要求を待ち受け(ステップB10)、ホスト装置HからI/O要求が発行されると、I/O制御装置101により該I/O要求の種類を判別する(ステップB11)。
【0031】
I/O要求がデータの読み込みである場合、I/O制御装置101は、指定されたデータをディスク104から読み出し(ステップB30)、読み出したデータをホスト装置Hへ送信する(ステップB13)。
【0032】
I/O要求が書き込みである場合、I/O制御装置101は、ホスト装置Hから送信されたデータをディスク104へ書き込み(ステップB12)、ミラーリング処理装置102による副サイト装置群2に対するミラーリング処理の終了を待って、ディスク104に対する書き込み結果をホスト装置Hへ通知する(ステップB13)。
【0033】
ミラーリング処理が発生すると、ミラーリング処理装置102は、ミラーリング処理番号保持装置105で保存しているミラーリング処理番号を更新し(ステップB20)、ネットワークNを介して副サイト装置群2の全ての副サイト装置20にデータの書き込み要求を送信する(ステップB21)。
【0034】
続いて、ミラーリング処理装置102は、書き込み対象となるデータ(ホスト装置Hの指示でディスク104に書き込んだデータ)を各副サイト装置20へ送信し(ステップB22)、各副サイト装置20からの書き込み結果を待ち受ける(ステップB23)。
【0035】
ミラーリング処理装置102は、各副サイト装置20から送信される書き込み結果を確認し(ステップB24)、全ての副サイト装置20から書き込みの成功が通知された場合はミラーリング処理を終了する。
【0036】
一方、いずれかの副サイト装置20で書き込みが失敗した場合、ミラーリング処理装置102は、差分情報保持装置106で保存している差分情報を差分管理装置103により更新した後(ステップB25)、ミラーリング処理を終了する。この主サイト装置1における差分情報の更新処理について図4を用いて説明する。
【0037】
ミラーリング処理装置102は、副サイト装置群2のいずれかの副サイト装置20からデータの書き込み失敗が通知されると(図4のC1)、書き込みに失敗したデータ(差分データ)に対応する、差分情報保持装置106で保存している差分情報を差分管理装置103により検索し(図4のC2)、該差分情報にその時点のミラーリング処理番号を書き込む(図4のC3)。
【0038】
次にミラーリング処理における副サイト装置20の動作について図5及び図6を用いて説明する。
【0039】
図5に示すように、副サイト装置20は、主サイト装置1からのデータの書き込み要求を待ち受け(ステップD10)、書き込み対象となるデータを受信すると(ステップD11)、ミラーリング処理装置202により、まず自サイトの動作状態を判定する(ステップD12)。
【0040】
自サイトが復旧処理中である場合、副サイト装置20は、主サイト装置1からデータの書き込みが要求されても受信したデータをディスク204へ書き込まず(図6のE1)、差分情報の更新のみ行う。具体的には、差分管理装置203により受信したデータに対応する差分情報を更新し(ステップD20)、ミラーリング処理装置202により書き込みを要求した主サイト装置1へデータの書き込み失敗を通知する(ステップD21)。
【0041】
差分情報の更新時、図6に示すように、差分管理装置203は、差分情報保持装置206で保存している差分情報のうち、最新の差分情報を検索し、そのミラーリング処理番号を確認する(図6のE2)。また、復旧が必要となるデータ(差分データ)に対応する更新が必要な差分情報を検索し(図6のE3)、該差分情報が最新となるようにミラーリング処理番号を更新する(図6のE4)。
【0042】
図5のステップD12において、副サイト装置20が正常動作中である場合、ミラーリング処理装置202は、I/O制御装置201により受信したデータをディスク204に書き込み(ステップD13)、続いて該データの書き込みが成功したか否かを判定する(ステップD14)。
【0043】
ディスク204に対するデータの書き込みが成功した場合、ミラーリング処理装置202はミラーリング処理番号保持装置205で保存しているミラーリング処理番号を更新し(ステップD15)、データの書き込みを要求した主サイト装置1へデータの書き込み成功を通知する(ステップD16)。
【0044】
一方、ディスク204に対するデータの書き込みが失敗した場合、または副サイト装置20が復旧処理中であり差分情報が更新されている場合、主サイト装置1へデータの書き込み失敗を通知する(ステップD21)。
【0045】
なお、副サイト装置20が復旧処理中のために書き込みに失敗したデータは、対応する差分情報が更新されているため、副サイト装置20で実行中の復旧処理によって最終的には書き込みが実行される。
【0046】
そのため、副サイト装置20で実行中の復旧処理が完了した時点で、主サイト装置1のディスク104と副サイト装置20のディスク204との間に差分データは存在しないため、改めて復旧処理が実行されることは無い。
【0047】
次に、復旧処理時における主サイト装置1の動作について図7を用いて説明する。
【0048】
図7に示すように、主サイト1は、障害等により停止していた副サイト装置20の動作再開により、副サイト装置20の追加を検出すると(ステップF10)、差分の有無に関わらず、ミラーリング処理装置102により該副サイト装置20に対してミラーリングの復旧を要求すると共に(ステップF11)、差分管理装置103から取得した、書き込みに失敗したデータに対応する差分情報を副サイト装置20へ送信し(ステップF12)、該副サイト装置20からの応答を待ち受ける(ステップF13)。
【0049】
ミラーリング処理装置102は、副サイト装置20から応答を受け取ると、該応答内容を確認し(ステップF14)、副サイト装置20から復旧完了が通知された場合は復旧処理を終了する。
【0050】
一方、副サイト装置20から差分データが要求された場合は、要求された差分データをI/O制御装置101を介してディスク104から取得し(ステップF20)、要求元の副サイト装置20へ該差分データを送信する(ステップF21)。その後、ステップF13の処理に戻って、副サイト装置20から復旧完了が通知されるまで、ステップF13及びF14、並びにステップF20及びF21の処理を繰り返す。
【0051】
次に、復旧処理時における副サイト装20の動作について図8を用いて説明する。
【0052】
図8に示すように、副サイト装置20は、主サイト装置1からミラーリングの復旧要求を受信すると復旧処理を開始する(ステップG10)。
【0053】
副サイト装置20は、主サイト装置1から差分情報を受信すると(ステップG11)、受信した差分情報に基づき、差分管理装置203により自サイトの復旧に必要な差分データを判別する(ステップG12)。
【0054】
次に、差分管理装置203は、自サイトの復旧に必要な差分データの有無を判定し(ステップG13)、差分データが無い場合はミラーリング処理装置102を介してミラーリング復旧完了通知を主サイト装置1へ送信して(ステップG14)、復旧処理を終了する。
【0055】
一方、差分データが有る場合は、ステップG20〜G24で示す差分同期処理を差分データがなくなるまで繰り返す。このとき、差分データの有無は、差分情報に含まれるミラーリング処理番号にしたがって、ミラーリング処理の古い方から順に判別する。
【0056】
差分同期処理において、差分管理装置203は、まずミラーリング処理装置202を介して主サイト装置1へ差分情報に対応する差分データの送信を要求する(ステップG20)。
【0057】
I/O制御装置201は、主サイト装置1から差分データを受信すると(ステップG21)、該差分データをディスク204へ書き込む(ステップG22)。続いて、ミラーリング処理装置202によりミラーリング処理番号保持装置205で保存されたミラーリング処理番号を更新する(ステップG23)。その後、ステップG13の処理へ戻って復旧すべき差分データが無くなるまで、ステップG13、並びにステップG20〜G23の処理を繰り返す。
【0058】
復旧処理中における副サイト装置20のミラーリング処理番号の更新処理について図9を用いて説明する。
【0059】
図9に示すように、副サイト装置20は、差分管理装置203により書き込みを行ったデータに対応する差分情報を差分情報保持装置206で保存しておく(図9のH1)。そして、該差分情報に含まれるミラーリング処理番号の値に基づき、ミラーリング処理番号保持装置205で保存しているミラーリング処理番号をミラーリング処理装置202によって上書き更新する(図9のH2)。
【0060】
本実施形態のディスクミラーリングシステムによれば、ミラーリング処理毎に番号を付与し、該ミラーリング処理番号を含む差分情報を、主サイト装置1のディスク104内のデータに関連付けて保存することで、副サイト装置20は主サイト装置から受信した差分情報に基づいて自サイトの復旧に必要な差分データの有無が判断できる。そのため、副サイト装置20は、復旧に必要な差分データを主サイト装置1に要求することで取得することが可能であり、ディスク204の内容を主サイト装置1のディスク104に一致させることができる。
【0061】
したがって、主サイト装置1は、副サイト装置20毎に差分情報を管理する必要がなく、差分が発生したときに対応するミラーリング処理番号を含む差分情報のみを保存しておけばよい。そのため、主サイト装置1は、大きな差分情報の管理領域を備えることなく、任意の数のミラーディスクを管理できる。
【0062】
また、ミラーリングする副サイト装置20が増減しても、差分情報に変更を加える必要がないため、ミラーリングする副サイト装置20の追加や削除を容易に行うことができる。
【0063】
なお、上記説明では、主サイト装置1及び副サイト装置20が、ディスク、ミラーリング処理番号保持装置、差分情報保持装置をそれぞれ備える構成例を示したが、ディスク、ミラーリング処理番号保持装置及び差分情報保持装置は一つの記憶装置で実現することも可能である。その場合、1つの記憶装置を3つの領域に分割し、それら3つの領域をディスク、ミラーリング処理番号保持装置、差分情報保持装置として利用すればよい。
【0064】
さらに、上記説明では、1つのデータに対して1つの差分情報を関連付けて保存する例を示したが、連続する任意の数のデータに対して1つの差分情報を関連付けて保存してもよい。その場合、複数のデータに関連付けた差分情報や1つのデータに関連付けた差分情報等が混在してもよい。
【0065】
複数のデータに関連付けた差分情報がある場合、主サイト装置1は、ミラーリング処理時において差分情報を更新する際に(図3のステップB25)、関連付けたデータが保存される区間の大きさを記録する処理を追加し、副サイト装置20は、復旧処理時に差分データを要求する際に(図8のステップG20)、差分情報に関連付けられた全ての区間のデータを要求すればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 主サイト装置
2 副サイト装置群
20 副サイト装置
101,201 I/O制御装置
102,202 ミラーリング処理装置
103,203 差分管理装置
104,204 ディスク
105,205 ミラーリング処理番号保持装置
106,206 差分情報保持装置
H ホスト装置
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルとなる記憶装置を備えた主サイト装置と、
主サイト装置の記憶装置で保存されたデータのコピーが保存される記憶装置を備えた、少なくとも1つの副サイト装置から成る副サイト装置群と、
を有するディスクミラーリングシステムであって、
前記主サイト装置は、
前記副サイト装置に前記データのコピーを保存するミラーリング処理に、該ミラーリング処理毎に更新される番号であるミラーリング処理番号をそれぞれ付与するミラーリング処理装置と、
前記ミラーリング処理時に前記副サイト装置のいずれかで前記データのコピーの書き込みに失敗して差分が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を含む、該差分を示す差分情報を生成し、該データに関連付けて保存する差分管理装置と、
を有し、
前記副サイト装置は、
前記主サイト装置から送信されたデータを前記記憶装置に保存すると共に、前記ミラーリング処理が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を更新するミラーリング処理装置と、
前記副サイト装置の記憶装置の内容を前記主サイト装置の記憶装置と一致させる復旧処理時、前記主サイト装置から送信される前記差分情報に基づいて復旧すべきデータの有無を判定し、該復旧すべきデータが有る場合は前記主サイト装置に該データの送信を要求する差分管理装置と、
を有するディスクミラーリングシステム。
【請求項2】
前記主サイト装置の差分管理装置は、
前記ミラーリング処理時に前記副サイト装置のいずれかで複数のデータのコピーの書き込みに失敗して差分が発生すると、前記差分情報を該複数のデータに関連付けて保存し、
前記副サイト装置の差分管理装置は、
前記差分情報に基づいて該複数のデータの送信を前記主サイト装置に要求する請求項1記載のディスクミラーリングシステム。
【請求項3】
オリジナルとなる記憶装置を備えた主サイト装置と、
主サイト装置の記憶装置で保存されたデータのコピーが保存される記憶装置を備えた、少なくとも1つの副サイト装置から成る副サイト装置群と、
を有するディスクミラーリングシステムの管理方法であって、
前記主サイト装置が、
前記副サイト装置に前記データのコピーを保存するミラーリング処理に、該ミラーリング処理毎に更新される番号であるミラーリング処理番号をそれぞれ付与し、
前記ミラーリング処理時に前記副サイト装置のいずれかで前記データのコピーの書き込みに失敗して差分が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を含む、該差分を示す差分情報を生成し、該データに関連付けて保存し、
前記副サイト装置が、
前記主サイト装置から送信されたデータを前記記憶装置に保存すると共に、前記ミラーリング処理が発生すると、該ミラーリング処理に対応するミラーリング処理番号を更新し、
前記副サイト装置の記憶装置の内容を前記主サイト装置の記憶装置と一致させる復旧処理時、前記主サイト装置から送信される前記差分情報に基づいて復旧すべきデータの有無を判定し、該復旧すべきデータが有る場合は前記主サイト装置に該データの送信を要求するディスクミラーリングシステムの管理方法。
【請求項4】
前記主サイト装置が、
前記ミラーリング処理時に前記副サイト装置のいずれかで複数のデータのコピーの書き込みに失敗して差分が発生すると、前記差分情報を該複数のデータに関連付けて保存し、
前記副サイト装置が、
前記差分情報に基づいて該複数のデータの送信を前記主サイト装置に要求する請求項3記載のディスクミラーリングシステムの管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−12137(P2013−12137A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145695(P2011−145695)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】