説明

ディスクローディング機構を備えたディスク装置

【課題】
ディスク装置の外部と内部の間でディスクを搬送するためのディスクローディング機構を備えたディスク装置であって、動力源たるモーターの回転制御を簡素な構造によって実現する。
【解決手段】
ディスク装置1の外装を担うフレーム2には、少なくとも動力源たるモーター7と、前記モーター7の回転または停止をオンまたはオフの切換えによって制御するスイッチ13を配設し、前記スイッチ13のオンまたはオフの切換えを行う押圧部14を前記フレーム2と一体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、或いはCD(Compact Disc)などのディスクを媒体として記録/再生を行うディスク装置に係り、特に、ディスク装置の外部と内部の間でディスクを搬送するためのディスクローディング機構を備えたディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクローディング機構とは、ディスクをディスク装置の外部から前記ディスク装置内部の所定位置へ搬送するための機構であり、例えば、ディスク装置の外部と内部の間で往復移動を可能とするトレイを備え、前記トレイにディスクを載置し、モーターを動力源として前記トレイを搬送する機構や、ディスクの挿抜を直接行う挿入口を設け、前記挿入口の内部にディスクを搬送するための搬送ローラーを配設し、同じくモーターを動力源としてディスクを搬送する機構などがある。そして、前記ディスクローディング機構には、トレイまたはディスクの位置を検出して動力源たるモーターの回転を制御する手段を設けている。
【0003】
特許文献1には、ディスクを載置して搬送するトレイの位置を一つのスイッチで検出するために、ディスク装置に装着したスイッチに近接して前記スイッチを押圧するレバーを枢着状態で回動可能に配設し、前記トレイの搬送動作によって上下移動と左右移動をするトラバースユニットの先端にL字片を設け、さらにトレイには前記レバーを押圧する突起部を別途設けた構造が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−18959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構造によれば、トレイがディスク装置の内部にあるときはトラバースユニットがスイッチ側に移動し、レバーを枢着部分を中心に回動させてスイッチを押圧し、トレイが搬送途中のときは前記スイッチを押圧しない状態とし、トレイがディスク装置の外部にあるときはトレイの突起部によって前記レバーを押圧することが出来る。その結果、単一のスイッチによってトレイを搬送するモーターの制御が可能となり、また、スイッチの押圧方向より押圧することで前記スイッチの耐久性の向上が望める。しかし、ディスク装置にスイッチを押圧するための部品としてレバーを設ける必要があり、部品の増加に伴うディスク装置の費用高騰や、設置スペースの確保に伴うディスク装置の大型化が懸念される。また、トラバースユニットとトレイに夫々レバーを押圧するためのL字片や突起部を設ける必要があり、部品の形状やディスク装置の構造が複雑になることが考えられる。
【0006】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、単一のスイッチによってディスクを搬送する動力源の制御を簡素な構造によって実現し、また、関連部品の集約によりディスク装置の小型化が出来、さらに、スイッチの耐久性向上を図ることが可能なディスクローディング機構を備えたディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係るディスクローディング機構を備えたディスク装置は、ディスクを搬送する動力源と、前記動力源の起動または停止をオンまたはオフの切換えによって制御するスイッチと、前記スイッチのオンまたはオフの切換えを行う押圧部と、を備えたディスク装置であって、前記動力源と前記スイッチはディスク装置の外装部品を担うフレームに配設し、前記押圧部は前記フレームと一体に形成することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に係るディスクローディング機構を備えたディスク装置は、請求項1に記載のディスクローディング機構を備えたディスク装置であって、前記フレームには、摺動可能なスライダーと、前記スライダーの摺動動作に連動して傾動するトラバースユニットを配設し、前記スライダーの摺動動作に連動して前記押圧部が可動することを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に係るディスクローディング機構を備えたディスク装置は、請求項1または請求項2に記載のディスクローディング機構を備えたディスク装置であって、前記スイッチは、一軸方向へ可動する伸縮部分を有するプッシュスイッチであって、前記押圧部は前記伸縮部分の押圧方向に可動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明の構成によれば、動力源たるモーターの回転を制御するスイッチを押圧するための押圧部をフレームと一体に形成することで、従来必要とされていたスイッチを押圧するための専用部品を削除出来、安価なディスク装置を提供することが可能となる。
【0011】
さらに、既存の構成部品となるトラバースユニットを可動させるために用いるスライダーと連動してフレームと一体に形成された押圧部を可動する構成とすることで、比較的集約したディスクローディング機構を構成することが出来、ディスク装置の小型化が可能となる。
【0012】
加えて、モーターの回転を制御するためにプッシュスイッチを用いた場合、前記プッシュスイッチを構成する伸縮部分の押圧方向に押圧部を可動する構造とすることで、プッシュスイッチに係る負荷を軽減出来、前記プッシュスイッチの耐久性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例におけるディスク装置の平面側斜視図。
【図2】本発明の実施例におけるディスクを搬送するためのトレイ単体を示す図であり、図2(a)はトレイ単体の平面側斜視図、図2(b)は同底面側斜視図。
【図3】本発明の実施例におけるディスク装置であって、トレイを取り外した状態の平面図。
【図4】本発明の実施例におけるトレイ、スライダー、動力伝達機構を構成するプーリー及びギアの関係を示す平面側斜視図。
【図5】本発明の実施例におけるトラバースユニットとスライダーの関係を示す平面側斜視図。
【図6】本発明の実施例におけるディスク装置の底面図。
【図7】本発明の実施例におけるスライダー単体を示す図であり、図7(a)はスライダー単体の底面図、図7(b)は同背面図、図7(c)は同平面図。
【図8】本発明の実施例におけるフレームの押圧部近傍を示す底面側部分拡大斜視図。
【図9】本発明の実施例における押圧部と、プッシュスイッチと、スライダーの関係を示す概略図であり、図9(a)はディスク交換位置にトレイの搬出が完了した状態を示す底面側概略図、図9(b)は図9(a)の状態からスライダーが摺動している途中の状態を示す底面側概略図、図9(c)はスライダーの摺動動作が完了してディスク装置の内部にトレイが収納された状態を示す底面側概略図。
【図10】本発明の実施例におけるトレイがディスク交換位置にあるときを示す図であり、図10(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図10(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図。
【図11】図10の状態からユーザーが指でトレイを押して僅かに内側へ移動させたときを示す図であり、図11(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図11(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図。
【図12】図11の状態からトレイがモーターの動力によってディスク記録再生位置側に移動し、モーターの動力によってスライダーが摺動動作を開始する状態を示す図であり、図12(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図12(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図。
【図13】図12の状態からスライダーの摺動動作が完了し、ディスクの記録または再生が可能な状態を示す図であり、図13(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図13(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図1〜図13を用いて説明する。なお、本発明はその主旨に反しない範囲で、実施例において説明した構成以外のものに対しても容易に適用可能である。
【0015】
図1は本発明の実施例におけるディスク装置の平面側斜視図である。同図の符号1はディスク装置、2はディスク装置1の外装部品を担うフレーム、3はフレーム2に対して摺動可能に組み付けられたトレイを夫々表している。すなわち、本発明の実施例で示すディスク装置1は、ユーザーの手によってディスクの交換を可能とする装置外部の位置(以下、単にディスク交換位置と称す)と、ディスクへの情報の記録またはディスクに記録された情報の再生を可能とする装置内部の位置(以下、単にディスク記録再生位置と称す)の間で前記ディスクを搬送する手段として往復移動を可能とするトレイ3を備えている。
【0016】
図2は本発明の実施例におけるディスクを搬送するためのトレイ単体を示す図であり、図2(a)はトレイ単体の平面側斜視図、図2(b)は同底面側斜視図である。同図で示すように、トレイ3の上面側には、直径が120mmの大径ディスクと直径が80mmの小径ディスクを夫々載置可能とするための凹状の大径ディスク載置面3aと小径ディスク載置面3bが形成されている。すなわち、前記大径ディスク載置面3aと小径ディスク載置面3bによって、ディスクをトレイ3に対して所定の位置に載置することが出来る。また、トレイ3の底面側には、後述するモーターの回転力を動力伝達機構を介してトレイ3に伝達するラックギア3cが形成されている。すなわち、トレイ3は、動力源たるモーターによって回転するギアがラックギア3cと噛合することで、ディスク交換位置とディスク記録再生位置の間で移動することが出来る。そして、トレイ3の底面側には、前記ラックギア3cとは別に概略L字状のカム溝(以下、単にトレイカム溝と称す)3dが形成されている。前記トレイカム溝3dには、後述するスライダーに形成されたスライダー凸部が遊嵌し、トレイ3若しくはスライダーの摺動動作に連動する構造としている。
【0017】
図3は本発明の実施例におけるディスク装置であって、トレイを取り外した状態の平面図である。同図の符号4は記録再生位置に到達したディスクを回転させるためのターンテーブルと、ディスクの情報を読み込み再生する若しくはディスクに情報を書き込み記録するピックアップユニットを主要構成部品として組付けたトラバースユニット、5は記録再生位置に到達したディスクをターンテーブルと共に挟持するクランパー、6はトレイ3の移動方向に対して直交する方向に摺動するスライダー、7は正逆回転可能なモーター、8はプーリー、9はモーター7の回転力をプーリー8へ伝達するベルト、10はプーリー8と連動して回転するギア、11はプーリー8、ベルト9、及びギア10で構成される動力伝達機構である。同図で示すディスク装置1は、モーター7の回転力によってトレイ3の搬送動作とトラバースユニット4の傾動動作を行う構造としている。モーター7の回転力によるトレイ3の搬送動作について詳述すれば、動力伝達機構11を構成するギア10がトレイ3のラックギア3cと噛合することでモーター7の回転力が前記トレイ3の搬送力として伝達される。また、モーター7の回転力によるトラバースユニット4の傾動動作について詳述すれば、スライダー6はトラバースユニット4と連結した構造となっており、前記ギア10がスライダー6に形成されるギアと噛合することで、モーター7の回転力が前記スライダー6の摺動力として伝達されて前記トラバースユニット4の傾動力に変換される。
【0018】
次に、ギア10と周辺部品の関係について図4を用いて説明する。図4は本発明の実施例におけるトレイ、スライダー、動力伝達機構を構成するプーリー及びギアの関係を示す平面側斜視図である。同図で示すように、ギア10は上ギア部10aと中間ギア部10bと下ギア部10cが一体に形成されている。そして、プーリー8にはプーリーギア8aが一体に形成されており、前記プーリーギア8aとギア10の中間ギア部10bが常時噛合しているため、モーター7の回転力はギア10に常に伝わる状態となっている。また、トレイ3のラックギア3cとギア10の上ギア部10aが噛合可能な構成となっており、前記ラックギア3cと前記上ギア部10aが噛合しているときには、モーター7によって回転するギア10の回転力がトレイ3に直接伝わって前記トレイ3が移動するための搬送力となる。さらに、スライダー6にはスライダーギア6aが一体に形成されており、前記スライダーギア6aとギア10の下ギア部10cが噛合可能な構成となっている。前記スライダーギア6aと前記下ギア部10cが噛合しているときには、モーター7によって回転するギア10の回転力がスライダー6に直接伝わって前記スライダー6の摺動力となり、前記スライダー6に連結するトラバースユニット4の傾動力に変換される。
【0019】
次に、トラバースユニット4とスライダー6の関係について図5を用いて説明する。図5は本発明の実施例におけるトラバースユニットとスライダーの関係を示す平面側斜視図である。同図で示すように、トラバースユニット4は、ベース4aにターンテーブル4bとピックアップユニット4cを主要構成部品として組付けており、前記ベース4aには前方に突出した凸部4d,4dが設けられている。そして、前記ベース4aの後方には、図示しないダンパーを介してフレーム2と連結する連結部4eが設けられており、トラバースユニット4は前記連結部4eを支点に凸部4d,4d側が低位置となる傾斜状態と前記凸部4d,4d側が高位置となる略水平状態の間で傾動可能となっている。一方、スライダー6には前記トラバースユニット4の凸部4d,4dが遊嵌する第1のカム溝6b,6bが形成されており、前記第1のカム溝6b,6bに凸部4d,4dが遊嵌した状態の前記トラバースユニット4は、スライダー6の摺動動作に連動して連結部4eを支点に傾動する。すなわち、スライダー6に形成された第1のカム溝6b,6bに遊嵌するトラバースユニット4の凸部4d,4dは、前記スライダー6の摺動動作にあわせて前記第1のカム溝6b,6bに沿ってその位置を変えて前記トラバースユニット4が連結部4eを支点に傾動する構造となっている。
【0020】
図6は本発明の実施例におけるディスク装置の底面図である。同図の符号12は回路基板、13は前記回路基板に配設されたプッシュスイッチ、14は前記プッシュスイッチ13を押圧する押圧部、15は前記押圧部14と一体に形成された支持部である。同図で示すように、押圧部14と支持部15はフレーム2と一体に形成されており、前記支持部15は可撓性を有している。そして、前記支持部15の可撓性を利用して回路基板12に配設されたプッシュスイッチ13に対し押圧部14を接離させてオンまたはオフの切換えを行う構造としている。なお、本実施例において前記プッシュスイッチに対する押圧部14の接離動作にはスライダー6の摺動動作が関係しており、図7〜図9を用いてさらに詳述する。
【0021】
図7は本発明の実施例におけるスライダー単体を示す図であり、図7(a)はスライダー単体の底面図、図7(b)は同背面図、図7(c)は同平面図、図8は本発明の実施例におけるフレームの押圧部近傍を示す底面側部分拡大斜視図、図9は本発明の実施例における押圧部と、プッシュスイッチと、スライダーの関係を示す概略図であり、図9(a)はディスク交換位置にトレイの搬出が完了した状態を示す底面側概略図、図9(b)は図9(a)の状態からスライダーが摺動している途中の状態を示す底面側概略図、図9(c)はスライダーの摺動動作が完了してディスク装置の内部にトレイが収納された状態を示す底面側概略図である。同図で示すように、スライダー6には第2のカム溝6cが一体に形成されており、押圧部14には前記第2のカム溝6cに遊嵌する押圧部突起14aが形成されている。すなわち、前記押圧部14はスライダー6が摺動することで押圧部突起14aが第2のカム溝6cに沿って移動し、プッシュスイッチ13の伸縮部分13aを伸縮可能な方向より押圧してオンまたはオフの切換えを行う。ところで、プッシュスイッチ13を押圧する別の手段として、摺動するスライダー6の縁部分を利用して直接オンまたはオフの切換えを行うことが考えられるが、この場合、伸縮部分13aの押圧方向に直交してオンまたはオフの切換えを行うこととなり、安価なプッシュスイッチ13であれば伸縮部分13aに係る負荷が大きくなって部品寿命の低下や破損の要因となる虞がある。そこで、本発明の実施例で示す構造であれば、部品点数を増やすことなく伸縮部分13aの押圧方向よりプッシュスイッチ13を押圧することが出来、安価な構造によって部品寿命の低下を抑えることが可能となる。なお、スライダー6には前述したトレイ3の底面側に形成されたトレイカム溝3dに遊嵌する第一のスライダー凸部6dと前記トレイカム溝3dの側壁の外側に位置する第二のスライダー凸部6eが形成されている。これは、ギア10の上ギア部10aとラックギア3c、または、ギア10の下ギア部10cとスライダーギア6aの噛合状態の切換えを行うために必要となる。
【0022】
以上、本発明の実施例における構造について説明したが、次に本発明の実施例で示すディスク装置の具体的な動作について図10〜図13を用いて説明する。
【0023】
図10は本発明の実施例におけるトレイがディスク交換位置にあるときを示す図であり、図10(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図10(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図である。なお、ディスク装置1の内部の状況を明確にするため、同図ではトレイ3の平面側を破線で示している。同図で示すように、トレイ3がディスク交換位置にあるときには、ユーザーは前記トレイ3の上面側に形成された大径ディスク載置面3aまたは小径ディスク載置面3bに沿って大径ディスクまたは小径ディスクの載置、或いは前記ディスクの交換を行うことが出来る。また、同図で示す状態では、トラバースユニット4は連結部4eを支点として傾斜した状態にあり、また、回路基板12に配設されたプッシュスイッチ13の伸縮部分13aは押圧部14によって押圧された状態にある。なお、本実施例では同図の状態でモーター7は停止しており、プッシュスイッチ13の伸縮部分13aから押圧部14が離間することでモーター7が回転するよう制御している。
【0024】
図11は図10の状態からユーザーが指でトレイを押して僅かに内側へ移動させたときを示す図であり、図11(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図11(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図である。なお、図10と同様に、トレイ3の平面側は破線で示している。同図で示すように、ディスク交換位置にあるトレイ3の先端部分をユーザーが指で矢印Aの方向へ僅かに押すことで、スライダー6は第一のスライダー凸部6dおよび第二のスライダー凸部6eによって前記トレイ3のトレイカム溝3dに沿って矢印Bの方向へと僅かに移動し、前記スライダー6の移動に伴い押圧部突起14aは第2のカム溝6cに沿って移動する。その結果、プッシュスイッチ13の伸縮部分13aを押圧していた押圧部14は、前記伸縮部分13aより離間してモーター7が矢印Cの方向へ回転を開始し、前記モーター7の回転に伴いギア10はトレイ3をディスク記録再生位置へ引き込む方向に回転を始める。このとき、トレイ3のラックギア3cはギア10の上ギア部10aと噛合しており、スライダー6のスライダーギア6aは前記ギア10の下ギア部10cから離れている。そのため、前記ギア10の回転によってトレイ3のみが摺動する。
【0025】
図12は図11の状態からトレイがモーターの動力によってディスク記録再生位置側に移動し、モーターの動力によってスライダーが摺動動作を開始する状態を示す図であり、図12(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図12(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図である。なお、図10および図11と同様に、トレイ3の平面側は破線で示し、さらにスライダーギア6aと下ギア部10cの噛合状態を明確にするため、ギア10を部分的に切欠いている。同図で示すように、トレイ3がディスク交換位置からディスク記録再生位置に到達する直前で、スライダー6の第一のスライダー凸部6dおよび第二のスライダー凸部6eは前記トレイ3のトレイカム溝3dに沿って僅かに移動し、前記スライダー6のスライダーギア6aはギア10の下ギア部10cと噛合する。その結果、前記ギア10の回転によってスライダー6は摺動を開始する。一方、トレイ3のラックギア3cは前記ギア10の上ギア部10aから前記スライダー6の摺動動作によって離間する。具体的には、ギア10の回転によって摺動するスライダー6の第一のスライダー凸部6dが、概略L字状に形成されたトレイ3のトレイカム溝3dを押圧することで、前記トレイ3は僅かにディスク記録再生位置側へと移動し、ラックギア3cはギア10の上ギア部10aから離間する。その結果、モーター7の回転力はスライダー6にのみ伝達され、前記スライダー6のみが摺動する。なお、押圧部14はプッシュスイッチ13の伸縮部分13aより離間したままとなっている。
【0026】
図13は図12の状態からスライダーの摺動動作が完了し、ディスクの記録または再生が可能な状態を示す図であり、図13(a)はディスク装置の平面側部分透視図、図13(b)は同プッシュスイッチ近傍を示す底面側部分拡大図である。なお、図12と同様に、トレイ3の平面側は破線で示し、ギア10を部分的に切欠いている。スライダー6の摺動に伴って第1のカム溝6b,6bに遊嵌したトラバースユニット4の凸部4d,4dは、前記第1のカム溝6b,6bに沿って低位置から高位置へ移動し、前記トラバースユニット4は連結部4eを支点に傾斜状態から略水平状態となるように傾動して、トレイ3の大径ディスク載置部3aまたは小径ディスク載置部3bに載置されたディスクは前記トラバースユニット4の主要構成部品たるターンテーブル4bによって前記トレイ3より持ち上げられ、前記ディスクは前記ターンテーブル4bと前記ターンテーブル4bの対向位置に配置されたクランパー5によって挟持される。そして、同図で示す位置までスライダー6が摺動することで、押圧部14は前記スライダー6の第2のカム溝6cに遊嵌する押圧部突起14aの移動に伴ってプッシュスイッチ13の伸縮部分13aを押圧し、回転していたモーター7は停止する。この状態からターンテーブル4bは回転を始め、前記ターンテーブル4bと共にディスク及びクランパー5も回転し、回転する前記ディスクに対してピックアップユニット4cによる情報の読み込みまたは情報の書き込みが行われる。
【0027】
以上、本発明の実施例で示すディスク装置の具体的な動作について、ディスク交換位置にあるトレイ3をユーザーが指で押して僅かに内側へ移動させてから、前記トレイ3がディスク記録再生位置に到達してディスクの記録または再生が可能な状態に至るまでの動作について説明したが、別の動作として、ディスク交換位置にあるトレイ3をユーザーが指で押さずに搬入動作を行う場合が考えられる。すなわち、本発明の実施例で示すディスク装置1を内蔵する電子機器であって、前記電子機器に備えた操作ボタンのうち、ユーザーがトレイ3をディスク交換位置からディスク記録再生位置へと搬入するためのボタンを押圧する場合であり、この場合は前記操作ボタンを押圧することでモーター7が回転し、それ以降の動作については前述と同様となる。さらに別の動作として、トレイ3がディスク記録再生位置からディスク交換位置に移動するまでの動作が考えられるが、この場合については前述と逆の動作になる。すなわち、本発明の実施例で示すディスク装置1を内蔵する電子機器に備えた操作ボタンのうち、ユーザーがトレイ3をディスク記録再生位置からディスク交換位置へ搬出するためのボタンを押圧することでモーター7は前述とは逆の方向に回転を始め、スライダー6とトレイ3の摺動動作を前述とは逆の順で行っていく。
【0028】
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、本発明の実施例ではプッシュスイッチの伸縮部分から押圧部が離間したときにモーターが回転する構造について説明したが、前記押圧部によってプッシュスイッチの伸縮部分を押圧したときにモーターが回転する構造としてもよい。また、本発明の実施例では比較的安価なプッシュスイッチを使用した場合について説明したが、スイッチを押圧するための押圧部をディスク装置の外装部品を担うフレームと一体に形成するという本発明の主たる特徴を逸脱しない範囲でスイッチを含む他の部品形状や構成についても適宜選定することは可能である。加えて、本発明の実施例で示すトレイを備えたディスク装置以外でも、例えばディスクの挿抜を直接可能とするスロットイン方式のディスク装置などにおいても適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ディスク装置
2 フレーム
3 トレイ
3a 大径ディスク載置面
3b 小径ディスク載置面
3c ラックギア
3d トレイカム溝
4 トラバースユニット
4a ベース
4b ターンテーブル
4c ピックアップユニット
4d 凸部
4e 連結部
5 クランパー
6 スライダー
6a スライダーギア
6b 第1のカム溝
6c 第2のカム溝
6d 第一のスライダー凸部
6e 第二のスライダー凸部
7 モーター
8 プーリー
8a プーリーギア
9 ベルト
10 ギア
10a 上ギア部
10b 中間ギア部
10c 下ギア部
11 動力伝達機構
12 回路基板
13 プッシュスイッチ
14 押圧部
14a 押圧部突起
15 支持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを搬送する動力源と、前記動力源の起動または停止をオンまたはオフの切換えによって制御するスイッチと、前記スイッチのオンまたはオフの切換えを行う押圧部と、を備えたディスク装置であって、前記動力源と前記スイッチはディスク装置の外装部品を担うフレームに配設し、前記押圧部は前記フレームと一体に形成することを特徴とするディスクローディング機構を備えたディスク装置。
【請求項2】
前記フレームには、摺動可能なスライダーと、前記スライダーの摺動動作に連動して傾動するトラバースユニットを配設し、前記スライダーの摺動動作に連動して前記押圧部が可動することを特徴とする請求項1に記載のディスクローディング機構を備えたディスク装置。
【請求項3】
前記スイッチは、一軸方向へ可動する伸縮部分を有するプッシュスイッチであって、前記押圧部は前記伸縮部分の押圧方向に可動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスク装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−192328(P2011−192328A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55656(P2010−55656)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【特許番号】特許第4642926号(P4642926)
【特許公報発行日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】