説明

ディスクローディング装置及びディスク装置

【課題】 ディスクガイドと駆動ローラとによりディスク媒体の両端縁を均等な力で挟持できるようにし、ディスク媒体の搬送の信頼性を高めること。
【解決手段】 ディスクローディング装置は、回転する駆動ローラ6と、この駆動ローラ6との間で光ディスク3を挟持するディスクガイド8とを備えている。ディスクガイド8は、駆動ローラ6に対向配置された押圧部8a,8b,8c,8dと、軸受部11a,11bにより支持される揺動軸8e,8fと、ディスクガイド8を駆動ローラ6側に付勢するスプリング10a,10bとを備えている。軸受部11a,11bは、ディスクガイド8の駆動ローラ6の回転軸に対する傾きが変化しうるように、揺動軸8e,8fを支持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などのディスク媒体を直接ローディングするスロットイン方式のディスク装置、及び、ディスク装置に設けられたディスクローディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスク媒体を直接的に(ディスクトレイ等を用いずに)収納し、また排出するスロットイン方式のディスク装置が知られている。この種のディスク装置では、挿入口から挿入されたディスク媒体を駆動ローラとディスクガイドとで挟持し、駆動ローラの回転により所定の位置まで搬送する。駆動ローラは、軸方向中心が軸方向両端より細い形状を有しており、駆動ローラとディスクガイドとでディスク媒体の両端縁を挟持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−77198号公報(第3−4頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のディスク装置では、ディスクガイドが駆動ローラに対してほぼ平行に固定されていたため、製造段階でディスクガイドの変形(捩れや反りなど)が生じた場合、あるいは、駆動ローラに対してディスクガイドが均等に押圧されていない場合には、駆動ローラとディスクガイドとによる挟持力がディスク媒体の両端縁で異なり、その結果、ディスク媒体が斜めに搬送されて他の構成部品に衝突し、あるいは駆動ローラの搬送負荷が大きくなって搬送が停止するという問題がある。
【0005】
また、ディスク媒体が、駆動ローラの中心に対して偏った位置に挿入された場合には、やはり駆動ローラとディスクガイドとによる挟持力がディスク媒体の両端縁でアンバランスになるため、ディスク媒体が斜めに搬送され、あるいは駆動ローラの搬送負荷が大きくなって搬送が停止するという問題がある。
【0006】
さらに、家庭用DVDプレーヤとしての用途では、ディスク表面が地面と直交するような向きに配置される場合(いわゆる縦置き)がある。このような縦置きのディスク装置に小径のディスク媒体(たとえば直径8cmのディスク媒体)を挿入する場合、駆動ローラの中心に対して偏って挿入されやすい。一方、従来のディスク装置では、駆動ローラの軸方向中心部の外径が両端の外径よりも細い。そのため、ディスク媒体が駆動ローラの中心に対して偏って挿入された場合には、駆動ローラとディスクガイドとによる挟持力が不均等になり、ディスク媒体を所定の収納位置まで搬送できないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、ディスクガイドと駆動ローラとによりディスク媒体の両端縁を均等な力で挟持できるようにし、ディスク媒体の搬送の信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスクローディング装置は、回転することによりディスク媒体を搬送する駆動ローラと、前記駆動ローラに対向配置された押圧部と、前記押圧部を前記駆動ローラに対して接近及び離間させるよう揺動させるための揺動軸とを有するディスクガイドと、前記ディスクガイドの前記揺動軸を支持する揺動支持手段と、前記ディスクガイドの前記押圧部を前記駆動ローラ側に押圧するよう、前記ディスクガイドを付勢する付勢手段とを備え、前記揺動支持手段が、前記ディスクガイドの前記駆動ローラの軸方向に対する傾きが変化しうるように、前記揺動軸を支持していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造段階において駆動ローラが傾いて取り付けられていた場合や、ディスク媒体が駆動ローラの中心に対して偏った位置に挿入された場合には、ディスクガイドと駆動ローラとの間でディスク媒体の両端縁を均等な力で挟持するように、ディスクガイドの傾きが変化する。その結果、ディスクガイドと駆動ローラとでディスク媒体の両端縁を均等な力で挟持し、所定の搬送路に沿ってディスク媒体を正確に搬送することができる。これにより、ディスク媒体と他の構成部品との衝突や、駆動ローラの搬送負荷の増大に伴う搬送停止を防止することができる。すなわち、信頼性の高いディスクローディング装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置を備えたディスク装置を示す分解斜視図である。ディスク装置は、例えば家庭用DVDプレーヤとして使用され、光ディスク(ディスク媒体)3に対して信号の記録、再生又はその両方を行うものである。
【0011】
図1に示すように、光ディスク3の回転軸の方向をZ方向とする。このZ方向に沿って、光ヘッド15(図8)から光ディスク3に向かう方向を+Z方向(上方)とし、その反対方向を−Z方向(下方)とする。また、光ディスク3のディスク装置内の収納及び排出方向をY方向とする。このY方向に沿って、光ディスク3を収納する方向を+Y方向とし、排出する方向を−Y方向とする。さらに、光ディスク3の記録面と平行な面内においてY方向と直交する方向をX方向(左右方向)とする。
【0012】
ディスク装置は、上面が開放された箱形状の筐体1と、この筐体1の上面を覆うカバーシャーシ2とからなる本体を有している。この本体(筐体1及びカバーシャーシ2)の前面には、光ディスク3を挿入するための挿入口1a,2aが形成されている。挿入口1a,2aは、組み合わさって一つの長方形状の開口部を形成するものである。
【0013】
筐体1の上側には、光ディスク3の挿入口1a,2aに隣接するように、ローラ支持部材4が固定されている。このローラ支持部材4は、摩擦係数の小さい合成樹脂により射出成形されたものである。ローラ支持部材4の上面には、中央部が最も低く、左右両端部に近づくに従って徐々に高くなる(すなわち+Z方向に突出する)左右対称のテーパ面4a,4bが形成されている。このテーパ面4a,4bのため、光ディスク3がローラ支持部材4に当接したとしても、ローラ支持部材4が光ディスク3の両端縁に当接し、記録面には当接しない。
【0014】
ローラ支持部材4は、X方向(左右)の両側に側壁を有しており、これら側壁には凹部であるローラ軸受部4c,4dが形成されている。このローラ軸受部4c,4d部には、駆動ローラ6が、ローラ軸5を介して回転可能に取り付けられている。また、駆動ローラ6は、軸方向中央部において外径が最も小さく、両端部に近づくに従って外径が徐々に大きくなる形状を有している(すなわち左右対称な円錐状の外周面を有している)。駆動ローラ6は、合成ゴムなどの摩擦係数の高い材料により形成され、X方向に延在する金属製のローラ軸5と一体的に回転するよう構成されている。また、ローラ軸5の一端には、ギア7が固定されている。筐体1内に配置されたモータ(図示せず)からの駆動力は、歯車列(図示せず)を介してギア7に伝達され、X方向の軸線を中心として駆動ローラ6が回転駆動させる。
【0015】
駆動ローラ6の上側(+Z側)には、ディスクガイド8が、カバーシャーシ2に揺動可能に取り付けられている。このディスクガイド8は、摩擦係数の小さい合成樹脂により射出成形されたものである。
【0016】
図2は、実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイド8の支持構造を、駆動ローラ6側から見た分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を、駆動ローラ6側から見た斜視図である。図2及び図3は、+Z方向が下になる向きに表されている。図4は、実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を示す斜視図である。
【0017】
図2に示すように、ディスクガイド8のディスク収納方向(+Y方向)の先端には、駆動ローラ6(図1)に対向する押圧部8a,8b,8c,8dが形成されている。押圧部8a,8bは、X方向中心からX方向端部にかけて外径が徐々に大きくなるよう(すなわち、駆動ローラ6側への突出量が徐々に大きくなるよう)形成されており、左右対称の円錐面を有している。押圧部8c,8dは、上記の押圧部8a,8bのディスク収納方向(+Y方向)に隣接して、押圧部8a,8bと同様に形成されている。
【0018】
ディスクガイド8の押圧部8a〜8dは、駆動ローラ6(図1)の軸方向両端部にそれぞれ対向している。ディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dと駆動ローラ6とで、光ディスク3を挟持し、駆動ローラ6の回転駆動によって光ディスク3を搬送するようになっている。また、ディスクガイド8の軸方向中央部は駆動ローラ6側に突出しておらず、駆動ローラ6の軸方向中央部の外径は両端部よりも小さいため、ディスクガイド8及び駆動ローラ6が光ディスク3の両端縁を挟持する際、光ディスク3の記録面には接触しない。
【0019】
ディスクガイド8のX方向両端には、左右一対の揺動軸8e,8fが、X方向に互いに同軸に突出形成されている。ディスクガイド8の揺動軸8e,8fは、カバーシャーシ2に形成された軸受部11a,11bに係合している。揺動軸8e,8fと軸受部11a,11bとの係合により、ディスクガイド8は、カバーシャーシ2に揺動自在に支持される。なお、図2及び図3に示すように、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fは、ネジ9a,9b及びそのワッシャによって、軸受部11a,11bから脱落しないように保持されている。
【0020】
図5は、ディスクガイド8を示す斜視図である。図6は、ディスクガイド8を示す側面図である。図5に示すように、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fよりもディスク搬出側(−Y方向)には、略四角形の開口部81,82が形成されている。この開口部81,82の内側には、左右一対の突起部8g,8hが形成されている。この突起部8g,8hには、スプリング10a,10b(図2)が装着されている。図4に示すように、スプリング10bの一端はディスクガイド8を押圧し、他端はカバーシャーシ2を押圧している。スプリング10aについても、スプリング10bと同様である。スプリング10a,10bの付勢によって、ディスクガイド8のディスク収納方向(+Y方向)の先端に形成された押圧部8a,8b,8c,8dが駆動ローラ6側(−Z方向)に付勢される。
【0021】
図5に示すように、ディスクガイド8のX方向一側端には、固定ボス8jが形成されている。また、ディスクガイド8の光ディスク3に対向する面(−Z方向の面)には、ディスクガイド8が揺動した際に光ディスク3との接触を防ぐための回避部8kが設けられている。また、図6に示すように、ディスクガイド8のディスク排出方向(−Y方向)の端部に沿って、シャッタ8mが形成されている。シャッタ8mは、X方向における長さが光ディスク3の直径より長く、また−Z方向にも所定量(挿入口1a,2aをほぼ塞ぐことができる程度)延在している。
【0022】
光ディスク3の収納が完了したときには、図示しないディスクガイド揺動機構によりディスクガイド8が揺動し、押圧部8a,8b,8c,8dが+Z方向に移動する(すなわち光ディスク3から離れる)。この状態で、固定ボス8jが筐体1内にの所定の係合部に係合して固定され、ディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dが光ディスク3から離れた位置で保持される。また、この状態で、ディスクガイド8のシャッタ8mが挿入口1a,2aを閉鎖して、光ディスク3の誤挿入を防止する。
【0023】
図7は、ディスクガイド8の支持構造を示す側面図である。図7に示すように、揺動軸8e,8fは、カバーシャーシ2に設けられた軸受部11a,11bに係合している。カバーシャーシ2に設けられた軸受部11a,11bは、YZ面内における形状が略長方形状であって、−Z側が開放されている。軸受部11a,11bの−Z側は、ネジ9a,9bに固定されたワッシャ9c,9dによって塞がれている。これにより、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fは、軸受部11a,11bの内側において回動可能となっている。また、軸受部11a,11bのZ方向の長さは、ボス11a,11bの外径よりも長く、軸受部11a,11bの内側でボス11a,11bがZ方向に移動可能となっている。これにより、ディスクガイド8の傾きが変化しうるようになっている。
【0024】
光ディスク3が挿入される前の状態では、スプリング10a,10b(図2)の付勢力によって、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fが−Z方向の移動限界位置(図7に実線で示す)にある。光ディスク3が駆動ローラ6に対して傾斜して挿入された場合には、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fのいずれかが図7に破線で示す位置まで移動し、ディスクガイド8の傾きが変化する。なお、ディスクガイド8は、合成樹脂により射出成形されていると説明したが、加工精度上の問題がなければ、金属板にプレス加工を施したものであってもよいし、必要に応じて金属板と合成樹脂つなぎ合わせ形成したものであってもよい。
【0025】
図8は、実施の形態1に係るディスクローディング装置を備えたディスク装置の基本構成を示す図である。図8に示すように、ディスクガイド8及び駆動ローラ6を含むディスクローディング装置(符号Aで示す)の+Y方向には、ディスク駆動装置(符号Bで示す)が設けられている。このディスク駆動装置Bは、駆動シャーシ16と、駆動シャーシ16に回転自在に支持されたターンテーブル13と、このターンテーブル13を回転駆動するスピンドルモータ14と、駆動シャーシ16に移動可能に支持された光ヘッド15とを備えている。駆動シャーシ16の+Z側には、昇降可能なクランプシャーシ(図示せず)に取り付けられた回転可能なクランパ12が設けられている。
【0026】
駆動ローラ6は、Y方向において、ディスクガイド8の押圧部8a,8bと押圧部8c,8dとの間に位置している。光ディスク3は、駆動ローラ6とディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dとで挟持されて搬送される。このとき、光ディスク3は、上側(+Z側)の2点と、下側(−Z側)の1点との計3点で安定に支持される。駆動ローラ6が回転すると、その回転力により光ディスク3が+Y方向(収納方向)に移動し、押圧部8a,8b,8c,8dに対して摺動しながら搬送される。
【0027】
次に、本実施の形態に係るディスクローディング装置の動作について説明する。図9は、光ディスクが挿入されていないときのディスクローディング装置を、挿入口1a,2a(図1)の側から見た図である。図9に示すように、光ディスク3が挿入されていないときには、スプリング10a,10bの付勢力によりディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dが駆動ローラ6に圧接されている。また、駆動ローラ6の軸方向(X方向)両端は、ディスクガイド8の押圧部8a,8bと押圧部8c,8dとの間の溝部8n,8p内に位置している。ディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dと駆動ローラ6との間には、X方向中央部で広く、X方向両端部に近づくにつれて狭くなる隙間Dが形成されている。軸受部11a,11bと揺動軸8e,8fとの係合により、ディスクガイド8の傾きが、図中矢印α及び矢印βで示す方向に変化することができる。
【0028】
図10は、大径(たとえば直径12cm)の光ディスク17が挿入されたときのディスクローディング装置を、挿入口1a,2a(図1)の側から見た図である。図10では、大径の光ディスク17の中心が、駆動ローラ6の中心(すなわちディスクガイド8の中心)に一致するように挿入されているものとする。また、ディスクガイド8、駆動ローラ6及びローラ支持部材4(図1)には、捩れや反りなどがないものとする。図10に示すように、大径の光ディスク17が駆動ローラ6とディスクガイド8とで挟持されたときには、光ディスク17のX方向両端縁が、駆動ローラ6とディスクガイド8とで常に均一な力で挟持されることになる。
【0029】
しかしながら、例えば、ディスク装置の製造段階で、ディスクガイド8に捩れや反りや曲がりが生じたり、あるいは、ローラ支持部材4(図1)に捩れや反りが生じる場合がある。また、ディスク装置の組み立て誤差のため、ディスクガイド8や駆動ローラ6が傾いて取り付けられたり、あるいは、光ディスク3に反りや変形がある場合もある。
【0030】
図11は、駆動ローラ6が傾いて取り付けられている状態で、大径の光ディスクが挿入されたときのディスクローディング装置を、挿入口1a,2a(図1)の側から見た示す図である。図11に示すように、カバーシャーシ2の軸受部11a,11bと揺動軸8e,8fとの係合により、ディスクガイド8が駆動ローラ6の傾きに追従して図中β方向に傾き、これにより、ディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dと駆動ローラ6とによって光ディスク17のX方向両端縁が均等な力で挟持される。その結果、駆動ローラ6が光ディスク17に与える摩擦力の差がX方向両端縁で均等になり、光ディスク17は所定の搬送路からずれることなく、正確に搬送される。
【0031】
同様に、ディスクガイド8に製造段階で捩れや反りや曲がりが生じ、あるいは、ローラ支持部材4に捩れや反りなどが生じた場合であっても、ディスクガイド8と駆動ローラ6とによる光ディスク17のX方向両端縁の挟持力が同じになるように、ディスクガイド8が傾く。その結果、駆動ローラ6が光ディスク17に与える摩擦力の差がX方向両端縁で均等になり、光ディスク17は所定の搬送路に沿って正確に搬送される。
【0032】
また、大径の光ディスク17が、駆動ローラ6の中心に対してX方向のいずれかの側に僅かに偏って挿入されたときでも、大径の光ディスク17の姿勢に追従してディスクガイド8が傾き、大径の光ディスク17の両端縁が均等な力で挟持される。従って、駆動ローラ6が光ディスク17に与える摩擦力の差がX方向両端縁で均等になり、光ディスク17は所定の搬送路に沿って正確に搬送される。
【0033】
図12は、小径(例えば直径8cm)の光ディスク18が、駆動ローラ6の中心に対して偏った位置に挿入されたときのディスクローディング装置を、挿入口1a,2a(図1)の側から見た図である。図12に示すように、カバーシャーシ2の軸受部11a,11bと揺動軸8e,8fとの係合により、ディスクガイド8が、駆動ローラ6の傾斜に追従して矢印β方向に傾き、ディスクガイド8の押圧部8a,8b,8c,8dと駆動ローラ6とによって光ディスク18のX方向両端縁が均等な力で挟持される。その結果、駆動ローラ6が光ディスク18に与える摩擦力の差がX方向両端縁で均等になり、光ディスク18は所定の搬送路に沿って正確に搬送される。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、光ディスク3のX方向両端縁を均等な力で挟持できるようにディスクガイド8の傾きが変化するため、製造段階の誤差等により駆動ローラ6等が傾いていた場合、あるいは光ディスク3が中心に対して偏った位置に挿入された場合であっても、ディスクガイド8と駆動ローラ6とで光ディスク3のX方向両端縁を均等な力で挟持することができる。その結果、光ディスク3は所定の搬送路に沿って正確に搬送される。すなわち、光ディスク3が他の構成部品に衝突したり、駆動ローラ6の搬送負荷が増大して搬送が停止することを防止できる。
【0035】
また、カバーシャーシ2の軸受部11a,11bのZ方向寸法を、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fの外径よりも長く設定したので、簡単な構成で、ディスクガイド8の傾きを変化可能にすることができる。
【0036】
さらに、ネジ9a,9b(及びそのワッシャ)により、揺動軸8e,8fを軸受部11a,11bから脱落しないように保持したので、揺動軸8e,8fを軸受部11a,11bに組み付ける作業が容易になり、ディスクローディング装置の組み立てが容易になる。
【0037】
また、駆動ローラ6が、ディスクガイド8の押圧部8a,8bと押圧部8c,8dとの間の溝部8n,8pに対向しているので、例えば小径の光ディスク18が駆動ローラ6のX方向中心に対して偏って挿入され、それに応じてディスクガイド8が傾斜した場合であっても、駆動ローラ6のX方向一端をディスクガイド8の溝部8nに逃がし、ディスクガイド8と駆動ローラ6との当接を回避することができる。
【0038】
さらに、ディスクガイド8の押圧部8a〜8dが、X方向両端部に近づくにつれて駆動ローラ6側に突出する形状を有しているため、駆動ローラ6との間で光ディスクのX方向両端縁を挟持することができる。
【0039】
実施の形態2.
図13及び図14は、本発明の実施の形態2に係るディスクローディング装置におけるディスクガイド8の支持構造を示す分解斜視図及び斜視図である。
【0040】
図13及び図14に示すように、本実施の形態では、ディスクガイド8の揺動軸8e,8fの一方(ここでは揺動軸8f)が、軸受部19をX方向に貫通し、筐体1に形成された孔部に挿入されている。図15は、揺動軸8fが挿入される筐体1の孔部11cを説明するための模式図である。揺動軸8fは、その先端が筐体1の孔部11cに挿入されることにより、軸受部19からZ方向に脱落しないように保持される。また、実施の形態1と同様にディスクガイド8が傾くことができるよう、孔部11cのZ方向の長さLは、揺動軸8fの外径よりも長く設定されている。
【0041】
一方、図13及び図14に示すように、ディスクガイド8の他方の揺動軸8eは、実施の形態1と同様、軸受部11aに挿入され、ねじ9aにより軸受部11aから脱落しないように保持されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0042】
このように構成されているため、本実施の形態では、実施の形態1で説明した効果に加え、ネジ9a,9bの一方(ここではネジ9b)を設けなくてもよいため、部品点数を少なくすることができ、製造工程を簡単にすることができる。
【0043】
上述した実施の形態1,2では、ディスク装置を家庭用のDVDプレーヤとして説明したが、DVDプレーヤに限らず、記録媒体としての光ディスク3に対して信号の記録、再生又はその両方を行う装置であればよい。
【0044】
また、上述した実施の形態1,2では、挿入口1a,2aから挿入された光ディスクを搬送する機構について説明したが、本発明は、例えばディスクチェンジャーにおいて、複数の光ディスクを格納した光ディスク格納部から光ディスクを選択してディスク装置内に搬送するものに適用してもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態1,2では、ディスクガイド8にスプリング10a,10bを取り付け、スプリング10a,10bの付勢力によってディスクガイド8と駆動ローラ6とを平行な状態に保持しているが、ディスクガイド8を弾性変形可能な材料で構成し、その一部をスプリング10a,10bの代わりに利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置を備えたディスク装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドを示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの揺動軸の支持構造を示す側面図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係るディスクローディング装置を備えたディスク装置の基本構成を示す図である。
【図9】大径の光ディスクが挿入されたときのディスクローディング装置を示す図である。
【図10】大径の光ディスクが挿入されたときのディスクローディング装置を示す図である。
【図11】駆動ローラが傾いて取り付けられている状態で、大径の光ディスクが挿入されたときのディスクローディング装置を示す図である。
【図12】小径の光ディスクが、駆動ローラの中心に対して偏った位置に挿入されたときのディスクローディング装置を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を示す分解斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係るディスクローディング装置におけるディスクガイドの支持構造を示す斜視図である。
【図15】図13に示したディスクガイドの揺動軸及び孔部を拡大して示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 筐体、 1a,2a 挿入口、 2 カバーシャーシ、 3 光ディスク、 4 ローラ支持部材、 4a,4b テーパ面、 4c,4d ローラ軸受部、 5 ローラ軸、 6 駆動ローラ、 7 ギア、 8 ディスクガイド、 8a,8b,8c,8d 押圧部、 8e,8f 揺動軸、 8g,8h 突起部、 8k 回避部、 8m シャッタ、 8n,8p 溝部、 9a,9b ネジ、 10a,10b スプリング、 11a,11b 軸受部、 11c 孔部、 12 クランパ、 13 ターンテーブル、 14 スピンドルモータ、 15 光ヘッド、 16 駆動シャーシ、 17 光ディスク(大径)、 18 光ディスク(小径)、 19 軸受部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することによりディスク媒体を搬送する駆動ローラと、
前記駆動ローラに対向配置された押圧部と、前記押圧部を前記駆動ローラに対して接近及び離間させるよう揺動させるための揺動軸とを有するディスクガイドと、
前記ディスクガイドの前記揺動軸を支持する揺動支持手段と、
前記ディスクガイドの前記押圧部を前記駆動ローラ側に押圧するよう、前記ディスクガイドを付勢する付勢手段と
を備え、
前記揺動支持手段が、前記ディスクガイドの前記駆動ローラの軸方向に対する傾きが変化しうるように、前記揺動軸を支持していること
を特徴とするディスクローディング装置。
【請求項2】
前記ディスクガイドには、一対の前記揺動軸が互いに同軸に設けられており、
前記揺動支持手段は、前記一対の揺動軸をそれぞれ支持する一対の軸受部を有することを特徴とする請求項1に記載のディスクローディング装置。
【請求項3】
前記駆動ローラと前記ディスクガイドとが対向する方向において、前記軸受部の長さが前記揺動軸の外径よりも長く、前記揺動軸が前記軸受部の内側で移動可能に支持されていることを特徴とする請求項2に記載のディスクローディング装置。
【請求項4】
少なくとも一つの前記揺動軸を、前記軸受部から脱落不能に保持するためのねじを更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のディスクローディング装置。
【請求項5】
少なくとも一つの前記揺動軸が、前記軸受部を軸方向に貫通していることを特徴とする請求項3又は4に記載のディスクローディング装置。
【請求項6】
前記ディスクガイドは、前記搬送の方向に並ぶように配置された複数の前記押圧部を備え、前記複数の押圧部の間には溝部が形成され、
前記駆動ローラは、前記ディスクガイドの前記溝部に対向することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置。
【請求項7】
前記押圧部は、前記駆動ローラの軸方向における両端に近づくにつれて前記駆動ローラ側に突出する形状を有していることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のディスクローディング装置と、
前記ディスクローディング装置により収納された前記ディスク媒体を保持して回転させるターンテーブルと、
前記ターンテーブルにより回転する前記ディスク媒体に対し、信号の記録、再生又はその両方を行うヘッドと
を備えたことを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−73145(P2007−73145A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260377(P2005−260377)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【特許番号】特許第3892021号(P3892021)
【特許公報発行日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】