説明

ディスク再生装置およびディスク再生方法

【課題】 ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い速度で回転させてデータを再生するディスク再生装置およびディスク再生方法であって、偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクであっても、ディスクの共振による異音の発生を防いで、早いデータ読み出しを可能にする。
【解決手段】 ディスクを第1速度で回転させた場合のトラッキングゲイン値が所定の閾値よりも大きい場合には、回転速度を落として第2速度でさらに回転させ、さらに第2速度で回転させた場合のトラッキングゲイン値が所定閾値以下に小さくなる(偏重心ディスクと判断する)場合には、そのまま第2速度で回転させてデータ再生し、さらに第2速度で回転させた場合のトラッキングゲイン値が所定閾値よりも大きくなる(偏芯ディスクと判断する)場合には、回転速度を再び第1速度で回転させてデータ再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い速度で回転させてデータを再生するディスク再生装置およびディスク再生方法であって、偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクであっても、ディスクの共振による異音の発生を防いで、早いデータ読み出しが可能なディスク再生装置およびディスク再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクを回転させてデータを再生するディスク再生装置においては、ディスクに記録されている音声映像信号、あるいは、データを短時間で早く読み出すために、ディスクに規定の標準速度より速い速度で回転させてデータを再生するディスク再生装置がある。代表的には、コンパクトディスク(登録商標、以下CD)またはCD−ROMが再生可能なCD−ROMドライブの場合には、線速度一定:CLVの標準速度、あるいは、角速度一定:CAVの標準速度、に対して、それぞれ、例えば、2倍速(×2CLV)、4倍速(×4CLV)、10倍速(×10CAV)、あるいは、32倍速(×32CAV)、などで高速に回転させて、ディスクに記録されているデータを再生するものがある。
【0003】
ディスク再生装置において標準速度より速い速度でディスクを回転させる場合には、ディスクの偏重心もしくは偏芯が、データ読み出しの精度に影響を与える場合がある。PCM音声信号データを記録したCDのリッピングにおいて、ディスクの回転速度が×32CAVなどに速くなると、ディスクの偏重心に起因して共振が発生して異音が出る、あるいは、データ読み出しが出来なくなる、等の問題がある。したがって、偏重心ディスクの場合にも、ディスクの共振による異音の発生を防いで、早いデータ読み出しが可能なディスク再生装置およびディスク再生方法が要望されている。
【0004】
従来には、例えば、ディスクを標準線速度より速い線速度となるような第1の回転速度で回転させて前記ディスクのデータを再生するディスク再生装置によるディスク再生方法であって、ディスクを前記第1の回転速度で回転させることにより発生する前記ディスク再生装置の振動が所定量より大きい場合には、偏重心ディスクと判別して前記第1の回転速度より遅い第2の回転速度で前記ディスクを回転させてデータの再生を行うことを特徴とするディスク再生方法がある。また、ディスクを標準線速度より速い線速度となるような第1の回転速度で回転させて前記ディスクのデータを再生するディスク再生装置によるディスク再生方法であって、前記ディスクの偏重心に関する情報が所定値より小さい場合には、前記ディスクの回転速度を前記第1の速度にしてディスクの再生を行い、前記ディスクの偏重心に関する情報が所定値より大きい場合には、前記ディスクの回転速度を前記第1の速度より遅い第2の速度にしてディスクの再生を行うことを特徴とするディスク再生方法がある(特許文献1)。
【0005】
また、回転している記録媒体上に光ビームを収束照射する収束手段と、前記収束手段を記録媒体上のトラックを横切る方向に移動する移動手段と、記録媒体上のトラックと光ビームの位置に応じた信号を出力するトラックずれ検出手段と、前記トラックずれ検出手段の信号に基づき、前記移動手段を駆動し、光ビームが常にトラックを走査するように制御するトラッキング制御手段と、記録媒体の偏心を検出する偏心検出手段と、前記偏心検出手段で検出した偏心情報に応じて、前記記録媒体の回転数を切り換える回転制御手段とを備えた記録再生装置がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3382204号公報
【特許文献2】特開平8−55422号公報
【0007】
しかしながら、偏重心または偏芯に関して正常なディスクとは言えない偏重心ディスクまたは偏芯ディスクであって、共振を起こす可能性がありそうなディスクを高速に回転させて、ディスクに記録されているデータを再生する場合(例えば、CDのリッピング時。)に、この共振による異音を避けるようにディスク回転速度を落とすと、データ読み出し時間が長くなるという問題がある。また、偏重心ディスクまたは偏芯ディスクを判別するのに際して、ピックアップのトラッキングゲイン値を観測し、トラッキングゲイン値が大きいものは偏重心または偏芯が大きいディスクとみなして、ディスク回転速度を落とすディスク再生装置があるが、本来は共振による異音を発生させる恐れのない単なる偏芯ディスク(すなわち、共振を発生させる偏重心ディスクではないディスク)でも、ある一定の偏芯量を超えるとトラッキングゲイン値が大きくなるので、ディスク回転速度を落としてしまい、その結果、データ読み出し時間が長くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い速度で回転させてデータを再生するディスク再生装置およびディスク再生方法であって、偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクであっても、ディスクの共振による異音の発生を防いで、早いデータ読み出しが可能なディスク再生装置およびディスク再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のディスク再生装置は、ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い第1速度で、または、標準速度以上に速く且つ第1速度より遅い第2速度で回転させてデータを再生するディスク再生装置であって、ディスクを第1速度で回転させた場合に検出されるディスクのトラッキングゲイン値が所定の閾値よりも大きい(ディスクを偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクと判断する)場合には、ディスクの回転速度を落として第2速度でさらに回転させ、ディスクをさらに第2速度で回転させた場合に検出されるディスクのトラッキングゲイン値が所定閾値以下に小さくなる(ディスクを偏重心ディスクと判断する)場合には、ディスクの回転速度をそのまま第2速度で回転させてデータ再生し、ディスクをさらに第2速度で回転させた場合に検出されるディスクのトラッキングゲイン値が所定閾値よりも大きくなる(ディスクを偏芯ディスクと判断する)場合には、ディスクの回転速度を再び第1速度で回転させてデータ再生する。
【0010】
また、本発明のディスク再生方法は、ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い第1速度で、または、標準速度以上に速く且つ第1速度より遅い第2速度で回転させてデータを再生するディスク再生方法であって、ディスクを第1速度で回転させた場合に検出されるディスクのトラッキングゲイン値が所定の閾値よりも大きい(ディスクを偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクと判断する)場合には、ディスクの回転速度を落として第2速度でさらに回転させるステップと、ディスクをさらに第2速度で回転させた場合に検出されるディスクのトラッキングゲイン値が所定閾値以下に小さくなる(ディスクを偏重心ディスクと判断する)場合には、ディスクの回転速度をそのまま第2速度で回転させてデータ再生するステップと、ディスクをさらに第2速度で回転させた場合に検出されるディスクのトラッキングゲイン値が所定閾値よりも大きくなる(ディスクを偏芯ディスクと判断する)場合には、ディスクの回転速度を再び第1速度で回転させてデータ再生するステップと、を含む。
【0011】
以下、本発明の作用について説明する。
【0012】
本発明のディスク再生装置、または、ディスク再生方法では、ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い第1速度で、または、標準速度以上に速く且つ第1速度より遅い第2速度で回転させてデータを再生する。このディスク再生装置またはディスク再生方法では、ディスクを第1速度で回転させた場合と、ディスクを第2速度で回転させた場合とで、それぞれの場合のトラッキングゲイン値が、所定閾値よりも大きいか、所定閾値以下であるか、を判断することにより、そのディスクが偏重心ディスクであるか、もしくは、偏芯ディスクであるか、を判断する。
【0013】
最初に、ディスクを標準速度より速い第1速度で回転させて、ピックアップを介して検出されるディスクのトラッキングゲイン値が、所定の閾値よりも大きい場合には、ディスクを偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクのいずれかであると判断する。そして、ディスクを第1速度より遅い第2速度でさらに回転させて、ディスクのトラッキングゲイン値が所定閾値以下に小さくなる場合には、そのディスクを偏重心ディスクと判断して、ディスクの回転速度をそのまま第2速度で回転させてデータ再生する。したがって、再生するディスクが共振を発生させる恐れが高い偏重心ディスクであっても、第2速度まで回転速度を低下させることで、偏重心ディスクの共振による異音の発生を防ぐことができる。
【0014】
次に、ディスクを第1速度より遅い第2速度でさらに回転させて、ディスクのトラッキングゲイン値が所定閾値よりも大きくなる場合には、そのディスクを偏重心ディスクではない偏芯ディスクと判断する。偏重心ディスクではない単なる偏芯ディスクは、トラッキングゲイン値が大きくなるものの、本来は共振を発生させる恐れが低い。そこで、ディスクの回転速度を遅い第2速度から再び第1速度に上げて回転させてデータ再生することにより、異音が発生することもなく、データ読み出し時間を短くすることが出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明のディスク再生装置、または、ディスク再生方法は、検出されるディスクのトラッキングゲイン値を、偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクのいずれかであると判断する基準にしながらも、遅い第2速度で回転させて偏重心ディスクの共振による異音の発生を抑止して、さらに、共振による異音を発生させる恐れが低い単なる偏心ディスクでは、速い第1速度で回転させてデータ読み出し時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のディスク再生装置1を説明するブロックダイアグラムである。(実施例1)
【図2】本発明のディスク再生装置1の動作を説明するフローチャートである。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置およびディスク再生方法について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置1を説明するブロックダイアグラムである。具体的には、図1のディスク再生装置1は、CDまたはCD−ROMが再生可能なCD−ROMドライブであり、ディスク2をCAVの標準速度に対して、10倍速(×10CAV。)、あるいは、32倍速(×32CAV。)で回転させて、ディスクに記録されているデータを再生するディスク再生装置である。なお、図1のディスク再生装置1において、例えば、電源回路等の本実施例の説明に不要な部分は、記載を省略している。
【0019】
本実施例のディスク再生装置1は、音声信号が記録されているCDであるディスク2を、標準速度よりも速い10倍速又は32倍速で回転させて、高速に音声信号データを読み出す(リッピングする)ことが可能なディスク再生装置である。ディスク再生装置1において、ディスク2は、ヨーク3およびマグネット4を含むクランパー5と、このクランパー5と磁力によって連結するターンテーブル6との間に狭持される。回転するターンテーブル6は、磁力が作用する磁性体を含み、スピンドルモーター8のスピンドル7に連結している。メカシャーシー9に固定されるスピンドルモーター8は、カム10により上下動する。
【0020】
したがって、ディスク2をディスク再生装置1にローディングすると、カム駆動回路11により動くカム10がターンテーブル6を上方に移動させるので、ディスク2の中心部分をクランパー5とターンテーブル6とが狭持する結果、ディスク2は回転可能になる。また、ディスク2をディスク再生装置1から排出する場合には、カム駆動回路11により動くカム10がターンテーブル6を下方に移動させるので、クランパー5とターンテーブル6とからディスク2の中心部分が開放される結果、ディスク2は取り出し可能になる。カム駆動回路11は、ディスク再生装置1の各回路を制御する制御回路16により制御される。具体的には、制御回路16はマイコンであり、図1では図示を省略しているものの、例えば、使用者が操作してディスクの再生指示、停止指示、ディスク2のローディング、取り出し、等を入力する(図示しない)スイッチ入力回路、あるいは、後述する復調回路14、光ピックアップサーボ回路15、等の他の回路に接続している。
【0021】
スピンドルモーター8は、スピンドルサーボ回路12により、その回転速度が制御される。スピンドルサーボ回路12は、RF増幅回路と同期検出回路とPLLとを含む復調回路14に接続する。また、ディスク2に対峙して記録信号を読み取る光ピックアップ回路13は、光ピックアップとレーザーダイオードと、を含み、フォーカスサーボ回路とトラッキングサーボ回路とピックアップモーター制御回路とを含む光ピックアップサーボ回路15により、その動きが制御される。光ピックアップ回路13および光ピックアップサーボ回路15は、復調回路14に接続する。光ピックアップ回路13を介してディスク2から読み出されるRF信号は、復調回路14に入力される。復調回路14の出力は、信号処理回路17に入力されて音声信号データに変換され、出力端子18に出力される。
【0022】
したがって、ディスク2が、音声信号が記録されているCDである場合には、制御回路16が、ディスク2を10倍速で回転させるのか、又は、32倍速で回転させるのか、を制御してディスク2をリッピングすることができる。制御回路16は、少なくとも復調回路14を介してスピンドルサーボ回路12と、光ピックアップ回路13と、光ピックアップサーボ回路15と、信号処理回路17とに接続しており、10倍速又は32倍速のいずれの回転速度であっても、高速に音声信号データを読み出すことができる。
【0023】
ここで、ディスク再生装置1の光ピックアップサーボ回路15のトラッキングサーボ回路では、ディスク2を高速で回転させるにつれて、光ピックアップのトラッキングゲイン値が大きくなるという傾向がある。また、ディスク2が、高速で回転させると共振が発生して異音が出ることがある偏重心ディスクまたは偏芯ディスクの場合には、偏重心・偏芯ではない正常なディスクの場合に比較して、光ピックアップサーボ回路15のトラッキングサーボ回路でピックアップのトラッキングゲイン値が大きくなる。したがって、本実施例のディスク再生装置1では、ディスク2をリッピングする場合に、制御回路16が、光ピックアップサーボ回路15でのトラッキングゲイン値を検知して、スピンドルサーボ回路12を制御し、ディスク2の回転速度を変更する。
【0024】
図2は、ディスク再生装置1の動作を説明するフローチャートである。ディスク再生装置1においてディスク2をリッピングする場合には、使用者がディスク再生装置1のスイッチ入力回路を操作すると、制御回路16にリッピングキーINというディスク2をリッピングする動作を開始させる命令が入力される(S1)。リッピングに際して、ディスク2を標準速度で回転させると読み出し時間が長くなるので、制御回路16は、リッピングキーが入力されるとディスク2を標準速度の32倍速で高速回転させる(S2)。
【0025】
次に、制御回路16は、ディスク2を32倍速で回転させる際の光ピックアップサーボ回路15でのトラッキングゲイン値G32を得て、所定の閾値Aを超えているかどうかを判断する(S3)。例えば、この所定の閾値Aは、偏重心のテストディスク(偏重心量:0.45gcm)の場合に検出されるトラッキングゲイン値に基づく値である。したがって、トラッキングゲイン値G32が所定の閾値A以下であれば、制御回路16は、ディスク2を高速で回転させても異音の発生が見込まれない偏重心ではないディスク、もしくは、偏芯ではないディスク、と判断する(S3:No)。その結果、制御回路16は、そのままディスク2を32倍速で回転させて、リッピングを開始してデータを再生する(S4)。
【0026】
一方で、光ピックアップサーボ回路15でのトラッキングゲイン値G32が所定の閾値Aを超えていれば(S3:Yes)、制御回路16は、ディスク2を偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクのいずれかであると判断する。したがって、制御回路16は、ディスク2の回転速度を32倍速から標準速度の10倍速に速度を落として回転させる(S5)。そして、制御回路16は、ディスク2を10倍速で回転させる際の光ピックアップサーボ回路15でのトラッキングゲイン値G10を得て、これが所定の閾値A以下であるかどうかを判断する(S6)。
【0027】
ディスク2を10倍速で回転させて、トラッキングゲイン値G10が所定の閾値A以下に小さくなる場合には、制御回路16は、そのディスク2を偏重心ディスクと判断して(S6:Yes)、ディスク2の回転速度をそのまま10倍速にして、リッピングを開始してデータを再生する(S4)。偏重心ディスクは、回転の中心軸に対して重心が偏っているので、速度が速くなるほど大きな慣性モーメントが働いて回転ブレが大きく発生し、共振が発生する。その一方で、偏重心ディスクは、速度が遅くなるほど回転ブレも小さくなるので、トラッキングゲイン値Gは小さくなり、共振が発生しなくなる。したがって、再生するディスク2が共振を発生させる恐れが高い偏重心ディスクであっても、10倍速まで回転速度を低下させることにより異音の発生を防ぐことができる。
【0028】
また、ディスク2を10倍速で回転させて、トラッキングゲイン値G10が所定の閾値A以下に小さくならない場合には、制御回路16は、そのディスク2を偏芯ディスクと判断して(S6:No)、ディスク2の回転速度を再び32倍速に上げて(S7)、リッピングを開始してデータを再生する(S4)。偏芯ディスクは、回転の中心軸に対して追従するトラックの軌跡が偏っているので、速度が遅くなってもトラッキングゲイン値Gは小さくなりにくいからである。つまり、ディスク2が、偏重心ディスクではない単なる偏芯ディスクである場合には、光ピックアップサーボ回路15でのトラッキングゲイン値Gが大きくなるものの、ディスク2の回転速度を再び32倍速に上げても、共振を発生させる恐れが低い。したがって、ディスク再生装置1では、ディスク2の回転速度を遅い10倍速から再び32倍速に上げて回転させてデータ再生することにより、異音が発生することもなく、リッピングでのデータ読み出し時間を短くすることが出来る。
【0029】
すなわち、本発明のディスク再生装置1では、32倍速でのディスク2のトラッキングゲイン値G32を検出し、制御回路16が、これを偏重心ディスクもしくは偏芯ディスクのいずれかであると所定の閾値Aと比較して判断しながらも、10倍速に遅くしたときのディスク2のトラッキングゲイン値G10を検出して、これを閾値Aと比較して、ディスク2が偏重心ディスクであるか、または、偏芯ディスクであるかを制御回路16が判断する。ディスク2が偏重心ディスクである場合には、制御回路16は、10倍速で回転させて偏重心ディスク2の共振による異音の発生を抑止する。さらに、ディスク2が共振による異音を発生させる恐れが低い単なる偏芯ディスクである場合には、速い32倍速で回転させてデータ読み出し時間を短くすることができる。
【0030】
なお、上記のディスク再生装置1では、ディスク2の回転角速度(CAV)を32倍速と10倍速との間で切り替えているが、本発明のディスク再生方法は、ディスク2を回転させる速度は、回転線速度(CLV)を標準速度より速い第1速度で、または、標準速度以上に速く且つ第1速度より遅い第2速度で回転させるものを含む。ディスク再生装置1がディスク2をCLVで回転させるか、CAVで回転させるかに関わらず、標準速度より速い第2速度は、偏重心のテストディスクを共振と異音とを発生させずに回転させることが出来る回転速度であればよい。
【0031】
また、上記の実施例のディスク再生装置1では、32倍速でのトラッキングゲイン値G32に対応する所定の閾値Aを設けて、第1速度である32倍速と、これよりも遅い第2速度である10倍速と、の2段階で回転速度を変更しているが、複数の回転速度でのトラッキングゲイン値Gのそれぞれに対応する所定の複数の閾値A設けて、標準速度より速い3段階以上の複数の回転速度でディスク2を回転させるようにしてもよい。偏重心ディスクの共振による異音の発生を抑止して、さらに、共振による異音を発生させる恐れが低い単なる偏心ディスクでは、速い回転速度で回転させてデータ読み出し時間を短くすることができる。
【0032】
また、上記のディスク再生装置1はCD-ROMドライブであるが、記録が可能なパーソナルコンピューター等に内蔵される記録再生装置に含まれていても良い。また、ディスク再生装置1のディスク2は、CDに限らず、DVD、DVD−ROM、BDなどを再生するディスクであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のディスク再生装置およびディスク再生方法は、上記のような光ディスクのみならず、光磁気ディスクの再生装置にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 ディスク再生装置
2 ディスク
3 ヨーク
4 マグネット
5 クランパー
6 ターンテーブル
7 スピンドル
8 スピンドルモーター
9 メカシャーシー
10 カム
11 カム駆動回路
12 スピンドルサーボ回路
13 光ピックアップ回路
14 復調回路
15 光ピックアップサーボ回路
16 制御回路
17 信号処理回路
18 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い第1速度で、または、該標準速度以上に速く且つ該第1速度より遅い第2速度で回転させてデータを再生するディスク再生装置であって、
該ディスクを該第1速度で回転させた場合に検出される該ディスクのトラッキングゲイン値が所定の閾値よりも大きい場合には、該ディスクの回転速度を落として該第2速度でさらに回転させ、
該ディスクをさらに該第2速度で回転させた場合に検出される該ディスクの該トラッキングゲイン値が該所定閾値以下に小さくなる場合には、該ディスクの回転速度をそのまま該第2速度で回転させてデータ再生し、
該ディスクをさらに該第2速度で回転させた場合に検出される該ディスクの該トラッキングゲイン値が該所定閾値よりも大きくなる場合には、該ディスクの回転速度を再び該第1速度で回転させてデータ再生する、ディスク再生装置。
【請求項2】
ディスクの回転角速度または回転線速度を、標準速度より速い第1速度で、または、該標準速度以上に速く且つ該第1速度より遅い第2速度で回転させてデータを再生するディスク再生方法であって、
該ディスクを該第1速度で回転させた場合に検出される該ディスクのトラッキングゲイン値が所定の閾値よりも大きい場合には、該ディスクの回転速度を落として該第2速度でさらに回転させるステップと、
該ディスクをさらに該第2速度で回転させた場合に検出される該ディスクの該トラッキングゲイン値が該所定閾値以下に小さくなる場合には、該ディスクの回転速度をそのまま該第2速度で回転させてデータ再生するステップと、
該ディスクをさらに該第2速度で回転させた場合に検出される該ディスクの該トラッキングゲイン値が該所定閾値よりも大きくなる場合には、該ディスクの回転速度を再び該第1速度で回転させてデータ再生するステップと、を含むディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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