説明

ディスク再生装置の異物除去具

【課題】ディスク再生装置内の異物を除去する異物除去具を提供する。
【解決手段】ディスク再生装置10の通常のディスク挿入動作により、挿入口12から挿入された異物除去具1が再生部15へ搬送され、曲げ部3が搬送ローラ13に到達すると異物除去具1が傾いて、たわみながら粘着部2が再生部15の面上の異物21に押し付き、接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク再生装置内の異物を除去する異物除去具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク再生装置は、搬送ローラが回転してディスクを挿入口から再生部へ搬送し、また、搬送ローラが逆回転してディスクを再生部から挿入口へ搬送して排出する構成である。このディスク再生装置内にディスクより小さい異物(カード、コイン等)が入ると、搬送ローラから脱落して排出できなくなる。そこで、特許文献1に係るディスク搬送装置では、装置内に入った異物を搬送ローラまで搬送する補助搬送手段を設けて、搬送ローラに異物を再び載せて排出できるようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−207312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のディスク搬送装置は以上のように構成されているので、異物が小さい場合、補助搬送手段の届かない位置に入ったり、補助搬送手段から搬送ローラへ届かず載せることができなかったりして、排出できない可能性があった。そのため、誤って挿入された異物により再生不良および動作不良を引き起こすという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ディスク再生装置内の異物を除去する異物除去具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディスク再生装置の異物除去具は、ディスクと同様に挿入口から挿入されて搬送ローラにより再生部へ搬送される、たわみのある板状部材からなり、板状部材の、挿入口へ挿入される先端側であって搬送ローラと接する面に設けられた、シャーシ内の異物を接着する粘着部と、搬送ローラの軸に平行な折り曲げ線に沿って、粘着部が再生部側に向くよう板状部材を折り曲げた曲げ部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ディスク再生装置の通常のディスク挿入動作により、異物除去具が粘着部を設けた先端側から挿入されて再生部へ搬送され、曲げ部が搬送ローラに到達すると異物除去具が傾いて、たわみながら粘着部が再生部の面上の異物に押し付いて接着し、通常のディスク排出動作で排出されるようにしたので、ディスク再生装置内の異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る異物除去具の構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)はAA線に沿って切断した断面図である。
【図2】ディスク再生装置の内部構造の一例を示す側面図である。
【図3】実施の形態1に係る異物除去具を、ディスク再生装置に挿入したときの挿入口側から見た状態を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る異物除去具を、ディスク再生装置に挿入したときの状態を示す側面図であり、曲げ部が搬送ローラを過ぎる前の状態を示す。
【図5】実施の形態1に係る異物除去具を、ディスク再生装置に挿入したときの状態を示す側面図であり、曲げ部が搬送ローラを過ぎた後の状態を示す。
【図6】実施の形態1に係る異物除去具とディスク再生装置の変形例を示す平面図である。
【図7】実施の形態1に係る異物除去具の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1に示すように、異物除去具1はたわむ材質の板状部材から成り、一辺が円弧状に形成されてその片面が粘着部2になっている。また、粘着部2を設けた面が内側になるように板状部材を折り曲げて、曲げ部3が形成されている。
たわむ材質の板状部材としては、ポリスチレン、ポリカーボネートなどを用いればよい。また、円弧の形状は、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)などの円弧形状と略同じとする。
【0010】
図2は、従来のディスク再生装置10の一例を示す側面図であり、シャーシ11を切断して内部構造を示している。シャーシ11に、CDおよびDVDなどのディスク20を挿脱する挿入口12が形成されている。また、このシャーシ11の内部には搬送ローラ13が回転自在に保持されており、この搬送ローラ13が回転して、挿入口12から挿入されたディスク20を載せて再生部15へ搬送する。このとき、シャーシ11の天面内側に設けられたディスクガイド部品14が、搬送ローラ13との間にディスク20を挟むようにしてガイドする。ディスク20が再生位置まで搬送されると、不図示の駆動機構により搬送ローラ13が下方の再生部15側へ移動し、図2に二点鎖線で示すようにディスク20がターンテーブル16に載置される。
再生部15は、ディスク20を回転させるターンテーブル16の他、図示は省略するがディスク20をターンテーブル16上に保持するクランパ、ディスク20の情報再生および情報記録を行う光ピックアップなどを備える。
ディスク20を排出するときは、不図示の駆動機構により搬送ローラ13がディスク20を載せて上方のディスクガイド部品14側へ移動し、搬送ローラ13が逆回転してディスク20を再生部15から挿入口12へ搬送し排出する。
【0011】
ディスク再生装置10は、図2に示すように角度θだけ傾斜させ、挿入口12が上を向いた姿勢で設置される。そのため、挿入口12からシャーシ11の内部へ誤って挿入された異物21は、再生部15の面上の、シャーシ11の奥側に集まる。カード、コイン、シール、紙くずといった異物21がディスク20より小さい場合、搬送ローラ13から脱落してしまうので、排出することができない。また、この異物21により、ディスク再生装置10の再生不良および動作不良が起こる可能性がある。
そこで、異物除去具1を用いて異物21を除去する。異物除去具1は、粘着部2を設けた面を下にして搬送ローラ13と再生部15の側へ向け、粘着部2を設けた先端側から挿入口12へ挿入される。
【0012】
図3は、異物除去具1をディスク再生装置10に挿入したときの挿入口12側から見た状態を示す図である。この異物除去具1は、図1に示すA’−A’線の位置で切断された断面を示している。また、図3ではシャーシ11等の図示を省略している。挿入口12から挿入された異物除去具1は、搬送ローラ13に載って再生部15へ搬送される。搬送ローラ13は、軸13aの中央部から両端部に向かうにつれて拡径するテーパ形状13bであるため、異物除去具1と搬送ローラ13とはエッジで接触する。そのため、粘着部2は搬送ローラ13に貼り付くことなく、シャーシ11の内部へ搬送される。
なお、異物21を接着するための面積は小さくなるが、粘着部2を異物除去具1より一回り小さくして、異物除去具1と搬送ローラ13とをエッジ接触させ貼り付きを防止してもよい。
【0013】
図4および図5は、異物除去具1をディスク再生装置10に挿入したときの状態を示す側面図である。挿入口12から挿入された異物除去具1は、曲げ部3が搬送ローラ13に到達するまで、通常のディスク20の挿入時と同じ軌跡で搬送される。異物除去具1は上面からディスクガイド部品14に、下面から搬送ローラ13に挟持されて搬送されるので、粘着部2が再生部15に接触することなくシャーシ11の奥側へ進む。
【0014】
曲げ部3が搬送ローラ13を過ぎると、この曲げ部3より後方部分が搬送ローラ13とディスクガイド部品14に挟持されるので異物除去具1の姿勢が変わり、図5に矢印Bで示すように、曲げ部3より前方部分が再生部15の方向へ近づいて先端の粘着部2を再生部15の面上の異物21に押し付け、接着する。また、異物除去具1がたわむことで、粘着部2と異物21の接触面積が増え、接着し易くなる。なお、異物除去具1の姿勢が変わったときにターンテーブル16や光ピックアップ22(図6)等の部品に接着しないように、曲げ部3から粘着部2までの距離を、搬送ローラ13からターンテーブル16までの距離、または搬送ローラ13から光ピックアップ22までの距離の内、より長い方の距離より長くしておくことが望ましい。これにより、粘着部2がターンテーブル16、および光ピックアップ22を通り過ぎた位置で、曲げ部3が搬送ローラ13に載って姿勢が変わり、粘着部2が再生部15の面上に接触するようになる。
その後、通常のディスク排出動作により、搬送ローラ13が異物除去具1と異物21とを一緒に搬送し、挿入口12から排出する。
【0015】
以上より、実施の形態1によれば、異物除去具1は、ディスク20と同様にディスク再生装置10の挿入口12から挿入されて搬送ローラ13により再生部15へ搬送される、たわみのある板状部材から成り、この板状部材の、挿入口12へ挿入される先端側であって搬送ローラ13と接する面に設けられた、シャーシ11内の異物21を接着する粘着部2と、搬送ローラ13の軸13aに平行な折り曲げ線に沿って、粘着部2が再生部15側に向くよう板状部材を折り曲げた曲げ部3とを備えるように構成した。このため、ディスク再生装置10の通常のディスク挿入動作により、曲げ部3が搬送ローラ13に到達すると異物除去具1が傾いて、たわみながら粘着部2が再生部15の面上の異物21に押し付き、接着することができる。また、ディスク再生装置10の通常のディスク排出動作により、異物除去具1が異物21と一緒に排出されるので、ディスク再生装置10から異物を除去することができる。
【0016】
また、実施の形態1によれば、異物除去具1は、曲げ部3から粘着部2までの距離を、ディスク再生装置10の搬送ローラ13から再生部15のターンテーブル16または光ピックアップ22までの距離の内、より長い方の距離より長くする構成にした。このため、ターンテーブル16および光ピックアップ22に粘着部2が接着することを防止できる。
【0017】
また、実施の形態1によれば、異物除去具1の先端側をディスク20と同じ略円弧状に形成したので、ディスク再生装置10の構造に関係なく異物除去具1を使用することができ、汎用性が高い。
ただし、異物除去具1の形状を、ディスク再生装置10の構造に合わせて変形してもよい。以下、変形例を説明する。
図6は、ディスク再生装置10と異物除去具1の変形例を示す平面図である。なお、図6ではシャーシ11の図示を省略している。再生部15の挿入口12側には、ディスク20の挿入を検知する挿入検知レバー17が一対設けられている。これら挿入検知レバー17は、軸17aを中心に回動自在に取り付けられており、ディスク20の円弧状の縁部に沿って矢印Cの左右方向へ開いてディスク20を挿入可能にする。
この構造の場合、図1に示す先端円弧状の異物除去具1であれば、ディスク20と同じように一対の挿入検知レバー17を押し広げて挿入できる。
また、図6に示す異物除去具1のように、円弧部分に、一対の挿入検知レバー17の幅より狭い凸部4を形成してもよい。凸部4があっても、その両端の円弧部分で挿入検知レバー17を押し広げて挿入できる。さらに、凸部4にも粘着部2を設ければ、異物21を接着する面積を広くできる。
【0018】
また、図6に示すディスク再生装置10のように、再生部15の奥側に、ディスク20の搬送を止めるストッパ18が突設されている場合、図1および図6に示す異物除去具1のように先端側がディスク20と略同じ円弧形状になっていれば、その円弧部分でストッパ18に当接することができる。よって、異物除去具1を挿入しても、ディスク再生装置10に通常のディスク挿入動作を行わせることができる。
【0019】
また、挿入検知レバー17は無く、ストッパ18があるディスク再生装置10に対しては、図7に示す異物除去具1の変形例のように、先端側の一方の角部を円弧形状にし、もう一方の角部はそのまま残して左右非対称に形成してもよい。この構成の場合、ディスク再生装置10に通常のディスク挿入動作を行わせることができ、さらに、粘着部2の接着面積を広くすることができる。
また、挿入検知レバー17、ストッパ18といった障害物が無ければ、異物除去具1の先端側の両角部をそのまま残して長方形にしてもよい(不図示)。この構成の場合、粘着部2の接着面積をさらに広くすることができる。
【0020】
また、挿入検知レバー17およびストッパ18の代わりに光センサを用いてディスク20を検知する構造のディスク再生装置10に対しては、遮光性の板状部材(例えば、黒色の板状部材)で異物除去具1を構成すればよい。これにより、異物除去具1が光センサの光を遮断して、ディスク再生装置10に通常のディスク挿入動作を行わせることができる。
【0021】
なお、図示例ではディスク再生装置10が角度θだけ傾斜した姿勢であったが、水平姿勢であっても構わない。
【0022】
さらに、上記変形例以外にも、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 異物除去具、2 粘着部、3 曲げ部、4 凸部、10 ディスク再生装置、11 シャーシ、12 挿入口、13 搬送ローラ、13a 軸、13b テーパ形状、14 ディスクガイド部品、15 再生部、16 ターンテーブル、17 挿入検知レバー、17a 軸、18 ストッパ、20 ディスク、21 異物、22 光ピックアップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の中央部から両端部に向かうにつれて拡径するテーパ形状の搬送ローラが、シャーシの挿入口から挿入されたディスクを載せて、当該軸を中心に回転して再生部へ搬送するディスク再生装置の異物除去具であって、
前記異物除去具は、
前記ディスクと同様に前記挿入口から挿入されて前記搬送ローラにより前記再生部へ搬送される、たわみのある板状部材から成り、
当該板状部材の、前記挿入口へ挿入される先端側であって前記搬送ローラと接する面に設けられた、前記シャーシ内の異物を接着する粘着部と、
前記搬送ローラの軸に平行な折り曲げ線に沿って、前記粘着部が前記再生部側に向くよう当該板状部材を折り曲げた曲げ部とを備えることを特徴とするディスク再生装置の異物除去具。
【請求項2】
異物除去具は、曲げ部から粘着部までの距離が、ディスク再生装置の搬送ローラから再生部のターンテーブルまでの距離または前記搬送ローラから当該再生部の光ピックアップまでの距離の内、より長い方の距離より長いことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置の異物除去具。
【請求項3】
異物除去具の板状部材は遮光性であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスク再生装置の異物除去具。
【請求項4】
異物除去具は、ディスク再生装置の挿入口へ挿入される先端側の形状が、ディスクと略同じ円弧形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のディスク再生装置の異物除去具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−69365(P2013−69365A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205971(P2011−205971)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)