説明

ディスク搬送機構及び薄型ディスク駆動システム

【課題】ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うことができるディスク搬送機構を提供する。
【解決手段】 薄型ディスクを吸着保持する4個の吸着機構100と、スペーサが一時的に載置されるスペーサストッカと、一方の端部に吸着機構100が取り付けられ、他方の端部が回転軸に固定されている4本のアーム520と、回転軸を回転させる公転搬送モータ500とを備え、回転軸は、積層体ストッカ300の中心とスペーサストッカ400の中心と各開放ドライブトレイ810の中心とが該回転軸を中心とする同一円周上に互いに等しい中心角をもって配置される位置に設けられ、該中心角と4本のアーム間の中心角とが等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク搬送機構及び薄型ディスク駆動システムに係り、更に詳しくは、薄型ディスクを搬送するディスク搬送機構、及び該ディスク搬送機構を備える薄型ディスク駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータで扱われる情報量の大容量化に伴い、情報を蓄える記憶装置の更なる大容量化が望まれている。記憶装置としては、主にハードディスク、光ディスク等のディスク状の記憶媒体、及び磁気テープ等のテープ状の記憶媒体があげられる。
【0003】
ディスク状の記憶媒体は、テープ状の記憶媒体に比べて記録領域の総面積が小さい。このため、記録密度が同じ場合には、ディスクカートリッジ1個あたりの記録容量を、テープカートリッジ1個あたりの記録容量よりも大きくするのは困難であった。
【0004】
これを解決する手段として、厚さが0.1〜0.3mm程度の光ディスク(以下、「薄型光ディスク」ともいう)を用い、1個のディスクカートリッジに多数の光ディスクを収納し、大容量化を図ることが考案された。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数の薄型の情報記録媒体を収容するカートリッジ、そのカートリッジに収容された情報記録媒体をローディングする方法、並びにそのローディング機構を備えた記録再生装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、シート状の光ディスクを多数枚収納したカートリッジから光ディスクを取り出しデータを記録又は再生するための光ディスク記録再生装置、及び複数台配置したこの光ディスク記録再生装置にカートリッジを運搬し光ディスクを取り出して記録再生するように構成したディスクオートチェンジャが開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、複数枚の光ディスクに情報の記録、又は再生を行う記録再生装置において、複数枚の光ディスクを積層しコンパクトに収納した積層型トレイ、及び積層したトレイから光ディスクを複数の記録再生装置へ展開し搬送する機構装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されているカートリッジと搬送機構では、同時に使用できる光ディスクはせいぜい1枚か2枚であった。
【0009】
そこで、複数のドライブ装置を用いることが考えられるが、フレキシブルな薄型ディスクは、剛性が低いために搬送などの取り扱いが難しく、複数の薄型光ディスクを複数のドライブ装置に搬送するためにかなりの時間を要するという不都合があった。
【0010】
また、特許文献3に開示されている機構装置では、トレイを一度に展開することにより搬送時間を短縮しているが、多数の吸着ピンセットが必要であり、必然的に装置全体が大きくなるという不都合があった。
【0011】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うことができるディスク搬送機構を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うとともに、システムの小型化を図ることができる薄型ディスク駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の観点からすると、複数枚の薄型ディスクが積層体として収容されるディスクカートリッジ、及び前記薄型ディスクに対して記録及び再生のうち少なくとも再生を行う複数のドライブ装置を備える薄型ディスク駆動システムに用いられるディスク搬送機構であって、薄型ディスクを保持する複数の保持機構と;一方の端部に前記保持機構が取り付けられ、他方の端部が回転軸に固定されている複数のアームと;前記回転軸を回転させる駆動装置と;を備え、前記回転軸は、前記積層体の中心と前記複数のドライブ装置から引き出された各ドライブトレイの中心とが該回転軸を中心とする同一円周上に互いに等しい中心角をもって配置される位置に設けられ、前記中心角と前記複数のアーム間の少なくとも一部の中心角とが等しいことを特徴とするディスク搬送機構である。
【0014】
これによれば、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うことができる。
【0015】
本発明は、第2の観点からすると、複数枚の薄型ディスクが間にスペーサを挟んだ積層体として収容されるディスクカートリッジ、及び前記薄型ディスクに対して記録及び再生のうち少なくとも再生を行う複数のドライブ装置を備える薄型ディスク駆動システムに用いられるディスク搬送機構であって、薄型ディスクを保持する複数の保持機構と;スペーサが一時的に載置されるスペーサストッカと;一方の端部に前記保持機構が取り付けられ、他方の端部が回転軸に固定されている複数のアームと;前記回転軸を回転させる駆動装置と;を備え、前記回転軸は、前記積層体の中心と前記スペーサストッカの中心と前記複数のドライブ装置から引き出された各ドライブトレイの中心とが該回転軸を中心とする同一円周上に互いに等しい中心角をもって配置される位置に設けられ、前記中心角と前記複数のアーム間の少なくとも一部の中心角とが等しいことを特徴とするディスク搬送機構である。
【0016】
これによれば、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うことができる。
【0017】
本発明は、第3の観点からすると、複数枚の薄型ディスクが収容されるディスクカートリッジと;前記薄型ディスクに対して記録及び再生のうち少なくとも再生を行う複数のドライブ装置と;本発明のディスク搬送機構と;を備える薄型ディスク駆動システムである。
【0018】
これによれば、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うとともに、システムの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る薄型ディスク記録再生装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】図1におけるディスクカートリッジを説明するための図である。
【図3】積層体を説明するための図である。
【図4】薄型光ディスクを説明するための図である。
【図5】スペーサを説明するための図である。
【図6】積層体ストッカとスペーサストッカと開放ドライブトレイと公転搬送モータの位置関係を説明するための図である。
【図7】吸着機構を水平方向に移動させるためのアームと公転搬送モータとの関係を説明するための図である。
【図8】吸着機構を説明するための図である。
【図9】吸着機構の吸盤を説明するための図である。
【図10】積層体ストッカとスペーサストッカと開放ドライブトレイと吸着機構の位置関係を説明するための図である。
【図11】ディスク搬送機構の動作を説明するための図(その1)である。
【図12】ディスク搬送機構の動作を説明するための図(その2)である。
【図13】ディスク搬送機構の動作を説明するための図(その3)である。
【図14】第1の動作例を説明するための図(その1)である。
【図15】第1の動作例を説明するための図(その2)である。
【図16】第1の動作例を説明するための図(その3)である。
【図17】第2の動作例を説明するための図(その1)である。
【図18】第2の動作例を説明するための図(その2)である。
【図19】第3の動作例を説明するための図である。
【図20】第4の動作例を説明するための図である。
【図21】第5の動作例を説明するための図である。
【図22】第6の動作例を説明するための図である。
【図23】ディスク搬送機構の変形例を説明するための図である。
【図24】図23のディスク搬送機構に対応する動作例を説明するための図である。
【図25】薄型ディスク記録再生装置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図22に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る薄型ディスク駆動システムとしての薄型ディスク記録再生装置10が示されている。ここでは、薄型ディスク記録再生装置10が設置されている床面に直交する方向をZ軸方向とし、床面に平行な面内で互いに直交する2つの方向をX軸方向とY軸方向とする。
【0021】
この薄型ディスク記録再生装置10は、4個の吸着機構100、積層体昇降機構200、積層体ストッカ300、スペーサストッカ400、公転搬送モータ500、ディスクカートリッジ700、10台のドライブ装置800、ディスクトレイ駆動機構(図示省略)及び制御装置(図示省略)などを備えている。
【0022】
上記制御装置は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、上位装置(例えば、パソコン)との通信を制御する通信インターフェースなどを有している。
【0023】
ディスクカートリッジ700は、一例として図2に示されるように、10段のディスクトレイ710を有している。
【0024】
各ディスクトレイは、ディスクカートリッジ700の筐体内に収容可能であるとともに、該筐体から引き出すことが可能である。ここでは、ディスクカートリッジ700は、各ディスクトレイ710が、+X方向に引き出されるように設置されているものとする。
【0025】
また、各ディスクトレイ710は、+X側の端部から中心部に延びる切り欠き部を有している。
【0026】
そして、各ディスクトレイには、一例として図3に示されるように、複数枚の薄型光ディスク21が間にスペーサ22を挟んで積層されている積層体20が収納されている。ここでは、この積層体20は、10枚の薄型光ディスク21を含んでいる。
【0027】
薄型光ディスク21は、一例として図4に示されるように、外径L11の円板状であり、中心部に直径L12の開口(中心孔)を有している。ここでは、一例として、L11=120mm、L12=15mmとしている。
【0028】
この薄型光ディスク21は、厚さが約0.2mmのプラスチックフィルムに記録膜を形成したものである。
【0029】
スペーサ22は、一例として図5に示されるように、外径L21の円板状であり、中心部に直径L22の開口(中心孔)を有している。ここでは、一例として、L21=123mm、L22=15mmとしている。
【0030】
積層体20では、複数の薄型光ディスク21及び複数のスペーサ22は、平面視、それらの中心孔が一致するように積層されている。そこで、以下では、薄型光ディスク21とスペーサ22が積層されているときの中心孔を、積層体20の中心孔ともいう。
【0031】
図1に戻り、積層体ストッカ300は、積層体20を一時的に保管するための板状部材であり、表面はZ軸に直交している。
【0032】
この積層体ストッカ300は、Z軸方向の移動(昇降)が可能であり、ディスクカートリッジ700から引き出されたディスクトレイ710の直下に位置している。
【0033】
また、積層体ストッカ300は、積層体20が載置されたときに、中心が該積層体20の中心と略一致する開口を有している。
【0034】
スペーサストッカ400は、スペーサを一時的に保管するための板状部材であり、表面はZ軸に直交している。
【0035】
このスペーサストッカ400は、Z軸方向の移動(昇降)が可能であり、積層体ストッカ300の−Y側に配置されている。なお、積層体ストッカ300とスペーサストッカ400は、一体化されていても良い。
【0036】
10台のドライブ装置800は、5台ずつ重ねられユニット化されている。そして、第1のドライブユニットをドライブユニットDU1、第2のドライブユニットをドライブユニットDU2とする。
【0037】
ここでは、一例として図6に示されるように、ドライブユニットDU1は、ディスクカートリッジ700の+X側に配置されている。ドライブユニットDU2は、ドライブユニットDU1の−Y側に配置されている。そして、各ドライブ装置800は、ドライブトレイ810が−X方向に引き出されるように配置されている。
【0038】
公転搬送モータ500は、図7に示されるように、Z軸に平行な回転軸510を有している。そして、該回転軸510には、十字形状の4本のアーム520を有する板部材がXY面に平行に取り付けられている。
【0039】
4つの吸着機構100は、上記4本のアーム520の各端部にそれぞれ取り付けられている。そこで、公転搬送モータ500が回転すると、4つの吸着機構100もXY面内で回転する。
【0040】
4本のアーム520のZ軸方向に関する位置は、ドライブトレイのZ軸方向に関する位置に応じて調整することができる。ここでは、4本のアーム520のZ軸方向に関する位置は、5段階で調整することができるようになっている。そして、4本のアーム520のZ軸方向に関する位置は、積層体ストッカ300及びスペーサストッカ400のZ軸方向に関する位置と連動している。
【0041】
ここでは、公転搬送モータ500の回転軸510は、XY面内に関して、積層体ストッカ300上に載置された積層体20の中心と、スペーサストッカ400上に載置されたスペーサ22の中心と、ドライブユニットDU1のドライブ装置800から引き出された状態のドライブトレイ810の中心と、ドライブユニットDU2のドライブ装置800から引き出された状態のドライブトレイ(以下では、便宜上「開放ドライブトレイ」ともいう)810の中心とが、回転軸510を中心とする同一円周上に互いに等しい中心角(以下では、便宜上「配列中心角」ともいう)をもって配置される位置に設けられている。
【0042】
そして、4本のアーム520間の中心角(以下では、便宜上「アーム中心角」ともいう)が互いに等しく、上記配列中心角と同じであることから、1つの吸着機構100が、積層体ストッカ300上に載置された積層体20の中心の+Z側に位置すると、他の3つの吸着機構100は、それぞれ、スペーサストッカ400上に載置されたスペーサ22の中心の+Z側、各開放ドライブトレイ810の中心の+Z側に位置することとなる。
【0043】
各吸着機構100は、図8及び図9に示されるように、Z軸に平行な昇降軸110、該昇降軸110の−Z側端部に取り付けられたブロック状の吸盤保持部材120、該吸盤保持部材120の−Z側の面に−Z方向を向いて保持されている3つの吸盤130、前記昇降軸110をZ軸方向に移動(昇降)させるための駆動モータ140、該駆動モータ140の回転力を前記昇降軸110に伝達する伝達系150などを有している。
【0044】
各吸盤は、真空配管を介して真空ポンプ(図示省略)に連結されている。そして、該真空配管の途中には、上記制御装置によって開閉される電磁弁(図示省略)が設けられている。
【0045】
そこで、電磁弁を開とすることによって、各吸盤で薄型光ディスク21及びスペーサ22を真空吸着することができる。また、電磁弁を閉とすることによって、各吸盤に大気が導入され、吸着を解除することができる。
【0046】
吸盤保持部材120は、駆動モータ140によって、Z軸方向に移動(昇降)することができる。
【0047】
積層体昇降機構200は、積層体ストッカ300の−Z側に配置され、Z軸に平行な昇降軸(図示省略、以下では「昇降軸210」という)、該昇降軸210の+Z側端部に取り付けられたアジャスタ(図示省略、以下では「アジャスタ220」という)、前記昇降軸210をZ軸方向に移動(昇降)させるための駆動モータ(図示省略、以下では「駆動モータ230」という)などを有している。
【0048】
昇降軸210の軸中心は、積層体ストッカ300の開口の中心及び引き出されたディスクトレイ710の中心と略一致している。
【0049】
引き出されたディスクトレイ710に積層体20が載置されているときに昇降軸210が上昇すると、アジャスタ220は、積層体ストッカ300の開口及びディスクトレイ710の切り欠き部を通過して積層体20の中心孔に一部が挿入される。アジャスタ220は、張り出し部を有しており、該張り出し部で積層体20を支持するようになっている。そこで、さらに昇降軸210が上昇すると、積層体20はディスクトレイ710の底面から持ち上げられることとなる。
【0050】
次に、詳細な搬送手順について説明する。
A.全てのドライブ装置800を用いて、薄型光ディスク21に対して、記録あるいは再生を行う場合。
【0051】
(A1)ディスクカートリッジ700からディスクトレイ710を引き出す。
(A2)アジャスタ220を上昇させ、積層体20をディスクトレイ710から離間させる。
(A3)該ディスクトレイ710をディスクカートリッジ700に収納する。
(A4)アジャスタ220を下降させ、積層体20を積層体ストッカ300上に載置する。XY面内において、ここでの積層体20の中心位置は、ディスクトレイ710に載置されていたときの中心位置と同じである。
(A5)ドライブユニットDU1及びドライブユニットDU2のドライブトレイ810を開く。
(A6)いずれかの吸着機構100を積層体ストッカ300の+Z側に移動させる。
(A7)吸盤保持部材120を下降させ、3つの吸盤130で積層体20の最上面にある薄型光ディスク21を吸着する。
(A8)吸盤保持部材120を上昇させ、吸着した薄型光ディスク21を積層体20から分離する。これにより、積層体20の最上面は、スペーサ22となる。
(A9)薄型光ディスク21を吸着した吸着機構100をドライブトレイ810の直上に移動させる。
(A10)薄型光ディスク21が吸着している吸盤保持部材120を下降させ、吸着を解除する。これにより、薄型光ディスク21はドライブトレイ810上に載置される。
(A11)吸盤保持部材120を上昇させる。
(A12)該ドライブトレイ810をドライブ装置800の筐体内に収納する。
(A13)いずれかの吸着機構100を積層体ストッカ300の+Z側に移動させる。
(A14)吸盤保持部材120を下降させ、3つの吸盤130で積層体20の最上面にあるスペーサ22を吸着する。
(A15)吸盤保持部材120を上昇させ、吸着したスペーサ22を積層体20から分離する。これにより、積層体20の最上面は、薄型光ディスク21となる。
(A16)スペーサ22を吸着した吸着機構100をスペーサストッカ400の直上に移動させる。
(A17)スペーサ22が吸着している吸盤保持部材120を下降させ、吸着を解除する。これにより、スペーサ22はスペーサストッカ400上に載置される。
(A18)吸盤保持部材120を上昇させる。
(A19)上記(A6)〜(A18)の処理を別のドライブユニットで繰り返し行う。
(A20)次のドライブトレイ810のZ軸方向に関する位置に応じて、各アームのZ軸方向に関する位置を調整する。吸着機構100、積層体昇降機構200、積層体ストッカ300、スペーサストッカ400と公転搬送モータ500は一体構造となっており、駆動モータ900(図1参照)によってZ軸方向に同時に移動される。
【0052】
以降、全てのドライブ装置800のドライブトレイ810に薄型光ディスク21がセットされるように、上記(A5)〜(A20)の処理を繰り返し行う。
【0053】
そして、各薄型光ディスク21に対して、記録あるいは再生を行う。
【0054】
B.記録あるいは再生が終了し、全ての薄型光ディスク21をディスクカートリッジ700に戻す場合。
【0055】
(B1)最も+Z側にあるドライブトレイ810のZ軸方向に関する位置に応じて、各アームのZ軸方向に関する位置を調整する。ここでは、各アームのZ軸方向に関する位置を最上段とする。
(B2)ドライブユニットDU1及びドライブユニットDU2のドライブトレイ810を開く。
(B3)いずれかの吸着機構100を該ドライブトレイ810の+Z側に移動させる。
(B4)吸盤保持部材120を下降させ、3つの吸盤130でドライブトレイ810上の薄型光ディスク21を吸着する。
(B5)吸盤保持部材120を上昇させ、吸着した薄型光ディスク21をドライブトレイ810から分離する。
(B6)該ドライブトレイ810をドライブ装置800の筐体内に収納する。
(B7)薄型光ディスク21を吸着した吸着機構100を積層体ストッカ300の直上に移動させる。
(B8)薄型光ディスク21が吸着している吸盤保持部材120を下降させ、吸着を解除する。これにより、薄型光ディスク21は積層体ストッカ300上に載置される。
(B9)吸盤保持部材120を上昇させる。
(B10)いずれかの吸着機構100をスペーサストッカ400の直上に移動させる。
(B11)吸盤保持部材120を下降させ、3つの吸盤130でスペーサストッカ400上のスペーサ22を吸着する。
(B12)吸盤保持部材120を上昇させ、吸着したスペーサ22をスペーサストッカ400から分離する。
(B13)スペーサ22を吸着した吸着機構100を積層体ストッカ300の直上に移動させる。
(B14)スペーサ22が吸着している吸盤保持部材120を下降させ、真空を解除する。これにより、スペーサ22は積層体ストッカ300上に載置される。
(B15)吸盤保持部材120を上昇させる。
(B16)上記(B3)〜(B15)の処理を別のドライブユニットで繰り返し行う。
(B17)次のドライブトレイ810のZ軸方向に関する位置に応じて、アームのZ軸方向に関する位置を調整する。
【0056】
以降、全てのドライブトレイ810上の薄型光ディスク21、及びスペーサストッカ400上の全てのスペーサ22が積層体ストッカ300上に載置されるように、上記(B2)〜(B17)の処理を繰り返し行う。
【0057】
(B18)アジャスタ220を上昇させ、積層体ストッカ300上の積層体20を積層体ストッカ300上から離間させる。
(B19)ディスクカートリッジ700からディスクトレイ710を引き出す。
(B20)アジャスタ220を下降させ、積層体20をディスクトレイ710上に載置する。
(B21)該ディスクトレイ710をディスクカートリッジ700に収納する。
【0058】
上記動作は、プログラム化され前記制御装置のROMに格納されている。すなわち、上記動作は、前記制御装置からの指示によって実行される。
【0059】
ここでは、図6及び図10に示されるように、公転搬送モータ500の回転軸510は、XY面内に関して、積層体ストッカ300上に載置された積層体20の中心と、スペーサストッカ400上に載置されたスペーサ22の中心と、ドライブユニットDU1の開放ドライブトレイ810の中心と、ドライブユニットDU2の開放ドライブトレイ810の中心とが、回転軸510を中心とする同一円周上に互いに等しい配列中心角90°をもって配置される位置に設けられている。そして、4つのアーム中心角が互いに等しく、配列中心角と同じである。
【0060】
この場合は、吸着機構100は、積層体ストッカ300、スペーサストッカ400、2つの開放ドライブトレイ810の直上に同時に位置することができる。これにより、積層体ストッカ300からの薄型光ディスク21あるいはスペーサ22の吸着動作と、ドライブトレイ810上への薄型光ディスク21の載置動作、あるいはスペーサストッカ400上へのスペーサ22の載置動作を同時に行うことができる。
【0061】
このように、複数の動作を同時に行うことにより、全体の搬送時間を短縮することができる。また、回転軸510の回転によって吸着機構100を移動させる構造となっているため、吸着機構100は、比較的高速で移動することができる。
【0062】
さらに、複数台のドライブ装置が2列に設置されているので、システム全体を小さくすることができる。そこで、搬送動作の高速化とシステムの小型化を同時に実現できる。
【0063】
ところで、ディスクカートリッジに収納されている10枚の薄型光ディスクを、10台のドライブ装置に分配し、その後、ディスクカートリッジに戻すときのディスク搬送機構の動作について考える。
【0064】
ここでは、図11に示されるように、2組のドライブユニット、スペーサストッカ、積層体ストッカをそれぞれA、B、C、Dとする。また、積層体は、図12に示されるように、上から順に、薄型光ディスク1(D1)、スペーサ1(S1)、薄型光ディスク2(D2)、スペーサ2(S2)、・・・、スペーサ9(S9)、薄型光ディスク10(D10)、スペーサ10(S10)が積層されている。
【0065】
そして、図13に示されるように、ドライブユニットAのドライブ装置にD1、D3、D5、D7、D9を分配し、ドライブユニットBのドライブ装置にD2、D4、D6、D8、D10を分配するものとする。なお、ドライブユニットAのドライブトレイを上から順にドライブトレイ1、ドライブトレイ3、ドライブトレイ5、ドライブトレイ7、ドライブトレイ9という。また、ドライブユニットBのドライブトレイを上から順にドライブトレイ2、ドライブトレイ4、ドライブトレイ6、ドライブトレイ8、ドライブトレイ10という。
【0066】
第1の動作例が図14〜図16に示されている。図14には、ディスクカートリッジから各ドライブ装置に薄型光ディスクを搬送するときの、吸着機構の動き、薄型光ディスクの移動状況、スペーサの移動状況が示されている。なお、図中「↑」は、吸着機構による吸着・上昇を意味し、「↓」は、吸着解除・落下を意味している。そして、図14の各動作でのアームの回転角及び位置が、図15に示されている。図15では、右側の太い黒枠が図11におけるA、B、C、Dに対応し、その位置での動作を示している。
【0067】
また、ディスクトレイは、ディスクカートリッジから引き出されている(Open)ものとする。そして、アームのZ軸方向に関する位置は、最上段位置にあるものとする。
【0068】
(動作1)ドライブトレイ1とドライブトレイ2を引き出す(Open)。
【0069】
(動作2)薄型光ディスクD1を吸着する。
【0070】
(動作3)アームを+90°回転させ、スペーサS1を吸着する。このとき、薄型光ディスクD1は、C(スペーサストッカ)の直上に位置している。
【0071】
(動作4)アームを更に+90°回転(回転位置は+180°)させ、スペーサS1をC(スペーサストッカ)上に載置させるとともに、薄型光ディスクD2を吸着する。このとき、薄型光ディスクD1は、B(ドライブトレイ2)の直上に位置している。
【0072】
(動作5)アームを更に+90°回転(回転位置は+270°)させ、薄型光ディスクD1をドライブトレイ1に載置させるとともに、スペーサS2を吸着する。このとき、薄型光ディスクD2は、C(スペーサストッカ)の直上に位置している。
【0073】
(動作6)アームを更に+90°回転(回転位置は+360°)させ、薄型光ディスクD2をB(ドライブトレイ2)に載置させるとともに、スペーサS2をC(スペーサストッカ)上に載置させる。
【0074】
(動作7)ドライブトレイ1とドライブトレイ2を収納する(Close)。
【0075】
(動作8)アームを−360°回転させる。これは、吸着機構100に必要となる真空ポンプ(図示省略)からの吸着機構100への配管(図示省略)および駆動モータ900の駆動回路からの電気配線等がアームの回転によりねじれないようにするための動作である。
【0076】
(動作9)アームのZ軸方向に関する位置を一段下げる(DOWN)。
【0077】
以下、同様にして、残りの8枚の薄型光ディスクを、それぞれ残りの8台のドライブ装置に分配する。
【0078】
また、図16には、各ドライブ装置から薄型光ディスクをディスクカートリッジに戻すときの、吸着機構の動き、薄型光ディスクの移動状況、スペーサの移動状況が示されている。
【0079】
なお、ディスクトレイは、ディスクカートリッジから引き出された(Open)ままであるものとする。そして、アームのZ軸方向に関する位置は、最下段位置にあるものとする。
【0080】
(動作1)アームの回転位置を0°にする。
【0081】
(動作2)アームの回転を開始する。
【0082】
(動作3)ドライブトレイ9とドライブトレイ10を引き出す(Open)。
【0083】
(動作4)アームの回転位置が+360°になると、B(ドライブトレイ10)上の薄型光ディスクD10を吸着するとともに、C(スペーサストッカ)上のスペーサS10を吸着する。
【0084】
(動作5)アームを更に−90°回転(回転位置は+270°)させ、A(ドライブトレイ9)上の薄型光ディスクD9を吸着するとともに、D(積層体ストッカ)上にスペーサS10を載置する。
【0085】
(動作6)アームを更に−90°回転(回転位置は+180°)させ、C(スペーサストッカ)上のスペーサS9を吸着するとともに、D(積層体ストッカ)上に薄型光ディスクD10を載置する。
【0086】
(動作7)アームを更に−90°回転(回転位置は+90°)させ、D(積層体ストッカ)上にスペーサS9を載置する。
【0087】
(動作8)アームを更に−90°回転(回転位置は0°)させ、D(積層体ストッカ)上に薄型光ディスクD9を載置する。
【0088】
(動作9)ドライブトレイ9とドライブトレイ10を収納する(Close)。
【0089】
(動作10)アームのZ軸方向に関する位置を一段上げる(UP)。
【0090】
以下、同様にして、残りの8枚の薄型光ディスクと残りの8枚のスペーサをD(積層体ストッカ)上に載置する。
【0091】
(動作46)D(積層体ストッカ)上に載置されている積層体をディスクトレイに移し、ディスクトレイをディスクカートリッジに収納する(Close)。そして、初期状態に戻る。
【0092】
この場合には、アームの最大回転角が360度以内なのでアームへの電気配線やエアー配管が容易、加減速動作が少なく高速で位置決め精度が高い、動作フローがシンプルで制御アルゴリズムが単純、原点復帰が容易、ディスク落下やトラブルに対処しやすい、吸着機構が戻る間に諸動作を同時に扱える、ディスク用吸着機構とスペーサ用吸着機構も別々に使える、等の利点がある。
【0093】
第2の動作例が図17及び図18に示されている。図17には、ディスクカートリッジから各ドライブ装置に薄型光ディスクを搬送するときの、吸着機構の動き、薄型光ディスクの移動状況、スペーサの移動状況が示されている。
【0094】
(動作1)ドライブトレイ1とドライブトレイ2を引き出す(Open)。
【0095】
(動作2)薄型光ディスクD1を吸着する。
【0096】
(動作3)アームを−90°回転させ、薄型光ディスクD1をドライブトレイ1に載置させる。
【0097】
(動作4)アームを更に−180°回転(回転位置は−270°)させ、スペーサS1を吸着する。
【0098】
(動作5)アームを更に+90°回転(回転位置は−180°)させ、薄型光ディスクD2を吸着するとともに、スペーサS1をC(スペーサストッカ)上に載置させる。
【0099】
(動作6)アームを更に+90°回転(回転位置は−90°)させ、スペーサS2を吸着する。このとき、薄型光ディスクD2は、C(スペーサストッカ)の直上に位置している。
【0100】
(動作7)アームを更に+90°回転(回転位置は0°)させ、スペーサS2をC(スペーサストッカ)上に載置させるとともに、薄型光ディスクD2をB(ドライブトレイ2)に載置させる。
【0101】
(動作8)ドライブトレイ1とドライブトレイ2を収納する(Close)。
【0102】
(動作9)ドライブトレイ3とドライブトレイ4を引き出す(Open)。
【0103】
(動作10)アームのZ軸方向に関する位置を一段下げる(DOWN)。
【0104】
以下、同様にして、残りの8枚の薄型光ディスクを、それぞれ残りの8台のドライブ装置に分配する。
【0105】
また、図18には、各ドライブ装置から薄型光ディスクをディスクカートリッジに戻すときの、吸着機構の動き、薄型光ディスクの移動状況、スペーサの移動状況が示されている。なお、アームの回転位置は0°である。
【0106】
(動作1)ドライブトレイ9とドライブトレイ10を引き出す(Open)。
【0107】
(動作2)そして、B(ドライブトレイ10)上の薄型光ディスクD10を吸着するとともに、C(スペーサストッカ)上のスペーサS10を吸着する。
【0108】
(動作3)アームを更に−90°回転(回転位置は−90°)させ、D(積層体ストッカ)上にスペーサS10を載置する。
【0109】
(動作4)アームを更に−90°回転(回転位置は−180°)させ、C(スペーサストッカ)上のスペーサS9を吸着するとともに、D(積層体ストッカ)上に薄型光ディスクD10を載置する。
【0110】
(動作5)アームを更に−90°回転(回転位置は−270°)させ、A(ドライブトレイ9)上の薄型光ディスクD9を吸着するとともに、D(積層体ストッカ)上にスペーサS9を載置する。
【0111】
(動作6)アームを更に+90°回転(回転位置は−180°)させ、D(積層体ストッカ)上に薄型光ディスクD9を載置する。
【0112】
(動作7)ドライブトレイ9とドライブトレイ10を収納する(Close)。
【0113】
(動作8)アームのZ軸方向に関する位置を一段上げる(UP)。
【0114】
(動作9)アームの回転位置を0°にする。
【0115】
以下、同様にして、残りの8枚の薄型光ディスクと残りの8枚のスペーサをD(積層体ストッカ)上に載置する。
【0116】
(動作45)D(積層体ストッカ)上に載置されている積層体をディスクトレイに移し、ディスクトレイをディスクカートリッジに収納する(Close)。そして、初期状態に戻る。
【0117】
この動作では、アームの最大回転角が270度以内なのでアームへの配線や配管が容易、加減速動作が少なく高速で位置決め精度が高い、薄型光ディスクがドライブトレイ間を移動しないのでドライブトレイの引き出し長さを短くできる、等の利点がある。
【0118】
第3の動作例が図19に示されている。なお、この場合は、奇数番の薄型光ディスクがドライブユニットDU2のドライブトレイに載置され、偶数番の薄型光ディスクがドライブユニットDU1のドライブトレイに載置される。
【0119】
(動作1)薄型光ディスクD1を吸着する。
【0120】
(動作2)アームを+90°回転させ、スペーサS1を吸着する。
【0121】
(動作3)アームを更に+90°回転(回転位置は+180°)させ、薄型光ディスクD1をドライブトレイ2に載置させる。同時に、薄型光ディスクD2を吸着するとともに、スペーサS1をC(スペーサストッカ)上に載置させる。
【0122】
(動作4)アームを更に−90°回転(回転位置は+90°)させ、スペーサS2を吸着するとともに、薄型光ディスクD2をドライブトレイ1に載置させる。
【0123】
(動作5)アームを更に+90°回転(回転位置は+180°)させ、スペーサS2をC(スペーサストッカ)上に載置させるとともに、薄型光ディスクD3を吸着する。
【0124】
(動作6)アームを+90°回転(回転位置は+270°)させ、スペーサS3を吸着する。
【0125】
ドライブトレイ1とドライブトレイ2の収納(Close)、及びアームのZ軸方向に関する位置の一段下げ(DOWN)は、動作5及び動作6が行われているいずれかの時点で行われる。
【0126】
以下、同様にして、残りの8枚の薄型光ディスクを、それぞれ残りの8台のドライブ装置に分配する。
【0127】
この場合は、アームを−90°回転させる動作が適宜挿入されているため、全体の工程数の増加を最下限に抑えながら、常に前後90度の回転動作により安定、薄型光ディスクがドライブトレイ間を移動しないのでドライブトレイの引き出し長さを短くできる、等の利点がある。
【0128】
第4の動作例が図20に示されている。この場合は、アームを−90°及び−270°回転させる動作が適宜挿入されているため、全体の工程数の増加を最下限に抑えながら、アームの最大回転角を270度以内とすることができる。そこで、アームへの配線や配管が容易である、という利点がある。
【0129】
第5の動作例が図21に示されている。この場合は、アームを−90°、−180°及び−360°回転させる動作が適宜挿入されているため、全体の工程数の増加を抑えつつ、アームの最大回転角を270度以内とすることができる。そこで、アームへの配線や配管が容易、逆転時は吸着機構は何も保持していないので高速回転が可能、薄型光ディスクがドライブトレイ間を移動しないのでドライブトレイの引き出し長さを短くできる、等の利点がある。
【0130】
第6の動作例が図22に示されている。この場合は、アームを常に一定の方向に90°回転させているため、最も単純なアルゴリズムで実現できる。
【0131】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る薄型ディスク記録再生装置10では、4つの吸着機構100と積層体昇降機構200と積層体ストッカ300とスペーサストッカ400と公転搬送モータ500とによって、ディスク搬送機構が構成されている。
【0132】
以上説明したように、本実施形態に係る薄型ディスク記録再生装置10によると、ディスクカートリッジ700、10台のドライブ装置800、及びディスク搬送機構などを備えている。
【0133】
ディスクカートリッジ700には、間にスペーサ22を介して複数の薄型光ディスク21が収納されている。
【0134】
積層体ストッカ300には、複数の薄型光ディスク21と複数のスペーサ22とからなる積層体20が載置され、一時的に保管される。スペーサストッカ400には、スペーサ22が載置され、一時的に保管される。積層体昇降機構200は、積層体20をディスクトレイ710と積層体ストッカ300との間で移動させる。4個の吸着機構100は、4本のアームの一方の端部近傍にそれぞれ取り付けられ、各アームの他端は公転搬送モータ500の回転軸510に固定されている。
【0135】
また、XY面内において、積層体ストッカ300の中心と、スペーサストッカ400の中心と、各開放ドライブトレイの中心とが、同一円周上に等しい中心角で配置され、該円の中心位置に公転搬送モータ500の回転軸510が配置されている。
【0136】
この場合、4個の吸着機構100は、同時に、積層体ストッカ300の中心上、スペーサストッカ400の中心上、各開放ドライブトレイの中心上に、それぞれ位置することができる。
【0137】
そこで、積層体ストッカ300での薄型光ディスク21あるいはスペーサ22の吸着あるいは吸着解除と、各開放ドライブトレイでの薄型光ディスク21の吸着あるいは吸着解除と、スペーサストッカ400でのスペーサ22の吸着あるいは吸着解除とを同時に行うことができる。
【0138】
このように、複数の動作を同時に行うことにより、全体の搬送時間を短縮することができる。さらに、各吸着機構100は、回転軸510の回転動作により水平方向に移動するので、比較的高速に動作させることができるとともに、システム全体を小さくすることができる。すなわち、搬送動作の高速化とシステムの小型化を同時に実現できる。
【0139】
なお、上記実施形態では、薄型光ディスク21及びスペーサ22は、一度ディスクトレイ710からまとめて積層体ストッカ300に取り出され、そこから一枚ずつ搬送される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、薄型光ディスク21及びスペーサ22を、ディスクトレイ710から直接、ドライブトレイ810及びスペーサストッカ400に搬送しても良い。この場合は、ディスクトレイ710が積層体ストッカ300を兼ねることとなる。
【0140】
また、上記実施形態では、4個の吸着機構100が設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図23に示されるように、3個の吸着機構100が設けられていても良い。このときは、吸着機構100を水平移動させるためのアームは3本となる。
【0141】
この場合の動作例が図24に示されている。この場合には、図24における右側の太い黒枠内に書かれたT字型で示されるように、アームが3本で動作するので部品点数が減る上に軽量化できる、アームの最大回転角が180度以内なのでアームへの配線や配管が容易、逆転時は吸着機構は何も保持していないので高速回転が可能、薄型光ディスク21がドライブトレイ間を移動しないのでドライブトレイの引き出し長さを短くできる、等の利点がある。
【0142】
また、上記実施形態では、ドライブユニットが2つの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図25に示されるように、ドライブユニットが3つ(DU1、DU2、DU3)であっても良い。この場合の前記配列中心角は72°となる。そして、吸着機構100の数を5個としても良い。この場合は、吸着機構100を水平移動させるためのアームは5本となる。このとき、前記アーム中心角を72°とすると、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0143】
また、上記実施形態では、各ドライブ装置が、薄型光ディスク21に対して記録及び再生を行うことができるドライブ装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各ドライブ装置が、薄型光ディスク21に対して記録及び再生の少なくとも一方を行うことができるドライブ装置であれば良い。
【0144】
また、上記実施形態では、各吸着機構が3つの吸盤を有する場合について説明したが、3つに限定されるものではない。そして、薄型光ディスクを吸着する吸盤とスペーサを吸着する吸盤とを異ならせても良い。
【0145】
例えば、各吸着機構が、吸盤保持部材120の中心からの距離が第1の距離で、薄型光ディスクを吸着する3つの吸盤と、吸盤保持部材120の中心からの距離が第2の距離で、スペーサを吸着する3つの吸盤とを有しても良い。
【0146】
また、上記実施形態では、各吸着機構が吸盤130を用いて薄型光ディスク21及びスペーサ22を吸着する場合について説明したが、これに限定されるものではない。薄型光ディスク21及びスペーサ22の吸着保持、吸着解除が可能であれば良い。
【0147】
また、上記実施形態では、積層体20が10枚の薄型光ディスク21を含んでいる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0148】
また、上記実施形態では、ディスクカートリッジ700が10段のディスクトレイ710を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0149】
また、上記実施形態では、各ドライブユニットが5台のドライブ装置からなる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0150】
また、上記実施形態では、薄型ディスクが薄型光ディスクの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、薄型ディスクが薄型磁気ディスクであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0151】
以上説明したように、本発明のディスク搬送機構によれば、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うのに適している。本発明の薄型ディスク駆動システムによれば、ディスクカートリッジと複数のドライブ装置との間の複数枚の薄型ディスクの搬送を高速で行うとともに、システムの小型化を図るのに適している。
【符号の説明】
【0152】
10…薄型ディスク記録再生装置(薄型ディスク駆動システム)、20…積層体、21…薄型光ディスク(薄型ディスク)、22…スペーサ、100…吸着機構(保持機構)、110…昇降軸、120…吸盤保持部材、130…吸盤、140…駆動モータ、150…伝達系、200…積層体昇降機構、300…積層体ストッカ、400…スペーサストッカ、500…公転搬送モータ(駆動装置)、510…回転軸、520…アーム、700…ディスクカートリッジ、710…ディスクトレイ、800…ドライブ装置、810…ドライブトレイ、900…駆動モータ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0153】
【特許文献1】特開2007−12201号公報
【特許文献2】特開2007−287242号公報
【特許文献3】特開2009−238258号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の薄型ディスクが積層体として収容されるディスクカートリッジ、及び前記薄型ディスクに対して記録及び再生のうち少なくとも再生を行う複数のドライブ装置を備える薄型ディスク駆動システムに用いられるディスク搬送機構であって、
薄型ディスクを保持する複数の保持機構と;
一方の端部に前記保持機構が取り付けられ、他方の端部が回転軸に固定されている複数のアームと;
前記回転軸を回転させる駆動装置と;を備え、
前記回転軸は、前記積層体の中心と前記複数のドライブ装置から引き出された各ドライブトレイの中心とが該回転軸を中心とする同一円周上に互いに等しい中心角をもって配置される位置に設けられ、
前記中心角と前記複数のアーム間の少なくとも一部の中心角とが等しいことを特徴とするディスク搬送機構。
【請求項2】
前記積層体の中心は、ディスクカートリッジから引き出されたディスクトレイに載置されている積層体の中心であることを特徴とする請求項1に記載のディスク搬送機構。
【請求項3】
前記積層体が一時的に載置される積層体ストッカを備え、
前記積層体の中心は、前記積層体ストッカに載置されている積層体の中心であることを特徴とする請求項1に記載のディスク搬送機構。
【請求項4】
複数枚の薄型ディスクが間にスペーサを挟んだ積層体として収容されるディスクカートリッジ、及び前記薄型ディスクに対して記録及び再生のうち少なくとも再生を行う複数のドライブ装置を備える薄型ディスク駆動システムに用いられるディスク搬送機構であって、
薄型ディスクを保持する複数の保持機構と;
スペーサが一時的に載置されるスペーサストッカと;
一方の端部に前記保持機構が取り付けられ、他方の端部が回転軸に固定されている複数のアームと;
前記回転軸を回転させる駆動装置と;を備え、
前記回転軸は、前記積層体の中心と前記スペーサストッカの中心と前記複数のドライブ装置から引き出された各ドライブトレイの中心とが該回転軸を中心とする同一円周上に互いに等しい中心角をもって配置される位置に設けられ、
前記中心角と前記複数のアーム間の少なくとも一部の中心角とが等しいことを特徴とするディスク搬送機構。
【請求項5】
前記積層体の中心は、ディスクカートリッジから引き出されたディスクトレイに載置されている積層体の中心であることを特徴とする請求項4に記載のディスク搬送機構。
【請求項6】
前記積層体が一時的に載置される積層体ストッカを備え、
前記積層体の中心は、前記積層体ストッカに載置されている積層体の中心であることを特徴とする請求項4に記載のディスク搬送機構。
【請求項7】
複数枚の薄型ディスクが収容されるディスクカートリッジと;
前記薄型ディスクに対して記録及び再生のうち少なくとも再生を行う複数のドライブ装置と;
請求項1〜6のいずれか一項に記載のディスク搬送機構と;を備える薄型ディスク駆動システム。
【請求項8】
前記複数のドライブ装置は、一部が積み重ねられていることを特徴とする請求項7に記載の薄型ディスク駆動システム。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−243238(P2011−243238A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111621(P2010−111621)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)