説明

ディスク搬送装置、およびディスク装置

【課題】容易にディスクを搬出可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置100は、駆動力を発生させる駆動モータ41と、この駆動モータ41の駆動力により回転駆動されて光ディスク1を搬送するローラ513と、光ディスク1の搬出時において、ローラ513が光ディスク1を搬出する搬出方向に所定角度回転した後、駆動モータ41の駆動が伝達される状態となる第一伝達ギア421と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状の記録媒体を搬送するディスク搬送装置、およびディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク状記録媒体を装置内部に格納可能なディスク装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、移送ローラによりディスクを搬送し、位置決め機構によりディスクをターンテーブル上方に位置決めするディスク再生装置である。この位置決め機構は、支点ピンで回動可能に枢支されて互いに交差する左右の位置決めレバーと、これらの位置決めレバーに設けられる係合孔に係合する支点ピンを有して、ソレノイドにより回動する切換レバーとにより構成されている。また、このディスク再生装置のディスク挿入口の近傍には、中央センサ、および中央センサの左右に設けられる左右センサ、外側センサが設けられ、これらのセンサによりディスク挿入口から挿入されたディスクの径を判別する。そして、センサにより大径のディスクの挿入が確認されると、切換レバーを回転させて位置決めピンがもっとも開いた位置となるように左右の位置決めレバーを回動させ、小径のディスクの挿入が確認されると、位置決めピンが最も近寄った位置となるように左右の位置決めレバーを回動させる構成が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開平02−118955号公報(第3頁ないし第5頁、図1ないし図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような従来の構成では、電源が入っていない状態で、ディスクが手動により装置内部の奥側に挿入されてしまった場合、ディスクを取り出せないなどの不都合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、容易にディスクを搬出可能なディスク搬送装置、およびディスク装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、駆動力を発生する駆動手段と、前記駆動手段の駆動力により回転駆動されて、ディスク状の記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記駆動手段側に連結される駆動側ギアと、前記搬送ローラ側に連結されるローラ側ギアとを有し、これらの前記駆動側ギアおよび前記ローラ側ギアを介して、前記駆動手段の駆動力を前記搬送ローラに伝達する駆動伝達手段と、前記駆動伝達手段に設けられるとともに、前記搬送ローラを前記記録媒体を搬出する方向に所定角度以上回転されることで、前記駆動側ギアからの駆動力を前記ローラ側ギアに伝達可能な状態にする連結手段と、を具備したことを特徴としたディスク搬送装置である。
【0008】
請求項8に記載の本発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のディスク搬送装置と、前記記録媒体を挿排する挿排口を備えた筐体と、前記筐体内に搬入された前記記録媒体を保持する保持手段と、前記保持手段にて保持された前記記録媒体に記録された情報を読み込む読込処理および前記記録媒体に情報を記録する記録処理のうち少なくともいずれか一方の処理を実施する情報処理部と、を具備したことを特徴としたディスク装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態のディスク装置を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る一実施形態の記録媒体駆動装置としてのディスク装置の初期状態における内部構成を示す平面図である。図2は、前記実施形態におけるディスク装置の搬入部および搬出部の構成を示す平面図である。図3は、前記実施形態におけるディスク装置の駆動部、搬出部およびクランプ部の構成を示す平面図である。図4は、前記実施形態における駆動部40の近傍を示す平面図である。図5は、前記実施形態における駆動部40近傍のカバー部材を取り外した状態の平面図である。図6は、駆動部を構成する第一伝達ギアの構成を示す斜視図である。図7は、前記実施形態におけるロック機構を示す側断面図である。図8は、前記実施形態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。図9は、図8の状態からさらにガイドアームを反時計回り方向に回動させた状態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。図10は、図9の状態からさらにガイドアームを反時計回り方向に回動させた状態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。図11は、図10の状態からさらにガイドアームを反時計回り方向に回動させた状態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。図12は、前記実施形態におけるディスク装置のクランプ部を構成する第一シフトカムの背面側の平面図である。図13は、前記実施形態における前記第一シフトカムを左壁側からみた側面図である。
【0010】
〔ディスク装置の構成〕
図1において、100は、本発明の一実施形態に係る記録媒体駆動装置としてのディスク装置であり、このディスク装置100は、ディスク状の記録媒体としての光ディスク1の少なくとも一面に設けられた図示しない記録面に記録された情報を読み出す読取処理や記録面へ各種情報を記録する記録処理を実施する。このディスク装置100は、例えばノート型パーソナルコンピュータなど、比較的厚み寸法に制限がある電気機器に装着されるいわゆる薄型スロットインタイプディスク装置である。なお、本実施形態では、ノート型パーソナルコンピュータに装着される薄型のディスク装置100を例示するが、これに限らず、例えばゲーム機や、映像データの録画再生処理を実施する、いわゆるビデオ装置などに装着されてもよい。また、読取処理および記録処理のうちいずれか一方のみを実施する構成としても対象とすることができる。
【0011】
また、このディスク装置100は、光ディスク1として、直径12cmの大径ディスク1Aと、直径8cmの小径ディスク1Bとを収納することができる。なお、ディスク状の記録媒体としては、光ディスク1に限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなどのいずれのディスク状記録媒体を対象とすることができる。
【0012】
そして、ディスク装置100は、例えば金属製で内部空間を有する略箱形状の筐体10を備えて構成されている。なお、この筐体10において、図1中の下側の面を正面10A、図1中の筐体10の左側壁を左壁10B、図1中の筐体10の右側壁を右壁10C、図1中の上側の面を背面10D、図1中の紙面手前側を天面側、図1中の紙面奥側を底面側と適宜称する。
【0013】
筐体10は、筐体本体部11と、図中筐体本体部11の右側に設けられるウィング部12とを備えて構成されている。これらの筐体本体部11およびウィング部12は、天面が同一平面上に形成され、底面が異なる高さ寸法に形成されている。すなわち、ウィング部12の底面は、筐体本体部11の底面よりも天面からの距離寸法が小さく形成されている。そして、筐体本体部11の右壁10C側には、筐体本体部11の底面から立ち上がり、筐体本体部11の底面およびウィング部12の底面を連結する段差壁部13が形成されている。
【0014】
筐体本体部11の背面10D側には、ベースプレート111が固定されている。このベースプレート111は、例えばアルミなどの金属により、左右方向(左壁10Bから右壁10Cに向かう方向)に長手となる略板状に形成されている。このベースプレート111は、筐体本体部11の底面に対向して、ウィング部12の底面と略同一高さ平面上に配置されている。
このベースプレート111の左右方向の両端側には、それぞれ前後方向(正面10Aから背面10Dに向かう方向)に長手となるリンク案内孔112,113が形成されている。また、ベースプレート111の左壁10Bの背面10D側には、プレートリンクピン案内孔114が前後方向に長手に設けられている。
さらに、ベースプレート111の左壁10B側には、右壁10C側の背面10D側から左壁10Bの正面10A側に向かって傾斜するガイドアーム案内溝115が設けられている。さらには、ベースプレート111のガイドアーム案内溝115の左壁10B側には、略三角形状のガイドアーム案内窓116が形成されている。
また、ベースプレート111の背面10D側の略中央部には、背面10D側から正面10A側に向かって円弧状のイジェクトアーム規制溝117が形成されている。
【0015】
ウィング部12は、右壁10C近傍、かつ正面10A近傍に、ローディングアーム付勢部12Aを備えている。このローディングアーム付勢部12Aは、正面10Aに対向するアーム当接部12Bを備え、このアーム当接部12Bは、例えばばね部材などの付勢手段により背面10D側に付勢されている。
【0016】
また、筐体10の正面10Aには、光ディスク1を挿入排出するための挿排口14が、筐体本体部11からウィング部12に亘って、図1中左右方向に延びて形成されている。さらに、筐体10の背面10Dの左壁10B側には、コネクタ部15が形成されている。このコネクタ部15は、制御回路部に電気的に接続されている。また、コネクタ部15は、例えばディスク装置100の外部のパーソナルコンピュータなどの外部機器と接続可能であり、外部機器から各種情報を送受信したり、電力が供給されるプラグが接続されたりする。
【0017】
そして、筐体10の内部には、いわゆるトラバースメカと称される保持手段としてのディスク処理部20と、光ディスク1を搬送するディスク搬送装置としての搬送手段30と、図示しない制御回路部とが設けられている。
【0018】
ディスク処理部20は、筐体10の挿排口14近傍、すなわち、正面10Aの左壁10B側から筐体10の略中心位置に向かって長手に形成されている。このディスク処理部20は、例えば金属板にて略板状に形成され、ディスク処理部20の長手方向と略同一方向に長手となる台座部21を有している。
【0019】
この台座部21は、筐体10の略中心位置に対応する長手方向の一端側が筐体10の高さ方向に略沿って揺動可能に、弾性を有するフロートゴム21Aを介して筐体10内に配設されている。また、台座部21には、長手方向に沿って、長手状の処理開口部21Bが略中央に切欠形成されている。そして、台座部21の処理開口部21Bの一端側、すなわち筐体10の略中心位置に、ディスク回転駆動手段22が配設されている。このディスク回転駆動手段22は、図示しないスピンドルモータと、このスピンドルモータの出力軸に一体的に設けられたディスク保持部としてのターンテーブル23とを備えている。スピンドルモータは、制御回路部に電気的に接続され、制御回路部から供給される電力により駆動する。ターンテーブル23は、筐体10の内部の略中心部に設けられるとともに光ディスク1を配置した状態で回転駆動する。
【0020】
また、ターンテーブル23の中心には、光ディスク1の中心に設けられる円形孔であるセンターホールを係脱可能なディスク係合部23Aが天面側に突出して形成されている。さらに、このディスク係合部23Aの周縁には、光ディスク1がディスク係合部23Aに係合された状態で天面側に突出し、光ディスク1の抜け落ちを防止する図示しない爪部材が設けられている。
【0021】
また、台座部21には、情報処理部24が配設されている。この情報処理部24は、台座部21の長手方向に略沿った中心軸を有する一対のガイドシャフト25間に架橋する状態に支持されており、図示しない移動機構により処理開口部21B内でターンテーブル23に対して近接離隔される。この情報処理部24は、図示しない光源と、この光源からの光を収束するピックアップレンズ24Aと、光ディスク1で反射された出射光を検出する図示しない光センサとを有するピックアップ機構を備えている。
【0022】
搬送手段30は、挿排口14から挿入された光ディスク1を筐体10の内部に搬入したり、搬入された光ディスク1をディスク処理部20のターンテーブル23に載置したり、筐体10の内部の光ディスク1を外部に搬出したりする。そして、この搬送手段30は、駆動部40と、搬入部50と、搬出部60と、ディスククランプ部70と、などを備えている。
【0023】
駆動部40は、図1、図4、図5、および図6に示すように、搬送手段30の各部を駆動させる駆動力を供給する。この駆動部40は、駆動手段としての駆動モータ41と、駆動伝達切替手段としての駆動伝達ギア群42と、を備えている。
【0024】
駆動モータ41は、筐体10の正面10Aの挿排口14近傍で、ディスク処理部20の配設によるデットスペースとなるディスク処理部20と段差壁部13との間に配置されている。
この駆動モータ41は、制御回路部に電気的に接続され、制御回路部からの制御信号に基づき、回転軸を回転駆動させる。また、回転軸の先端には、ウォームギア411が設けられており、このウォームギア411は、駆動伝達ギア群42に回転駆動力を伝達する。
【0025】
駆動伝達ギア群42は、第一伝達ギア421と、シフト駆動分岐ギア422と、ローラ駆動分岐ギア423と、第二伝達ギア424と、ロック機構の一部を構成するカム駆動伝達ギアとしてのカムシフトギア425と、を備えている。
【0026】
第一伝達ギア421は、図6に示すように、雄型ギア421Aと、雌型ギア421Bとを備えている。
【0027】
雄型ギア421Aは、雌型ギア421Bの底面側に配置されている。この雄型ギア421Aは、周縁に形成される第一大径伝達ギア421A1と、第一大径伝達ギア421A1と同軸上で、この第一大径伝達ギア421A1の底面側に一体的に設けられる第一底面側小径伝達ギア421A2と、を備えている。また、雄型ギア421Aの天面側には、周縁近傍にギアピン421A3が雌型ギア421Bに向かって突出している。
雌型ギア421Bは、雄型ギア421Aの天面側で、この雄型ギア421Aと同軸上に設けられている。そして、この雌型ギア421Bは、天面側に第一底面側小径伝達ギア421A2と略同一径寸法となる第一天面側小径伝達ギア421B1を備えている。
また、雌型ギア421Bは、底面側の外周縁近傍に略円弧状のギアピン係合溝421B2が形成されている。さらに、このギアピン係合溝421B2の一部には、ギアピン係止部421B3が設けられている。
そして、ギアピン係合溝421B2には、雄型ギア421Aのギアピン421A3が係合されている。すなわち、ギアピン421A3は、ギアピン係合溝421B2のギアピン係止部421B3間で移動可能に設けられている。これにより、雌型ギア421Bは、ギアピン421A3がギアピン係合溝421B2を移動可能な所定角度だけ、雄型ギア421Aに対して相対回転可能に設けられる。
【0028】
第一伝達ギア421の第一大径伝達ギア421A1は、ウォームギア411に噛合され、駆動モータ41の回転駆動力を、筐体10の底面に対して直交する軸を中心とした回転駆動力に変換する。また、第一底面側小径伝達ギア421A2は、シフト駆動分岐ギア422に噛合され、第一天面側小径伝達ギア421B1は、ローラ駆動分岐ギア423に噛合されている。これにより、第一伝達ギア421は、駆動モータ41からの回転駆動力をシフト駆動分岐ギア422およびローラ駆動分岐ギア423に伝達する。
【0029】
シフト駆動分岐ギア422は、径寸法が大きい大径シフト駆動分岐ギア422Aと、大径シフト駆動分岐ギア422Aと同軸上で底面側に一体的に設けられる駆動分岐ピニオン422Bとを備えている。そして、大径シフト駆動分岐ギア422Aは、第一伝達ギア421の第一底面側小径伝達ギア421A2に噛合され、駆動分岐ピニオン422Bは、カムシフトギア425に噛合している。
【0030】
ローラ駆動分岐ギア423は、径寸法が大きい大径ローラ駆動分岐ギア423Aと、大径ローラ駆動分岐ギア423Aと同軸上で天面側に一体的に設けられる小径ローラ駆動分岐ギア423Bとを備えている。そして、大径ローラ駆動分岐ギア423Aは、第一伝達ギア421の第一天面側小径伝達ギア421B1に噛合され、小径ローラ駆動分岐ギア423Bは、第二伝達ギア424に噛合されている。これにより、ローラ駆動分岐ギア423は、第一伝達ギア421から伝達された回転駆動力を第二伝達ギア424に伝達する。また、このローラ駆動分岐ギア423は、カバー部材43の裏面に、ウィング部12の底面と略同一高さ位置に設けられている。これによりローラ駆動分岐ギア423の底面と、筐体本体部11の底面との間には、空間が形成され、この空間が第一シフトカム71の移動経路となっている。
【0031】
第二伝達ギア424は、カバー部材43の天面側に設けられている。この第二伝達ギア424は、小径ローラ駆動分岐ギア423B、および搬入部50の後述するローディングアーム51に噛合されている。これにより、ローラ駆動分岐ギア423から伝達された回転駆動力をローディングアーム51に伝達する。
【0032】
カムシフトギア425は、径寸法が大きい大径シフトギア425Aと、この大径シフトギア425Aと同軸上で天面側に一体に設けられ、径寸法が小さいピニオンギア425Bと、を備えている。ここで、大径シフトギア425Aは、第一シフトカム71の底面側、すなわち筐体本体部11と第一シフトカム71との間に設けられ、ピニオンギア425Bは、第一シフトカム71の端面に形成される後述するラック711Aの進退移動経路に設けられている。この大径シフトギア425Aは、シフト駆動分岐ギア422の駆動分岐ピニオン422Bに噛合されている。一方、ピニオンギア425Bは、ディスククランプ部70の後述する第一シフトカム71に噛合可能に設けられており、光ディスク1が挿入されていない初期状態では、ピニオンギア425Bと第一シフトカム71の後述するラック711Aとの間には、所定寸法のクリアランスが設けられている。
また、カムシフトギア425の底面側には、グリップ面425Cが形成されている。このグリップ面425Cは、例えばカムシフトギア425の底面側に略リング状のフェルトを貼付することで形成されている。
【0033】
さらに、このカムシフトギア425の底面側には、図7に示すように、切替アームとしてのロックアーム426が回動可能に設けられている。このロックアーム426は、長手板状に形成され、長手一端部に摩擦回転部426Aが形成されている。
この摩擦回転部426Aは、グリップ面425C側に突出する摩擦当接面426Bと、このカムシフトギア425の回転軸が挿通される孔部を有している。そして、ロックアーム426は、摩擦当接面426Bがグリップ面425Cに当接することで、摩擦力によりカムシフトギア425の回転方向に回転する。
また、ロックアーム426の長手他端部には、天面側に突出するロックピン426Dが設けられている。このロックピン426Dは、後述する第一シフトカム71に係合され、この第一シフトカム71の移動を規制する。
なお、グリップ面425Cがフェルトを貼付することで形成される例を示したが、例えば、ゴムなどその他の摩擦力を増大させる部材を貼付する構成としてもよく、大径シフトギア425Aの底面側に凹凸形状を形成するなどして摩擦力を増大させる構成などとしてもよい。また、ロックアーム426の摩擦回転部426Aの天面側に例えばフェルトなどを貼付してグリップ面を形成する構成としてもよい。
【0034】
そして、駆動部40の天面側には、図4に示すように、カバー部材43が設けられている。このカバー部材43は、例えば合成樹脂などにて形成され、駆動モータ41および駆動伝達ギア群42の天面側を覆う状態に、筐体本体部11に固定されている。このカバー部材43は、正面10A側に配設される正面側カバー部431と、この正面側カバー部431よりも背面10D側に配設される背面側カバー部432とを備えている。正面側カバー部431は、天面側の面がウィング部12の底面より天面側に配置されている。一方、背面側カバー部432は、天面側の面がウィング部12の底面と略同一平面に位置している。そして、これら正面側カバー部431と背面側カバー部432との間には、段差部433が設けられている。この段差部433は、ローラ駆動分岐ギア423の背面10D側に、左右方向(左壁10Bから右壁10Cに向かう方向)に長手状に形成されている。
【0035】
搬入部50は、図1および図2に示すように、駆動部40から供給される駆動力により駆動され、挿排口14から挿入された光ディスク1を筐体10の内部に搬入する。この搬入部50は、ローディングアーム51と、ローディングリンク機構52と、サブローディングアーム53と、サブアームリンク機構54と、リンクプレート55と、ガイド機構56と、などを備えている。
【0036】
ローディングアーム51は、長手状に形成され、一端部がウィング部12の挿排口14近傍に回動可能に取り付けられ、他端部が筐体10の中心位置に対して進退可能となるように設けられている。このローディングアーム51は、先端部に光ディスク1を保持可能な搬送手段としてのローラ513を備えており、このローラ513の回転駆動により光ディスク1を搬送経路に沿って搬送する。
そして、ローディングアーム51は、搬送される光ディスク1の径寸法に応じて、光ディスク1を案内可能な位置まで右壁10C側に回動される。すなわち、例えば大径ディスク1Aを搬送する場合、ローディングアーム51は、右壁10Cの近傍まで回動される。一方、小径ディスク1Bを搬送する場合には、ローディングアーム51は、小径ディスク1Bを搬送可能な位置、すなわち、ターンテーブル23の回転中心から前後方向(正面10Aから背面10Dに向かう方向)に伸ばした中心線(センターライン)とローラ513までの距離が略4cmとなる位置まで回動される。また、ディスク処理部20が天面側に移動して、光ディスク1をターンテーブル23にクランプした演奏可能状態では、ローディングアーム51は右壁10C側に回動され、ローラ513が光ディスク1の周縁から離反する。
そして、このローディングアーム51は、長手状のローディングアーム本体511と、このローディングアーム本体511に設けられるローラ駆動部512と、上記したローラ513と、を備えている。
【0037】
ローディングアーム本体511は、例えば合成樹脂製で、ローディングアーム51の長手方向に沿って長手に形成される板状部材である。このローディングアーム本体511の基端部には、軸支部511Aが設けられている。そして、ローディングアーム本体511は、ウィング部12の底面から天面側に突設される軸により軸支部511Aを中心として回転可能に軸支されることで、先端部が筐体10の内方側に向かって進退可能となる。
また、このローディングアーム本体511は、長手先端側の挿排口14側の端縁に底面側に突出するストッパ片511Cを一体的に備えている。このストッパ片511Cは、上記したカバー部材43の背面側カバー部432に対向して位置し、ローディングアーム51が挿排口14に最も近接する状態(初期状態)において、カバー部材43の段差部433に当接する。すなわち、ローディングアーム51は、ストッパ片511Cと段差部433とが当接する位置から挿排口14側への回動が規制される。
このローディングアーム本体511の基端側端面には、軸支部511Aを中心とした所定径寸法の円弧状の第一歯車511Bが一体的に設けられている。
また、ローディングアーム本体511の先端部には、ローラ513を取り付ける図示しないローラ取付孔が形成されている。
さらに、ローディングアーム本体511の基端側には、底面側に突出するアームピン511Dが設けられている。このアームピン511Dは、ローディングアーム51が右壁10C側に所定角度回動した状態で、前記したローディングアーム付勢部12Aのアーム当接部12Bに当接する。そして、ローディングアーム51がさらに右壁10C側に回動すると、ローディングアーム51は、ローディングアーム付勢部12Aにより半時計回り方向に付勢される。
【0038】
ローラ駆動部512は、ローディングアーム本体511の底面部側に設けられている。このローラ駆動部512は、ローディングアーム本体511の軸支部511Aを軸支する軸を回転中心とした第一ローラ駆動ギア512Aと、第一ローラ駆動ギア512Aに噛合される第二ローラ駆動ギア512Bと、第二ローラ駆動ギア512Bに噛合される第三ローラ駆動ギア512Cと、を備えている。そして、第一ローラ駆動ギア512Aは、駆動部40の第二伝達ギア424に噛合され、駆動部40から駆動力が伝達される。また、第三ローラ駆動ギア512Cは、ローラ513に噛合され、駆動部40から第一および第二ローラ駆動ギア512A,512Bを介して伝達される駆動力をローラ513に伝達する。
【0039】
また、これらの第一ないし第三ローラ駆動ギア512A,512B,512Cは、ローディングアーム本体511とウィング部12との隙間寸法と略同一、若しくは若干小さい厚み寸法に形成されており、ローディングアーム51の回動時に、第一ないし第三ローラ駆動ギア512A,512B,512Cがウィング部12に干渉しないように設定されている。
【0040】
ローラ513は、ローディングアーム本体511の先端部のローラ取付孔に回転可能に取り付けられている。このローラ513は、ローディングアーム本体511の底面側に設けられるローラ歯車513Aと、ローディングアーム本体511の天面側に設けられるローラ本体513Bとを備えている。これらのローラ歯車513Aおよびローラ本体513Bは、ローディングアーム本体511のローラ取付孔を貫通する軸により一体的に形成されている。
【0041】
ローラ歯車513Aは、第三ローラ駆動ギア512Cに噛合され、第三ローラ駆動ギア512Cの回転駆動により回転される。
ローラ本体513Bは、ローディングアーム本体511の面に対して略直交する方向を軸とした略円筒状に形成されている。このローラ本体513Bは、軸方向の中心部の径寸法が天面側および底面側の径寸法よりも径小となる凹状部を有している。また、ローラ本体513Bの周面は、例えば合成樹脂などの弾性部材により形成されている。そして、ローラ本体513Bは、凹状部にて光ディスク1の周縁部を保持した状態で、回転駆動されることで光ディスク1を搬送経路に沿って進退させる。
【0042】
ローディングリンク機構52は、ローディングリンクアーム521と、ローディングスライドプレート522と、などを備えている。
【0043】
ローディングリンクアーム521は、ウィング部12の底面に回動可能に設けられている。このローディングリンクアーム521は、略扇状に形成され、扇の円弧に沿って、ローディングアーム本体511の第一歯車511Bに係合される第二歯車521Aが形成されている。また、ローディングリンクアーム521の第二歯車521Aの内方側、すなわち左壁10B側には、ウィング部12の底面に向かって突出するローディングリンクピン521Bが設けられている。
【0044】
ローディングスライドプレート522は、段差壁部13に対向して前後方向(筐体10の正面10Aから背面10Dに向かう方向)に長手に形成されている。また、ローディングスライドプレート522の正面10A側には、天面側端縁から右壁10C側に突出し、ウィング部12側の底面に対向する第一ローディングリンク係合部522Aが形成されている。
この第一ローディングリンク係合部522Aには、左右方向に長手となるローディング係合溝522Bが形成されており、このローディング係合溝522Bにローディングリンクアーム521のローディングリンクピン521Bが係合されている。そして、ローディングスライドプレート522は、ローディングアーム51の回動によりローディングリンクアーム521が回動すると、ローディングリンクピン521Bが前後方向に進退するため、このローディングリンクピン521Bの移動に応じて、前後方向にスライド移動する。
【0045】
また、ローディングスライドプレート522の背面10D側には、筐体の内方側に突出する第二ローディングリンク係合部522Cが形成されている。この第二ローディングリンク係合部522Cには、左壁10B側の背面10D側から右壁10Cの正面10A側に向かう第二ローディング係合溝522Dが形成されている。また、第二ローディングリンク係合部522Cには、筐体本体部11の底面側に突出するローディング案内ピンが設けられ、ベースプレート111のリンク案内孔112に係合されている。
【0046】
さらに、ローディングスライドプレート522の前後方向の略中心位置には、前後方向に伸びるローディング案内溝522Eが形成されており、ローディングスライドプレート522のスライド移動方向を案内している。
【0047】
サブローディングアーム53は、長手状に形成され、基端部が左壁10Bの正面10A側で、挿排口14近傍に回動可能に取り付けられている。これにより、サブローディングアーム53の先端部は、筐体10の中心位置に向かって進退自在となる。
このサブローディングアーム53は、基端部から先端部に亘って、光ディスク1の搬送面に対向する摺動溝531が形成されている。この摺動溝531は、光ディスク1の搬送時、光ディスク1の周縁に当接して搬送を案内する。また、この摺動溝531の天面側および底面側端縁には、筐体10の底面と略平行する舌状案内部532A,532Bが設けられており、光ディスク1の底面側を保持して搬送を案内する。
【0048】
また、サブローディングアーム53の基端部の左壁10B側には、底面側に突出するサブアームガイドピン533が形成されている。このサブアームガイドピン533は、サブローディングアーム53が左壁10B側に回動すると正面10A側に移動し、サブローディングアーム53が右壁10C側に回動すると背面10D側に移動する。
【0049】
このようなサブローディングアーム53は、ローディングアーム51と同様に、搬送される光ディスク1の径寸法に応じて光ディスク1を案内可能な位置まで左壁10B側に回動される。例えば、大径ディスク1Aを搬送する場合、サブローディングアーム53は、左壁10Bの近傍まで回動される。一方、小径ディスク1Bを搬送する場合、サブローディングアーム53は、ターンテーブル23の回転中心から前後に伸ばした中心線(センターライン)とサブローディングアーム53の先端部までの距離が約4cmとなる位置まで左壁10B側に回動される。また、演奏可能状態では、サブローディングアーム53は、左壁10B側近傍まで回動され、光ディスク1の周縁から離反する。
【0050】
サブアームリンク機構54は、サブアームスライドプレート541を備えている。
【0051】
このサブアームスライドプレート541は、左壁10Bに対向して前後方向に長手に形成されている。また、サブアームスライドプレート541の正面10A側には、底面側端縁からサブローディングアーム53の回動軸に向かって延出するサブアームリンク係合部541Aが形成されている。このサブアームリンク係合部541Aには、左右方向に長手となるサブアームリンク溝541Bが形成されており、サブアームガイドピン533が係合されている。
また、サブアームスライドプレート541の略中央位置には、右壁10C側に突出して、ベースプレート111の天面側に位置する案内片541Cが設けられている。この案内片541Cには、ベースプレート111のリンク案内孔113に係合する一対のリンクピン541Dが正面10A側および背面10D側にそれぞれ設けられ、サブアームスライドプレート541の前後方向の移動を案内している。これらのリンクピン541Dには、それぞれ合成樹脂製のリング状の摺動部材が嵌合されている。そして、サブアームスライドプレート541が前後方向に移動することにより、サブアームガイドピン533が前後方向に移動され、サブローディングアーム53が回動する。
さらに、背面10D側に配置されるリンクピン541Dと、ベースプレート111の背面側に設けられる図示しないばね掛け部とには、ばねが掛け渡されており、サブアームスライドプレート541は、背面10D側に付勢されている。
【0052】
また、サブアームスライドプレート541の背面10D側には、筐体10の内方側に突出するプレートリンク係合部541Eが形成されている。このプレートリンク係合部541Eには、底面側に突出するプレートリンクピン541Fが形成されている。このプレートリンクピン541Fは、後述するリンクプレート55に係合されている。
さらに、サブアームスライドプレート541の天面側でリンクピン541Dの正面10A側には、天面側に突出するリバースピン541Gが形成されている。
【0053】
リンクプレート55は、筐体10の背面10D側に設けられ、左右方向に亘って長手状に形成される板状部材である。また、リンクプレート55は、ローディングアーム51およびサブローディングアーム53の動作に応じて、左右方向に移動可能に設けられており、光ディスク1が挿入されていない初期状態では、最も右壁10C側に移動した状態で配置される。そして、このリンクプレート55は、スライドリンクピン551と、スライドリンク溝552と、イジェクト規制窓553と、セレクト片554と、スライド案内溝555と、カム制御ピン556と、を備えている。
【0054】
スライドリンクピン551は、リンクプレート55の右壁10C側端部近傍に、天面側に突出して設けられている。このスライドリンクピン551は、ローディングスライドプレート522の第二ローディング係合溝522Dに係合されている。そして、ローディングアーム51の回動によりローディングスライドプレート522が前後方向に移動すると、スライドリンクピン551も第二ローディング係合溝522Dに沿って移動する。これにより、リンクプレート55は、左右方向に移動する。
スライドリンク溝552は、リンクプレート55の左壁10B側端部近傍に形成されている。このスライドリンク溝552には、サブアームスライドプレート541のプレートリンクピン541Fが係合されている。そして、リンクプレートが左右方向に移動すると、プレートリンクピン541Fもスライドリンク溝552に沿って移動し、サブアームスライドプレート541が前後方向に移動する。すなわち、ローディングスライドプレート522、リンクプレート55、サブアームスライドプレート541により、ローディングアーム51とサブローディングアーム53が連動して光ディスク1の搬送経路に対して進退する。
【0055】
イジェクト規制窓553は、リンクプレート55の略中心に形成される窓である。このイジェクト規制窓553は、搬出部60の後述する搬出付勢手段としての第一イジェクトアーム61の移動を規制する。このイジェクト規制窓553は、小径規制係合部553Aと、大径規制係合部553Bと、小径離隔係合部553Cと、大径離隔係合部553Dとを備えている。また、イジェクト規制窓553には、第一イジェクトアーム61に設けられるイジェクトピン611が挿通されている。そして、これらの小径規制係合部553A、大径規制係合部553B、小径離隔係合部553C、および大径離隔係合部553Dは、イジェクトピン611が移動してそれぞれに係脱可能となるように互いに連通されており、リンクプレート55がローディングアーム51およびサブローディングアーム53と連動して左右方向にスライド移動することで、イジェクトピン611との係脱状態が変化する。
【0056】
小径規制係合部553Aは、イジェクト規制窓553の正面10A側で、かつ左壁10B側に設けられている。この小径規制係合部553Aにイジェクトピン611が係合された時に、小径ディスク1Bがターンテーブル23にて保持可能なクランプ可能状態となる。
【0057】
大径規制係合部553Bは、イジェクト規制窓553の背面10D側で、かつ左壁10B側に設けられている。具体的には、大径規制係合部553Bは、小径規制係合部553Aの右方から背面10D側に伸びる大径対応溝553Eの先端側に設けられている。そして、この大径規制係合部553Bにイジェクトピン611が係合された時に、大径ディスク1Aがターンテーブル23に保持可能なクランプ可能状態となる。
【0058】
小径離隔係合部553Cは、小径規制係合部553Aの右壁10C側の若干背面10D側に形成されている。この小径離隔係合部553Cにイジェクトピン611が係合された時に、小径ディスク1Bがターンテーブル23に保持されて情報処理部24にて情報処理可能な演奏可能状態となる。
【0059】
大径離隔係合部553Dは、大径規制係合部553Bの右壁10C側の若干背面10D側に形成されている。そして、大径離隔係合部553Dにイジェクトピン611が係合された時に、大径ディスク1BAターンテーブル23に保持されて情報処理部24にて情報処理可能な演奏可能状態となる。
【0060】
セレクト片554は、リンクプレート55の背面10D側で右壁10C側に、背面10D側に向かって突出形成されている。
【0061】
スライド案内溝555は、リンクプレート55の略中央部に設けられ、左右方向に長手状に形成されている。このスライド案内溝555は、ベースプレート111から底面側に突出形成されるリンクプレート案内ピン118が設けられ、合成樹脂製のリング状摺動部材を介して係合され、リンクプレート55の左右方向の移動を案内する。
【0062】
カム制御ピン556は、リンクプレート55の正面10A側で右壁10C側に、ディスククランプ部70のカム部材としての第一シフトカム71に向かって突出形成されている。
【0063】
また、リンクプレート55の背面10D側の端縁には、筐体10の底面に向かって折り曲げ形成されたスイッチ片557,558が形成されている。このスイッチ片557,558は、リンクプレート55の左右移動により、筐体10の底面に配置された制御回路部に設けられる第一スイッチSW1および第二スイッチSW2のオン/オフ状態を切り換える。
【0064】
ここで、これらの第一スイッチSW1および第二スイッチSW2は、制御回路部の背面10D側で、スイッチ片557,558の左右進退移動の移動経路上に設けられている。そして、第一スイッチSW1は左壁10B側でコネクタ部15の近傍に設けられ、第二スイッチSW2は第一スイッチSW1よりも右壁10C側に配設されている。
【0065】
これらの第一スイッチSW1および第二スイッチSW2は、スイッチ本体と、スイッチ本体から背面10D側に突出するとともにスイッチ本体に対して進退自在な可動片を有している。そして、これら第一スイッチSW1および第二スイッチSW2は、可動片が突出した状態ではオフ状態であり、このオフ状態では、制御回路部から供給される基準電圧に基づいて「H(High)」レベルとして制御回路部にて検出される。一方、リンクプレート55の移動によりスイッチ片557,558が可動片に当接すると、可動片がスイッチ本体内部に移動してオン状態となり、このオン状態では、制御回路部から供給される基準電圧に基づいて「L(Low)」レベルとして制御回路部にて検出される。
【0066】
これらの第一スイッチSW1および第二スイッチSW2は、光ディスク1が挿入されていない初期状態では、いずれも可動片が背面10D側に突出したオフ状態に設定されている。そして、光ディスク1が挿入されてローディングアーム51およびサブローディングアーム53の回動とともにリンクプレート55が左壁10B側に移動すると、まず直ちに第二スイッチSW2がオン状態(Lレベル)となる。その後、さらにリンクプレート55が左側に移動すると、第一スイッチSW1がオン状態(Lレベル)になる。
【0067】
ガイド機構56は、ベースプレート111の天面側に配設され、挿排口14から挿入された光ディスク1の搬入をガイドする。このガイド機構56は、ガイドプレート561と、搬出付勢手段としてのガイドアーム562とを備えている。
【0068】
ガイドプレート561は、略三角形板状に形成されている。具体的には、ガイドプレートは、略左右方向に伸びる底辺と、この底辺より正面10A側に配置されて底辺に対向する頂点とを備えた略三角形状に形成されている。
このガイドプレート561の底辺の右壁10C側に位置する頂点近傍には、底面側に突出するガイド案内ピン561Aが突出形成され、ベースプレート111のガイドアーム案内溝115に係合されている。
また、ガイドプレート561の底辺の左壁10B側に位置する頂点近傍には、底面側に突出するばね掛けピン561Bが突出形成され、ベースプレート111のガイドアーム案内窓116に挿通されている。
さらに、ガイドプレート561の底辺に対向する正面10A側の頂点には、孔部が設けられ、ガイドアーム562が回動自在に連結されている。
【0069】
ガイドアーム562は、長手板状に形成されている。このガイドアーム562の長手方向の一端部には、ガイド回動軸562Aがベースプレート111側に突出形成されている。このガイド回動軸562Aは、ベースプレート111の左壁10B側に回動自在に軸支されている。
また、ガイドアーム562の一端側で、ガイド回動軸562Aよりも長手他端側となる位置には、ガイドプレート561に向かって突出するガイド連結軸562Bが設けられている。このガイド連結軸562Bは、ガイドプレート561の正面10A側の頂点に設けられる孔部に回動自在に挿通されている。
さらに、ガイドアーム562の他端側には、天面側に突出するディスクガイド部562Cが設けられている。このディスクガイド部562Cは、略円錐状のディスク受部562Dと、ディスク受部562Dの底面側に設けられるフランジ部562Eとを備えている。このディスクガイド部562Cは、フランジ部562Eにて光ディスク1の周縁をディスク受部562Dに案内し、ディスク受部562Dに光ディスク1の周縁が当接された状態で、光ディスク1の姿勢を保持して搬送を案内する。
【0070】
さらに、ガイドアーム562のガイド回動軸562Aの近傍には、戻り当接部562Gが設けられている。この戻り当接部562Gは、ガイドアーム562が最も左壁10B側に回動した状態で、リバースピン541Gの背面10D側に僅かに隙間があくよう配置されている。そして、戻り当接部562Gは、サブアームスライドプレート541が、背面10D側に移動すると、リバースピン541Gの移動に追従して背面10D側に移動し、ガイドアーム562を時計回り方向に回動させる。
【0071】
そして、ガイドプレート561のばね掛けピン561Bと、ベースプレート111の左壁10B側に設けられるばね掛け部119との間には、ガイドばね563が掛け渡されている。つまり、ガイドばね563は、ベースプレート111およびガイドプレート561を架橋し、ガイドプレート561を挿排口14に近接する方向に付勢する状態で設けられている。
【0072】
このようなガイド機構56では、ばね掛けピン561B、ガイド回動軸562A、およびガイド連結軸562Bの位置に応じて、ガイドアーム562の付勢方向が変化する。
【0073】
具体的には、図8に示すように、ガイド連結軸562Bには、ガイドばね563によるガイドプレート561の付勢により、ばね掛けピン561Bからガイド連結軸562Bに向かう方向(ばね対応付勢方向)への力が常に発生する。また、ガイド連結軸562Bが、ばね掛けピン561Bおよびガイド回動軸562Aを結ぶ線分(基準線分)より右壁10C側に位置する状態(右側位置状態)では、ガイドアーム562の回動によるガイド連結軸562Bの移動方向(回動時移動方向)と、ばね対応付勢方向とのなす角度は、鋭角となる。このため、右側位置状態では、ガイド連結軸562Bで発生したばね対応付勢方向へ力の少なくとも一部が、回動時移動方向への力に変換され、ガイドアーム562は、時計回り方向への付勢力を受ける。
さらに、ガイドアーム562の反時計回りへの回動により、ガイド連結軸562Bが移動して右側位置状態から基準線分上に位置する状態(線分上位置状態)に近づくにしたがって、図9に示すように、ガイドプレート561が背面10Dに移動して、ガイドばね563のばね力が大きくなり、ばね対応付勢方向への力も大きくなる。しかし、ばね対応付勢方向と、回動時移動方向とのなす角度は、鋭角から直角に近づく。このため、右側位置状態から線分上位置状態に近づくにしたがって、ガイド連結軸562Bで発生したばね対応付勢方向へ力が回動時移動方向への力に変換される割合が減少して、ガイドアーム562が受ける時計回り方向への付勢力は小さくなる。つまり、ガイドアーム562が受ける光ディスク1を排出する方向への付勢力は、光ディスク1が挿入されるにしたがって小さくなる。
【0074】
また、線分上位置状態では、図10に示すように、ガイドプレート561が背面10Dに最も近づく位置まで移動して、ガイドばね563のばね力が最大となり、ばね対応付勢方向への力も最大となる。しかし、ばね対応付勢方向と、回動時移動方向とのなす角度は、直角になる。このため、線分上位置状態では、ばね対応付勢方向へ力が回動時移動方向への力に全く変換されずに、ガイドアーム562が受ける時計回り方向または反時計回り方向への付勢力は0になる。したがって、ガイドアーム562は、回動しない。
【0075】
さらに、ガイド連結軸562Bが基準線分より左壁10B側に位置する状態(左側位置状態)では、図11に示すように、回動時移動方向と、ばね対応付勢方向とのなす角度は、鋭角となる。このため、左側位置状態では、ばね対応付勢方向へ力の少なくとも一部が、回動時移動方向への力に変換され、ガイドアーム562は、反時計回り方向への付勢力を受ける。
【0076】
次に搬出部60の構成を説明する。搬出部60は、図1、図2および図3に示すように、第一イジェクトアーム61と、第二イジェクトアーム62と、を備えている。これらの第一および第二イジェクトアーム61,62は、筐体10の背面10D側で互いに交差して回動可能に設けられている。すなわち、第一イジェクトアーム61は、背面10Dの右壁10C側から正面10Aの左壁10B側に向かって長手に形成されており、第二イジェクトアーム62は、背面10Dの左壁10B側から正面10Aの右壁10C側に向かって長手に形成されている。
また、第一および第二イジェクトアーム61,62の回動中心軸61A,62Aは、背面10Dから所定寸法だけ正面10A側で、かつターンテーブル23の中心を通過するセンターラインおよび右壁10C、センターラインおよび左壁10Bとの間にそれぞれ設けられている。この構成により、回動中心軸61A,62Aを、第一シフトカム71およびコネクタ部15に干渉しない位置に取り付けることが可能であり、大径ディスク1Aの挿入時に第一および第二イジェクトアーム61,62の先端部を背面10D近傍まで回動させることが可能となる。
【0077】
そして、第一イジェクトアーム61は、前述したように、底面側に突出するイジェクトピン611を備えている。このイジェクトピン611は、第二イジェクトアーム62の略中心位置に形成されるアームリンク孔621、前述したリンクプレート55のイジェクト規制窓553、およびベースプレート111に形成されるイジェクトアーム規制溝117に係合されている。このイジェクトピン611は、イジェクトアーム規制溝117に沿って回動し、回動途中において、イジェクト規制窓553の小径規制係合部553A、大径規制係合部553B、小径離隔係合部553C、大径離隔係合部553Dに係合されて、移動が規制される。また、イジェクトピン611がアームリンク孔621に挿通されているため、第二イジェクトアーム62が第一イジェクトアーム61に連動して回動する。
【0078】
また、第一イジェクトアーム61の左壁10B側の先端部には、光ディスク1を当接可能な第一ディスク当接部612が形成されている。さらに、第一イジェクトアーム61の右壁10C側の基端部には、第一シフトカム71に向かって突出するカム押出ピン613が設けられている。このカム押出ピン613は、第一イジェクトアーム61が回動すると、回動量に応じて第一シフトカム71を正面10A側に押し出して移動させる。
【0079】
そして、第一イジェクトアーム61の回動中心軸61A近傍には、ばね係合突起614が形成されている。そして、第一イジェクトアーム61は、このばね係合突起614とベースプレート111の背面10D側に設けられる図示しないばね掛け部との間にばねが取り付けられ、常に反時計周り方向、すなわち第一ディスク当接部612が正面10A側に回動する方向に付勢されている。
【0080】
第二イジェクトアーム62には、前記したように、長手方向の略中心位置に、アームリンク孔621が形成され、イジェクトピン611が挿通されている。
また、第二イジェクトアーム62の先端部には、光ディスク1を当接可能な第二ディスク当接部622が設けられている。この第二ディスク当接部622は、第一ディスク当接部612に対して常にセンターラインに対して略対称となる位置に配置される。すなわち、第一および第二イジェクトアーム61,62が回動すると、第一ディスク当接部612および第二ディスク当接部622は、センターラインに対して常に略線対称となるように回動する。これら第一および第二イジェクトアーム61,62の第一ディスク当接部612および第二ディスク当接部622と、ローディングアーム51のローラ513およびサブローディングアーム53の舌状案内部532と、ガイドアーム562のディスクガイド部562Cとにより、光ディスク1(1A,1B)の周縁が保持され、搬送される。
【0081】
次に、ディスククランプ部70の構成を説明する。ディスククランプ部70は、図1、図3、図12、および図13に示すように、第一シフトカム71と、ディスク処理部20の背面10D側に設けられる第二シフトカム72とを備えている。
【0082】
第一シフトカム71は、筐体10の段差壁部13に沿って、前後方向に長手に形成されている。この第一シフトカム71は、初期状態において、最も背面10D側に移動した状態で配置され、前記したように第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613により正面10A側に押し出される。
具体的には、第一シフトカム71は、カム本体部711と、スライド部材としてのスライドプレート712と、セレクトアーム713と、などを備えている。
カム本体部711は、第一シフトカム71の正面10A側に配置される長手状の部材である。このカム本体部711の正面10A側で、左壁10Bに対向する側面には、ラック711Aが形成されている。このラック711Aは、カムシフトギア425のピニオンギア425Bに係合可能に設けられている。また、上述したように、初期状態において、ラック711Aとピニオンギア425Bとの間には、所定寸法のクリアランスが設けられている。そして、光ディスク1の搬入により第一シフトカム71が正面10A側に移動することでクリアランスが小さくなり、光ディスク1の搬入終端縁が挿排口14よりも背面10D側に搬入された状態で、ラック711Aとピニオンギア425Bとが係合する。
【0083】
また、カム本体部711の正面10A側で、筐体本体部11の底面に対向する面には、ロック係合部としてのロック係合溝711Bが形成されている。このロック係合溝711Bは、前後方向に沿って長手となる長手係合部711B1と、この長手係合部711B1の正面10A側端部から左壁10B部に向かって形成されるロック部711B2と、を備えている。なお、このロック係合溝711Bと、上記したカムシフトギア425と、ロックアーム426と、により本発明のロック機構が構成されている。
このロック係合溝711Bには、ロックアーム426のロックピン426Dが係合されている。そして、駆動モータ41が駆動してカムシフトギア425が回転すると、摩擦力によりロックアーム426も回転し、ロックピン426Dの係合位置も移動する。
すなわち、第一シフトカム71が最も背面10D側に位置する初期状態において、カムシフトギア425が時計回り方向に回転すると、ロックピン426Dは、ロック部711B2から長手係合部711B1に移動し、第一シフトカム71が前後方向に移動可能な状態となる。一方、第一シフトカム71が最も背面10D側に位置する状態で、カムシフトギア425が反時計回り方向に回転すると、ロックピン426Dは、ロック部711B2に移動し、第一シフトカム71の移動を規制するロック状態となる。
【0084】
また、カム本体部711の左壁10Bに対向する面のラック711Aの背面10D側には、図13に示すように、クランプ昇降溝714が形成されている。そして、このクランプ昇降溝714には、台座部21から右壁10C側に突設されたクランプ昇降ピン21Cが係合されており、第一シフトカム71の進退により、クランプ昇降ピン21Cが移動することで台座部21が昇降する。そして、このクランプ昇降溝714は、退避部714Aと、待機部714Bと、クランプ部714Cと、演奏状態部714Dとを備えており、これらの溝が連続して形成されている。
退避部714Aは、クランプ昇降溝714の正面10A側で、筐体10の底面に最も近接した高さ位置に前後方向に延びて形成されている。
待機部714Bは、退避部714Aの背面10D側に、ディスク処理部20にて光ディスク1の情報処理が可能な高さと略同一の位置に形成されている。この待機部714Bでは、光ディスク1のセンターホールとターンテーブル23との位置補正が実施される。
クランプ部714Cは、天面側に突出する山形状の溝である。このクランプ部714Cにクランプ昇降ピン21Cが係合されると、台座部21を天面側に移動させて、ターンテーブル23を天面に設けられる図示しないクランプ部材に当接若しくは近接させる。このとき、光ディスク1がターンテーブル23に押し付けられる。これにより、クランプ部材とターンテーブル23との間に光ディスク1が挟み込まれ、ターンテーブル23のディスク係合部23Aに光ディスク1のセンターホールが係合される。さらに、センターホールに爪部材が係合して、光ディスク1がターンテーブル23にチャッキングされる。
演奏状態部714Dは、クランプ部714Cの背面10D側に形成されている。そして、この演奏状態部714Dにクランプ昇降ピン21Cが係合されると、情報処理部24にて光ディスク1の情報が処理される演奏可能状態となる。
【0085】
また、カム本体部711の背面10D側の天面に対向する面には、凹溝状のばね設置部711Cが設けられている。
【0086】
さらに、カム本体部711の背面10D側端部には、左壁10B側に突出するスイッチ当接部711Dが設けられている。
【0087】
スライドプレート712は、図12に示すように、カム本体部711の背面10D側に前後方向に摺動可能に設けられている。そして、スライドプレート712の正面10A側には、凹溝状のばね設置部712Aが設けられ、カム本体部711のばね設置部711Cとの間で付勢手段としての付勢ばね715が設けられている。これにより、スライドプレート712は、背面10D側に付勢されている。
【0088】
また、スライドプレート712の天面側には、カム溝716が形成されている。このカム溝716は、待機溝716Aと、8cmディスク用カム溝716Bと、12cmディスク用カム溝716Cと、を備えている。待機溝716Aは、カム溝716の正面10A側に形成され、左右方向に長手となる溝である。8cmディスク用カム溝716Bは、待機溝716Aに連続形成され、待機溝716Aの右壁10C側から背面10D側に向かって形成される溝である。12cmディスク用カム溝716Cは、待機溝716Aに連続形成され、待機溝716Aの左壁10B側から背面10Dに向かって形成される溝である。このカム溝716には、リンクプレート55のカム制御ピン556が挿通されている。
【0089】
セレクトアーム713は、図12に示すように、スライドプレート712の底面側に設けられている。このセレクトアーム713は、前後方向に長手状に形成され、正面10A側の一端部が支軸713Aによりスライドプレート712に回動自在に軸支されている。この支軸713Aには図示しないトーションばねが設けられ、セレクトアーム713を反時計回り方向に付勢している。
【0090】
また、セレクトアーム713の略中央部には、天面側に向かってアーム位置規制ピン713Bが突出して設けられている。このアーム位置規制ピン713Bの左壁10B側は、リンクプレート55のセレクト片554に当接している。そして、リンクプレート55の左右方向への移動によりセレクト片554が左右方向に移動すると、セレクトアーム713はトーションばねの付勢力によりこのセレクト片554に追従して回動する。
【0091】
そして、セレクトアーム713の背面10D側端部には、左壁10B側に突出する第一押出壁部713Cが形成され、セレクトアーム713の略中央部には、右壁10C側に第二押出壁部713Dが形成されている。
これらの第一および第二押出壁部713C,713Dは、第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613と当接可能で、第一イジェクトアーム61の回動により、カム押出ピン613により正面10A側に押し出される。
ここで、ディスク装置100内に大径ディスク1Aが挿入されると、リンクプレート55の移動量が大きくなるためセレクトアーム713の回動量も大きくなり、第二押出壁部713Dがカム押出ピン613により正面10A側に押し出される。また、ディスク装置100内に小径ディスク1Bが挿入されると、リンクプレート55の移動量が小さいため、セレクトアーム713の回動量も小さくなり、第一押出壁部713Cがカム押出ピン613により正面10A側に押し出される。
【0092】
また、第一シフトカム71の背面10D側近傍には、例えば底面に配置される制御回路部に搭載される第三スイッチSW3が配設されている。この第三スイッチSW3は、第一シフトカム71の移動状態を検出する。
【0093】
具体的には、この第三スイッチSW3は、上記第一および第二スイッチSW1,SW2と同様に、制御回路部に接続され、スイッチ本体と可動片とを備えて構成されている。そして、第三スイッチSW3は、第一シフトカム71が最も正面10A側に移動すると、スイッチ当接部711Dが当接して押し込まれ、オン状態(Lレベル)になる。
【0094】
第二シフトカム72は、第一シフトカム71の動作と連動して左右方向にスライド移動する。すなわち、第一シフトカム71が正面10A側に移動すると、第二シフトカムは左壁10B側に移動し、第一シフトカム71が背面10D側に移動すると、第二シフトカムは右壁10C側に移動する。また、第二シフトカムの正面10A側端面には、第一シフトカム71のクランプ昇降溝714と略同一形状の図示しないクランプ昇降溝が形成されている。このクランプ昇降溝には、台座部21から背面10D側に突出する図示しないクランプ昇降ピン21Cが係合されている。そして、第二シフトカムは、左右方向に移動することで第一シフトカム71と同様に、ディスク処理部20を揺動させている。
また、第二シフトカム72の左壁10B側端部には、ピン当接部721が設けられている。このピン当接部721は、第二シフトカム72が最も左壁10B側に移動した状態で、ガイド機構56のガイド案内ピン561Aを左壁10B側に押し出し、ガイドアーム562を左壁10B側に回動させる。
【0095】
〔ディスク装置の動作〕
次に、上記ディスク装置の動作について、図面を参照して説明する。
図14は、大径ディスクのモータ駆動開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図15は、大径ディスクの搬入途中におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図16は、大径ディスクのカム押出開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図17は、大径ディスクの搬入完了におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図18は、大径ディスクの演奏可能状態時におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図19は、小径ディスクのモータ駆動開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図20は、小径ディスクのカム押出開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図21は、小径ディスクの搬入完了状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。図22は、小径ディスクの演奏可能状態時におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【0096】
(大径ディスクの搬入動作)
先ず、ディスク装置100に大径ディスク1Aを挿入した場合の搬入動作を説明する。
【0097】
図1に示すように、初期状態のディスク装置100の挿排口14から大径ディスク1Aを挿入すると、この大径ディスク1Aの周縁部がローディングアーム51のローラ513およびサブローディングアーム53の摺動溝531に当接する。
この状態でさらに大径ディスク1Aを背面10D側に挿入すると、ローディングアーム51が右壁10C側に回動する。ローディングアーム51の回動により、リンクプレート55が連動して左壁10B側に移動する。サブローディングアーム53もローディングアーム51と同様に左壁10B側に回動する。
【0098】
また、初期状態では、第一伝達ギア421は、雄型ギア421Aに設けられるギアピン421A3が雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2内で反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。したがって、雌型ギア421Bは雄型ギア421Aのギアピン421A3が時計回り方向に回動して他方のギアピン係止部421B3に当接した時に、雄型ギア421Aから駆動力が伝達される状態となり、駆動モータ41の駆動力により回転駆動する。
【0099】
また、ローディングアーム51が僅かに回動すると、リンクプレート55も左壁10B側に移動し、これに伴ってスイッチ片558も左壁10B側に移動し、第二スイッチSW2の可動片が押し込まれ、第二スイッチSW2がオン状態となる。この第二スイッチSW2がオン状態になることにより、制御回路部は、光ディスク1が挿排口14から挿入されたことを認識する。
【0100】
この後、さらに大径ディスク1Aを挿入すると、ローディングアーム51がさらに右壁10C側に回動し、リンクプレート55も左壁10B側に移動する。そして、図14に示すように、大径ディスク1Aのセンターホールの搬入方向における内周縁端部が挿排口14上に略位置する状態で、リンクプレート55のスイッチ片557が第一スイッチSW1の可動片を押し込み、第一スイッチSW1がオン状態になる。そして、制御回路部は、第一スイッチSW1がオン状態になったことを認識すると、駆動モータ41を駆動させる(モータ駆動開始状態)。これにより、駆動モータ41の駆動力が駆動伝達ギア群42からローディングアーム51のローラ513に伝達し、ローラ513が大径ディスク1Aを搬入する方向、すなわち時計回り方向に回転駆動する。大径ディスク1Aは、周縁部がローラ513に当接しているため、ローラ513の駆動力によりディスク装置100の内部に引き込まれる。
また、このモータ駆動開始状態では、ローディングアーム51は、アームピン511Dがローディングアーム付勢部12Aのアーム当接部12Bに当接する状態まで回動される。
【0101】
この後、ローラ513の案内により大径ディスク1Aがさらにディスク装置100内部に搬入されると、大径ディスク1Aの搬入方向の先端縁がガイドアーム562のディスクガイド部562Cに当接する。具体的には、大径ディスク1Aの搬入先端縁がフランジ部562Eに当接し、ディスク受部562Dに案内され、ディスク受部562Dにて保持される。
この状態では、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが右側位置状態のため、ガイドアーム562は、時計回り方向の付勢力を受ける。
【0102】
そして、さらに大径ディスク1Aが背面10D側に搬入されると、大径ディスク1Aの周縁が第一および第二イジェクトアーム61,62に当接する。この状態からさらに大径ディスク1Aがディスク装置100内部に搬入されると、ローディングアーム51の回動に連動してリンクプレート55がさらに左壁10B側に移動する。
また、第一イジェクトアーム61のイジェクトピン611は、リンクプレート55のイジェクト規制窓の大径対応溝553Eに移動する。
【0103】
この後、さらに大径ディスク1Aをディスク装置100の内部に搬入すると、ローディングアーム51のローラ513とサブローディングアーム53の摺動溝531とにより、大径ディスク1Aの最大径部を挟み込む状態となる(最大径挟持状態)。この状態からさらに大径ディスク1Aが背面10D側に搬入されると、ローディングアーム51は、ローディングアーム付勢部12Aの付勢力により、反時計回りに回動し、ローラ513と大径ディスク1Aとの当接状態が維持され、大径ディスク1Aがさらに背面10D側に送られる。
また、この最大径挟持状態近傍において、図15に示すように、ガイドアーム562のディスクガイド部562Cが大径ディスク1Aの周縁部に押されて、左壁10B側に回動すると、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが、線分上位置状態となる。すなわち、ガイドアーム562は、時計回り方向または反時計回り方向の付勢力を受けない状態となる。
【0104】
さらに、大径ディスク1Aの搬入により、ローディングアーム51が回動し、リンクプレート55も左壁10B側に移動する。したがって、リンクプレート55のセレクト片554も左壁10B側に移動する。また、セレクトアーム713のアーム位置規制ピン713Bがセレクト片554側に付勢されているため、このセレクト片554の移動に伴ってアーム位置規制ピン713Bも左壁10B側に移動する。これにより、セレクトアーム713が反時計回り方向に回動し、第二押出壁部713Dが第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613の移動経路上に移動する。
そして、さらに大径ディスク1Aが搬入されて、第一イジェクトアーム61が回動すると、図16に示すように、第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613がセレクトアーム713の第二押出壁部713Dに当接し、セレクトアーム713を正面10A側に押し出す。(カム押出開始状態)。
また、リンクプレート55の移動により、カム制御ピン556がスライドプレート712のカム溝716内において、待機溝716Aと12cmディスク用カム溝716Cとの接続位置まで移動する。
【0105】
また、駆動伝達ギア群42のカムシフトギア425は、駆動モータ41の駆動力により時計回り方向に回転駆動しているため、ロックアーム426も摩擦力により時計回り方向に付勢され、ロックピン426Dがロック係合溝711Bの長手係合部711B1に係合している状態、すなわちカムロック解除状態となっている。また、リンクプレート55のカム制御ピン556が、12cmディスク用カム溝716Cに移動可能な位置に位置している。
このため、第一シフトカム71は、カム押出ピン613により押し出されると、正面10A側に移動する。
【0106】
また、最大径挟持状態からカム押出開始状態に至るまでに、ガイドアーム562は、ディスクガイド部562Cが大径ディスク1Aの周縁部に押されて、左壁10B側にさらに回動する。これにより、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが左側位置状態になるため、ガイドアーム562は、反時計回り方向に付勢力を受ける。
【0107】
そして、大径ディスク1Aがさらに背面10D側に搬入されると、第一シフトカム71は第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613によりさらに正面10A側に移動される。そして、大径ディスク1Aが完全にディスク装置100の内部に搬入された状態、すなわち大径ディスク1Aの搬入終端縁部が挿排口14よりも背面10D側に搬入された状態で、第一シフトカム71のラック711Aがカムシフトギア425のピニオンギア425Bに係合される(カム駆動伝達状態)。
【0108】
この後、さらに大径ディスク1Aが背面10D側に搬入され、大径ディスク1Aのセンターホールがターンテーブル23の上方に移動すると、図17に示すように、搬入完了状態となる。この状態では、イジェクトピン611が大径規制係合部553Bに係合され、第一イジェクトアーム61および第二イジェクトアーム62の移動が規制される。この状態では、大径ディスク1Aは、ローディングアーム51のローラ513、サブローディングアーム53の摺動溝531、第一イジェクトアーム61の第一ディスク当接部612、および第二イジェクトアーム62の第二ディスク当接部622に保持されている。
【0109】
そして、第一シフトカム71が駆動モータ41の駆動力によりさらに正面10A側に移動すると、クランプ動作が開始される。
クランプ動作は、第一シフトカム71の移動により、台座部21のクランプ昇降ピン21Cが、第一シフトカム71のクランプ昇降溝714内を移動することで実施される。具体的には、第一シフトカム71の移動開始時から搬入完了状態までは、クランプ昇降ピン21Cは、退避部714Aに配置されており、台座部21は退避部714Aの高さ位置に対応して筐体10の底面側に位置している。
【0110】
この状態からさらに第一シフトカム71が正面10A側に移動すると、クランプ昇降ピン21Cが待機部714Bに移動する。これにより、台座部21は、待機部714Bに対応する高さ位置で一旦昇降が停止され、光ディスク1のセンターホールとターンテーブル23のディスク係合部23Aとの位置補正が実施される。
【0111】
さらに、第一シフトカム71が正面10A側に移動すると、クランプ昇降ピン21Cがクランプ部714Cに移動する。これにより、台座部21が天面側に移動し、ターンテーブル23と天面に設けられるクランプ部材との間に大径ディスク1Aを挟みこみ、ディスク係合部23Aに大径ディスク1Aのセンターホールを係合させ、クランプ動作が完了する。この後、クランプ昇降ピン21Cが演奏状態部714Dに移動すると、図18に示すように、台座部21が情報処理部24にて大径ディスク1Aの情報を処理可能な高さ位置に移動する。
【0112】
また、このクランプ動作中において、カム制御ピン556は、12cmディスク用カム溝716Cを通る。これにより、リンクプレート55がさらに左壁10Bに移動し、イジェクトピン611が大径規制係合部553Bから大径離隔係合部553Dに移動される。すなわち、第一および第二ディスク当接部612,622が大径ディスク1Aの周縁部から離れるように、第一および第二イジェクトアーム61,62が背面10D側に回動する。
【0113】
さらに、このリンクプレート55の移動により、ローディングアーム51およびサブローディングアーム53もそれぞれ右壁10C近傍、左壁10B近傍まで回動し、ローラ513および摺動溝531が大径ディスク1Aの周縁から離隔する。
【0114】
この後、第一シフトカム71がさらに正面10A側に移動すると、第三スイッチSW3の可動片と第一シフトカム71のスイッチ当接部711Dとが当接し、第三スイッチSW3がオン状態となる。これにより、制御回路部は、大径ディスク1Aのクランプが完了し、演奏可能状態となったことを認識し、駆動モータ41を停止させる。
【0115】
そして、制御回路部は、ディスク処理部20の情報処理部24の駆動を制御し、大径ディスク1Aの情報を処理、すなわち、大径ディスク1Aへの情報を書込む書込処理や、大径ディスク1Aに記録された情報を読み込む読込処理を実施する。
また、制御回路部は、ターンテーブル23の回転トルクを検出することにより、挿入された光ディスク1が大径ディスク1Aであることを認識する。
【0116】
(大径ディスクの搬出動作)
次に、大径ディスク1Aの搬出動作について説明する。
ディスク装置100の制御回路部は、例えば図示しないイジェクトボタンが押されるなどして、大径ディスク1Aを搬出する旨の入力信号を認識すると、光ディスク1の情報処理動作を停止し、大径ディスク1Aを筐体10の外部に搬出させる動作を実施する。
【0117】
この搬出させる動作としては、制御回路部は、まず駆動部40の駆動モータ41を駆動させて、第一シフトカム71を背面10D側に移動させる。この第一シフトカム71の背面10D側への移動により、第三スイッチSW3がオフ状態となる。
この時、第一伝達ギア421は、雄型ギア421Aに設けられるギアピン421A3が雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2内で時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。駆動モータ41が駆動すると、ギアピン421A3はギアピン係合溝421B2に沿って反時計回り方向に移動する。そして、ギアピン421A3がギアピン係止部421B3に当接するまで、第一伝達ギア421の雄型ギア421Aは、雌型ギア421Bに対して空回りする。ギアピン421A3がギアピン係止部421B3に当接すると、雌型ギア421Bは雄型ギア421Aから駆動力が伝達される状態となり、駆動モータ41の駆動力により回転駆動する。
さらに、第一シフトカム71の背面10D側への移動により、カム制御ピン556がカム溝716Cを移動し、リンクプレート55が右壁10C側に移動する。したがって、リンクプレート55に連動してローディングアーム51、サブローディングアーム53、第一および第二イジェクトアーム61,62が回動し、光ディスク1がローラ513、摺動溝531、第一および第二ディスク当接部612,622により保持される。
【0118】
この状態で、さらに第一シフトカム71が背面10D側に移動すると、台座部21が底面側に移動するため、図示しないイジェクトピンによりターンテーブル23から大径ディスク1Aが脱離する。
【0119】
この後、ローディングアーム51のローラ513の駆動および第一および第二イジェクトアーム61,62の付勢力により、大径ディスク1Aは正面10A側に搬出される。
そして、大径ディスク1Aが図14に示すように、モータ駆動開始状態と略同一位置まで搬出されると、リンクプレート55のスイッチ片557が第一スイッチSW1から離隔し、制御回路部は、駆動モータ41の駆動を停止させる。この状態において、大径ディスク1Aは、センターホールの背面10D側端縁が挿排口14から排出された状態となる。
【0120】
また、ローディングアーム51およびサブローディングアーム53の回動に連動して、サブアームスライドプレート541も背面10D側に移動する。これにより、リバースピン541Gの背面10D側がガイドアーム562の戻り当接部562Gに当接し背面10D側に移動することによって、ガイドアーム562が時計回り方向に回動する。そして、ガイド連結軸562Bが右側位置状態となると、ガイドアーム562は時計回り方向に付勢力を受ける。
【0121】
そして、例えば手動により大径ディスク1Aが引き抜かれると、サブアームスライドプレートが背面10D側に付勢されているため、ローディングアーム51も反時計回りに付勢されて回動する。そして、ローディングアーム51は、ストッパ片511Cがカバー部材43の段差部433に当接すると、回動が停止して、初期状態に戻る。また、ガイドアーム562も初期状態に戻る。
【0122】
(電力が供給されていない状態での大径ディスクの搬入動作)
次に、ディスク装置100に電力が供給されていない状態で、大径ディスク1Aが挿入された際の動作について説明する。
上記した通常時の大径ディスク1Aの搬入動作と同様に、初期状態のディスク装置100の挿排口14から大径ディスク1Aを挿入すると、この大径ディスク1Aの周縁部がローディングアーム51のローラ513およびサブローディングアーム53の摺動溝531に当接する。
この状態でさらに大径ディスク1Aを背面10D側に挿入すると、ローディングアーム51が右壁10C側に回動する。ローディングアーム51の回動により、リンクプレート55が連動して左壁10B側に移動する。サブローディングアーム53もローディングアーム51と同様に左壁10B側に回動する。
【0123】
また、初期状態では、第一伝達ギア421は、雄型ギア421Aに設けられるギアピン421A3が雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2内で反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。
大径ディスク1Aを挿入すると、図14に示すようなモータ駆動開始状態まで、ローディングアーム51は右壁10C側に回動される。
【0124】
この時、スイッチ片557が第一スイッチSW1の可動片を押し込むが、制御回路部に電力が供給されていないため、駆動モータ41は駆動しない。したがって、カムシフトギア425が回転しないため、ロックアーム426も回動せず、ロックピン426Dは、ロック係合溝711Bのロック部711B2に係合されたままとなる。このため、第一シフトカム71は前後方向の移動が規制されるロック状態となる。
また、第一伝達ギア421のギアピン421A3がギアピン係合溝421B2内で反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。このため、駆動伝達ギア群42の各ギアが噛み合って、ロックされた状態となり、すなわち、大径ディスク1Aの搬入に抗する状態となる。
【0125】
この状態で、例えば手動により強制的に、大径ディスク1Aを背面10D側に挿入すると、図16に示すようなカム押出開始状態まで挿入される。この状態からさらに大径ディスク1Aを挿入すると、大径ディスク1Aの搬入終端縁が挿排口14に至るまで挿入されるが、カム押出ピン613でセレクトアーム713の第二押出壁部713Dを押しても、上記のように第一シフトカム71はロック状態となっており、正面10A側に移動しない。
また、カム本体部711とスライドプレート712との間に設けられる付勢ばね715により、スライドプレート712が背面10D側に付勢されているため、第一イジェクトアーム61が時計回り方向に回動したとしても、カム押出ピン613が背面10D側に押し返される。これにより、第一イジェクトアーム61は反時計回り方向、すなわち大径ディスク1Aを排出する方向に付勢力が働く。
【0126】
また、上記したように、ギアピン421A3は、反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となり、大径ディスク1Aを搬出する方向に対して空回り可能な状態となっている。つまり、雌型ギア421Bが雄型ギア421Aに対して反時計回り方向に空回り可能な状態となっている。これにより、第一イジェクトアーム61の反時計回り方向への付勢力が小さい場合であっても、ローラ513が空回りし、大径ディスク1Aを搬出方向に押し出すことが可能となる。
【0127】
(小径ディスクの搬入)
次に、ディスク装置100に小径ディスク1Bを挿入した場合の搬入動作を説明する。
【0128】
図1に示すように、初期状態のディスク装置100の挿排口14から小径ディスク1Bを挿入すると、小径ディスク1Bのセンターホールの搬入方向における内周縁端部が挿排口14上に略位置する状態で、この小径ディスク1Bの周縁部がローディングアーム51のローラ513およびサブローディングアーム53の摺動溝531に当接する。
この状態でさらに小径ディスク1Bを背面10D側に挿入すると、ローディングアーム51が右壁10C側に回動する。ローディングアーム51の回動により、リンクプレート55が連動して左壁10B側に移動する。サブローディングアーム53もローディングアーム51と同様に左壁10B側に回動する。
【0129】
また、大径ディスク1Aの搬入動作と同様に、初期状態では、第一伝達ギア421は、雄型ギア421Aに設けられるギアピン421A3が雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2内で反時計回り方向にした回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。したがって、雌型ギア421Bは雄型ギア421Aのギアピン421A3が時計回り方向に回動して他方のギアピン係止部421B3に当接した時に、雄型ギア421Aから駆動力が伝達される状態となり、駆動モータ41の駆動力により回転駆動する。
【0130】
また、ローディングアーム51が僅かに回動すると、リンクプレート55も左壁10B側に移動し、これに伴ってスイッチ片558も左壁10B側に移動し、第二スイッチSW2の可動片が押し込まれ、第二スイッチSW2がオン状態となる。この第二スイッチSW2がオン状態になることにより、制御回路部は、光ディスク1が挿排口14から挿入されたことを認識する。
この後、さらに小径ディスク1Bを挿入すると、ローディングアーム51がさらに右壁10C側に回動し、リンクプレート55も左壁10B側に移動する。そして、図19に示すように、リンクプレート55のスイッチ片557が第一スイッチSW1の可動片を押し込み、第一スイッチSW1がオン状態になると、制御回路部は、駆動モータ41を駆動させる(モータ駆動開始状態)。これにより、駆動モータ41の駆動力が駆動伝達ギア群42からローディングアーム51のローラ513に伝達し、ローラ513が小径ディスク1Bを搬入する方向、すなわち時計回り方向に回転駆動する。この時、小径ディスク1Bは、周縁部がローラ513に当接しているため、ローラ513の駆動力によりディスク装置100の内部に引き込まれる。
また、このモータ駆動開始状態では、大径ディスク1Aの搬入動作時と同様に、ローディングアーム51は、アームピン511Dがローディングアーム付勢部12Aのアーム当接部12Bに当接する状態まで回動される。
【0131】
この後、ローラ513の案内により小径ディスク1Bがさらにディスク装置100内部に搬入されると、小径ディスク1Bの搬入方向先端縁がガイドアーム562のディスクガイド部562Cに当接する。具体的には、小径ディスク1Bの搬入先端縁がフランジ部562Eに当接し、ディスク受部562Dに案内され、ディスク受部562Dにて保持される。
この状態では、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが右側位置状態のため、ガイドアーム562は、時計回り方向の付勢力を受ける。
【0132】
そして、さらに小径ディスク1Bが背面10D側に搬入されると、小径ディスク1Bの周縁が第一および第二イジェクトアーム61,62に当接する。この状態からさらに小径ディスク1Bがディスク装置100内部に搬入されると、ローディングアーム51の回動に連動してリンクプレート55がさらに左壁10B側に移動する。
このリンクプレート55の移動によりセレクト片554も左壁10B側に移動し、セレクトアーム713のアーム位置規制ピン713Bがセレクト片554に追従して左壁10B側に移動する。この時、小径ディスク1Bの搬入時では、大径ディスク1Aの搬入動作時に比べてローディングアーム51の回動量も小さく、セレクトアーム713の回動量も小さくなる。このため、小径ディスク1Bの周縁部により押し出されて回動した第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613は、図20に示すように、セレクトアーム713の第一押出壁部713Cに当接する(カム押出開始状態)。また、リンクプレート55の移動により、カム制御ピン556がスライドプレート712のカム溝716内において、待機溝716Aと8cmディスク用カム溝716Bとの接続位置まで移動する。
【0133】
この後、さらに、第一イジェクトアーム61の回動により、カム押出ピン613は、セレクトアーム713の第一押出壁部713Cを正面10A側に押し出す。
この時、駆動伝達ギア群42のカムシフトギア425は、時計回り方向に回転駆動しているため、ロックアーム426も摩擦力により時計回り方向に付勢され、ロックピン426Dがロック係合溝711Bの長手係合部711B1に係合している状態、すなわちカムロック解除状態となっている。また、リンクプレート55のカム制御ピン556が、8cmディスク用カム溝716Bに移動可能な位置に位置している。
このため、第一シフトカム71は、カム押出ピン613により押し出されると、正面10A側に移動する。
【0134】
そして、小径ディスク1Bがさらに背面10D側に搬入されると、第一シフトカム71は第一イジェクトアーム61のカム押出ピン613によりさらに正面10A側に移動される。そして、小径ディスク1Bが完全にディスク装置100の内部に搬入された状態、すなわち小径ディスク1Bの搬入終端縁部が挿排口14よりも背面10D側に搬入された状態で、第一シフトカム71のラック711Aがカムシフトギア425のピニオンギア425Bに係合される(カム駆動伝達状態)。
【0135】
この後、さらに小径ディスク1Bが背面10D側に搬入され、小径ディスク1Bのセンターホールがターンテーブル23の上方に移動すると、図21に示すように、搬入完了状態となる。この状態では、イジェクトピン611が小径規制係合部553Aに係合され、第一イジェクトアーム61および第二イジェクトアーム62の移動が規制される。この状態では、小径ディスク1Bは、ローディングアーム51のローラ513、サブローディングアーム53の摺動溝531、第一イジェクトアーム61の第一ディスク当接部612、および第二イジェクトアーム62の第二ディスク当接部622に保持されている。
この状態では、ガイドアーム562は、ディスクガイド部562Cが小径ディスク1Bの周縁部に押されて、左壁10B側に回動し、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが、線分上位置状態となる。すなわち、ガイドアーム562は、時計回り方向または反時計回り方向の付勢力を受けない状態となる。
【0136】
そして、第一シフトカム71が駆動モータ41の駆動力によりさらに正面10A側に移動すると、クランプ動作が開始される。
クランプ動作は、第一シフトカム71の移動により、台座部21のクランプ昇降ピン21Cが、第一シフトカム71のクランプ昇降溝714内を移動することで実施される。具体的には、第一シフトカム71の移動開始時から搬入完了状態までは、クランプ昇降ピン21Cは、退避部714Aに配置されており、台座部21は退避部714Aの高さ位置に対応して筐体10の底面側に位置している。
【0137】
この状態からさらに第一シフトカム71が正面10A側に移動すると、クランプ昇降ピン21Cが待機部714Bに移動する。これにより、台座部21は、待機部714Bに対応する高さ位置で一旦昇降が停止され、光ディスク1のセンターホールとターンテーブル23のディスク係合部23Aとの位置補正が実施される。
【0138】
さらに、第一シフトカム71が正面10A側に移動すると、クランプ昇降ピン21Cがクランプ部714Cに移動する。これにより、台座部21が天面側に移動し、ターンテーブル23と天面に設けられるクランプ部材との間に小径ディスク1Bを挟みこみ、ディスク係合部23Aに小径ディスク1Bのセンターホールを係合させ、クランプ動作が完了する。この後、クランプ昇降ピン21Cが演奏状態部714Dに移動すると、台座部21が情報処理部24にて小径ディスク1Bの情報を処理可能な高さ位置に移動する。
また、このクランプ動作中において、カム制御ピン556は、8cmディスク用カム溝716Bを通って、左壁10B側に移動する。これにより、リンクプレート55がさらに左壁10Bに移動し、イジェクトピン611が小径規制係合部553Aから小径離隔係合部553Cに移動される。すなわち、第一および第二ディスク当接部612,622が小径ディスク1Bの周縁部から離れるように、第一および第二イジェクトアーム61,62が背面10D側に回動する。
【0139】
さらに、このリンクプレート55の移動により、ローディングアーム51およびサブローディングアーム53もそれぞれ右壁10C近傍、左壁10B近傍まで回動し、ローラ513および摺動溝531が小径ディスク1Bの周縁から離隔する。
【0140】
そして、第一シフトカム71に連動して第二シフトカム72も左壁10B側に移動する。これにより、第二シフトカム72のピン当接部721がガイドプレート561のガイド案内ピン561Aを左壁10B側に移動させる。これにより、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが左側位置状態になるため、ガイドアーム562は、反時計回り方向に付勢力を受ける。
【0141】
この後、第一シフトカム71がさらに正面10A側に移動すると、第三スイッチSW3の可動片と第一シフトカム71のスイッチ当接部711Dとが当接してオン状態となる。これにより、制御回路部は、図22に示すように、小径ディスク1Bのクランプが完了し、演奏可能状態となったことを認識し、駆動モータ41を停止させる。
【0142】
そして、制御回路部は、ディスク処理部20の情報処理部24の駆動を制御し、小径ディスク1Bの情報を処理、すなわち、小径ディスク1Bへの情報を書込む書込処理や、小径ディスク1Bに記録された情報を読み込む読込処理を実施する。
また、制御回路部は、ターンテーブル23の回転トルクを検出することにより、挿入された光ディスク1が小径ディスク1Bであることを認識する。
【0143】
(小径ディスクの搬出動作)
次に、小径ディスク1Bの搬出動作について説明する。
ディスク装置100の制御回路部は、例えば図示しないイジェクトボタンが押されるなどして、小径ディスク1Bを搬出する旨の入力信号を認識すると、光ディスク1の情報処理動作を停止し、小径ディスク1Bを筐体10の外部に搬出させる動作を実施する。
【0144】
この搬出させる動作としては、制御回路部は、まず駆動部40の駆動モータ41を駆動させて、第一シフトカム71を背面10D側に移動させる。この第一シフトカム71の背面10D側への移動により、第三スイッチSW3がオフ状態となる。
この時、第一伝達ギア421は、雄型ギア421Aに設けられるギアピン421A3が雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2内で時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。駆動モータ41が駆動すると、ギアピン421A3はギアピン係合溝421B2に沿って反時計回り方向に移動する。そして、ギアピン421A3がギアピン係止部421B3に当接するまで、第一伝達ギア421の雄型ギア421Aは、雌型ギア41Bに対して空回りする。ギアピン421A3がギアピン係止部421B3に当接すると、雌型ギア421Bは雄型ギア421Aから駆動力が伝達される状態となり、駆動モータ41の駆動力により回転駆動する。
さらに、第一シフトカム71の背面10D側への移動により、カム制御ピン556がカム溝716Bを移動し、リンクプレート55が右壁10C側に移動する。したがって、リンクプレート55に連動してローディングアーム51、サブローディングアーム53、第一および第二イジェクトアーム61,62が回動し、小径ディスク1Bがローラ513、摺動溝531、第一および第二ディスク当接部612,622により保持される。
【0145】
この状態で、さらに第一シフトカム71が背面10D側に移動すると、台座部21が底面側に移動するため、図示しないイジェクトピンによりターンテーブル23から小径ディスク1Bが脱離する。
【0146】
この後、ローディングアーム51のローラ513の駆動および第一および第二イジェクトアーム61,62の付勢力により、小径ディスク1Bは正面10A側に搬出される。
そして、小径ディスク1Bが図19に示すように、モータ駆動開始状態と略同一位置まで搬出されると、リンクプレート55のスイッチ片557が第一スイッチSW1から離隔する。この状態から、さらに小径ディスク1Bを排出すると、リンクプレート55がさらに右壁10C側に移動するため、スイッチ片558が第二スイッチSW2から離隔し、オフ状態となる。
【0147】
そして、制御回路部は、この第二スイッチSW2がオフ状態となったことを検出すると、小径ディスク1Bが排出されたことを認識するとともに、所定時間の間、駆動モータ41を駆動させる、いわゆるディレイ駆動を実施する。このディレイ駆動により小径ディスク1Bはさらに正面10A側に排出される。この時、サブアームスライドプレート541が背面10D側に付勢されているため、ローディングアーム51は、ローラ513が小径ディスク1Bの周縁に当接した状態で小径ディスク1Bに追従して回動する。そして、ローディングアーム51のストッパ片511Cがカバー部材43の段差部433に当接すると、ローディングアーム51の移動が規制される。この状態において、小径ディスク1Bは、センターホールの背面10D側端縁が挿排口14から排出された状態となる。
【0148】
また、ローディングアーム51およびサブローディングアーム53の回動に連動して、サブアームスライドプレート541も背面10D側に移動する。これにより、リバースピン541Gの背面10D側がガイドアーム562の戻り当接部562Gに当接し背面10D側に移動することによって、ガイドアーム562のガイド連結軸562Bが右側位置状態となる。これにより、ガイドアーム562は、時計回り方向に付勢力を受け、初期状態まで回動する。
【0149】
(電力が供給されていない状態での小径ディスクの搬入動作)
次に、ディスク装置100に電力が供給されていない状態で、小径ディスク1Bが挿入された際の動作について説明する。
上記した通常時の小径ディスク1Bの搬入動作と同様に、初期状態のディスク装置100の挿排口14から小径ディスク1Bを挿入すると、この小径ディスク1Bの周縁部がローディングアーム51のローラ513およびサブローディングアーム53の摺動溝531に当接する。
この状態でさらに小径ディスク1Bを背面10D側に挿入すると、ローディングアーム51が右壁10C側に回動する。ローディングアーム51の回動により、リンクプレート55が連動して左壁10B側に移動する。サブローディングアーム53もローディングアーム51と同様に、左壁10B側に回動する。
【0150】
また、初期状態では、第一伝達ギア421は、雄型ギア421Aに設けられるギアピン421A3が雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2内で反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。
小径ディスク1Bを挿入すると、図19に示すようなモータ駆動開始状態まで、ローディングアーム51は右壁10C側に回動される。
また、第一伝達ギア421のギアピン421A3がギアピン係合溝421B2内で反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となっている。このため、駆動伝達ギア群42の各ギアが噛み合って、ロックされた状態となり、すなわち、小径ディスク1Bの搬入に抗する状態となる。
【0151】
この状態からさらに小径ディスク1Bが挿入されると、小径ディスク1Bの搬入方向先端縁がガイドアーム562のディスクガイド部562Cに当接する。
ここで、ガイド機構56のばね掛けピン561B、ガイド連結軸562B、およびガイド回動軸562Aは、小径ディスク1Bがターンテーブル23の上方に位置する搬入完了状態の位置まで搬送された状態で同一直線上に並列される。したがって、小径ディスク1Bの搬入方向終端縁が挿排口14からディスク装置100の内部に入った状態では、ガイド連結軸562Bは、右側位置状態の位置に位置する。すなわち、ガイドアーム562は、時計回り方向に付勢される。
【0152】
また、上記したように、ギアピン421A3は、反時計回り方向に回動してギアピン係止部421B3に当接した状態となり、小径ディスク1Bを搬出する方向に対して空回り可能な状態となっている。つまり、雌型ギア421Bが雄型ギア421Aに対して反時計回り方向に空回り可能な状態となっている。これにより、ガイドアーム562の時計回り方向への付勢力が小さい場合でも、ローラ513が空回りして小径ディスク1Bを搬出方向に押し出すことが可能になる。
【0153】
〔ディスク装置の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態のディスク装置100は、駆動モータ41と、この駆動モータ41の駆動力により回転駆動されて光ディスク1を搬送するローラ513と、光ディスク1の搬出時において、ローラ513が光ディスク1を搬出する搬出方向に所定角度回転した後、駆動モータ41の駆動が伝達される状態となる第一伝達ギア421と、を備えている。
このため、ディスク装置100に電力が供給されない電源オフ時において、光ディスク1を挿排口14から挿入してしまった場合でも、ローラ513が搬出方向に空回り可能となるので、駆動モータ41を駆動させて駆動伝達ギア群42の各ギアをそれぞれ回転させることなく、容易に光ディスク1を搬出させることができる。したがって、電源オフ時に光ディスク1の挿入した場合でも、光ディスク1を僅かに挿排口14から排出させることができ、この排出された部分を引き抜くことで、光ディスク1を容易に取り出すことができる。よって、電源オフ時において光ディスク1が取り出せなくなったりする不都合を回避でき、また、電源オフ時に挿入してしまった光ディスク1を搬出するために、ディスク装置100に電力供給するなどの手間も省けるため、ディスク装置100の操作性を向上させることもできる。
【0154】
また、第一イジェクトアーム61は、付勢ばね715の付勢力により排出方向に付勢されている。このため、電源オフ時に大径ディスク1Aを挿入した場合に、第一イジェクトアーム61により大径ディスク1Aを搬出方向に付勢することができる。この時、上記のように、搬送ローラ513が搬出方向に空周り回転可能となっているため、第一イジェクトアーム61の付勢力が弱くても、容易に搬送ローラ513が空周りするため、大径ディスク1Aの周縁部と搬送ローラ513が当接状態であっても搬出の妨げにならず、容易に大径ディスク1Aを挿排口14から排出させることができる。したがって、電源オフ時に、大径ディスク1Aを完全にディスク装置100の内部に挿入した場合でも、第一イジェクトアーム61の付勢力で大径ディスク1Aを挿排口14から排出させることができる。同様に、ガイドアーム562もガイドばね563により搬出方向に付勢されている。このため、電源オフ時に小径ディスク1Bを挿入した場合でも、このガイドアーム562により小径ディスク1Bを搬出方向に付勢することができ、容易に挿排口14から排出させることができる。
【0155】
また、駆動伝達ギア群42は、搬送ローラ513が所定角度以上空回りした場合に、第一伝達ギア421を介して、駆動モータ41側のウォームギア411から搬送ローラ513側のローラ駆動分岐ギア423に駆動力を伝達可能な状態となる。すなわち、第一伝達ギア421を設けるだけで、ウォームギア411からローラ駆動分岐ギア423に駆動力を伝達可能な状態と、搬送ローラ513を空周りさせる状態とを容易に切り替えることができる。このため、搬送ローラ513を空周りさせるための複雑な構成が不要にでき、構成を簡単にできる。
【0156】
さらに、この第一伝達ギア421は、駆動モータ41に設けられるウォームギア411と係合する雄型ギア421Aと、この雄型ギア421Aと同軸上に、雄型ギア421Aに対して相対回転可能に設けられて、ローラ駆動分岐ギア423に係合する雌型ギア421Bとを備えている。
このため、雄型ギア421Aと雌型ギア421Bとを所定角度空周り相対回転させることで、搬送ローラ513を所定角度、搬出方向に空周りさせることができる。また、雄型ギア421Aと雌型ギア421Bとが同軸上に設けられているため、大きな設置スペースが不要であり、構成を簡単にできる。
【0157】
そして、この第一伝達ギア421の雄型ギア421Aは、雌型ギア421Bに向かって突出するギアピン421A3を備え、雌型ギア421Bは、このギアピン421A3を移動可能に係合するギアピン係合溝421B2を備えている。
このため、ギアピン421A3がギアピン係合溝421B2の両端部のギアピン係止部421B3のいずれか一方に係止する状態で、駆動モータ41からの駆動力を雄型ギア421Aから雌型ギア421Bに伝達させることができ、ギアピン421A3がギアピン係合溝421B2の溝内を移動する状態で、雌型ギア421Bを雄型ギア421Aに対して相対回転させることができ、ローラ513を空回り回転させることができる。したがって、簡単な構成でローラ513を空回り回転させることができる。また、ローラ513の空回り回転量も常に一定にすることができるため、光ディスク1の搬入動作の遅延や、搬出動作の遅延などもなく、良好に光ディスク1を搬送することができる。
【0158】
そして、第一伝達ギア421の雄型ギア421Aの第一底面側小径伝達ギア421A2は、シフト駆動分岐ギア422に係合している。このため、第一伝達ギア421は、ローラ513が空回りしている状態でも、第一シフトカム71に駆動力を伝達させることができる。したがって、ローラ513が空回り回転したとしても、光ディスク1の搬出動作の動作開始から動作完了までの時間が長くなることがなく、スムーズに光ディスク1を排出することができる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0159】
すなわち、上記実施の形態では、ディスク装置100は、ノート型パーソナルコンピュータなどに搭載可能な薄型ディスク装置を例示したが、これに限定されず、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータなどに搭載される比較的大型のディスク装置にも適用することができる。
【0160】
また、連結手段として、ウォームギア411と、ローラ駆動分岐ギア423とを連結する第一伝達ギア421を例示したが、これに限られない。すなわち、駆動モータ41からローラ513まで駆動力を伝達させるギアであればよく、例えばローラ駆動分岐ギア423が互いに相対回転可能な雄型ギアと雌型ギアを備えた構成などとしてもよい。
【0161】
さらに、上記実施の形態において、連結手段として、第一伝達ギア421の雌側ギア421Bを雄型ギア421Aに対して空回りさせることによりローラ513を空回りさせる構成を示したが、これに限られない。例えば、連結手段は、ディスク装置100に電力が供給されない状態において、駆動モータ41を駆動伝達ギア群42から離隔させ、ディスク装置100に電力が供給されている状態において、駆動モータ41を駆動伝達ギア群42に近接させて、ウォームギア411と第一伝達ギア421とを係合させる構成などとしてもよい。このような構成でも、ディスク装置100に電力が供給されていない状態で、ローラ513を搬出方向に空回りさせることができるため、光ディスク1を容易に引き抜くことができる。
【0162】
さらには、連結手段は、駆動伝達ギア群42を構成するギアのうちいずれか1つ、例えば第二伝達ギア424を、例えば上下方向に移動させる構成であってもよい。すなわち、ディスク装置100に電力が供給されていない状態において、第二伝達ギア424を例えば底面側に移動させるなどして、ローラ駆動分岐ギア423と第二伝達ギア424との係合状態を解除し、駆動力がローラ513に伝達されない状態とする。そして、ディスク装置100に電力が供給される状態において、第二伝達ギア424を例えば天面側に移動させるなどして、ローラ駆動分岐ギア423と第二伝達ギア424とを係合させ、駆動力がローラ513に伝達される状態とする。このような構成でも、ディスク装置100の電源オフ時において、ローラ513を搬出方向に空回りさせることができるため、光ディスク1を容易に取り出すことができる。
【0163】
また、ローラ513がローディングアーム51の先端に設けられた構成を示したが、例えば、挿排口14の近傍の筐体10の天面側に、左右方向に亘ってローラが設けられる構成であってもよい。この場合でも、ローラを光ディスク1を搬出する方向に空回りさせることで、光ディスク1を容易に引き抜くことができる。
【0164】
そして、上記実施の形態において、雄型ギア421Aにギアピン421A3を設け、雌型ギア421Bにギアピン係合溝421B2を設ける構成と示したが、例えば、雌型ギア421Bに雄型ギア421A側に突出するギアピンを設け、雄型ギア421Aにギアピン係合溝を設ける構成としてもよい。
また、雄型ギア421Aのギアピン421A3を雌型ギア421Bのギアピン係合溝421B2に係合させる構成に限らない。例えば第一伝達ギア421は、ウォームギア411およびシフト分岐ギア422に係合する第一ギアと、第一ギアと同軸で、この第一ギアの天面側に対向して、ローラ分岐ギア423に係合する第二ギアとを備え、これらの第一ギアおよび第二ギアを互いに対向する面に、互いに当接可能なリブを設ける構成などとしてもよい。このような構成では、互いのギアに設けられたリブが当接している状態から、互いのリブが離隔する方向に、第一ギアおよび第二ギアを相対回転させることで、搬送ローラ513を空周りさせることが可能となる。
【0165】
また、円弧状のギアピン係合溝421B2の両端部にギアピン係止部421B3を設ける構成を示したが、例えば、リング状のギアピン係合溝の一部に、溝を閉塞する状態にギアピン係止部材を固定する構成などとしてもよい。
【0166】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0167】
〔実施の形態の効果〕
上記一実施の形態のディスク装置100は、駆動モータ41と、この駆動モータ41の駆動力により回転駆動されて光ディスク1を搬送するローラ513と、光ディスク1の搬出時において、ローラ513が光ディスク1搬出する搬出方向に所定角度回転した後、駆動モータ41の駆動が伝達される状態となる第一伝達ギア421と、を備えている。
このため、ディスク装置100に電力が供給されない状態において、光ディスク1を挿排口14から挿入してしまった場合でも、ローラ513が駆動モータ41と連結されない状態で搬出方向に所定角度回転可能となるので、光ディスク1を搬出方向に引き抜くことができる。特に光ディスク1を背面10D側に深く挿入してしまった場合でも、ローラ513が搬出方向に回転させることができるため、容易に光ディスク1を引き抜くことができる。したがって、光ディスク1が抜けなくなる不都合を回避できる。また、光ディスク1を引き抜くためにディスク装置100に電力供給するなどの手間も省けるため、ディスク装置100の操作性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明に係るディスク装置の初期状態における内部構成を示す平面図である。
【図2】前記実施形態におけるディスク装置の搬入部および搬出部の構成を示す平面図である。
【図3】前記実施形態におけるディスク装置の駆動部、搬出部およびクランプ部の構成を示す平面図である。
【図4】前記実施形態における駆動部の近傍を示す平面図である。
【図5】前記実施形態における駆動部近傍のカバー部材を取り外した状態の平面図である。
【図6】前記実施形態における駆動部を構成する第一伝達ギアの構成を示す斜視図である。
【図7】前記実施形態におけるロック機構を示す側断面図である。
【図8】前記実施形態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。
【図9】図8の状態からさらにガイドアームを反時計回り方向に回動させた状態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。
【図10】図9の状態からさらにガイドアームを反時計回り方向に回動させた状態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。
【図11】図10の状態からさらにガイドアームを反時計回り方向に回動させた状態におけるガイド機構に係る付勢力を示す図である。
【図12】前記実施形態におけるディスク装置のクランプ部を構成する第一シフトカムの背面側の平面図である。
【図13】前記実施形態における前記第一シフトカムを左壁側からみた側面図である。
【図14】前記実施形態における大径ディスクのモータ駆動開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図15】前記実施形態における大径ディスクの搬入途中におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図16】前記実施形態における大径ディスクのカム押出開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図17】前記実施形態における大径ディスクの搬入完了におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図18】前記実施形態における大径ディスクの演奏可能状態時におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図19】前記実施形態における小径ディスクのモータ駆動開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図20】前記実施形態における小径ディスクのカム押出開始状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図21】前記実施形態における小径ディスクの搬入完了状態におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【図22】前記実施形態における小径ディスクの演奏可能状態時におけるディスク装置の内部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0169】
1 …記録媒体としての光ディスク
1A …記録媒体としての大径ディスク
1B …記録媒体としての小径ディスク
10 …筐体
14 …挿排口
20 …保持手段としてのディスク処理部
24 …情報処理部
30 …ディスク搬送装置としての搬送部
41 …駆動手段としての駆動モータ
61 …搬出付勢手段としての第一イジェクトアーム
411 …駆動伝達部を構成する駆動側ギアとしてのウォームギア
42 …駆動伝達部を構成する駆動伝達ギア群
421 …連結手段としての第一伝達ギア
421A…第一ギアとしての雄型ギア
421A3…係合ピンとしてのギアピン
421B…第二ギアとしての雌型ギア
421B2…円弧溝としてのギアピン係合溝
422 …カム駆動部材としてのシフト駆動分岐ギア
423 …ローラ側ギアとしてのローラ駆動分岐ギア
51 …ローディングアーム
71 …カム部材としての第一シフトカム
100 …ディスク装置
512 …駆動伝達部を構成するローラ駆動部
513 …搬送ローラとしてのローラ
562 …搬出付勢手段としてのガイドアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生する駆動手段と、
前記駆動手段の駆動力により回転駆動されて、ディスク状の記録媒体を搬送する搬送ローラと、
前記駆動手段側に連結される駆動側ギアと、前記搬送ローラ側に連結されるローラ側ギアとを有し、これらの前記駆動側ギアおよび前記ローラ側ギアを介して、前記駆動手段の駆動力を前記搬送ローラに伝達する駆動伝達手段と、
前記駆動伝達手段に設けられるとともに、前記搬送ローラを前記記録媒体を搬出する方向に所定角度以上回転されることで、前記駆動側ギアからの駆動力を前記ローラ側ギアに伝達可能な状態にする連結手段と、
を具備したことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク搬送装置であって、
搬入された前記記録媒体を搬出方向に付勢する搬出付勢手段を備えた
ことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスク搬送装置であって、
前記連結手段は、前記駆動側ギアに連結される第一ギアと、前記第一ギアと同軸上に設けられ、この第一ギアに対して所定角度相対的に空回り回転可能に設けられるとともに、ローラ側ギアに連結される第二ギアと、を備えた
ことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のディスク搬送装置であって、
前記第一ギアおよび前記第二ギアのうちいずれか一方は、他方側に突出する係合ピンを備え、
前記第一ギアおよび前記第二ギアのうち他方は、前記第一および第二ギアの回転軸を中心点とした前記係合ピンを係合可能な円弧溝を備えた
ことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のディスク搬送装置であって、
前記係合ピンは、前記記録媒体が所定量搬入された状態で、前記搬送ローラが前記記録媒体を搬出する搬出方向に空回り可能な状態に前記円弧溝に係合された
ことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のディスク搬送装置であって、
前記搬送ローラにより搬入された前記記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段を、前記記録媒体に対して進退させるカム部材と、を備え、
前記第一ギアは、前記カム部材に駆動力を伝達するカム駆動部材に係合された
ことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のディスク搬送装置であって、
前記記録媒体を挿排する挿排口を備えた筐体の、前記挿排口の近傍に設けられるとともに、前記記録媒体の搬送経路に対して一端側が進退可能な長手状のローディングアームを備え、
前記搬送ローラは、前記ローディングアームの前記一端側に設けられた
ことを特徴としたディスク搬送装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のディスク搬送装置と、
前記記録媒体を挿排する挿排口を備えた筐体と、
前記筐体内に搬入された前記記録媒体を保持する保持手段と、
前記保持手段にて保持された前記記録媒体に記録された情報を読み込む読込処理および前記記録媒体に情報を記録する記録処理のうち少なくともいずれか一方の処理を実施する情報処理部と、
を具備したことを特徴としたディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2008−140508(P2008−140508A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327598(P2006−327598)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】