説明

ディスク搬送装置のディスクガイド

【課題】ディスク搬送を円滑に行うための、金属板製ガイドプレートと合成樹脂製ガイド突条よりなる、製造容易かつ安価なディスク搬送装置のディスクガイドを提供すること。
【解決手段】金属板製ガイドプレートには、大孔部20と小孔部19とを連通させた複数の位置決め孔17と段差部15とを設け、テーパ面を有する左右の合成樹脂製ガイド突条9には、先端に大径の止め部を有する複数の係合突起18を設け、各ガイド突条の内方端部を段差部に重ねた状態で各止め部を大孔部に挿通させた後、各ガイド突条をスライドさせて、各係合突起を小孔部側へ移動し、各ガイド突条の内方端を段差部から外して逆方向へのスライドを段差部により禁止してガイドプレートへの取付を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板製シャーシの表面に複数の合成樹脂製突条を固定してなるディスク搬送装置のディスクガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク搬送装置においては、ディスクガイドと搬送ローラとでディスクを挟持し、搬送ローラの回転によりディスクを搬送するようにしている。
前記ディスクガイドは一般的にガイドプレートの表面に複数のガイド突条を突設してなり、それらのガイド突条と搬送ローラとでディスクを挟持するようにしている。
ガイド突条はディスクの挿入方向に対して左右対象に配置され、ディスクと接触する面を、ガイドプレートの左右端から中心部に向かうにつれて搬送ローラの軸心線から遠ざかるように傾斜させている。これはガイド突条に対してディスクの外周縁のみを接触させてディスクとの面接触を極力避けるためであり、また、左右に偏って挿入されたディスクを中心に誘導するためでもある。
【0003】
特開2003−77198には、ガイドプレートと複数のガイド突条(9)、(10)とをプレス加工により一体形成した金属板製のディスクガイドが開示されている。
また、特開2002−298481には、ガイドプレートと複数のガイド突部(45)、(46)、(47)とを合成樹脂で一体形成したディスクガイド(41)が開示されている。
【0004】
また、発明協会公開技報 公技番号2004−506542には、金属板製のガイドプレート(本公開技報では「ガイド板5」と称している)に複数の合成樹脂製ディスクガイド突条(本公開技報では「ディスクガイド9」と称している)をアウトサートにより形成したディスクガイドの構成が開示されている。そして、ディスクガイド9のガイド突条(9)とテーパローラ(8)とでディスクを挟持するようにしている。
【特許文献1】特開2003−77198号
【特許文献2】特開2002−298481号
【非特許文献1】発明協会公開技報 公技番号2004−506542
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2003−77198に記載されたディスクガイドでは、ディスクプレートとガイド突条が金属板で一体形成されるので、ディスクのガイド突条に対する滑りが悪く、ディスクの搬送が円滑に行なわれない恐れがあった。また、ディスクが金属製のガイド突条に接触するので損傷し易いという問題もあった。
また、特開2002−298481の構成では、ガイドプレートが合成樹脂のため、成型時に反り等の変形が発生し易く、強度的にも弱く、変形が発生すると、やはりディスクの搬送が円滑に行なわれなくなる恐れがあった。
【0006】
発明協会公開技報公技番号2004−506542には、ガイドプレートは変形が発生し難い金属製とし、ガイド突条は滑りのよい合成樹脂製としているが、アウトサート成形を用いているため、樹脂を金属板の一部に成形で付着固定させる必要がある。そのため、成形が難しいだけでなく、費用もかかるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ガイドプレートには変形し難い金属板を使用し、ガイド突条には滑りの良い合成樹脂を使用し、しかも容易かつ安価に製造可能なディスク搬送装置のディスクガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
搬送ローラと協働してディスクを挟持する左右のガイド突条をガイドプレートの表面に突設してなり、各ガイド突条のディスクと接触する面を、前記ガイドプレートの左右端からガイドプレートの中心部に向かうにつれてディスクから遠ざかるように傾斜させたディスク搬送装置のディスクガイドにおいて、前記ガイドプレートを金属板製、前記ガイド突条を合成樹脂製とし、前記ガイドプレートの中間部位に、左右のガイド突条と夫々隣接する段差部を設けている。
前記ガイドプレートの各ガイド突条と重なる部位に、夫々複数の位置決め孔を設け、各ガイド突条には各位置決め孔に係合する夫々複数の係合突起を設けている。
前記各位置決め孔は、前記係合突起を嵌合させる小孔部とこれより大きい大孔部とを大孔部を前記段差部側に向けて連通した形状をなしている。
前記各係合突起は、先端部に、前記大孔部を挿通可能で前記小孔部を挿通不能な止め部を有している。
各ガイド突条の端部を前記段差部に重ねた状態で前記各止め部を前記大孔部に挿通させた後、該ガイド突条をガイドプレートに沿ってスライドさせて前記係合突起を小孔部側へ移動して各ガイド突条と段差部との重なりを解除し、各ガイド突条を前記ガイドプレートに対して固定している。
【0009】
すべてのガイド突条の形状および寸法を同一にするとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のディスク搬送装置のディスクガイドによれば、ガイドプレートには変形し難い金属板を使用し、ガイド突条には滑りの良い合成樹脂を使用しており、しかも、アウトサートによらず合成樹脂製の複数のガイド突条をガイドプレートに容易に取付けて、ディスクガイドとすることができる。従って、樹脂を金属板の一部に成形で付着固定させる必要がないため成形が容易、かつ、安価に製造することができる。
【0011】
また、すべてのガイド突条の形状および寸法を同一にすると、共通の金型で製造できるので、製造費用を一層安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のディスクガイド1を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1はディスク搬送装置を内蔵したディスク再生機を示すものである。図2はディスクガイド1周辺部の側断面図である。図1の如く、ディスク再生機の金属製外筐2には天板が設けられ、そのほぼ中央の下面側に図示しないクランパが取付けられている。また、外筐2内には、前記クランパの下方位置に、図示しないターンテーブルが配置されている。
【0013】
外筐2の前板にはディスク挿入口4が設けられている。図中Aは、ディスクDの挿入方向を示している。また、天板の前記ディスク挿入口4に近い部位を部分的に凹ませて、この部分をガイドプレート5としている。
【0014】
ディスク挿入口4よりディスクDを、ディスク検出部材6の検知部7を押し広げながら挿入し、ディスク検出部材6の回動によりディスクDが挿入されたことを検知して図示しないモータが起動する。これによって、テーパ面を有する搬送ローラ8が回転し、図2の如く、ディスクDは搬送ローラ8に達し、その後テーパ面とディスクガイド1の4つのガイド突条9,10,11,12(図4参照)の傾斜面とで挟持され、搬送ローラ8の回転により図示しないターンテーブルとクランパとの間に搬送される。
【0015】
前記4つのガイド突条9,10,11,12は合成樹脂にて同一の形状および寸法に形成され、図2に示すようにガイドプレート5の下面側に突設されている。そして、ガイドプレート5と、これらのガイド突条9,10,11,12とでディスクガイド1を構成している。各ガイド突条9,10,11,12は、長手方向をディスクDの挿入方向に対して直交させて、搬送ローラ8の手前側と奥側位置に左右一対ずつ(左側のみ図示)配置されている。
【0016】
図3はディスクガイド1の一部を分解して示す斜視図であり、図4はディスクガイド1を裏返しに見た斜視図である。図3の如く、各ガイド突条9,10,11,12のディスクと接触する面(下面)は、図4に示すように、ガイドプレート5の左右端から中心部に向かうにつれて下り傾斜となるように(搬送ローラ8の軸心線から遠ざかるように)傾斜させている。ガイドプレート5の下面側中央には矩形部13が設けられ、この矩形部13の左右に、各一対のガイド突条9,10,11,12が取付けられている。各ガイド突条取付部14は、内側約半分の領域が一段低く形成されている。そして、各ガイド突条9,10,11,12の、ガイドプレート5に対する取付面にも、ほぼ中央部に段差をつけている。なお、矩形部13と各ガイド突条取付部14との間の段差部15は、各ガイド突条9,10,11,12の内方端の厚みより若干低く設定されている。また、前記矩形部13の手前側半分の領域を下方へ膨出させて、この膨出部16を、各ガイド突条9,10,11,12の内方端と同一の高さとしている。
【0017】
また、図3に示すように、ガイドプレート5の各ガイド突条取付部14には、夫々複数の位置決め孔17が一列に設けられている。そして、各ガイド突条9,10,11,12には各位置決め孔17に係合する夫々複数の円柱型をした係合突起18が設けられている。
前記各位置決め孔17は、前記係合突起18を嵌合させる小孔部19とこれより大きい大孔部20とからなり、大孔部20を前記段差部15に向けている。
【0018】
図5は、各ガイド突条9,10,11,12をガイドプレート5に取付ける手順を示すもので、まず、同図(a)のように、ガイド突条9,10,11,12(ガイド突条9のみ図示)の各止め部21を位置決め孔17の大孔部20に合わせ、同図(b)のように、ガイド突条9の内方端部22を段差部15に重ねた状態で、最も内方端側の係合突起18の上を押して、ガイド突条9の内方端部22をたわませながら、止め部21を大孔部20に挿通させる。続いて同図(c)のように、ガイド突条9をガイドプレート5に沿って外方へスライドさせて前記係合突起18を小孔部19へ移動させる。このとき、ガイド突条9の内方端が段差部15から外れ弾性復帰し、ガイド突条9,10,11,12の逆方向のスライドが段差部15によって禁止されて、ガイドプレート5への取付が完了する。なお、取付が完了した状態において、段差部15とガイド突条9,10,11,12とが必ずしも密着している必要はなく、両者間に僅かな隙間が存在しても差し支えない。
【0019】
以上の構成によれば、ガイドプレート5には変形し難い金属板を使用し、ガイド突条9,10,11,12には滑りの良い合成樹脂を使用しており、しかも、アウトサートによらず合成樹脂製の複数のガイド突条9,10,11,12をガイドプレート5に容易に取付けて、ディスクガイド1とすることができ、精度低下をきたすことがなく、かつ、安価に製造することができる。また、すべてのガイド突条9,10,11,12の寸法および形状を同一にすることにより、各ガイド突条9,10,11,12を共通の金型で製造でき、一層安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施態様を示すディスク再生機の斜視図。
【図2】ディスクガイド周辺部の側断面図。
【図3】ディスクガイドを一部分解して示す斜視図。
【図4】ディスクガイドを裏返しにして見た斜視図。
【図5】ガイド突条をガイドプレートに取付ける手順を示す断面図。
【符号の説明】
【0021】

ディスクガイド
5 ガイドプレート
8 搬送ローラ
9,10,11,12 ガイド突条
15 段差部
17 位置決め孔
19 小孔
20 大孔
D ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラ(8)と協働してディスク(D)を挟持する左右のガイド突条(9,10,11,12)をガイドプレート(5)の表面に突設してなり、各ガイド突条のディスクと接触する面を、前記ガイドプレートの左右端側からガイドプレートの中心部に向かうにつれてディスクから遠ざかるように傾斜させたディスク搬送装置のディスクガイド(1)において、
前記ガイドプレートを金属板製、前記ガイド突条を合成樹脂製とし、前記ガイドプレートの中間部位に、左右のガイド突条と夫々隣接する段差部(15)を設け、
前記ガイドプレートの各ガイド突条と重なる部位に、夫々複数の位置決め孔(17)を設け、各ガイド突条には各位置決め孔に係合する夫々複数の係合突起(18)を設け、
前記各位置決め孔は、前記係合突起を嵌合させる小孔部(19)とこれより大きい大孔部(20)とを大孔部を前記段差部側に向けて連通した形状をなし、
前記各係合突起は、先端部に、前記大孔部を挿通可能で前記小孔部を挿通不能な止め部(21)を有し、
各ガイド突条の端部を前記段差部に重ねた状態で前記各止め部を前記大孔部に挿通させた後、該ガイド突条をガイドプレートに沿ってスライドさせて前記係合突起を小孔部側へ移動して各ガイド突条と段差部との重なりを解除し、各ガイド突条を前記ガイドプレートに対して固定したことを特徴とするディスク搬送装置のディスクガイド。
【請求項2】
すべてのガイド突条の形状および寸法を同一にしたことを特徴とする請求項1に記載のディスク搬送装置のディスクガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−140428(P2008−140428A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322857(P2006−322857)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000108786)タナシン電機株式会社 (33)
【Fターム(参考)】