ディスク搬送装置及びディスク装置
【課題】ディスク搬送装置の搬送効率を向上する。
【解決手段】ディスクカートリッジ100からディスク回転装置20へ光ディスク90を搬送する際に、クランパ340に含まれる永久磁石の磁力によりディスクハブ90aを吸着することで光ディスク90を保持する。これにより、光ディスク90を保持するにあたり、電力等のエネルギーの消費を回避し、光ディスク90の搬送効率を向上する。特に、光ディスク90の搬送距離や搬送時間が長い場合や、搬送途中で光ディスク90を保持したまま待機する場合などには、例えば電磁石を用いて光ディスク90を吸着する場合に比較して、大幅に消費電力量を低減することが可能となる。
【解決手段】ディスクカートリッジ100からディスク回転装置20へ光ディスク90を搬送する際に、クランパ340に含まれる永久磁石の磁力によりディスクハブ90aを吸着することで光ディスク90を保持する。これにより、光ディスク90を保持するにあたり、電力等のエネルギーの消費を回避し、光ディスク90の搬送効率を向上する。特に、光ディスク90の搬送距離や搬送時間が長い場合や、搬送途中で光ディスク90を保持したまま待機する場合などには、例えば電磁石を用いて光ディスク90を吸着する場合に比較して、大幅に消費電力量を低減することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク搬送装置及びディスク装置に係り、更に詳しくは、光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置、及び該ディスク搬送装置を備えるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が開始されるなど、情報のデジタル化に伴う光ディスクの大容量化、すなわち光ディスクへ記録される情報の高密度化に対する要求が高まっている。この要求に対する主な方策としては、記録再生のために用いられるレーザ光のスポット径を小さくすることがあげられる。
【0003】
レーザ光のスポット径を小さくするには、波長の短いレーザ光を用いることや、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることが有効である。しかしながら、レーザ光の短波長化やNAの増大化は、対物レンズを含む光学系の焦点深度の狭小化を招き、フォーカスサーボ精度を更に向上させる必要がある。また、NAの増大化は、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が短くなるため、光ディスクの面ぶれを小さく抑制する必要がある。その理由は、対物レンズを含む光ピックアップと光ディスクとが接触するなどの事態を回避するためである。
【0004】
このような背景から、可撓性を有する薄膜シートに記録面が形成された光ディスク(以下、可撓性ディスクともいう)の開発がすすめられ、この可撓性ディスクを安定化板上で回転させることにより、光ディスクにおける面ぶれを効果的に抑制することが可能な光ディスク装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの光ディスク装置に用いられる可撓性ディスクでは、ディスク基板が軟弱な薄膜シートであることから、ディスク中央に例えば剛性の高い金属性のハブなどが設けられている。そして、可撓性ディスクをディスクカートリッジから取り出してディスク装置へ装着する際の搬送時などには、例えば搬送装置に設けられた電磁石等によってハブを吸着することにより可撓性ディスクを保持することが考えられる。
【0005】
しかしながら、電磁石を用いて可撓性ディスクを保持すると、搬送中に電磁石を励磁するための励磁電流を常時供給する必要があるため、搬送における消費電力と発熱が増大してしまうという不都合がある。また、ディスクカートリッジに可撓性ディスクを多数枚積層して、小さな体積で大容量のデータストレージを実現することを考えると、可撓性ディスクに設けられたハブは薄いほど良く、かかる場合には、更に励磁電流を増加させる必要がある。
【0006】
【特許文献1】特開平10−308059号公報
【特許文献2】特開2003−115108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、可撓性のある光ディスクの搬送を効率よく行うことが可能なディスク搬送装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、搬送途中でディスクを落とすリスクが少なく、装置の稼動効率を向上することが可能なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の観点からすると、中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、前記プレートを吸着する永久磁石を含む吸着部材と;前記吸着部材を着脱可能に保持する保持機構と;を備えるディスク搬送装置である。
【0010】
これによれば、保持機構により保持された永久磁石を含む吸着部材でプレートを吸着することで、光ディスクを保持して搬送し、保持機構からプレートを吸着した吸着部材が離されることで、光ディスクが解放される。したがって、搬送中に励磁電流を供給することなく光ディスクを保持することができるので、搬送中の消費電力を低減することができ、ひいては搬送効率を向上することが可能となる。
【0011】
本発明は、第2の観点からすると、中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、前記光ディスクに設けられたプレートの位置を規定する規定部材と;前記プレートを、前記規定部材の一部を介して吸着する永久磁石を含む吸着部材と;前記吸着部材を、前記プレートに磁力の影響を与えない位置と、前記プレートに磁力の影響を与える位置との間で往復移動する移動機構と;を備えるディスク搬送装置である。
【0012】
これによれば、光ディスクは、プレートが規定部材により位置が規定された状態で、移動機構によりプレートに磁力の影響を与える位置に移動された吸着部材に吸着されることで、搬送装置に保持される。また、この状態から、光ディスクは、移動機構により吸着部材がプレートに磁力の影響を与えない位置に移動されることで、搬送装置から解放される。これにより、搬送装置では、光ディスクを保持する際に、吸着部材を磁力の作用する方向と直行する方向に移動させることが可能となり、結果的に、小さい力で光ディスクを把持することが可能となる。また、搬送装置の吸着部材として励磁電流の供給が不要な永久磁石を用いることができる。したがって、搬送中の消費電力を低減し搬送効率を向上することが可能となる。
【0013】
本発明は、第3の観点からすると、磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクを収容するディスクカートリッジと;前記光ディスクを回転し、該回転する光ディスクに対し情報の記録及び再生のうちのいずれかを行うディスク機構と;前記ディスクカートリッジと前記ディスク機構との間で、前記光ディスクの搬送を行う本発明のディスク搬送装置と;を備えるディスク装置である。
【0014】
これによれば、ディスク装置は本発明のディスク搬送装置を備えている。したがって、ディスクカートリッジとディスク機構との間の搬送にかかる消費電力を低減することができ、装置の稼動効率を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図14(C)に基づいて説明する。図1には一実施形態に係る光ディスク装置10が示されている。
【0016】
光ディスク装置10は、図1に示されるように、光ディスク90を回転駆動するディスク回転装置20、光ディスク90にレーザ光を照射する光ピックアップ装置26、ディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間で光ディスク90を搬送するディスク搬送装置30、ディスクカートリッジ100を開閉する開閉装置70、ディスクカートリッジ100から所望の光ディスク90を選択するディスク選択システム40、並びにこれらの構成各部を収容する本体(ハウジング)12などを備えている。これらのディスク回転装置20、ディスク搬送装置30、開閉装置70、ディスク選択システム40などは、制御装置11によって統括的に制御される(図12参照)。
【0017】
ディスク回転装置20は、図1に示されるように、ハウジング12内部の+Y側に不図示の支持部材を介して配置されている。このディスク回転装置20は、図1におけるA−A線にほぼ沿った断面図である図2に示されるように、不図示の支持部材によりハウジング12の内部底面から所定距離上方の位置で水平に支持された支持板14、該支持板14の上面に固定されたモータ21、光ディスク90が装着されるディスクチャック22、及びディスクチャック22に装着された光ディスク90の下方で支持板14の上面に固定された安定板24などを備えている。
【0018】
光ディスク90としては、例えば、約0.1mm程度の薄いポリエチレンテレフタレート(PET)製のシートの上面(図1における+Z側)に記録層が成膜され、さらにこの記録層上に厚さ5μm程度の透明保護膜が形成された可撓性を有する光ディスクが用いられる。この光ディスク90の中央部には、図1に示されるように、所定の大きさ、例えば直径10mmの円形の開口90bが形成されている。また、上記PET製のシートの上面(+Z側の面)には、磁性材料である例えばフェライト系ステンレス鋼からなり、所定厚さ、例えば厚さ0.1mm程度の円形プレート(ディスクハブ)90aが、開口90bとほぼ同心となる状態で貼り付けられている。このディスクハブ90aは、開口90bより大きな外径を有し、その中心部には、開口90bより小径(例えば直径5mm)の円形開口が形成されている。
【0019】
ディスクチャック22は、上面に円形の凹部が形成された円柱状の部材であり、磁石に吸着する例えば鉄等の金属素材を含んで構成されている。
【0020】
モータ21は、回転軸21aを介してディスクチャック22を回転させることにより、光ディスク90を例えば5000rpm程度回転数で回転させる。光ディスク90の回転は、制御装置11により制御される(図12参照)。
【0021】
安定化板24は、中央に円形開口が形成された平面視円形の部材からなり、開口のほぼ中心にモータ21が位置するように支持板14上に固定されている。光ディスク90が回転すると、光ディスク90には、その回転により発生する遠心力により水平な状態になろうとする復元力と、その回転と面形状の作用により生じる空気流の差に基づく圧力変化による反発力が発生する。安定化板24は、その際に生じる復元力と反発力のつりあいをとることにより、光ディスク90のいわゆる面ぶれ(光ディスク90の回転軸方向の振れ)を低減する。
【0022】
光ピックアップ装置26は、光ディスク90の上方(+Z側)に配置され、光源、対物レンズを含む光学系、受光素子などを含む周知の構成のものが用いられている。光ピックアップ装置26は、ディスク回転装置20により回転される光ディスク90の記録面にレーザ光を集光するとともに、記録面からの反射光を受光することで光ディスク90に対する情報の書き込み(記録)、読み取り(再生)及び消去を行う。この光ピックアップ装置26は、不図示のシークモータを含むピックアップ駆動装置25によって光ディスク90の半径方向に駆動される。
【0023】
ディスク搬送装置30は、図1に示されるように、ハウジング12の内部のほぼ中央に配置されている。このディスク搬送装置30は、図2に示されるように、ハウジング12の内部底面に固定されたモータ37、モータ37の回転軸36に一端部近傍の下面が固定された第1旋回アーム34、第1旋回アーム34の他端部近傍の下方に取り付けられた駆動ユニット35、該駆動ユニット35に接続された軸33、該軸33を介して接続されたジョイント機構32、ジョイント機構32に対し軸32aを介して接続された第2旋回アーム300を備えている。
【0024】
モータ37は、一例として、Z軸に平行な回転軸36を回転駆動するステッピングモータが用いられている。このモータ37の回転変位は、不図示のセンサで計測され、このセンサからの検出信号は制御装置11へ供給される(図12参照)。
【0025】
第1旋回アーム34は、平面視長方形状の板状部材からなり、モータ37によって回転軸36を中心として旋回される。
【0026】
軸33は、第1旋回アーム34の上面に固定された円筒状の固定部材33bと、固定部材33bの内部に挿入された円柱状の可動部材33aの2部分からなり、可動部材33aは、駆動ユニット35により、固定部材33bに対し回転駆動されるとともに、上下方向(Z軸方向)に所定のストロークで駆動される。可動部材33aの回転方向及び上下方向の位置は不図示のセンサにより検出され、そのセンサの検出信号が制御装置11へ供給される(図12参照)。
【0027】
前記第2旋回アーム300は、−X側端が軸33に設けられた可動部33aの上面に固定されたジョイント機構32に対し、軸32aを中心として回動可能に接続されている。ジョイント機構32は、軸32aを中心とする第2旋回アーム300の回動を、図2に実線で示されている位置から、仮想線(二点鎖線)で示される位置までの回動のみを許容する。以下、図3及び図4を参照しつつ、第2旋回アーム300の構成について詳述する。
【0028】
図3は、ジョイント機構32に接続された第2旋回アーム300を示す斜視図である。第2旋回アーム300は、図3に示されるように、−X側端がジョイント機構32に軸32aを介して、Y軸に平行な軸回りに回動可能に接続されたアーム本体310、アーム本体310に起伏回動可能に設けられた離間部材320、アーム本体310の上面に摺動可能に設けられた保持部材330、保持部材330に着脱自在に保持されるクランパ340、長手方向をX軸方向とする駆動シャフト351を介して保持部材330を摺動する駆動機構350を備えている。
【0029】
図4は、上記第2旋回アーム300の展開斜視図である。前記アーム本体310は、例えば、プラスチックなどを素材とし、図4に示されるように、長手方向をX軸方向とするベース部311と、該ベース部311上面の+Y側及び−Y側の外縁に沿って形成された1組のフレーム部312とを有している。前記ベース部311は、その+X側端部に丸孔313が形成され、+X側の外縁が丸孔313と同心の円弧形状となっている。また、前記1組のフレーム部312には、+X側端部から中央部にかけて、X軸方向を長手方向とする案内孔314がそれぞれ形成され、−X側端部にはジョイント機構32に連結される際に、軸32aが挿入される丸孔315がそれぞれ形成されている。
【0030】
前記離間部材320は、例えば非着磁性の銅板などを板金加工することにより形成され、長手方向をX軸方向とする1対の回動部322と、これらの回動部322を連結する連結部321とを有している。前記1対の回動部322の+X側端には、アーム本体310に設けられたベース部311の外縁に沿って湾曲するとともに−Z側に突出する離間部322aがそれぞれ形成され、中央部には、長手方向をX軸方向として形成された第1摺動孔323aと、X軸に対して所定の角度を成すように形成された第2摺動孔323bとからなる摺動孔323がそれぞれ形成されている。
【0031】
前記保持部材330は、−X側端部の外縁がアーム本体に形成されたベース部311の+X側の外縁部と相似形状となった摺動板331と、該摺動板331の上面中央部に固定された支持部材332とを有している。前記摺動板331は、磁石が吸着する例えばフェライト系ステンレス鋼板からなり、+X側端から中央にかけて長手方向をX軸方向とする切欠331aが形成されている。そして、摺動板331の上面に固定された支持部材332は+Y方向及び−Y方向へそれぞれ延設された1対の摺動軸332aを有している。
【0032】
前記クランパ340は、永久磁石を含んで構成された部材である。このクランパ340は、光ディスク90に貼りつけられたディスクハブ90aを吸着する磁力を発生する円形板状の吸着部341、吸着部341の上面中央部に設けられた円形の凸部342、凸部342の上方に連結軸343を介して設けられたフック部344を有している。また、図4には不図示であるが、吸着部341の下面中央部には下方に突出する円柱状の突出部345が形成されている(図6(A)参照)。
【0033】
上述したアーム本体310、離間部材320、及び保持部材330それぞれは、図4に示されるように、アーム本体310に設けられたフレーム部312の中央やや−X側に、下方から離間部材320にそれぞれ設けられた1対の回動部322の−X側端部が1対の回転軸324を介してそれぞれ連結されることで、アーム本体310に対し離間部材320がY軸に平行な軸回りに回動可能に取り付けられている。そして、保持部材330に設けられた1対の摺動軸332aが、アーム本体310の1対のフレーム部312それぞれ設けられた案内孔314と、離間部材320の1対の回動部322にそれぞれ設けられた摺動孔323とに挿入された状態で、摺動板331がアーム本体310のベース部311上に配置されることで、図3に示されるように、アーム本体310、離間部材320、及び保持部材330が一体化されている。
【0034】
前記駆動機構350は、アーム本体310に設けられたベース部311の上面に固定され、+X側端が保持部材330の支持部材332に固定された駆動シャフト351を+X方向及び−X方向へ送ることで、アーム本体310に対して保持部材330をX軸方向へ摺動する。
【0035】
上述のように構成された第2旋回アーム300では、保持部材330を、図5における破線で示される位置から実線で示される位置まで摺動することで、クランパ340のフック部344が、アーム本体310のベース部311に設けられた丸孔313に干渉することなく通り抜け、凸部342が丸孔313に嵌合可能となる。なお、凸部342の吸着部341上面からの高さは、ベース部311の厚みと同じ大きさとなっているため、凸部342が丸孔313に嵌合した場合にもベース部311の上面から凸部342の上端が突出しないようになっている。また、保持部材330を破線で示される位置から実線で示される位置まで摺動する際に、保持部材330の摺動軸332aは、離間部材320に設けられた摺動孔323に沿って移動するが、この場合には、摺動軸332aは摺動孔323の第1摺動孔323aに沿って移動する。したがって、離間部材320はアーム本体310に対して回動することはない。
【0036】
そして、クランパ340の凸部342がアーム本体310の丸孔313に嵌合した状態で、保持部材330を、図5における実線で示される位置から破線で示される位置まで摺動すると、クランパ340の連結軸343が、保持部材330の摺動板331に形成された切欠331aに挿嵌され、図3に示されるように、クランパ340のフック部344が摺動板331に下方から支持される。また、この状態のときには、クランパ340の吸着部341からの磁力が摺動板331に作用している。これらにより、クランパ340は、凸部342がアーム本体310の丸孔313に嵌合することでXY面内での位置が規定され、フック部344が摺動板331に支持されるとともに吸着部341が摺動板331を磁気吸着することでZ軸方向の位置が規定された状態で保持される。
【0037】
図6(A)は、保持部材330が図5における破線で示される位置にあるときの第2旋回アーム300の側面図である。この図6(A)に示されるように、離間部材320に形成された離間部322aの下端はクランパ340の吸着部341の下端よりも上方に位置している。この状態から、保持部材330を、+X方向に摺動すると、図6(B)に示されるように、保持部材330の摺動軸332aが離間部材320に形成された摺動孔323の第2摺動孔323bに沿って+X方向へ移動する。これにより、離間部材320が軸324を中心に起伏回動し、離間部材320に形成された離間部322aの下端が、クランパ340の吸着部341の下端よりも下方に突出する。なお、図6(B)に示される状態では、摺動板331の+X側端がアーム本体310の+X側端から+X方向へ突出しているが、離間部材320は摺動板331の移動に伴って回動するため、摺動板331と離間部材320が接触することはない。また、摺動軸332aが第2摺動孔323bに沿って移動するときには、クランパ340の連結軸343に対して摺動板331が相対移動するが、クランパ340の連結軸343は切欠331aに沿って相対移動するため、クランパ340と摺動板331とが干渉することはない。
【0038】
前記ディスクカートリッジ100は、図1に示されるように、ディスク回転装置20の−Y側に保持装置80を介して着脱自在にセットされている。このディスクカートリッジ100は、図7の展開斜視図に示されるように、ベース部材103、蓋部材102、及びベース部材103上に搭載されたホルダ112などを含んで構成されている。
【0039】
ベース部材103は、図7に示されるように、平面視六角形状(より正確には、矩形の隣り合うコーナー部分を切除した形状)のベース板103aと、ベース板103aの+Y側及び−Y側にベース板103aの外周に沿ってそれぞれ設けられた側壁103c及び側壁103dとを有している。
【0040】
ベース板103aの中央部には、光ディスク90のディスクハブ90aの円形開口の内径(例えば5mm)より小さい直径3mmの円筒状の突出部103iが形成されている。また、ベース板103aの一辺側(図7における+X側の辺)の近傍には、その一辺に沿って所定間隔隔てて一対の円柱状の突出部103g、103hが設けられている。ベース板103aの一辺と反対側(−X側)の端部には、図8に拡大して示されるように、矩形状の切欠S1、S2、S3、S4、S5がY軸に沿ってほぼ等間隔で形成されている。さらに、図7に示されるように、ベース板103aの上面には、ベース板103aの−X側の部分の一部のエッジの形状とほぼ左右対称で、その一部のエッジとともに上方から見て略八角形を形成する形状の側壁103jが、突出部103g、103hの+X側に設けられている。
【0041】
一方の側壁103dのほぼ中央部は、内側(+Y側)に突出するように曲折され、これにより内側凸部、すなわち凹部103kが形成されている。また、この側壁103dの+X側の端部は、ベース板103aの一辺(図7における+X側の辺)とほぼ一致しているが、−X側の端部は、ベース板103aの−X側の辺より+X側の位置にある。他方の側壁103cは、凹部103kは形成されていないが、側壁103dと左右対称である。
【0042】
蓋部材102は、ベース部材103のベース板103aと同形状の蓋板102aと、蓋板102aの下面(−Z側の面)の−X側の外縁の一部に設けられた側壁102bとを有している。
【0043】
この蓋部材102の蓋板102aは、ベース部材103に対してヒンジ機構を介して接続され、その一辺(+X側の辺)側の回動軸回りに回動することで、ベース部材103に対して開閉可能な構成となっている。上記ヒンジ機構は、蓋板102aの下面の+X側の辺の近傍にその辺に沿って所定間隔隔てて設けられ、丸穴が形成された舌片状の部材からなる一対の連結部102e、102fと、これに対応してベース部材103のベース板103aの上面に設けられた同様の舌片状の部材からなる一対の連結部103e、103fと、連結部102e,103e相互、連結部102f,103f相互を、連結する一対のピン120とを含んでいる。
【0044】
側壁102bは、蓋部材102が閉じられた状態では、側壁103cと側壁103dとの間に嵌まり込み、これらの側壁103c,103dとともに、ベース板103aの+X側の辺を除く、外縁を取り囲む一連の側壁を構成する形状を有している。
【0045】
ホルダ112は、図7及び図9を総合するとわかるように、八角形状で、上下方向に積層された複数枚のポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート部材110i(i=1〜n)を有している。なお、説明の便宜上ここではn=5であるものとする。シート部材1101〜1105は、図9に示されるように、+X側の辺がフレキシブルな接続部材114を介して相互に接続されている。このため、シート部材1101〜1105それぞれは、その一辺(+X側の辺)を回動中心として回動(開閉)可能になっている。
【0046】
このようにして構成されたホルダ112は、図7に示されるように、シート部材1101〜1105それぞれの+X側の端部にY軸方向に沿って所定間隔隔てて形成されたX軸方向に細長い一対の長孔に、前述のベース部材103の突出部103g、103hが挿入された状態で、側壁103c、103d及び103jで囲まれた平面視八角形の領域の内部に収容されている。そして、ホルダ112には、4枚の光ディスク901,902,903,904が、図9に示されるように、シート部材1101〜1105のうち、隣接するシート部材の相互間1101,1102、1102,1103、1103,1104、1104,1105にそれぞれ挟持された状態で収容されている。
【0047】
図7に戻り、上記各シート部材1101、1102、1103、1104、1105の−X側の端部には、相互に重ならない異なる位置に等間隔で配置されるタグTG1、TG2、TG3、TG4、TG5がそれぞれ設けられている。これらのタグTG1、TG2、TG3、TG4、TG5は、図8に示されるように、ベース板103aに形成された前述の矩形状の切欠S1、S2、S3、S4、S5にそれぞれ重なるように、XY面内の位置が規定されている。
【0048】
ディスク選択システム40は、図1に示されるように、ディスクカートリッジ100の−X側に配置され、ホルダ開閉装置50及びクランプ装置60を含んでいる。
【0049】
ホルダ開閉装置50は、図10に示されるように、ハウジング12の内部底面上にY軸方向に所定間隔隔てて不図示の支持部材を介して固定された一対の支持部材55A,55B、該支持部材55A,55Bによってベース板103aとほぼ同じ高さになるように長手方向(Y軸方向)の一端と他端をそれぞれ回転自在に支持された断面円形の棒状部材からなるガイド棒53、ガイド棒53の外周に螺合されたスライダ54、スライダ54の外周に該スライダ54に対してそれぞれ回動可能に接続された第1アーム51及び第2アーム52などを含んでいる。
【0050】
ガイド棒53は、制御装置11によって制御される不図示の駆動装置により、支持部材55A,55Bに対して回転され、これによりスライダ54がY軸方向に移動する。すなわち、ガイド棒53に形成された雄螺子とスライダ54に形成された雌螺子とを含んで送りねじ機構が構成されている。
【0051】
第1アーム51は、その長手方向をX軸方向とし、−X側端がスライダ54に対して回動可能に接続されている。この第1アーム51の−X側端部には回転ローラ51aが回転自在に装着されている。
【0052】
第2アーム52は、図10及び図8を総合するとわかるように、ディスクカートリッジ100のベース部材103に形成された切欠S1、S2、S3、S4、S5のY軸方向の幅より十分に薄い楔形状の板状部材から構成されている。そして、この第2アーム52は、第1アーム51の−Y側に、タグTG1、TG2、TG3、TG4、TG5の配列間隔と同一の間隔だけ隔てて、スライダ54に対して回動可能にその長手方向の一端部近傍が接続されている。この第2アーム52は、制御装置11により、不図示の駆動機構を介してスライダ54に対して起伏回動される。
【0053】
クランプ装置60は、図10に示されるように、クランプアーム61、クランプアーム61を駆動するクランプアーム駆動機構68、及びガイド板64などを含んでいる。
【0054】
クランプアーム61は、ほぼX軸方向を長手方向とするアーム部材61bと、一対の対向面が形成された側面視U字状のクランプ部材61aとを含み、アーム部材61bの+X側の端部には、クランプ部材61aが一対の対向面がXY平面に平行となるように、かつY軸に平行な軸60dを中心に回動可能に接続されている。そして、−X側の端部には長手方向をX軸方向とする丸孔が形成されている。さらに、アーム部材61bは、図11に示されるように、−Y方向に突出する円柱状の突出部61cを有している。
【0055】
図10に戻り、ガイド板64は不図示の支持部材を介してハウジング12の内部底面に固定されている。このガイド板64には、図11に示されるように、アーム部材61bの突起部61cが挿入されたV字状(くの字状)の案内孔64aが形成されている。
【0056】
クランプアーム駆動機構68は、+Y方向に突出し、前述の丸孔に挿入された駆動レバー68aと、駆動レバー68aをX軸方向に駆動する不図示のモータなどを含んでいる。
【0057】
上記のように構成されたクランプ装置60は、図11からわかるように、制御装置11の指示の下、クランプアーム駆動機構68が駆動レバー68aを+X方向又は−X方向へ駆動することにより、+X方向又は−X方向へ駆動されるようになっている。
【0058】
開閉装置70は、図1に示されるように、ディスクカートリッジ100の−Y側に配置されている。この開閉装置70は、図11に示されるように、略V字状(略くの字状)の開閉アーム71と、不図示の駆動機構に接続された駆動レバー72aを含んでいる。
【0059】
開閉アーム71の+X側の端部のY側の面には、円柱状の係止部71cが形成され、ほぼ中央の部分には長孔71aが形成されている。そして、開閉アーム71の−X側の端部は、Y軸に平行な軸71bを中心に回動可能な状態で、不図示の支持部材を介してハウジング12に取り付けられている。
【0060】
主制御装置11は、不図示の駆動装置を介してレバー72aを+X方向へ駆動することにより、開閉アーム71の端部に形成された係止部71cを、ディスクカートリッジ100のベース103の−Y側側面に形成された凹部103k内で蓋部材102の下面に当接するまで回動し、更に、レバー72aを+X方向へ駆動することにより、図11に仮想線で示されるように蓋部材102をベース103に対し開放することができるようになっている。また、この状態からレバー72aを−X方向駆動することにより、蓋部材102をベース103に対し閉鎖することができるようになっている。
【0061】
図12には、光ディスク装置10の全体構成がブロック図にて示されている。この図12に示される制御装置11は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)などからなるいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含み、ROMには、光ディスク装置10を構成する各機器を制御するためのプログラムなどが格納され、CPUはROMに格納されたプログラムを読み込んで各機器を制御することにより、装置全体を統括的に制御する。
【0062】
次に、上述のようにして構成された光ディスク装置10におけるディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間の光ディスク90の搬送処理について、図13(A)〜図14(C)を参照しつつ説明する。
【0063】
前提として、ディスクカートリッジ100には、図9に示されるように、4枚の光ディスク901、902、903、904が収納された状態で保持装置80にセットされているものとし、ディスク回転装置20には光ディスク901、902、903、904、が装着されていないものとする。また、第2旋回アーム300には、図3に示されるように、クランパ340が保持されているものとする。また、本実施形態では、一例として、図9に示されるように、シート部材1102とシート部材1103の間に保持されている光ディスク902を、ディスクカートリッジ100から取り出して、ディスク回転装置20へ搬入するものとする。
【0064】
制御装置11は、まず、ディスクカートリッジ100の蓋部材102を開閉装置70を介して開放し、スライダ54を図13(A)に示されるように、第1アーム51の回転ローラ51aがタグTG2の上方に位置し、第2アーム52の先端がタグTG3の下方に位置するまで移動する。
【0065】
次に、制御装置11は、図13(B)に示されるように、先端がタグTG3の下方にある第2アーム52を回動して、シート部材1103〜1105をシート部材1101、1102と離間し、シート部材1102に保持された光ディスク902を露出させる。
【0066】
次に、制御装置11は、図13(C)に示されるように、クランプアーム61を駆動して、シート部材1103〜1105を上方に押し上げ、光ディスク902の上方に第2旋回アーム300が進入するスペースを確保する。
【0067】
次に、制御装置11は、ディスク搬送装置30のモータ37及び駆動ユニット35を介して第2旋回アーム300を駆動して(以下、単に第2旋回アーム300を駆動するという)、保持されたクランパ340を、図14(A)に示されるように、光ディスク90の上方へ移動し、図中の矢印に示されるように第2旋回アーム300を下降する。これにより、光ディスク90に貼り付けられたディスクハブ90aは、中心の円形開口にクランパ340の突出部345が挿入された状態で吸着部341に吸着される。
【0068】
次に、制御装置11は、第2旋回アーム300を駆動して、図14(B)に示されるように、クランパ340に吸着された光ディスク90を、ディスク回転装置20のディスクチャック22の上方へ搬送する。
【0069】
次に、制御装置11は、保持部材330を−X方向へ摺動させる。これにより、摺動板331に支持されていたクランパ340は、図14(C)に示されるように、ディスクチャック22の上面に落下する。この状態のときには、クランパ340は、ディスクチャック22の上面に形成された円形の凹部に突出部345が嵌合した状態で、ディスクチャック22に磁気吸着している。なお、クランパ340の保持中には、吸着部341からの磁力が保持部材330の摺動板331に作用しているが、保持部材330が−X方向へ摺動した場合には、保持部材330の摺動板331に対する吸着部341からの磁力の影響は無視できるようになり、クランパ340は自重により落下することが可能となる。また、図14(C)では、ディスクチャック22と第2旋回アーム300の間が広く開いている記載となっているが、これは説明の便宜のためであり、実際はクランパ34がディスクチャック22から脱落するのを回避するため、ディスクチャック22と第2旋回アーム300の間隔は近接した配置となる。また、先にクランパ34をディスクチャック22へ嵌合した後に、保持部材330を−X方向へ摺動させてもよい。
【0070】
次に、制御装置11は、第2旋回アーム300を上方へ退避させるとともに、ディスク回転装置20を駆動して光ディスク90に対して、例えば情報の書込み又は読出し等の処理を行う。
【0071】
次に、光ディスク90に対する上記処理が終了すると、制御装置11は、図15(A)に示されるように、アーム本体310に設けられた丸孔313にクランパ340の凸部342が嵌合するまで第2旋回アーム300を下降し、保持部材330を+X方向へ摺動して、クランパ340を保持する。そして、旋回アーム300が上昇されることで、光ディスク90は図15(B)に示されるように、クランパ340に吸着された状態で第2旋回アーム300に保持され、搬送可能な状態となる。
【0072】
次に、制御装置11は、第2旋回アーム300を駆動して、光ディスク90をディスクカートリッジ100のシート部材1102の上方に移動して、保持部材330を−X方向に駆動する。これにより、クランパ340に吸着されたディスクハブ90aは、離間部322aによって下方に押し出されることで、図15(C)に示されるようにクランパ340から離間され、光ディスク90はシート部材1102の上面に載置される。
【0073】
ディスク回転装置20からディスクカートリッジ100への光ディスク90の搬送が終了すると、制御装置11は、上述とは逆の手順でディスクカートリッジ100を閉塞して光ディスク90をディスクカートリッジ100へ収納する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るディスク搬送装置30は、アーム本体310に対し摺動可能に配置された保持部材330により、着脱可能に保持されるクランパ340を備えている。そして、ディスクカートリッジ100からディスク回転装置20へ光ディスク90を搬送する際には、クランパ340に含まれる永久磁石の磁力によりディスクハブ90aを吸着することで光ディスク90を保持する。したがって、光ディスク90を保持するにあたり、電力等のエネルギーが消費されることがなく、光ディスク90の搬送効率を向上することが可能となる。特に、光ディスク90の搬送距離や搬送時間が長い場合、又は搬送途中で光ディスク90を保持したまま待機する場合などには、例えば電磁石を用いて光ディスク90を吸着する場合に比較して、大幅に消費電力量を低減することが可能となる。
【0075】
また、光ディスク90をディスク回転装置20に装着する際には、保持部材330をクランパ340の磁力の向きと直行する−X方向へ摺動することで、アーム本体310からクランパ340を解放すればよい。したがって、保持部材330の駆動に大きな駆動力を必要とせず、駆動機構350での消費電力を低減することが可能となる。また、摺動板331とクランパ340とは機械的に係合するので、不慮の衝撃でクランパ340がアーム本体310から脱落することがない。
【0076】
また、光ディスク90をディスクカートリッジ100へ収容する際には、保持部材330をクランパ340の磁力の向きと直行する+X方向へ摺動することで、クランパ340からディスクハブ90aを離間すればよい。したがって、保持部材330の駆動に大きな駆動力を必要とせず、駆動機構350での消費電力を低減することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係るディスク搬送装置30では、摺動板331の素材を磁石が吸着する例えばフェライト系ステンレス鋼板としたが、これに限らず、磁石が吸着しない材料を用いてもよい。この場合にも、クランパ340のフック部344は保持部材330の摺動板331に係止可能となるので、上述した搬送動作を行うことが可能となる。
【0078】
なお、本実施形態の第2旋回アーム300ではクランパ340を保持する保持部材330を摺動させることとしたが、これに限らず、例えばディスクハブ90aを磁気吸着可能な磁石ユニットMGを摺動させることにより、光ディスク90の保持及び解放を行ってもよい。以下、図16(A)及び図16(B)を参照しつつ、第2旋回アーム300の変形例に係る第2旋回アーム300’について説明する。なお、第2旋回アーム300と同一又は同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し又は簡略するものとする。
【0079】
《変形例》
図16(A)及び図16(B)に示されるように、第2旋回アーム300’は長手方向をX軸方向とし、+X側端部下面に下方に突出する突出部310aが形成された長方形板状のアーム本体310’を有している。そして、アーム本体310’の上面には、駆動機構350が駆動されることにより、駆動シャフト351を介してX軸方向に移動される磁石ユニットMGが配置されている。
【0080】
この第2旋回アーム300’は、磁石ユニットMGをアーム本体310’の突出部310aの上方に移動することで、光ディスク90に貼り付けられたディスクハブ90aを、図16(A)に示されるように、その円形開口に突出部310aが挿入された状態で吸着保持することができるようになっている。また、図16(A)に示される状態から、磁石ユニットMGを図16(B)に示される位置まで移動させて、吸着保持されていたディスクハブ90aを解放することにより、光ディスク90を解放することができるようになっている。
【0081】
上述した第2旋回アーム300’を第2旋回アーム300に代えて用いても、ディスク搬送装置30は、ディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間を搬送することが可能となる。この場合にも、光ディスク90を保持するにあたり、電力等のエネルギーが消費されることがなく、光ディスク90の搬送効率を向上することが可能となる。同様に、光ディスク90の搬送距離や搬送時間が長い場合や、搬送途中で光ディスク90を保持したまま待機する場合などには、例えば電磁石を用いて光ディスク90を吸着する場合に比較して、大幅に消費電力量を低減することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態に係る光ディスク装置10では、ディスク搬送装置30を備えている。したがって、ディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間の搬送にかかる消費電力を低減することができ、装置の稼動効率を向上することが可能となる。
【0083】
また、上記実施形態で用いられる光ディスク90は、可撓性を有していればよく、DVD(digital versatile disc)、CD(compact-disc)、あるいは約405nmの波長の光に対応した次世代の情報記録媒体など、任意の波長に対応する光ディスクを用いることができる。
【0084】
なお、ディスク搬送装置30は、本実施形態に用いた構造のものに限定されることはなく、例えば、第1旋回アーム34と、第2旋回アーム300をそれぞれの駆動機構により駆動するのではなくて、第1旋回アーム34と第2旋回アーム300を遊星ギア機構によりリンクして、各旋回アームを1つの駆動機構により駆動することとしてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、光ディスク90のディスクハブ90aにフェライト系ステンレス鋼を用いることとしたが、これに限らず、他の磁性材料からなる金属板や磁性材料が添加された磁性シートを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明のディスク搬送装置は、光ディスクを搬送するのに適しており、本発明の光ディスク装置は光ディスクに対し情報の記録、再生、及び消去を行うのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置10の概略的な構成を示す図である。
【図2】光ディスク装置10を構成するディスク回転装置20及びディスク搬送装置30を説明するための側面図である。
【図3】第2旋回アーム300の斜視図である。
【図4】第2旋回アーム300の展開斜視図である。
【図5】第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その1)である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その1、その2)である。
【図7】ディスクカートリッジ100の展開斜視図である。
【図8】ディスクカートリッジ100に設けられたスリットS1〜S5を示す図である。
【図9】ディスクカートリッジ100の断面図である。
【図10】ホルダ開閉装置50、及びクランプ装置60を示す斜視図である。
【図11】開閉装置70を示す図である。
【図12】図1における光ディスク装置10の制御系のブロック図である。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、ディスクカートリッジ100を開閉する動作を説明するための図(その1〜3)である。
【図14】図14(A)〜図14(C)は、第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その1〜3)である。
【図15】図15(A)〜図15(C)は、第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その4〜6)である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、第2旋回アーム300の変形例に係る第2旋回アーム300’の構成及び動作を説明するための図(その1、その2)である。
【符号の説明】
【0088】
10…光ディスク装置、11…制御装置、12…本体(ハウジング)、14…支持板、20…ディスク回転装置、21…モータ、21a…回転軸、22…ディスクチャック、24…安定化板、25…ピックアップ駆動装置、26…光ピックアップ装置、30…ディスク搬送装置、32…ジョイント機構、32a…軸、33…軸、33a…可動部材、33b…固定部材、34…第1旋回アーム、36…回転軸、37…モータ、40…ディスク選択システム、50…ホルダ開閉装置、51…第1アーム、51a…回転ローラ、52…第2アーム、53…ガイド棒、54…スライダ、55A,55B…支持部材、60…クランプ装置、61…クランプアーム、61a…クランプ部材、61b…アーム部材、61c…突出部、60d…軸、64…ガイド板、64a…案内孔、68…クランプアーム駆動機構、68a…駆動レバー、70…開閉装置、71…開閉アーム、71a…長孔、71b…軸、71c…係止部、72a…駆動レバー、90…光ディスク、90a…ディスクハブ、90b…開口、100…ディスクカートリッジ、102…蓋部材、102a…蓋板、102b…側壁、102e,102f…連結部、103…ベース部材、103a…ベース板、103c,103d,103j…側壁、103i,103g,103h…突出部、103e,103f…連結部、103k…凹部、110…シート部材、112…ホルダ、114…接続部材、120…ピン、300,300’…第2旋回アーム、310,310’…アーム本体、310a…突出部、311…ベース部、312…フレーム部、313…丸孔、314…案内孔、315…丸孔、320…離間部材、321…連結部、322…回動部、322a…離間部、323…摺動孔、323a…第1摺動孔、323b…第2摺動孔、324…回転軸、330…保持部材、331…摺動板、331a…切欠、332…支持部材、332a…摺動軸、340…クランパ、341…吸着部、342…凸部、343…連結軸、344…フック部、345…突出部、350…駆動機構、351…駆動シャフト、TG…タグ、S1〜S5…切欠。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク搬送装置及びディスク装置に係り、更に詳しくは、光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置、及び該ディスク搬送装置を備えるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が開始されるなど、情報のデジタル化に伴う光ディスクの大容量化、すなわち光ディスクへ記録される情報の高密度化に対する要求が高まっている。この要求に対する主な方策としては、記録再生のために用いられるレーザ光のスポット径を小さくすることがあげられる。
【0003】
レーザ光のスポット径を小さくするには、波長の短いレーザ光を用いることや、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることが有効である。しかしながら、レーザ光の短波長化やNAの増大化は、対物レンズを含む光学系の焦点深度の狭小化を招き、フォーカスサーボ精度を更に向上させる必要がある。また、NAの増大化は、対物レンズと光ディスクの記録面との距離が短くなるため、光ディスクの面ぶれを小さく抑制する必要がある。その理由は、対物レンズを含む光ピックアップと光ディスクとが接触するなどの事態を回避するためである。
【0004】
このような背景から、可撓性を有する薄膜シートに記録面が形成された光ディスク(以下、可撓性ディスクともいう)の開発がすすめられ、この可撓性ディスクを安定化板上で回転させることにより、光ディスクにおける面ぶれを効果的に抑制することが可能な光ディスク装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの光ディスク装置に用いられる可撓性ディスクでは、ディスク基板が軟弱な薄膜シートであることから、ディスク中央に例えば剛性の高い金属性のハブなどが設けられている。そして、可撓性ディスクをディスクカートリッジから取り出してディスク装置へ装着する際の搬送時などには、例えば搬送装置に設けられた電磁石等によってハブを吸着することにより可撓性ディスクを保持することが考えられる。
【0005】
しかしながら、電磁石を用いて可撓性ディスクを保持すると、搬送中に電磁石を励磁するための励磁電流を常時供給する必要があるため、搬送における消費電力と発熱が増大してしまうという不都合がある。また、ディスクカートリッジに可撓性ディスクを多数枚積層して、小さな体積で大容量のデータストレージを実現することを考えると、可撓性ディスクに設けられたハブは薄いほど良く、かかる場合には、更に励磁電流を増加させる必要がある。
【0006】
【特許文献1】特開平10−308059号公報
【特許文献2】特開2003−115108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、可撓性のある光ディスクの搬送を効率よく行うことが可能なディスク搬送装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、搬送途中でディスクを落とすリスクが少なく、装置の稼動効率を向上することが可能なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の観点からすると、中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、前記プレートを吸着する永久磁石を含む吸着部材と;前記吸着部材を着脱可能に保持する保持機構と;を備えるディスク搬送装置である。
【0010】
これによれば、保持機構により保持された永久磁石を含む吸着部材でプレートを吸着することで、光ディスクを保持して搬送し、保持機構からプレートを吸着した吸着部材が離されることで、光ディスクが解放される。したがって、搬送中に励磁電流を供給することなく光ディスクを保持することができるので、搬送中の消費電力を低減することができ、ひいては搬送効率を向上することが可能となる。
【0011】
本発明は、第2の観点からすると、中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、前記光ディスクに設けられたプレートの位置を規定する規定部材と;前記プレートを、前記規定部材の一部を介して吸着する永久磁石を含む吸着部材と;前記吸着部材を、前記プレートに磁力の影響を与えない位置と、前記プレートに磁力の影響を与える位置との間で往復移動する移動機構と;を備えるディスク搬送装置である。
【0012】
これによれば、光ディスクは、プレートが規定部材により位置が規定された状態で、移動機構によりプレートに磁力の影響を与える位置に移動された吸着部材に吸着されることで、搬送装置に保持される。また、この状態から、光ディスクは、移動機構により吸着部材がプレートに磁力の影響を与えない位置に移動されることで、搬送装置から解放される。これにより、搬送装置では、光ディスクを保持する際に、吸着部材を磁力の作用する方向と直行する方向に移動させることが可能となり、結果的に、小さい力で光ディスクを把持することが可能となる。また、搬送装置の吸着部材として励磁電流の供給が不要な永久磁石を用いることができる。したがって、搬送中の消費電力を低減し搬送効率を向上することが可能となる。
【0013】
本発明は、第3の観点からすると、磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクを収容するディスクカートリッジと;前記光ディスクを回転し、該回転する光ディスクに対し情報の記録及び再生のうちのいずれかを行うディスク機構と;前記ディスクカートリッジと前記ディスク機構との間で、前記光ディスクの搬送を行う本発明のディスク搬送装置と;を備えるディスク装置である。
【0014】
これによれば、ディスク装置は本発明のディスク搬送装置を備えている。したがって、ディスクカートリッジとディスク機構との間の搬送にかかる消費電力を低減することができ、装置の稼動効率を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図14(C)に基づいて説明する。図1には一実施形態に係る光ディスク装置10が示されている。
【0016】
光ディスク装置10は、図1に示されるように、光ディスク90を回転駆動するディスク回転装置20、光ディスク90にレーザ光を照射する光ピックアップ装置26、ディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間で光ディスク90を搬送するディスク搬送装置30、ディスクカートリッジ100を開閉する開閉装置70、ディスクカートリッジ100から所望の光ディスク90を選択するディスク選択システム40、並びにこれらの構成各部を収容する本体(ハウジング)12などを備えている。これらのディスク回転装置20、ディスク搬送装置30、開閉装置70、ディスク選択システム40などは、制御装置11によって統括的に制御される(図12参照)。
【0017】
ディスク回転装置20は、図1に示されるように、ハウジング12内部の+Y側に不図示の支持部材を介して配置されている。このディスク回転装置20は、図1におけるA−A線にほぼ沿った断面図である図2に示されるように、不図示の支持部材によりハウジング12の内部底面から所定距離上方の位置で水平に支持された支持板14、該支持板14の上面に固定されたモータ21、光ディスク90が装着されるディスクチャック22、及びディスクチャック22に装着された光ディスク90の下方で支持板14の上面に固定された安定板24などを備えている。
【0018】
光ディスク90としては、例えば、約0.1mm程度の薄いポリエチレンテレフタレート(PET)製のシートの上面(図1における+Z側)に記録層が成膜され、さらにこの記録層上に厚さ5μm程度の透明保護膜が形成された可撓性を有する光ディスクが用いられる。この光ディスク90の中央部には、図1に示されるように、所定の大きさ、例えば直径10mmの円形の開口90bが形成されている。また、上記PET製のシートの上面(+Z側の面)には、磁性材料である例えばフェライト系ステンレス鋼からなり、所定厚さ、例えば厚さ0.1mm程度の円形プレート(ディスクハブ)90aが、開口90bとほぼ同心となる状態で貼り付けられている。このディスクハブ90aは、開口90bより大きな外径を有し、その中心部には、開口90bより小径(例えば直径5mm)の円形開口が形成されている。
【0019】
ディスクチャック22は、上面に円形の凹部が形成された円柱状の部材であり、磁石に吸着する例えば鉄等の金属素材を含んで構成されている。
【0020】
モータ21は、回転軸21aを介してディスクチャック22を回転させることにより、光ディスク90を例えば5000rpm程度回転数で回転させる。光ディスク90の回転は、制御装置11により制御される(図12参照)。
【0021】
安定化板24は、中央に円形開口が形成された平面視円形の部材からなり、開口のほぼ中心にモータ21が位置するように支持板14上に固定されている。光ディスク90が回転すると、光ディスク90には、その回転により発生する遠心力により水平な状態になろうとする復元力と、その回転と面形状の作用により生じる空気流の差に基づく圧力変化による反発力が発生する。安定化板24は、その際に生じる復元力と反発力のつりあいをとることにより、光ディスク90のいわゆる面ぶれ(光ディスク90の回転軸方向の振れ)を低減する。
【0022】
光ピックアップ装置26は、光ディスク90の上方(+Z側)に配置され、光源、対物レンズを含む光学系、受光素子などを含む周知の構成のものが用いられている。光ピックアップ装置26は、ディスク回転装置20により回転される光ディスク90の記録面にレーザ光を集光するとともに、記録面からの反射光を受光することで光ディスク90に対する情報の書き込み(記録)、読み取り(再生)及び消去を行う。この光ピックアップ装置26は、不図示のシークモータを含むピックアップ駆動装置25によって光ディスク90の半径方向に駆動される。
【0023】
ディスク搬送装置30は、図1に示されるように、ハウジング12の内部のほぼ中央に配置されている。このディスク搬送装置30は、図2に示されるように、ハウジング12の内部底面に固定されたモータ37、モータ37の回転軸36に一端部近傍の下面が固定された第1旋回アーム34、第1旋回アーム34の他端部近傍の下方に取り付けられた駆動ユニット35、該駆動ユニット35に接続された軸33、該軸33を介して接続されたジョイント機構32、ジョイント機構32に対し軸32aを介して接続された第2旋回アーム300を備えている。
【0024】
モータ37は、一例として、Z軸に平行な回転軸36を回転駆動するステッピングモータが用いられている。このモータ37の回転変位は、不図示のセンサで計測され、このセンサからの検出信号は制御装置11へ供給される(図12参照)。
【0025】
第1旋回アーム34は、平面視長方形状の板状部材からなり、モータ37によって回転軸36を中心として旋回される。
【0026】
軸33は、第1旋回アーム34の上面に固定された円筒状の固定部材33bと、固定部材33bの内部に挿入された円柱状の可動部材33aの2部分からなり、可動部材33aは、駆動ユニット35により、固定部材33bに対し回転駆動されるとともに、上下方向(Z軸方向)に所定のストロークで駆動される。可動部材33aの回転方向及び上下方向の位置は不図示のセンサにより検出され、そのセンサの検出信号が制御装置11へ供給される(図12参照)。
【0027】
前記第2旋回アーム300は、−X側端が軸33に設けられた可動部33aの上面に固定されたジョイント機構32に対し、軸32aを中心として回動可能に接続されている。ジョイント機構32は、軸32aを中心とする第2旋回アーム300の回動を、図2に実線で示されている位置から、仮想線(二点鎖線)で示される位置までの回動のみを許容する。以下、図3及び図4を参照しつつ、第2旋回アーム300の構成について詳述する。
【0028】
図3は、ジョイント機構32に接続された第2旋回アーム300を示す斜視図である。第2旋回アーム300は、図3に示されるように、−X側端がジョイント機構32に軸32aを介して、Y軸に平行な軸回りに回動可能に接続されたアーム本体310、アーム本体310に起伏回動可能に設けられた離間部材320、アーム本体310の上面に摺動可能に設けられた保持部材330、保持部材330に着脱自在に保持されるクランパ340、長手方向をX軸方向とする駆動シャフト351を介して保持部材330を摺動する駆動機構350を備えている。
【0029】
図4は、上記第2旋回アーム300の展開斜視図である。前記アーム本体310は、例えば、プラスチックなどを素材とし、図4に示されるように、長手方向をX軸方向とするベース部311と、該ベース部311上面の+Y側及び−Y側の外縁に沿って形成された1組のフレーム部312とを有している。前記ベース部311は、その+X側端部に丸孔313が形成され、+X側の外縁が丸孔313と同心の円弧形状となっている。また、前記1組のフレーム部312には、+X側端部から中央部にかけて、X軸方向を長手方向とする案内孔314がそれぞれ形成され、−X側端部にはジョイント機構32に連結される際に、軸32aが挿入される丸孔315がそれぞれ形成されている。
【0030】
前記離間部材320は、例えば非着磁性の銅板などを板金加工することにより形成され、長手方向をX軸方向とする1対の回動部322と、これらの回動部322を連結する連結部321とを有している。前記1対の回動部322の+X側端には、アーム本体310に設けられたベース部311の外縁に沿って湾曲するとともに−Z側に突出する離間部322aがそれぞれ形成され、中央部には、長手方向をX軸方向として形成された第1摺動孔323aと、X軸に対して所定の角度を成すように形成された第2摺動孔323bとからなる摺動孔323がそれぞれ形成されている。
【0031】
前記保持部材330は、−X側端部の外縁がアーム本体に形成されたベース部311の+X側の外縁部と相似形状となった摺動板331と、該摺動板331の上面中央部に固定された支持部材332とを有している。前記摺動板331は、磁石が吸着する例えばフェライト系ステンレス鋼板からなり、+X側端から中央にかけて長手方向をX軸方向とする切欠331aが形成されている。そして、摺動板331の上面に固定された支持部材332は+Y方向及び−Y方向へそれぞれ延設された1対の摺動軸332aを有している。
【0032】
前記クランパ340は、永久磁石を含んで構成された部材である。このクランパ340は、光ディスク90に貼りつけられたディスクハブ90aを吸着する磁力を発生する円形板状の吸着部341、吸着部341の上面中央部に設けられた円形の凸部342、凸部342の上方に連結軸343を介して設けられたフック部344を有している。また、図4には不図示であるが、吸着部341の下面中央部には下方に突出する円柱状の突出部345が形成されている(図6(A)参照)。
【0033】
上述したアーム本体310、離間部材320、及び保持部材330それぞれは、図4に示されるように、アーム本体310に設けられたフレーム部312の中央やや−X側に、下方から離間部材320にそれぞれ設けられた1対の回動部322の−X側端部が1対の回転軸324を介してそれぞれ連結されることで、アーム本体310に対し離間部材320がY軸に平行な軸回りに回動可能に取り付けられている。そして、保持部材330に設けられた1対の摺動軸332aが、アーム本体310の1対のフレーム部312それぞれ設けられた案内孔314と、離間部材320の1対の回動部322にそれぞれ設けられた摺動孔323とに挿入された状態で、摺動板331がアーム本体310のベース部311上に配置されることで、図3に示されるように、アーム本体310、離間部材320、及び保持部材330が一体化されている。
【0034】
前記駆動機構350は、アーム本体310に設けられたベース部311の上面に固定され、+X側端が保持部材330の支持部材332に固定された駆動シャフト351を+X方向及び−X方向へ送ることで、アーム本体310に対して保持部材330をX軸方向へ摺動する。
【0035】
上述のように構成された第2旋回アーム300では、保持部材330を、図5における破線で示される位置から実線で示される位置まで摺動することで、クランパ340のフック部344が、アーム本体310のベース部311に設けられた丸孔313に干渉することなく通り抜け、凸部342が丸孔313に嵌合可能となる。なお、凸部342の吸着部341上面からの高さは、ベース部311の厚みと同じ大きさとなっているため、凸部342が丸孔313に嵌合した場合にもベース部311の上面から凸部342の上端が突出しないようになっている。また、保持部材330を破線で示される位置から実線で示される位置まで摺動する際に、保持部材330の摺動軸332aは、離間部材320に設けられた摺動孔323に沿って移動するが、この場合には、摺動軸332aは摺動孔323の第1摺動孔323aに沿って移動する。したがって、離間部材320はアーム本体310に対して回動することはない。
【0036】
そして、クランパ340の凸部342がアーム本体310の丸孔313に嵌合した状態で、保持部材330を、図5における実線で示される位置から破線で示される位置まで摺動すると、クランパ340の連結軸343が、保持部材330の摺動板331に形成された切欠331aに挿嵌され、図3に示されるように、クランパ340のフック部344が摺動板331に下方から支持される。また、この状態のときには、クランパ340の吸着部341からの磁力が摺動板331に作用している。これらにより、クランパ340は、凸部342がアーム本体310の丸孔313に嵌合することでXY面内での位置が規定され、フック部344が摺動板331に支持されるとともに吸着部341が摺動板331を磁気吸着することでZ軸方向の位置が規定された状態で保持される。
【0037】
図6(A)は、保持部材330が図5における破線で示される位置にあるときの第2旋回アーム300の側面図である。この図6(A)に示されるように、離間部材320に形成された離間部322aの下端はクランパ340の吸着部341の下端よりも上方に位置している。この状態から、保持部材330を、+X方向に摺動すると、図6(B)に示されるように、保持部材330の摺動軸332aが離間部材320に形成された摺動孔323の第2摺動孔323bに沿って+X方向へ移動する。これにより、離間部材320が軸324を中心に起伏回動し、離間部材320に形成された離間部322aの下端が、クランパ340の吸着部341の下端よりも下方に突出する。なお、図6(B)に示される状態では、摺動板331の+X側端がアーム本体310の+X側端から+X方向へ突出しているが、離間部材320は摺動板331の移動に伴って回動するため、摺動板331と離間部材320が接触することはない。また、摺動軸332aが第2摺動孔323bに沿って移動するときには、クランパ340の連結軸343に対して摺動板331が相対移動するが、クランパ340の連結軸343は切欠331aに沿って相対移動するため、クランパ340と摺動板331とが干渉することはない。
【0038】
前記ディスクカートリッジ100は、図1に示されるように、ディスク回転装置20の−Y側に保持装置80を介して着脱自在にセットされている。このディスクカートリッジ100は、図7の展開斜視図に示されるように、ベース部材103、蓋部材102、及びベース部材103上に搭載されたホルダ112などを含んで構成されている。
【0039】
ベース部材103は、図7に示されるように、平面視六角形状(より正確には、矩形の隣り合うコーナー部分を切除した形状)のベース板103aと、ベース板103aの+Y側及び−Y側にベース板103aの外周に沿ってそれぞれ設けられた側壁103c及び側壁103dとを有している。
【0040】
ベース板103aの中央部には、光ディスク90のディスクハブ90aの円形開口の内径(例えば5mm)より小さい直径3mmの円筒状の突出部103iが形成されている。また、ベース板103aの一辺側(図7における+X側の辺)の近傍には、その一辺に沿って所定間隔隔てて一対の円柱状の突出部103g、103hが設けられている。ベース板103aの一辺と反対側(−X側)の端部には、図8に拡大して示されるように、矩形状の切欠S1、S2、S3、S4、S5がY軸に沿ってほぼ等間隔で形成されている。さらに、図7に示されるように、ベース板103aの上面には、ベース板103aの−X側の部分の一部のエッジの形状とほぼ左右対称で、その一部のエッジとともに上方から見て略八角形を形成する形状の側壁103jが、突出部103g、103hの+X側に設けられている。
【0041】
一方の側壁103dのほぼ中央部は、内側(+Y側)に突出するように曲折され、これにより内側凸部、すなわち凹部103kが形成されている。また、この側壁103dの+X側の端部は、ベース板103aの一辺(図7における+X側の辺)とほぼ一致しているが、−X側の端部は、ベース板103aの−X側の辺より+X側の位置にある。他方の側壁103cは、凹部103kは形成されていないが、側壁103dと左右対称である。
【0042】
蓋部材102は、ベース部材103のベース板103aと同形状の蓋板102aと、蓋板102aの下面(−Z側の面)の−X側の外縁の一部に設けられた側壁102bとを有している。
【0043】
この蓋部材102の蓋板102aは、ベース部材103に対してヒンジ機構を介して接続され、その一辺(+X側の辺)側の回動軸回りに回動することで、ベース部材103に対して開閉可能な構成となっている。上記ヒンジ機構は、蓋板102aの下面の+X側の辺の近傍にその辺に沿って所定間隔隔てて設けられ、丸穴が形成された舌片状の部材からなる一対の連結部102e、102fと、これに対応してベース部材103のベース板103aの上面に設けられた同様の舌片状の部材からなる一対の連結部103e、103fと、連結部102e,103e相互、連結部102f,103f相互を、連結する一対のピン120とを含んでいる。
【0044】
側壁102bは、蓋部材102が閉じられた状態では、側壁103cと側壁103dとの間に嵌まり込み、これらの側壁103c,103dとともに、ベース板103aの+X側の辺を除く、外縁を取り囲む一連の側壁を構成する形状を有している。
【0045】
ホルダ112は、図7及び図9を総合するとわかるように、八角形状で、上下方向に積層された複数枚のポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート部材110i(i=1〜n)を有している。なお、説明の便宜上ここではn=5であるものとする。シート部材1101〜1105は、図9に示されるように、+X側の辺がフレキシブルな接続部材114を介して相互に接続されている。このため、シート部材1101〜1105それぞれは、その一辺(+X側の辺)を回動中心として回動(開閉)可能になっている。
【0046】
このようにして構成されたホルダ112は、図7に示されるように、シート部材1101〜1105それぞれの+X側の端部にY軸方向に沿って所定間隔隔てて形成されたX軸方向に細長い一対の長孔に、前述のベース部材103の突出部103g、103hが挿入された状態で、側壁103c、103d及び103jで囲まれた平面視八角形の領域の内部に収容されている。そして、ホルダ112には、4枚の光ディスク901,902,903,904が、図9に示されるように、シート部材1101〜1105のうち、隣接するシート部材の相互間1101,1102、1102,1103、1103,1104、1104,1105にそれぞれ挟持された状態で収容されている。
【0047】
図7に戻り、上記各シート部材1101、1102、1103、1104、1105の−X側の端部には、相互に重ならない異なる位置に等間隔で配置されるタグTG1、TG2、TG3、TG4、TG5がそれぞれ設けられている。これらのタグTG1、TG2、TG3、TG4、TG5は、図8に示されるように、ベース板103aに形成された前述の矩形状の切欠S1、S2、S3、S4、S5にそれぞれ重なるように、XY面内の位置が規定されている。
【0048】
ディスク選択システム40は、図1に示されるように、ディスクカートリッジ100の−X側に配置され、ホルダ開閉装置50及びクランプ装置60を含んでいる。
【0049】
ホルダ開閉装置50は、図10に示されるように、ハウジング12の内部底面上にY軸方向に所定間隔隔てて不図示の支持部材を介して固定された一対の支持部材55A,55B、該支持部材55A,55Bによってベース板103aとほぼ同じ高さになるように長手方向(Y軸方向)の一端と他端をそれぞれ回転自在に支持された断面円形の棒状部材からなるガイド棒53、ガイド棒53の外周に螺合されたスライダ54、スライダ54の外周に該スライダ54に対してそれぞれ回動可能に接続された第1アーム51及び第2アーム52などを含んでいる。
【0050】
ガイド棒53は、制御装置11によって制御される不図示の駆動装置により、支持部材55A,55Bに対して回転され、これによりスライダ54がY軸方向に移動する。すなわち、ガイド棒53に形成された雄螺子とスライダ54に形成された雌螺子とを含んで送りねじ機構が構成されている。
【0051】
第1アーム51は、その長手方向をX軸方向とし、−X側端がスライダ54に対して回動可能に接続されている。この第1アーム51の−X側端部には回転ローラ51aが回転自在に装着されている。
【0052】
第2アーム52は、図10及び図8を総合するとわかるように、ディスクカートリッジ100のベース部材103に形成された切欠S1、S2、S3、S4、S5のY軸方向の幅より十分に薄い楔形状の板状部材から構成されている。そして、この第2アーム52は、第1アーム51の−Y側に、タグTG1、TG2、TG3、TG4、TG5の配列間隔と同一の間隔だけ隔てて、スライダ54に対して回動可能にその長手方向の一端部近傍が接続されている。この第2アーム52は、制御装置11により、不図示の駆動機構を介してスライダ54に対して起伏回動される。
【0053】
クランプ装置60は、図10に示されるように、クランプアーム61、クランプアーム61を駆動するクランプアーム駆動機構68、及びガイド板64などを含んでいる。
【0054】
クランプアーム61は、ほぼX軸方向を長手方向とするアーム部材61bと、一対の対向面が形成された側面視U字状のクランプ部材61aとを含み、アーム部材61bの+X側の端部には、クランプ部材61aが一対の対向面がXY平面に平行となるように、かつY軸に平行な軸60dを中心に回動可能に接続されている。そして、−X側の端部には長手方向をX軸方向とする丸孔が形成されている。さらに、アーム部材61bは、図11に示されるように、−Y方向に突出する円柱状の突出部61cを有している。
【0055】
図10に戻り、ガイド板64は不図示の支持部材を介してハウジング12の内部底面に固定されている。このガイド板64には、図11に示されるように、アーム部材61bの突起部61cが挿入されたV字状(くの字状)の案内孔64aが形成されている。
【0056】
クランプアーム駆動機構68は、+Y方向に突出し、前述の丸孔に挿入された駆動レバー68aと、駆動レバー68aをX軸方向に駆動する不図示のモータなどを含んでいる。
【0057】
上記のように構成されたクランプ装置60は、図11からわかるように、制御装置11の指示の下、クランプアーム駆動機構68が駆動レバー68aを+X方向又は−X方向へ駆動することにより、+X方向又は−X方向へ駆動されるようになっている。
【0058】
開閉装置70は、図1に示されるように、ディスクカートリッジ100の−Y側に配置されている。この開閉装置70は、図11に示されるように、略V字状(略くの字状)の開閉アーム71と、不図示の駆動機構に接続された駆動レバー72aを含んでいる。
【0059】
開閉アーム71の+X側の端部のY側の面には、円柱状の係止部71cが形成され、ほぼ中央の部分には長孔71aが形成されている。そして、開閉アーム71の−X側の端部は、Y軸に平行な軸71bを中心に回動可能な状態で、不図示の支持部材を介してハウジング12に取り付けられている。
【0060】
主制御装置11は、不図示の駆動装置を介してレバー72aを+X方向へ駆動することにより、開閉アーム71の端部に形成された係止部71cを、ディスクカートリッジ100のベース103の−Y側側面に形成された凹部103k内で蓋部材102の下面に当接するまで回動し、更に、レバー72aを+X方向へ駆動することにより、図11に仮想線で示されるように蓋部材102をベース103に対し開放することができるようになっている。また、この状態からレバー72aを−X方向駆動することにより、蓋部材102をベース103に対し閉鎖することができるようになっている。
【0061】
図12には、光ディスク装置10の全体構成がブロック図にて示されている。この図12に示される制御装置11は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)などからなるいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含み、ROMには、光ディスク装置10を構成する各機器を制御するためのプログラムなどが格納され、CPUはROMに格納されたプログラムを読み込んで各機器を制御することにより、装置全体を統括的に制御する。
【0062】
次に、上述のようにして構成された光ディスク装置10におけるディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間の光ディスク90の搬送処理について、図13(A)〜図14(C)を参照しつつ説明する。
【0063】
前提として、ディスクカートリッジ100には、図9に示されるように、4枚の光ディスク901、902、903、904が収納された状態で保持装置80にセットされているものとし、ディスク回転装置20には光ディスク901、902、903、904、が装着されていないものとする。また、第2旋回アーム300には、図3に示されるように、クランパ340が保持されているものとする。また、本実施形態では、一例として、図9に示されるように、シート部材1102とシート部材1103の間に保持されている光ディスク902を、ディスクカートリッジ100から取り出して、ディスク回転装置20へ搬入するものとする。
【0064】
制御装置11は、まず、ディスクカートリッジ100の蓋部材102を開閉装置70を介して開放し、スライダ54を図13(A)に示されるように、第1アーム51の回転ローラ51aがタグTG2の上方に位置し、第2アーム52の先端がタグTG3の下方に位置するまで移動する。
【0065】
次に、制御装置11は、図13(B)に示されるように、先端がタグTG3の下方にある第2アーム52を回動して、シート部材1103〜1105をシート部材1101、1102と離間し、シート部材1102に保持された光ディスク902を露出させる。
【0066】
次に、制御装置11は、図13(C)に示されるように、クランプアーム61を駆動して、シート部材1103〜1105を上方に押し上げ、光ディスク902の上方に第2旋回アーム300が進入するスペースを確保する。
【0067】
次に、制御装置11は、ディスク搬送装置30のモータ37及び駆動ユニット35を介して第2旋回アーム300を駆動して(以下、単に第2旋回アーム300を駆動するという)、保持されたクランパ340を、図14(A)に示されるように、光ディスク90の上方へ移動し、図中の矢印に示されるように第2旋回アーム300を下降する。これにより、光ディスク90に貼り付けられたディスクハブ90aは、中心の円形開口にクランパ340の突出部345が挿入された状態で吸着部341に吸着される。
【0068】
次に、制御装置11は、第2旋回アーム300を駆動して、図14(B)に示されるように、クランパ340に吸着された光ディスク90を、ディスク回転装置20のディスクチャック22の上方へ搬送する。
【0069】
次に、制御装置11は、保持部材330を−X方向へ摺動させる。これにより、摺動板331に支持されていたクランパ340は、図14(C)に示されるように、ディスクチャック22の上面に落下する。この状態のときには、クランパ340は、ディスクチャック22の上面に形成された円形の凹部に突出部345が嵌合した状態で、ディスクチャック22に磁気吸着している。なお、クランパ340の保持中には、吸着部341からの磁力が保持部材330の摺動板331に作用しているが、保持部材330が−X方向へ摺動した場合には、保持部材330の摺動板331に対する吸着部341からの磁力の影響は無視できるようになり、クランパ340は自重により落下することが可能となる。また、図14(C)では、ディスクチャック22と第2旋回アーム300の間が広く開いている記載となっているが、これは説明の便宜のためであり、実際はクランパ34がディスクチャック22から脱落するのを回避するため、ディスクチャック22と第2旋回アーム300の間隔は近接した配置となる。また、先にクランパ34をディスクチャック22へ嵌合した後に、保持部材330を−X方向へ摺動させてもよい。
【0070】
次に、制御装置11は、第2旋回アーム300を上方へ退避させるとともに、ディスク回転装置20を駆動して光ディスク90に対して、例えば情報の書込み又は読出し等の処理を行う。
【0071】
次に、光ディスク90に対する上記処理が終了すると、制御装置11は、図15(A)に示されるように、アーム本体310に設けられた丸孔313にクランパ340の凸部342が嵌合するまで第2旋回アーム300を下降し、保持部材330を+X方向へ摺動して、クランパ340を保持する。そして、旋回アーム300が上昇されることで、光ディスク90は図15(B)に示されるように、クランパ340に吸着された状態で第2旋回アーム300に保持され、搬送可能な状態となる。
【0072】
次に、制御装置11は、第2旋回アーム300を駆動して、光ディスク90をディスクカートリッジ100のシート部材1102の上方に移動して、保持部材330を−X方向に駆動する。これにより、クランパ340に吸着されたディスクハブ90aは、離間部322aによって下方に押し出されることで、図15(C)に示されるようにクランパ340から離間され、光ディスク90はシート部材1102の上面に載置される。
【0073】
ディスク回転装置20からディスクカートリッジ100への光ディスク90の搬送が終了すると、制御装置11は、上述とは逆の手順でディスクカートリッジ100を閉塞して光ディスク90をディスクカートリッジ100へ収納する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るディスク搬送装置30は、アーム本体310に対し摺動可能に配置された保持部材330により、着脱可能に保持されるクランパ340を備えている。そして、ディスクカートリッジ100からディスク回転装置20へ光ディスク90を搬送する際には、クランパ340に含まれる永久磁石の磁力によりディスクハブ90aを吸着することで光ディスク90を保持する。したがって、光ディスク90を保持するにあたり、電力等のエネルギーが消費されることがなく、光ディスク90の搬送効率を向上することが可能となる。特に、光ディスク90の搬送距離や搬送時間が長い場合、又は搬送途中で光ディスク90を保持したまま待機する場合などには、例えば電磁石を用いて光ディスク90を吸着する場合に比較して、大幅に消費電力量を低減することが可能となる。
【0075】
また、光ディスク90をディスク回転装置20に装着する際には、保持部材330をクランパ340の磁力の向きと直行する−X方向へ摺動することで、アーム本体310からクランパ340を解放すればよい。したがって、保持部材330の駆動に大きな駆動力を必要とせず、駆動機構350での消費電力を低減することが可能となる。また、摺動板331とクランパ340とは機械的に係合するので、不慮の衝撃でクランパ340がアーム本体310から脱落することがない。
【0076】
また、光ディスク90をディスクカートリッジ100へ収容する際には、保持部材330をクランパ340の磁力の向きと直行する+X方向へ摺動することで、クランパ340からディスクハブ90aを離間すればよい。したがって、保持部材330の駆動に大きな駆動力を必要とせず、駆動機構350での消費電力を低減することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係るディスク搬送装置30では、摺動板331の素材を磁石が吸着する例えばフェライト系ステンレス鋼板としたが、これに限らず、磁石が吸着しない材料を用いてもよい。この場合にも、クランパ340のフック部344は保持部材330の摺動板331に係止可能となるので、上述した搬送動作を行うことが可能となる。
【0078】
なお、本実施形態の第2旋回アーム300ではクランパ340を保持する保持部材330を摺動させることとしたが、これに限らず、例えばディスクハブ90aを磁気吸着可能な磁石ユニットMGを摺動させることにより、光ディスク90の保持及び解放を行ってもよい。以下、図16(A)及び図16(B)を参照しつつ、第2旋回アーム300の変形例に係る第2旋回アーム300’について説明する。なお、第2旋回アーム300と同一又は同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略し又は簡略するものとする。
【0079】
《変形例》
図16(A)及び図16(B)に示されるように、第2旋回アーム300’は長手方向をX軸方向とし、+X側端部下面に下方に突出する突出部310aが形成された長方形板状のアーム本体310’を有している。そして、アーム本体310’の上面には、駆動機構350が駆動されることにより、駆動シャフト351を介してX軸方向に移動される磁石ユニットMGが配置されている。
【0080】
この第2旋回アーム300’は、磁石ユニットMGをアーム本体310’の突出部310aの上方に移動することで、光ディスク90に貼り付けられたディスクハブ90aを、図16(A)に示されるように、その円形開口に突出部310aが挿入された状態で吸着保持することができるようになっている。また、図16(A)に示される状態から、磁石ユニットMGを図16(B)に示される位置まで移動させて、吸着保持されていたディスクハブ90aを解放することにより、光ディスク90を解放することができるようになっている。
【0081】
上述した第2旋回アーム300’を第2旋回アーム300に代えて用いても、ディスク搬送装置30は、ディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間を搬送することが可能となる。この場合にも、光ディスク90を保持するにあたり、電力等のエネルギーが消費されることがなく、光ディスク90の搬送効率を向上することが可能となる。同様に、光ディスク90の搬送距離や搬送時間が長い場合や、搬送途中で光ディスク90を保持したまま待機する場合などには、例えば電磁石を用いて光ディスク90を吸着する場合に比較して、大幅に消費電力量を低減することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態に係る光ディスク装置10では、ディスク搬送装置30を備えている。したがって、ディスクカートリッジ100とディスク回転装置20との間の搬送にかかる消費電力を低減することができ、装置の稼動効率を向上することが可能となる。
【0083】
また、上記実施形態で用いられる光ディスク90は、可撓性を有していればよく、DVD(digital versatile disc)、CD(compact-disc)、あるいは約405nmの波長の光に対応した次世代の情報記録媒体など、任意の波長に対応する光ディスクを用いることができる。
【0084】
なお、ディスク搬送装置30は、本実施形態に用いた構造のものに限定されることはなく、例えば、第1旋回アーム34と、第2旋回アーム300をそれぞれの駆動機構により駆動するのではなくて、第1旋回アーム34と第2旋回アーム300を遊星ギア機構によりリンクして、各旋回アームを1つの駆動機構により駆動することとしてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、光ディスク90のディスクハブ90aにフェライト系ステンレス鋼を用いることとしたが、これに限らず、他の磁性材料からなる金属板や磁性材料が添加された磁性シートを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明のディスク搬送装置は、光ディスクを搬送するのに適しており、本発明の光ディスク装置は光ディスクに対し情報の記録、再生、及び消去を行うのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置10の概略的な構成を示す図である。
【図2】光ディスク装置10を構成するディスク回転装置20及びディスク搬送装置30を説明するための側面図である。
【図3】第2旋回アーム300の斜視図である。
【図4】第2旋回アーム300の展開斜視図である。
【図5】第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その1)である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その1、その2)である。
【図7】ディスクカートリッジ100の展開斜視図である。
【図8】ディスクカートリッジ100に設けられたスリットS1〜S5を示す図である。
【図9】ディスクカートリッジ100の断面図である。
【図10】ホルダ開閉装置50、及びクランプ装置60を示す斜視図である。
【図11】開閉装置70を示す図である。
【図12】図1における光ディスク装置10の制御系のブロック図である。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、ディスクカートリッジ100を開閉する動作を説明するための図(その1〜3)である。
【図14】図14(A)〜図14(C)は、第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その1〜3)である。
【図15】図15(A)〜図15(C)は、第2旋回アーム300の動作を説明するための図(その4〜6)である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、第2旋回アーム300の変形例に係る第2旋回アーム300’の構成及び動作を説明するための図(その1、その2)である。
【符号の説明】
【0088】
10…光ディスク装置、11…制御装置、12…本体(ハウジング)、14…支持板、20…ディスク回転装置、21…モータ、21a…回転軸、22…ディスクチャック、24…安定化板、25…ピックアップ駆動装置、26…光ピックアップ装置、30…ディスク搬送装置、32…ジョイント機構、32a…軸、33…軸、33a…可動部材、33b…固定部材、34…第1旋回アーム、36…回転軸、37…モータ、40…ディスク選択システム、50…ホルダ開閉装置、51…第1アーム、51a…回転ローラ、52…第2アーム、53…ガイド棒、54…スライダ、55A,55B…支持部材、60…クランプ装置、61…クランプアーム、61a…クランプ部材、61b…アーム部材、61c…突出部、60d…軸、64…ガイド板、64a…案内孔、68…クランプアーム駆動機構、68a…駆動レバー、70…開閉装置、71…開閉アーム、71a…長孔、71b…軸、71c…係止部、72a…駆動レバー、90…光ディスク、90a…ディスクハブ、90b…開口、100…ディスクカートリッジ、102…蓋部材、102a…蓋板、102b…側壁、102e,102f…連結部、103…ベース部材、103a…ベース板、103c,103d,103j…側壁、103i,103g,103h…突出部、103e,103f…連結部、103k…凹部、110…シート部材、112…ホルダ、114…接続部材、120…ピン、300,300’…第2旋回アーム、310,310’…アーム本体、310a…突出部、311…ベース部、312…フレーム部、313…丸孔、314…案内孔、315…丸孔、320…離間部材、321…連結部、322…回動部、322a…離間部、323…摺動孔、323a…第1摺動孔、323b…第2摺動孔、324…回転軸、330…保持部材、331…摺動板、331a…切欠、332…支持部材、332a…摺動軸、340…クランパ、341…吸着部、342…凸部、343…連結軸、344…フック部、345…突出部、350…駆動機構、351…駆動シャフト、TG…タグ、S1〜S5…切欠。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、
前記プレートを吸着する永久磁石を含む吸着部材と;
前記吸着部材を着脱可能に保持する保持機構と;を備えるディスク搬送装置。
【請求項2】
前記保持機構に保持された前記吸着部材から、前記プレートを離間する離間機構を更に備える請求項1に記載のディスク搬送装置。
【請求項3】
前記保持機構は、前記吸着部材に係合する係合部材と、前記係合部材を、前記吸着部材に係合する位置と、前記吸着部材に係合しない位置との間で往復駆動する駆動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク搬送装置。
【請求項4】
中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、
前記光ディスクに設けられたプレートの位置を規定する規定部材と;
前記プレートを、前記規定部材の一部を介して吸着する永久磁石を含む吸着部材と;
前記吸着部材を、前記プレートに磁力の影響を与えない位置と、前記プレートに磁力の影響を与える位置との間で往復移動する移動機構と;を備えるディスク搬送装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記吸着部材を前記磁力の向きと直行する方向へ移動することを特徴とする請求項4に記載のディスク搬送装置。
【請求項6】
磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクを収容するディスクカートリッジと;
前記光ディスクを回転し、該回転する光ディスクに対し情報の記録及び再生のうちのいずれかを行うディスク機構と;
前記ディスクカートリッジと前記ディスク機構との間で、前記光ディスクの搬送を行う請求項1〜5のいずれか一項に記載のディスク搬送装置と;を備えるディスク装置。
【請求項1】
中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、
前記プレートを吸着する永久磁石を含む吸着部材と;
前記吸着部材を着脱可能に保持する保持機構と;を備えるディスク搬送装置。
【請求項2】
前記保持機構に保持された前記吸着部材から、前記プレートを離間する離間機構を更に備える請求項1に記載のディスク搬送装置。
【請求項3】
前記保持機構は、前記吸着部材に係合する係合部材と、前記係合部材を、前記吸着部材に係合する位置と、前記吸着部材に係合しない位置との間で往復駆動する駆動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク搬送装置。
【請求項4】
中心に磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクの搬送を行うディスク搬送装置であって、
前記光ディスクに設けられたプレートの位置を規定する規定部材と;
前記プレートを、前記規定部材の一部を介して吸着する永久磁石を含む吸着部材と;
前記吸着部材を、前記プレートに磁力の影響を与えない位置と、前記プレートに磁力の影響を与える位置との間で往復移動する移動機構と;を備えるディスク搬送装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記吸着部材を前記磁力の向きと直行する方向へ移動することを特徴とする請求項4に記載のディスク搬送装置。
【請求項6】
磁石に吸着するプレートが設けられた光ディスクを収容するディスクカートリッジと;
前記光ディスクを回転し、該回転する光ディスクに対し情報の記録及び再生のうちのいずれかを行うディスク機構と;
前記ディスクカートリッジと前記ディスク機構との間で、前記光ディスクの搬送を行う請求項1〜5のいずれか一項に記載のディスク搬送装置と;を備えるディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−102993(P2008−102993A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283028(P2006−283028)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]