説明

ディスク搬送装置

【課題】装置本体から一定量排出した状態のディスクを防塵シートが保持する機能を果たすと共に、ディスクの記録再生に影響を及ぼすディスク外周近傍に発生する傷や汚れの発生を防ぐことができる。
【解決手段】ディスク100を挿入/排出するために筐体に開口されたディスク挿入口1aを塞ぐと共に前記ディスクを挿通するためのスリット3fを有する弾性材により構成された防塵シート3aと、挿入されたディスク100の外周部に接触するローラ6a〜6dによってディスク100を保持し、そのローラに駆動力を伝達してディスクを搬送するように構成し、前記防塵シート3aのスリット3f〜3jは、長さをディスクの径より長く形成し、その中央部近傍を前記ディスクの搬送軌道とほぼ一致させると共に、当該スリットの少なくとも一方の端部側3g,3hを中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置において、特に、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサトルディスク)等のディスク状の記録媒体(以下、ディスクという)を、トレイを用いずにディスク装置内にローディングするスロットイン方式のローディング機構を備えるディスク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなスロットイン方式のローディング機構を備えるディスク搬送装置は、トレイを用いずにディスク装置内にディスクをローディングする機構として、ディスク装置の筐体内に挿入されたディスクを直接ゴムローラで弾性的に挟持し、その状態でゴムローラを回転させることによりディスクを搬入してその全体を筐体内に引き込み、ディスク記録再生位置に装着する機構である。このようにディスクを挟持して搬送するため、装置の姿勢にとらわれずディスクをローディングできるため、縦置きやレイアウトフリーの商品に最適なローディング機構である。
【0003】
このスロットイン方式のローディング機構においては、ディスクを搬送するためのゴムローラは通常ディスクの記録面が傷付きにくいように、ディスクの外周縁部付近に接触してディスクを搬送する方式が採用されている。その方式には、大別すると2つの方式がある。一つは、ディスクの両面を長尺のローラによって挟持しながら搬送するもので、そのローラは、長手方向において外側の外径が大きく、中央の外径が小さくなるように傾斜したゴムローラにより構成し、両面を挟持する形態でありながら、ローラに接触するディスクの部位を外周縁近傍のみとするようにしたものであり、従来から広く利用されてきた(例えば特許文献1参照)。もう一つは、ディスクの外周縁部をガイドするローラによって、当該ディスクをディスクの径方向に挟み込み、ローラを回転させることにより、ディスク自体を回転させながら搬送する構成で、ローラはディスクの周縁部のみに接触する構成である(例えば特許文献2参照)。
【0004】
このようなスロットインローディング機構を備えるディスク搬送装置においては、筐体に設けられた挿入口にディスクを直接挿入し、このディスク挿入を検知し、その検知によってゴムローラを回転させ、さらにディスクを挿入してその回転したゴムローラにディスクを当接させて搬入することで、ディスクのローディングを開始する。この挿入口は使用者が使いやすいように、一般的にディスクが装置内に有るとき以外は、常にディスクが挿入可能な状態であるのが一般的である。そのため、挿入口からのゴミ等の進入を防ぐため防塵シートが設けられている。防塵シートは弾性的な材料が使用されており、ディスクが挿入可能なようにディスク径より若干大きいスリットが形成されている。すなわち、通常はこの防塵シートにより挿入口は塞がれているが、ディスクがスリットから挿入される際は、ディスクに押されて防塵シートが弾性的に変形してディスクの挿入が可能な状態となり、ディスクが通過した後は弾性的にもとの状態に復帰するように形成されている。
【0005】
この防塵シートに着目すると、以下のような課題がある。すなわち、防塵シートはディスクと接触するため、防塵シートやディスクに付着したゴミでディスクを傷つけないよう、防塵シートの弾性力を小さくする必要があるが、逆に弾性力が小さすぎて十分に復帰せず防塵が十分に果たせないという不具合がある。また、縦置きで使用する商品の場合、排出したディスクを保持するという機能を防塵シートに期待するため、弾性力を小さくしすぎるとその機能を果たすことができなくなるという不具合も発生していた。
【0006】
このような防塵シートの構成に関し、その防塵機能を維持しながら、弾性力の調整、保持力の調整やディスクの記録面への傷付き防止等に関し、以下のように従来から種々の提案がなされている。
【0007】
まず、特許文献3には、筐体の一端面に開口したディスク挿入口が設けられ、ディスク挿入口を遮蔽するよう開口部分よりも大きい防塵シートを備えたディスクドライブ装置において、防塵シートが前記ディスク挿入口の前記開口部分に対向する領域以外の位置に切欠部が形成され、この切欠部の密度、面積を変えることで、防塵シートの弾性力を調節することを特徴とするディスクドライブ装置の防塵機構が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、ディスクを挿入/排出する開口部に設けられた防塵シートに、ディスクによって変位される際、変位が容易になるようにするためのスリット(変位部)を形成することで弾性力を調整することを特徴とするディスク装置が開示されている。
【0009】
また、特許文献5には、ディスクが装置の内部に出入するゲートを有したディスク装置において、前記ゲートに、一条のスリットと複数の交差スリットが形成された弾性を有する第1フェルトと、第1フェルトよりも弱い弾性を有し少なくとも一条のスリットが形成され第1フェルトの背面に固着された第2フェルトとを備えることでより防塵性を高めると共に、ディスクの保持力を調整することが可能なスロットイン方式のディスク装置におけるゲート構造が開示されている。
【0010】
また、特許文献6には、防塵シートの切り込みが挿入されるディスクの信号記録面から中央部が離れる方向に曲がった形状に形成し、シートでディスクの記録面を傷つける恐れのないディスク挿入口構造とすることを特徴とするディスク装置のディスク挿入口構造が開示されている。
【0011】
ここで、前述した2つのスロットイン方式のローディング機構について、防塵シートの構成との関連で、それぞれの課題について説明する。
【0012】
まず、ディスク面方向にディスクを挟んで搬送するスロットインローディング機構の場合、傾斜したゴムローラでディスクの端面を挟むように配慮されているが、傾斜が緩やかであることとゴムが変形することで、ゴムローラがディスクの記録されている部分に接触してしまう。防塵シートはディスクと弾性的に接触するのでディスクに傷を付け難い柔らかい繊維を原材料とするフェルト等で形成されているが、繊維状であるためゴミが付き易く、そのゴミがローディングの際にディスクに転移する。このディスクに転移したゴミをゴムローラでディスクに押し付けるため、ディスクに傷を付けてしまう不具合があった。ゴムローラはディスクの外周近傍で接触するため、防塵シートの端部付近に付着しているゴミのディスクへの転移がディスクの傷の要因となっている。近年のディスクは外周部分にも管理情報を記録している場合があり、この部分が傷付くと記録・再生ができない状態になることがある。
【0013】
この防塵シートに付着したゴミの転移によるディスクの傷付きは特許文献3〜5における構成を用いて防塵シートの弾性力を調整しても、ゴミのディスクへの転移は発生するため解決することができない。また、特許文献6に記載のように防塵シートを構成するとディスクへのゴミの転移は防ぐことはできるが、この構成の防塵シートにはディスクを保持する機能は全く期待することができないと共に、排出したディスクを防塵シートで記録面側に傾けてしまうという不具合があった。
【0014】
次に、ディスクの外周縁部をガイドするローラによって、当該ディスクをディスクの径方向に挟み込み、ローラを回転させることにより、ディスク自体を回転させながら搬送するスロットインローディング機構の場合、ゴムローラはディスクと接触する面積が小さいために搬送力が得難く、面圧が高くなるため磨耗しやすい。そこで使用されるゴムローラはグリップ力が得られるエチレンプロピレンジエン(以降EPDMと記載する)ゴム等にカーボンブラックを混入して耐久性をあげた材料が一般的に使用されている。しかしながら、耐久性があってもまったく削れないわけではなく、硬質なポリカーカーボネート製のディスクの外周エッジと接触することで、ゴムローラは削れてディスク外周端面近傍に付着する。この段階では性能には問題ないが削り取られたゴムのカスは防塵シートを通過する際に防塵シートに転移してしまう。ゴムローラはディスクの外周縁部に接触しているため、ゴムのカスはゴムローラが接触した外周部分が通過する防塵シートの端部近傍に広がって転移する。このゴムローラのカスの付いた防塵シートを再度ディスクが通過すると、ゴムローラのカスはディスクに転移する。このときゴムローラのカスは、ディスクの外周端面だけでなく外周近傍の記録面にも接触するため、ディスク外周近傍の記録面に広がって記録面を曇らせるように付着する。このゴムローラのカスは小さな粒状の場合が多く、この粒はカーボンブラックがEPDMでディスクに粘着した状態の粒である。そのため、アルコール等の一般的な溶剤で溶かして落とすことが難しく、無理に擦ってしまうと、逆に大きな傷を付けてしまう。
【0015】
特に、ゴムローラの駆動が片側であった場合、ディスクは回転しながら搬送され、ディスクのピットに沿って汚れが付着するため、より記録再生性能が劣化する。また、ゴムローラはディスクの外周縁の端面で接触するため、ディスク記録面の汚れはディスク外周近傍に多く発生する。近年のディスクは外周部分にも管理情報を記録している場合があり、この部分が傷付くと再生ができない状態になることがある。
【0016】
また、このディスクの外周縁部をディスクの径方向に押圧して挟み込みディスクを搬送するスロットインローディング機構の場合は、ディスクの外周縁部を両側のローラで挟持しながら保持しているため、ディスクの排出量を増やすとディスクの保持が困難になり、防塵シートの弾性力を利用してディスク保持する必要が生じる。そこで、特許文献5に記載されたような構成を採用するか、または防塵シートの素材の厚みを厚くするといった手法で、防塵シートによるディスク保持力を上げる必要が出てくる。しかしながら、ディスクの保持力を上げることは防塵シートのディスクに対する押圧力を上げることであり、よりゴムローラのカスを強くディスクに押し付けることになる。よって、より強く多くのカスがディスクについてしまう不具合が発生していた。
【0017】
すなわち、ディスクの外周縁部をディスクの径方向に押圧して挟み込みディスクを搬送するスロットインローディング機構の場合でも、防塵シートに付着したゴムローラのカスの転移によるディスクの汚れは、特許文献3〜5における構成を用いて防塵シートの弾性力を調整しても、ゴミのディスクへの転移は発生するため解決することは容易でない。また、特許文献6に記載のように防塵シートを構成するとディスクへのゴミの転移は防ぐことはできるが、ディスクを保持する機能は全く期待することができないと共に、排出したディスクを防塵シートで記録面側に傾けてしまうという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平07−50057号公報
【特許文献2】特開2009−64518号公報
【特許文献3】特開2003−249068号公報
【特許文献4】特開2000−113659号公報
【特許文献5】特開2005−285266号公報
【特許文献6】特開2003−317353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以上ように、従来におけるスロットイン方式のディスク搬送装置では、いずれの方式においても、ディスクを安定して保持しつつ、特にディスク外周縁部近傍において防塵シートに付着したゴミに対してディスクの傷や汚れを防止することはできないという問題があった。
【0020】
そこで、本発明は、上記の問題を解決し、ディスク外周縁部を保持してディスクを搬送するディスク搬送装置にあって、装置本体から一定量排出した状態のディスクを防塵シートが保持する機能を果たすと共に、ディスクの記録再生に影響を及ぼすディスク外周近傍に発生する傷や汚れの発生を防ぐディスク搬送装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明のディスク搬送装置は、ディスクを直接挿入して再生可能な位置に搬送するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、ディスクを挿入/排出するために筐体に開口されたディスク挿入口と、前記ディスク挿入口を塞ぐと共に前記ディスクを挿通するためのスリットを有する弾性材により構成された防塵シートと、挿入されたディスクの外周部に接触するローラによって当該ディスクを保持し、そのローラに駆動力を伝達してディスクを搬送する搬送手段と、前記ローラに駆動力を伝達する駆動手段とを備え、前記防塵シートのスリットは、長さをディスクの径より長く形成し、その中央部近傍を前記ディスクの搬送軌道とほぼ一致させると共に、当該スリットの少なくとも一方の端部側を中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成した構成とした。
【0022】
これにより、防塵シートの中央部付近で装置本体から一定量排出した状態のディスクを防塵シートが保持する機能を果たすと共に、ディスクの端部側において防塵シートをディスクの記録面側に接触しない又は接触圧力が小さい構成としたことにより、ディスクの外周近傍で発生した付着カスが防塵シートに転移するのを軽減し、また、防塵シートに付いたゴミで記録面を引きずる恐れがなく、ディスクの記録再生に影響を及ぼすディスク外周近傍に発生する傷や汚れの発生を防止できるディスク搬送装置が得られる。
【発明の効果】
【0023】
上記の構成によれば、装置本体から一定量排出した状態のディスクを防塵シートが保持する機能を果たすと共に、ディスクの記録再生に影響を及ぼすディスク外周近傍に発生する傷や汚れの発生を防ぐディスク搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1にかかるディスク搬送装置のディスク装置本体とこれに挿入されるディスクを示す外観斜視図
【図2】同ディスク装置全体を構成する部品を一部ユニット化して示す分解斜視図
【図3】同防塵カバーの正面図
【図4】(a)同防塵カバーの中央付近の構造を示す断面図、(b)同防塵カバーの端部付近の構造を示す断面図
【図5】同両筐体を取り除いた状態におけるディスクを挿入直後の側面図
【図6】同状態におけるディスク搬入の搬送途中段階の側面図
【図7】同状態におけるディスク排出の搬送途中段階の側面図
【図8】同状態におけるディスク排出完了段階の側面図
【図9】同ローラアームとリンクアームの上面図
【図10】(a)同ローラベースとリンクアームを含むローラアームが閉じた状態の下面図、(b)同ローラアームが開いた状態の下面図
【図11】同ローラにと当接するディスクの説明図
【図12】同防塵カバー3の端部付近の構造を示す断面図
【図13】同ディスクを挿入した際の端近傍の断面図
【図14】同ディスクを排出した際の中央付近の断面図
【図15】同ディスクを排出した際の端近傍の断面図
【図16】実施の形態2にかかるディスク搬送装置の防塵カバーの正面図
【図17】実施の形態3にかかるディスク搬送装置のローラ部分の断面図
【図18】(a)同ローラに挟持されたディスクを搬送する状態を示す断面図、(b)同ローラに挟持されたディスクを更に搬送した状態を示す断面図
【図19】実施の形態4にかかるディスク搬送装置の同両筐体を取り除いた状態におけるディスク排出完了段階の側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明のディスク搬送装置の実施の形態1について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のディスク搬送装置を有するディスク装置本体とこれに挿入されるディスクを示す外観斜視図、図2はディスク装置全体を構成する部品を一部ユニット化して示す分解斜視図である。ここで、図1では縦型配置された例を示し、図2では水平(横)配置の分解斜視図としたが、当該装置自体は縦・横配置のどちらにも対応できるものであり、以下は、便宜上、「左右」、「上下」や「昇降」等の表現で説明する。
【0026】
図1において、1は装置本体を構成する上カバーとしての第1の筐体、2は同下カバーとしての第2の筐体であり、両筐体1,2で構成される装置本体の正面にディスク挿入用開口部1aを設け、その開口部1aは防塵カバー3により塞がれる構成となっている。そして、この防塵カバー3は、フェルト等の弾性材シートにより構成され、後述するようにディスク100を挿入し通過させるためのスリットが形成されている。
【0027】
図1に示すように、開口部1aにおいて、防塵カバー3を弾性変形させながらディスク100を直接挿入することにより、このディスク100は、内部に構成されたディスク搬送装置の作用で、記録再生可能な所定の位置まで搬送される。ここで、図示するディスク100は、大径ディスクである12cmディスクを示している。
【0028】
図2に示すように、ディスク装置全体としては、前述した筐体1,2の内部に有するディスク搬送装置と関連する機構部品が構成されている。開口部1aの防塵カバー3の装置内側に対向する位置には、ディスク100の上側をガイドする上ガイド4と下側をガイドするローラベース5のガイド部5aが設けられている。ローラベース5は、挿入されたディスク100を装置内部に搬送するガイド及び駆動力伝達手段となるゴムローラ6a〜6dを有する一対のローラアーム7a、7bを、回動自在に保持している。右側の一対のゴムローラ6a、6bはローラアーム7aに回動自在に設けられており、左側の一対のゴムローラ6c、6dはローラアーム7bに固定されている。そして、回動自在なゴムローラ6a、6bに一体に設けたローラギア6e、6fに対し、ローラアーム7aに設けたギア8a〜8cよりなるギア列8を介して、駆動源のモータ9の駆動力が伝達される。その駆動力は、モータ9の駆動力をウォームギア9a及びギア10a〜10eよりなるギア列10を介し、ギア10aからギア8cに伝達され、かつその伝達はクラッチプレート11の回動によりギア10bと10cの噛み合いが切り離されることにより切り換えられるようになっている。その際、モータ9の駆動力は、ギア10dから10fのみへの伝達となり、後述するスライドカム16を駆動するようになっている。このような搬送装置は、メカシャーシ12に、必要に応じて回動自在に保持構成されている。
【0029】
また、図2に示すように、ディスク装置は、ディスクを載置するターンテーブルを一体に構成するスピンドルモータ13と光ピックアップ14を有して、ディスクのデータを記録再生するトラバース15を備えている。また、このトラバース15をアップダウンするために、メカシャーシ9の右側に摺動自在に設けられたスライドカム16はメカシャーシ9の下部に回動自在に支持されたリンクアーム17を介して、メカシャーシ9の左側に摺動自在に設けられたスライドカム18と連結されており、スライドカム16とスライドカム18が同期して摺動するように構成されている。このスライドカム16、18には、メカシャーシ9に回動自在に設けられた中間シャーシ19と係合する昇降カムが設けられており、スライドカム16、18がスライドすることにより、中間シャーシ19を上下方向に回動する構成となっている。
【0030】
そして、中間シャーシ19の前方にはトラバース15がフローティングゴム20a、20bを介して、左右それぞれ1ヶ所固定されており、また、トラバース15の後部はフローティングゴム20c、20dを介してメカシャーシ9に固定されている。この構成により、スライドカム16、18による中間シャーシ19の上下方向の回動動作に伴い、トラバース15は回動動作を行い、それに伴ってスピンドルモータ13部分がアップダウン動作を行えるようになっている。
【0031】
また、スピンドルモータ13と対向する上部には、ディスク100をスピンドルモータ13にクランプするクランパ21が設けられている。スピンドルモータ13にはマグネットが設けられており、クランパ21に設けられた鉄製のヨーク21aにより、クランパ21がスピンドルモータ13に磁力により引っ張られてディスク100を挟み込むように構成されている。クランパ21は、トラバース15の上部を覆うように形成されたアッパーベース22の開口部22aよりスピンドルモータ13に対向して装着/離脱されるように設けられており、左右のクランパリフタ23a,23bの移動によりその装着/離脱が行われるようになっている。
【0032】
アッパーベース22には、ディスク100(及び小径ディスクである8cmディスク)のセンタリングを行うセンタリング部材24と、ディスクの搬送を検出しトラバース15のアップダウン動作へ切り換えるためのトリガーレバー25が、摺動・回動自在に設けられている。また、アッパーベース22には、挿入されたディスク100(及び小径ディスクである8cmディスク)を、スピンドルモータ13とクランパ21の間に高さを安定して保持するためのガイドレバー26が、回動自在に保持されている。ここで、アッパーベース22はメカシャーシ9に固定されており、メカシャーシ9は両筐体1,2に挟み込まれて固定されている。
【0033】
また、図2において、27aはディスク挿入用開口部1aにディスク100を挿入したローディング開始時にこれを検出する検出スイッチ、27bはディスクの排出時にローディング終了を検出する検出スイッチであり、ローラアーム7bと対向する位置の基板27上に設けられている。28aと28bはローラベース5に回動自在に設けられたリンクアームであり、この両者によりローラアーム7a、7bは同期して回動するようにローラベース5に設けられている。
【0034】
以上、図2に基づいて、ディスク装置の全体構成について説明したが、以下に、特に搬送装置部分の構成について詳細に説明する。
【0035】
まず、図3及び図4(a)(b)に基づいて防塵カバー3の詳細について説明する。ここで、図3は防塵カバー3のスリット3f〜3x及びその構造を示す正面図、図4(a)は防塵カバー3の中央付近の構造を示す断面図、同図(b)は防塵カバー3の端部付近の構造を示す断面図である。
【0036】
防塵カバー3は、上カバー1の開口部1aの開口を塞ぐように設けられ、弾性的に変形してディスク100の挿入/排出が可能かつ防塵を行うスリット3f〜3nを有する防塵シートとしてのフェルト3aと、防塵カバー3のコシをもたせると同時に排出ディスクの保持力をアップさせるために設けられた開口部3bを有する補強シート3cと、上カバー1の内側に取り付けるための両面テープ3dと、フェルト3aと補強シート3cを接着する両面テープ3eから構成される。
【0037】
補強シート3cの開口部3bは、上カバー1の開口部1aより小さく、中央部分が大きく、端が小さい太鼓形状をした開口部であり、端の部分の開口幅はディスク100の厚みとフェルト3aの厚みを加えた幅に寸法公差分を加えた程度の幅に設定されている。補強シート3cはこの開口部3bにより、ディスク100の排出の際にフェルト3aの変形を抑えるように設けられている。また、補強シート3cは装置外部から見えるため、その材料は表面を艶消しした黒の樹脂シートが用いられている。ここでは表面を艶消しした黒の樹脂シートを用いたが、フェルト3aと同じ色となるため透明のシートを用いてもよい。
【0038】
両面テープ3dは、上カバー1の開口部1aの開口より外側に設けられており、防塵カバー3の上カバー1への貼付け後、前面から両面テープ3dがはみ出さないように設けられている。また、両面テープ3eは補強シート3cの開口部3bより外側に設けられており、ディスク100挿入時、フェルト3aの変形を阻害しないように設けられている。ここで、両面テープ3d、3eは両面テープに限らず接着剤でも構わない。
【0039】
フェルト3aは、ゴムローラ6a〜6dでガイドされたディスク100の厚み方向における搬送軌道に対応する同じ高さ位置で幅方向に設けられた中央部のスリット3fと、そのディスク搬送軌道の高さ位置よりディスク100の記録面側(すなわち図の下側)にディスク100の最大厚みの半分(ここでは0.75)シフトした高さ位置に設けられた両端部のスリット3g、3hと、スリット3fとスリット3g、3hをなだらかにつなぐスリット3i、3jと、中心からの寸法「A1」離れた両側の位置の設けられた縦スリット3k、3Lと、中心からの寸法「A2」離れた両側の位置に設けられた縦スリット3m、3nが設けられており、このスリット3f〜3nによりフェルト3aが弾性変形してディスク100が通過できるように構成されている。ここで、「A1」及び「A2」の実際の寸法は、「A1」は小径(8cm)ディスクの半径(約4cm)より若干外側位置であり、「A2」が大径(12cm)ディスクの半径(約6cm)より若干外側位置である。この差の寸法「A2−A1」は、後述するゴムローラ6a,6bがディスク100と当接することにより削れ、この削り取られたゴムのカスが付着カス30として残る、ゴムローラ6a,6bが当接するディスク100の外周端面近傍の位置にも相当している。
【0040】
フェルト3aには、更に、補強板3cの開口部3bより外周で、両面テープ3eより内周にあり、縦スリット3kと3Lとの間の位置に、フェルト3の弾性力を調整するためのスリット3o〜3vが、上下各4箇所、開口部3bの縁部に略並行に設けられている。また、同様に補強板3cの開口部3bより外側で、両面テープ3eより内周にあり、縦スリット3k及び3Lよりも左右方向外側で、スリット3g及び3hを設けたディスク100の記録面と反対側の位置に、フェルト3aの弾性力を下げるスリット3w及び3xが、開口部3bの縁部に略並行に設けられている。また、防塵カバー3には上カバー1の図示せぬ位置決めボスと係合するための孔3y及び3zが設けられており、これにより防塵カバー3の装置本体を構成する筐体への位置決めがなされている。
【0041】
次に、図5〜図8に基づいてディスクの搬送について説明するが、この図では、ディスクの搬送状態を示すため、両筐体1,2と、上ガイド4を含むアッパーベース22を除いた状態の側面図であり、これらの図では便宜上、筐体1に構成した防塵カバー3を線描きで表示している。
【0042】
図5は、大径ディスク(12cmディスク)100を挿入した直後の状態であり、この時ディスク100は右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接しており、ローラアーム7bに設けられたディスク検出レバー29(詳細は図9参照)がディスク100によって回動することにより、検出スイッチ27aを作動させることによってディスク100の挿入が検出された状態である。この状態で、検出スイッチ27aの作動によりモータ9が動作を開始し、ギア列10とギア列8を介して、ゴムローラ6a,6bを駆動することになるが、この駆動ローラとしてのゴムローラ6a,6bが矢印イ方向に回動することにより、そのうち一つのゴムローラ6bの回転駆動力及び摩擦力と、もう一方の回動しないゴムローラ6c,6dのうち一つのゴムローラ6dの摩擦力とによって、ゴムローラ6dとの当接部を回動中心として、ディスク100は矢印ロ方向に回動することとなる。
【0043】
ゴムローラ6bの回転駆動力によるゴムローラ6dを中心とする矢印ロ方向への回動により、ディスク100は、矢印A方向に搬送され、この搬送による移動によりゴムローラ6bと6d間はディスク100によって押し広げられるので、閉じる方向に付勢されている一対のローラアーム7a、7bは矢印ハ方向及び矢印ニ方向、すなわち開く方向に回動する。このように、ローラアーム7a、7bが開くことにより、ゴムローラ6a,6cは、一旦、ディスク100の周縁から離れるが、図6に示す状態で共に当接する状態となる。
【0044】
図6はゴムローラ6a,6b,6c及び6dの全てがディスク100と当接した状態であり、図5の挿入した直後のディスク位置100Aから、再生可能な(仮想線で示す)ディスク位置100Cまで搬送される過程で、この図6に示すディスク位置100Bは、ディスク100の回転駆動がゴムローラ6bと6dによる駆動からゴムローラ6aと6cによる駆動に切り換えられる位置である。この位置からディスク位置100Cまでは、今度は、ゴムローラ6aの回転駆動力で、ゴムローラ6cとの当接部の位置を中心として、ディスク100は矢印ロ方向に回動しながら搬送されることになる。
【0045】
また、図5から図6に示すディスク100の搬送においては、図2で示したガイドレバー26によりその厚み方向が保持されながら搬送され、センタリング部材24によって左右方向の位置が決定され、トリガーレバー25によってディスク100の搬送完了位置、すなわちディスク位置100Cが検出される。このディスク位置100Cにおいて、トリガーレバー25の作用により、モータ9による駆動力の伝達が、ディスク100の搬送駆動からスライドカム16,18の駆動に切り換えられる。そして、図2で説明したように、スライドカム16、18がスライドすることにより、中間シャーシ19を上下方向に回動し、トラバース15の回動動作を行い、それに伴ってスピンドルモータ13部分をアップ動作すると共に、クランパ21によりディスク100をクランプことにより、ディスク100を再生可能な状態とすることができる構成となっている。ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0046】
次に、図7及び図8に基づき、ディスク100の排出時について説明する。ディスク100がディスク位置100Cにある状態で、クランプ状態の解除、トラバース15の回動動作によりダウン動作を行い、ディスク100を排出可能な状態とし、ゴムローラ6aと6cによる駆動で排出搬送を開始する。このとき、ゴムローラ6aと6bには、モータ9により挿入搬送時とは逆の駆動力が伝達され、矢印ホ方向の駆動力により、ディスク100を矢印ヘ方向に回動させながら搬送することになる。ディスク位置100Cから図7に実線で示すディスク位置100Bまでは、ゴムローラ6aの回転駆動力で、ゴムローラ6cとの当接部位置を中心として、ディスク100を矢印ヘ方向に回動しながら搬送し、ゴムローラ6a,6b,6c及び6dの全てがディスク100と当接した状態となる。この図7から図8の状態までは同様にゴムローラ6bと6dによる駆動で搬送する。
【0047】
図8は、図5の搬入位置とほぼ同じ位置であるが、図2で説明したディスクの排出時に検出スイッチ27bによりローディング終了を検出して、モータ9によるゴムローラ6bの駆動を停止した状態である。この図8の状態は、搬出時にディスク100をユーザの手指によって取り出しが可能な状態であり、この状態で、ディスク100は、ゴムローラ6a〜6dに作用するローラアーム7a、7bの付勢力に基づく挟持及びゴムローラ6a〜6d自体が有する摩擦力と、防塵カバー3の弾性による摩擦力で飛び出すことなく保持されるようになっている。
【0048】
ここで、ローラアーム7a及び7bについて、図9及び図10に基づき説明するが、図9はローラアーム7a及び7bとリンクアーム28a及び28bのみの上面図、図10はローラベース5に回動自在に設けられた下面図であり、図9と図10では左右が反転した状態となっている。ローラアーム7a及び7bは、ローラベース5に対し、回動中心7a−1及び7b−1を中心に、リンクアーム28a及び28bにより同期して回動するように設けられており、前述した図5〜図8に示したディスク100に対するゴムローラ6a〜6dの当接が可能なように構成されている。このため、ローラアーム7a及び7bは、前述したディスク100による拡開する矢印ハ方向及び矢印ニ方向と逆の方向、すなわち矢印ト方向及び矢印チ方向に付勢するためのねじりコイルバネ7a−2及び7b−2を設けている。この付勢力によって、ゴムローラ6a,6bと6c,6dとによりディスク100を挟み込み、常に一定の押圧力で当接しながら搬送できるように構成されている。
【0049】
このように、ディスク100の搬送を行う際に、ゴムローラ6a,6b及び6c,6dは、常に、コイルバネ7a−2及び7b−2による付勢力で一定の押圧力で当接されることになる。このため、従来例で説明したように、特に回転する駆動ローラとしてのゴムローラ6a,6bは、図11に示すように、ディスク100の外周エッジと接触することで、削れてディスク外周端面近傍に付着することとなる。この削り取られたゴムのカスは、図6〜図8に示すように、ゴムローラ6a,6bが当接するディスク100の外周端面近傍の位置に付着カス30として残る。この付着カス30の位置は、ディスク100の周縁部であるものの、ディスク100の排出時に防塵カバー3を通過する際に、排出時のディスク100がゴムローラ6dを中心に矢印ヘ方向に回転するので、図8に示すように付着カス30は、ディスク100の外周部分が通過する防塵シートの端部近傍に一定の幅に広がった位置30aに対応することとなる。
【0050】
以上説明したように、実施の形態1におけるディスク搬送装置では、ゴムローラ6a,6bが当接するディスク100の外周端面近傍の位置に付着カス30が発生するが、この付着カス30のディスク記録面への転移を防止し、その傷や汚れの発生を防ぐことができるようにするため、図3及び図4に基づいて前述した防塵カバー3の構成としたものであり、以下、その防塵カバー3の作用について、図12〜図15に基づいて説明する。
【0051】
図12〜図15は、ディスク100の搬入時における防塵カバー3の部分の断面図と、ディスク100の搬出時における防塵カバー3の部分の断面図であり、これらの図と前述した図1〜図11をも参照しながら、以下説明する。
【0052】
図12はディスク100を挿入して搬入方向への搬送時の防塵カバー3の中央部近傍(スリット3o〜3vを形成した位置)の断面図を示しており、図13は同様にディスク100の搬入方向への搬送時の防塵カバー3の端部近傍(スリット3w、3xを形成した位置)の断面図を示している。
【0053】
ディスク100が開口部1aを通して挿入され、ディスク100がスリット3fに押し込まれると、スリット3fの上下のフェルト3aは装置内側に弾性的に倒れる。フェルト3aの弾性的な復帰力により、ディスク100はフェルト3aから摩擦力を受けてディスク100の搬送負荷となる。装置が寿命近くになりゴムローラ6a〜6dが磨耗して摩擦力が低下してディスク100の搬送力が低下した場合や、ディスク100表面が汚れて滑りやすく搬送力が得にくい場合や、低温状態でゴム硬度が硬くなり搬送力が低下した場合、この搬送負荷が大きいとディスク100がローディングできなくなるという不具合が発生する。よって、防塵の機能が問題なく、搬送を妨げない程度に復帰力を調整する必要がある。本発明の実施の形態ではスリット3o〜3vを適度な長さ設けることにより、適切なフェルト3aの復帰力を得ている。図12に示すように、スリット3o〜3vを形成する部分では、フェルト3aが変形する根元が当該スリット3o〜3vにより切れているため復帰力が発生しない。よって、スリット3o〜3vを形成する部分と、それ以外の部分の比率を調整することで、復帰力を調整することが可能となっている。
【0054】
また、スリット3fは、ディスク100の径方向における中央部で、その厚み方向で搬送軌道と略一致しているため、挿入されたディスク100はフェルト3aの復帰力で搬送軌道上に保持される。
【0055】
さらにディスク100が挿入されて引き込まれると、ディスク100の外周部が防塵カバー3のスリット3h、3gを通過する。図13はこのときのディスク100外周部近傍の断面を示している。このとき、ディスク100は、ゴムローラ6a,6b,6c及び6dに保持されていると共に、防塵カバー3の部分ではそのほとんどの部分がスリット3fに挟み込まれているため、ディスク100は搬送軌道上にある。このため、搬送軌道から記録面側に0.75シフトしているスリット3h、3gのフェルト3aはディスク100の記録面と反対側でディスク100に乗り上げており、記録面側のフェルト3aはディスク100の記録面との間に隙間dを有している。ディスク100の厚みが「t=1.2mm」の場合は設計センタで隙間dは「d=0.15mm」を有し、ディスク100の厚みが規格外の「t=1.5mm」のディスクでやっと触れる程度の状態となっている。ここで、補強シート3cの開口部3bの端面はディスク100の記録面に近いが、開口部3bの形状は中央が広い太鼓状の開口となっているため、仮に接触しても、ディスク100外周エッジしか接触せず、記録面を傷つけることはない。この位置では、
また、記録面と反対側のディスク100の上面に乗り上げているフェルト3aの根元にはスリット3w、3xが設けられているため、下方向への復帰力は小さくディスク100を記録面側に押し下げる力を軽減している。これにより、ディスク100はより安定して搬送軌道上に保持されることになり、ディスク100の記録面とフェルト3aが安定して隙間を確保、または接触圧を小さくできる。
【0056】
さらにディスク100が搬送されて、ディスク100が装置内部に入ると、ディスク100は防塵カバー3上からなくなり、フェルト3aの弾性的な復帰力で元の状態に戻り図4(a)(b)の状態に復帰する。
【0057】
次にディスク100が排出されるイジェクト動作を説明する。図14はディスク100が排出されて防塵カバー3を通過する際の中央部近傍(スリット3o〜3vを形成した位置)の断面図を示しており、図15は同様にディスク100が排出される際の防塵カバー3の端部近傍(スリット3w、3xを形成した位置)の断面図を示している。
【0058】
防塵カバー3のスリット3fはディスク100の搬送軌道上にあるため、ディスク100が通過しているスリット3fのフェルト3aは上下均等に装置外側に向かって倒れている。フェルト3aには前述したようにスリット3fの上下にスリット3o〜3vが設けられているが、そのスリットより搬送軌道側に補強シート3cの開口部3bのエッジがあるためスリット3o〜3v部分では屈曲せずに、開口部3b近傍で外側に屈曲している。このため、ディスク100の排出動作時には、フェルト3aは高い復帰力が発生し、ディスク100表面を押圧することになる。これにより、ディスク100はより高い摩擦力をフェルト3aから受け、ディスク100は安定して搬送軌道上に保持されることとなる。
【0059】
さらにディスク100が排出され、ディスク100外周部が防塵カバー3のスリット3h、3gを通過することになるが、図15はこのときのディスク100外周部近傍の断面を示している。このとき、ディスク100は、ゴムローラ6a,6b,6c及び6dに保持されていると共に、ディスク100の幅方向における中央部分のほとんどがスリット3fに挟み込まれているため、ディスク100は搬送軌道上にある。このため、図13と同様、搬送軌道から記録面側に0.75シフトしているスリット3h、3gのフェルト3aはディスク100の記録面と反対側でディスク100に乗り上げており、記録面側のフェルト3aはディスク100との間に隙間dを有している。ディスク100の厚みが「t=1.2mm」の場合は設計センタで隙間dは「d=0.15mm」を有し、ディスク100の厚みが規格外の「t=1.5mm」のディスクでやっと触れる程度の状態となっている。また、図15に示すように、スリット3o〜3vと同様にフェルト3aはスリット3x、3w部分では屈曲せず、補強シート3cの開口部3bのエッジ部で屈曲するため、フェルト3aは高い復帰力をディスク100に与えており、これにより排出されてディスク100をその摩擦力で安定して保持することが可能となっている。
【0060】
このとき、開口部3bによりディスク100がフェルト3aで強く押されるが、開口部3bは太鼓状の形状となっているため、ディスク100の端部に圧力が集中する。よって、ディスク100の記録面への影響はない。
【0061】
以上のディスク100の搬入・排出の搬送動作の中で、前述したように、ゴムローラ6a〜6dはディスク100の端面エッジと接触して削れ、ディスク100の外周端面近傍の位置に付着カス30として残る。前述したように、ディスク100はゴムローラ6c、6dを中心に回転しながら送られるため、この削れた付着カス30が付いたディスク100の端面エッジは、ゴムローラ6a、6bで搬送される右側の外周端面近傍の位置30aで防塵カバー3のスリットを通過するので、削れた付着カス30は、主に防塵カバー3の右側の端近傍でフェルト3aと接触することになる。しかしながら、この削れた付着カス30が付着しやすい防塵カバー3の端部近傍では、フェルト3aのスリット3hが記録面側にシフトしてフェルト3aの下面には接触しないため、この部分への付着カス30の転移はなく、フェルト3aの上側にのみ付着カス30は転移する。
【0062】
このように、ディスク100の外周近傍の記録面は、フェルト3aに接触しないので、ディスク100の記録面側における付着カス30はフェルト3aに転移されず、そのフェルト3aのスリット3h近傍に転移された付着カス30があったとしても記録面と接触しない。ディスク100が回転しながら、付着カス30がある状態でフェルト3aで引きずられると、円弧上の傷がつくためディスク100の記録再生機能の大きな低下を及ぼすが、接触しないためディスク外周部では機能低下が発生することがない。
【0063】
以上のように、スリット3fが搬送軌道上にあり、フェルト3aの弾性による復帰力によって、排出されたディスク100が安定して保持できるため、装置を縦置きにした場合でも、イジェクト動作で前述した図8の排出完了まで排出したディスク100を取り落とすことがない。またそれと同時に、ディスク外周部分の記録面へのフェルト3aからの付着カス30等のゴミの転移は起こらず、しかもフェルト3aについた付着カス30等のゴミがディスク100の記録面に接触することがないため、ディスク100記録面への傷や汚れが低減され、ディスク100の安定した記録再生が可能となる。
【0064】
本発明の第1の実施の形態では、スリット3g、3hの両方を記録面側に下げたが、ディスク100を搬送しているゴムローラが駆動されている側(すなわちゴムローラ6a,6b側)だけでよい。また、スリット3wを設けたが、ディスク100を挿入するスリットをシフトした側だけでよく、すなわちスリット3gが記録面側にシフトしていなければ、スリット3wは設けなくてよい。
【0065】
また、本発明の第1の実施の形態では、スリット3fとスリット3g、3hはなだらかにスリット3i、3jでつながっている。これにより、スリットを形成するためのトムソン型の刃が形成し易くなっている。
【0066】
また、小径ディスクである8cmのディスク101を挿入・排出する場合は、ディスク101はゴムローラ6b、6dに接触することなく、より装置の奥にあるゴムローラ6a、6cのみで保持することになり、排出されたディスク101の保持は防塵カバー3に頼る割合が大きくなる。本発明の第1の実施の形態の防塵カバー3には中央から約4cm外側の位置に縦スリット3k、3Lが設けられている。8cmの小径ディスク101の場合、排出時には、中央付近のスリット3fが外側に倒れるが、縦スリット3k、3Lがあるため、その外側のスリット3i、3jは閉じたままの状態となっている。よって、ディスク101はスリット3i、3jの(装置本体が縦置きで、右が下の場合は3j、左が下の場合は3i)端面に乗ることになり、その端面に支えられて、ディスク101が落下することがない。
【0067】
また、8cmのディスク101を保持しているスリット3fはディスク101の搬送軌道上と略一致しているため、排出保持されているディスク101は搬送軌道上に正しい姿勢で保持されることになる。
【0068】
また、本発明の第一の実施の形態の補強シート3cは開口部3bが小さいため、装置外部から見えてしまうが、透明、または、黒の艶消しの材料を使用することにより、目立つことがなく品位を向上することが可能である。
【0069】
本実施の形態のディスク再生装置は、以上説明したように、ディスクを直接挿入して再生可能な位置に搬送するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、ディスクを挿入/排出するために筐体に開口されたディスク挿入口と、前記ディスク挿入口を塞ぐと共に前記ディスクを挿通するためのスリットを有する弾性材により構成された防塵シートと、挿入されたディスクの外周部に接触するローラによって当該ディスクを保持し、そのローラに駆動力を伝達してディスクを搬送する搬送手段と、前記ローラに駆動力を伝達する駆動手段とを備え、前記防塵シートのスリットは、長さをディスクの径より長く形成し、その中央部近傍を前記ディスクの搬送軌道とほぼ一致させると共に、当該スリットの少なくとも一方の端部側を中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成したものであり、ディスクの外周近傍では防塵シートに付いたゴミやカスが記録面に付く恐れがなく、ディスクの傷、汚れを防止できることができるという作用を有する。
【0070】
また、本実施の形態のディスク再生装置は、ディスクを保持して搬送するローラは、ディスクの外周端縁部に当接しディスクの左右を挟持しながら搬送するローラであり、当該左右ローラのうち一方のローラの回動駆動力によってディスク自体を回動させながら搬送する構成としたものであり、特に大径ディスクの場合は挟持するローラのディスクに対する付勢力が大きいため、駆動ローラが当接するディスクの外周端面近傍の位置に駆動ローラ自体が削られて付着カスが発生するが、防塵シートのスリットが記録面側に偏倚しているので、その付着カスはディスク搬送時に防塵シート側に転移することなく、付着カスが防塵シートにより引きずられてディスクの記録面に傷が発生することを防止できるという作用を有する。
【0071】
また、本実施の形態のディスク再生装置は、前記防塵シートの前面に前記ディスク挿入口よりも内径が小さい開口となるように形成された非弾性材よりなる補強シートを設け、当該補強シートと対向する位置の防塵シートに前記補強シートの内縁部に平行なスリットを設けたものであり、ディスク挿入の搬送時には平行スリットにより防塵シートの弱い復帰力で接触しながら搬送されるが、ディスク搬出の搬送時には補強シートにより防塵シートに高い復帰力が発生してディスク表面を押圧することになり、ディスクはより高い摩擦力をフェルトから受けるため、ディスクは安定して搬送軌道上に保持されるという作用を有する。
【0072】
また、本実施の形態のディスク再生装置は、前記防塵シートの端部近傍に、前記記録面側に偏倚したスリットと反対側に補助スリットを形成したとしたものであり、ディスクの姿勢がより安定して真直ぐになると共に、記録面への傷、汚れを低減することができるという作用を有する。
【0073】
また、本実施の形態のディスク再生装置は、前記防塵シートのスリットは、中央部近傍と端部近傍がなだらかにつながるように形成したとしたものであり、スリットを形成するためのトムソン型が形成しやすいと共に、防塵カバーの端部の角部の接触によるディスクへのゴミの付着の偏りを防ぐことができるという作用を有する。
【0074】
また、本実施の形態のディスク再生装置は、前記防塵シートは、そのスリットの中央から小径ディスクの半径より若干外側位置に縦のスリットを形成したものであり、小径ディスクの保持をより安定化することができるという作用を有する。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本発明の第2の実施の形態は防塵カバーのスリットの形状のみが、本発明の第1の実施の形態と異なるもので、その他の部分は同じであるため、本発明の第1の実施の形態と同じ部分の説明は省略する。以下、その防塵カバー33の正面図を示す図16に基づいて説明する
防塵カバー33には、第1の筐体1の内側に取り付けるための両面テープ33dと、防塵カバー33のコシをもたせると同時に排出ディスクの保持力をアップさせるために設けられた開口部33bを有する補強シート33cと、弾性的に変形してディスク100挿入/排出が可能かつ防塵を行うスリット33f〜33nを有するフェルト33aと、フェルト33aと補強シート33cを接着する図示せぬ両面テープ33e(前述した実施の形態1における両面テープ3eに相当する)から構成される。ここで、両面テープ33d、33eは両面テープに限らず接着剤で構わない。両面テープ33dは上カバー1の開口部1aの開口より外側に設けられており、防塵カバー33の上カバー1への貼付け後、前面から両面テープ33dがはみ出さないように設けられている。補強シート33cの開口部33bは上カバー1の開口部1aより小さく、中央部分が大きく、端が小さい太鼓形状をした開口部である。端の部分の開口幅はディスク100の厚みとフェルト33aの厚みを加えた幅に寸法公差分を加えた程度の幅に設定されている。補強シート33cはこの開口部33bにより、ディスク100の排出の際にフェルト33aの変形を抑えるように設けられている。また、補強シート33cは装置外部から見えるため、その材料は表面を艶消しした黒の樹脂シートが用いられている。ここでは表面を艶消しした黒の樹脂シートを用いたが、フェルト33aと同じ色となるため透明のシートを用いてもよい。
【0075】
両面テープ33eは補強シート33cの開口部33bより外側に設けられており、ディスク100挿入時、フェルト33aの変形を阻害しないように設けられている。フェルト33aはゴムローラ6a〜6dでガイドされたディスク100の搬送軌道と平均的に同じ高さに設けられた波状の中央部のスリット33fと、そのディスク搬送軌道の高さよりディスク100の記録面側、すなわち図の下側にディスク100の最大厚みの半分(ここでは0.75)シフトした高さに設けられた両端部のスリット33g、33hと、スリット33fとスリット33g、33hをなだらかにつなぐスリット33i、33jと、中心から約4cm余り離れた両側の位置の設けられた縦スリット33k、33Lと、中心から約6cm余り離れた両側の位置に設けられた縦スリット33m、33nが設けられており、このスリット33f〜33nをフェルト33aが弾性変形してディスク100が通過できるように構成されている。また、防塵カバー33には上カバー1の図示せぬ位置決めボスと係合する孔33y、33zが設けられており、これにより防塵カバー33の装置への位置決めがなされている。
【0076】
以上のように構成されて防塵カバー33に関して、その動作について説明する。
【0077】
ディスク100をスリット33fに挿入すると、スリット33fは平均してディスク搬送軌道上にあるため、スリット33fの上下のフェルト33aは内側に上下均等に倒れる。これにより、ディスク100は正しい姿勢で装置内に送られる。このとき、ディスク搬送軌道上にディスク100が保持されているため、防塵カバー33の端部のスリット33g、33hのフェルト33aの記録面側は、ディスク100の記録面と接触していない。よって、ディスク100の外周近傍ではフェルト33aに付いたゴミが記録面に付く恐れがなく、ディスク100の傷、汚れを防止することができる。
【0078】
次にディスク100を排出した際、挿入時と同様にディスク100の外周近傍ではフェルト33aと記録面が接触することがないため、ディスク100に付いたゴムローラの削れカスがフェルト33aに付く恐れがなく、ディスク100の記録面にゴムローラの削れカスが広がる恐れがない。また、スリット33fが波状になっていることにより、防塵カバー33の中央部分でのディスク100、101とフェルト33aとの接触が大きくなり、ディスク100を保持する力が大きくなる。これにより、装置を縦に置いた場合でも、イジェクト動作で排出したディスク100、101を落下することなく、安定し保持することが可能となる。
【0079】
本実施の形態2のディスク搬送装置は、以上説明したように、防塵シートを形成するフェルトのスリットは、長さをディスクの径より長く形成し、その中央部近傍を波状に形成して前記ディスクの搬送軌道とほぼ一致させると共に、当該スリットの少なくとも一方の端部側を中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成したので、実施の形態1と同様、ディスクの外周近傍ではフェルトに付いたゴミが記録面に付く恐れがなく、ディスクの傷、汚れを防止することができる。
【0080】
また、防塵シートを形成するフェルトの中央付近のスリットが波状であるため、中央付近でディスクとの接触面積が増えてその保持力が大きくなるので、小径ディスクであっても、装置を縦に置いた場合でも、イジェクト動作で排出したディスクを落下することなく、安定し保持することが可能となる。
【0081】
本実施の形態2のディスク搬送装置では、中央部近傍を滑らかな曲線形状よりなる波状のスリットとしたが、一部直線よりなる三角山型形状等の波状であってもよく、それに限るものではなく、平均的にディスク搬送軌道とほぼ一致していれれば、形状は問わない。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、ディスクを搬送するローラの形状が、実施の形態1と異なるもので、本発明の主要な特徴である防塵カバーの部分は同じであるため、本発明の第1の実施の形態と同じ部分の説明は省略する。以下、その搬送ローラとディスクの挟持状態を示す図を示す図17及び図18に基づいて説明する
図17は、ローラを配置した部分において、ディスクの搬送方向に対する正面の断面を示すものであり、ディスクを上下面方向から挟持して保持するように少なくとも一方に有する長尺ローラ41と、このローラ41に対向して設けられたディスクガイド42a,42bを、シャーシ43に設けており、ローラ41は図示を省略したがモータ等の駆動手段により回転駆動されるように構成されている。ローラ41は軸方向において中央に比べて両側の径が大径となるよう形成され、これと対向するディスクガイド42a,42bもローラ41とその軸方向の両側が接近する方向に傾斜する形状となっている。
【0082】
そして、ディスク100を、ローラ41とディスクガイド42a,42bとの間に挿入して挟持することにより、保持すると共に、ローラ41の回転駆動によってディスクを搬送できるようになっている。ここで、ローラ41とガイド42a,42bとの間は、ディスク100を挟持により保持するため、挟み込む方向に適度の付勢力を有している。その搬送時には、図18(a)(b)に示すように、ローラ41表面自体の傾斜とガイド42a,42bの傾斜とにより、ディスク100を挟持するローラ41の軸線方向において、ディスク100の両側端部近傍と接触しながら搬送することとなる。図18(a)は、ディスク100を挿入して間もない位置の挟持状態を示しており、この位置でもディスク100の外周部近傍と接触しながら搬送する構成となっている。更に、搬入されて、図18(b)の位置では、ディスク100の搬送方向最大幅の中央部が、ローラ41とガイド42a,42bとの間に挟持された状態であり、この時にもディスク100の外周部近傍が、ローラ41とガイド42a,42bに接触しながら搬送されている。
【0083】
ここで、この実施の形態3の場合は、ディスク100自体は回転することなく搬送されるが、ローラ41とガイド42a,42bとの間はディスク100の厚み方向に、ディスク100を圧着するように付勢されており、ディスク100とローラ41の接触圧は、図18(a)(b)から明らかなように、図(a)よりも図(b)の場合がより大きい。つまり、搬送方向における幅方向の最も外側の近傍(図(b)相当)の接触部部分が付着カスがより発生しやすくなっており、当該対応部分は、前述した防塵カバー3の端部のスリット3g、3h部分が対応する位置となっている。
【0084】
このように、実施の形態3のディスク再生装置の場合でも、ディスクを直接挿入して再生可能な位置に搬送するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、ディスクを挿入/排出するために筐体に開口されたディスク挿入口と、前記ディスク挿入口を塞ぐと共に前記ディスクを挿通するためのスリットを有する弾性材により構成された防塵シートと、挿入されたディスクの外周部に接触するローラによって当該ディスクを保持し、そのローラに駆動力を伝達してディスクを搬送する搬送手段と、前記ローラに駆動力を伝達する駆動手段とを備え、前記防塵シートのスリットは、長さをディスクの径より長く形成し、その中央部近傍を前記ディスクの搬送軌道とほぼ一致させると共に、当該スリットの少なくとも一方の端部側を中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成したものであり、ディスクの外周近傍では防塵シートに付いたゴミやカスが記録面に付く恐れがなく、ディスクの傷、汚れを防止できることができるという作用を有する。
【0085】
また、本実施の形態のディスク再生装置は、ディスクを保持して搬送するローラは、ディスクを上下面方向から挟持するように少なくとも一方に有する長尺ローラであり、当該ローラは軸方向において中央に比べて両側の径が大径となるよう形成され、ディスクの外周部近傍と接触しながら搬送する構成としたものであり、特に大径ディスクの場合は搬送方向における幅方向の最も外側の近傍の接触部部分が付着カスがより発生しやすくなって
いるが、防塵シートのスリットが記録面側に偏倚しているので、その付着カスはディスク搬送時に防塵シート側に転移することなく、付着カスが防塵シートにより引きずられてディスクの記録面に傷が発生することを防止できるという作用を有する。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4の場合は、全体的な構成は前述した実施の形態1とほぼ同じであるが、実施の形態1とは、搬送時にディスクを駆動する際のゴムローラ6a,6b,6c,6dによる駆動が異なり、ゴムローラ6a〜6dの全てにモータ9による回転駆動力を伝達して搬送を行うものであり、本発明の主要な特徴である防塵カバーの部分は同じであるため、本発明の実施の形態1と同じ部分の説明は省略する。以下、その搬送用のゴムローラ6a〜6dとディスクの挟持状態を示す図を示す図19に基づいて説明する
図19は、大径ディスク100の排出完了の停止状態を示し、実施の形態1における図8に相当するものである。この図19は、また、実施の形態1における図5に相当するディスク100を挿入して、ゴムローラ6a〜6dに当接させた状態と同じ位置でもあり、ここでは便宜上、1図で両状態について説明する。
【0086】
この図19においては、4つのゴムローラ6a〜6dの全てを駆動ローラとして、モータ9による駆動力の伝達して、ディスク100を搬送する例である。すなわち、実施の形態1では、ゴムローラ6a,6bのみにモータ9の駆動力を伝達して駆動するようにしたが、この例では、ゴムローラ6c,6dにも駆動力を伝達するものである。ここで、ゴムローラ6c,6dには、図示するように、ゴムローラ6a,6bとは逆回転の駆動力が伝達されるように、駆動ギア列(図示せず)が構成され、ディスク100を挿入する搬送時には、ゴムローラ6a,6bの矢印イ方向の回転力に対して、ゴムローラ6c,6dには矢印リ方向の回転力が伝達されるように構成する。このようなゴムローラ6a〜6dの構成により、ディスク100は、図19に示す位置に挿入され、これが検出されると、モータ9の駆動を開始し、この状態から、まず、両側のゴムローラ6b,6dの回転力及び摩擦力によってディスク100は、実施の形態1のようにディスク100自体が回転することなく、搬送方向(矢印A方向)にほぼ平行な直線移動により搬送される。その際、ゴムローラ6bと6dとの間は、ディスク100によって押し広げられ、閉じる方向に付勢されている一対のローラアーム7a、7bは矢印ハ方向及び矢印ニ方向、すなわち開く方向に回動する。その後、実施の形態1の場合と同様、図6に示すようなディスク位置を経由し、ここからゴムローラ6a,6cにより駆動されて、ディスク100は再生可能なディスク位置まで搬送される。
【0087】
そして、排出時には、モータ9の逆回転駆動により、ゴムローラ6aと6bには挿入搬送時の矢印イ方向とは逆の駆動力が伝達され、また、ゴムローラ6c,6dには矢印リ方向とは逆の駆動力が伝達される。そして、ディスク100を、矢印A方向と反対の、排出方向に搬送することになり、図19に示す排出完了の停止状態となる。
【0088】
このように、ゴムローラ6a〜6dの4つとも駆動ローラとした場合でも、片方のゴムローラ6a、6cのみを駆動した場合と同様、ディスク100にゴムローラの削れカスの転移が発生する。前述した図8に示したように、片側のみを駆動した場合は、駆動されるゴムローラ6a,6bに起因する付着カス30のみであるが、両側駆動の場合、それに加えてゴムローラ6c,6dに起因する付着カス31がディスク100に付着する。よって、防塵カバー3には、位置30aに加えて位置30bにも付着することになる。そのため、両側を駆動した場合、防塵カバー3の端部のスリット3g,3hを記録面側にシフトすることで同様の効果を得ることが可能である。
【0089】
この実施の形態4では、両側のゴムローラ6a〜6dの4つとも駆動ローラとした場合でも、スリットの両側を中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成することにより、ディスクの外周近傍で防塵シートに付いたゴミやカスが記録面に付く恐れがなく、ディスクの傷、汚れを防止できることができるという作用を有する。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のディスク装置は、ディスクの搬送性能を劣化させることなく、排出したディスクの保持が確実にできるとともに、ディスクに傷は汚れを抑えることができるので、CDやDVD等のディスク状の記録媒体を、トレイを用いずに装置内にローディングするスロットインローディング機構を備えるディスク装置に有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 上カバー(第1の筐体)
1a 開口部
2 下カバー(第2の筐体)
3 防塵カバー
3a 防塵シートとしてのフェルト
3b 開口部
3c 補強シート
3d 両面テープ
3e 両面テープ
3f〜3j スリット
3k〜3n 縦スリット
3o〜3x スリット
3y、3z 位置決め孔
5 ローラベース
6a〜6d ゴムローラ
6e、6f ローラギヤ
7a、7b ローラアーム
8a〜8c 伝達ギヤ
9 モータ
10a〜10f 伝達ギヤ
33 防塵カバー
33a 防塵シートとしてのフェルト
33b 開口部
33c 補強シート
33d 両面テープ
33e 両面テープ
33f〜33j スリット
33k〜33n 縦スリット
33o〜33x スリット
33y、33z 位置決め孔
41 ローラ
42a,42b ディスクガイド
43 シャーシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを直接挿入して再生可能な位置に搬送するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、
ディスクを挿入/排出するために筐体に開口されたディスク挿入口と、
前記ディスク挿入口を塞ぐと共に前記ディスクを挿通するためのスリットを有する弾性材により構成された防塵シートと、
挿入されたディスクの外周部に接触するローラによって当該ディスクを保持し、そのローラに駆動力を伝達してディスクを搬送する搬送手段と、
前記ローラに駆動力を伝達する駆動手段とを備え、
前記防塵シートのスリットは、長さをディスクの径より長く形成し、その中央部近傍を前記ディスクの搬送軌道とほぼ一致させると共に、当該スリットの少なくとも一方の端部側を中央部近傍に対してディスクの厚み方向において記録面側に位置するように偏倚形成したことを特徴とするディスク搬送装置。
【請求項2】
ディスクを保持して搬送するローラは、ディスクの外周端縁部に当接しディスクの左右を挟持しながら搬送するローラであり、当該左右ローラのうち一方のローラの回動駆動力によってディスク自体を回動させながら搬送する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
ディスクを保持して搬送するローラは、ディスクを上下面方向から挟持するように少なくとも一方に有する長尺ローラであり、当該ローラは軸方向において中央に比べて両側の径が大径となるよう形成され、ディスクの外周部近傍と接触しながら搬送する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記防塵シートの前面に前記ディスク挿入口よりも内径が小さい開口となるように形成された非弾性材よりなる補強シートを設け、当該補強シートと対向する位置の防塵シートに前記補強シートの内縁部に平行なスリットを設けたことを特徴とする請求項1〜3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記防塵シートの端部近傍に、前記記録面側に偏倚したスリットと反対側に補助スリットを形成したことを特徴とする請求項1〜4に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記防塵シートのスリットは、中央近傍を波状に形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のディスク装置。
【請求項7】
前記防塵シートのスリットは、中央部近傍と端部近傍がなだらかにつながるように形成したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のディスク装置。
【請求項8】
前記防塵シートは、そのスリットの中央から小径ディスクの半径より若干外側位置に縦のスリットを形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のディスク装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate