説明

ディスク状記録媒体

【課題】光ディスク駆動装置の内部で光ディスク破断が発生した時でも破片の飛散を極力防止し、駆動装置の故障や、破片が駆動装置外部へ飛散する確率を低下させる。
【解決手段】光ディスクのラベル面又はレーザ光入射面に、破片の飛散を防止するための飛散防止フィルム6を、接着剤7を用いて貼り付ける。この飛散防止フィルム6は例えば平均分子量40000以上のポリカーボネート樹脂で作成したフィルムを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録装置、光ディスク再生装置等の光ディスク駆動装置の内部で回転駆動され、記録及び/又は再生に使用されるディスク状記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開昭61−214245号公報
【特許文献2】特開平09−320109号公報
【特許文献3】特開2006−351158号公報
【特許文献4】国際公開2004/021343号パンフレット
【0003】
光ディスク駆動装置は、パーソナルコンピュータなどのデータを取り扱う情報処理装置に内蔵されたり、いわゆるブルーレイディスクレコーダー、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダーのような映像音声信号の記録再生機器として広く用いられている。
情報処理装置においてはデータの記録速度と再生速度の高速化が求められ、またレコーダーにおいてはHDD(Hard Disk Drive)に記録された映像音声信号を光ディスクへダビングする時の記録速度の高速化が求められている。これらのことから、光ディスクはますます高速で回転駆動される状況にある。
【0004】
ところで光ディスクは10000rpm以上で回転駆動されると、取り扱いによって光ディスクに付いてしまったキズや経年変化による材料劣化に加えて、高速回転による遠心力も加わり、光ディスク駆動装置の中で破断してしまう現象が起きている。
図6として、高速回転によって光ディスク(CD:Compact Disc)が破断した状態を示す。これは約20000rpmで或る程度の時間回転させて破断が生じた状態の撮影写真であるが、光ディスクは殆ど粉々に砕け、原型をとどめていない。
このようなディスク破断が起きると、大量の微細な破片が光ディスク駆動装置内で飛散することになり、光ディスク駆動装置を故障させてしまう場合が多い。
さらにごくまれではあるが破片が光ディスク駆動装置から飛び出し、周囲を汚染する可能性もある。
【0005】
一方で上記のように近年では光ディスクが高速回転が進められているため、光ディスクが高速回転に耐えうるようにする要請が強くなり、その強度を向上される種々の提案がなされている。
【0006】
一般に、DVDなどのように記録再生層を備えた第1基板(主基板と呼ぶ)と、記録再生層を有しない第2基板(ダミー基板と呼ぶ)とを貼り合せた構造のディスクにおいては、記録再生用のレーザ光が入射する側に設けられている主基板の屈折率を変化させることは光学的に好ましくない。そのため、専ら、ダミー基板の機械的強度を高めてディスクの破断を防止する方法がとられている。
たとえば、強化ガラス、防錆処理を施した金属または強化プラスチック等で作成した高い剛性を有したダミー基板(特許文献1参照)、あるいは、所定量の炭素繊維及びガラス繊維を配合したポリカーボネート樹脂で作成した大幅に機械的強度が向上したダミー基板(特許文献2参照)が挙げられている。
またダミー基板の接着面側に複数の補強用溝を設けて主基板と接着することによって剛性を増大させる(特許文献3参照)手法も考案されている。
【0007】
一方、CDやブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))のような、記録再生層を備えた主基板だけの構造のディスクにおいては、強度向上を主目的とするものではないが、特許文献4に開示されるような構造が知られている。
即ち、記録再生層上に光透過性を有する透明保護膜を設けるとともに他方の面上に透明保護膜とほぼ同じ材料の膜を備えるディスク構造が提案されている。或いは、記録再生層上に光透過性を有する透明保護フィルムを設けるとともに他方の面上に透明保護フィルムとほぼ同じ材料の膜を備えるディスク構造が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような現状において、以下の問題が残されている。
まず、CDやブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))のような、記録再生層を備えた主基板だけの構造のディスクにおいては、上記特許文献1,2,3のような、ダミー基板を強化する手法を採ることができない。上記特許文献1,2,3に示される手法は、DVDのように主基板とダミー基板を貼り合せた構造のディスクでなければそのまま実施できないためである。
【0009】
そこでCDやブルーレイディスクの主基板について、上記特許文献1,2,3に示される手法を応用できるかを検討した。
例えばCDに特許文献1〜3に示される手法をCDに導入する場合を考える。CDは基板中を記録再生光が通過するため、光学特性を重視する必要がある。
光学特性の面からは、主基板を強化ガラスとすることは導入できる可能性が高いが、材料コストが高く、また製造方法が複雑になり量産性に劣る。
防錆処理を施した金属、強化プラスチック、所定量の炭素繊維及びガラス繊維を配合したポリカーボネート樹脂は光学特性の点から導入することはできない。
またダミー基板に補強用溝を設けて主基板と接着する手法はそもそも1枚基板には導入できない。
【0010】
次に同じ手法をブルーレイディスクに導入する場合を考える。
ブルーレイディスクは主基板中を記録再生光が通過しない構造のため、光学特性を重視する必要がない。従って、強化ガラス、防錆処理を施した金属は導入できる可能性が高いが、材料コストが高く製造方法が複雑になり量産性に劣る。
強化プラスチック、所定量の炭素繊維及びガラス繊維を配合したポリカーボネート樹脂は導入できる可能性が高いが材料コストが高く量産性に劣る。
またダミー基板に補強用溝を設けて主基板と接着する手法はそもそも1枚基板には導入できない。
【0011】
以上のように、記録再生層を備えた主基板だけの構造のディスクにおいて、上記特許文献1,2,3のような手法は、そのまま採用できないだけでなく、応用することにも難点がある。
【0012】
ここで特許文献4に示されるような、主基板の両面に光透過性を有する透明保護膜や光透過性を有する透明保護フィルムを設ける場合を考える。
記録再生層に透明保護膜や透明保護フィルムを設ける目的は記録再生層の保護と吸湿防止であり、他方の面上に透明保護膜や透明保護フィルムを設ける目的はディスク両面に透明保護膜や透明保護フィルムを設けることによってディスクの厚さ方向の非対称性を緩和し、変形を防止することにある。
透明保護膜の膜厚は0.1mm程度であり、その材質はディスク材料であるポリカーボネートのような光透過性を有する熱可塑性樹脂や、同じく光透過性を有する紫外線硬化型樹脂などを用いて作成されている。
透明保護フィルムとは、ディスク材料であるポリカーボネートのような光透過性を有する熱可塑性樹脂を厚さ0.1mm程度のフィルム状に加工したものであり、このフィルムを接着剤によってディスク両面に貼ることによりディスク表面を保護するものである。
以上のように保護膜や保護フィルムはディスク材料と同じ程度の強度であり、これらをディスク両面に貼ってもディスク破断を防止できる程度までディスク全体の機械的強度を向上させることはできない。
【0013】
これらのことから、CDやブルーレイディスクは、将来的に高速回転駆動が進むと、破断が生じやすいものなってしまう。
ここで将来的な高速回転化に対応するためには、基本的にはディスクの材料強度の向上が必要であるが、それとは別に、破断時の対応も考慮すべきである。ディスク破断は、ディスクの強度と、回転速度、継続回転時間などの関係によって起こる。すると、そもそも、ディスクの強度を上げても、より回転速度の高速化が進み、回転速度による遠心力等がそれを上回れば、破断は発生するためである。
【0014】
本発明はこのような事情から、運悪くディスク破断が起こっても、破片の飛散を極力防止し、ディスク駆動装置の故障や、破片がディスク駆動装置外部へ飛散するなどの被害を最小限に抑える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のディスク状記録媒体は、ラベル面側もしくはレーザ入射面側の少なくとも一方において、略全面に、ディスク破断時の飛散を防ぐ飛散防止フィルムを接着剤により貼付した構造とする。
また上記飛散防止フィルムは、平均分子量40000以上のポリカーボネート樹脂で作成されたものとする。
【0016】
また上記飛散防止フィルムは、ディスク外径に達しない範囲として、略全面に貼付されているものとする。
また上記飛散防止フィルムは、ディスク内周側で規定されるクランピングエリアより外周側の範囲としての略全面に貼付されている。
また上記飛散防止フィルムは、上記ラベル面側に貼付されるとともに、ラベル印刷が施されている。
或いは上記飛散防止フィルムは、上記ラベル面側に貼付されるとともに、ラベル印刷のための表面処理が施されている。
また、ラベル面もしくはレーザ入射面の一方の面には、ディスク状記録媒体を重ねた際の面同士の密着を防ぐ突起が形成されているとともに、上記飛散防止フィルムは、上記突起が形成された面と反対側の面に貼付されている。
【0017】
このような本発明のディスク状記録媒体は、ラベル面又はレーザ光入射面に、破片の飛散を防止するための薄いフィルムを飛散防止フィルムとして接着剤を用いて貼り付けるものである。
通常、ディスク状記録媒体は、予定される回転数において十分な強度を持つように材料等が選定され、製造される。しかしながら将来的に、製造時には予期していない高速回転で駆動された場合や、或いはユーザサイドでの取り扱い時に付加された傷等の影響により、破断してしまうことを皆無とすることはできない。
そこで本発明は、ディスク状記録媒体の破断を防止するという観点ではなく、ディスク状記録媒体が破断した際に、破片が飛び散ることによる悪影響を回避するという観点に基づいてなされたものである。
本発明のディスク状記録媒体は、少なくとも一方の面に飛散防止フィルムが接着剤により貼られているため、ディスク基板が破断した場合でも、飛散防止フィルムによって破片が保持され、粉々に飛び散るということはない。
なお例えば飛散防止フィルムは平均分子量40000以上のポリカーボネート樹脂で作成したフィルムが適している。
【発明の効果】
【0018】
本発明のディスク状記録媒体では、光ディスク駆動装置内部で回転させることにより、ディスク破断が発生した場合においても破片が保護フィルムから剥がれて飛散する可能性が低い。これにより破片の飛散量を微量に抑えることができる。
よって光ディスク駆動装置の故障や破片がディスク駆動装置外部へ飛散する確率を低下させることができ、光ディスク駆動装置の信頼性や安全性が格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について次の順序で説明する。
[1.実施の形態の光ディスク構造]
[2.他の構造例]
【0020】
[1.実施の形態の光ディスク構造]

実施の形態の光ディスクとしてCDを例に用いて説明する。
図1(a)に、CDの標準規格による外形寸法概略図を示す。
CDとしてのディスク1は、直径120mmの円盤状とされる。中心部の直径15mmの範囲がセンターホールとなる。またディスク1の厚みは1.2mmとされる。なお1.2mmに対して+0.3mm、−0.1mmは規格上許容されている。
【0021】
ディスク1の一方の面はラベル面2とされる。
なお従来より知られている再生専用ディスク(CD−DA(Compact Disc - Digital Audio)、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory) 等)では、基板のラベル面2側には、紫外線硬化型樹脂をスピンコートにより薄膜化して硬化させた保護膜が形成されている。そして、その保護膜面にコンテンツの内容や作品名等のディスク識別情報が印刷されている。
またCD−R(Compact Disc - Recordable)、CD−RW(Compact Disc - Rewritable)等の記録可能型ディスクでは保護膜面に印刷または文字が書き込めるような表面処理がなされている。
ディスク1の他方の面は、記録再生のためのレーザ光が入射されるレーザ入射面3とされる。
【0022】
本実施の形態としてのディスク1の断面構造を図1(b)に示す。
基板4の一面側には記録再生層5が形成されている。再生専用型のCDの場合、反射膜が形成されたエンボスピット列として情報が記録された記録再生層5が形成される。記録可能型のCDの場合、グルーブが形成されるとともに有機色素材料又は相変化材料による記録膜を有する記録再生層が形成される。
【0023】
この基板4に対してラベル面2側には、従来のCDにおける保護膜に代えて、飛散防止フィルム6が接着剤7によって貼付される。
ディスク1としての厚みは、飛散防止フィルム6を貼付した状態で最大でも1.5mmとなるようにし、規格を満たすようにされる。
【0024】
また飛散防止フィルム6の外径は、図示するように、基板4の外径(直径120mm)より僅かに小さくされる。
また図中、直径26mm〜33mmの範囲内でクランピングエリアCLが設定されるが、飛散防止フィルム6は、このクランピングエリアCLより外周側に貼付される。
即ち飛散防止フィルム6は、基板4と同様のドーナツ形状のフィルムとされるが、その外径は基板4より小さく、中心孔の直径は、クランピングエリアCLを避けるために33mmより大きいものとされる。
【0025】
なお、基板4のレーザ入射面3側には、例えば平面的に見た場合にリング状の突起となるエレベーション8が形成されている。このエレベーション8は、複数のディスク1が積み重ねられた際に、面同士が密着しないようにするための突起である。
【0026】
このような構造の本例のディスク1では、破断時に破片が飛散することが防止される。
図2は、ディスク1を約20000rpmで1時間程度連続回転させ、ディスク破断を発生させた後に撮影したものである。
飛散防止フィルム6の効果により、破断しても、破片が飛散することがなく、ほぼもとのディスク形状が保たれていることがわかる。
このようにディスク破断時に破片の飛散を抑えることができることから、光ディスク駆動装置の内部で破片が飛び散って、装置内の各部に障害を与えるようなことを有効に防止できる。また光ディスク駆動装置外部へ飛散する確率も低下させることができる。
これによって光ディスク駆動装置の信頼性や安全性が格段に向上する。
【0027】
本実施の形態における飛散防止フィルム6は、ディスク破断を防ぐほどの機械強度を持っている必要は無く、ディスク破断が起こった時に破片の飛散を防止する意味で引張り強度が大きいことが重要である。
張力が加わった時に、伸びてしまってもいいが破断しないことが飛散防止フィルム6に求められる特性である。
また図1(b)のように飛散防止フィルム6は基板4のラベル面2側に貼付されるものであり、記録再生時にレーザ光が通過しない。このため、光学特性を重視する必要がなく、さらに柔らかいフィルムである方がディスク面への接着作業性が向上する。
【0028】
このような特性が必要となる保護フィルムの材料としては、耐衝撃性・耐熱性・寸法安定性に優れている平均分子量40000以上のポリカーボネート樹脂で作成したフィルムが好適である。これは、基板4に用いられている光ディスク用ポリカーボネート樹脂の2〜3倍の平均分子量となる。
この場合、ディスク1が破断して張力が加わっても飛散防止フィルム6は切れることなく破片を保持することができ、また柔らかいためディスク1自身の振動周波数特性を変えてしまうことも無い。
【0029】
図3(a)にフィルムの分子量に対するフィルム破断時の応力を示し、図3(b)にフィルム分子量に対するフィルム破断率を示している。フィルムの破断率は、各分子量のフィルムについて20000rpm回転による破断の確率を調査した結果である。
この結果より、分子量40000のフィルムは、20000rpmでの破断は無い。従って図2で示したように基板4が破断したとしても、飛散防止フィルム6でその破片を保持することが適切に実現できる。
【0030】
また、飛散防止フィルム6として平均分子量40000以上のポリカーボネート樹脂を用いる場合、基板4と材料特性が似ているため、基板4の片面に飛散防止フィルム6を接着しても、熱や湿度によって発生するディスク変形が少なくてすむ。
【0031】
飛散防止フィルム6の厚さは、CDの厚さ規格である1.2mm(+0.3,−0.1)を守るため0.1mm程度が使いやすいが、0.2mm程度までは使いこなすことができる。
【0032】
また上述したように、クランピングエリアCLにかからないように飛散防止フィルム6の内径はクランピングエリアCLの直径より大きくされる。
クランピングエリアCLについては、その厚み精度が高く求められるが、飛散防止フィルム6がクランピングエリアCLより外周側に貼付されるようにすれば、クランピングエリアCLが飛散防止フィルム6の厚みに影響を受けないようにすることができる。
【0033】
また飛散防止フィルム6の外径はディスク外径より小さくなっている。これにより飛散防止フィルム6がディスク外径からはみ出すようなことが無いようにできる。
【0034】
また、エレベーション8についてはレーザ入射面3側に設けられている。即ち飛散防止フィルム6が貼付されない面である。
エレベーション8は重ねられたときの面同士の接触を避けるものであるため、その意味では、エレベーション8はレーザ入射面3側にあってもラベル面2側にあっても問題はない。
しかし本実施の形態ではエレベーション8がラベル面2にあった場合には、飛散防止フィルム6が貼りにくくなる。貼りにくさを避けるには、飛散防止フィルム6の内径をエレベーション8を形成する半径位置より大きくせざるを得ない。
飛散防止フィルム6の接着面積はなるべく大きくすることが望ましいため、図1(b)に示したように、エレベーション8はレーザ入射面3に形成したほうが、破片の飛散防止効果が大きいことになる。
またエレベーション8の位置は飛散防止フィルム6の内径より大きい径位置にすることにより、ディスク1を重ねたときに隣接したディスクのクランピングエリアCLに接触することもない。
【0035】
[2.他の構造例]

以下、本発明の実施の形態となる他の構造例を説明していく。
図4(a)は、図1(b)と同様にディスク断面構造を示したものである。
この図4(a)は、ラベル面2側に飛散防止フィルム6を貼付することは図1(b)と同様であるが、クランピングエリアCLを含め、外周部を除く全面に飛散防止フィルム6が貼付されるようにした例である。
【0036】
クランピングエリアCLについては、厚みとして高精度が要求されるが、その精度を満たすのであれば、この例のように内周側がセンターホール径まで達するように飛散防止フィルム6を貼付できる。そして、より貼付面積を広くすることで、破断時の破片の飛散をより有効に防止できることになる。
【0037】
図4(b)はさらに他の例であり、この場合、基板4のラベル面2側には通常のCDと同様に保護膜9を形成する。そして飛散防止フィルム6はレーザ入射面3側に接着剤7で貼付したものである。エレベーション8は飛散防止フィルム6とは反対の面が好適であるため、ラベル面2側に形成している。
【0038】
このようにレーザ入射面3側に飛散防止フィルム6を貼付しても、破断時に破片の飛散を防ぐ効果は得られる。
但しこのような構造の場合、記録再生時に飛散防止フィルム6をレーザ光が通過することになる。従って飛散防止フィルム6及び接着剤7の層として、レーザ光に透過に関し、記録再生に悪影響を与えない光学特性が求められることになる。
【0039】
なお、図示しないが、さらに他の例として、飛散防止フィルム6をレーザ入射面3側に貼付する場合に、クランピングエリアCLを含めて内周側にまで貼付することも考えられる。
また、飛散防止フィルム6をラベル面2側とレーザ入射面3側の両方に貼付する構造例も考えられる。
【0040】
図5は、例えば図1(b)のようにラベル面2側に飛散防止フィルム6を貼付する場合におけるラベル印刷について示したものである。
ラベル印刷を施した飛散防止フィルム6を貼付するようにすることで、図5(a)のようにラベル印刷されたCDを製造することができる。
また図5(b)は、飛散防止フィルム6の表面(斜線部)について、プリンタによる印刷が可能な表面処理を施した例である。例えばCD−R等については、このように飛散防止フィルム6に表面処理を施しておくことで、ユーザは任意に文字や絵柄を印刷できる。
【0041】
以上、直径12cmのCDを例として実施の形態について説明してきたが、本発明は多様なディスク状記録媒体に適用できる。
例えば直径8cmのCDなど、異なる直径のCDや、ブルーレイディスク、ミニディスク、MO(Magnet-Optical)ディスクなどにも本発明は同様に適用できる。
さらにDVD等の貼り合わせ構造のディスクについては、上述したようにCDやブルーレイディスクのような単板構造のディスクよりも強度向上の容易性があるが、絶対に破断が生じないとはいえない。従って、DVDであっても本発明を適用し、破断時に対処できるようにすることは有効である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態のディスク構造の説明図である。
【図2】実施の形態のディスクの破断時の状態の説明図(写真)である。
【図3】フィルムの分子量に対する破断応力と破断率の説明図である。
【図4】実施の形態の他のディスク構造例の説明図である。
【図5】実施の形態のラベル印刷についての例の説明図である。
【図6】従来のディスク破断時の状態の説明図(写真)である。
【符号の説明】
【0043】
1 ディスク、2 ラベル面、3 レーザ入射面、4 基板、5 記録再生層、6 飛散防止フィルム、7 接着剤、8 エレベーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル面側もしくはレーザ入射面側の少なくとも一方において、略全面に、ディスク破断時の飛散を防ぐ飛散防止フィルムを接着剤により貼付した構造とされるディスク状記録媒体。
【請求項2】
上記飛散防止フィルムは、平均分子量40000以上のポリカーボネート樹脂で作成されたものである請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項3】
上記飛散防止フィルムは、ディスク外径に達しない範囲として、略全面に貼付されている請求項2記載のディスク状記録媒体。
【請求項4】
上記飛散防止フィルムは、ディスク内周側で規定されるクランピングエリアより外周側の範囲としての略全面に貼付されている請求項2記載のディスク状記録媒体。
【請求項5】
上記飛散防止フィルムは、上記ラベル面側に貼付されるとともに、ラベル印刷が施されている請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項6】
上記飛散防止フィルムは、上記ラベル面側に貼付されるとともに、ラベル印刷のための表面処理が施されている請求項1に記載のディスク状記録媒体。
【請求項7】
ラベル面もしくはレーザ入射面の一方の面には、ディスク状記録媒体を重ねた際の面同士の密着を防ぐ突起が形成されているとともに、上記飛散防止フィルムは、上記突起が形成された面と反対側の面に貼付されている請求項1に記載のディスク状記録媒体。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−123166(P2010−123166A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294314(P2008−294314)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】