説明

ディスク装置、カートリッジ及びディスク

【課題】ディスクと安定化部材との最適なクリアランスを簡易に確保することを可能とする。
【解決手段】ディスクが、安定化部材に対し所定の位置関係にある支持機構によってチャックされたときに、ディスクを構成するディスク基板の厚さ、材質、大きさなどに応じ、すなわち各ディスクに応じて、ディスク基板と安定化部材の対向面との距離が、最も安定化部材がディスク基板に効果的に作用し面ぶれが最小になる距離となるようにディスクのハブの厚さを予め決定しておく。これにより、例えば機械的な調整などを必要とすることなく簡易に最適なディスク基板と安定化部材とのクリアランスを確保することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置、カートリッジ及びディスクに係り、さらに詳しくは、情報記録媒体としてのディスクに対し情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置、情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジ、及び情報記録媒体としてのディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送のデジタル化が開始されるなど、情報のデジタル化に伴い記録媒体としてのディスクへ記録される情報の高密度化に対する要求が高まっている。この要求に対する主な方策としては、情報の記録又は再生のために用いられるレーザ光のスポット径を小さくすることがあげられる。
【0003】
レーザ光のスポット径を小さくするには、その波長を短くし、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることが有効である。レーザ光の波長に関しては、従来からCD(Compact Disk)には、例えば780nm程度の波長の近赤外光が用いられ、DVD(Digital Versatile Disk)には、例えば650nm程度の波長の赤色光が用いられているが、近年では、青紫色のレーザ光を発振する半導体レーザが開発され、今後400nm近傍の波長のレーザ光が用いられることが予想されている。また、対物レンズについては、従来、CD用の対物レンズのNAは0.5未満であり、DVD用の対物レンズのNAは0.6程度であったが、今後はさらにNAが増大する傾向にある。
【0004】
しかしながら、光の波長を短くすることや、対物レンズのNAを増大することは、対物レンズを含む光学系の焦点深度の狭小化を招く。このため、フォーカスサーボ精度を向上させる必要が生じる。また、対物レンズのNAが増大すると、その対物レンズとディスクの記録面との距離を小さく設定する必要があるため、ディスクの面ぶれを小さくする必要がある。その理由は、始動時のフォーカスサーボを開始する直前に対物レンズを含むピックアップとディスクとが接触するなどの事態を回避する必要があるからである。
【0005】
このような背景から、可撓性を有するシート(薄膜)に記録面が形成されたディスクの開発がすすめられ、このディスクを安定化部材に沿わせて回転させることにより、ディスクに生じる面ぶれを空気力学的に抑制する手段が提案されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載されているディスク装置は、ディスクに対向する安定化部材を備え、ディスクを回転させて情報の記録又は再生を行なう際には、安定化部材とディスクの相互間に空気力学的な力を発生させ、ディスクの回転の安定化を図ろうとするものである。しかしながら、特許文献1には平面状の安定化板をディスクに対してほぼ平行な位置に配置することに限られ、ディスクの動作条件に関する記述はなく、このディスク装置ではディスクを全領域にわたって安定化するには不十分である。
【0007】
また、非特許文献1に記載されているディスク装置は、サドルプレートと呼ばれる安定化部材と、U字型スタビライザ(U-shaped stabilizer)とよばれる安定化部材とを備え、ディスクに対し情報の記録又は再生を行なう際には、ディスクをU字型スタビライザのギャップに挟んだ状態で回転させるとともに、サドルプレートを用いて負圧力を作用させ、ディスクを前述した特許文献1に記載のディスク装置とは逆方向へ湾曲させることにより、面ぶれをギャップ内の特定領域で選択的に安定化させようとするものである。しかしながら、この方法では、回転を高速化するとサドルプレートによって発生する負圧がディスクに作用する遠心力に負けて、最終的にディスクを所望の湾曲形状にすることができなくなり、ギャップ内の特定領域においても面振れが増大してしまうという不都合がある。
【0008】
一方、発明者等は、安定化部材を用いてディスクを安定化させるためには、ディスクと安定化部材との距離(以下、距離Cbdともいう)とディスクの回転数(以下、回転数Srともいう)の関係が重要であり、距離Cbdと回転数Srとを適切に選択することで、ディスクを全領域にわたって安定化させることができることを見出した。
【0009】
なお、特許文献2には、距離Cbdが400μm〜600μmの範囲内にある場合の、距離Cbdと回転数Srとの関係に関する記述があるが、発明者等は調査の結果、上記範囲内では回転数Srが約6000rpmを越えると、ディスク外周部に生じた面ぶれが増大し、ディスクが実用に供しなくなることをつきとめた。
【0010】
【特許文献1】特開平10−308059号公報
【特許文献2】特開平6−5038号公報
【非特許文献1】「オプティカル・リードアウト・オブ・ビデオディスク」 アイイーイーイー・トランザクション・オン・コンシューマー・エレクトロニクス(“OPTICAL READOUT OF VIDEODISC”,IEEE TRANSACTION ON CONSUMER ELECTRONICS),1976年11月、P.304−308
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、ディスクに最適な安定化部材とのクリアランスを簡易に確保することにより、装置の高コスト化を招くことなくディスクの回転安定性を確保し、情報の記録及び再生の少なくとも一方を高精度に行なうことが可能なディスク装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、ディスクに最適な安定化部材とのクリアランスを簡易に確保することが可能なディスク及びカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、可撓性を有するディスクを回転させて、ヘッドの走査により前記ディスクの情報記録領域に対する情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置であって、前記ディスクの中心部に設けられたハブを固定するチャックをその先端部に有し、前記チャックに固定されたディスクを回転駆動する駆動機構と;前記チャックがその中央部の円形開口内に所定の空隙を介して配置され、前記ディスクの少なくとも情報記録領域に対応する形状の対向面を有し、前記ハブの厚さに応じて、前記ディスクと前記対向面との間隔が所定範囲となるように、前記対向面と前記チャック表面とのディスク回転軸方向に関する位置関係が設定された安定化部材と;を備えるディスク装置である。
【0014】
これによれば、安定化部材の対向面とチャック表面との位置関係が、ディスクのハブの厚さに基づいて設定されているため、ディスクが固定されたときの、ディスクと安定化部材の対向面との距離はディスクのハブの厚さにより規定される。すなわち、ディスクの回転が安定化部材によって最も安定化される距離となるようにハブの厚さを決めておくことで、何ら調整等を行なうことなく簡易にディスクと安定化部材の対向面との間に最適なクリアランスを確保することが可能となる。したがって、ディスクを回転して情報の記録又は再生を行なう際には、安定化部材により効果的にディスクの回転が安定化され、ディスクに対し高精度の記録又は再生を行なうことが可能となる。
【0015】
この場合において、請求項2に記載のディスク装置の如く、前記対向面と前記チャック表面とは、面一に設定されていることとすることができる。
【0016】
請求項1及び2に記載の各ディスク装置において、請求項3に記載のディスク装置の如く、前記チャックに対し前記ディスクの搬出入を行なう搬送機構を更に備え、該搬送機構は、前記ディスクのハブ以外の部分に干渉することなく、前記ハブを吸着して前記ディスクを保持する保持機構を有することとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、可撓性を有するディスクの中心部に設けられたハブを固定するチャックをその先端部に有し、前記チャックに固定されたディスクを回転させて、ヘッドの走査により前記ディスクの情報記録領域に対する情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置に用いられるカートリッジであって、前記ディスクがその内部に収納されるとともに、前記ディスクに対向する側の壁が前記ディスクに空気力学的な力を作用させる安定化部材を兼ね、前記ディスクと前記壁のディスク対向面との間隔が所定範囲になるように、前記壁の厚さに応じて前記ハブの厚さが設定されていることを特徴とするカートリッジである。
【0018】
これによれば、ディスクがチャックに固定されたときには、安定化部材を兼ねる壁とチャック表面との位置関係が、壁の厚さに応じて設定されたハブの厚さに基づいて規定される。したがって、ディスクが駆動機構により回転される際に、その回転が安定化部材を兼ねる壁によって最も安定化される距離となるようにハブの厚さを決めておくことで、何ら調整等を行なうことなく簡易にディスクと安定化部材の対向面との間に最適なクリアランスを確保することが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、可撓性を有するディスクの中心部のハブを固定するチャックをその先端部に有し、前記チャックに固定されたディスクを回転させる駆動機構と、前記ディスクの少なくとも情報記録領域に対向する対向面を有する安定化部材とを備え、前記駆動機構により前記チャックに固定されたディスクを回転させて、ヘッドの走査により前記ディスクの情報記録領域に対する情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置に用いられるディスクであって、円形の基板からなるディスク本体と;前記ディスク本体の一方の面の中心部に一体的に設けられた前記ハブとなる円形プレートとを備え、前記ディスク本体と前記対向面との間隔が所定範囲となるように、前記対向面と前記チャック表面とのディスク回転軸方向に関する位置関係に応じて、前記円形プレートの厚さが設定されていることを特徴とするディスクである。
【0020】
これによれば、円形プレートの厚さは、安定化部材の対向面と前記チャック表面とのディスク回転軸方向に関する位置関係に応じて設定されている。したがって、ディスクが駆動機構により回転されるときに、その回転が安定化部材によって最も安定化される距離となるようにハブの厚さを決めておくことで、ディスクがチャックに固定されることで何ら調整等を行なうことなく簡易にディスクと安定化部材の対向面との間に最適なクリアランスを確保することが可能となる。
【0021】
この場合において、請求項6に記載のディスクの如く、前記円形プレートの厚さが10μm〜200μmの範囲であることとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本実施形態にかかるディスク装置100の概略構成が示されている。
【0023】
ディスク装置100は、可撓性のある光ディスク20の情報記録領域に対し情報の記録及び再生を行なうことが可能な光ディスク装置である。このディスク装置100は、図1に示されるように、Z軸に平行なスピンドルシャフト40aを有するモータ40、該モータ40のスピンドルシャフト40aの+Z側端部に固定されたマグネットチャック42、マグネットチャック42の+Z側に嵌合することで光ディスク20を挟持するディスクチャック44、光ディスク20に対し情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうピックアップ26、光ディスク20の回転を安定させる安定化部材30、マグネットチャック42に対し光ディスク20の搬送を行なう搬送装置50、上記各部を収容する本体(ハウジング)10、及びピックアップ26、モータ40並びに搬送装置50を制御する不図示の制御装置などを備えている。
【0024】
図2(A)は光ディスク20の平面図であり、図2(B)は光ディスク20の縦断面図である。光ディスク20は、図2(A)及び図2(B)を総合するとわかるように、円板状のディスク基板21と該ディスク基板21の下面(−Z側の面)に固定された円形プレート22とを含んで構成されている。
【0025】
ディスク基板21は、一例として、厚さ120μm、外径120mmで中央に内径が25mm程度の丸孔21aが形成された、可撓性を有するPETフィルムからなる。このディスク基板21の上面(+Z側の面)には、まずトラックピッチ0.7μmで深さ35nmのトラックが、グルーブとランドの比率が6:4となるように転写された後に、スパッタリングにより順次厚さ120nmのAg反射層、厚さ7nmの(ZrO−Y)−SiO層、厚さ10nmのAgInSbTeGe層、厚さ25nmのZnS−SiO層、厚さ10nmのSi層が成膜されることにより記録層が形成されている。
【0026】
そして、ディスク基板21の表裏面には、記録層やディスク基板21の表面の保護のために、スピンコートしたUV樹脂を紫外線を照射して硬化することにより例えば厚さ10μmの透明保護膜が形成されている。
【0027】
円形プレート22は、一例として、厚さ100μm、外径30mmで中心部に内径4mmの丸孔22aが形成された磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼からなる。この円形プレート22は、ディスク基板21の下面に丸孔22aの中心がディスク基板21の丸孔21aの中心と一致するように接着剤で貼り付けられている。なお、円形プレート22の厚さは100μmではあるが、接着剤によりディスク基板21に貼り付けられたことにより、円形プレート22の下面はディスク基板21の下面から例えば110μm突出している。
【0028】
安定化部材30は、図1及び図3の平面図を総合するとわかるように、一例として中央に円形開口30aが形成された外径125mmの高さの低い円柱状部材であり、不図示の支持部材を介してハウジング10に固定され、上面は光ディスク20に対向する湾曲面(対向面)となっている。安定化部材30の対向面は、Y軸に平行で対向面の中心を通る母線L(以下、中心母線Lともいう)を有し、全体的には、例えば曲率半径1000mmで湾曲している。そして中心母線Lから−x方向及び+x方向へ距離S(ここでは35mmとする)隔てたY軸に平行な2本の直線と、対向面の外周とによって規定される領域、すなわち図3において着色された領域が平坦部となっている。以下、この平坦部のZ軸方向における位置を安定化部材30の基準位置とする。
【0029】
図1に戻り、モータ40は、スピンドルシャフト40aの回転中心が安定化部材30の中心と一致するようにハウジング10の内部底面上に設置され、スピンドルシャフト40aを駆動することによりマグネットチャック42とディスクチャック44とによって挟持された光ディスク20を、例えば約40000〜14000rpmの範囲内で回転させる。光ディスク20の回転数などは、不図示の制御装置により制御される。
【0030】
マグネットチャック42は、図1及びマグネットチャック42近傍の縦断面図である図4を総合するとわかるように、大径部42aと小径部42bとの2部分を有し、上下に連通する開口部が形成された段付き円筒状の部材である。大径部42aには内径が円形プレート22の丸孔22aと同径の4mmである開口部42cが形成され、上端面は円形プレート22及びディスクチャック44を磁性吸着するために磁化されている。また、小径部42bには内径がモータ40のスピンドルシャフト40aの外径と同径の開口部40dが形成されている。そして、マグネットチャック42は上端面が安定化部材30の基準位置と同じ高さになるように、下方から開口部40dに挿入されたモータ40のスピンドルシャフト40aによって支持されている。
【0031】
ディスクチャック44は、図4に示されるように、大径部と小径部の2部分からなる段つき円柱状の部材である。ディスクチャック44の小径部の外径はマグネットチャック42の開口部42cとほぼ同径となっており、ディスクチャック44は、マグネットチャック42の上面に光ディスク20が載置されたときに、不図示の駆動機構により駆動され、小径部がマグネットチャック42の開口部42cに挿嵌されることでマグネットチャック42と嵌合する。これにより光ディスク20はマグネットチャック42とディスクチャック44とにより挟持され(以下、単にチャックという)、モータ40による高速域での回転が可能となる。
【0032】
図1に戻り、ピックアップ26は、光ディスク20の上方(+Z側)に所定のクリアランスを介して配置され、一例として波長405nmのレーザ光を発振する光源、対物レンズのNAが0.85である光学系、及び受光素子などを含む周知の構成のものが用いられている。ピックアップ26は、モータ40により回転される光ディスク20の記録面にレーザ光を集光するとともに、記録面からの反射光を受光することで光ディスク20からの情報の読み取り(再生)、及び光ディスク20に対する情報の書き込み(記録)などを行う。そして、図1中の矢印に示されるように、X軸に沿って不図示のピックアップ駆動装置によって駆動される。
【0033】
搬送装置50は、例えば複数の光ディスクが収容された不図示のカートリッジなどから、光ディスク20を選択的に取り出してマグネットチャック42に載置し、情報の記録等の処理が終了した後の光ディスク20をマグネットチャック42から取外して、カートリッジ(不図示)に収納する等の動作を行なう装置である。この搬送装置50は、図5(A)に示されるように、光ディスク20の円形プレート22を磁性吸着する磁石ユニット52、一端に磁石ユニット52が固定され他端が不図示の駆動機構に支持されたアーム51などを備えている。
【0034】
磁石ユニット52は、図5(A)及び磁石ユニット52の縦断面図である図5(B)を総合するとわかるように、上面(+Z側の面)がアーム51に固定されたベース52a、ベース52aに嵌合する励磁部52b、励磁部52bを励磁するコイル52cを備えている。
【0035】
ベース52aは、高さの短い円柱状の部材であり、図5(A)に示されるように上面がアーム51下面の−X側の端部に固定され、その下面の中央部には、図5(B)に示されるように励磁部52bが挿入される凹部が形成されている。そして、ベース52aの内部には前記凹部を包囲するようにコイル52cが設けられている。
【0036】
励磁部52bは、図5(B)に示されるように、柱状部と、該柱状部の外周部に設けられたフランジ部とを有する部材である。柱状部は、一例として外径がマグネットチャック42の開口部42cと同径の4mmであり、下端面(−Z側の面)は球面状に成形されている。フランジ部は、外径がディスク基板21に形成された丸孔21aよりも小さく、柱状部の高さ方向ほぼ中央の外周に沿って一体的に設けられている。そして、励磁部52bは、図5(B)に示されるように柱状部の上半分が、ベース52aの凹部に挿入されることにより、フランジ部52bの上面とベース52aの下面が当接した状態で一体化されている。上述した励磁部52bは、不図示の制御装置からベース52aの内部に設けられたコイル52cに電流が供給されることにより、電磁石の磁心として作用し電磁力を発生させる。
【0037】
上記のように構成された磁石ユニット52は、不図示の駆動装置によりアーム51を介してマグネットチャック42に対する光ディスク20の搬入及び搬出を行う。以下、制御装置により行なわれる光ディスクの搬入及び搬出について、図6(A)〜図7(B)に基づいて説明する。
【0038】
図6(A)には、一例として、制御装置によりカートリッジから選択され、マグネットチャック42の上方で磁石ユニット52に磁性吸着された光ディスク20が示されている。制御装置はまず磁石ユニット52を下降して、図6(B)に示されるように励磁部52bの先端(−Z側端)をマグネットチャック42の開口部42cに挿入する。これにより光ディスク20は、その中心がスピンドルシャフト40aの回転中心と一致した状態でマグネットチャック42の上面に磁性吸着される。次に、制御装置は、コイル52cに対する電流の供給を停止することにより光ディスク20を開放し、図7(A)に示される位置まで磁石ユニット52を上昇させた後退避させる。そして、駆動装置(不図示)を介してマグネットチャック42にディスクチャック44を嵌合することにより光ディスク20をチャックする。これにより、光ディスク20のディスク基板21は、マグネットチャック42の上面と同じ高さにある安定化部材30の基準位置に対し110μmのクリアランスを介して保持される。また、マグネットチャック42から光ディスク20を搬出する場合には、上述した手順とは逆の手順の動作を行なえばよい。
【0039】
発明者等の実験では、上述した手順でチャックした光ディスク20を6000rpmで回転させたところ、安定化部材30の作用により、ディスク基板21の外周部近傍はその中心部に比べて面ぶれが小さく抑制された状態で安定した。そして、ピックアップ26を介して記録パワー6mW、消去パワー3mWにて記録密度0.15μm/bitの線密度でデジタルデータを記録し、再生パワー0.2mWにて再生を行なったところ、ビットエラー率は10−4であり、RF信号のエンベロープも均一で大きな欠落は観察されず、良好にデジタルデータの記録及び再生をすることができた。
【0040】
以上説明したように、本第1の実施形態にかかるディスク装置100によると、図7(B)に示されるように、光ディスク20は、安定化部材30の基準位置からディスク基板21が円形プレート22の厚さ分だけ(さらに正確には、円形プレート22の厚さと接着材の厚さ分である110μm)隔てた位置となるようにマグネットチャック42に保持される。
【0041】
安定化部材30を用いる空気安定化では、光ディスク20のディスク基板21と安定化部材30の対向面との距離に安定状態が敏感である。ディスク装置100では、円形プレート22の厚さが基準となり、光ディスク20をチャックする毎にディスク基板21は安定化部材30の対向面に対し所定の距離を隔てた位置に、極めて簡易かつ正確に位置決めされる。
【0042】
したがって、光ディスクの回転開始時には安定化部材とディスク基板21との距離を予め数mm程度遠ざけておき、光ディスクの回転が安定した後に安定化部材と光ディスクを近接させる方法のように、光ディスクと安定化部材の位置関係を相対的に可変する複雑な機構を設ける必要がない。なお、ディスク装置100では、安定化部材30とディスク基板21との位置関係が固定されているため、回転開始時にディスク基板21が安定化部材30に干渉することが考えられるが、ディスク基板21として硬質なPETフィルムを用いていることで、干渉によりディスク基板21に生じる摺動傷の発生は効果的に抑制される。
【0043】
また、ディスク装置100は、マグネットチャック42の上面と、安定化部材30の中央部近傍が同一平面に接するように面一に形成されている。したがって、ディスク装置100の組立て時にはマグネットチャック42と安定化部材30相互間の位置決めを、例えば平板上で組み立てることで容易に精度よく行なうことができる。
【0044】
また、磁石ユニット52に磁性吸着された光ディスク20は、磁石ユニット52の励磁部52bがマグネットチャック42の開口部42cに挿入された状態で、マグネットチャック42に受け渡されるので、光ディスク20の中心の位置だしは、光ディスク20がマグネットチャック42に受け渡された時点で実現されている。
【0045】
また、磁石ユニット52の励磁部52bに設けられたフランジ部の外径は、ディスク基板21の丸孔21aの内径よりも小さい。このため、磁石ユニット52により光ディスク20を吸着する際には、励磁部52bのフランジ部の下面全体が、ディスク基板21の丸孔21aを介して、円形プレート22の上面に接することが可能となり、効果的に円形プレート22を磁性吸着することが可能となる。
【0046】
次に第1の実施形態の変形例について説明する。この変形例にかかるディスク装置100は、上記光ディスク20に代えて、一例として、厚さ150μmのポリカーボネイト製フィルムをディスク基板21’とした光ディスク20’を用いたものである。
【0047】
このディスク装置100では、図8に示されるように、マグネットチャック42は、その上面が安定化部材30の基準位置に対して100μm下方に位置するように配置され、ディスク基板21’には厚さ200μm(さらに詳しくは、円形プレート22’をディスク基板21’に接着する接着材を考慮した厚さが200μm)の円形プレート22’が固定されている。したがって、ディスク装置100では、光ディスク20’が、ディスク基板21’の下面が安定化部材30の基準位置から100μm隔てた位置にくるように、マグネットチャック42にチャックされている。
【0048】
本変形例のディスク装置100によると、安定化部材30の基準位置とマグネットチャック42の上面が面一にないので、ディスク装置100の組立ての容易性は若干損なわれるが、円形プレート22’の厚さを増すことで、安定化部材30の対向面とディスク基板21’との距離を任意に規定することができる。すなわち、円形プレート22’の厚さを安定化部材30の対向面とディスク基板21’との距離と必ずしも一致させる必要がなくなるので、例えば、円形プレート22’を、素材の強度の都合で自由に設計することができるようになる。
【0049】
また、円形プレート22’の厚さが基準となり、光ディスク20’をチャックする毎にディスク基板21’は安定化部材30の対向面に対し所定の距離を隔てた位置に、極めて簡易かつ正確に位置決めされる。
【0050】
また、ディスク基板21’の安定化部材30に対向する面には、例えば、SiO粉末を混合した紫外線硬化樹脂を用いて厚さ3μm程度の保護膜を形成して、安定化部材30との干渉時にディスク基板21’に摺動傷がつくのを防止するようにしてもよい。
【0051】
なお、上記実施形態1及び変形例にかかるディスク基板21,21’と安定化部材30の基準位置との距離は一例であり、ディスク基板21,21’と安定化部材30の基準位置の距離をCbdとし、光ディスクの回転数をSrとすると、両者が後述する特定の関係にあればよい。
【0052】
発明者等は、回転する可撓性のある光ディスクに対して、安定化部材により空気力学的な力を作用させた場合の現象に関して、各種実験を行い考察を行った。その結果、光ディスクと安定化部材との距離Cbd、光ディスクの回転数Sr、及びディスク基板の安定性には特定の関係があり、この関係を適正に調整することが光ディスクの安定化において非常に重要であることを見出した。ここで、光ディスクと安定化部材の距離Cbdとは、ディスク基板が平面であるとしたときの、安定化部材の基準位置とディスク基板との距離のことである。
【0053】
以下、光ディスクのディスク基板と安定化部材の距離Cbdと光ディスクの回転数Srの関係を適正に調整することの重要性に関し、実験データに基づいて説明する。発明者等が見出した1つ目のポイントは、光ディスクの安定化を図るためには、距離Cbdが特定の範囲に限定される点である。図9には、一例として距離Cbdを0.1mmから0.5mmまで変化させたときに計測された面ぶれ特性曲線が示されている。
【0054】
特性曲線L1は、直径120mmの光ディスクを距離Cbdが0.1mmとなるように固定して回転数6000rpmで回転させ、ディスク基板の中心からの半径方向へ距離25mmの位置から5mmピッチで距離60mmの位置までの各位置におけるディスク基板のZ軸方向の振幅(面ぶれ度合い)を計測することにより得たものである。同様にして、特性曲線L2、L3、L4、L5は、距離Cbdを0.2、0.3、0.4、0.5と順次変化させて取得したものである。
【0055】
図9からわかるように、面ぶれ特性曲線L1,L2,L3,L4では、ディスク基板上のいずれの位置においても、安定化部材の作用により面ぶれが20μm以下に抑制されているが、面ぶれ特性曲線L5では、ディスク半径方向の距離が40mmより大きくなると、面ぶれが20μmを大幅に超えて増加していくのがわかる。すなわち、距離Cbdが0.4mmの付近を境に、ディスク中心からの距離40mm以上離れた位置からディスク外縁部にかけての面ぶれ度合いが急増し、外縁部にいたっては100μmを越える値となっている。これは特定回転数(6000rpm)における一例であるが、距離Cbdに面振れ特性が極端に変化する変曲点が存在するのは、光ディスクの回転数を変えた場合にもおおよそ共通であり、距離Cbdが変曲点を越えると面振れ安定性の劣化は光ディスクの外周部で顕著になる。
【0056】
ディスク基板が安定化部材から離れるほど安定化部材の作用が小さくなることは、物理現象として容易に予想されることであり、ディスク基板と安定化部材の距離であるCbdを大きくした場合に面振れ特性が悪くなる現象は、安定化部材の作用力範囲によりよく説明できる。しかしながら、発明者等が調査の結果見出した最も重要な点は、この現象がディスク基板と安定化部材の特定の距離を境に極端に変化する点である。
【0057】
次に、発明者等が見出した2つ目のポイントについて説明する。上述したように、面振れ特性が急激に変化する距離Cbd(以下、この距離をCbdmaxとする。例えば、光ディスクの回転数が6000rpmの場合には図9に示されるように、距離Cbdが0.5μmになると面ぶれ特性が急変する。したがって、回転数6000rpmにおけるCbdmaxの値は0.4μmとなる)は、光ディスクの回転数を変数とすると所定の連続線で示されることが判明した。
【0058】
具体的には、光ディスクの回転数が低回転域にあるときには光ディスク回転数の増大に伴って増大し、光ディスクの回転数が高回転域にあるときには光ディスク回転数の増大に伴って減少する。詳述すると、図10に示されるように、Cbdmaxは、光ディスクの回転数が4000rpm近傍以下の低速回転域においては光ディスクの回転数を変数とする連続線C1によって規定され、光ディスクの回転数が4000rpm近傍以上の高回転域においては連続線C2によって規定される。ここで、図10の横軸を光ディスクの回転数Sr(rpm)とし、縦軸をディスク基板と安定化部材との距離Cbd(μm)とすると、連続線C1は、Cbdmax=0.00015Sr+βと表され、連続線C2は、Cbdmax=A/Sr+αで表される。
【0059】
なお、A、α、及びβは任意定数である。Aは主にディスク基板によって決定される定数であって、おおよそ1E+3台の値を取り、ヤング率の大きなディスク基板に対しては小さな値を取る傾向があった。例えば、ヤング率が2.5GPaのポリカーボネイト製のディスク基板ではAの値は3500前後の値となり、またヤング率が5.5GPaのポリエチレンテレフタレート製のディスク基板では2000前後の値となった。また、αは主にディスク基板の厚さによって決定される定数であって、おおよそ1E−1台の値を取り、ディスク基板が厚いほど大きい値となる傾向があった。例えば、ディスク基板にポリカーボネイトを用いた場合には、αは−0.1前後の値となった。βは主に光ディスクの平坦性に関連した定数であって、おおよそ1E−1台の値を取り、平坦性が悪化するほど小さくなる傾向があった。例えば、ポリカーボネイト製のディスク基板を用いた場合には、βは+0.3前後の値となった。
【0060】
低速回転域で連続線C1で表されるようにCbdmaxが増大する現象は、光ディスクの回転数の増大に伴って光ディスクの表面近傍に発生する気流の流速が増大することにより、安定化部材による作用力が増大しているためと考えられる。また高速回転域で連続線C2で表されるようにCbdmaxが減少する現象は、光ディスクの回転数の増大に伴ってディスク基板のディスク回転軸方向の振動が増大し、これを抑制するためにより大きな安定化部材の作用力が必要になるため、距離Cbdを小さくして安定化部材の作用力を大きくしなければ面振れを十分に抑制できなくなるために生じているものと考えられる。
【0061】
なお、低速回転域におけるディスク基板の挙動は複雑で、光ディスクがチャックされたときの微妙なディスク基板の歪み等の影響を受けてCbdmaxの値にはばらつきがあるが、連続線C1,C2はこのばらつきを考慮したものであり、距離Cbdがこの連続線C1,C2で示される値以下であればディスク基板を適正に安定させることができる。
【0062】
次に、発明者等が見出した3つめのポイントについて説明する。上述したように面ぶれ特性が悪化しない範囲を規定する距離Cbdmaxは連続線C1,C2により規定することができたが、ディスク基板と安定化部材との距離Cbdを小さくする場合にもその下限値Cbdminが存在することがわかった。この下限値Cbdminは、ディスク基板と安定化部材とが接触し摺動することにより制限された。距離Cbdを小さくしすぎるとディスク基板と安定化部材が接触して、ドライブ装置の駆動に適さなくなることは容易に予想されることであるが、重要なのは、CbdminもCbdmaxと同様に光ディスクの回転数により変化する点である。Cbdminは低速回転域では光ディスクの回転数が増大すると減少し、その後一定値となった。
【0063】
具体的には、図10に示されるように、Cbdminは、光ディスクの回転数が2500回転近傍以下では連続線C3によって規定され、光ディスクの回転数が2500回転近傍以上では連続線C4によって規定されることをつきとめた。ここで連続線C3は、Cbdmin=−0.00005Sr+γと表され、連続線C4はCbdmin=ηと表される。
【0064】
γ及びηは任意定数であり、γは前記βと同様に、主にディスク基板の平坦性に関連した定数であった。γはおおよそ1E−1台の値を取り、ディスク基板の平坦性が悪化するにつれて大きくなる傾向がある。例えば、ポリカーボネイト製のディスク基板を用いた場合には、γは+0.2前後の値となった。ηもβ、γと同様に主にディスク基板の平坦性に関連した定数であり、ディスク基板の平坦性が悪化するにつれて大きくなる傾向があり、ηはおおよそ+0.05近傍の固定値となった。
【0065】
ここで、実用域における光ディスクの回転数の上限Srmaxを示す連続線をC5とすると、安定化部材によりディスク基板を安定化するためには、距離Cbdと回転Srが、図10において連続線C1〜C5に囲まれた領域(以下、安定領域ともいう)にあることが条件となる。
【0066】
したがって、本実施形態及び変形例にかかるディスク装置100においては、ディスク基板21、21’と安定化部材30の基準位置の距離をCbdとし、光ディスクの回転数をSrとすると、距離Cbdと回転数Srが図10に示される安定領域に含まれるように、円形プレート22の厚さが規定されていればよい。
【0067】
こうすることでディスク装置100では、光ディスク20,20’がチャックされるごとに、円形プレート22の厚さに基づいて、簡易かつ正確に距離Cbdと回転数Srが図10に示される安定領域に含まれるようにディスク基板21,21’が安定化部材30に対して支持される。
【0068】
なお、本実施形態及び変形例にかかる光ディスク20,20’は搬送装置50により取り扱われたが、例えば外壁が安定化部材30を兼用するようなカートリッジに収容されていてもよい。図11には、一例としてアーム12に支持されたカートリッジ11に収容された光ディスク20が示されている。図11におけるマグネットチャック42の上面とアーム12の上面は同一平面上にあるが、円形プレート22の厚さをカートリッジ11のケーシングの厚さを考慮して規定することで、光ディスク20のディスク基板21とカートリッジ11の外壁の内面との距離を円形プレート22によって規定することが可能となる。
【0069】
また、マグネットチャック42としては、例えば図12に示されるように、大径部42aの上面に円形プレートの丸孔22aに挿入可能で、+Z側の面にすり鉢上の凹部が形成された突出部42eが形成されたものを用いてもよい。これによっても、磁石ユニット52による光ディスク20の搬出及び搬入の際に、励磁部52bの−Z側端部の球面が、円柱状部42cの凹部に嵌合することで光ディスク20の中心だしを容易に行なうことが可能となる。また、突出部42eの側面は上端から下端にかけて外径が大きくなるようなテーパー形状としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態及び変形例にかかるディスク装置100では、安定化部材30により可撓性のある光ディスク20,20’を安定化する場合について説明したが、これに限らず、例えば、磁気ディスクや光磁気ディスクなどの可撓性を有するディスクにも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明のディスク装置100は、可撓性のあるディスクに対し、情報の再生及び記録を行なうのに適しており、本発明のカートリッジ40は、可撓性のある光ディスクを収納するのに適しており、本発明の光ディスク20は情報の再生及び記録を行なうのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるディスク装置100の概略的な構成を示す図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は図1における光ディスク20を説明するための図である。
【図3】図1における安定化部材30を示す平面図である。
【図4】図1におけるマグネットチャック42近傍の縦断面図である。
【図5】図5(A)は搬送装置50の磁石ユニット52の側面図であり、図5(B)は磁石ユニット52の縦断面図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、ディスク20の搬入方法を説明するための図(その1)である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、ディスク20の搬入方法を説明するための図(その2)である。
【図8】ディスク装置100の変形例を説明するための図である。
【図9】面ぶれ特性曲線を示す図である。
【図10】安定化部材の基準位置とディスク基板21の距離の最適範囲を説明するための図である。
【図11】内壁面が安定化部材をかねるカートリッジに収容されたディスク20にと円形プレート22の厚さとの関係を説明するための図である。
【図12】マグネットチャック42の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
10…本体(ハウジング)、11…カートリッジ、20…光ディスク、21…ディスク基板、22…円形プレート、21a,22a…丸孔、26…ピックアップ、30…安定化部材、42…マグネットチャック、44…ディスクチャック、40…モータ、40a…スピンドルシャフト、50…搬送装置、51…アーム、52…磁石ユニット、52a…ベース、励磁部52b、52c…コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するディスクを回転させて、ヘッドの走査により前記ディスクの情報記録領域に対する情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置であって、
前記ディスクの中心部に設けられたハブを固定するチャックをその先端部に有し、前記チャックに固定されたディスクを回転駆動する駆動機構と;
前記チャックがその中央部の円形開口内に所定の空隙を介して配置され、前記ディスクの少なくとも情報記録領域に対応する形状の対向面を有し、前記ハブの厚さに応じて、前記ディスクと前記対向面との間隔が所定範囲となるように、前記対向面と前記チャック表面とのディスク回転軸方向に関する位置関係が設定された安定化部材と;を備えるディスク装置。
【請求項2】
前記対向面と前記チャック表面とは、面一に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記チャックに対し前記ディスクの搬出入を行なう搬送機構を更に備え、該搬送機構は、前記ディスクのハブ以外の部分に干渉することなく、前記ハブを吸着して前記ディスクを保持する保持機構を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項4】
可撓性を有するディスクの中心部に設けられたハブを固定するチャックをその先端部に有し、前記チャックに固定されたディスクを回転させて、ヘッドの走査により前記ディスクの情報記録領域に対する情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置に用いられるカートリッジであって、
前記ディスクがその内部に収納されるとともに、前記ディスクに対向する側の壁が前記ディスクに空気力学的な力を作用させる安定化部材を兼ね、
前記ディスクと前記壁のディスク対向面との間隔が所定範囲になるように、前記壁の厚さに応じて前記ハブの厚さが設定されていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項5】
可撓性を有するディスクの中心部のハブを固定するチャックをその先端部に有し、前記チャックに固定されたディスクを回転させる駆動機構と、前記ディスクの少なくとも情報記録領域に対向する対向面を有する安定化部材とを備え、前記駆動機構により前記チャックに固定されたディスクを回転させて、ヘッドの走査により前記ディスクの情報記録領域に対する情報の記録及び再生の少なくとも一方を行なうディスク装置に用いられるディスクであって、
円形の基板からなるディスク本体と;
前記ディスク本体の一方の面の中心部に一体的に設けられた前記ハブとなる円形プレートと;を備え、
前記ディスク本体と前記対向面との間隔が所定範囲となるように、前記対向面と前記チャック表面とのディスク回転軸方向に関する位置関係に応じて、前記円形プレートの厚さが設定されていることを特徴とするディスク。
【請求項6】
前記円形プレートの厚さが10μm〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項5に記載のディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−141423(P2007−141423A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337887(P2005−337887)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(503391577)長太郎エンジニアリング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】