ディスク装置およびディスク検出アームの形成方法
【課題】ディスク装置1において、ローラ5がディスク検出アーム2を抑え込む力を軽減すること。
【解決手段】ディスク面に当接し回転運動によって当該ディスク8を搬送するローラ5と、ディスク8の縁と当接し、当該ディスク8の搬送に伴って回動するディスク検出アーム2と、ディスク8の搬送が完了したときに、ローラ5をディスク面から切り離してディスク検出アーム2側に移動させるモータ7と、を備えるディスク装置1において、ディスク検出アーム2の一部に、モータ7がローラ5を移動させたときにローラ5に弾力を有して接触する突出部としての板状バネ3を備える。
【解決手段】ディスク面に当接し回転運動によって当該ディスク8を搬送するローラ5と、ディスク8の縁と当接し、当該ディスク8の搬送に伴って回動するディスク検出アーム2と、ディスク8の搬送が完了したときに、ローラ5をディスク面から切り離してディスク検出アーム2側に移動させるモータ7と、を備えるディスク装置1において、ディスク検出アーム2の一部に、モータ7がローラ5を移動させたときにローラ5に弾力を有して接触する突出部としての板状バネ3を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置およびディスク検出アームの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVDなどを再生またはCD、DVDなどに情報を記録するディスク装置には、様々な可動部品が使われている。その可動部品の一つにディスク検出アームがある。このディスク検出アームは、ディスク装置にディスクが挿入されたことや排出されたことを検出するための部品である。
【0003】
一般的に、ディスク検出アームのような可動部品は、スムーズに可動するために他の部品との間で僅かに隙間を有するように組み込まれている。よって、ディスク装置に振動が加えられるような状況下では、可動部品も振動し、その周囲の部品と接触することにより異音が発生する場合がある。したがって、ディスク検出アームのような可動部品は、その役割を果たしていないときには、固定されることが好ましい。
【0004】
ここで、ディスク検出アームの固定方法についての従来例を説明する。図12〜図18は、従来のディスク検出アームの固定方法を説明するための図である。まず、ディスク装置50の要部構成について図12を参照して説明する。ディスク装置50は、ディスク検出アーム51、ディスク検出アーム51上に形成された凸部であるリブ52、ディスク検出アーム51が回動する中心となる軸53、ディスク搬送用のローラ54、ディスク挿入完了を検出するトリガレバー55、ローラ54を駆動するためのモータ56を備える。
【0005】
次に、従来のディスク装置50における各部の動作を説明する。図12に示すように、ディスク装置50にディスク57が挿入されると、ディスク検出アーム51にディスク57の縁が当接する。ディスク検出アーム51は、挿入されたディスク57の縁が当接することにより軸53を中心として回動する。このディスク検出アーム51の回動の状況はセンサ(不図示)などによって電気信号に変換される。ディスク装置50の制御部(不図示)は、電気信号に変換されたディスク検出アーム51の回動状況を検出することによって、ディスク57の挿入や排出を検出することができる。
【0006】
ディスク装置50の制御部は、ディスク57が挿入されたことをディスク検出アーム51の回動によって検出すると、モータ56を駆動することによってディスク搬送用のローラ54を回転させる。ローラ54は、ディスク57の裏面に当接し、ディスク57を所定の位置へと搬送する。
【0007】
図13に示すように、ディスク57がローラ54の回転によって所定の位置まで搬送されると、ディスク57の縁は、トリガレバー55に当接する。トリガレバー55にディスク57の縁が当接すると、トリガレバー55の回動によってメカ的に機構の駆動伝達が切替えられる。また、ディスク57がトリガレバー55に当接すると、図14に示すように、モータ56の駆動によってローラ54をリブ52の方向(矢示方向)に移動させる。図15は、ディスク検出アーム51の斜視図である。図15に示すように、ディスク検出アーム51には上述のリブ52が一体に形成されている。
【0008】
図16は、図12の状態を上から観た図である。また、図17は、図14の状態を上から観た図である。図16、図17に示すように、ディスク検出アーム51は、ディスク57の挿入部の左右に2個設けられている(例えば、特許文献1参照)。ディスク検出アーム51は、ディスク57の位置に応じて軸53を中心にして回動する。ディスク57の挿入(搬送)は、トリガレバー55にディスク57の縁が当接し、トリガレバー55が所定の角度だけ回動する位置で完了する。
【0009】
【特許文献1】特開平10−3722
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図18は、図14、図17の状態をディスク57の挿入方向から観た図である。図18に示すように、ローラ54がディスク検出アーム51の方向(矢示方向)に移動することにより、ローラ54とディスク検出アーム51上に設けられているリブ52とが当接している。これにより、ディスク検出アーム51は、ローラ54の圧力によって固定されることとなる。
【0011】
このときに、ローラ54が下がりきる位置の寸法のバラツキを考慮し、いかなる場合もローラ54とリブ52とが当接するようにする必要がある。よって、ローラ54がリブ52に当接してからさらにローラ54がリブ52を抑え込むようにローラ54を押し下げるモータ56の駆動トルクを設定する必要がある。これにより、図18に示すように、ローラ54は、リブ52に当接して撓みを有するようになる。
【0012】
このような従来のディスク検出アーム51の固定方法では、ローラ54がリブ52をローラ54に撓みが生じるほどのかなり大きな荷重によって抑え込む必要がある。これにより、ローラ54をリブ52方向に押し下げるためのモータ56の駆動トルクも大きくなる。このように大きな駆動トルクを、ディスク57を挿入する度に発生させることはモータ56の寿命を大幅に短縮させる要因になるため好ましくない。
【0013】
また、ローラ54がリブ52を抑え込む力は、モータ56の駆動トルクの他にローラ54の弾力にも依存する。ローラ54の材質が例えばゴムであるとすると、気温の高い夏と気温の低い冬とでは、その弾力は大きく変化する。よって、モータ56の駆動トルクは、弾力が小さくなる冬場に合わせる必要があり、その駆動トルクはかなり大きい数値となる。このような大きな駆動トルクの発生は、モータ56の寿命にとって好ましくない。
【0014】
また、モータ駆動負荷を小さくするためには、複数部品の寸法公差を縮める(少なくする)必要があり、ディスク装置50の設計、組み立て、調整、管理(在庫管理、輸送管理など)が難しくなる。
【0015】
さらに、ローラ54がリブ52に押し付けられることにより、ローラ54の形状に変形が生じる可能性があることも好ましくない。
【0016】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、ローラがディスク検出アームを抑え込む力を軽減することができるディスク装置およびディスク検出アームの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のディスク装置は、ディスク面に当接し回転運動によって当該ディスクを搬送するローラと、ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームと、ディスクの搬送が完了したときに、ローラをディスク面から切り離してディスク検出アーム側に移動させる手段と、を備えるディスク装置において、ディスク検出アームの一部に、移動させる手段がローラを移動させたときにローラに弾力を有して接触する突出部を備えるものである。例えば、突出部は、板状のバネである。
【0018】
本発明のディスク検出アームの形成方法は、ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームの形成方法において、ディスク検出アームを形成する部材の一部を板状のバネとして形成するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ローラがディスク検出アームを抑え込む力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(本発明の実施の形態に係るディスク装置1の構成について)
本発明の実施の形態に係るディスク装置1の構成について説明する。図1〜図8は、本発明の実施の形態に係るディスク検出アームの固定方法を説明するための図である。ディスク装置1は、ディスク検出アーム2、ディスク検出アーム2上に形成された板状の突出部である板状バネ3、ディスク検出アーム2が回動する中心となる軸4、ディスク搬送用のローラ5、ディスク挿入に際して回動するトリガレバー6、ローラ5を駆動するためのモータ7を備える。
【0021】
(本発明の実施の形態に係るディスク装置1の動作について)
本発明の実施の形態に係るディスク装置1の動作については、従来のディスク装置50で説明したものと同様である。すなわち、従来のディスク装置50の動作の説明におけるディスク検出アーム51、軸53、ローラ54、トリガレバー55、モータ56は、ディスク装置1のディスク検出アーム2、軸4、ローラ5、トリガレバー6、モータ7にそれぞれ対応している。よって、これらの各部に係る動作の説明は省略し、ディスク装置50のリブ52とは異なる板状バネ3の動作について主に説明する。
【0022】
ディスク検出アーム2を形成する部材の一部に、モータ7の駆動によりローラ5を図3の矢示方向に移動させたときに、ローラ5に弾力を有して接触する突出部として板状バネ3を備える。図4、図5に、ディスク検出アーム2および板状バネ3、3Aの斜視図を示す。板状バネ3、3Aは、ディスク検出アーム2を、金型などを用いて形成する際に、ディスク検出アーム2を形成する部材の一部を板状の突出部として一体に形成することができる。
【0023】
また、金型は従来からのものを使用するような場合には、ディスク検出アーム2の部材に簡単な加工を施すことにより板状バネ3、3Aを形成することができる。例えば、ディスク検出アーム2を形成する部材の一部に長方形の切り込みを入れる。この長方形の切り込みの内部の部材に熱を加えながら反りを与えることにより、板状バネ3、3Aを形成することができる。
【0024】
板状バネ3を形成する際には、板状バネ3とディスク検出アーム2との付け根部分のみを反らせればよい。また、板状バネ3Aを形成する際には、長方形の切り込みの内部の部材の全体に熱を加えながら円形に反らせて形成する。なお、以下の説明では、板状バネ3のみについて説明するが板状バネ3Aも含むものとする。
【0025】
図6は、図1の状態を上から観た図である。図7は、図3の状態を上から観た図である。図8は、図3、図7の状態をディスク7の挿入方向から観た図である。図8に示すように、ローラ5がディスク検出アーム2の方向(矢示方向)に移動することにより、ローラ5とディスク検出アーム2上に設けられている板状バネ3とが当接している。これにより、ディスク検出アーム2は、板状バネ3の圧力によって固定される(上方から下方に向かって押し付けられる)こととなる。
【0026】
(ディスク装置1の実態的な構成図)
次に、ディスク装置1の実態的な構成について図9〜図11を参照して説明する。図9は、ディスク装置1の斜視図である。図10は、ディスク装置1におけるディスク8の搬送時の状態を示す図である。また、図11はディスク装置1におけるディスク8の搬送完了の状態(またはディスク8の再生時の状態)を示す図である。図10と図11とを見比べると、図10ではディスク検出アーム2の上部にあったローラ5が図11ではディスク検出アーム2の下部に移動していることがわかる。このときに、図10ではローラ5とは離れていた板状バネ3が図11ではローラ10によって押し下げられていることがわかる。
【0027】
(ディスク装置1に係る効果について)
次に、ディスク装置1に係る効果について説明する。ディスク装置50がローラ54を撓ませる構造であるのに対し、ディスク装置1は板状バネ3を撓ませる構造となっている。すなわち、ディスク装置50ではローラ54を撓ませることによってリブ52を介してディスク検出アーム51を抑え込んでいる。これに対し、ディスク装置1では、ローラ5は、単に、板状バネ3の一端を抑えているだけであり、板状バネ3の撓みによってディスク検出アーム2を下方に向けて抑え込んでいる。
【0028】
これにより、ローラ54がリブ52を介してディスク検出アーム51を直接的に抑え込む場合の荷重と比べ、ローラ5が板状バネ3を介してディスク検出アーム2を間接的に抑え込む場合の荷重はきわめて小さくすることができる。加えて、ディスク検出アーム51等に生じるガタツキを良好に解消可能となる。また、ローラ5の位置は、図8に示す板状バネ3の可動範囲に収まればどの位置であってもよい。したがって、ローラ5の位置精度は高い精度を必要としない。また、モータ7がローラ5を図8の矢示方向に移動させる際の駆動トルクは、板状バネ3の可動範囲内であれば、ほぼ一定である。よって、ローラ5の位置にズレが生じた場合でもこれによりモータ7に過負荷が掛かることはない。
【0029】
これにより、モータ7の寿命を短くする要因を取り除くことができると共に、ディスク装置1の設計、組み立て、調整、管理(在庫管理、輸送管理など)を容易にすることができる。
【0030】
さらに、ローラ5が過大な力で板状バネ3に押し付けられるようなことも無く、ローラ5に変形が生じる現象を防ぐことができる。
【0031】
また、板状バネ3はその形状が単純なため、ディスク検出アーム2の形成と一体に形成することは、板金加工(ディスク検出アーム51が金属製の場合)またはプラスチックの形成技術の分野から観てきわめて容易である。また、金型自体には板状バネ3の部分の加工を施さず、ディスク検出アーム2上に板状バネ3を追加加工する際にも板状バネ3はその形状が単純であるため追加加工は容易である。これにより、板状バネ3を有するディスク検出アーム2の製造コストおよび製造時間を削減することができる。
【0032】
(変形例)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。例えば、ディスク検出アーム2が板状バネ3を有する例を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ディスク検出アーム2が板状バネ3ではなく螺旋状のバネ(このとき、螺旋状のバネは別体的なものとなる)を備えてもよい。また、ディスク検出アーム2は、板状バネ3あるいは螺旋状のバネを複数有してもよい。
【0033】
このときに、板状バネ3に相当するバネ部分をディスク検出アーム2の形成と一体に形成するのではなく、ディスク検出アーム2にバネ部材を取り付けることによって板状バネ3に相当する部分を形成してもよい。これによれば、螺旋状のバネなどを容易に用いることができる。また、これによれば、ディスク検出アーム2が樹脂製である場合でもバネ部材だけを金属製などとすることができる。さらに、これによれば、バネ部材の設計自由度や材質選択の自由度が高くなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であると共に当該ディスク装置の要部構成およびディスクの挿入開始状態を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、図1に示したディスク挿入開始状態の次の過程を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、ディスク挿入完了状態を示す図である。
【図4】図1〜図3に示したディスク検出アームおよび板状バネの斜視図である。
【図5】図1〜図3に示したディスク検出アームおよび板状バネの斜視図であり、図4とは異なる形状の板状バネを示す斜視図である。
【図6】図1のディスク挿入開始状態をディスク装置の上から観た図である。
【図7】図3のディスク挿入完了状態をディスク装置の上から観た図である。
【図8】図3、図7のディスク挿入完了状態におけるディスク検出アーム、ローラ、板状バネの状態をディスクの挿入方向から観た図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るディスク装置の実態的な斜視図である。
【図10】図9に示すディスク装置におけるディスクの搬送時の状態を示す図である。
【図11】図9に示すディスク装置におけるディスクの搬送完了時の状態を示す図である。
【図12】従来例のディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であると共に当該ディスク装置の要部構成およびディスクの挿入開始状態を示す図である。
【図13】従来例のディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、図12に示したディスク挿入開始状態の次の過程を示す図である。
【図14】従来例のディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、ディスク挿入完了状態を示す図である。
【図15】図12〜図14に示したディスク検出アームおよびリブの斜視図である。
【図16】図12のディスク挿入開始状態をディスク装置の上から観た図である。
【図17】図14のディスク挿入完了状態をディスク装置の上から観た図である。
【図18】図14、図17のディスク挿入完了状態におけるディスク検出アーム、ローラ、リブの状態をディスクの挿入方向から観た図である。
【符号の説明】
【0035】
1…ディスク装置、2…ディスク検出アーム、3、3A…板状バネ(突出部)、4…軸、5…ローラ、6…トリガレバー、7…モータ(移動させる手段)、8…ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置およびディスク検出アームの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVDなどを再生またはCD、DVDなどに情報を記録するディスク装置には、様々な可動部品が使われている。その可動部品の一つにディスク検出アームがある。このディスク検出アームは、ディスク装置にディスクが挿入されたことや排出されたことを検出するための部品である。
【0003】
一般的に、ディスク検出アームのような可動部品は、スムーズに可動するために他の部品との間で僅かに隙間を有するように組み込まれている。よって、ディスク装置に振動が加えられるような状況下では、可動部品も振動し、その周囲の部品と接触することにより異音が発生する場合がある。したがって、ディスク検出アームのような可動部品は、その役割を果たしていないときには、固定されることが好ましい。
【0004】
ここで、ディスク検出アームの固定方法についての従来例を説明する。図12〜図18は、従来のディスク検出アームの固定方法を説明するための図である。まず、ディスク装置50の要部構成について図12を参照して説明する。ディスク装置50は、ディスク検出アーム51、ディスク検出アーム51上に形成された凸部であるリブ52、ディスク検出アーム51が回動する中心となる軸53、ディスク搬送用のローラ54、ディスク挿入完了を検出するトリガレバー55、ローラ54を駆動するためのモータ56を備える。
【0005】
次に、従来のディスク装置50における各部の動作を説明する。図12に示すように、ディスク装置50にディスク57が挿入されると、ディスク検出アーム51にディスク57の縁が当接する。ディスク検出アーム51は、挿入されたディスク57の縁が当接することにより軸53を中心として回動する。このディスク検出アーム51の回動の状況はセンサ(不図示)などによって電気信号に変換される。ディスク装置50の制御部(不図示)は、電気信号に変換されたディスク検出アーム51の回動状況を検出することによって、ディスク57の挿入や排出を検出することができる。
【0006】
ディスク装置50の制御部は、ディスク57が挿入されたことをディスク検出アーム51の回動によって検出すると、モータ56を駆動することによってディスク搬送用のローラ54を回転させる。ローラ54は、ディスク57の裏面に当接し、ディスク57を所定の位置へと搬送する。
【0007】
図13に示すように、ディスク57がローラ54の回転によって所定の位置まで搬送されると、ディスク57の縁は、トリガレバー55に当接する。トリガレバー55にディスク57の縁が当接すると、トリガレバー55の回動によってメカ的に機構の駆動伝達が切替えられる。また、ディスク57がトリガレバー55に当接すると、図14に示すように、モータ56の駆動によってローラ54をリブ52の方向(矢示方向)に移動させる。図15は、ディスク検出アーム51の斜視図である。図15に示すように、ディスク検出アーム51には上述のリブ52が一体に形成されている。
【0008】
図16は、図12の状態を上から観た図である。また、図17は、図14の状態を上から観た図である。図16、図17に示すように、ディスク検出アーム51は、ディスク57の挿入部の左右に2個設けられている(例えば、特許文献1参照)。ディスク検出アーム51は、ディスク57の位置に応じて軸53を中心にして回動する。ディスク57の挿入(搬送)は、トリガレバー55にディスク57の縁が当接し、トリガレバー55が所定の角度だけ回動する位置で完了する。
【0009】
【特許文献1】特開平10−3722
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図18は、図14、図17の状態をディスク57の挿入方向から観た図である。図18に示すように、ローラ54がディスク検出アーム51の方向(矢示方向)に移動することにより、ローラ54とディスク検出アーム51上に設けられているリブ52とが当接している。これにより、ディスク検出アーム51は、ローラ54の圧力によって固定されることとなる。
【0011】
このときに、ローラ54が下がりきる位置の寸法のバラツキを考慮し、いかなる場合もローラ54とリブ52とが当接するようにする必要がある。よって、ローラ54がリブ52に当接してからさらにローラ54がリブ52を抑え込むようにローラ54を押し下げるモータ56の駆動トルクを設定する必要がある。これにより、図18に示すように、ローラ54は、リブ52に当接して撓みを有するようになる。
【0012】
このような従来のディスク検出アーム51の固定方法では、ローラ54がリブ52をローラ54に撓みが生じるほどのかなり大きな荷重によって抑え込む必要がある。これにより、ローラ54をリブ52方向に押し下げるためのモータ56の駆動トルクも大きくなる。このように大きな駆動トルクを、ディスク57を挿入する度に発生させることはモータ56の寿命を大幅に短縮させる要因になるため好ましくない。
【0013】
また、ローラ54がリブ52を抑え込む力は、モータ56の駆動トルクの他にローラ54の弾力にも依存する。ローラ54の材質が例えばゴムであるとすると、気温の高い夏と気温の低い冬とでは、その弾力は大きく変化する。よって、モータ56の駆動トルクは、弾力が小さくなる冬場に合わせる必要があり、その駆動トルクはかなり大きい数値となる。このような大きな駆動トルクの発生は、モータ56の寿命にとって好ましくない。
【0014】
また、モータ駆動負荷を小さくするためには、複数部品の寸法公差を縮める(少なくする)必要があり、ディスク装置50の設計、組み立て、調整、管理(在庫管理、輸送管理など)が難しくなる。
【0015】
さらに、ローラ54がリブ52に押し付けられることにより、ローラ54の形状に変形が生じる可能性があることも好ましくない。
【0016】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、ローラがディスク検出アームを抑え込む力を軽減することができるディスク装置およびディスク検出アームの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のディスク装置は、ディスク面に当接し回転運動によって当該ディスクを搬送するローラと、ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームと、ディスクの搬送が完了したときに、ローラをディスク面から切り離してディスク検出アーム側に移動させる手段と、を備えるディスク装置において、ディスク検出アームの一部に、移動させる手段がローラを移動させたときにローラに弾力を有して接触する突出部を備えるものである。例えば、突出部は、板状のバネである。
【0018】
本発明のディスク検出アームの形成方法は、ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームの形成方法において、ディスク検出アームを形成する部材の一部を板状のバネとして形成するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ローラがディスク検出アームを抑え込む力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(本発明の実施の形態に係るディスク装置1の構成について)
本発明の実施の形態に係るディスク装置1の構成について説明する。図1〜図8は、本発明の実施の形態に係るディスク検出アームの固定方法を説明するための図である。ディスク装置1は、ディスク検出アーム2、ディスク検出アーム2上に形成された板状の突出部である板状バネ3、ディスク検出アーム2が回動する中心となる軸4、ディスク搬送用のローラ5、ディスク挿入に際して回動するトリガレバー6、ローラ5を駆動するためのモータ7を備える。
【0021】
(本発明の実施の形態に係るディスク装置1の動作について)
本発明の実施の形態に係るディスク装置1の動作については、従来のディスク装置50で説明したものと同様である。すなわち、従来のディスク装置50の動作の説明におけるディスク検出アーム51、軸53、ローラ54、トリガレバー55、モータ56は、ディスク装置1のディスク検出アーム2、軸4、ローラ5、トリガレバー6、モータ7にそれぞれ対応している。よって、これらの各部に係る動作の説明は省略し、ディスク装置50のリブ52とは異なる板状バネ3の動作について主に説明する。
【0022】
ディスク検出アーム2を形成する部材の一部に、モータ7の駆動によりローラ5を図3の矢示方向に移動させたときに、ローラ5に弾力を有して接触する突出部として板状バネ3を備える。図4、図5に、ディスク検出アーム2および板状バネ3、3Aの斜視図を示す。板状バネ3、3Aは、ディスク検出アーム2を、金型などを用いて形成する際に、ディスク検出アーム2を形成する部材の一部を板状の突出部として一体に形成することができる。
【0023】
また、金型は従来からのものを使用するような場合には、ディスク検出アーム2の部材に簡単な加工を施すことにより板状バネ3、3Aを形成することができる。例えば、ディスク検出アーム2を形成する部材の一部に長方形の切り込みを入れる。この長方形の切り込みの内部の部材に熱を加えながら反りを与えることにより、板状バネ3、3Aを形成することができる。
【0024】
板状バネ3を形成する際には、板状バネ3とディスク検出アーム2との付け根部分のみを反らせればよい。また、板状バネ3Aを形成する際には、長方形の切り込みの内部の部材の全体に熱を加えながら円形に反らせて形成する。なお、以下の説明では、板状バネ3のみについて説明するが板状バネ3Aも含むものとする。
【0025】
図6は、図1の状態を上から観た図である。図7は、図3の状態を上から観た図である。図8は、図3、図7の状態をディスク7の挿入方向から観た図である。図8に示すように、ローラ5がディスク検出アーム2の方向(矢示方向)に移動することにより、ローラ5とディスク検出アーム2上に設けられている板状バネ3とが当接している。これにより、ディスク検出アーム2は、板状バネ3の圧力によって固定される(上方から下方に向かって押し付けられる)こととなる。
【0026】
(ディスク装置1の実態的な構成図)
次に、ディスク装置1の実態的な構成について図9〜図11を参照して説明する。図9は、ディスク装置1の斜視図である。図10は、ディスク装置1におけるディスク8の搬送時の状態を示す図である。また、図11はディスク装置1におけるディスク8の搬送完了の状態(またはディスク8の再生時の状態)を示す図である。図10と図11とを見比べると、図10ではディスク検出アーム2の上部にあったローラ5が図11ではディスク検出アーム2の下部に移動していることがわかる。このときに、図10ではローラ5とは離れていた板状バネ3が図11ではローラ10によって押し下げられていることがわかる。
【0027】
(ディスク装置1に係る効果について)
次に、ディスク装置1に係る効果について説明する。ディスク装置50がローラ54を撓ませる構造であるのに対し、ディスク装置1は板状バネ3を撓ませる構造となっている。すなわち、ディスク装置50ではローラ54を撓ませることによってリブ52を介してディスク検出アーム51を抑え込んでいる。これに対し、ディスク装置1では、ローラ5は、単に、板状バネ3の一端を抑えているだけであり、板状バネ3の撓みによってディスク検出アーム2を下方に向けて抑え込んでいる。
【0028】
これにより、ローラ54がリブ52を介してディスク検出アーム51を直接的に抑え込む場合の荷重と比べ、ローラ5が板状バネ3を介してディスク検出アーム2を間接的に抑え込む場合の荷重はきわめて小さくすることができる。加えて、ディスク検出アーム51等に生じるガタツキを良好に解消可能となる。また、ローラ5の位置は、図8に示す板状バネ3の可動範囲に収まればどの位置であってもよい。したがって、ローラ5の位置精度は高い精度を必要としない。また、モータ7がローラ5を図8の矢示方向に移動させる際の駆動トルクは、板状バネ3の可動範囲内であれば、ほぼ一定である。よって、ローラ5の位置にズレが生じた場合でもこれによりモータ7に過負荷が掛かることはない。
【0029】
これにより、モータ7の寿命を短くする要因を取り除くことができると共に、ディスク装置1の設計、組み立て、調整、管理(在庫管理、輸送管理など)を容易にすることができる。
【0030】
さらに、ローラ5が過大な力で板状バネ3に押し付けられるようなことも無く、ローラ5に変形が生じる現象を防ぐことができる。
【0031】
また、板状バネ3はその形状が単純なため、ディスク検出アーム2の形成と一体に形成することは、板金加工(ディスク検出アーム51が金属製の場合)またはプラスチックの形成技術の分野から観てきわめて容易である。また、金型自体には板状バネ3の部分の加工を施さず、ディスク検出アーム2上に板状バネ3を追加加工する際にも板状バネ3はその形状が単純であるため追加加工は容易である。これにより、板状バネ3を有するディスク検出アーム2の製造コストおよび製造時間を削減することができる。
【0032】
(変形例)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。例えば、ディスク検出アーム2が板状バネ3を有する例を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ディスク検出アーム2が板状バネ3ではなく螺旋状のバネ(このとき、螺旋状のバネは別体的なものとなる)を備えてもよい。また、ディスク検出アーム2は、板状バネ3あるいは螺旋状のバネを複数有してもよい。
【0033】
このときに、板状バネ3に相当するバネ部分をディスク検出アーム2の形成と一体に形成するのではなく、ディスク検出アーム2にバネ部材を取り付けることによって板状バネ3に相当する部分を形成してもよい。これによれば、螺旋状のバネなどを容易に用いることができる。また、これによれば、ディスク検出アーム2が樹脂製である場合でもバネ部材だけを金属製などとすることができる。さらに、これによれば、バネ部材の設計自由度や材質選択の自由度が高くなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であると共に当該ディスク装置の要部構成およびディスクの挿入開始状態を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、図1に示したディスク挿入開始状態の次の過程を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、ディスク挿入完了状態を示す図である。
【図4】図1〜図3に示したディスク検出アームおよび板状バネの斜視図である。
【図5】図1〜図3に示したディスク検出アームおよび板状バネの斜視図であり、図4とは異なる形状の板状バネを示す斜視図である。
【図6】図1のディスク挿入開始状態をディスク装置の上から観た図である。
【図7】図3のディスク挿入完了状態をディスク装置の上から観た図である。
【図8】図3、図7のディスク挿入完了状態におけるディスク検出アーム、ローラ、板状バネの状態をディスクの挿入方向から観た図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るディスク装置の実態的な斜視図である。
【図10】図9に示すディスク装置におけるディスクの搬送時の状態を示す図である。
【図11】図9に示すディスク装置におけるディスクの搬送完了時の状態を示す図である。
【図12】従来例のディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であると共に当該ディスク装置の要部構成およびディスクの挿入開始状態を示す図である。
【図13】従来例のディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、図12に示したディスク挿入開始状態の次の過程を示す図である。
【図14】従来例のディスク装置におけるディスク検出アームの固定方法を説明する図であり、ディスク挿入完了状態を示す図である。
【図15】図12〜図14に示したディスク検出アームおよびリブの斜視図である。
【図16】図12のディスク挿入開始状態をディスク装置の上から観た図である。
【図17】図14のディスク挿入完了状態をディスク装置の上から観た図である。
【図18】図14、図17のディスク挿入完了状態におけるディスク検出アーム、ローラ、リブの状態をディスクの挿入方向から観た図である。
【符号の説明】
【0035】
1…ディスク装置、2…ディスク検出アーム、3、3A…板状バネ(突出部)、4…軸、5…ローラ、6…トリガレバー、7…モータ(移動させる手段)、8…ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク面に当接し回転運動によって当該ディスクを搬送するローラと、
上記ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームと、
上記ディスクの搬送が完了したときに、上記ローラを上記ディスク面から切り離して上記ディスク検出アーム側に移動させる手段と、
を備えるディスク装置において、
上記ディスク検出アームの一部に、上記移動させる手段が上記ローラを移動させたときに上記ローラに弾力を有して接触する突出部を備える、
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載のディスク装置において、
前記突出部は、板状のバネである、
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームの形成方法において、
上記ディスク検出アームを形成する部材の一部を板状のバネとして形成する、
ことを特徴とするディスク検出アームの形成方法。
【請求項1】
ディスク面に当接し回転運動によって当該ディスクを搬送するローラと、
上記ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームと、
上記ディスクの搬送が完了したときに、上記ローラを上記ディスク面から切り離して上記ディスク検出アーム側に移動させる手段と、
を備えるディスク装置において、
上記ディスク検出アームの一部に、上記移動させる手段が上記ローラを移動させたときに上記ローラに弾力を有して接触する突出部を備える、
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載のディスク装置において、
前記突出部は、板状のバネである、
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
ディスクの縁と当接し、当該ディスクの搬送に伴って回動するディスク検出アームの形成方法において、
上記ディスク検出アームを形成する部材の一部を板状のバネとして形成する、
ことを特徴とするディスク検出アームの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−153001(P2010−153001A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332094(P2008−332094)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]