説明

ディスク装置

【課題】 クランプ不正常状態のときにそのクランプを停止してディスクを排出する。
【解決手段】 カムスライダ7に上段溝部8a及び下段溝部8cとその上下両段溝部8a
,8bをつなぐ傾斜溝部8bとからなるカム溝8が形成され、該カム溝8に嵌入させたカ
ムピン9がトラバースホルダ4の前面に突設され、該トラバースホルダ4の前面のカムピ
ン9から傾斜溝部8bに沿って斜め下側に補助ピン26が突設されており、クランプ不正
常状態のときにトラバースホルダ4が下向きに傾くことにより、補助ピン26を傾斜溝部
8bの下縁28に押し付け、その押し付けによりフィードモータにかかる電圧が上限設定
値に達したときに、それを制御部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータを逆
転駆動させてアンローディング動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置(例えばDVDレコーダやDVDプレーヤなど)に関し、クラ
ンプ不正常状態のときに、そのクランプを停止してディスクを排出するようにしたもので
ある。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク装置の技術として特許文献1などに記載したものがあり、その一例を図
7〜図13に基づいて説明すると、これはDVDレコーダであって、8cmまたは(12
cm)のディスクDを載置するためのトレイ1を前後進a,b可能に支持するローダーシ
ャーシ2が設けられ、該ローダーシャーシ2内にトラバースシャーシ3とトラバースホル
ダ4とが配置され、該トラバースシャーシ3の後部がゴムからなる左右一対の後側弾性体
5を介してローダーシャーシ2に上下動c,dに連結されると共に、そのトラバースシャ
ーシ3の前部がゴムからなる左右一対の前側弾性体6を介してトラバースホルダ4に連結
され、該トラバースホルダ4に対向するカムスライダ7がローダーシャーシ2に前後進a
,b方向とは直交する左右方向e,fにスライド可能に配置され、該カムスライダ7に左
右一対のカム溝8が形成され、該各カム溝8が、上段溝部8a及び下段溝部8cとその上
下両溝部8a,8cをつなぐ傾斜溝部8bとからなり、その各カム溝8に嵌入する左右一
対の円柱状カムピン9がトラバースホルダ4の前面に突設されている。
【0003】
前記トラバースシャーシ3の上面に左右一対のガイドレール11を介して光ピックアッ
プ12が配置され、該光ピックアップ12をラック・ピニオン機構(図示せず)を介して
前後進a,bさせるフィードモータ13がトラバースシャーシ3の下面に配置され、ター
ンテーブル14付きスピンドルモータ15がトラバースシャーシ3の前部に配置されてお
り、ターンテーブル14の中央に突設したヨーク付き突起部14aにディスクDの中央貫
通孔Daを嵌合させることにより、そのディスクDをターンテーブル14上に載置する。
【0004】
前記ターンテーブル14に対向してローダーシャーシ2の両側壁間に横桁17が架設さ
れ、該横桁17の中央部に形成した貫通孔17a内に永久磁石18付きクランパ19が一
定範囲内昇降可能に配置されており、その永久磁石18の磁力によりクランパ19とター
ンテーブル14とでディスクDをクランプする。
【0005】
図8に示すように、前記トレイ1には、その中央部に光ピックアップ12及びターンテ
ーブル14を通過させるための通過孔1aが貫設されると共に、8cmディスクDを収納
するための小径状の円形凹部1bと12cmディスクD(図示せず)を収納するための大
径状の円形凹部1cとが同心状に凹設されている。
【0006】
前記フィードモータ13によりギヤ機構及びクラッチ機構(図示せず)を介して正逆回
転g,hされるピニオン21がローダーシャーシ2の前部に配置され、該ピニオン21に
対向するスライド用ラック22(図7参照)がカムスライダ7の一端部に一体形成される
と共に、そのピニオン21に対向する前後進用ラック23(図9参照)がトレイ1の下面
に一体形成されている。なお、図12中、24はカムスライダ7の上面に突設した左右一
対の係合ピンであって、トレイ1の下面に形成した係合溝(図示せず)に係合される。
【0007】
上記した各構成部品はローダーシャーシ2内に組み込んだマイコンからなる制御部によ
り制御され、特に、フィードモータ13にかかる電圧がプログラムに予め書き込まれた上
限設定値に達したとき、その検知信号に基づいてフィードモータ13を逆転駆動させてア
ンローディング動作を行わせる。
【0008】
動作原理を説明すると、図7〜図9はプレイモードを示しており、トラバースシャーシ
3を上限位置まで上昇させて水平姿勢とし、ターンテーブル14の突起部14aをディス
クDの中央貫通孔Daに嵌入させることにより、該ディスクDをクランパ19とターンテ
ーブル14とでクランプしており、スピンドルモータ15によりターンテーブル14を介
してディスクDを高速回転させ、フィードモータ13によりラック・ピニオン機構(図示
せず)を介して光ピックアップ12を前後進a,bさせ、該光ピックアップ12によりデ
ィスクDに記録されている映像情報の再生や録画または消去をおこなう。
【0009】
プレイモードでアンローディング信号が制御部に入力されると、スピンドルモータ15
の駆動を停止し、フィードモータ13によりラック・ピニオン機構(図示せず)を介して
光ピックアップ12を最前進aさせた後、そのラック・ピニオン機構(図示せず)により
カムスライダ7を矢印e方向にわずかにスライドさせ、スライド用ラック22をピニオン
21に噛合させる。続いて、フィードモータ13によりギヤ機構及びクラッチ機構(図示
せず)を介してピニオン21を正転gさせ、カムスライダ7を矢印e方向にスライドさせ
る。
【0010】
これにより、図10及び図11に示すように、カムピン9がカム溝8の上段溝部8aか
ら傾斜溝部8bを通って下段溝部8cに移行され、トラバースホルダ4を介してトラバー
スシャーシ3を下限位置まで下動cさせ、ターンテーブル14上のディスクDをトレイ1
に受け渡す。
【0011】
その後、カムスライダ7が矢印e方向の最終端に達する直前にスライド用ラック22が
ピニオン21から離脱され、それとほぼ同時に、該カムスライダ7の両係合ピン24がト
レイ1の係合溝(図示せず)に係合されることにより、該トレイ1がわずかに前進aされ
、前後進用ラック23をピニオン21に噛合させる。続いて、フィードモータ13により
ピニオン21を正転gさせ、トレイ1を前進aさせる(図10仮想線参照)。その最前進
aしたトレイ1からディスクDを取り外し、新たなディスクDをトレイ1上に載置する。
【0012】
ローディング信号が制御部に入力されると、フィードモータ13によりピニオン21を
逆転hさせ、トレイ1を後進bさせる。該トレイ1が最後進b状態(図10実線参照)に
達する直前に、そのトレイ1の係合溝(図示せず)が両係合ピン24に係合されることに
より、カムスライダ7をわずかに矢印f方向にスライドさせてスライド用ラック22をピ
ニオン21に噛合させ、それとほぼ同時に、該ピニオン21から前後進用ラック23を離
脱させる。
【0013】
続いて、ピニオン21を逆転hさせることにより、カムスライダ7を矢印f方向にスラ
イドさせる。これにより、図7〜図9に示すように、カムピン9がカム溝8の下段溝部8
cから傾斜溝部8bを通って上段溝部8aに移行され、トラバースホルダ4を介してトラ
バースシャーシ3を上限位置まで上動dさせて水平姿勢とし、トレイ1上のディスクDを
ターンテーブル14により持ち上げ、該ディスクDをターンテーブル14とクランパ19
とでクランプし、プレイモードにする。
【0014】
図10に仮想線で示すように、例えば8cmディスクDを小径状の円形凹部1bから外
れた状態でトレイ1上に誤って載置することがあり、その状態でローディング信号に基づ
いてトレイ1を後進bさせ、図13に示すように、ターンテーブル14の突起部14aが
ディスクDの中央貫通孔Daに嵌入されない場合には、該ディスクDのクランプが正常に
行われず、その状態でスピンドルモータ15を駆動すると、ディスクDを損傷させること
になる。
【0015】
そこで、上記のようにディスクDのクランプが不正常のときには、ディスクDが突起部
14aと横桁17とで挟まれて、トラバースシャーシ3が上限位置まで達しない位置で停
止され、その一方で、フィードモータ13によりカムスライダ7を矢印f方向にスライド
させて、カムピン9が上段溝部8aまで移行されることにより、前側弾性体6が弾性変位
されてトラバースホルダ4が下向きに傾き、その弾性変形により発生した弾性力でカムピ
ン9がカム溝8の下縁に押し付けられ、その押し付けによる摩擦抵抗の増大でフィードモ
ータ13にかかるの電圧が上昇するので、その上昇した電圧が上限設定値に達したときに
、それを制御部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータ13を逆転駆動させて
、トラバースシャーシ3を下動cさせ、トレイ1を前進aさせてディスクDを取り出し、
そのディスクDが損傷されないようにする。
【特許文献1】特開2004−288333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記従来の構成では、ローディング信号に基づいて上動dさせたトラバースシャーシ3
が上限位置まで達しない位置で停止されたときには、クランプ不正常状態であるから、ト
ラバースホルダ4が下向きに傾くことにより、カムピン9がカム溝8の下縁に押し付けら
れてフィードモータ13にかかる電圧が上限設定値に達すると、そのクランプを停止する
ことになっているが、上記のようにカムピン9をカム溝8の下縁に押し付けるだけでは、
例えば前側弾性体6の弾性力低下などにより、そのカムピン9の押し付けによる摩擦抵抗
があまり増大しない場合があり、これでは、フィードモータ13にかかる電圧が上限設定
値に達せず、ディスクDのクランプが正常に行われていると判断して誤動作するおそれが
ある。
【0017】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、クランプ不正常状態のときに、そのクランプを停止
してディスクを排出するようにしたディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ディスク載置用トレイを前後進可
能に支持するローダーシャーシが設けられ、フィードモータにより前後進される光ピック
アップとターンテーブルとを搭載したトラバースシャーシの後部が後側弾性体を介して前
記ローダーシャーシに上下動可能に連結されると共に、該トラバースシャーシの前部が前
側弾性体を介してトラバースホルダに連結され、該トラバースホルダに対向するカムスラ
イダが前記ローダーシャーシに前後進方向とは直交する左右方向にスライド可能に配置さ
れ、該カムスライダに上段溝部及び下段溝部とその上下両段溝部をつなぐ傾斜溝部とから
なるカム溝が形成され、該カム溝に嵌入させたカムピンが前記トラバースホルダの前面に
突設されており、前記カムピンをカム溝の下段溝部に嵌入させることによりトラバースホ
ルダを介してトラバースシャーシを下限位置まで下動させた状態で、ローディング信号に
基づいてトレイを後進させてローダーシャーシ内に収納し、前記フィードモータによりカ
ムスライダを右方向または左方向にスライドさせ、カムピンをカム溝の傾斜溝部を通って
上段溝部に嵌入させることによりトラバースホルダを介してトラバースシャーシを上限位
置まで上動させ、ターンテーブルでトレイ上のディスクを持ち上げてクランプし、該ター
ンテーブルによりディスクを高速回転させ、該ディスクに記録されている情報を光ピック
アップにより読み取るようにしたディスク装置において、前記トラバースホルダの前面の
カムピンから前記傾斜溝部に沿って斜め下側に補助ピンが突設され、該補助ピンの横断面
形状が略矩形状に形成されると共に、その補助ピンの上下面が傾斜溝部の上下縁とほぼ平
行にされており、クランプ正常状態で、カムピンを傾斜溝部に沿って移動させるときに補
助ピンの上面を傾斜溝部の上縁に接近または当接させ、カムピンを上段溝部に嵌入させた
ときに補助ピンの下面を傾斜溝部の下縁に接近または当接させ、ローディング信号に基づ
いて上動させたトラバースシャーシが上限位置まで達しない位置で停止されてトラバース
ホルダが下向きに傾くことにより、補助ピンの下面を傾斜溝部の下縁に押し付け、その押
し付けにより前記フィードモータにかかる電圧が上限設定値に達したときに、それを制御
部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータを逆転駆動させてアンローディング
動作を行わせることを特徴としている。
【0019】
請求項2に記載の発明は、ディスク載置用トレイを前後進可能に支持するローダーシャ
ーシが設けられ、光ピックアップとターンテーブルとを搭載したトラバースシャーシの後
部が後側弾性体を介して前記ローダーシャーシに上下動可能に連結されると共に、該トラ
バースシャーシの前部が前側弾性体を介してトラバースホルダに連結され、該トラバース
ホルダに対向するカムスライダが前記ローダーシャーシに前後進方向とは直交する左右方
向にスライド可能に配置され、該カムスライダに上段溝部及び下段溝部とその上下両段溝
部をつなぐ傾斜溝部とからなるカム溝が形成され、該カム溝に嵌入させたカムピンが前記
トラバースホルダの前面に突設されており、前記カムピンをカム溝の下段溝部に嵌入させ
ることによりトラバースホルダを介してトラバースシャーシを下限位置まで下動させた状
態で、ローディング信号に基づいてトレイを後進させてローダーシャーシ内に収納し、フ
ィードモータによりカムスライダを右方向または左方向にスライドさせ、カムピンをカム
溝の傾斜溝部を通って上段溝部に嵌入させることによりトラバースホルダを介してトラバ
ースシャーシを上限位置まで上動させ、ターンテーブルでトレイ上のディスクを持ち上げ
てクランプし、該ターンテーブルによりディスクを高速回転させ、該ディスクに記録され
ている情報を光ピックアップにより読み取るようにしたディスク装置において、前記トラ
バースホルダの前面のカムピンから前記傾斜溝部に沿って斜め下側に補助ピンが突設され
ており、ローディング信号に基づいて上動させたトラバースシャーシが上限位置まで達し
ない位置で停止されてトラバースホルダが下向きに傾くことにより、補助ピンを傾斜溝部
の下縁に押し付け、その押し付けにより前記フィードモータにかかる電圧が上限設定値に
達したときに、それを制御部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータを逆転駆
動させてアンローディング動作を行わせることを特徴としている。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記補助ピンの横断面形状
が略矩形状に形成され、該補助ピンの上下面が傾斜溝部の上下縁とほぼ平行にされており
、クランプ正常状態で、カムピンを傾斜溝部に沿って移動させるときに補助ピンの上面を
傾斜溝部の上縁に接近または当接させ、カムピンを上段溝部に嵌入させたときに補助ピン
の下面を傾斜溝部の下縁に接近または当接させるようしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明は実施の一形態(図1〜図6参照)に対応するものであって、こ
れによれば、ローディング信号に基づいて上動させたトラバースシャーシが上限位置まで
達しない位置で停止されて、ディスクのクランプが不正常のときには、トラバースホルダ
が下向きに傾くことにより、カムピンをカム溝の下縁に押し付けるだけでなく、これに加
えて、補助ピンを傾斜溝部の下縁に押し付けるので、そのカムピン及び補助ピンの押し付
けによる摩擦抵抗が増大してフィードモータにかかるの電圧が上限設定値に達し、該フィ
ードモータを逆転駆動させてアンローディング動作を行わせることにより、ディスクのク
ランプを停止し、ディスクを損傷させることなく確実に排出することができる。
【0022】
また、ディスクのクランプが正常のときには、トラバースシャーシを上下動させる際に
、補助ピンの上下面が傾斜溝部の上縁または下縁に沿って移行するので、そのトラバース
シャーシの上下動及びトラバースホルダの昇降を安定して円滑に行わせることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明は基本形態に対応するものであって、ローディング信号に基づい
て上動させたトラバースシャーシが上限位置まで達しない位置で停止されて、ディスクの
クランプが不正常のときには、トラバースホルダが下向きに傾くことにより、カムピンを
カム溝の下縁に押し付けるだけでなく、これに加えて、補助ピンを傾斜溝部の下縁に押し
付けるので、そのカムピン及び補助ピンの押し付けによる摩擦抵抗が増大してフィードモ
ータにかかるの電圧が上限設定値に達し、該フィードモータを逆転駆動させてアンローデ
ィング動作を行わせることにより、ディスクのクランプを停止し、ディスクを損傷させる
ことなく確実に排出することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、ディスクのクランプが正常のときには、トラバースシ
ャーシを上下動させる際に、補助ピンの上下面が傾斜溝部の上縁または下縁に沿って移行
するので、そのトラバースシャーシの上下動及びトラバースホルダの昇降を安定して円滑
に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1〜図6は本発明の実施の一形態であるDVDレコーダ(ディスク装置)を示すもの
であって、トラバースホルダ4の一方のカムピン9から傾斜溝部8bに沿って斜め下側に
補助ピン26が突設されている。なお、図2中、29は下段溝部8cの下縁を切除して形
成した切欠き部であって、補助ピン26の通過を許容するものである。上記以外の構成及
びローディング及びアンローディングの動作は図7〜図13に示す構成とほぼ同じである
かから、同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0026】
前記補助ピン26は、図5(a)に示すように、横断面形状が略矩形状に形成され、該
補助ピン26の上下面26a,26bが傾斜溝部8bの上下縁27,28とほぼ平行にさ
れている。
【0027】
上記構成において、クランプ正常状態の動作を説明すると、図4に示すように、各カム
ピン9を下段溝部8cに嵌入させて、トラバースシャーシ3を下動cさせている状態(図
10参照)では、図5(a)に1点鎖線で示すように、補助ピン26をカム溝8の外に待
機させており、この状態から、トラバースシャーシ3を上動dさせるために、カムスライ
ダ7を矢印f方向にスライドさせると、図5(a)に2点鎖線で示すように、各カムピン
9が傾斜溝部8bに沿って押し上げられ、それに伴って、補助ピン26の上面26aが傾
斜溝部8bの上縁27に接近または当接された状態で斜め上方に移行する。また、図5(
a)に実線で示すように、各カムピン9が上段溝部8a内に移行すると、補助ピン26の
下面26bが傾斜溝部8bの下縁28に接近または当接される。
【0028】
上記構成によれば、ディスクDのクランプが正常のときには、トラバースシャーシ3を
上下動c,dさせる際に、補助ピン26の上下面26a,26bが傾斜溝部8bの上縁2
7または下縁28に沿って移行するので、そのトラバースシャーシ3の上下動c,d及び
トラバースホルダ4の昇降を安定して円滑に行わせることができる。
【0029】
クランプ不正常状態の動作を説明すると、図6に示すように、ローディング動作におい
て、例えば8cmディスクDの中央貫通孔Daにターンテーブル14の突起部14aが嵌
入されず、該ディスクDが突起部14aと横桁17とで挟まれて、そのディスクDのクラ
ンプが正常に行われなかったときには、トラバースシャーシ3が上限位置(図6仮想線参
照)まで達せずに若干の間隔αだけ下がった位置(図6実線参照)で停止され、その一方
で、フィードモータ13によりカムスライダ7を矢印f方向にスライドさせて、カムピン
9が上段溝部8aまで移行されることにより、前側弾性体6が弾性変位されてトラバース
ホルダ4が適正位置(図6仮想線参照)から若干の間隔βだけ下向きに傾き(図6実線参
照)、その弾性変形により発生した弾性力でカムピン9がカム溝8の下縁に押し付けられ
(図13参照)、それと同時に、図5(b)に示すように、補助ピン26の下面26bが
傾斜溝部8bの下縁28に押し付けられ、その押し付けによる摩擦抵抗の増大でフィード
モータ13にかかるの電圧が上昇し、その上昇した電圧が上限設定値に達したときに、そ
れを制御部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータ13を逆転駆動して、トラ
バースシャーシ3を下動cさせ(図10参照)、トレイ1を前進aさせる。
【0030】
上記構成によれば、クランプ不正常状態のときに、トラバースホルダ4が下向きに傾く
ことにより(図6実線参照)、カムピン9をカム溝8の下縁に押し付けるだけでなく、こ
れに加えて、補助ピン26を傾斜溝部8bの下縁28に押し付けるので〔図5(b)参照
〕、そのカムピン9及び補助ピン26の押し付けによる摩擦抵抗が増大してフィードモー
タ13にかかるの電圧が上限設定値に達し、該フィードモータ13を逆転駆動させてアン
ローディング動作を行わせることにより、ディスクDのクランプを停止し、ディスクDを
損傷させることなく確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の一形態であるDVDレコーダ(ディスク装置)におけるディスククランプ状態を示す平面図である。
【図2】同要部の分解斜視図である。
【図3】同横断面図である。
【図4】同ディスクアンクランプ状態の横断面図である。
【図5】(a)はクランプ正常状態における要部の拡大横断面図、(b)はクランプ不正常状態における要部の拡大横断面図である。
【図6】同クランプ不正常状態における要部の一部切欠き拡大側面図である。
【図7】従来例におけるディスククランプ状態を示す平面図である。
【図8】同ディスククランプ状態の縦断面図である。
【図9】同状態の横断面図である。
【図10】同ディスクアンクランプ状態の縦断面図である。
【図11】同状態の横断面図である。
【図12】同要部の分解斜視図である。
【図13】同クランプ不正常状態における縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 トレイ
2 ローダーシャーシ
3 トラバースシャーシ
4 トラバースホルダ
5 後側弾性体
6 前側弾性体
7 カムスライダ
8 カム溝
8a カム溝の上段溝部
8b カム溝の傾斜溝部
8c カム溝の下段溝部
9 カムピン
12 光ピックアップ
13 フィードモータ
14 ターンテーブル
26 補助ピン
26a 補助ピンの上面
26b 補助ピンの下面
28 傾斜溝部の下縁
D ディスク
a,b 前後進
c,d 上下動
e,f 左右方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク載置用トレイを前後進可能に支持するローダーシャーシが設けられ、フィード
モータにより前後進される光ピックアップとターンテーブルとを搭載したトラバースシャ
ーシの後部が後側弾性体を介して前記ローダーシャーシに上下動可能に連結されると共に
、該トラバースシャーシの前部が前側弾性体を介してトラバースホルダに連結され、該ト
ラバースホルダに対向するカムスライダが前記ローダーシャーシに前後進方向とは直交す
る左右方向にスライド可能に配置され、該カムスライダに上段溝部及び下段溝部とその上
下両段溝部をつなぐ傾斜溝部とからなるカム溝が形成され、該カム溝に嵌入させたカムピ
ンが前記トラバースホルダの前面に突設されており、前記カムピンをカム溝の下段溝部に
嵌入させることによりトラバースホルダを介してトラバースシャーシを下限位置まで下動
させた状態で、ローディング信号に基づいてトレイを後進させてローダーシャーシ内に収
納し、前記フィードモータによりカムスライダを右方向または左方向にスライドさせ、カ
ムピンをカム溝の傾斜溝部を通って上段溝部に嵌入させることによりトラバースホルダを
介してトラバースシャーシを上限位置まで上動させ、ターンテーブルでトレイ上のディス
クを持ち上げてクランプし、該ターンテーブルによりディスクを高速回転させ、該ディス
クに記録されている情報を光ピックアップにより読み取るようにしたディスク装置におい
て、前記トラバースホルダの前面のカムピンから前記傾斜溝部に沿って斜め下側に補助ピ
ンが突設され、該補助ピンの横断面形状が略矩形状に形成されると共に、その補助ピンの
上下面が傾斜溝部の上下縁とほぼ平行にされており、クランプ正常状態で、カムピンを傾
斜溝部に沿って移動させるときに補助ピンの上面を傾斜溝部の上縁に接近または当接させ
、カムピンを上段溝部に嵌入させたときに補助ピンの下面を傾斜溝部の下縁に接近または
当接させ、ローディング信号に基づいて上動させたトラバースシャーシが上限位置まで達
しない位置で停止されてトラバースホルダが下向きに傾くことにより、補助ピンの下面を
傾斜溝部の下縁に押し付け、その押し付けにより前記フィードモータにかかる電圧が上限
設定値に達したときに、それを制御部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータ
を逆転駆動させてアンローディング動作を行わせることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ディスク載置用トレイを前後進可能に支持するローダーシャーシが設けられ、光ピック
アップとターンテーブルとを搭載したトラバースシャーシの後部が後側弾性体を介して前
記ローダーシャーシに上下動可能に連結されると共に、該トラバースシャーシの前部が前
側弾性体を介してトラバースホルダに連結され、該トラバースホルダに対向するカムスラ
イダが前記ローダーシャーシに前後進方向とは直交する左右方向にスライド可能に配置さ
れ、該カムスライダに上段溝部及び下段溝部とその上下両段溝部をつなぐ傾斜溝部とから
なるカム溝が形成され、該カム溝に嵌入させたカムピンが前記トラバースホルダの前面に
突設されており、前記カムピンをカム溝の下段溝部に嵌入させることによりトラバースホ
ルダを介してトラバースシャーシを下限位置まで下動させた状態で、ローディング信号に
基づいてトレイを後進させてローダーシャーシ内に収納し、フィードモータによりカムス
ライダを右方向または左方向にスライドさせ、カムピンをカム溝の傾斜溝部を通って上段
溝部に嵌入させることによりトラバースホルダを介してトラバースシャーシを上限位置ま
で上動させ、ターンテーブルでトレイ上のディスクを持ち上げてクランプし、該ターンテ
ーブルによりディスクを高速回転させ、該ディスクに記録されている情報を光ピックアッ
プにより読み取るようにしたディスク装置において、前記トラバースホルダの前面のカム
ピンから前記傾斜溝部に沿って斜め下側に補助ピンが突設されており、ローディング信号
に基づいて上動させたトラバースシャーシが上限位置まで達しない位置で停止されてトラ
バースホルダが下向きに傾くことにより、補助ピンを傾斜溝部の下縁に押し付け、その押
し付けにより前記フィードモータにかかる電圧が上限設定値に達したときに、それを制御
部で検知し、その検知信号に基づいてフィードモータを逆転駆動させてアンローディング
動作を行わせることを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
前記補助ピンの横断面形状が略矩形状に形成され、該補助ピンの上下面が傾斜溝部の上
下縁とほぼ平行にされており、クランプ正常状態で、カムピンを傾斜溝部に沿って移動さ
せるときに補助ピンの上面を傾斜溝部の上縁に接近または当接させ、カムピンを上段溝部
に嵌入させたときに補助ピンの下面を傾斜溝部の下縁に接近または当接させるようしたこ
とを特徴とする請求項2に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−213687(P2007−213687A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31966(P2006−31966)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】