説明

ディスク装置

【課題】故障中のシャッタ機構を無理に作動させることで、シャッタ機構が破損したり、ローディングモータが焼損したりすることを防止すること。
【解決手段】シャッタ機構45が正常な場合には、ローディングスライダ37によって連動レバー50が固定ピン51を中心にして反時計方向に回転する。この連動レバー50は、スライドプレート46を介して遮蔽プレート48を移動する。この遮蔽プレート48は、固定カムプレート47のカム溝47a,47bに沿って上昇して、スロット3aを閉鎖する。シャッタ機構45の異常によってスライドプレート46が動かない場合には、連動レバー50は、ピン46bを中心にして反時計方向に回転し、ローディングスライダ37の作用力をスライドプレート46に伝達しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録された情報の記録や再生を行うディスク装置に関し、更に詳しくは、光ディスクの二重装填を防止するシャッタ機構を備えたディスク装置に関するものである。
【0002】
コンピュータやカーナビ装置などの各種の情報機器には、多量の情報をストアすることができる光ディスク(例えば、CD−R/RW、DVD−R/−RW/RAM/+R/+RWなど)が、記録媒体として用いられる。この光ディスク(以下、単にディスクという)は、ディスク装置に装填され、情報の記録と再生とが行われる。一般に、情報機器に内蔵されているディスク装置には、ディスクを収納したトレイを出し入れするトレイタイプと、スロットを通してディスクを出し入れするスロットインタイプとがある。このスロットインタイプのディスク装置では、ディスクをフロントベゼルのスロットに差し込むと、ディスク搬送機構(ディスクローディング機構)が自動的に作動してディスクの搬入(ローディング)が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ディスク装置は、ディスクを高速回転させることで情報の記録/再生を行うものであるから、記録/再生中に別のディスクが差し込まれると、ディスクが破損したり、ディスク装置の内部機構が損傷を受けたりすることがある。そこで、スロットを開閉するための遮蔽プレートを設け、複数枚のディスクが挿入されることを防止したディスク装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この遮蔽プレートは、ディスク搬送機構や、ディスクを保持するチャッキング機構などと連動している。
【特許文献1】特開2006−228353号公報
【特許文献2】特開2007−102882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異物の侵入など何らかの不具合により遮蔽プレートが移動できないことがある。このように遮蔽プレートに異常が発生した場合には、ディスク搬送機構を駆動するモータが焼損したり、あるいは無理な力が遮蔽プレートに作用するため、遮蔽プレート、又は遮蔽プレートとディスク搬送機構とを連動させるための連動機構が破損したりする。
【0005】
本発明は、遮蔽プレートに異常が発生した場合でも、モータの焼損や内部機構の破損を防止することができるディスク装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のディスク装置は、スロットの少なくとも一部を閉鎖する閉じ状態と、スロットを開く開き状態とに変位可能なシャッタ手段と、ディスク搬送手段に連動して、ディスクの搬入時にはディスクがスロットを通過した後にシャッタ手段を閉じ状態とし、ディスクの搬出時にはディスクがスロットを通過する前にシャッタ手段を開き状態にする連動手段と、シャッタ手段が閉じ状態に変位することができない異常時に、連動手段による連動を解除し、ディスク搬送手段の動作がシャッタ手段に伝達されないようにする連動解除手段と、を備えている。
【0007】
請求項2記載の発明では、連動手段としては、一端がディスク搬送手段に連結し、他端がシャッタ手段に連結された連動レバーが用いられている。また、連動解除手段は、連動レバーの途中に形成した長孔と、この長孔に嵌合する固定ピンと、長孔の一端が固定ピンに接触するように連動レバーを付勢するバネとを備えている。通常は長孔の一端が固定ピンに接触した状態で固定ピンを中心にして連動レバーが回転し、異常時に連動レバーの他端を中心にして、連動レバーの長孔の他端が固定ピンに当接するように連動レバーが移動する。
【0008】
請求項3記載の発明では、シャッタ手段の異常時に連動レバーが他端を中心にして回転していることを検知する検知手段を設けている。
【0009】
請求項4記載の発明では、ディスク搬送手段が、モータによってスライドするローディングスライダと、このローディングスライダによって駆動され、ディスクを保持して揺動する複数のアームとから構成されている。また、連動レバーの一端にはカムピンが設けられ、このカムピンがローディングスライダに形成されたカム溝に嵌合している。
【0010】
請求項5記載の発明では、シャッタ手段は、スライドプレート、固定カムプレート、遮蔽プレートから構成されている。スライドプレートは、連動レバーの他端に連結され、スロットに沿ってスライドする。このスライドプレートには、スロットに対して直交する方向に延びた連結溝が形成されている。固定カムプレートには、スロットに対して交差する斜め方向に平行に延びた第1及び第2のカム溝が形成されている。遮蔽プレートは、連結溝及び第1のカム溝に嵌合する第1のカムピンと、第2のカム溝に嵌合する第2のカムピンと、第1及び第2のカムピンが植設され、第1及び第2のカム溝に沿って移動してスロットを開閉する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、シャッタ手段に異常が発生し、ディスク搬送手段に連動してシャッタ手段が移動しない場合には、ディスク搬送手段とシャッタ手段との連動を解除し、又はディスク搬送手段を駆動するためのモータを逆転又は停止させるから、ディスク搬送手段を駆動するモータが焼損したり、あるいはシャッタ手段などが破損したりすることを防止することができる。
【0012】
また、一端がディスク搬送手段に連結し、他端がシャッタ手段に連結された連動レバーを設け、この途中に形成した長孔を固定ピンに嵌合させ、通常は長孔の一端が固定ピンに接触した状態で固定ピンを中心にして連動レバーが回転するようにバネ付勢しておき、シャッタ手段の異常時には、シャッタ手段の連結位置を中心にして、連動レバーが移動するようにしたから、簡単な構造で連動を解除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1において、ディスク装置1は、本体ケース2を備え、その前面にベゼル3が取り付けられている。このベゼル3には、ディスクD1を挿入するスロット3aと、ディスクD1のイジェクトを指示するための押し釦4と、ディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5が設けられている。ディスクD1は、チャッキングのための中心孔D1aが形成されている。なお符号2aは、取外し可能な天板である。
【0014】
図2及び図3において、本体ケース2を上下に仕切るように、ベースパネル6が固定されている。このベースパネル6には、中央から斜め方向に延びた開口6aが形成されている。この開口6a内には、昇降フレーム7が配置され、既知の緩衝支持構造8により複数箇所でベースパネル6に取り付けられている。ディスクD1を本体ケース2へ搬入または搬出するときに、昇降フレーム7は、フロントベゼル3側を支軸とし、装置中央に位置する先端部が上下方向に揺動する。また、昇降フレーム7には、中央から斜め方向に延びた開口7aが形成されている。
【0015】
昇降フレーム7の先端には、ドライブユニット10が取り付けられている。このドライブユニット10は、スピンドルモータ11、ターンテーブル12、チャッキングヘッド13を備えている。スピンドルモータ11は、昇降フレーム7の背面に固定され、その駆動軸にターンテーブル12が固定されている。チャッキングヘッド13は、ターンテーブル12と一体に形成されており、昇降フレーム7が上昇したときに、チャッキング位置にあるディスクD1の中心孔D1a(図1参照)に入り込む。チャッキングヘッド13には、バネで付勢された複数の係止爪13aが設けられており、ディスクD1を着脱可能に係止する。チャッキング解除ピン14は、昇降フレーム7が下降するときに、ディスクD1を受け止めてチャッキングヘッド13から外す。
【0016】
また、昇降フレーム7にはヘッドユニット17が取り付けられている。このヘッドユニット17は、昇降フレーム7の開口7aから露出したキャリッジ18と、これに保持された光ピックアップ19とから構成されている。情報の記録/再生時には、キャリッジ18が開口7aに沿って移動する。
【0017】
ベースパネル6上には、ディスクD1の搬入及び搬出を行うためのディスク支持アーム20と、スロット3aから挿入されたディスクD1を本体ケース2内へ搬入するための誘引アーム21とが配置されている。このディスク支持アーム20は、ホルダ20aでディスクD1の前端部を保持し、軸22を中心にして揺動する。誘引アーム21は、フランジ付ローラ21aでディスクD1の後端部を保持し、軸23を中心にして揺動する。この誘引アーム21を揺動させるために、リンクレバー24が連結されている。このリンクレバー24は、ピン24aがカム溝25に沿って移動する。
【0018】
なお、図3には、ディスクD1がイジェクト位置にある場合、ディスクD1が自動搬入の開始位置にある場合、ディスクD1がチャッキング位置にある場合がそれぞれ示されている。
【0019】
図4において、光ピックアップ19を保持したキャリッジ18は、ガイドシャフト27,28に支持されている。これらのガイドシャフト27,28は、その両端が昇降フレーム7の背面に固定されている。スレッドモータ29の回転は、ギアトレイン30を介して、スクリュシャフト31に伝達される。このスクリュシャフト31の回転により、キャリッジ18が前進/後退する。
【0020】
ベースパネル6の背面には、ローディングモータ34が配置され、このローディングモータ34の回転が、ギアトレイン35を介してディスク搬送機構36に伝達され、ディスクD1の搬入又は搬出が行われる。ディスク搬送機構36の主要部は、ローディングスライダ37、ディスク支持アーム20、誘引アーム21である。
【0021】
前記ローディングスライダ37は、端部に形成したラックギア37aがギアトレイン35の最終段のギアに噛合しており、ローディングモータ34の回転により、本体ケース2の側壁に沿って前進/後退する。ローディングスライダ37がベゼル3から離れる方向に移動(後退)するときに、ディスクD1がケース本体2内に搬入され、前進するときに本体ケース2から搬出される。
【0022】
ローディングスライダ37は、ラックギア37aの横に、シャッタ機構45(図5参照)を開閉するためのカム溝37bと、リンクレバー24のピン24aを押すための溝37cと、リンクレバー38を作動させるためのカム溝37dが形成されている。溝37cは横方向に延びており、ピン24aをローディングスライダ37の移動方向に押すことにより、ピン24aをカム溝25に沿って移動させる。
【0023】
リンクレバー38は、ピン38aがローディングスライダ37のカム溝37dに嵌合しており、ローディングスライダ37が移動するときに、軸39を中心にして回転する。このリンクレバー38には、リンクアーム40を介してベース部20bと連結されている。このベース部20bは、ベースプレート6の表面に配置されたディスク支持アーム20と、軸22で一体的に連結されている。ベース部20bの周囲に、スイッチ41が配置されており、ディスクD1の押し込みでディスク支持アーム20が回転されたときにONする。このスイッチ41からの信号で、制御回路(図示せず)はローディングモータ34を回転させ、ディスクD1の自動搬入を開始する。
【0024】
前記リンクアーム40は、第1アーム40aと、この第1アーム40aに対してスライド可能に連結された第2アーム40bと、これらのアーム40a,40bを最短状態に保つためのバネ40cとから構成されている。このスライド可能なリンクアーム40により、ディスクD1がユーザによって本体ケース2内に押し込まれている間、すなわち自動搬入が開始されるまで、リンクレバー38を作動させることなく、ディスク支持アーム20が揺動可能となる。
【0025】
図5において、シャッタ機構45は、スライドプレート46、固定カムプレート47、遮蔽プレート48から構成されている。スライドプレート46は、スロット3aの下方に位置し、スロット3aに沿ってスライドする。また、スライドプレート46は、折り曲げ部46a上にピン46bと、上下方向に延びた長孔46cとが形成されている。固定カムプレート47は、本体ケース2などに固定されており、斜め方向に延びた一対のカム溝47a,47bが形成されている。遮蔽プレート48は、スライドプレート46の長孔46cを介して固定カムプレート47のカム溝47aに嵌合するカムピン48aと、固定カムプレート47のカム溝47bに嵌合するカムピン48bが設けられている。この遮蔽プレート48は、スライドプレート46が矢線方向にスライドすると、スロット3aの一部を閉鎖する閉じ位置と、スロット3aから退避した開き位置との間で上下方向に移動し、ディスクD1の二重装填を防止する。
【0026】
連動レバー50は、ディスクD1の搬入及び搬出に連動してシャッタ機構45を作動させる。この連動レバー50は、長孔50aが固定ピン51に嵌合している。また、連動レバー50は、その一端に設けたカムピン50bがローディングスライダ37のカム溝37bに嵌合し、他端に形成した孔50cがスライドプレート46のピン46bに嵌合している。
【0027】
また、連動レバー50は、その折り曲げ片50dにバネ52の一端がかけられ、通常は長孔50aの一方の端が固定ピン51に当たるように付勢されている。このバネ52の他端は、本体ケース2内に取り付けた固定突起53にかけられている。
【0028】
次に図6乃至図8を参照して上記実施形態の作用について説明する。ディスクD1の挿入前には、図6(A)に示すように、遮蔽プレート48は、スロット3aよりも下降した開き位置にセットされ、ディスクD1の挿入を可能にしている。
【0029】
図3及び図4に示すように、ディスクD1がベゼル3のスロット3aから挿入されると、ディスクD1の先端側がディスク支持アーム20のホルダ20aに支持される。このディスクD1の押込みに応じて、リンクアーム40を伸長しながらディスク支持アーム20がベース部20bとともに、軸22を中心にして図4において時計方向に回転する。
【0030】
ディスク支持アーム20が、更に押し込まれると、ベース部20bがスイッチ41をONにする。このスイッチ41の信号に基づいて、ローディングモータ34が回転を開始する。このローディングモータ34の回転は、ギアトレイン35を介してローディングスライダ37に伝達される。ローディングスライダ37は、ベゼル3から離れる方向(前進方向)に移動する。
【0031】
ローディングスライダ37が前進すると、溝37cによってリンクレバー24のピン24aが押されるため、このピン24aがカム溝25に沿って移動する。これにより、リンクレバー24が移動するため、誘引アーム21が軸23を支点にして図3において時計方向に揺動する。この誘引アーム21は、その先端に取り付けたフランジ付ローラ21aがディスクD1の後端部を押す。
【0032】
また、ローディングスライダ37は、カム溝37dによってリンクレバー38を図4において時計方向に回転する。このリンクレバー38の回転は、リンクアーム40を介してベース部20bに伝達され、ディスク支持アーム20を図4において時計方向に回転させる。これにより、ディスクD1は、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とで保持されて、本体ケース2内に搬入される。
【0033】
図3に示すように、ディスクD1がチャッキング位置に移動すると、ディスクD1の中心孔D1aがチャッキングヘッド13と一致する。次に、ローディングスライダ37に連動して昇降フレーム7が上昇し、チャッキングヘッド13がディスクD1の中心孔D1aに入り込み、チャッキング爪13aによってディスクD1がチャッキングされる。ディスクD1は、チャッキングヘッド13で押し上げられた際に、天板2aの突起で受け止められる。チャッキング後に、ディスクD1が天板2aから離れるように、昇降フレーム7が僅かに下降する。
【0034】
チャッキング動作中は、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが停止しているが、チャッキングが完了すると、ローディングスライダ37の最後のストロークでディスクD1から離れてその保持を解除する。このディスク支持アーム20と誘引アーム21とがディスクD1の保持を解除するタイミングで、ローディングスライダ37がスイッチ(図示せず)をONにするから、ローディングモータ34が停止してディスクD1の搬入が終了する。
【0035】
前記ディスクD1の搬入に連動して、シャッタ機構45が作動する。すなわち、ディスクD1のチャッキングとほぼ同時に、ローディングスライダ37のカム溝37bによって、カムピン50bが押されるから、連動レバー50は、固定ピン51を中心にして、図7(A)に示す位置から、図7(B)に示す位置方向へ回転する。この連動レバー50の回転により、スライダプレート46が右方向に移動する。このスライドプレート46には、長孔46cとカムピン48aによって遮蔽プレート48が連結されているから、スライドプレート46と一緒に遮蔽プレート48が移動する。
【0036】
遮蔽プレート48は、遮蔽プレート48のカムピン48a,48bが固定カムプレート47のカム溝47a,47bに嵌合しているから、図6(B)に示すように、遮蔽プレート48が斜め上方に移動する。そして、ディスクD1のチャッキング完了時に、遮蔽プレート48は、図6(C)に示す閉じ位置に移動する。これにより、スロット3aの一部が閉鎖されているから、ディスクD1が本体ケース2内に装填しているときに、別のディスクが誤って装填されるのを防止する。
【0037】
ディスクD1のチャッキングと、シャッタ機構45によるスロット3aの閉鎖が行われると、スピンドルモータ11が回転する。このスピンドルモータ11が回転すると、ターンテーブル12とチャッキングヘッド13とによって、ディスクD1が高速回転する。このディスクD1の高速回転中に、光ピックアップ19がディスクD1の半径方向に移動して、情報の記録又は再生が行われる。
【0038】
本体ケース2内に装填されたディスクD1を搬出する場合は、ベゼル3の押し釦4を操作するか、または情報機器からの指令がディスク装置1に送られる。ディスク装置1の制御回路(図示せず)は、まずスピンドルモータ11を停止させ、次にローディングモータ34を逆転させる。このローディングモータ34の逆転により、ローディングスライダ37がベゼル3に近づく方向(後退方向)に移動する。このローディングスライダ37の後退が開始されると、連動レバー50が時計方向に回転するから、図6(B)においてスライドプレート46が左方向に移動する。このスライドプレート46の移動に連動して遮蔽プレート48が斜め下方に移動し、図6(A)に示す開き位置に戻る。
【0039】
また、ローディングスライダ37の後退が開始されると、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが少し揺動して、ディスクD1の外周を保持する。次に、昇降プレート7が下降する。この下降中に、ディスクD1がチャッキング解除ピン14で受け止められるから、ディスクD1がチャッキングヘッド13から抜き出される。昇降プレート7の下降後に、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが再び揺動をし、図4に示すイジェクト位置までディスクD1を搬出する。
【0040】
前述したように、ディスク搬送機構36に連動して、シャッタ機構45が作動する。しかし、シャッタ機構45が故障している場合、あるいは2枚のディスクが一部重なった状態で誤ってスロット3aに挿入されることがある。シャッタ機構45が故障している場合に、例えば遮蔽プレート48が図6(A)に示す位置から、図6(C)に示す閉じ位置に移動させることができない。この場合でも、ローディングスライダ37のカム溝37bによって、連動レバー50に反時計方向の回転力が与えられるが、連動レバー50には長孔50aが形成されているため、連動レバー50はバネ52に抗してピン46bを中心にして回転する。これより、連動レバー50は、長孔50aの左端が固定ピン51に接触している図8(A)に示す状態から、長孔50aの右端が固定ピン51に接触する図8(B)に示す状態に変位する。したがって、無理な力が連動レバー50に作用することはないので、これを破損したりすることがない。また、ローディングモータ34が過負荷となり、ローディングモータ34を焼損するおそれもない。
【0041】
また、2枚のディスクが一部重なった状態でスロット3aに挿入された場合には、遮蔽プレート48がディスクに当たるまでは、連動レバー50は固定ピン51を中心に回転する。遮蔽プレート48の上端がディスクに当たると、スライドプレート46の移動が阻止される。この場合には、前述したように、連動レバー50がピン46bを中心にして反時計方向に回転する。これにより、無理な力が連動レバー50やシャッタ機構45に作用しないから、これらが破損したり、ローディングモータ34が焼損したりすることがない。
【0042】
図9は、シャッタ機構45の異常が検出されたときに、ディスクの搬入を中止して、ディスクを搬出する実施例を示すものである。シャッタ機構45が正常な場合に、連動レバー50は、ディスクD1の搬入時に固定ピン51を中心にして反時計方向に回転し、そして異常時にはピン46bを中心にして反時計方向に回転する。したがって、連動レバー50のうち、長孔50aと孔50cとの間の部分は、正常時と異常時とでは移動方向が異なる。この部分の移動から異常を検知するために、検出スイッチ55が設けられている。シャッタ機構45が異常のときには、連動レバー50によって検出スイッチ55がONする。検出スイッチ55のON信号で、インジケータ5が点滅するとともに、モータ制御回路56は、ローディングモータ34を逆転させる。
【0043】
図10に示すように、ローディングモータ34が回転を開始すると、ディスクD1の自動搬入が開始される。この自動搬入中に、ディスクD1のチャッキングが開始されるのとほぼ同時に、ローディングスライダ37によって連動レバー50が回転される。シャッタ機構45が正常の場合には、検出スイッチ55がONしないから、ローディングモータ34が継続して回転する。そして、ディスクD1のチャッキングと、遮蔽プレート48によるスロット3aの閉鎖とが行われる。
【0044】
シャッタ機構45の異常時には、連動レバー50がピン46bを中心にして反時計方向に回転するから、検出スイッチ55がONする。この検出スイッチ55がONすると、モータ制御回路56は、ローディングモータ34の逆転を開始する。これにより、ディスクD1の搬出が開始され、ディスクD1がイジェクト位置へ戻される。また、シャッタ機構45も図6(A)に示す開き位置に戻る。このように、ディスクD1がイジェクト位置に戻されるから、シャッタ機構45に異常が発生していることを知ることができる。
【0045】
上記実施形態では、ディスクのチャッキングとほぼ同時にシャッタ機構の閉じ動作が開始されるが、ディスクの後端部がスロットを通過したときから、ディスクの搬入が完了するまでの間に、シャッタ機構の閉じ動作を行えばよい。また、シャッタ機構の異常時には、ローディングモータを逆転させているが、この代わりにローディングモータを停止させてもよい。更に、スロットを閉鎖する部材は、プレートの他に、アーム又はピンなどでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を実施するディスク装置の外観斜視図である。
【図2】ディスク装置の内部を示す斜視図である。
【図3】ディスク装置の内部を示す上面図である。
【図4】ディスク装置の内部を示す下面図である。
【図5】シャッタ機構、連動レバー、ローディングスライダなどの構成を示す分解斜視図である。
【図6】シャッタ機構の前面図であり、(A)は開き状態のときを、(B)は閉じている途中を、(C)は閉じ状態のときをそれぞれ示す。
【図7】正常時の連動レバーの動きを説明する図であり、(A)は回転前を、(B)は回転後をそれぞれ示す。
【図8】異常時の連動レバーの動きを説明する図であり、(A)は回転前を、(B)は回転後をそれぞれ示す。
【図9】別の実施例に係る連動レバーなどの構成を示す上面図である。
【図10】別の実施例に係るローディングモータの駆動状態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 ディスク装置
2 本体ケース
3a スロット
20 ディスク支持アーム
21 誘引アーム
34 ローディングモータ(モータ)
36 ディスク搬送機構(ディスク搬送手段)
37 ローディングスライダ
37b カム溝
45 シャッタ機構(シャッタ手段)
46 スライドプレート
46c 長孔(連結溝)
47 固定カムプレート
47a,47b カム溝(第1,第2のカム溝)
48 遮蔽プレート
48a,48b カムピン(第1,第2のカムピン)
50 連動レバー(連動手段)
50a 長孔
50b カムピン
51 固定ピン
52 バネ
55 検出スイッチ(検知手段)
D1 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータで駆動されるディスク搬送手段を備え、スロットを通して、ディスクを本体ケース内に搬入し又は本体ケース外へ搬出するディスク装置において、
前記スロットの少なくとも一部を閉鎖する閉じ状態と、スロットを開く開き状態とに変位可能なシャッタ手段と、
前記ディスク搬送手段に連動して、前記ディスクの搬入時にはディスクがスロットを通過した後にシャッタ手段を閉じ状態とし、前記ディスクの搬出時にはディスクがスロットを通過する前にシャッタ手段を開き状態にする連動手段と、
前記シャッタ手段が閉じ状態に変位することができない異常時に、前記連動手段による連動を解除し、ディスク搬送手段の動作がシャッタ手段に伝達されないようにする連動解除手段と、を備えたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記連動手段は、一端がディスク搬送手段に連結し、他端がシャッタ手段に連結された連動レバーであり、
前記連動解除手段は、連動レバーの途中に形成した長孔と、この長孔に嵌合する固定ピンと、前記長孔の一端が固定ピンに接触するように連動レバーを付勢するバネとを備え、通常は長孔の一端が固定ピンに接触した状態で固定ピンを中心にして連動レバーが回転し、前記異常時に連動レバーの他端を中心にして連動レバーが回転し、前記異常時に連動レバーの他端を中心にして、連動レバーの長孔の他端が固定ピンに当接するように連動レバーが移動することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記異常時に連動レバーが他端を中心にして回転していることを検知する検知手段を設けたことを特徴とする請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記ディスク搬送手段は、前記モータによってスライドするローディングスライダと、このローディングスライダによって駆動され、前記ディスクを保持して揺動する複数のアームとを備え、
前記連動レバーの一端にはカムピンが設けられ、このカムピンがローディングスライダに形成されたカム溝に嵌合していることを特徴とする請求項2又は3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記シャッタ手段は、前記連動レバーの他端に連結され、前記スロットに沿ってスライドするスライドプレートと、このスライドプレート上に形成され、前記スロットに対して直交する方向に延びた連結溝と、前記スロットに対して交差する斜め方向に平行に延びた第1及び第2のカム溝が形成された固定カムプレートと、前記連結溝及び第1のカム溝に嵌合する第1のカムピンと、前記第2のカム溝に嵌合する第2のカムピンと、前記第1及び第2のカムピンが植設され、前記第1及び第2のカム溝に沿って移動してスロットを開閉する遮蔽プレートと、から構成されていることを特徴とする請求項2乃至4何れか記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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