ディスク装置
【課題】 2枚のディスクが前後に位置ずれし且つ互いに重なって挿入されたときに、ディスクの搬入を阻止できる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 先行するディスクD1が挿入された直後に、後続のディスクD2が挿入されると、先行するディスクD1の周縁部で、連動部材25,25の間隔が広げられ、回動体20Aが時計方向へ、回動体20Bが反時計方向へ回動させられて、規制部材23,23の間隔が狭められる。よって、規制部材23,23の間を後続のディスクD2が通過できなくなる。
【解決手段】 先行するディスクD1が挿入された直後に、後続のディスクD2が挿入されると、先行するディスクD1の周縁部で、連動部材25,25の間隔が広げられ、回動体20Aが時計方向へ、回動体20Bが反時計方向へ回動させられて、規制部材23,23の間隔が狭められる。よって、規制部材23,23の間を後続のディスクD2が通過できなくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に形成された挿入口からディスクが挿入されて筐体の内部に搬入されるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどのディスクが装着される車載用などのディスク装置は、筐体の前部にスリット状の挿入口が開口しており、挿入口へディスクが1枚ずつ挿入可能となっている。挿入されたディスクは、筐体の内部に設けられた搬送手段によって筐体の内部に搬入され、ディスクの中心部が筐体の内部に設けられた回転駆動部にクランプされて回転駆動が可能になる。あるいは、挿入口から1枚ずつ挿入されたディスクが、筐体内のディスク収納部内に複数枚格納される。この場合、ディスクが格納された後に、格納されたディスクのいずれかが選択されて回転駆動部にクランプされ、回転駆動される。
【0003】
この種のディスク装置では、挿入口から筐体の内部に強引に2枚のディスクが同時に挿入されてしまうと、筐体の内部で2枚のディスクが重なった状態で、それ以上は移動できないようにロックされてしまい、ディスク装置が故障してしまう。この場合、筐体の内部からディスクを取り出すことが困難になり、ディスク装置を復旧させることが難しくなる。
【0004】
そこで、以下の特許文献1では、挿入口から挿入されたディスクの外周縁を案内する案内部材が設けられ、この案内部材に設けられたV字溝の開口幅を、1枚のディスクの周縁部は入り込めるが、2枚のディスクは同時に入り込めない大きさに設定している。2枚のディスクが完全に重ねられたときに、2枚のディスクがV字溝に入り込まないため、この2枚のディスクの挿入を阻止できる。
【0005】
ただし、案内部材に前記V字溝を形成した対策では、1枚のディスクが前記V字溝内に入り込んで、筐体の内部に搬入され始めた直後に、次の後続のディスクが挿入され、このとき、2枚のディスクの中心が前後にずれているが、2枚のディスクが部分的に重なっている場合には、後続のディスクもV字溝内に入り込むことができ、結果として2枚のディスクが重なった状態で筐体内に搬入されるおそれがある。
【0006】
そこで、以下の特許文献2に記載されたディスク装置では、2枚のディスクが、それぞれの中心が位置ずれし且つ一部が重なった状態で挿入されることを阻止するための手段として、筐体の内部に2つの検知スイッチが設けられている。この2つの検知スイッチのそれぞれの検知信号を監視することで、位置ずれした2枚のディスクが同時に搬入されることを防止できるようにしている。
【0007】
しかし、2つの検知スイッチの検知出力の組み合わせによってディスクの挿入状態を判断する対策では、検知出力の組み合わせの判断のために制御回路の負担が大きくなる。また、それぞれの検知スイッチの誤動作などにより、ディスクの挿入状態を正確に検知できないことが有りえる。
【特許文献1】特開2006−12252号公報
【特許文献2】特開2001−101746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、単純な構造で且つ少ない部品点数で、ディスクが前後に位置ずれして搬入されることを防止できるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ディスクが挿入される挿入口を有する筐体内に、ディスクを前記筐体の内部に搬入する搬送機構が設けられているディスク装置において、
前記筐体の内部には、前記挿入口の開口幅方向に間隔を空けて配置された一対の規制部材が設けられ、前記規制部材は、その間をディスクが通過することができるように、ディスクの挿入方向と交叉する方向へ移動可能であり、
ディスクの中心が前記規制部材を結ぶ線よりも前記筐体の奥側に移動したときに、このディスクの周縁部に押されて間隔が広げられる連動部材が設けられており、前記連動部材の間隔が広げられたときに、この連動部材によって一対の前記規制部材の間隔が狭められ、別のディスクが筐体内に入り込むことが阻止されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のディスク装置は、1枚のディスクが挿入された直後に後続のディスクが挿入されようとしたときに、先行するディスクの周縁部で一対の連動部材が押し広げられ、その力で規制部材が規制位置へ移動させられる。よって、後続のディスクが挿入されることを防止できる。後続のディスクが規制部材に当たることで、後続のディスクの挿入を機械的に確実に阻止することが可能である。
【0011】
例えば、本発明は、前記規制部材と前記連動部材は回動体に一体に形成されており、前記回動体は、前記規制部材と前記連動部材との中間部において前記筐体内に回動自在に支持されているものである。
【0012】
規制部材と連動部材を回動体として一体に形成すると、部品点数を少なくでき、しかも、先行するディスクで回動体を回動させることで、規制部材を確実に規制位置に移動させることが可能となる。
【0013】
なお、本発明は、規制部材と連動部材とが別々の部材として構成されており、先行するディスクの周縁部で一対の連動部材が押し広げられたときに、連動部材の移動力がリンク機構などを介して規制部材に伝達されて、規制部材が規制位置に至るものであってもよい。
【0014】
また、本発明は、前記連動部材は、その間隔が広げられる方向へばねで付勢されているものが好ましい。
【0015】
また、前記筐体内に、ディスクの中心部をクランプしてディスクを回転させる回転駆動部が設けられており、ディスクが前記回転駆動部にクランプされているときに、前記連動部材がディスクの外周縁から離れている。
【0016】
本発明は、前記規制部材に切欠き部が形成され、前記切欠き部は、1枚のディスクは入るが2枚のディスクは一緒に入らない開口寸法を有しており、
前記規制部材の間隔が最も広がったときに、1枚のディスクが前記切欠き部内を通過して前記筐体内へ搬入可能であるが、2枚のディスクが重なっているときは、前記規制部材によって2枚のディスクの双方の搬入が規制されるものとして構成できる。
【0017】
上記のように、規制部材に切欠き部を形成すると、2枚のディスクが、その中心が一致する状態で完全に重ねられて挿入されようとしたときに、筐体内へのディスクの挿入を阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のディスク装置では、2枚のディスクが、その中心が前後にずれて重ねられた状態で挿入されようとしても、その挿入を機械的に確実に阻止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態のディスク装置の構造を示す平面図、図2と図3は、ディスクが挿入されたときの動作を示すものであり、ディスク装置内の駆動ユニットの平面図、図4は回動体を示す斜視図、図5は規制部材とディスクとの寸法を対比して示す正面図である。
【0020】
図1ないし図3の図中のX1方向が右方向、X2方向が左方向、Y1方向が前方または奥方向、Y2方向が後方または手前方向である。
【0021】
図1に示すディスク装置1には、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などのディスクDが装填可能である。ディスク装置1は、車両内に設置される筐体2を有している。筐体2の前部には化粧部3が設けられており、化粧部3に挿入口4が開口している。挿入口4は、左右方向に延びるスリット状であり、左右方向の幅寸法がディスクDの直径よりもやや広く、図1の紙面に直交する方向での挿入口4の開口幅が、ディスクDの厚さ寸法よりもやや大きい。また、化粧部3には表示装置や各種操作装置が設けられている。
【0022】
筐体2の内部には機構ユニット10が設けられている。機構ユニット10は、箱状の金属板製のシャーシ11を有している。シャーシ11の前部11aには、挿入口4に連通する開口部が形成されている。
【0023】
機構ユニット10内には、挿入口4の奥側に搬送機構12が設けられている。搬送機構12は、ローラ軸13とローラ軸13の外周面に装着されたゴム製のローラ14を有している。シャーシ11内に設けられたモータの動力によって、ローラ軸13が搬入方向と搬出方向へ回転駆動される。ローラ14は、ローラ軸13の外周に接着されることなく装着されている。ローラ軸13がディスクDに押し付けられると、ローラ軸13の回転力がローラ14に伝達されてローラ14が回転し、ディスクDに搬送力が与えられるが、ローラ14の回転を止めようとする抵抗力が作用すると、ローラ軸13とローラ14とがスリップしてローラ軸13が空転する。
【0024】
ローラ軸13およびローラ14は、ディスクDの搬入経路の下側に設けられ、前記搬入経路の上側には、低摩擦係数の合成樹脂材料で形成された摺動部材が設けられている。ローラ軸13には、摺動部材に圧接する付勢力が作用しており、ディスクDは、ローラ14と摺動部材との間で挟持されて、ローラ14の回転力で搬送される。図1に示すように、ディスクDの中心穴Daが、シャーシ11内に設けられた回転駆動部15に装着されてクランプされると、ローラ軸13が下降して、ローラ14がディスクDの下面から離れ、ディスクDへの搬送力の伝達が断たれる。
【0025】
回転駆動部15は、シャーシ11内において、搬送機構12よりも奥側に設けられている。回転駆動部15は、スピンドルモータ16に固定されて回転するターンテーブル17を有しており、ディスクDの中心穴Daは、ターンテーブル17の中央の凸部17aに嵌着される。回転駆動部15にはクランパが設けられており、ディスクDの中心穴Daが凸部17aに嵌合した状態で、ディスクDの中心部がターンテーブル17とクランパとで保持される。
【0026】
シャーシ11内には光ヘッド18が設けられている。光ヘッド18には、ディスクDの記録面に対向する対物レンズ18aが設けられている。光ヘッド18は、案内部材19a,19bに案内され、図示しないスレッド機構の駆動力により、ディスクDの記録面に対向しながら記録面に沿って移動する。
【0027】
シャーシ11の前部11aと回転駆動部15との間には、右側(X1側)に回動体20Aが、左側(X2側)に回動体20Bが設けられている。回動体20Aと回動体20Bは左右対称形状である。
【0028】
図4は、右側の回動体20Aを示している。図4に示す回動体20Aは、平面形状がへの字状であり、全体が合成樹脂材料で形成されている。回動体20Aの中央部には、円柱形状の支持部21が設けられており、支持部21に上下に貫通する支持穴21aが形成されている。支持部21よりも手前側にはアーム部22が延び、アーム部22の先部に規制部材23が一体に形成されている。規制部材23はその中心が上下方向に延びる円柱形状である。基部21よりも奥側にはアーム部24が一体に延び、アーム部24の先部には下方へ突出する連動部材25が一体に形成されている。
【0029】
図4および図5に示すように、規制部材23には、ディスクDの搬送経路に向けられる切欠き部23aが形成されている。切欠き部23aは内端部23bを有する溝であり、挿入口4に挿入されたディスクDの周縁部が切欠き部23a内で案内される。
【0030】
図5に示すように、切欠き部23aの上下方向の開口幅寸法Hは、ディスクDの厚さ寸法Tよりもやや広いが、2枚分のディスクDの厚さ2Tよりは狭くなっている。よって、切欠き部23a内には一枚のディスクDの周縁部が入り込むが、2枚のディスクDの周縁部が同時に入り込むことはできない。
【0031】
図1に示すように、シャーシ11の前部11aの内側で且つ右側の端部には、上下に延びる支持軸27が固定されており、回動体20Aの支持穴21aが支持軸27に挿通されて、回動体20Aは、支持軸27を支点として回動自在に取り付けられている。支持軸27は、シャーシ11の前部11aとローラ14との中間の位置にある。また、規制部材23に形成された切欠き部23aは、挿入口4と同じ高さ位置にある。連動部材25は、ローラ14よりも奥側(Y1側)に位置しており、ローラ14と摺動部材とで挟持されたディスクDの周縁部と同じ高さ位置で、このディスクDの周縁部が当たることができる高さ位置にある。
【0032】
左側に配置されている回動体20Bは、右側の回動体20Aと対称形状であるので、右側の回動体20Aと同じ構造部分に同じ符号を付している。左側の回動体20Bも、支持穴21aが支持軸27に回動自在に支持されている。
【0033】
右側の回動体20Aは、図示しないトーションばねなどの付勢部材により時計方向へ回動付勢されており、左側の回動体20Bも付勢部材により反時計方向へ回動付勢されている。図1に実線で示すように、右側の回動体20Aは、アーム部24がY1−Y2方向と平行な姿勢のときが時計方向への回動限界であり、左側の回動体20は、アーム部24がY1−Y2方向と平行な姿勢のときが反時計方向への回動限界である。すなわち、回動体20Aと回動体20Bは、連動部材25,25が互いに離れる方向で、規制部材23,23が互いに接近する方向へ付勢されている。
【0034】
図1に示すように、シャーシ11の前部11aには、右側にストッパ部11bが、左側にストッパ部11cが、それぞれシャーシ11の内方に向けて折り曲げ形成されている。
【0035】
図1に破線で示すように、右側の回動体20Aは、規制部材23がストッパ部11bに当たったときが、反時計方向への回動限界であり、左側の回動体20Bは、規制部材23がストッパ部11cに当たったときが、時計方向への回動限界である。すなわち、左右一対の規制部材23,23は、ストッパ部11b,11cで規制されているときに、対向間隔が最も広げられる。
【0036】
次に、ディスク装置1の動作について説明する。
(正常な装填動作)
回動体20A,20Bに外力が作用していないときには、回動体20A,20Bは、図1において実線で示す姿勢であり、右側の回動体20Aの規制部材23と左側の回動体20Bの規制部材23とが互いに接近し、その間隔は、ディスクDの直径よりも狭くなっている。一方、右側の回動体20Aの連動部材25と左側の回動体20Bの連動部材25は互いに離れている。また、ローラ14はばねなどの付勢力により摺動部材に弾圧させられている。回転駆動部15では、クランパがターンテーブル17から離れている。
【0037】
挿入口4から1枚の正常な形状のディスクDが挿入されると、図3に実線で示すように、その周縁部が、右側の回動体20Aの規制部材23に形成された切欠き部23a内に入り、左側の回動体20Bの規制部材23に形成された切欠き部23a内に入る。そのままディスクDが押し込まれると、ディスクDの周縁部で押されて、規制部材23,23の対向間隔が広げられる。そして、ディスクDがローラ14と摺動部材との間に挟まれ、ローラ14の回転力によって筐体内に送り込まれ、図1に示すように、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル17にクランプされる。
【0038】
その後、ローラ14が下降してディスクDから離れる。ディスクDがターンテーブル17にクランプされたときに、回動体20Aは付勢力により時計方向へ回動し、回動体20Bは反時計方向へ回動しているため、それぞれの連動部材25,25はディスクDの周縁部から離れている。
【0039】
よって、回転駆動部15の動力でディスクDを回転させることができ、光ヘッド18で、ディスクDに記録された情報の再生や、ディスクへの情報の記録を行なうことができる。
【0040】
なお、図示省略するが、シャーシ11の前部11aとローラ14との間には、挿入検知機構が設けられている。この挿入検知機構は、ディスクの周縁部で押されて移動する検知ピンおよびその検知ピンの移動位置を検知するスイッチとで構成される。あるいは、通過するディスクDを検知できる光検知器で構成されている。さらに、シャーシ11内には、ディスクDが回転駆動部15にクランプされたことを検知する装填検知機構が設けられている。
【0041】
ディスク装置1の動作を制御する制御部では、ディスクDが挿入口4から挿入されて挿入検知機構がディスクDを検知してから時間の計測を開始し、一定時間内にディスクDが挿入検知機構から外れ、さらに一定時間内に装填検知機構によってディスクDの装填完了が検知されたら、ディスクDが正常に装填されたと判断する。
【0042】
(2枚のディスクが前後して挿入されたときの動作)
図2は、先行する1枚のディスクD1が、左右の規制部材23,23の切欠き部23a,23a内を通過し、ローラ14の回転力でシャーシ11の内方へ搬入されている途中で、別のディスクD2が挿入口4から挿入された状態を示している。
【0043】
図2では、先行のディスクD1の中心が、左右の規制部材23,23の中心どうしを結ぶ線(図示せず)よりもY1側へ移動しているため、ディスクD1の周縁部は、それぞれの切欠き部23a,23a内を通過してY1方向へ抜け出ている。そのため、後続のディスクD2を挿入口から強引に挿入すると、その周縁部が切欠き部23a,23aに入り込むことができる。
【0044】
ただし、ディスクD1の中心がY1方向へ移動しているために、ディスクD1の周縁部が、回動体20Aの連動部材25と回動体20Bの連動部材25にそれぞれ当たり、ディスクD1がY1方向へ移動するのに伴なって、一対の連動部材25,25の間隔が広げられる。その結果、図2に示すように、右側の回動体20Aが時計方向へ回動し、左側の回動体20Bが反時計方向へ回動する。このとき、右側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bと、左側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bとの間隔が、ディスクD1の直径よりも狭くなる。よって、後続のディスクD2が規制部材23,23に規制されてシャーシ11の内部に進めなくなる。
【0045】
すなわち、先行するディスクD1と後続のディスクD2が、その中心が前後にずれ且つ互いに重ねられている状態となると、後続のディスクD2の挿入が規制部材23,23で規制される。
【0046】
図2において、後続のディスクD2が、先行するディスクD1の上側(紙面の手前側)に重ねられているときには、ローラ14が、先行するディスクD1の下面に当接しているので、ローラ14の回転力が、先行するディスクD1に与えられ、先行するディスクD1はそのまま搬入される。ただし、後続のディスクD2が規制部材23,23に規制されているため、前部11aとローラ14との間に位置する前記挿入検知機構が、先行するディスクD1と後続するディスクD2とを途切れることなく検知し続けている。そのため、制御部はディスクDが挿入口4に止っているのと同じであると判断し、回転駆動部15においてディスクDをクランプする動作を行うことなく、ローラ軸13の回転が止められる。
【0047】
図2において、後続のディスクD2が、先行するディスクD1の下側に重ねられているときは、ローラ14が後続するディスクD2の下面に当接した状態で、ディスクD2が規制部材23,23で規制されるために、ローラ14が回転できなくなり、ローラ軸13がローラ14の中でスリップして空回りする。この場合、先行するディスクD1に搬送力が作用しないため、ディスクD1とディスクD2は、図2のように重なったまま停止する。この場合も、制御部はディスクDが挿入口4に止っているのと同じであると判断し、回転駆動部15においてディスクDをクランプする動作を行うことなく、ローラ軸13の回転が止められる。
【0048】
いずれの場合も、ローラ軸13が停止した後に、ローラ軸13が搬出方向へ逆転させられ、ディスクD1とディスクD2の双方が搬出させられる。そして、挿入検知機構がディスクDを検知しなくなったら、ディスクDがシャーシ11内に存在していない正常な状態に戻ったと判断する。
【0049】
(2枚のディスク中心が重ねられて挿入されたときの動作)
図3では、正常に搬入されている1枚のディスクDを実線で示し、2枚のディスクDがその中心が一致するように重ねられて挿入されたときの、その重ねられた2枚のディスクを、重ねディスクDdとして破線で示している。
【0050】
右側の規制部材23が右側のストッパ部11bに当たり、左側の規制部材23が左側のストッパ部11bに当たって、左右の規制部材23,23の対向間隔が最も広げられているとき、右側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bと左側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bとの左右方向の間隔は、ディスクDの直径よりもやや広い。ただし、規制部材23,23がストッパ部11a,11bに当たっているとき、規制部材23,23の切欠き部23a,23a以外の表面23c,23c(図4参照)の対向間隔は、ディスクDの直径よりも狭い。
【0051】
そのため、1枚のディスクDが正常に挿入されたときは、ディスクの周縁部が規制部材23,23の切欠き部23a,23a内を通過して、シャーシ11の内部に搬入されるが、図3と図5に破線で示すように、2枚のディスクが完全に重ねられた重ねディスクDdは、少なくとも一方のディスクが切欠き部23a,23a内に入れないため、重ねディスクDdが規制部材23,23の間を通過することができない。
【0052】
この場合も、制御部では、ディスクが挿入口4に止っているのと同じであると判断し、回転駆動部15においてディスクをクランプする動作を行うことなく、ローラ軸13の回転が止められる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図、
【図2】ディスク装置に、2枚のディスクが前後にずれて挿入されたときの駆動ユニットの動作を示す平面図、
【図3】ディスク装置に、2枚のディスクが中心を一致させて挿入されたときの駆動ユニットの動作を示す平面図、
【図4】右側の回動体を示す斜視図、
【図5】規制部材の切欠き部とディスクの厚さ寸法との関係を示す正面図、
【符号の説明】
【0054】
1 ディスク装置
2 筐体
4 挿入口
10 機構ユニット
11 シャーシ
12 搬送機構
15 回転駆動部
17 ターンテーブル
18 光ヘッド
20A 右側の回動体
20B 左側の回動体
23 規制部材
23a 切欠き部
25 連動部材
27 支持軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に形成された挿入口からディスクが挿入されて筐体の内部に搬入されるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどのディスクが装着される車載用などのディスク装置は、筐体の前部にスリット状の挿入口が開口しており、挿入口へディスクが1枚ずつ挿入可能となっている。挿入されたディスクは、筐体の内部に設けられた搬送手段によって筐体の内部に搬入され、ディスクの中心部が筐体の内部に設けられた回転駆動部にクランプされて回転駆動が可能になる。あるいは、挿入口から1枚ずつ挿入されたディスクが、筐体内のディスク収納部内に複数枚格納される。この場合、ディスクが格納された後に、格納されたディスクのいずれかが選択されて回転駆動部にクランプされ、回転駆動される。
【0003】
この種のディスク装置では、挿入口から筐体の内部に強引に2枚のディスクが同時に挿入されてしまうと、筐体の内部で2枚のディスクが重なった状態で、それ以上は移動できないようにロックされてしまい、ディスク装置が故障してしまう。この場合、筐体の内部からディスクを取り出すことが困難になり、ディスク装置を復旧させることが難しくなる。
【0004】
そこで、以下の特許文献1では、挿入口から挿入されたディスクの外周縁を案内する案内部材が設けられ、この案内部材に設けられたV字溝の開口幅を、1枚のディスクの周縁部は入り込めるが、2枚のディスクは同時に入り込めない大きさに設定している。2枚のディスクが完全に重ねられたときに、2枚のディスクがV字溝に入り込まないため、この2枚のディスクの挿入を阻止できる。
【0005】
ただし、案内部材に前記V字溝を形成した対策では、1枚のディスクが前記V字溝内に入り込んで、筐体の内部に搬入され始めた直後に、次の後続のディスクが挿入され、このとき、2枚のディスクの中心が前後にずれているが、2枚のディスクが部分的に重なっている場合には、後続のディスクもV字溝内に入り込むことができ、結果として2枚のディスクが重なった状態で筐体内に搬入されるおそれがある。
【0006】
そこで、以下の特許文献2に記載されたディスク装置では、2枚のディスクが、それぞれの中心が位置ずれし且つ一部が重なった状態で挿入されることを阻止するための手段として、筐体の内部に2つの検知スイッチが設けられている。この2つの検知スイッチのそれぞれの検知信号を監視することで、位置ずれした2枚のディスクが同時に搬入されることを防止できるようにしている。
【0007】
しかし、2つの検知スイッチの検知出力の組み合わせによってディスクの挿入状態を判断する対策では、検知出力の組み合わせの判断のために制御回路の負担が大きくなる。また、それぞれの検知スイッチの誤動作などにより、ディスクの挿入状態を正確に検知できないことが有りえる。
【特許文献1】特開2006−12252号公報
【特許文献2】特開2001−101746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、単純な構造で且つ少ない部品点数で、ディスクが前後に位置ずれして搬入されることを防止できるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ディスクが挿入される挿入口を有する筐体内に、ディスクを前記筐体の内部に搬入する搬送機構が設けられているディスク装置において、
前記筐体の内部には、前記挿入口の開口幅方向に間隔を空けて配置された一対の規制部材が設けられ、前記規制部材は、その間をディスクが通過することができるように、ディスクの挿入方向と交叉する方向へ移動可能であり、
ディスクの中心が前記規制部材を結ぶ線よりも前記筐体の奥側に移動したときに、このディスクの周縁部に押されて間隔が広げられる連動部材が設けられており、前記連動部材の間隔が広げられたときに、この連動部材によって一対の前記規制部材の間隔が狭められ、別のディスクが筐体内に入り込むことが阻止されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のディスク装置は、1枚のディスクが挿入された直後に後続のディスクが挿入されようとしたときに、先行するディスクの周縁部で一対の連動部材が押し広げられ、その力で規制部材が規制位置へ移動させられる。よって、後続のディスクが挿入されることを防止できる。後続のディスクが規制部材に当たることで、後続のディスクの挿入を機械的に確実に阻止することが可能である。
【0011】
例えば、本発明は、前記規制部材と前記連動部材は回動体に一体に形成されており、前記回動体は、前記規制部材と前記連動部材との中間部において前記筐体内に回動自在に支持されているものである。
【0012】
規制部材と連動部材を回動体として一体に形成すると、部品点数を少なくでき、しかも、先行するディスクで回動体を回動させることで、規制部材を確実に規制位置に移動させることが可能となる。
【0013】
なお、本発明は、規制部材と連動部材とが別々の部材として構成されており、先行するディスクの周縁部で一対の連動部材が押し広げられたときに、連動部材の移動力がリンク機構などを介して規制部材に伝達されて、規制部材が規制位置に至るものであってもよい。
【0014】
また、本発明は、前記連動部材は、その間隔が広げられる方向へばねで付勢されているものが好ましい。
【0015】
また、前記筐体内に、ディスクの中心部をクランプしてディスクを回転させる回転駆動部が設けられており、ディスクが前記回転駆動部にクランプされているときに、前記連動部材がディスクの外周縁から離れている。
【0016】
本発明は、前記規制部材に切欠き部が形成され、前記切欠き部は、1枚のディスクは入るが2枚のディスクは一緒に入らない開口寸法を有しており、
前記規制部材の間隔が最も広がったときに、1枚のディスクが前記切欠き部内を通過して前記筐体内へ搬入可能であるが、2枚のディスクが重なっているときは、前記規制部材によって2枚のディスクの双方の搬入が規制されるものとして構成できる。
【0017】
上記のように、規制部材に切欠き部を形成すると、2枚のディスクが、その中心が一致する状態で完全に重ねられて挿入されようとしたときに、筐体内へのディスクの挿入を阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のディスク装置では、2枚のディスクが、その中心が前後にずれて重ねられた状態で挿入されようとしても、その挿入を機械的に確実に阻止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態のディスク装置の構造を示す平面図、図2と図3は、ディスクが挿入されたときの動作を示すものであり、ディスク装置内の駆動ユニットの平面図、図4は回動体を示す斜視図、図5は規制部材とディスクとの寸法を対比して示す正面図である。
【0020】
図1ないし図3の図中のX1方向が右方向、X2方向が左方向、Y1方向が前方または奥方向、Y2方向が後方または手前方向である。
【0021】
図1に示すディスク装置1には、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などのディスクDが装填可能である。ディスク装置1は、車両内に設置される筐体2を有している。筐体2の前部には化粧部3が設けられており、化粧部3に挿入口4が開口している。挿入口4は、左右方向に延びるスリット状であり、左右方向の幅寸法がディスクDの直径よりもやや広く、図1の紙面に直交する方向での挿入口4の開口幅が、ディスクDの厚さ寸法よりもやや大きい。また、化粧部3には表示装置や各種操作装置が設けられている。
【0022】
筐体2の内部には機構ユニット10が設けられている。機構ユニット10は、箱状の金属板製のシャーシ11を有している。シャーシ11の前部11aには、挿入口4に連通する開口部が形成されている。
【0023】
機構ユニット10内には、挿入口4の奥側に搬送機構12が設けられている。搬送機構12は、ローラ軸13とローラ軸13の外周面に装着されたゴム製のローラ14を有している。シャーシ11内に設けられたモータの動力によって、ローラ軸13が搬入方向と搬出方向へ回転駆動される。ローラ14は、ローラ軸13の外周に接着されることなく装着されている。ローラ軸13がディスクDに押し付けられると、ローラ軸13の回転力がローラ14に伝達されてローラ14が回転し、ディスクDに搬送力が与えられるが、ローラ14の回転を止めようとする抵抗力が作用すると、ローラ軸13とローラ14とがスリップしてローラ軸13が空転する。
【0024】
ローラ軸13およびローラ14は、ディスクDの搬入経路の下側に設けられ、前記搬入経路の上側には、低摩擦係数の合成樹脂材料で形成された摺動部材が設けられている。ローラ軸13には、摺動部材に圧接する付勢力が作用しており、ディスクDは、ローラ14と摺動部材との間で挟持されて、ローラ14の回転力で搬送される。図1に示すように、ディスクDの中心穴Daが、シャーシ11内に設けられた回転駆動部15に装着されてクランプされると、ローラ軸13が下降して、ローラ14がディスクDの下面から離れ、ディスクDへの搬送力の伝達が断たれる。
【0025】
回転駆動部15は、シャーシ11内において、搬送機構12よりも奥側に設けられている。回転駆動部15は、スピンドルモータ16に固定されて回転するターンテーブル17を有しており、ディスクDの中心穴Daは、ターンテーブル17の中央の凸部17aに嵌着される。回転駆動部15にはクランパが設けられており、ディスクDの中心穴Daが凸部17aに嵌合した状態で、ディスクDの中心部がターンテーブル17とクランパとで保持される。
【0026】
シャーシ11内には光ヘッド18が設けられている。光ヘッド18には、ディスクDの記録面に対向する対物レンズ18aが設けられている。光ヘッド18は、案内部材19a,19bに案内され、図示しないスレッド機構の駆動力により、ディスクDの記録面に対向しながら記録面に沿って移動する。
【0027】
シャーシ11の前部11aと回転駆動部15との間には、右側(X1側)に回動体20Aが、左側(X2側)に回動体20Bが設けられている。回動体20Aと回動体20Bは左右対称形状である。
【0028】
図4は、右側の回動体20Aを示している。図4に示す回動体20Aは、平面形状がへの字状であり、全体が合成樹脂材料で形成されている。回動体20Aの中央部には、円柱形状の支持部21が設けられており、支持部21に上下に貫通する支持穴21aが形成されている。支持部21よりも手前側にはアーム部22が延び、アーム部22の先部に規制部材23が一体に形成されている。規制部材23はその中心が上下方向に延びる円柱形状である。基部21よりも奥側にはアーム部24が一体に延び、アーム部24の先部には下方へ突出する連動部材25が一体に形成されている。
【0029】
図4および図5に示すように、規制部材23には、ディスクDの搬送経路に向けられる切欠き部23aが形成されている。切欠き部23aは内端部23bを有する溝であり、挿入口4に挿入されたディスクDの周縁部が切欠き部23a内で案内される。
【0030】
図5に示すように、切欠き部23aの上下方向の開口幅寸法Hは、ディスクDの厚さ寸法Tよりもやや広いが、2枚分のディスクDの厚さ2Tよりは狭くなっている。よって、切欠き部23a内には一枚のディスクDの周縁部が入り込むが、2枚のディスクDの周縁部が同時に入り込むことはできない。
【0031】
図1に示すように、シャーシ11の前部11aの内側で且つ右側の端部には、上下に延びる支持軸27が固定されており、回動体20Aの支持穴21aが支持軸27に挿通されて、回動体20Aは、支持軸27を支点として回動自在に取り付けられている。支持軸27は、シャーシ11の前部11aとローラ14との中間の位置にある。また、規制部材23に形成された切欠き部23aは、挿入口4と同じ高さ位置にある。連動部材25は、ローラ14よりも奥側(Y1側)に位置しており、ローラ14と摺動部材とで挟持されたディスクDの周縁部と同じ高さ位置で、このディスクDの周縁部が当たることができる高さ位置にある。
【0032】
左側に配置されている回動体20Bは、右側の回動体20Aと対称形状であるので、右側の回動体20Aと同じ構造部分に同じ符号を付している。左側の回動体20Bも、支持穴21aが支持軸27に回動自在に支持されている。
【0033】
右側の回動体20Aは、図示しないトーションばねなどの付勢部材により時計方向へ回動付勢されており、左側の回動体20Bも付勢部材により反時計方向へ回動付勢されている。図1に実線で示すように、右側の回動体20Aは、アーム部24がY1−Y2方向と平行な姿勢のときが時計方向への回動限界であり、左側の回動体20は、アーム部24がY1−Y2方向と平行な姿勢のときが反時計方向への回動限界である。すなわち、回動体20Aと回動体20Bは、連動部材25,25が互いに離れる方向で、規制部材23,23が互いに接近する方向へ付勢されている。
【0034】
図1に示すように、シャーシ11の前部11aには、右側にストッパ部11bが、左側にストッパ部11cが、それぞれシャーシ11の内方に向けて折り曲げ形成されている。
【0035】
図1に破線で示すように、右側の回動体20Aは、規制部材23がストッパ部11bに当たったときが、反時計方向への回動限界であり、左側の回動体20Bは、規制部材23がストッパ部11cに当たったときが、時計方向への回動限界である。すなわち、左右一対の規制部材23,23は、ストッパ部11b,11cで規制されているときに、対向間隔が最も広げられる。
【0036】
次に、ディスク装置1の動作について説明する。
(正常な装填動作)
回動体20A,20Bに外力が作用していないときには、回動体20A,20Bは、図1において実線で示す姿勢であり、右側の回動体20Aの規制部材23と左側の回動体20Bの規制部材23とが互いに接近し、その間隔は、ディスクDの直径よりも狭くなっている。一方、右側の回動体20Aの連動部材25と左側の回動体20Bの連動部材25は互いに離れている。また、ローラ14はばねなどの付勢力により摺動部材に弾圧させられている。回転駆動部15では、クランパがターンテーブル17から離れている。
【0037】
挿入口4から1枚の正常な形状のディスクDが挿入されると、図3に実線で示すように、その周縁部が、右側の回動体20Aの規制部材23に形成された切欠き部23a内に入り、左側の回動体20Bの規制部材23に形成された切欠き部23a内に入る。そのままディスクDが押し込まれると、ディスクDの周縁部で押されて、規制部材23,23の対向間隔が広げられる。そして、ディスクDがローラ14と摺動部材との間に挟まれ、ローラ14の回転力によって筐体内に送り込まれ、図1に示すように、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル17にクランプされる。
【0038】
その後、ローラ14が下降してディスクDから離れる。ディスクDがターンテーブル17にクランプされたときに、回動体20Aは付勢力により時計方向へ回動し、回動体20Bは反時計方向へ回動しているため、それぞれの連動部材25,25はディスクDの周縁部から離れている。
【0039】
よって、回転駆動部15の動力でディスクDを回転させることができ、光ヘッド18で、ディスクDに記録された情報の再生や、ディスクへの情報の記録を行なうことができる。
【0040】
なお、図示省略するが、シャーシ11の前部11aとローラ14との間には、挿入検知機構が設けられている。この挿入検知機構は、ディスクの周縁部で押されて移動する検知ピンおよびその検知ピンの移動位置を検知するスイッチとで構成される。あるいは、通過するディスクDを検知できる光検知器で構成されている。さらに、シャーシ11内には、ディスクDが回転駆動部15にクランプされたことを検知する装填検知機構が設けられている。
【0041】
ディスク装置1の動作を制御する制御部では、ディスクDが挿入口4から挿入されて挿入検知機構がディスクDを検知してから時間の計測を開始し、一定時間内にディスクDが挿入検知機構から外れ、さらに一定時間内に装填検知機構によってディスクDの装填完了が検知されたら、ディスクDが正常に装填されたと判断する。
【0042】
(2枚のディスクが前後して挿入されたときの動作)
図2は、先行する1枚のディスクD1が、左右の規制部材23,23の切欠き部23a,23a内を通過し、ローラ14の回転力でシャーシ11の内方へ搬入されている途中で、別のディスクD2が挿入口4から挿入された状態を示している。
【0043】
図2では、先行のディスクD1の中心が、左右の規制部材23,23の中心どうしを結ぶ線(図示せず)よりもY1側へ移動しているため、ディスクD1の周縁部は、それぞれの切欠き部23a,23a内を通過してY1方向へ抜け出ている。そのため、後続のディスクD2を挿入口から強引に挿入すると、その周縁部が切欠き部23a,23aに入り込むことができる。
【0044】
ただし、ディスクD1の中心がY1方向へ移動しているために、ディスクD1の周縁部が、回動体20Aの連動部材25と回動体20Bの連動部材25にそれぞれ当たり、ディスクD1がY1方向へ移動するのに伴なって、一対の連動部材25,25の間隔が広げられる。その結果、図2に示すように、右側の回動体20Aが時計方向へ回動し、左側の回動体20Bが反時計方向へ回動する。このとき、右側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bと、左側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bとの間隔が、ディスクD1の直径よりも狭くなる。よって、後続のディスクD2が規制部材23,23に規制されてシャーシ11の内部に進めなくなる。
【0045】
すなわち、先行するディスクD1と後続のディスクD2が、その中心が前後にずれ且つ互いに重ねられている状態となると、後続のディスクD2の挿入が規制部材23,23で規制される。
【0046】
図2において、後続のディスクD2が、先行するディスクD1の上側(紙面の手前側)に重ねられているときには、ローラ14が、先行するディスクD1の下面に当接しているので、ローラ14の回転力が、先行するディスクD1に与えられ、先行するディスクD1はそのまま搬入される。ただし、後続のディスクD2が規制部材23,23に規制されているため、前部11aとローラ14との間に位置する前記挿入検知機構が、先行するディスクD1と後続するディスクD2とを途切れることなく検知し続けている。そのため、制御部はディスクDが挿入口4に止っているのと同じであると判断し、回転駆動部15においてディスクDをクランプする動作を行うことなく、ローラ軸13の回転が止められる。
【0047】
図2において、後続のディスクD2が、先行するディスクD1の下側に重ねられているときは、ローラ14が後続するディスクD2の下面に当接した状態で、ディスクD2が規制部材23,23で規制されるために、ローラ14が回転できなくなり、ローラ軸13がローラ14の中でスリップして空回りする。この場合、先行するディスクD1に搬送力が作用しないため、ディスクD1とディスクD2は、図2のように重なったまま停止する。この場合も、制御部はディスクDが挿入口4に止っているのと同じであると判断し、回転駆動部15においてディスクDをクランプする動作を行うことなく、ローラ軸13の回転が止められる。
【0048】
いずれの場合も、ローラ軸13が停止した後に、ローラ軸13が搬出方向へ逆転させられ、ディスクD1とディスクD2の双方が搬出させられる。そして、挿入検知機構がディスクDを検知しなくなったら、ディスクDがシャーシ11内に存在していない正常な状態に戻ったと判断する。
【0049】
(2枚のディスク中心が重ねられて挿入されたときの動作)
図3では、正常に搬入されている1枚のディスクDを実線で示し、2枚のディスクDがその中心が一致するように重ねられて挿入されたときの、その重ねられた2枚のディスクを、重ねディスクDdとして破線で示している。
【0050】
右側の規制部材23が右側のストッパ部11bに当たり、左側の規制部材23が左側のストッパ部11bに当たって、左右の規制部材23,23の対向間隔が最も広げられているとき、右側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bと左側の規制部材23の切欠き部23aの内端部23bとの左右方向の間隔は、ディスクDの直径よりもやや広い。ただし、規制部材23,23がストッパ部11a,11bに当たっているとき、規制部材23,23の切欠き部23a,23a以外の表面23c,23c(図4参照)の対向間隔は、ディスクDの直径よりも狭い。
【0051】
そのため、1枚のディスクDが正常に挿入されたときは、ディスクの周縁部が規制部材23,23の切欠き部23a,23a内を通過して、シャーシ11の内部に搬入されるが、図3と図5に破線で示すように、2枚のディスクが完全に重ねられた重ねディスクDdは、少なくとも一方のディスクが切欠き部23a,23a内に入れないため、重ねディスクDdが規制部材23,23の間を通過することができない。
【0052】
この場合も、制御部では、ディスクが挿入口4に止っているのと同じであると判断し、回転駆動部15においてディスクをクランプする動作を行うことなく、ローラ軸13の回転が止められる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図、
【図2】ディスク装置に、2枚のディスクが前後にずれて挿入されたときの駆動ユニットの動作を示す平面図、
【図3】ディスク装置に、2枚のディスクが中心を一致させて挿入されたときの駆動ユニットの動作を示す平面図、
【図4】右側の回動体を示す斜視図、
【図5】規制部材の切欠き部とディスクの厚さ寸法との関係を示す正面図、
【符号の説明】
【0054】
1 ディスク装置
2 筐体
4 挿入口
10 機構ユニット
11 シャーシ
12 搬送機構
15 回転駆動部
17 ターンテーブル
18 光ヘッド
20A 右側の回動体
20B 左側の回動体
23 規制部材
23a 切欠き部
25 連動部材
27 支持軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが挿入される挿入口を有する筐体内に、ディスクを前記筐体の内部に搬入する搬送機構が設けられているディスク装置において、
前記筐体の内部には、前記挿入口の開口幅方向に間隔を空けて配置された一対の規制部材が設けられ、前記規制部材は、その間をディスクが通過することができるように、ディスクの挿入方向と交叉する方向へ移動可能であり、
ディスクの中心が前記規制部材を結ぶ線よりも前記筐体の奥側に移動したときに、このディスクの周縁部に押されて間隔が広げられる連動部材が設けられており、前記連動部材の間隔が広げられたときに、この連動部材によって一対の前記規制部材の間隔が狭められ、別のディスクが筐体内に入り込むことが阻止されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記規制部材と前記連動部材は回動体に一体に形成されており、前記回動体は、前記規制部材と前記連動部材との中間部において前記筐体内に回動自在に支持されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記連動部材は、その間隔が広げられる方向へばねで付勢されている請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記筐体内に、ディスクの中心部をクランプしてディスクを回転させる回転駆動部が設けられており、ディスクが前記回転駆動部にクランプされているときに、前記連動部材がディスクの外周縁から離れている請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記規制部材に切欠き部が形成され、前記切欠き部は、1枚のディスクは入るが2枚のディスクは一緒に入らない開口寸法を有しており、
前記規制部材の間隔が最も広がったときに、1枚のディスクが前記切欠き部内を通過して前記筐体内へ搬入可能であるが、2枚のディスクが重なっているときは、前記規制部材によって2枚のディスクの双方の搬入が規制される請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項1】
ディスクが挿入される挿入口を有する筐体内に、ディスクを前記筐体の内部に搬入する搬送機構が設けられているディスク装置において、
前記筐体の内部には、前記挿入口の開口幅方向に間隔を空けて配置された一対の規制部材が設けられ、前記規制部材は、その間をディスクが通過することができるように、ディスクの挿入方向と交叉する方向へ移動可能であり、
ディスクの中心が前記規制部材を結ぶ線よりも前記筐体の奥側に移動したときに、このディスクの周縁部に押されて間隔が広げられる連動部材が設けられており、前記連動部材の間隔が広げられたときに、この連動部材によって一対の前記規制部材の間隔が狭められ、別のディスクが筐体内に入り込むことが阻止されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記規制部材と前記連動部材は回動体に一体に形成されており、前記回動体は、前記規制部材と前記連動部材との中間部において前記筐体内に回動自在に支持されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記連動部材は、その間隔が広げられる方向へばねで付勢されている請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記筐体内に、ディスクの中心部をクランプしてディスクを回転させる回転駆動部が設けられており、ディスクが前記回転駆動部にクランプされているときに、前記連動部材がディスクの外周縁から離れている請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記規制部材に切欠き部が形成され、前記切欠き部は、1枚のディスクは入るが2枚のディスクは一緒に入らない開口寸法を有しており、
前記規制部材の間隔が最も広がったときに、1枚のディスクが前記切欠き部内を通過して前記筐体内へ搬入可能であるが、2枚のディスクが重なっているときは、前記規制部材によって2枚のディスクの双方の搬入が規制される請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−187621(P2009−187621A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26245(P2008−26245)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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