説明

ディスク装置

【課題】デッキを支持する衝撃吸収部材の動きが硬めの場合でも、スライダをスムーズに動作させること。
【解決手段】スロットから挿入されるディスク媒体の情報を記録または再生するデッキ14と、スロットが形成されると共に、デッキ14をその内部に収納するケース体12と、デッキ14の両側方に配置され、ディスク媒体Aの搬送方向に沿ってスライドし、段差部76を有するスライド部材72と、ケース体12から下方に向かって突出する突出部37と、デッキ14とケース体12との間に介在される衝撃吸収部材84とを有するディスク装置10において、段差部76の端部近傍には該段差部76よりも上方に向かって突出する突起77が設けられ、スライド部材72をスライドさせると、突出部37が突起77を乗り越える際、衝撃吸収部材を強く押圧し、乗り越え後、段差部76の上に乗り上がり、スライド部材72を下方に向かって押圧することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スロットイン式のディスク再生装置やディスク記録装置では、スロットに挿入されるディスク媒体は、ディスク装置の内部に配設されるディスクローディング機構によって、ディスク装着位置まで搬送される。また、ディスク媒体を排出する際には、該ディスク媒体はディスクローディング機構によって、排出位置まで搬送される(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−338778号公報(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のディスク再生機構では、ディスク媒体の左右両側の外縁部のみを保持部材で保持した状態で、該ディスク媒体を搬送したり搬出したりしている。このため、搬送中のディスク媒体を常時、水平状態に維持することは困難であり、ディスク媒体自身の自重によって該ディスク媒体がメカ本体に対し下向きに傾いてしまう。この傾きは、ディスク媒体の挿入時および排出時に顕著に表れるため、ディスク媒体の挿入時および排出時の傾きを考慮してスロットの位置決めを行わなければならず、スロットの位置決めに高い精度が要求されるといった問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、先に、かかる問題を解決するために、ディスク媒体がスロットに挿入または排出される際に、デッキの奥側をケース体に対して下方に傾けて挿入時および排出時のディスク媒体の角度を水平にすることが可能なディスク装置を提案した(特願2008―068410)。このディスク装置では、デッキの両側方に、ディスク媒体の搬送方向に沿ってスライドし、かつ上方に向かって突出する段差部を有するスライド部材を設け、該スライド部材をケースの天面から下方に向かって突出する突出部によって押圧することで、デッキを下方に向かって傾けている。
【0006】
このような構成を採用すると、仮に、デッキを支持するダンパとしてその動作が硬めのものを使用した場合、またはダンパ自体やオイルが外気温の影響で硬化した場合、スライダの動作に追従するダンパの動作がにぶくなる。ダンパの追従動作がにぶくなると、動作時のスライダに大きな負荷がかかることになり、この負荷がスライダの動作に悪影響を与えることが危惧される。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デッキを支持するダンパの動きが硬めの場合でも、スライダをスムーズに動作させることができるディスク装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、スロットから挿入されるディスク媒体を記録位置または再生位置まで搬入して、ディスク媒体の情報を記録または再生すると共に、記録位置または再生位置のディスク媒体をスロットに向かって搬出するデッキと、スロットが形成されると共に、デッキをその内部に上下動可能に収納するケース体と、デッキの両側方に配置され、ディスク媒体の搬送方向に沿ってスライドし、かつ上方に向かって突出する段差部を有するスライド部材と、段差部と対応するようにケース体の天面から下方に向かって突出する突出部と、デッキとケース体の底板との間に介在し、衝撃を吸収する衝撃吸収部材と、を有するディスク装置において、段差部の搬送方向における端部近傍には該段差部よりも上方に向かって突出する突起が設けられ、スライド部材をスライドさせると、突出部が突起を乗り越える際、衝撃吸収部材を強く押圧し、乗り越え後、段差部の上に乗り上がり、スライド部材を下方に向かって押圧して衝撃吸収部材を乗り越え時より小さい力で押圧させるように構成されているものである。
【0009】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、突出部が突起を乗り越えた状態では、デッキがケース体に対して下方に押圧されるものである。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、突起の頂部に、端部側から当該端部とは逆方向に向かって下方に傾斜する傾斜面を形成したものである。
【0011】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、衝撃吸収部材をオイルによって衝撃を吸収するオイルダンパとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、デッキを支持する衝撃吸収部材の動きが硬めの場合でも、スライダをスムーズに動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係るディスク装置10について、図面を参照しながら説明する。このディスク装置10は再生装置となっているが、記録装置や記録再生装置としても良い。なお、以下の説明において、図1〜図10に示す矢示X方向を前方、矢示X方向を後方、このX方向とX方向と水平方向で直交する方向となる矢示Y方向を左方、矢示Y方向を右方、このXY平面と直交する方向の矢示Z方向を上方および矢示Z方向を下方とそれぞれ規定する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係るディスク装置10のメカ機構部の斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態に係るディスク装置10からケース体12のカバー18を取り除いた状態を示す斜視図であり、左スライド部材72が最も後方の位置まで移動し、右スライド部材73が最も前方の位置まで移動した状態を示す図である。図3は、図1中のカバー18を裏返した状態を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施の形態に係るディスク装置10からケース体12のカバー18を取り除いた状態を示す斜視図であり、左スライド部材72が最も前方の位置まで移動し、右スライド部材73が最も後方の位置まで移動した状態を示す図である。
【0015】
図1および図2に示すように、ディスク装置10は、ディスク媒体であるCD、DVDなどの光ディスクAを再生するスロットイン方式のディスク再生装置である。このディスク装置10は略直方体の箱型形状を有するケース体12と、該ケース体12の内部に備えられ、光ディスクAに記録されている情報を読み取り、再生する再生デッキ14とを有している。ケース体12には、光ディスクAを挿入または排出するためのスロット16が設けられている。スロット16は略矩形状の形態を有しており、その長手方向の口径は挿入される光ディスクAの直径に対応するように形成されている。このスロット16に挿入される光ディスクAは、後述するディスクガイド62によって保持されながら再生デッキ14のクランプ位置まで搬送される。なお、ディスク媒体として、光ディスクAの代わりに磁気ディスク等の他の種類のディスク媒体を挿入するようにしても良い。
【0016】
図1に示すように、ケース体12は、カバー18と、ベース20とを有する。図1および図3に示すように、カバー18は、略四角形の形態を有する天板部21と、天板部21の左右両端から下方に向かって立ち下がる左鍔部22および右鍔部23と有する。左鍔部22および右鍔部23の前端側および後端側は、それぞれ略L字状もしくは略逆L字状に切り欠かれている。また、カバー18は、天板部21の後端における左右の2箇所から立ち下がる後鍔部24,24と、天板部21の前端から立ち下がる前鍔部25を有する。
【0017】
天板部21には複数の開口部が形成されている。具体的には、天板部21の略中央には、前方に向かって凸状の形態を有する凸状開口部26が形成されている。また、該凸状開口部26の前方には、略台形形状の形態を有する台形開口部27が形成されている。カバー18をベース20に取り付けた状態では、凸状開口部26からは後述するクランプアーム63が臨めるようになっており、台形開口部27からは後述するディスクガイド62が臨めるようになっている。また、台形開口部27の左右両側には、中心を通るXZ平面を中心として左右対称となるように略小判形状の形態を有する小判開口部28,28が合計2つ形成されている。さらに、凸状開口部26の左右両側には、中心を通るXZ平面を中心として左右対称となるように中心側に向かって凸状の形態を有する内側凸状開口部30,30が合計2つ形成されている。また、小判開口部28の前方には、中心を通るXZ平面を中心として左右対称となるように天板部21の前端から後方に向かって略矩形状に切り欠かれた矩形開口部31,31が合計2つ形成されている。さらに、天板部21の後端側における2つの角部近傍には、中心を通るXZ平面を中心として左右対称となるように略半小判形状の形態を有する半小判開口部32,32が合計2つ形成されている。また、凸状開口部26の前方および後方には、略直方体形状を有する緩衝材33,34が配設されている。緩衝材33,34の材料としては、ゴム等の弾性部材を好適に用いることができるが、当該材料はゴム等に限定されるものではない。
【0018】
天板部21における右側の半小判開口部32の右斜め前方には、該天板部21の左右両側を前後方向に切り裂いて、その切り裂かれた部分を下方に向かって凸状に押し曲げた右後凸部35が設けられている。天板部21における右側の内側凸状開口部30の右斜め前方には、該天板部21の左右両側を前後方向に切り裂いて、その切り裂かれた部分を下方に向かって凸状に押し曲げた右前凸部36が設けられている。また、天板部21における左側の半小判開口部32の左側には、該天板部21の左右両側を前後方向に切り裂いて、その切り裂かれた部分を下方に向かって凸状に押し曲げた左後凸部37が設けられている。さらに、天板部21における左側の内側凸状開口部30の左斜め前方には、該天板部21の左右両側を前後方向に切り裂いて、その切り裂かれた部分を下方に向かって凸状に押し曲げた左前凸部38が設けられている。右後凸部35および右前凸部36と、左後凸部37および左前凸部38は、左右方向において中心を通るXZ平面を中心として左右対称の位置に設けられている。また、前後方向の位置関係に関しては、右後凸部35は左後凸部37よりも前方に設けられており、右前凸部36は左前凸部38よりもやや前方に設けられている。右後凸部35、右前凸部36、左後凸部37および左前凸部38は、共に前後方向に向かって、山なりの形態となるように押し曲げられている。
【0019】
また、天板部21における前方の2つの角部近傍には、なめらかな段差を介して下方に向かって一段低く形成される角領域40,40が形成されている。この角領域40には前後に並んで合計2つのネジ穴40aが形成されている。また、天板部21の左右両端における角領域40の後側からは、それぞれ左右方向外方に向かって左前延出部41および右前延出部42がそれぞれ延出している。左前延出部41および右前延出部42にも、前後に並んで合計2つのネジ穴41aおよびネジ穴42aがそれぞれ形成されている。また、天板部21の左端における左後凸部37の左側からは左方向外方に向かって左後延出部43が延出している。左後延出部43には、斜め方向に沿って合計2つのネジ穴43aが形成されている。また、天板部21の後端における右側の後鍔部24と右側に隣接する位置からは後方に向かって後方延出部44が延出している。後方延出部44の中央には、ネジ穴44aが形成されている。
【0020】
図2等に示すように、ベース20は、上方が開口した開口領域29を有する略四角形の箱型形状を呈している。ベース20は、略四角形の形態を有する底板部50と、該底板部50の左右両端から上方に向かって立設する左壁部51および右壁部52を有する。また、ベース20は、該底板部50の前後両端から上方に向かって立設する前壁部53および後壁部54を有する。左壁部51の上端面における前後両端部近傍からは、左方向外方に向かって左前延出部55および左後延出部56がそれぞれ延出している。左前延出部55には前後に並んで合計2つのネジ穴55aが形成されている。左後延出部56には、斜め方向に沿って合計2つのネジ穴56aが形成されている。右壁部52の上端面における前端部近傍からは、右方向外方に向かって右前延出部57が延出している。右前延出部57には前後に並んで合計2つのネジ穴57aが形成されている。後壁部54の上端面における右端部近傍からは後方に向かって後方延出部58が延出している。後方延出部58の中央には、ネジ穴58aが形成されている。
【0021】
前壁部53は、左右両端部のみが左壁部51および右壁部52と略同一の高さに形成され、左右両端部によって挟まれた中央領域53aは、該左右両端部よりも低い高さに形成されている。さらに、中央領域53aにおける左右方向中央部は、その左右両側の両端部53c,53cよりも一段低くなるように形成されている。また、前壁部53の左端部および右端部のそれぞれの上端面からは後方に向かって、後方鍔部60,60が延出している。後方鍔部60,60における前方側にはネジ穴60aが形成され、ネジ穴60aの後方には上方に向かって略半球状に突出する半球突出部60bが形成されている。
【0022】
図1および図2に示すように、デッキとなる再生デッキ14は、ベース20の開口領域29内に配置され、ベース20の上方をカバー18で塞ぐことによって、ケース体12の内部に収納される。また、再生デッキ14は、ベース20との間に後述する衝撃吸収部材としてのオイルダンパ84(図5等参照)を介在させて開口領域29内に配置される。オイルダンパ84は開口領域29の四隅近傍に配設される。カバー18は、その左前延出部41、右前延出部42、左後延出部43および後方延出部44のそれぞれが、ベース20の左前延出部55、右前延出部57、左後延出部56および後方延出部58のそれぞれと一致するようにベース20の上方に配置される。そして、各延出部41,42,43,44に設けられるネジ穴41a,42a,43a,44aと各延出部55,57,56,58に設けられるネジ穴55a,57a,56a,58aとにネジを螺入させることによってカバー18がベース20に対して固定される。また、カバー18がベース20上に配置された状態では、角領域40,40と後方鍔部60,60も一致しており、角領域40と後方鍔部60のそれぞれに設けられる前方のネジ穴40a,60aにネジが螺入される。その際、角領域40の後方のネジ穴40aには半球突出部60bが嵌まり込む。
【0023】
図2に示すように、再生デッキ14は、スロット16に挿入された光ディスクAを送りローラ93(図7等参照)とで狭持しながらクランプ位置まで案内するディスクガイド62と、クランプ位置まで搬送されてきた光ディスクAを後述するスピンドルモータ94に取り付けられたターンテーブル95(図7等参照)に向かって押圧するクランプアーム63とを有する。クランプアーム63の先端には光ディスクAを押圧してターンテーブル95に装着させるクランパ64が設けられている。ディスクガイド62は、下側ガイド部62aと、下側ガイド部62aの上方に取り付けられる上側ガイド部62bとを有する。スロット16に挿入された光ディスクAは下側ガイド部62aの下側を通過してクランプ位置まで搬送される。また、下側ガイド部62aの下側には、搬送される光ディスクAを左右方向略中央に位置決めするための位置決め部材65が中心を通るXZ平面を中心として左右対称に配設されている。位置決め部材65の先端には、上方に突出する位置決めピン65aが設けられている。これら位置決めピン65aは下側ガイド部62aよりも手前側に位置しており、該位置決めピン65aが光ディスクAの外周部と当接することにより光ディスクAの左右方向の位置決めがなされる。
【0024】
図2に示すように、クランプアーム63の左端には左方に延出した後、前方に向かって延出する左L状延出部66が設けられている。左L状延出部66における左方に延出する部分には、つる巻バネ67が券回されている。つる巻バネ67の一端部67aは不図示の係止部に引っ掛けられており、他端部67bは、ディスクガイド62における左側かつ後端部近傍に設けられる係止部68に引っ掛けられている。このため、クランプアーム63の前端側には、つる巻バネ67の付勢力により下方に向かう押圧力が作用している。左L状延出部66のうち前方に向かって延出する左前方延出部66aは、下方に向かって略V字状に折り曲がっている。一方、クランプアーム63の右端には右方に延出した後、後方に向かって延出する右L状延出部70が設けられている。右L状延出部70のうち後方に向かって延出する右後方延出部70aは下方に向かって略V字状に折り曲がっている。
【0025】
また、再生デッキ14の左右両側には、前後方向にスライド可能な左スライド部材72および右スライド部材73がそれぞれ取り付けられる。当該左スライド部材72および右スライド部材73は、不図示の駆動機構によって駆動されることにより、再生デッキ14に対して所定量だけ前後方向に向かってスライドする。左スライド部材72には、上方に向かって一段高くなるような略段差状に突出する凸段部が前方から後方に向かって所定の間隔を隔てて3つ設けられている。以下の説明において、この3つの凸段部のうち、前方の凸段部を左前凸段部74、中央の凸段部を左中凸段部75、後方の凸段部を左後凸段部76という。右スライド部材73にも、上方に向かって一段高くなるような略段差状に突出する凸段部が前方から後方に向かって所定の間隔を隔てて3つ設けられている。以下の説明において、この3つの凸段部のうち、前方の凸段部を右前凸段部80、中央の凸段部を右中凸段部81、後方の凸段部を右後凸段部82という。また、左後凸段部76の後端部には上方に向かって突出する左後突起77が設けられており、右後凸段部82の前端部にも上方に向かって突出する右前突起86が設けられている。
【0026】
本実施の形態では、光ディスクAを搬入および搬出する際には、図2に示すように、左スライド部材72が最も後方の位置まで移動し、右スライド部材73が最も前方の位置まで移動している。以下の説明において、この状態を待機状態という。また、光ディスクAがクランプ位置まで搬入され、光ディスクAを記録・再生する際または光ディスクAの搬出終了後の状態では、図4に示すように、左スライド部材72が最も前方の位置まで移動し、右スライド部材73が最も後方の位置まで移動している。以下の説明において、この状態を再生状態という。
【0027】
図2および図5に示すように、待機状態では、左L状延出部66が左スライド部72の左中凸段部75の上に乗りあがると共に、右L状延出部70が右スライド部材73の右中凸段部81の上に乗りあがった状態となっている。このため、クランプアーム63の前端部に設けられるクランパ64はつる巻バネ67の付勢力に抗して上方に押し上げられた状態となっている。したがって、待機状態では、光ディスクAがクランプ位置にあっても、光ディスクAはターンテーブル95にクランプされていない状態となる。また、この待機状態では、ベース20に装着されたカバー18の左後凸部37、左前凸部38、右後凸部35および右前凸部36のそれぞれが、左後凸段部76、左前凸段部74、右後凸段部82および右前凸段部80のそれぞれと、接触する位置関係となっている。したがって、待機状態では、左後凸段部76、左前凸段部74、右後凸段部82および右前凸段部80のそれぞれが、左後凸部37、左前凸部38、右後凸部35および右前凸部36のそれぞれによって下方に向かって押圧され、オイルダンパ84の支持部(図示省略)がしずみ込む。この結果、再生デッキ14の後端側が下方に向かって傾いた状態となっている。
【0028】
図4に示す再生状態では、左L状延出部66が左スライド部72の左中凸段部75から一段下に下がると共に、右L状延出部70が右スライド部材73の右中凸段部81から一段下に下がった状態となっている。このため、クランプアーム63の前端部に設けられるクランパ64はつる巻バネ67の付勢力によって押し下げられた状態となっている。したがって、再生状態では、光ディスクAが、ターンテーブル95にクランプされた状態となる。また、この再生状態では、ベース20に装着されたカバー18の左後凸部37、左前凸部38、右後凸部35および右前凸部36のそれぞれが、左後凸段部76、左前凸段部74、右後凸段部82および右前凸段部80のそれぞれと、接触しない位置関係となっている。したがって、再生状態では、左後凸段部76、左前凸段部74、右後凸段部82および右前凸段部80のそれぞれが、左後凸部37、左前凸部38、右後凸部35および右前凸部36のそれぞれによって押圧されることはない。このため、再生デッキ14は水平な状態を維持している。
【0029】
次に、待機状態におけるディスク装置10中の再生デッキ14の状態について詳述する。
【0030】
図5は、本発明の一実施の形態に係るディスク装置10を待機状態において側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、左側から見た図であり、(B)は右側から見た図である。
【0031】
まず、待機状態における再生デッキ14の左側面の状態について詳述する。図5(A)に示すように、左後凸部37は、天板部21から頂部37aを有するような略V字状の形態で押し曲げられている。左後凸部37は、V字の後端側を形成する後方傾斜部37bと、V字の前端側を形成する前方傾斜部37cを有する。このうち前方傾斜部37cは、天板部21から急な傾斜で折れ曲がる急傾斜部37dと、急傾斜部から緩い傾斜で折れ曲がる緩傾斜部37eを有している。左前凸部38は、天板部21から頂部38aを有するような略V字状の形態で押し曲げられている。左前凸部38は、V字の後端側を形成する後方傾斜部38bと、V字の前端側を形成する前方傾斜部38cを有する。図5(A)に示すように、左後凸部37は、左前凸部38よりも突出量が大きくなるように深く押し曲げられている。
【0032】
上述したように、左スライド部材72は、左前凸段部74および左中凸段部75および左後凸段部76を有している。これらは、縦長の略直方体形状の左基板部83から上方に向かって突出している。左後凸段部76は平滑な天面76aを有すると共に、その前端側および後端側にテーパ状の前方テーパ面76bおよび後方テーパ面76cをそれぞれ有している。また、上述したように、左後凸段部76の後端部には左後突起77が設けられている。左後突起77は、その前端側および後端側にテーパ状の突前方テーパ面77aおよび突後方テーパ面77bをそれぞれ有している。突後方テーパ面77bは後方テーパ面76cと面一となるように形成されている。また、左後突起77の頂部には突前方テーパ面77aおよび突後方テーパ面77bと連接するように、前方に向かって下方に傾斜する左後斜面77c(図6(A)の部分拡大図参照)が形成されている。また、突後方テーパ面77bと左後斜面77cとの境には、100度程の交差角を有する角部77dが形成されている。
【0033】
左前凸段部74は平滑な天面74aを有すると共に、その前端側および後端側にテーパ状の前方テーパ面74bおよび後方テーパ面74cをそれぞれ有する。左中凸段部75は平滑な天面75aを有すると共に、その前端側および後端側にテーパ状の前方テーパ面75bおよび後方テーパ面75cをそれぞれ有する。また、左前凸段部74、左中凸段部75および左後凸段部76は、左基板部83に対してそれぞれ略同一の突出量を有している。
【0034】
図5(A)に示すように、待機状態においては、左後凸部37が左後突起77を乗り越して左後凸段部76の上方に乗りあがると共に、左前凸部38が左前凸段部74の上方に乗りあがっている。具体的には、左後凸部37の頂部37aが左後凸段部76の天面76aに当接して左後凸段部76を下方に押圧すると共に、左前凸部38の頂部38aが左前凸段部74の天面74aに当接して左前凸段部74を下方に押圧する。この際、左後凸部37は左前凸部38よりも突出量が大きいため、左後凸段部76は左前凸段部74よりも大きく押圧される。したがって、左前凸段部74および左後凸段部76は押圧力を受けるものの、より大きく押圧される左後凸段部76の方がオイルダンパ84をより大きく押し込み、左前凸段部74よりも大きく下降する。その結果、再生デッキ14の左側方は、その後端側が前端側よりも低くなるように斜めに傾いた状態となる。また、左L状延出部66における左前方延出部66aは左中凸段部75の上方に乗りあがっている。このため、クランプアーム63の左側方はつる巻バネ67の付勢力に抗して上方に押し上げられた状態となっている。
【0035】
次に、待機状態における再生デッキ14の右側面の状態について詳述する。図5(B)に示すように、右後凸部35は、左後凸部37と同様、頂部35aを有するような略V字状の形態で押し曲げられており、V字の後端側を形成する後方傾斜部35bと、V字の前端側を形成する前方傾斜部35cを有する。このうち後方傾斜部35bは、急傾斜部35dと緩傾斜部35eを有している。右前凸部36は、頂部36aを有するような略V字状に押し曲げられており、その突出量は右後凸部35よりも小さくなっている。また、右前凸部36は、後方傾斜部36bと、前方傾斜部36cを有する。
【0036】
上述したように、右スライド部材73は、右前凸段部80および右中凸段部81および右後凸段部82を有している。これらは、縦長の略直方体形状の右基板部85から上方に向かって突出している。また、右後凸段部82は平滑な天面82aを有すると共に、その前端側にテーパ状の前方テーパ面82bを有している。また、上述したように、右後凸段部82の前端部には右前突起86が設けられている。右前突起86は、その前端側および後端側にテーパ状の突前方テーパ面86aおよび突後方テーパ面86bをそれぞれ有している。突前方テーパ面86aは前方テーパ面82bと面一となるように形成されている。また、右前突起86の頂部には突前方テーパ面86aおよび突後方テーパ面86bと連接するように、後方に向かって下方に傾斜する右前斜面86c(図6(B)の部分拡大図参照)が形成されている。また、突前方テーパ面86aと右前斜面86cとの境には、100度程の交差角を有する角部86dが形成されている。
【0037】
右前凸段部80は平滑な天面80aを有すると共に、その前端側および後端側にテーパ状の前方テーパ面80bおよび後方テーパ面80cを有する。右中凸段部81は、中央に略V字状の切り込みを有する天面81aを有すると共に、その前端側および後端側にテーパ状の前方テーパ面81bおよび後方テーパ面81cを有する。また、右前凸段部80、右中凸段部81および右後凸段部82は、それぞれ略同一の突出量を有している。
【0038】
図5(B)に示すように、待機状態においては、右後凸部35が右前突起86を乗り越して右後凸段部82の上方に乗りあがると共に、右前凸部36が右前凸段部80の上方に乗りあがっている。具体的には、右後凸部35の頂部35aが右後凸段部82の天面82aに当接して右後凸段部82を下方に押圧すると共に、右前凸部36の頂部36aが右前凸段部80の天面80aに当接して右前凸段部80を下方に押圧する。この際、右後凸部35は右前凸部36よりも突出量が大きいため、右後凸段部82は右前凸段部80よりも大きく押圧される。したがって、右前凸段部80および右後凸段部82は押圧力を受けるものの、より大きく押圧される右後凸段部82の方がオイルダンパ84をより大きく押し込み、右前凸段部80よりも大きく下降する。その結果、再生デッキ14の右側方は、その後端側が前端側よりも低くなるように斜めに傾いた状態となる。また、右L状延出部70における右後方延出部70aは右中凸段部81の上方に乗りあがりV字の切り込みに係合している。このため、クランプアーム63の右側方はつる巻バネ67の付勢力に抗して上方に押し上げられた状態となっている。
【0039】
このように、再生デッキ14は、待機状態では左右の後方側が前方側に比べ下方に下がった状態で待機していることとなる。なお、この待機状態は、ディスク装置10が光ディスクAの搬入を検出したとき、左スライド部材72が後方側に、右スライド部材73が前方側に移動することによって達成される。ディスク装置10が光ディスクAの排出を検出すると、両スライド部材72,73は元に戻り、再生デッキ14は水平状態となる。
【0040】
次に、再生状態におけるディスク装置10中の再生デッキ14の状態について詳述する。
【0041】
図6は、本発明の一実施の形態に係るディスク装置10を再生状態において側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、左側から見た図とその一部拡大図であり、(B)は右側から見た図とその一部拡大図である。
【0042】
まず、再生状態における再生デッキ14の左側面の状態について詳述する。図6(A)に示すように、再生状態においては、左スライド部材72は最も前方に位置している。このため、左スライド部材72の後端は左後凸部37の前方まで移動し、左後凸部37が左後凸段部76の上に乗りあがった状態から左後突起77を乗り越えて、左後凸段部76の背後に位置した状態となる。また、左前凸部38は、左中凸段部75と左前凸段部74との間に形成される左前凹部87の内部に位置した状態となっている。したがって、左スライド部材72は、左後凸部37および左前凸部38と接触することはなく、左後凸部37および左前凸部38によって下方に向かって押圧されることがない。このため、再生デッキ14の左側方はオイルダンパ84によって支持されることにより水平状態を維持している。また、左前方延出部66aは、左中凸段部75と左後凸段部76との間に形成される左後凹部88の内部に位置している。このため、左前方延出部66aは、つる巻バネ67の付勢力に抗して上方に押し上げられることがない。その結果、クランプアーム63の左側方は、つる巻バネ67の付勢力によって押し下げられた状態となる。
【0043】
次に、再生状態における再生デッキ14の右側面の状態について詳述する。図6(B)に示すように、再生状態においては、右スライド部材73は最も後方に位置している。このため、右スライド部材73の右前凸段部80は右前凸部36の後方まで移動している。また、右後凸部35は、右後凸段部82の上に乗りあがった状態から右前突起86を乗り越えて、右中凸段部81と右前凸段部80との間に形成される右後凹部90の内部に位置した状態となっている。したがって、右スライド部材73は、右後凸部35および右前凸部36と接触することはなく、右後凸部35および右前凸部36によって下方に向かって押圧されることがない。このため、再生デッキ14の右側方はオイルダンパ84によって支持されることにより水平状態を維持している。また、右後方延出部70aは、右中凸段部81の天面81aに形成されるV字の切り込みとの係合から外れ、右中凸段部81と右前凸段部80との間に形成される右前凹部91の内部に位置している。このため、右後方延出部70aは、つる巻バネ67の付勢力に抗して上方に押し上げられることがない。その結果、クランプアーム63の右側方は、つる巻バネ67の付勢力によって押し下げられた状態となる。
【0044】
このように、再生デッキ14は、再生状態では水平状態を維持する。なお、再生状態では、クランパ64がクランプアーム63に係止されているつる巻バネ67の付勢力によって下方向に再生デッキ14を押し下げる力を加えている。
【0045】
次に、光ディスクAがスロット16から挿入された後の動作およびスロット16から排出される動作について説明する。
【0046】
図7は、スロット16に挿入された後の光ディスクAの状態を説明するための側面の概略図であり、(A)は光ディスクAをスロット16に挿入した直後の状態を説明するための図であり、(B)は、光ディスクAが再生デッキ14のクランプ位置に向かって搬入されている途中の状態を説明するための図である。続いて、図8は、スロット16に挿入された後の光ディスクAの状態を説明するための側面の概略図であり、(A)は光ディスクAが再生デッキ14のクランプ位置に到達した状態を説明するための図であり、(B)は、光ディスクAが再生デッキ14においてクランプされている状態を説明するための図である。なお、図7および図8に示すように、ケース体12の前壁部53の前方には所定の距離を隔てて化粧パネル92が配設されているものとする。
【0047】
図7(A)に示すように、光ディスクAは化粧パネル92に設けられるパネルスロット92aから挿入される。光ディスクAがパネルスロット92aに挿入される際には再生デッキ14は待機状態にある(図5参照)。したがって、光ディスクAがパネルスロット92aに挿入される際には、再生デッキ14は、その後端側が下方に向かってわずかに傾いた状態となっている(図5および図7(A)参照)。光ディスクAがパネルスロット92aおよびスロット16の内部に、順次、挿入されると、光ディスクAは、再生デッキ14内をディスクガイド62によって案内されながらクランプ位置に向かって搬送される。光ディスクAがパネルスロット92aおよびスロット16の内部に挿入された直後は、光ディスクAの後端部A1がディスクガイド62と送りローラ93とによって狭持された状態となる(図7(A)参照)。再生デッキ14は後端側が低く傾いた状態となっているため、ディスクガイド62もその後端側が低くなるように傾いている。したがって、後端部A1がディスクガイド62と送りローラ93とによって狭持された光ディスクAは、ディスクガイド62によってその後端側が低く傾くようにガイドされる。しかし、挿入直後の光ディスクAは、その後端側のみがディスクガイド62と送りローラ93によって支持された状態であるので、自由端となる前端部A2には光ディスクA自身の自重により下方に向かうモーメントBが作用する。そのため、ディスクガイド62によって後端側が低く傾くように作用する力に比べ、自重力となるモーメントBが勝り、光ディスクAは前端部A2(搬入側とは反対の側)が下方に向かってわずかに傾いた状態となる(図7(A)参照)。
【0048】
図7(A)の状態から光ディスクAがさらに搬入されると、光ディスクAの中央より後方側がディスクガイド62と送りローラ93とによって狭持された状態となる(図7(B)参照)。この状態では、光ディスクAの前端部A2がパネルスロット92aの近傍に位置している。なお、再生デッキ14は、依然として、後端側が低く傾いた待機状態を維持している。そのため、光ディスクAには、ディスクガイド62によってその後端側が低く傾くような力が作用する。しかし、この状態では、光ディスクAは、その中央より後方側がディスクガイド62と送りローラ93によって支持されている。このため、光ディスクAの前端部A2にモーメントB1が作用するが、モーメントB1と、ディスクガイド62によって後端側が低く傾くように作用する力とが釣り合って、光ディスクAは略水平な状態を維持する(図7(B)参照)。
【0049】
図7(B)の状態から光ディスクAがさらに搬入されると、光ディスクAはクランプ位置まで案内される。クランプ位置では、光ディスクAの中央が再生デッキ14の内部に備えられたスピンドルモータ94の上方に位置している。この状態では、光ディスクAの前端部A2近傍が、ディスクガイド62に保持された状態となる(図8(A)参照)。なお、再生デッキ14は、依然として、後端側が低く傾いた待機状態を維持している。さらに、光ディスクAは、その裏面もしくは後端部A1が再生デッキ14の内部に配置された不図示のトレーによって支持された状態となっている。このため、光ディスクAは再生デッキ14と略平行な状態を維持する。すなわち、光ディスクAはディスク装置10に対して、後端側が斜め下方に傾いた状態を維持する(図8(A)参照)。
【0050】
図8(A)に示すように、光ディスクAがクランプ位置まで搬送されると、光ディスクAはクランパ64によって下方に押圧され、スピンドルモータ94に取り付けられたターンテーブル95に装着される(図8(B)参照)。なお、光ディスクAがターンテーブル95に装着される際には、再生デッキ14は、図5に示す待機状態から図6に示す再生状態に移行し、ディスク装置10に対して水平な状態を維持している。
【0051】
図7(A)、図7(B)および図8(A)、図8(B)により、光ディスクAを挿入する状態を説明したが、これを図8(B)、図8(A)、図7(B)、図7(A)の順として、光ディスクAを排出する状態であっても、図7(B)の状態で排出される光ディスクAはディスク装置10に対して水平な状態を維持している。
【0052】
ここで、再生デッキ14が待機状態から再生状態に移行する動作について説明する。再生デッキ14は、光ディスクAが再生デッキ14においてクランプ位置まで搬送された後、待機状態から再生状態に移行し、再生デッキ14から光ディスクAが完全に排出された後には、待機状態から再生状態と同様な状態に移行する。図9は、再生デッキ14が待機状態から再生状態に移行している途中の状態を側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、頂部37aと左後斜面77cとが接触した状態を左側から見た図であり、(B)は頂部35aと右前斜面86cとが接触した状態を右側から見た図である。図10は、再生デッキ14が待機状態から再生状態に移行している途中の状態を側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、緩傾斜部37eと角部77dとが接触した状態を左側から見た図であり、(B)は緩傾斜部35eと角部86dとが接触した状態を右側から見た図である。
【0053】
まず、再生デッキ14の左側面の動作について説明する。上述したように、待機状態においては、左後凸部37が左後凸段部76の上方に乗りあがると共に、左前凸部38が左前凸段部74の上方に乗りあがっている。また、左前方延出部66aが左中凸段部75の上方に乗りあがっている(図5(A)参照)。この状態から、左スライド部材72が前方へ移動すると、左後凸段部76は、その天面76aが左後凸部37の頂部37aと接触した状態で前方に向かって摺動すると共に、左前凸段部74も、天面74aが左前凸部38の頂部38aと接触した状態で前方に向かって摺動する。また、左中凸段部75も、その天面75aが左前方延出部66aの頂部66bと接触した状態で前方に向かって摺動する。
【0054】
図5(A)の状態から左スライド部材72が前方に向かって一定量移動すると、この間は、常にオイルダンパ84の元へ戻ろうとする力が強く働き続けているため、左後凸段部76の天面76aと左後凸部37の頂部37aとがオイルダンパ84の復元力により接触した状態から、左後凸部37の後方傾斜部37bと左後突起77の突前方テーパ面77aとがオイルダンパ84の復元力により接触した状態となる。さらに、左スライド部材72が前方に向かって移動すると、突前方テーパ面77aが後方傾斜部37bと接触しながら前方に向かって摺動していき、左後凸部37の頂部37aが左後突起77の左後斜面77cと接触した状態となる(図9(A)参照)。さらに、左スライド部材72が前方に向かって移動すると、左後斜面77cが頂部37aと接触しながら前方に向かって摺動していき、左後突起77の角部77dが頂部37aと接触した状態を経て、該角部77dが緩傾斜部37eと接触した状態となる。さらに、左スライド部材72が前方へ向かって一定量移動すると、角部77dが緩傾斜部37eと接触しながら前方に向かって摺動していく(図10(A)参照)。その後、突後方テーパ面77bおよび後方テーパ面76cが急傾斜部37dと面接触した状態となり、該突後方テーパ面77bおよび後方テーパ面76cは急傾斜部37dと面接触ながら前方に向かって摺動していく。その後、左後凸段部76は左後凸部37との接触から開放され、左後凸部37の前方に位置した状態となる(図6(A)参照)。すなわち、左スライド部材72の前方への移動に伴って、左後凸部37は左後凸段部76の天面76aの上に乗りあがった状態から左後突起77を乗り越えて、左後凸段部76の後方側に移動することとなる。この際、左後突起77には突前方テーパ面77aおよび左後斜面77cが形成されているため、左後凸部37は左後突起77に引っ掛かることなくスムーズに左後突起77に乗り上がることが可能となる。
【0055】
また、左前凸段部74は、天面74aが左前凸部38の頂部38aと接触しながら前方に向かって摺動していき、その後、後方テーパ面74cが前方傾斜部38cと面接触した状態となる。そして、該後方テーパ面74cは前方傾斜部38cと面接触しながら前方に向かって摺動していく。さらに、左スライド部材72が前方へ向かって移動すると、左前凸段部74は左前凸部38との接触から開放され、左前凹部87の内部に納まった状態となる(図6(A)参照)。
【0056】
左中凸段部75も、天面75aが左前方延出部66aの頂部66bと接触しながら前方に向かって摺動していく。その後、後方テーパ面75cが左前方延出部66aの前方傾斜部66cと面接触した状態となり、該後方テーパ面75cが前方傾斜部66cと面接触しながら前方に向かって摺動していく。さらに、左スライド部材72が前方へ向かって移動すると、左前方延出部66aは左中凸段部75との接触から開放され、左後凹部88の内部に納まった状態となる(図6(A)参照)。
【0057】
左前凸段部74および左後凸段部76が、左前凸部38および左後凸部37との接触から開放されると、再生デッキ14の左側方はオイルダンパ84の復元力によって後端側が斜め下方に傾いた状態(図5(A)参照)から水平な状態(図6(A)参照)になる。なお、衝撃吸収部材としてオイルダンパ84が用いられているため、再生デッキ14の左側方は斜め下方に傾いた状態からゆっくりと水平な状態へ移行する。また、左前方延出部66aは、左中凸段部75との接触から開放されて、左後凹部88の内部に入り込む。このため、クランプアーム63の左側方はつる巻バネ67の付勢力によって押し下げられる。
【0058】
次に、再生デッキ14の右側面の動作について説明する。上述したように、待機状態においては、右後凸部35が右後凸段部82の上方に乗りあがると共に、右前凸部36が右前凸段部80の上方に乗りあがっている。また、右後方延出部70aが右中凸段部81の上方に乗りあがりV字の切り込みに係合している(図5(B)参照)。この状態から、右スライド部材73が後方へ移動すると、右後凸段部82の天面82aが右後凸部35の頂部35aと接触した状態で後方に向かって摺動すると共に、右前凸段部80の天面80aも右前凸部36の頂部36aと接触した状態で後方に向かって摺動する。また、右後方延出部70aは、右中凸段部81に形成されている切り込みとの係合から外れ、天面81aが右後方延出部70aの頂部70bと接触した状態で後方に向かって摺動する。
【0059】
図5(B)の状態から右スライド部材73が後方に向かって一定量移動すると、左側面と同様に、右後凸段部82の天面82aと右後凸部35の頂部35aとが接触した状態から、右後凸部35の前方傾斜部35cと右前突起86の突後方テーパ面86bとが接触した状態となる。さらに、右スライド部材73が後方に向かって移動すると、突後方テーパ面86bが前方傾斜部35cと接触しながら後方に向かって摺動していき、右後凸部35の頂部35aが右前突起86の右前斜面86cと接触した状態となる(図9(B)参照)。さらに、右スライド部材73が後方に向かって移動すると、右前斜面86cが頂部35aと接触しながら後方に向かって摺動していき、右前突起86の角部86dが頂部35aと接触した状態を経て、該角部86dが緩傾斜部35eと接触した状態となる。さらに、右スライド部材73が後方へ向かって一定量移動すると、角部86dが緩傾斜部35eと接触しながら後方に向かって摺動していく(図10(B)参照)。その後、突前方テーパ面86aおよび前方テーパ面82bが急傾斜部35dと面接触した状態となり、該突前方テーパ面86aおよび前方テーパ面82bは急傾斜部35dと面接触ながら前方に向かって摺動していく。その後、右後凸段部82は右後凸部35との接触から開放され、右後凹部90の内部に納まった状態となる(図6(B)参照)。すなわち、右スライド部材73の後方への移動に伴って、右後凸部35は右後凸段部82の天面82aの上に乗りあがった状態から右前突起86を乗り越えて、右後凹部90まで移動することとなる。この際、右前突起86には突後方テーパ面86bおよび右前斜面86cが形成されているため、右後凸部35は右前突起86に引っ掛かることなくスムーズに右前突起86に乗り上がることが可能となる。
【0060】
また、右前凸段部80は、天面80aが右前凸部36の頂部36aと接触しながら後方に向かって摺動していき、その後、前方テーパ面80bが後方傾斜部36bと面接触した状態となる。そして、該前方テーパ面80bは後方傾斜部36bと面接触しながら前方に向かって摺動していく。さらに、右スライド部材73が後方へ向かって移動すると、右前凸段部80は右前凸部36との接触から開放され、右前凸部36の背後に位置した状態となる(図6(B)参照)。
【0061】
右中凸段部81は、右後方延出部70aとの係合から外れ、その天面81aが右後方延出部70aの頂部70bと接触しながら後方に向かって摺動していく。その後、前方テーパ面81bが右後方延出部70aの後方傾斜部70cと面接触した状態となり、該前方テーパ面81bが後方傾斜部70cと面接触しながら後方に向かって摺動していく。さらに、右スライド部材73が後方へ向かって移動すると、右後方延出部70aは右中凸段部81との接触から開放され、右前凹部91の内部に納まった状態となる(図6(B)参照)。
【0062】
右前凸段部80および右後凸段部82が、右前凸部36および右後凸部35との接触から開放されると、再生デッキ14の右側方はオイルダンパ84の復元力によって後端側が斜め下方に傾いた状態(図5(B)参照)から水平な状態(図6(B)参照)になる。なお、衝撃吸収部材としてオイルダンパ84が用いられているため、再生デッキ14の右側方は斜め下方に傾いた状態からゆっくりと水平な状態へ移行する。また、右後方延出部70aは、右中凸段部81との接触から開放されて、右前凹部91の内部に納まる。このため、クランプアーム63の右側方はつる巻バネ67の付勢力によって押し下げられる。
【0063】
光ディスクAの再生が終わると、該光ディスクAはスロット16からディスク装置10の外側に排出される。光ディスクAがスロット16から排出される動作は、挿入される動作と主に逆の動作となる。まず、図8(B)に示すように、光ディスクAがクランパ64によって下方に押圧されて、ターンテーブル95に装着されている状態(再生状態)から、再生デッキ14の後端側が斜め下方に傾いた待機状態に移行する。この際、光ディスクAはターンテーブル95から外れると共に、再生デッキ14と略平行な状態を維持する(図8(A)参照)。その後、光ディスクAは、再生デッキ14と略平行な状態を維持したまま前方に向かって搬送される。そして、光ディスクAの前端部A2がスロット16およびパネルスロット92a近傍を通過する際には、上述したように光ディスクAは略水平状態を維持する(図7(B)参照)。さらに、光ディスクAが前方に向かって搬送されていくと、上述したように、光ディスクAにモーメントBが作用し、光ディスクAが前方側に向かってやや傾いた状態になる。
【0064】
次に、再生デッキ14が再生状態から待機状態に移行する動作について説明する。
【0065】
まず、再生デッキ14の左側面の動作について説明する。再生デッキ14が再生状態から待機状態に移行する際の動作は、スライド部材72が、上述した待機状態から再生状態に移行する動作と逆の動作となる。再生状態においては、左後凸段部76が左後凸部37の前方に位置すると共に、左前凹部87の内部に左前凸部38が納まった状態となっている。また、左後凹部88の内部に左前方延出部66aが納まった状態となっている(図6(A)参照)。この状態から、左スライド部材72が後方へ移動すると、突後方テーパ面77bおよび後方テーパ面76cが急傾斜部37dと面接触し、該突後方テーパ面77bおよび後方テーパ面76cは急傾斜部37dと面接触ながら後方に向かって摺動していく。さらに、左スライド部材72が後方へ向かって移動すると、左後突起77の角部77dが緩傾斜部37eと接触した状態となり、該角部77dが緩傾斜部37eと接触しながら後方に向かって摺動していく(図10(A)参照)。さらに、左スライド部材72が後方に向かって移動すると、左後凸部37の頂部37aが左後突起77の角部77dと接触した状態を経て、頂部37aが左後斜面77cと接触した状態となる(図9(A)参照)。さらに、左スライド部材72が後方に向かって移動すると、左後斜面77cが頂部37aと接触しながら後方に向かって摺動していき、左後凸部37の後方傾斜部37bと左後突起77の突前方テーパ面77aとが接触した状態を経て、左後凸部37の頂部37aが左後凸段部76の天面76aと接触した状態となる。その後、さらに左スライド部材72が後方に向かって移動し、再生位置検出スイッチ(図示省略)を動作させるとその移動が停止する(図5(A)参照)。
【0066】
すなわち、左スライド部材72の後方への移動に伴って、左後凸部37は左後凸段部76の後方側の位置から左後突起77を乗り越えて、天面76aの上に乗りあがり、さらに若干移動することとなる。また、本実施の形態では、衝撃吸収部材としてオイルダンパ84が用いられているため、左後凸部37の頂部37aが左後斜面77cと接触した状態から左後凸段部76の天面76aと接触した状態に移行する際およびその天面76a上を移動する際に、オイルダンパ84はゆっくりと復元し、急激に復元することはない。このため、頂部37aが左後斜面77cと接触した状態から天面76aと接触した状態に移行する際および天面76a上を移動する際に、左スライド部材72は大きな負荷を受けることがなくなり、後方に向かってスムーズに移行できることとなる。
【0067】
一方、左スライド部材72が後方へ移動すると、左前凸部38は左前凹部87の内部に納まった状態(図6(A)参照)から、その前方傾斜部38cが後方テーパ面74cと面接触した状態となる(図10(A)参照)。さらに、左スライド部材72が後方へ向かって移動すると、後方テーパ面74cは前方傾斜部38cと面接触しながら後方に向かって摺動していき、左前凸部38が左前凸段部74の上に乗りあがり、左前凸段部74の天面74aと左前凸部38の頂部38aとが接触した状態となる(図5(A)参照)。
【0068】
また、左スライド部材72が後方へ移動すると、左前方延出部66aは左後凹部88の内部に納まった状態(図6(A)参照)から、その前方傾斜部66cが左中凸段部75の後方テーパ面75cと面接触した状態となる(図10(A)参照)。さらに、左スライド部材72が後方へ向かって移動すると、後方テーパ面75cは前方傾斜部66cと面接触しながら後方に向かって摺動していき、左前方延出部66aが左中凸段部75の上に乗りあがり、左中凸段部75の天面75aと左前方延出部66aの頂部66bとが接触した状態となる(図5(A)参照)。
【0069】
左前凸部38および左後凸部37が、左前凸段部74および左後凸段部76の上にそれぞれ乗りあがると、左前凸部38および左後凸部37からの押圧力によりオイルダンパ84が押し込まれて、再生デッキ14の左側方は後端側が斜め下方に傾いた状態となる(図5(A)参照)。また、左前方延出部66aが左中凸段部75の上方に乗りあがることにより、クランプアーム63の左側方はつる巻バネ67の付勢力に抗して押し上げられる。
【0070】
次に、再生デッキ14の右側面の動作について説明する。再生デッキ14が再生状態から待機状態に移行する際の動作は、スライド部材73が、上述した待機状態から再生状態に移行する動作と逆の動作となる。再生状態においては、右後凹部90の内部に右後凸部35が納まると共に、右前凸段部80は右前凸部36の後方に位置した状態となっている。また、右前凹部91の内部に右後方延出部70aが納まった状態となっている(図6(B)参照)。この状態から、右スライド部材73が前方へ移動すると、突前方テーパ面86aおよび前方テーパ面82bが急傾斜部35dと面接触し、該突前方テーパ面86aおよび前方テーパ面82bは急傾斜部35dと面接触ながら前方に向かって摺動していく。さらに、右スライド部材73が前方へ向かって移動すると、右前突起86の角部86dが緩傾斜部35eと接触した状態となり、該角部86dが緩傾斜部35eと接触しながら前方に向かって摺動していく(図10(B)参照)。さらに、右スライド部材73が前方に向かって移動すると、右後凸部35の頂部35aが右前突起86の角部86dと接触した状態を経て、該頂部35aが右前斜面86cと接触した状態となる(図9(B)参照)。さらに、右スライド部材73が前方に向かって移動すると、右前斜面86cが頂部35aと接触しながら前方に向かって摺動していき、右後凸部35の前方傾斜部35cと右前突起86の突後方テーパ面86bとが接触した状態を経て、右後凸部35の頂部35aが右後凸段部82の天面82aと接触した状態となる。その後、さらに右スライド部材73が前方に向かって移動し、再生位置検出スイッチ(図示省略)を動作させるとその移動が停止する(図5(B)参照)。
【0071】
すなわち、右スライド部材73の前方への移動に伴って、右後凸部35は右後凹部90の位置から右前突起86を乗り越えて、天面82aの上に乗りあがり、さらに若干移動することとなる。また、本実施の形態では、衝撃吸収部材としてオイルダンパ84が用いられているため、右後凸部35の頂部35aが右前斜面86cと接触した状態から右後凸段部82の天面82aと接触した状態に移行する際および天面82a上を移動する際に、オイルダンパ84はゆっくりと復元し、急激に復元することはない。このため、頂部35aが右前斜面86cと接触した状態から天面82aと接触した状態に移行する際および天面82a上を移動する際に、右スライド部材73は大きな負荷を受けることがなくなり、前方に向かってスムーズに移行できることとなる。
【0072】
一方、右スライド部材73が前方へ移動すると、右前凸部36は右前凸段部80の前方側に位置した状態(図6(B)参照)から、その後方傾斜部36bが前方テーパ面80bと面接触した状態となる(図10(B)参照)。さらに、右スライド部材73が前方へ向かって移動すると、前方テーパ面80bは後方傾斜部36bと面接触しながら前方に向かって摺動していき、右前凸部36が右前凸段部80の上に乗りあがり、右前凸段部80の天面80aと右前凸部36の頂部36aとが接触した状態となる(図5(B)参照)。
【0073】
また、右スライド部材73が前方へ移動すると、右後方延出部70aは右前凹部91の内部に納まった状態(図6(B)参照)から、その後方傾斜部70cが右中凸段部81の前方テーパ面81bと面接触した状態となる(図10(B)参照)。さらに、右スライド部材73が前方へ向かって移動すると、前方テーパ面81bは後方傾斜部70cと面接触しながら前方に向かって摺動していき、右後方延出部70aが右中凸段部81の上に乗りあがる。そして、右中凸段部81の天面81aと右後方延出部70aの頂部70bとが接触しながら摺動し、右後方延出部70aが右中凸段部81の切り込みに係合する(図5(B)参照)。
【0074】
右前凸部36および右後凸部35が、右前凸段部80および右後凸段部82の上にそれぞれ乗りあがると、右前凸部36および右後凸部35からの押圧力によりオイルダンパ84が圧縮されて、再生デッキ14の右側方は後端側が斜め下方に傾いた状態となる(図5(B)参照)。また、右後方延出部70aが右中凸段部81の切り込みに係合することにより、クランプアーム63の右側方はつる巻バネ67の付勢力に抗して押し上げられる。
【0075】
以上のように構成されたディスク装置10では、左後凸段部76および右後凸段部82には、左後突起77および右前突起86がそれぞれ設けられている。また、衝撃吸収部材としてオイルダンパ84が用いられている。該オイルダンパ84は支持部が押し込まれた後、完全に元の状態に復帰するまでにある程度の時間を要する。このため、左スライド部材72および右スライド部材73が左後凸部37および右後凸部35等による押圧から解放された場合、再生デッキ14は傾斜状態からゆっくりと時間をかけて略水平状態に戻る。したがって、左スライド部材72および右スライド部材73をそれぞれ後方および前方にスライドさせて再生デッキ14を待機状態に移行させる場合、左後凸部37および右後凸部35が左後突起77および右前突起86のそれぞれを乗り超えてから、左後凸段部76および右後凸段部82の天面76a,82aに接触するまでの時間を遅らせたりまたは天面76a,82aに加わる力を所定時間分だけ弱くすることが可能となる。このため、左後突起77および右前突起86を左後凸部37および右後凸部35によって押圧して、オイルダンパ84を過大に押圧させた後、左後凸部37および右後凸部35がそれぞれ左後凸段部76および右後凸段部82と接触するまでの間に左スライド部材72および右スライド部材73のそれぞれをある程度スライドさせることが可能となる。または、接触が速やかに生じたとしてもそのときの負荷を小さくできる。したがって、左後凸段部76および右後凸段部82からの負荷をかけずに左スライド部材72および右スライド部材73をそれぞれスライドさせることが可能となる。その結果、左スライド部材72および右スライド部材73をスムーズにスライドさせることが可能となる。このため、オイルダンパ84が外気の温度低下等の要因によって硬化した場合、左後突起77および右前突起86を押圧することで、確実にオイルダンパ84を押圧しつつ、該オイルダンパ84が押圧された状態で左スライド部材72および右スライド部材73をスライドさせることが可能となる。このため、オイルダンパ84が硬化した場合でも、左スライド部材72および右スライド部材73に負荷をかけることなく、該左スライド部材72および右スライド部材73をスムーズにスライドさせることが可能となる。
【0076】
また、ディスク装置10では、左後突起77および右前突起86の頂部に左後斜面77cおよび右前斜面86cが形成されている。このため、左後凸部37および右後凸部35が左後凸段部76および右後凸段部82の上にそれぞれ乗りあがっている状態で、左スライド部材72および右スライド部材73をそれぞれ前方および後方にスライドさせた場合、左後凸部37および右後凸部35は左後突起77および右前突起86にそれぞれ引っ掛かることなく、該左後突起77および右前突起86をスムーズに乗り越えることが可能となる。したがって、左スライド部材72の前方へのスライドおよび右スライド部材73の後方へのスライドをそれぞれスムーズに行うことが可能となる。
【0077】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0078】
上述の実施の形態では、左後凸段部76および右後凸段部82のみに突起となる左後突起77および右前突起86がそれぞれ設けられているが、突起が設けられる場所は、左後凸段部76および右後凸段部82に限定されず、例えば、左前凸段部74もしくは左中凸段部75の後端部近傍または右前凸段部80もしくは右中凸段部81の前端部近傍にも突起を設けるようにしても良い。さらには、左後凸段部76および右後凸段部82に加えて、左前凸段部74および右前凸段部80に突起を設けても良い。この場合、再生デッキ14は各突起を乗り越える際に前後方向いずれにも傾かずに下方に押圧され、その押圧によって再生デッキ14の略4隅に設けられたオイルダンパ84を押圧する。これにより、左後凸段部76および右後凸段部82に加えて左前凸段部74および右前凸段部80に対しても、スライドをスムーズに行うことができる。
【0079】
また、上述の実施の形態では、左後突起77および右前突起86の頂部にテーパ状の斜面となる左後斜面77cおよび右前斜面86cがそれぞれ形成されているが、左後斜面77cおよび右前斜面86cの形態はテーパ状の斜面に限定されるものではなく、例えば、曲面状の斜面としても良い。また、左後斜面77cおよび右前斜面86cを形成しないようにしても良い。
【0080】
また、上述の実施の形態では、衝撃吸収部材としてオイルダンパ84が用いられているが、衝撃吸収部材はオイルダンパに限定されるものではなく、押圧されてから復帰するまでにある程度時間がかかるものであれば、ゴムダンパやスプリング等の他の種類の衝撃吸収部材を採用することが可能である。
【0081】
また、上述の実施の形態では、待機時に再生デッキ14が傾く構成とされているが、左後突起77や右前突起86の設置は押圧されてから復帰するまでにある程度時間がかかる衝撃吸収部材を使用し、かつその衝撃吸収部材の負荷がかかっているときに、スライド部材を移動させなければならないものであれば全てのものに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のディスク装置は、ディスク媒体の情報を記録する装置、再生する装置、または記録再生する装置や当該機器を製造する産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施の形態に係るディスク装置のメカ機構の斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るディスク装置からケース体のカバーを取り除いた状態を示す斜視図であり、左スライド部材が最も後方の位置まで移動し、右スライド部材が最も前方の位置まで移動した状態を示す図である。
【図3】図1中のカバーを裏返した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るディスク装置からケース体のカバーを取り除いた状態を示す斜視図であり、左スライド部材が最も前方の位置まで移動し、右スライド部材が最も後方の位置まで移動した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るディスク装置を待機状態において側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、左側から見た図であり、(B)は右側から見た図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るディスク装置を再生状態において側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、左側から見た図とその一部拡大図であり、(B)は右側から見た図とその一部拡大図である。
【図7】図1中のスロットに挿入された後の光ディスクの状態を説明するための側面の概略図であり、(A)は光ディスクをスロットに挿入した直後の状態を説明するための図であり、(B)は、光ディスクが再生デッキのクランプ位置に向かって搬入されている途中の状態を説明するための図である。
【図8】図1中のスロットに挿入された後の光ディスクの状態を説明するための側面の概略図であり、(A)は光ディスクが再生デッキのクランプ位置に到達した状態を説明するための図であり、(B)は、光ディスクが再生デッキにおいてクランプされている状態を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るディスク装置中の再生デッキが待機状態から再生状態に移行している途中の状態を側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、頂部と左後斜面とが接触した状態を左側から見た図であり、(B)は頂部と右前斜面とが接触した状態を右側から見た図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るディスク装置中の再生デッキが待機状態から再生状態に移行している途中の状態を側面から透過的に見た概略図であり、(A)は、緩傾斜部と角部とが接触した状態を左側から見た図であり、(B)は緩傾斜部と角部とが接触した状態を右側から見た図である。
【符号の説明】
【0084】
10…ディスク装置
12…ケース体
14…再生デッキ(デッキ)
16…スロット
35…右後凸部(突出部)
36…右前凸部(突出部)
37…左後凸部(突出部)
38…左前凸部(突出部)
40…底板部(底板)
72…左スライド部材(スライド部材)
73…右スライド部材(スライド部材)
74…左前凸段部(段差部)
76…左後凸段部(段差部)
77…左後突起(突起)
77c…左後斜面(傾斜面)
80…右前凸段部(段差部)
82…右後凸段部(段差部)
86…右前突起(突起)
86c…右前斜面(傾斜面)
84…オイルダンパ(衝撃吸収部材)
A…光ディスク(ディスク媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットから挿入されるディスク媒体を記録位置または再生位置まで搬入して、上記ディスク媒体の情報を記録または再生すると共に、記録位置または再生位置の上記ディスク媒体を上記スロットに向かって搬出するデッキと、
上記スロットが形成されると共に、上記デッキをその内部に上下動可能に収納するケース体と、
上記デッキの両側方に配置され、上記ディスク媒体の搬送方向に沿ってスライドし、かつ上方に向かって突出する段差部を有するスライド部材と、
上記段差部と対応するように上記ケース体の天面から下方に向かって突出する突出部と、
上記デッキと上記ケース体の底板との間に介在し、衝撃を吸収する衝撃吸収部材と、
を有するディスク装置において、
上記段差部の上記搬送方向における端部近傍には該段差部よりも上方に向かって突出する突起が設けられ、上記スライド部材をスライドさせると、上記突出部が上記突起を乗り越える際、上記衝撃吸収部材を強く押圧し、乗り越え後、上記段差部の上に乗り上がり、上記スライド部材を下方に向かって押圧して上記衝撃吸収部材を乗り越え時より小さい力で押圧させるように構成されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記突出部が前記突起を乗り越えた状態では、前記デッキが前記ケース体に対して下方に押圧されることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記突起の頂部には、前記端部側から当該端部とは逆方向に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材をオイルによって衝撃を吸収するオイルダンパとしたことを特徴とする請求項1,2または3記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−259343(P2009−259343A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107802(P2008−107802)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】